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タイトル:公開特許公報(A)_エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法
出願番号:2010011881
年次:2011
IPC分類:C12N 15/09


特許情報キャッシュ

早川 靖彦 早川 清 JP 2011147399 公開特許公報(A) 20110804 2010011881 20100122 エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法 ネッパジーン株式会社 302015926 矢野 裕也 100086221 早川 靖彦 早川 清 4713671 20110629 C12N 15/09 20060101AFI20110708BHJP JPC12N15/00 A 6 1 OL 62 4B024 4B024AA20 4B024CA01 4B024DA02 4B024GA14 本発明は、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法に関し、詳しくは、動物細胞に、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることを特徴とする、生存率および遺伝子導入効率が顕著に向上した、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、に関する。 遺伝子導入法は、大きく分けてウイルスベクターと非ウイルスベクターを用いる方法がある。非ウイルスベクターを用いて受精卵、血球、皮膚、筋肉、臓器組織などの動物細胞へ外来遺伝子を導入する方法としては、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、ハイドロダイナミック法、超音波遺伝子導入法、エレクトロポレーション法を挙げることができる。また、懸濁(培養)細胞(溶液中に浮遊状態にした細胞)への外来遺伝子を導入する方法としては、リポフェクション法、超音波遺伝子導入法、エレクトロポレーション法がある。更に、付着細胞(シャーレ、ウエルプレート等に付着した状態の細胞)への外来遺伝子を導入する方法としては、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、DAEAデキストラン法、マイクロインジェクション法がある。 これらのうち、エレクトロポレーション法は、細胞に高圧の電気パルスを与えることによって、細胞膜にプラスミドなどの外来DNAが通過できるほどの小孔を一過性に作って、DNAを取り込ませる方法であり、様々な生物種(植物細胞も含む)への応用性、高い導入効率、再現性、操作の容易さ、特別な試薬が不用、大量の細胞処理などを鑑みると、他の方法よりも総合的な利点を有する方法である。 しかしながら、エレクトロポレーション法による遺伝子導入効率は、リン酸カルシウム法などと比べると効率よく遺伝子導入を達成できるものであるが、それでも導入効率は甚だしく低い。また、細胞の種類によっては、著しく低い導入効率しか得られないものも存在した。 従来のエレクトロポレーション法では、懸濁状態にした細胞に対して、エクスポネンシャルパルス式の出力装置から出力する電気パルスを1回、またはスクエアーパルス式の出力装置から出力する電気パルス(常に定められた強度の電圧)を1回〜複数回出力して、遺伝子導入を行う。 エクスポネンシャル波形式の出力装置から出力するパルスを1回与える場合、遺伝子導入をおこすためには細胞を最低50%以上殺傷する程度以上の電気パルスを与える必要があった。また、遺伝子導入効率は生き残った細胞のうちの1〜10%程度(最大でも30%程度)の範囲に留まるものであった。また、スクエアーパルス式の出力装置においても、細胞を最低20%以上殺傷する程度以上の電気パルスを与える必要があった。また、遺伝子導入効率は生き残った細胞のうちの1〜15%(最大でも30%程度)の範囲に留まるものであった(非特許文献1参照)。 また、さらに電気パルスを大きくすることで、遺伝子導入の効率を上げることはできるが、それに伴い生存率が著しく減少するため、実際に得られる遺伝子導入された細胞の数は少ないものであった。 また、これら従来の装置を用いたエレクトロポレーションでは、専用のエレクトロポレーション用バッファーを併用しなければならず、ランニングコストが膨大にかかるものであった。また、専用のバッファーを併用しない場合、著しく効率が低下し実用に耐えるものではなかった。BioTechniques Vol.17,No.6(1994) 「Short Technical Report」 本発明は、上記課題を解決し、広範囲の動物細胞への適用が可能であり、生存率および遺伝子導入効率が極めて顕著に向上したエレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、を提供することを目的とする。 また本発明は、専用のエレクトロポレーション用バッファーを用いない場合でも、高い生存率および遺伝子導入効率でエレクトロポレーション法によって外来遺伝子を導入する方法、を提供することを目的とする。 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、動物細胞に、エレクトロポレーション法によって外来遺伝子を導入するにあたり、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることによって、生存率と遺伝子導入効率を大幅に向上できることを見出した。 それによって、前記細胞の培養に用いることができる液体培地をエレクトロポレーション用バッファーとして用いた場合(専用のバッファーを用いない場合)であっても、高い生存率および遺伝子導入効率で外来遺伝子を導入できることを見出した。 なお、この原理としては、まず第1電気パルス(強めの電気パルス)を与えて対象の動物細胞の細胞膜に小孔を空けることによって核酸が細胞内に導入され、続いて、第2電気パルス(弱めの電気パルス)を与えることによって核酸が更に細胞内に導入され、並行して前記細胞膜の積極的修復が起こっていることが考えられた。 本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。 即ち、請求項1に係る本発明は、エレクトロポレーション法により動物細胞に外来遺伝子を導入するにあたり、;前記動物細胞に、少なくとも300V/cm以上の電場強度の第1電気パルスを、熱量強度の合計が0.2〜40J/100μLになるように与えた後、少なくとも15V/cm以上の電場強度の第2電気パルスを、1パルス当たりの熱量強度が0.01〜5J/100μLになるように与えることを特徴とする、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項2に係る本発明は、前記第2電気パルスを2回以上与える、請求項1に記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項3に係る本発明は、前記第1電気パルスを与えた後、1分未満の間に、前記第2電気パルスを与える、請求項1又は2のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項4に係る本発明は、前記細胞が哺乳類の細胞である、請求項1〜3のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項5に係る本発明は、前記細胞が、前記溶液中に懸濁された状態のものである、請求項1〜4のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項6に係る本発明は、前記溶液が、前記細胞の培養に用いることができる液体培地である、請求項1〜5のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 本発明は、広範囲の動物細胞(特に脊椎動物や昆虫の細胞)に対して応用が可能であり、生存率および遺伝子導入効率が極めて顕著に向上したエレクトロポレーション法による外来遺伝子の導入法、を提供する。 これにより本発明は、前記細胞の培養に用いることができる液体培地をエレクトロポレーション用バッファーとして用いた場合(専用の高価なバッファーを用いない場合)であっても、高い生存率および遺伝子導入効率で外来遺伝子を導入することを可能とする。即ち、ランニングコストの大幅な低減を可能とする。 また、本発明は、従来のエレクトロポレーション法では遺伝子導入が困難であった、プライマリー細胞、ES細胞、一部の株化細胞、浮遊細胞(リンパ球系細胞やなど一部の癌細胞)にも、効率よく外来遺伝子を導入することを可能とする。 また、本発明は、幅広い産業分野で有用な動物の遺伝子導入細胞(例えばiPS細胞)を、効率よく低コストで調製することを可能とする。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例29において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法に関し、詳しくは、動物細胞に、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることを特徴とする、生存率および遺伝子導入効率が顕著に向上した、エレクトロポレーションによる外来遺伝子導入法、に関する。<電気パルス出力装置及び出力方法> 本発明では、後述する特定条件の第1電気パルスと第2電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を出力できる装置であれば、従来の如何なるスクエアーパルス式電気パルス出力装置(エレクトロポレーター)でも使用方法を工夫すれば用いることができる。 例えば、BioRad社のGene Pulser Xcell、BTX社のECM830等のスクエアーパルス式の出力装置などである。これらの装置は、設定が同じ電圧とパルス幅の電気パルスを連続して出力することが出来るが、電圧とパルス幅が異なる設定の電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を出力できない。よって、装置を2台並べて1台目で第1電気パルスを出力し、次いでキュベット電極ホルダーの接続を2台目へチェンジして数秒後に第2電気パルスを出力する方法で特定条件の2段階の電気パルスを出力する。あるいは装置1台行う場合は、第1電気パルスを出力後に、第2電気パルス条件を設定し直して、数秒後に第2電気パルスを出力する方法で行う。 なお、本発明では、上記のように従来のスクエアーパルス式電気パルス出力装置(例えば、BioRad社のGene Pulser Xcell、BTX社のECM830等の出力装置)の使用方法を工夫して用いることもできるが、好ましくは、後述する特定条件の第1電気パルスと第2電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を出力できる専用の装置を用いることが望ましい。 本発明で細胞に電気パルスを与える操作は、電気パルス出力装置に接続されているキュベット電極ホルダーと細胞/核酸混合溶液を入れる為の電極容器(キュベット電極)を用いて行う。 前記電気パルス出力装置から出力された電気パルスは、キュベット電極保持用容器を経由して、その電極容器に挿入されたキュベット電極に出力され、電極容器内の細胞に通電される。 キュベット電極は、通常用いる容量のものであれば如何なるものも用いることができる。 例えば、1mm gap(容量20〜70μm)、2mm gap(容量40〜400μm)、4mm gap(容量80〜800μm)等がある。 本発明では、前記容器に、対象の動物細胞および導入したい外来遺伝子(核酸)を含有する溶液で満たして行う。 ここで‘溶液’としては、PBS、HEPESなどの通常のエレクトロポレーション法で用いることのできるバッファーはもちろんのこと、通常の緩衝液や、対象の動物細胞が増殖できる液体培地(例えば、MEM培地、DMEM培地、Opti-MEM培地、α-MEM培地、RPMI-1640培地、DMEM / F-12培地、Williams培地、ES培地等)であっても用いることができる。なお、これらの液体培地は、血清濃度が低い方が導入効率の点で好ましく、特には‘無血清培地’を用いることが望ましい。また、抗生物質を含まないもので行う方が好ましい。 なお、電気パルスをかけた後は、当該培地に血清や抗生物質を自由に添加することができる。 ここで、‘外来遺伝子’としては、外来の導入したい核酸配列を広く指すものであり、例えば、遺伝子の全長配列(cDNA配列、ゲノム配列)だけでなく、部分配列、調節領域、スペーサー領域、変異を加えた配列、コンストラクトなどを指すものである。特に、ベクターDNA、オリゴヌクレオチド(アンチセンス、siRNA)、ウイルスベクターを利用した遺伝子導入が汎用される。 当該溶液に含有させる核酸(具体的にはDNA)の量としては、従来のエレクトロポレーション法で行うことが可能な量であればよいが、生存率と遺伝子導入効率の観点から、0.01〜1μg/μL、特には0.03〜0.2μg/μL程度が好適である。 核酸の量が多すぎる場合、生存率が下がり好ましくない。また、核酸の量が少なすぎる場合、遺伝子導入効率が下がり好ましくない。 ここで対象となる動物細胞が付着細胞の場合は、接着状態の細胞をトリプシン等で処理をして細胞の接着を剥がして懸濁状態にし、その後トリプシンを除去し、細胞をエレクトロポレーション用の無血清培地に混入して行うことが望ましい。 また、血球系の細胞の様に通常浮遊状態である動物細胞は、適当な溶液(例えばPBSバッファー等)で洗浄してから、エレクトロポレーション用の無血清培地に混入して行うことが望ましい。 当該動物細胞と核酸を含む溶液は、ピペッティング、ボルテックス・ミキサーで1〜2秒攪拌などの操作を行って当該動物細胞と核酸を溶液中で充分に混合した状態にすることは、遺伝子導入効率を向上させる点で望ましい。細胞数は、104〜108細胞cells/100μL程度、好ましくは105〜107細胞cells/100μL程度、に懸濁して行う。なお、攪拌等の操作を行い過ぎて、溶液を泡立っている状態にすることは好ましくない。 電気パルスを与える操作は、室温(例えば、15〜40℃程度)で行うことができる。なお、電極容器の金属(アルミニウム)部分への水滴付着を防止するために、氷冷は行わない方がよい。<電気パルス条件> 本発明では、対象となる動物細胞に対して、特定条件の第1電気パルスと第2電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を連続して与えることによって、従来のエレクトロポレーション法に比べて、飛躍的に生存率と遺伝子導入効率の両方を向上できるものである。 本発明における第1電気パルスと第2電気パルスは、‘電場強度’と‘熱量強度’の両方が、後述する特定の範囲にある電気パルスを指すものである。 一方、電場強度と熱量強度のどちらか一方が、特定範囲から外れた場合は、十分な効果を得ることができない。 ここで、「電場強度」とは、式1で表されるように、前記電極容器の電極間の幅(例えばキュベット電極の幅)の単位cmあたりにかかる電圧Vを表す値である。単位は(V/cm)で表す。 例を示すと、300V/cmの電場強度を与えるためには、1mm gapキュベット(電極の幅が1mm)では30V、2mm gapキュベット(電極の幅が2mm)では60V、4mm gapキュベット(電極の幅が4mm)では120V、の電圧をかければよい。 また、「熱量強度」とは、式2で表されるように、前記溶液(エレクトロポレーション用バッファー)100μLあたりにかかる熱量Jを表す値である。単位は(J/100μL)で表す。なお、熱量(J)は、式3で表すように、電圧と電流と時間の積で表される値である。 例を示すと、抵抗50Ωの溶液(エレクトロポレーション用バッファー)100μLに、電圧150V、パルス幅5m secの電圧をかけた場合、3Aの電流が発生する。従って、この溶液100μLあたりにかかる熱量は2.25(J/100μL)となる。 なお、電圧、容量(抵抗値)、パルス幅(時間)、などを変化させた場合であっても、電圧強度と熱量強度が一定であれば、同様の結果(生存率、遺伝子導入効率)が得ることができる。 本発明における「第1電気パルス」とは、動物細胞の細胞膜に小孔を空け、外来核酸(DNA、RNA)が細胞内に導入されるために与える、強い電気パルスである。この「第1電気パルス」でかなりのDNAが細胞膜から細胞質へ導入されるが、細胞膜のダメージは大きい。 第1電気パルスの‘電場強度’としては、少なくとも300V/cm以上、好ましくは375V/cm以上であることが望ましい。なお、これよりも電場強度が小さい場合、十分な遺伝子導入効率が得られない。なお、上限としては細胞の生存率が著しく低下しない程度であればよいが、例えば15000V/cm以下、好ましくは7500V/cm以下、さらに好ましくは5000V/cm以下、最も好ましくは4500V/cm以下であることが望ましい。 そして、第1電気パルスは、‘熱量強度の合計’が0.2J/100μL以上、好ましくは0.25J/100μL以上、さらに好ましくは0.3J/100μL以上であることが望ましい。また、上限としては、40J/100μL以下、好ましくは20J/100μL以下、特に好ましくは17J/100μL以下、さらに好ましくは7J/100μL以下(なお、特にHela細胞については5.3J/100μL以下)となるように与えることが望ましい。 そして、第1電気パルスの回数としては、電気パルスの熱量強度の合計が、前記範囲になるような回数であれば如何なる回数でも与えることが可能である。例えば、前記熱量強度の範囲の電気パルスを1回で与えてもよい。また、前記熱量強度に満たない電気パルスを10回与えることで合計値が前記熱量強度の範囲になるように与えてもよい。 本発明における第2電気パルスは、前記第1電気パルスを与えた後(最後の第1電気パルス出力後)に与えるものである。当該パルス間隔は、例えば10分程度の極めて長い間隔をとることも可能ではあるが、生存率の観点から1分未満であることが好ましい。特には100m秒未満であることが好ましい。 本発明における「第2電気パルス」とは、前記細胞膜に空いた小孔から第1電気パルスで導入されなかった残りのDNAを細胞膜から細胞質へ導入し、かつ細胞膜を積極的に修復し細胞の生存率を高めるため(ヒーリング効果を得るため)に与える、弱い電気パルスである。 第2電気パルスの‘電場強度’としては、少なくとも15V/cm以上、好ましくは25V/cm以上であることが望ましい。なお、上限としては細胞の生存率が著しく低下しない程度であればよいが、例えば300V/cm以下、好ましくは、150V/cm以下であることが望ましい。 また、第2電気パルスの‘熱量強度’としては、0.01J/100μL以上、好ましくは0.02J/100μL以上、さらに好ましくは0.09J/100μL以上であることが望ましい。また、上限としては、5J/100μL以下、好ましくは4.5J/100μL以下、さらに好ましくは3.6J/100μL以下、であることが望ましい。 また、第2電気パルスの回数としては、前記範囲にある電気パルスを1回与えてもよいが、好ましくは生存率の大幅な向上は2回以上、特には3回以上、さらには5回以上、最も好ましくは10回以上、与えた時に顕著となる。なお、10回より多く与えても特に生存率に大きな変化は見られない。 上記特定範囲の電気パルスを与えた後は、得られた細胞を通常の培地で培養することで、高い生存率であり且つ遺伝子導入効率の遺伝子導入細胞を得ることができる。 なお、エレクトロポレーション用バッファーとして無血清培地を用いた場合、電気パルスを与えた後に、血清と抗生物質を添加した培地に、直接細胞を回収することが可能となる。つまり、液交換による細胞へのダメージやロスを与えることなく細胞を回収して、培養を行うことが可能となる。<対象細胞> 本発明のエレクトロポレーション法は、広範囲の動物細胞に対して適用が可能な方法である。 ここで「動物細胞」とは、分類学上‘動物界’に分類される真核多細胞生物の細胞を指すものである。動物としては、例えば、脊椎動物(哺乳類、鳥類、ハ虫類、両性類、魚類)、脊索動物(ホヤなど)、半索動物(ギボシムシなど)、棘皮動物(ヒトデ、ナマコなど)、などの新口動物、;節足動物(昆虫類、甲殻類など)、軟体動物(貝類、イカなど)、線形動物(回虫など)、環形動物(ミミズなど)、扁形動物(プラナリアなど)、などの旧口動物、;刺胞動物(クラゲ、サンゴなど)などの2胚葉動物、;海綿動物(カイメンなど)などの無胚葉動物、;を挙げることができる。 本発明は、この中でも特に、脊椎動物である哺乳類、鳥類、ハ虫類、両性類、魚類、;節足動物である昆虫類、;に属する如何なる動物細胞に対しても有効な方法である。なお、後述の実施例では、特に産業上の利用価値が大きいと期待される、哺乳類、昆虫類、両生類(特に、ヒト、ウマ、マウス、ラット、ハムスター、ショウジョウバエ、スッポン)に対しての有効性を確認した。 本発明における「動物細胞」としては、基本的には如何なる器官、組織の細胞に対しても行うことができ、具体的には、幹細胞、癌細胞、各種正常細胞、の株化細胞やプライマリー細胞に対して行うことができる。 例えば、‘幹細胞’としては、胚性幹細胞(ES細胞)、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、皮膚肝細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞などを挙げることができる。 また、‘癌細胞’としては、各種様々な癌細胞、腫瘍細胞、を挙げることができるが、例えば、乳癌細胞、子宮頸癌細胞、膵癌細胞、肝臓癌細胞、肺癌細胞、上皮癌細胞、肺癌細胞、食道癌細胞、前立腺癌細胞、白血病細胞、肉腫細胞、リンパ腫由来細胞などを挙げることができる。 また、‘正常細胞’としては、プライマリー細胞や正常に分化した各種組織細胞を挙げることができるが、例えば、血球・リンパ球(Tリンパ球、Bリンパ球、マクロファージなど)、表皮系細胞(表皮細胞、角化細胞、内皮細胞など)、結合組織細胞(繊維芽細胞など)、筋組織系細胞(筋芽細胞、骨格筋細胞、内膜筋細胞、心筋細胞など)、神経系細胞(神経細胞、神経芽細胞腫、グリア細胞、など)、各種臓器組織の細胞(腎細胞、肺細胞、膵臓細胞など)、骨組織細胞(骨芽細胞、骨細胞、軟骨細胞など)、生殖細胞(卵母細胞、精母細胞など)などを挙げることができる。 なお、従来導入が困難であったプライマリー細胞のヒト胎盤羊膜間葉系細胞、マウス神経細胞(E14胎児大脳皮質)、マウス神経細胞(E14胎児脳海馬)、マウス神経幹細胞、マウス胎児線維芽細胞、ラット延髄神経細胞、ラット髄膜由来線維芽細胞、ラット嗅球グリア細胞、;従来導入が困難であったES細胞のマウスTT2 ES細胞、マウスddy ES細胞、;従来導入が困難であった株化細胞の種類であったヒト胎児肺細胞(TIG-7)、ヒト不死化線維芽細胞(SUSM-1)、ヒト線維肉腫細胞(HT1080)、ヒト膵癌細胞(MIA-PaCa-2)、ヒト肝臓癌細胞(HepG2)、ヒト口腔扁平上皮癌細胞(HSC-2)、ヒト乳癌細胞(MCF-7)、ヒト食道癌細胞(TE-1)、ヒト前立腺癌細胞(LNCaP)、ヒト卵巣癌細胞(OVCAR-3)、ヒト神経芽細胞腫(SK-N-SH)、ヒト急性リンパ性白血病B細胞(Nalm-6)、ヒトバーキットリンパ腫由来細胞(Raij)、マウス胎児線維芽細胞(MEF)、マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)、マウス膵β細胞(MIN6)、ラット胎児線維芽細胞(REF)、ラット胎児心臓由来細胞(H9c2)、;などにも有効に行うことができる。 なお、本発明ではこれらのうち、特にプライマリー細胞、癌細胞、神経細胞、幹細胞に対して行うことが有効な方法である。 以下に本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。<実施例1> 第1電気パルスと第2電気パルスの効果(1)細胞の調製と準備 培養したHeLa細胞(ヒト子宮頸癌細胞の株化細胞:付着細胞)の培養容器から培地を除去した。そして、培地中に含まれている血清の影響を取り除く為に0.02%EDTA-PBS溶液で2回以上洗浄した。次いでトリプシン処理を行うことで付着状態の細胞を剥離させた。 細胞が剥がれることを確認後、トリプシン処理に用いた酵素液と同量のエレクトロポレーション用バッファー(血清/抗生物質不含培地のES培地〔日水製薬〕)を加えて遠心(〜1,000rpm, 5min)し、トリプシンを除去した。 そして、上清を捨て、前記エレクトロポレーション用バッファーに分散し、その50μLを採取してヘモサイトメーターで細胞数を計測した。再度遠心(〜1,000rpm, 5min)して残りの上清を除き、回収した細胞に再度エレクトロポレーション用バッファーを加えて1×107 cells/900μLに懸濁した。 次いで、DNA溶液(pCMV-EGFP vector 濃度:1μg/μL)を100μL加えて計1,000μLとし、決して泡立てないように注意しながらよく攪拌し、100μLずつ(細胞:1×106cells、DNA:0.1μg/μL)2mm gapキュベットに注入した。 なお、細胞数が少ない場合には、細胞数を調整する時にエレクトロポレーション用バッファーを加えて2.5×106 cells/450μLに懸濁し、DNA溶液(pCMV-EGFP vector 濃度:1μg/μL)を50μL加えて計500μLとし、50μLずつ(細胞:2.5×105 cells、DNA:0.1μg/μL)2mm gapキュベットに注入した。(2)電気パルス処理 前記調製した細胞を注入したキュベットを、NEPA21 エレクトロポレーター(NEPA GENECo., LTD.)のキュベット電極用チャンバーに挿入し、NEPA21 エレクトロポレーターから電気パルスを出力した。 そして、表1に示すように、第1電気パルスと第2電気パルスの有無の組合せ、第2電気パルスの回数を変化させた条件、でエレクトロポレーションを行った(サンプル53〜56,60)。なお、当該処理は、キュベットに水滴がつくことを避けるため、氷冷せずに室温にて行った。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル52)とした。 電気パルス処理後、血清および抗生物質入りのMEM培地をキュベットに注入してから、液全量(電気パルス処理後の細胞を含む)をスポイトで回収し、血清および抗生物質入りのMEM培地で満たした培養プレート中に加えて、通常の条件(37℃、炭酸ガス濃度5%)にて培養し、生存率(式4により算出)を算出した。また、蛍光タンパク質であるEGFPを検出することで遺伝子導入効率(式5により算出)を算出した。結果を表1に示す。 なお、以下の結果において、Hela細胞については、生存率と遺伝子導入効率が両方とも40%以上の条件は好適であると判定できる。また、極めて遺伝子導入が難しい細胞の種類については、10%程度でも好適であると判定できる。 その結果、好適な第1電気パルスと第2電気パルスを連続的に与えることによって、生存率と遺伝子導入効率の両方が、飛躍的に向上することが示された。 なお、第1電気パルスを与えない場合には、遺伝子導入自体が起こらなかった。このことから、第1電気パルスは、細胞膜に小孔を開けて外来DNAを細胞内へ導入するために必須な過程であることが示唆された。 また、第2電気パルスを与えることで、生存率が大幅に向上することが示され、さらに第2電気パルスの回数を増やすことで(2回以上、最適には10回)、生存率がさらに向上することが示された。このことから、第2電気パルスは、第1電気パルスによって開いた小孔の修復を促進する作用があることが示唆された。<実施例2> 第1電気パルスの電圧の検討1 表2に示すように、第1電気パルスの電圧を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル2〜11)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル1)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表2に示す。 その結果、第1電気パルスの電圧を、電場強度に換算して500〜875V/cmで熱量強度の合計1.39〜4.37J/100μLの範囲になるように与えた時には、生存率と遺伝子導入効率の両方が50%以上となる高い効率を示した。特に、電場強度500〜750V/cmで熱量強度の合計1.39〜3.21J/100μLでは、80%以上となる高い効率を示した。<実施例3> 第2電気パルスの電圧の検討1 表3に示すように、第2電気パルスの電圧を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル13〜20)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル12)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表3に示す。 その結果、好適な条件の第2電気パルスを与えることで、生存率が大幅に向上することが示された。 具体的には、第2電気パルスの電圧を、電場強度に換算して50〜250V/cmで熱量強度1パルスあたり0.13〜3.57J/100μLの範囲になるように与えた時に、生存率と遺伝子導入効率の両方が50%以上となる高い効率を示した。特に、電場強度75〜125V/cmで熱量強度1パルスあたり0.31〜0.68J/100μLを与えた時には、80%以上となる高い効率を示した。<実施例4> 第2電気パルスの電圧の検討2 表4に示すような第2電気パルスの電圧を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル57〜60)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル52)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表4に示す。 その結果、好適な条件の第2電気パルスを与えることで、生存率が大幅に向上することが示された。具体的には、第2電気パルスの電圧を、電場強度に換算して15〜100V/cmで熱量強度1パルスあたり0.01〜0.59J/100μLの範囲になるように与えた時に、生存率と遺伝子導入効率の両方が60%以上となる高い効率を示した。特に、電場強度35〜100V/cmで熱量強度1パルスあたり0.07〜0.59J/100μLを与えた時には、80%以上の効率を示した。<実施例5> 第1電気パルスの電場強度の検討1 表5に示すように、第1電気パルスの熱量強度が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル28〜36)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル27)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表5に示す。 その結果、第1電気パルスの熱量強度の合計がほぼ一定(1.69〜2.35J/100μL)であるにも関わらずが、電場強度が250V/cm以下(357V/cmを下回る)だと遺伝子導入が全く起こらないことが示された。 このことから、第1電気パルスの効果が発揮されるためには、特定値以上の電場強度が必要であることが示された。<実施例6> 第1電気パルスの電場強度の検討2 表6に示すように、第1電気パルスの熱量強度が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル104〜112)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル103)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表6に示す。 その結果、第1電気パルスの熱量強度がほぼ一定(1.66〜2.08J/100μL)となるように与えることによって、4500V/cmという強い電場強度を与えた場合でも、高い生存率と遺伝子導入効率を示すことが示された。 このことから、第1電気パルスの電圧そのものではなく、熱量強度が生存率に影響していると考えられた。<実施例7> 第1電気パルスのパルス幅の検討 表7に示すように、第1電気パルスの電場強度を一定にして、パルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル76〜78)。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表7に示す。 その結果、第1電気パルスの電場強度を500V/cmに一定にした場合、10〜20m secのパルス幅の短い電気パルスを与えることで、生存率と導入効率の両方が極めて高い効率(90%以上)を示した。 なお、パルス幅を30m secと長くした場合、生存率の低下が見られた。これは、熱量強度が高くなったために生存率が低下したものと考えられる。<実施例8> 第1電気パルスの回数の検討1 表8に示すように、第1電気パルスにおけるパルス回数およびパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル71〜74)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル70)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表8に示す。 その結果、熱量強度の合計が一定になるように第1電気パルスを与えた場合(サンプル71〜73)、生存率と遺伝子導入効率は、同様の結果になることが示された。 なお、単に回数だけを増やして熱量強度の合計が高くなりすぎた場合(サンプル71と74)、生存率が低下することが示された。 これらのことから、第1電気パルスの熱量強度は、1パルス当たりの値ではなく、合計値が生存率と導入効率に影響することが示された。<実施例9> 第1電気パルスの回数の検討2 表9に示すように、第1電気パルスにおけるパルス回数およびパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル179〜190)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル178)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表9に示す。 その結果、1パルス当たりの熱量強度が低い場合(例えば、サンプル182、184〜188のように0.2J/100μL以下の場合)でも、回数を増やして熱量強度の合計を高めることによって、遺伝子導入効率が向上することが示された。 なお、回数を増やしても、熱量強度の合計が0.286J/100μLを下回る場合(サンプル189、190)では、遺伝子導入が起こらないことが示された。<実施例10> 第1電気パルスの熱量(V2I√T)の検討 表10に示すように、第1電気パルスにおけるV2I√T(熱量値)が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル62〜67)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル61)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表10に示す。 その結果、生存率と遺伝子導入効率は、第1電気パルスにおけるV2I√T(熱量値)とは相関が見られず、熱量強度(J/100μL)や電場強度(V/cm)に影響されることが示された。<実施例11> 第1電気パルスの熱量(V2IT)の検討 表11に示すように、第1電気パルスV2ITの値(熱量値)が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル113〜122)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル113)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表11に示す。 その結果、生存率と遺伝子導入効率は、第1電気パルスにおけるV2IT(熱量値)とは相関が見られず、熱量強度(J/100μL)に影響されることが示された。 また、熱量強度が0.28J/100μL付近を下回ると、導入効率が大幅に低下することが示された。<実施例12> 第1電気パルスの熱量(VI√T)の検討 表12に示すように、第1電気パルスの熱量強度が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル124〜131)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル123)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表12に示す。 その結果、生存率と遺伝子導入効率は、第1電気パルスにおけるVI√T(熱量値)とは相関が見られず、熱量強度(J/100μL)に影響されることが示された。 また、熱量強度が0.34J/100μL付近を下回ると、導入効率が大幅に低下することが示された。<実施例13> 第2電気パルスの回数の検討 表13に示すように、第2電気パルスの回数を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル22〜26)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル21)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表13に示す。 その結果、第2電気パルスを、複数回(3回以上、最適には10回)与えた場合、生存率がさらに向上することが示された。<実施例14> 第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔の検討1 表14に示すように、第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル38〜44)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル37)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表14に示す。 その結果、パルス間隔が短いほど生存率は高く、パルス間隔を長くするほど生存率が低下する傾向が認められた。特に99.9m sec(約0.1 sec)以下にすることで、生存率が特に高くなることが示された。 なお、1分という長いパルス間隔をとった場合であっても、生存率は比較的高いことが示された。<実施例15> 第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔の検討2表15に示すように、第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル46〜51)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル45)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表15に示す。 その結果、パルス間隔が短いほど生存率は高く、パルス間隔を長くするほど生存率が低下する傾向が認められた。特に99.9m sec(約0.1 sec)以下にすることで、生存率が特に高くなることが示された。 なお、1分という長いパルス間隔をとった場合であっても、生存率は比較的高いことが示された。<実施例16> バッファー容量の検討1 表16に示すように、エレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル85〜92)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル84)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表16に示す。 その結果、バッファー容量を100〜400μLにした場合でも、100μLでの電場強度と熱量強度での条件が適用できることが示された。<実施例17> バッファー容量の検討2 表17に示すように、エレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル147〜151)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル146)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表17に示す。 その結果、バッファー容量を50〜400μLにした場合でも、100μLでの電場強度と熱量強度での条件が適用できることが示された。<実施例18> 1mm gapキュベットでの検討1 表18に示すように、1mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル80〜83)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル79)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表18に示す。 その結果、1mm gapキュベットを用いた場合でも、2mm gapキュベットを用いた電場強度と熱量強度の条件が適用できることが示された。<実施例19> 1mm gapキュベットでの検討2 表19に示すように、1mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル133〜143)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル132)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表19に示す。 その結果、1mm gapキュベットを用いた場合でも、2mm gapキュベットでの電場強度と熱量強度の条件、が適用できることが示された。<実施例20> 4mm gapキュベットでの検討1 表20に示すように、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル154〜159)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル153)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表20に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させた場合でも、2mm gapキュベットでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例21> 4mm gapキュベットでの検討2 表21に示すように、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル161〜168)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル160)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表21に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させた場合でも、2mm gapキュベットでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例22> 4mm gapキュベットでの検討3 表22に示すように、4mm gapキュベットを用いてエレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル94〜102)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル93)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表22に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いてバッファー容量を200〜800μLにした場合でも、2mm gapキュベットを用いた100μLでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例23> 4mm gapキュベットでの検討4 表23に示すように、4mm gapキュベットを用いてエレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル170〜177)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル169)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表23に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いてバッファー容量を200〜800μLにした場合でも、2mm gapキュベットを用いた100μLでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例24> DNA濃度の検討 表24に示すように、DNA濃度を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル193〜202)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル192)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表24に示す。 その結果、DNA濃度が高いほど遺伝子導入効率が高くなるが生存率は低くなることが示された。また逆に、DNA濃度が低いほど遺伝子導入効率が低くなるが生存率は高くなることが示された。 具体的には、DNA濃度が0.01μg/μLを上回る濃度、特に0.03〜0.5μg/μLが好適であることが示された。<実施例25> 血清濃度の検討 表25に示すように、対照細胞としてTIG-7細胞(ヒト胎児肺細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして抗生物質を含まないES培地の血清濃度を変化させて用いたこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル204〜207)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル203)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表25に示す。 その結果、血清が混入することで遺伝子導入効率が低下することが示された。このことから、エレクトロポレーション用バッファーに培地を用いる場合は、血清を除去した無血清培地を用いることが好ましいことが示された。 また、正常細胞であるTIG-7細胞(ヒト胎児肺細胞)についても、癌細胞であるHela細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と同様の条件が適用できることが示された。<実施例26> ラット胎児繊維芽細胞での検討 表26に示すように、対照細胞としてREF細胞(ラット胎児繊維芽細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして血清/抗生物質不含Opti−MEM培地の無血清抗生物質フリー培地を用いたこと、および、パルス幅やDNA濃度を変化させて電気パルス処理を行ったこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル215〜219)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル208)とした。 そして、DMEM培地を用いて培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表26に示す。 その結果、ラットのREF細胞(ラット胎児繊維芽細胞)についても、ヒトのHela細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と同様の条件が適用できることが示された。 なお、REF細胞はHela細胞よりも、第1電気パルスの熱量強度の合計がやや高い方が好適である、ことが示された。<実施例27> ヒト肝臓癌細胞での検討 表27に示すように、対照細胞としてHepG2細胞(ヒト肝臓癌細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして血清/抗生物質不含DMEM培地の無血清抗生物質フリー培地を用いたこと、および、電圧やパルス幅やDNA濃度を変化させて電気パルス処理を行ったこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル221〜228)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル220)とした。 そして、DMEM培地を用いて培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表27に示す。 その結果、肝臓癌のHepG2細胞(ヒト肝臓癌細胞)についても、子宮頸癌のHela細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と同様の条件が適用できることが示された。 なお、HepG2細胞はHela細胞よりも、第1電気パルスの電場強度がやや低く、熱量強度が強い(パルス幅が長い)方が好適である、ことが示された。<実施例28> 各種動物細胞への応用 表29〜32に示す各種細胞(株化細胞、プライマリー細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして各種増殖培地の無血清抗生物質フリー培地を用いたこと、および、各種細胞に応じた電気パルス処理を行ったことを除いて、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った。なお、各種細胞の代表例の電気パルス条件を表28〜32に示す。 そして、各種増殖培地を用いて培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表33〜36に示す。 また、細胞の写真像図を図1〜35に示す。これら写真像図において、左図は培養後の細胞像を示し、右図は導入遺伝子の蛍光タンパク質を検出した像を示す(なお、図18,22,26,28,29,31は蛍光タンパク質を検出した像のみを示す)。 その結果、上記条件で第1電気パルスと第2電気パルスを与えるエレクトロポレーション法は、様々な組織に由来する株化細胞やプライマリー細胞に対しても適用可能であることが示された。例えば、神経細胞(図18,19,28,33)やES細胞(図34,35)に対しても、高い生存率と導入効率でエレクトロポレーションが可能であることが示された。 また、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ウマといった哺乳類だけでなく、昆虫であるショウジョウバエ(図33)にも適用可能なことから、動物全般への応用可能性も示唆された。<実施例29> 接着細胞への応用 まず、12ウエルプレートに培養したSH-SY5Y細胞(ヒト神経芽細胞:付着細胞)をPBSで2回洗浄した。次いで、1μg/μLのDNA(pCMV-EGFP vector)を含む240〜350μLのエレクトロポレーション用バッファーを注入し、細胞上に付着細胞用脚付電極(CUC513-5電極)を置いた。 そして、細胞が接着状態のまま、表37に示す条件で電気パルス処理を行って、エレクトロポレーションを行った。 そして、DMEM培地に液交換してそのまま培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表38に示す。 また、細胞の写真像図を図36に示す。左図は培養後の細胞像を示し、右図は導入遺伝子の蛍光タンパク質を検出した像を示す。 その結果、上記条件で第1電気パルスと第2電気パルスを与えるエレクトロポレーション法は、付着状態の細胞に対しても直接適用可能であることが示された。 本発明によれば、医薬分野、食品分野、農業分野などの幅広い産業分野の試験研究において、有用に利用されることが期待される。 また、本発明によれば、有用な動物の遺伝子導入細胞(例えばiPS細胞、生体幹細胞、など)を、効率よく低コストで調製することを可能となり、幅広い産業分野で応用が可能となる。 エレクトロポレーション法により動物細胞に外来遺伝子を導入するにあたり、;前記動物細胞に、少なくとも300V/cm以上の電場強度の第1電気パルスを、熱量強度の合計が0.2〜40J/100μLになるように与えた後、少なくとも15V/cm以上の電場強度の第2電気パルスを、1パルス当たりの熱量強度が0.01〜5J/100μLになるように与えることを特徴とする、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法。 前記第2電気パルスを2回以上与える、請求項1に記載の外来遺伝子導入法。 前記第1電気パルスを与えた後、1分未満の間に、前記第2電気パルスを与える、請求項1又は2のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記細胞が哺乳類の細胞である、請求項1〜3のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記動物細胞が、溶液中に懸濁された状態のものである、請求項1〜4のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記溶液が、前記細胞の培養に用いることができる液体培地である、請求項1〜5のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 【課題】 広範囲の動物細胞への適用が可能であり、生存率および遺伝子導入効率が極めて顕著に向上したエレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、を提供することを目的とする。また、専用の導入バッファーを用いない場合でも、高い生存率および遺伝子導入効率でエレクトロポレーション法によって外来遺伝子を導入する方法、を提供することを目的とする。【解決手段】 動物細胞に、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることを特徴とする、生存率および遺伝子導入効率が顕著に向上した、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、;前記細胞の培養に用いることができる液体培地を導入バッファーとして用いる前記エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、;を提供する。【選択図】 図120110126A16333全文3 エレクトロポレーション法により哺乳類細胞に外来遺伝子を導入するにあたり、;前記哺乳類細胞および前記外来遺伝子を含有する溶液を調製し、;前記溶液中の前記哺乳類細胞に、375〜4500V/cmの電場強度の第1電気パルスを、熱量強度の合計が0.3〜20J/100μLになるように与えた後、;15〜150V/cmの電場強度の第2電気パルスを、1パルス当たりの熱量強度が0.01〜3.6J/100μLになるように3回以上与えることを特徴とする、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法。 前記第2電気パルスを10回以上与える、請求項1に記載の外来遺伝子導入法。 前記第1電気パルスを与えた後、100m秒未満の間に、前記第2電気パルスを与える、請求項1又は2のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記溶液が、前記細胞の培養に用いることができる液体培地から血清を除いたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記第1電気パルスの熱量強度の合計が7J/100μL以下であり、;前記第2電気パルスの1パルスあたりの熱量強度が0.09J/100μL以上である、;請求項1〜4のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記第1電気パルスの熱量強度の合計が、5.3J/100μL以下である、請求項5に記載の外来遺伝子導入法。A1633000093 本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。 即ち、請求項1に係る本発明は、エレクトロポレーション法により哺乳類細胞に外来遺伝子を導入するにあたり、;前記哺乳類細胞および前記外来遺伝子を含有する溶液を調製し、;前記溶液中の前記哺乳類細胞に、375〜4500V/cmの電場強度の第1電気パルスを、熱量強度の合計が0.3〜20J/100μLになるように与えた後、;15〜150V/cmの電場強度の第2電気パルスを、1パルス当たりの熱量強度が0.01〜3.6J/100μLになるように3回以上与えることを特徴とする、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項2に係る本発明は、前記第2電気パルスを10回以上与える、請求項1に記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項3に係る本発明は、前記第1電気パルスを与えた後、100m秒未満の間に、前記第2電気パルスを与える、請求項1又は2のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項4に係る本発明は、前記溶液が、前記細胞の培養に用いることができる液体培地から血清を除いたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項5に係る本発明は、前記第1電気パルスの熱量強度の合計が7J/100μL以下であり、;前記第2電気パルスの1パルスあたりの熱量強度が0.09J/100μL以上である、;請求項1〜4のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項6に係る本発明は、前記第1電気パルスの熱量強度の合計が、5.3J/100μL以下である、請求項5に記載の外来遺伝子導入法に関するものである。


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特許公報(B1)_エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B1)_エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法
出願番号:2010011881
年次:2011
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

早川 靖彦 早川 清 JP 4713671 特許公報(B1) 20110401 2010011881 20100122 エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法 ネッパジーン株式会社 302015926 矢野 裕也 100086221 早川 靖彦 早川 清 20110629 C12N 15/09 20060101AFI20110609BHJP C12N 5/10 20060101ALI20110609BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 102 C12N 15/09 C12N 5/10 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed 特表2001−503208(JP,A) 特開2002−300876(JP,A) Biophys. J.,1992年,Vol.63,P.1320-1327 J. Control. Release,2005年,Vol.106,P.407-415 Biotechnol. Techn.,1998年,Vol.12, No.7,P.507-510 Bioelectrochem. Bioenerg.,1995年,Vol.38,P.223-228 6 62 20101101 鈴木 崇之 本発明は、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法に関し、詳しくは、動物細胞に、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることを特徴とする、生存率および遺伝子導入効率が顕著に向上した、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、に関する。 遺伝子導入法は、大きく分けてウイルスベクターと非ウイルスベクターを用いる方法がある。非ウイルスベクターを用いて受精卵、血球、皮膚、筋肉、臓器組織などの動物細胞へ外来遺伝子を導入する方法としては、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、ハイドロダイナミック法、超音波遺伝子導入法、エレクトロポレーション法を挙げることができる。また、懸濁(培養)細胞(溶液中に浮遊状態にした細胞)への外来遺伝子を導入する方法としては、リポフェクション法、超音波遺伝子導入法、エレクトロポレーション法がある。更に、付着細胞(シャーレ、ウエルプレート等に付着した状態の細胞)への外来遺伝子を導入する方法としては、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、DAEAデキストラン法、マイクロインジェクション法がある。 これらのうち、エレクトロポレーション法は、細胞に高圧の電気パルスを与えることによって、細胞膜にプラスミドなどの外来DNAが通過できるほどの小孔を一過性に作って、DNAを取り込ませる方法であり、様々な生物種(植物細胞も含む)への応用性、高い導入効率、再現性、操作の容易さ、特別な試薬が不用、大量の細胞処理などを鑑みると、他の方法よりも総合的な利点を有する方法である。 しかしながら、エレクトロポレーション法による遺伝子導入効率は、リン酸カルシウム法などと比べると効率よく遺伝子導入を達成できるものであるが、それでも導入効率は甚だしく低い。また、細胞の種類によっては、著しく低い導入効率しか得られないものも存在した。 従来のエレクトロポレーション法では、懸濁状態にした細胞に対して、エクスポネンシャルパルス式の出力装置から出力する電気パルスを1回、またはスクエアーパルス式の出力装置から出力する電気パルス(常に定められた強度の電圧)を1回〜複数回出力して、遺伝子導入を行う。 エクスポネンシャル波形式の出力装置から出力するパルスを1回与える場合、遺伝子導入をおこすためには細胞を最低50%以上殺傷する程度以上の電気パルスを与える必要があった。また、遺伝子導入効率は生き残った細胞のうちの1〜10%程度(最大でも30%程度)の範囲に留まるものであった。また、スクエアーパルス式の出力装置においても、細胞を最低20%以上殺傷する程度以上の電気パルスを与える必要があった。また、遺伝子導入効率は生き残った細胞のうちの1〜15%(最大でも30%程度)の範囲に留まるものであった(非特許文献1参照)。 また、さらに電気パルスを大きくすることで、遺伝子導入の効率を上げることはできるが、それに伴い生存率が著しく減少するため、実際に得られる遺伝子導入された細胞の数は少ないものであった。 また、これら従来の装置を用いたエレクトロポレーションでは、専用のエレクトロポレーション用バッファーを併用しなければならず、ランニングコストが膨大にかかるものであった。また、専用のバッファーを併用しない場合、著しく効率が低下し実用に耐えるものではなかった。BioTechniques Vol.17,No.6(1994) 「Short Technical Report」 本発明は、上記課題を解決し、広範囲の動物細胞への適用が可能であり、生存率および遺伝子導入効率が極めて顕著に向上したエレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、を提供することを目的とする。 また本発明は、専用のエレクトロポレーション用バッファーを用いない場合でも、高い生存率および遺伝子導入効率でエレクトロポレーション法によって外来遺伝子を導入する方法、を提供することを目的とする。 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、動物細胞に、エレクトロポレーション法によって外来遺伝子を導入するにあたり、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることによって、生存率と遺伝子導入効率を大幅に向上できることを見出した。 それによって、前記細胞の培養に用いることができる液体培地をエレクトロポレーション用バッファーとして用いた場合(専用のバッファーを用いない場合)であっても、高い生存率および遺伝子導入効率で外来遺伝子を導入できることを見出した。 なお、この原理としては、まず第1電気パルス(強めの電気パルス)を与えて対象の動物細胞の細胞膜に小孔を空けることによって核酸が細胞内に導入され、続いて、第2電気パルス(弱めの電気パルス)を与えることによって核酸が更に細胞内に導入され、並行して前記細胞膜の積極的修復が起こっていることが考えられた。 本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。 即ち、請求項1に係る本発明は、エレクトロポレーション法により哺乳類細胞に外来遺伝子を導入するにあたり、;前記哺乳類細胞および前記外来遺伝子を含有する溶液を調製し、;前記溶液中の前記哺乳類細胞に、375〜4500V/cmの電場強度の第1電気パルスを、熱量強度の合計が0.3〜20J/100μLになるように与えた後、;15〜150V/cmの電場強度の第2電気パルスを、1パルス当たりの熱量強度が0.01〜3.6J/100μLになるように3回以上与えることを特徴とする、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項2に係る本発明は、前記第2電気パルスを10回以上与える、請求項1に記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項3に係る本発明は、前記第1電気パルスを与えた後、100m秒未満の間に、前記第2電気パルスを与える、請求項1又は2のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項4に係る本発明は、前記溶液が、前記細胞の培養に用いることができる液体培地から血清を除いたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項5に係る本発明は、前記第1電気パルスの熱量強度の合計が7J/100μL以下であり、;前記第2電気パルスの1パルスあたりの熱量強度が0.09J/100μL以上である、;請求項1〜4のいずれかに記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 請求項6に係る本発明は、前記第1電気パルスの熱量強度の合計が、5.3J/100μL以下である、請求項5に記載の外来遺伝子導入法に関するものである。 本発明は、広範囲の動物細胞(特に脊椎動物や昆虫の細胞)に対して応用が可能であり、生存率および遺伝子導入効率が極めて顕著に向上したエレクトロポレーション法による外来遺伝子の導入法、を提供する。 これにより本発明は、前記細胞の培養に用いることができる液体培地をエレクトロポレーション用バッファーとして用いた場合(専用の高価なバッファーを用いない場合)であっても、高い生存率および遺伝子導入効率で外来遺伝子を導入することを可能とする。即ち、ランニングコストの大幅な低減を可能とする。 また、本発明は、従来のエレクトロポレーション法では遺伝子導入が困難であった、プライマリー細胞、ES細胞、一部の株化細胞、浮遊細胞(リンパ球系細胞やなど一部の癌細胞)にも、効率よく外来遺伝子を導入することを可能とする。 また、本発明は、幅広い産業分野で有用な動物の遺伝子導入細胞(例えばiPS細胞)を、効率よく低コストで調製することを可能とする。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例28において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。実施例29において、導入した遺伝子に由来する蛍光タンパク質を検出した写真像図、を示す図である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法に関し、詳しくは、動物細胞に、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることを特徴とする、生存率および遺伝子導入効率が顕著に向上した、エレクトロポレーションによる外来遺伝子導入法、に関する。<電気パルス出力装置及び出力方法> 本発明では、後述する特定条件の第1電気パルスと第2電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を出力できる装置であれば、従来の如何なるスクエアーパルス式電気パルス出力装置(エレクトロポレーター)でも使用方法を工夫すれば用いることができる。 例えば、BioRad社のGene Pulser Xcell、BTX社のECM830等のスクエアーパルス式の出力装置などである。これらの装置は、設定が同じ電圧とパルス幅の電気パルスを連続して出力することが出来るが、電圧とパルス幅が異なる設定の電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を出力できない。よって、装置を2台並べて1台目で第1電気パルスを出力し、次いでキュベット電極ホルダーの接続を2台目へチェンジして数秒後に第2電気パルスを出力する方法で特定条件の2段階の電気パルスを出力する。あるいは装置1台行う場合は、第1電気パルスを出力後に、第2電気パルス条件を設定し直して、数秒後に第2電気パルスを出力する方法で行う。 なお、本発明では、上記のように従来のスクエアーパルス式電気パルス出力装置(例えば、BioRad社のGene Pulser Xcell、BTX社のECM830等の出力装置)の使用方法を工夫して用いることもできるが、好ましくは、後述する特定条件の第1電気パルスと第2電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を出力できる専用の装置を用いることが望ましい。 本発明で細胞に電気パルスを与える操作は、電気パルス出力装置に接続されているキュベット電極ホルダーと細胞/核酸混合溶液を入れる為の電極容器(キュベット電極)を用いて行う。 前記電気パルス出力装置から出力された電気パルスは、キュベット電極保持用容器を経由して、その電極容器に挿入されたキュベット電極に出力され、電極容器内の細胞に通電される。 キュベット電極は、通常用いる容量のものであれば如何なるものも用いることができる。 例えば、1mm gap(容量20〜70μm)、2mm gap(容量40〜400μm)、4mm gap(容量80〜800μm)等がある。 本発明では、前記容器に、対象の動物細胞および導入したい外来遺伝子(核酸)を含有する溶液で満たして行う。 ここで‘溶液’としては、PBS、HEPESなどの通常のエレクトロポレーション法で用いることのできるバッファーはもちろんのこと、通常の緩衝液や、対象の動物細胞が増殖できる液体培地(例えば、MEM培地、DMEM培地、Opti-MEM培地、α-MEM培地、RPMI-1640培地、DMEM / F-12培地、Williams培地、ES培地等)であっても用いることができる。なお、これらの液体培地は、血清濃度が低い方が導入効率の点で好ましく、特には‘無血清培地’を用いることが望ましい。また、抗生物質を含まないもので行う方が好ましい。 なお、電気パルスをかけた後は、当該培地に血清や抗生物質を自由に添加することができる。 ここで、‘外来遺伝子’としては、外来の導入したい核酸配列を広く指すものであり、例えば、遺伝子の全長配列(cDNA配列、ゲノム配列)だけでなく、部分配列、調節領域、スペーサー領域、変異を加えた配列、コンストラクトなどを指すものである。特に、ベクターDNA、オリゴヌクレオチド(アンチセンス、siRNA)、ウイルスベクターを利用した遺伝子導入が汎用される。 当該溶液に含有させる核酸(具体的にはDNA)の量としては、従来のエレクトロポレーション法で行うことが可能な量であればよいが、生存率と遺伝子導入効率の観点から、0.01〜1μg/μL、特には0.03〜0.2μg/μL程度が好適である。 核酸の量が多すぎる場合、生存率が下がり好ましくない。また、核酸の量が少なすぎる場合、遺伝子導入効率が下がり好ましくない。 ここで対象となる動物細胞が付着細胞の場合は、接着状態の細胞をトリプシン等で処理をして細胞の接着を剥がして懸濁状態にし、その後トリプシンを除去し、細胞をエレクトロポレーション用の無血清培地に混入して行うことが望ましい。 また、血球系の細胞の様に通常浮遊状態である動物細胞は、適当な溶液(例えばPBSバッファー等)で洗浄してから、エレクトロポレーション用の無血清培地に混入して行うことが望ましい。 当該動物細胞と核酸を含む溶液は、ピペッティング、ボルテックス・ミキサーで1〜2秒攪拌などの操作を行って当該動物細胞と核酸を溶液中で充分に混合した状態にすることは、遺伝子導入効率を向上させる点で望ましい。細胞数は、104〜108細胞cells/100μL程度、好ましくは105〜107細胞cells/100μL程度、に懸濁して行う。なお、攪拌等の操作を行い過ぎて、溶液を泡立っている状態にすることは好ましくない。 電気パルスを与える操作は、室温(例えば、15〜40℃程度)で行うことができる。なお、電極容器の金属(アルミニウム)部分への水滴付着を防止するために、氷冷は行わない方がよい。<電気パルス条件> 本発明では、対象となる動物細胞に対して、特定条件の第1電気パルスと第2電気パルス(特定条件の2段階の電気パルス)を連続して与えることによって、従来のエレクトロポレーション法に比べて、飛躍的に生存率と遺伝子導入効率の両方を向上できるものである。 本発明における第1電気パルスと第2電気パルスは、‘電場強度’と‘熱量強度’の両方が、後述する特定の範囲にある電気パルスを指すものである。 一方、電場強度と熱量強度のどちらか一方が、特定範囲から外れた場合は、十分な効果を得ることができない。 ここで、「電場強度」とは、式1で表されるように、前記電極容器の電極間の幅(例えばキュベット電極の幅)の単位cmあたりにかかる電圧Vを表す値である。単位は(V/cm)で表す。 例を示すと、300V/cmの電場強度を与えるためには、1mm gapキュベット(電極の幅が1mm)では30V、2mm gapキュベット(電極の幅が2mm)では60V、4mm gapキュベット(電極の幅が4mm)では120V、の電圧をかければよい。 また、「熱量強度」とは、式2で表されるように、前記溶液(エレクトロポレーション用バッファー)100μLあたりにかかる熱量Jを表す値である。単位は(J/100μL)で表す。なお、熱量(J)は、式3で表すように、電圧と電流と時間の積で表される値である。 例を示すと、抵抗50Ωの溶液(エレクトロポレーション用バッファー)100μLに、電圧150V、パルス幅5m secの電圧をかけた場合、3Aの電流が発生する。従って、この溶液100μLあたりにかかる熱量は2.25(J/100μL)となる。 なお、電圧、容量(抵抗値)、パルス幅(時間)、などを変化させた場合であっても、電圧強度と熱量強度が一定であれば、同様の結果(生存率、遺伝子導入効率)が得ることができる。 本発明における「第1電気パルス」とは、動物細胞の細胞膜に小孔を空け、外来核酸(DNA、RNA)が細胞内に導入されるために与える、強い電気パルスである。この「第1電気パルス」でかなりのDNAが細胞膜から細胞質へ導入されるが、細胞膜のダメージは大きい。 第1電気パルスの‘電場強度’としては、少なくとも300V/cm以上、好ましくは375V/cm以上であることが望ましい。なお、これよりも電場強度が小さい場合、十分な遺伝子導入効率が得られない。なお、上限としては細胞の生存率が著しく低下しない程度であればよいが、例えば15000V/cm以下、好ましくは7500V/cm以下、さらに好ましくは5000V/cm以下、最も好ましくは4500V/cm以下であることが望ましい。 そして、第1電気パルスは、‘熱量強度の合計’が0.2J/100μL以上、好ましくは0.25J/100μL以上、さらに好ましくは0.3J/100μL以上であることが望ましい。また、上限としては、40J/100μL以下、好ましくは20J/100μL以下、特に好ましくは17J/100μL以下、さらに好ましくは7J/100μL以下(なお、特にHela細胞については5.3J/100μL以下)となるように与えることが望ましい。 そして、第1電気パルスの回数としては、電気パルスの熱量強度の合計が、前記範囲になるような回数であれば如何なる回数でも与えることが可能である。例えば、前記熱量強度の範囲の電気パルスを1回で与えてもよい。また、前記熱量強度に満たない電気パルスを10回与えることで合計値が前記熱量強度の範囲になるように与えてもよい。 本発明における第2電気パルスは、前記第1電気パルスを与えた後(最後の第1電気パルス出力後)に与えるものである。当該パルス間隔は、例えば10分程度の極めて長い間隔をとることも可能ではあるが、生存率の観点から1分未満であることが好ましい。特には100m秒未満であることが好ましい。 本発明における「第2電気パルス」とは、前記細胞膜に空いた小孔から第1電気パルスで導入されなかった残りのDNAを細胞膜から細胞質へ導入し、かつ細胞膜を積極的に修復し細胞の生存率を高めるため(ヒーリング効果を得るため)に与える、弱い電気パルスである。 第2電気パルスの‘電場強度’としては、少なくとも15V/cm以上、好ましくは25V/cm以上であることが望ましい。なお、上限としては細胞の生存率が著しく低下しない程度であればよいが、例えば300V/cm以下、好ましくは、150V/cm以下であることが望ましい。 また、第2電気パルスの‘熱量強度’としては、0.01J/100μL以上、好ましくは0.02J/100μL以上、さらに好ましくは0.09J/100μL以上であることが望ましい。また、上限としては、5J/100μL以下、好ましくは4.5J/100μL以下、さらに好ましくは3.6J/100μL以下、であることが望ましい。 また、第2電気パルスの回数としては、前記範囲にある電気パルスを1回与えてもよいが、好ましくは生存率の大幅な向上は2回以上、特には3回以上、さらには5回以上、最も好ましくは10回以上、与えた時に顕著となる。なお、10回より多く与えても特に生存率に大きな変化は見られない。 上記特定範囲の電気パルスを与えた後は、得られた細胞を通常の培地で培養することで、高い生存率であり且つ遺伝子導入効率の遺伝子導入細胞を得ることができる。 なお、エレクトロポレーション用バッファーとして無血清培地を用いた場合、電気パルスを与えた後に、血清と抗生物質を添加した培地に、直接細胞を回収することが可能となる。つまり、液交換による細胞へのダメージやロスを与えることなく細胞を回収して、培養を行うことが可能となる。<対象細胞> 本発明のエレクトロポレーション法は、広範囲の動物細胞に対して適用が可能な方法である。 ここで「動物細胞」とは、分類学上‘動物界’に分類される真核多細胞生物の細胞を指すものである。動物としては、例えば、脊椎動物(哺乳類、鳥類、ハ虫類、両性類、魚類)、脊索動物(ホヤなど)、半索動物(ギボシムシなど)、棘皮動物(ヒトデ、ナマコなど)、などの新口動物、;節足動物(昆虫類、甲殻類など)、軟体動物(貝類、イカなど)、線形動物(回虫など)、環形動物(ミミズなど)、扁形動物(プラナリアなど)、などの旧口動物、;刺胞動物(クラゲ、サンゴなど)などの2胚葉動物、;海綿動物(カイメンなど)などの無胚葉動物、;を挙げることができる。 本発明は、この中でも特に、脊椎動物である哺乳類、鳥類、ハ虫類、両性類、魚類、;節足動物である昆虫類、;に属する如何なる動物細胞に対しても有効な方法である。なお、後述の実施例では、特に産業上の利用価値が大きいと期待される、哺乳類、昆虫類、両生類(特に、ヒト、ウマ、マウス、ラット、ハムスター、ショウジョウバエ、スッポン)に対しての有効性を確認した。 本発明における「動物細胞」としては、基本的には如何なる器官、組織の細胞に対しても行うことができ、具体的には、幹細胞、癌細胞、各種正常細胞、の株化細胞やプライマリー細胞に対して行うことができる。 例えば、‘幹細胞’としては、胚性幹細胞(ES細胞)、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、皮膚肝細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞などを挙げることができる。 また、‘癌細胞’としては、各種様々な癌細胞、腫瘍細胞、を挙げることができるが、例えば、乳癌細胞、子宮頸癌細胞、膵癌細胞、肝臓癌細胞、肺癌細胞、上皮癌細胞、肺癌細胞、食道癌細胞、前立腺癌細胞、白血病細胞、肉腫細胞、リンパ腫由来細胞などを挙げることができる。 また、‘正常細胞’としては、プライマリー細胞や正常に分化した各種組織細胞を挙げることができるが、例えば、血球・リンパ球(Tリンパ球、Bリンパ球、マクロファージなど)、表皮系細胞(表皮細胞、角化細胞、内皮細胞など)、結合組織細胞(繊維芽細胞など)、筋組織系細胞(筋芽細胞、骨格筋細胞、内膜筋細胞、心筋細胞など)、神経系細胞(神経細胞、神経芽細胞腫、グリア細胞、など)、各種臓器組織の細胞(腎細胞、肺細胞、膵臓細胞など)、骨組織細胞(骨芽細胞、骨細胞、軟骨細胞など)、生殖細胞(卵母細胞、精母細胞など)などを挙げることができる。 なお、従来導入が困難であったプライマリー細胞のヒト胎盤羊膜間葉系細胞、マウス神経細胞(E14胎児大脳皮質)、マウス神経細胞(E14胎児脳海馬)、マウス神経幹細胞、マウス胎児線維芽細胞、ラット延髄神経細胞、ラット髄膜由来線維芽細胞、ラット嗅球グリア細胞、;従来導入が困難であったES細胞のマウスTT2 ES細胞、マウスddy ES細胞、;従来導入が困難であった株化細胞の種類であったヒト胎児肺細胞(TIG-7)、ヒト不死化線維芽細胞(SUSM-1)、ヒト線維肉腫細胞(HT1080)、ヒト膵癌細胞(MIA-PaCa-2)、ヒト肝臓癌細胞(HepG2)、ヒト口腔扁平上皮癌細胞(HSC-2)、ヒト乳癌細胞(MCF-7)、ヒト食道癌細胞(TE-1)、ヒト前立腺癌細胞(LNCaP)、ヒト卵巣癌細胞(OVCAR-3)、ヒト神経芽細胞腫(SK-N-SH)、ヒト急性リンパ性白血病B細胞(Nalm-6)、ヒトバーキットリンパ腫由来細胞(Raij)、マウス胎児線維芽細胞(MEF)、マウスマクロファージ細胞(RAW264.7)、マウス膵β細胞(MIN6)、ラット胎児線維芽細胞(REF)、ラット胎児心臓由来細胞(H9c2)、;などにも有効に行うことができる。 なお、本発明ではこれらのうち、特にプライマリー細胞、癌細胞、神経細胞、幹細胞に対して行うことが有効な方法である。 以下に本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。<実施例1> 第1電気パルスと第2電気パルスの効果(1)細胞の調製と準備 培養したHeLa細胞(ヒト子宮頸癌細胞の株化細胞:付着細胞)の培養容器から培地を除去した。そして、培地中に含まれている血清の影響を取り除く為に0.02%EDTA-PBS溶液で2回以上洗浄した。次いでトリプシン処理を行うことで付着状態の細胞を剥離させた。 細胞が剥がれることを確認後、トリプシン処理に用いた酵素液と同量のエレクトロポレーション用バッファー(血清/抗生物質不含培地のES培地〔日水製薬〕)を加えて遠心(〜1,000rpm, 5min)し、トリプシンを除去した。 そして、上清を捨て、前記エレクトロポレーション用バッファーに分散し、その50μLを採取してヘモサイトメーターで細胞数を計測した。再度遠心(〜1,000rpm, 5min)して残りの上清を除き、回収した細胞に再度エレクトロポレーション用バッファーを加えて1×107 cells/900μLに懸濁した。 次いで、DNA溶液(pCMV-EGFP vector 濃度:1μg/μL)を100μL加えて計1,000μLとし、決して泡立てないように注意しながらよく攪拌し、100μLずつ(細胞:1×106cells、DNA:0.1μg/μL)2mm gapキュベットに注入した。 なお、細胞数が少ない場合には、細胞数を調整する時にエレクトロポレーション用バッファーを加えて2.5×106 cells/450μLに懸濁し、DNA溶液(pCMV-EGFP vector 濃度:1μg/μL)を50μL加えて計500μLとし、50μLずつ(細胞:2.5×105 cells、DNA:0.1μg/μL)2mm gapキュベットに注入した。(2)電気パルス処理 前記調製した細胞を注入したキュベットを、NEPA21 エレクトロポレーター(NEPA GENECo., LTD.)のキュベット電極用チャンバーに挿入し、NEPA21 エレクトロポレーターから電気パルスを出力した。 そして、表1に示すように、第1電気パルスと第2電気パルスの有無の組合せ、第2電気パルスの回数を変化させた条件、でエレクトロポレーションを行った(サンプル53〜56,60)。なお、当該処理は、キュベットに水滴がつくことを避けるため、氷冷せずに室温にて行った。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル52)とした。 電気パルス処理後、血清および抗生物質入りのMEM培地をキュベットに注入してから、液全量(電気パルス処理後の細胞を含む)をスポイトで回収し、血清および抗生物質入りのMEM培地で満たした培養プレート中に加えて、通常の条件(37℃、炭酸ガス濃度5%)にて培養し、生存率(式4により算出)を算出した。また、蛍光タンパク質であるEGFPを検出することで遺伝子導入効率(式5により算出)を算出した。結果を表1に示す。 なお、以下の結果において、Hela細胞については、生存率と遺伝子導入効率が両方とも40%以上の条件は好適であると判定できる。また、極めて遺伝子導入が難しい細胞の種類については、10%程度でも好適であると判定できる。 その結果、好適な第1電気パルスと第2電気パルスを連続的に与えることによって、生存率と遺伝子導入効率の両方が、飛躍的に向上することが示された。 なお、第1電気パルスを与えない場合には、遺伝子導入自体が起こらなかった。このことから、第1電気パルスは、細胞膜に小孔を開けて外来DNAを細胞内へ導入するために必須な過程であることが示唆された。 また、第2電気パルスを与えることで、生存率が大幅に向上することが示され、さらに第2電気パルスの回数を増やすことで(2回以上、最適には10回)、生存率がさらに向上することが示された。このことから、第2電気パルスは、第1電気パルスによって開いた小孔の修復を促進する作用があることが示唆された。<実施例2> 第1電気パルスの電圧の検討1 表2に示すように、第1電気パルスの電圧を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル2〜11)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル1)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表2に示す。 その結果、第1電気パルスの電圧を、電場強度に換算して500〜875V/cmで熱量強度の合計1.39〜4.37J/100μLの範囲になるように与えた時には、生存率と遺伝子導入効率の両方が50%以上となる高い効率を示した。特に、電場強度500〜750V/cmで熱量強度の合計1.39〜3.21J/100μLでは、80%以上となる高い効率を示した。<実施例3> 第2電気パルスの電圧の検討1 表3に示すように、第2電気パルスの電圧を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル13〜20)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル12)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表3に示す。 その結果、好適な条件の第2電気パルスを与えることで、生存率が大幅に向上することが示された。 具体的には、第2電気パルスの電圧を、電場強度に換算して50〜250V/cmで熱量強度1パルスあたり0.13〜3.57J/100μLの範囲になるように与えた時に、生存率と遺伝子導入効率の両方が50%以上となる高い効率を示した。特に、電場強度75〜125V/cmで熱量強度1パルスあたり0.31〜0.68J/100μLを与えた時には、80%以上となる高い効率を示した。<実施例4> 第2電気パルスの電圧の検討2 表4に示すような第2電気パルスの電圧を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル57〜60)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル52)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表4に示す。 その結果、好適な条件の第2電気パルスを与えることで、生存率が大幅に向上することが示された。具体的には、第2電気パルスの電圧を、電場強度に換算して15〜100V/cmで熱量強度1パルスあたり0.01〜0.59J/100μLの範囲になるように与えた時に、生存率と遺伝子導入効率の両方が60%以上となる高い効率を示した。特に、電場強度35〜100V/cmで熱量強度1パルスあたり0.07〜0.59J/100μLを与えた時には、80%以上の効率を示した。<実施例5> 第1電気パルスの電場強度の検討1 表5に示すように、第1電気パルスの熱量強度が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル28〜36)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル27)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表5に示す。 その結果、第1電気パルスの熱量強度の合計がほぼ一定(1.69〜2.35J/100μL)であるにも関わらずが、電場強度が250V/cm以下(357V/cmを下回る)だと遺伝子導入が全く起こらないことが示された。 このことから、第1電気パルスの効果が発揮されるためには、特定値以上の電場強度が必要であることが示された。<実施例6> 第1電気パルスの電場強度の検討2 表6に示すように、第1電気パルスの熱量強度が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル104〜112)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル103)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表6に示す。 その結果、第1電気パルスの熱量強度がほぼ一定(1.66〜2.08J/100μL)となるように与えることによって、4500V/cmという強い電場強度を与えた場合でも、高い生存率と遺伝子導入効率を示すことが示された。 このことから、第1電気パルスの電圧そのものではなく、熱量強度が生存率に影響していると考えられた。<実施例7> 第1電気パルスのパルス幅の検討 表7に示すように、第1電気パルスの電場強度を一定にして、パルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル76〜78)。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表7に示す。 その結果、第1電気パルスの電場強度を500V/cmに一定にした場合、10〜20m secのパルス幅の短い電気パルスを与えることで、生存率と導入効率の両方が極めて高い効率(90%以上)を示した。 なお、パルス幅を30m secと長くした場合、生存率の低下が見られた。これは、熱量強度が高くなったために生存率が低下したものと考えられる。<実施例8> 第1電気パルスの回数の検討1 表8に示すように、第1電気パルスにおけるパルス回数およびパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル71〜74)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル70)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表8に示す。 その結果、熱量強度の合計が一定になるように第1電気パルスを与えた場合(サンプル71〜73)、生存率と遺伝子導入効率は、同様の結果になることが示された。 なお、単に回数だけを増やして熱量強度の合計が高くなりすぎた場合(サンプル71と74)、生存率が低下することが示された。 これらのことから、第1電気パルスの熱量強度は、1パルス当たりの値ではなく、合計値が生存率と導入効率に影響することが示された。<実施例9> 第1電気パルスの回数の検討2 表9に示すように、第1電気パルスにおけるパルス回数およびパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル179〜190)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル178)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表9に示す。 その結果、1パルス当たりの熱量強度が低い場合(例えば、サンプル182、184〜188のように0.2J/100μL以下の場合)でも、回数を増やして熱量強度の合計を高めることによって、遺伝子導入効率が向上することが示された。 なお、回数を増やしても、熱量強度の合計が0.286J/100μLを下回る場合(サンプル189、190)では、遺伝子導入が起こらないことが示された。<実施例10> 第1電気パルスの熱量(V2I√T)の検討 表10に示すように、第1電気パルスにおけるV2I√T(熱量値)が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル62〜67)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル61)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表10に示す。 その結果、生存率と遺伝子導入効率は、第1電気パルスにおけるV2I√T(熱量値)とは相関が見られず、熱量強度(J/100μL)や電場強度(V/cm)に影響されることが示された。<実施例11> 第1電気パルスの熱量(V2IT)の検討 表11に示すように、第1電気パルスV2ITの値(熱量値)が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル113〜122)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル113)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表11に示す。 その結果、生存率と遺伝子導入効率は、第1電気パルスにおけるV2IT(熱量値)とは相関が見られず、熱量強度(J/100μL)に影響されることが示された。 また、熱量強度が0.28J/100μL付近を下回ると、導入効率が大幅に低下することが示された。<実施例12> 第1電気パルスの熱量(VI√T)の検討 表12に示すように、第1電気パルスの熱量強度が一定になるように電圧とパルス幅を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル124〜131)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル123)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表12に示す。 その結果、生存率と遺伝子導入効率は、第1電気パルスにおけるVI√T(熱量値)とは相関が見られず、熱量強度(J/100μL)に影響されることが示された。 また、熱量強度が0.34J/100μL付近を下回ると、導入効率が大幅に低下することが示された。<実施例13> 第2電気パルスの回数の検討 表13に示すように、第2電気パルスの回数を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル22〜26)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル21)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表13に示す。 その結果、第2電気パルスを、複数回(3回以上、最適には10回)与えた場合、生存率がさらに向上することが示された。<実施例14> 第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔の検討1 表14に示すように、第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル38〜44)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル37)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表14に示す。 その結果、パルス間隔が短いほど生存率は高く、パルス間隔を長くするほど生存率が低下する傾向が認められた。特に99.9m sec(約0.1 sec)以下にすることで、生存率が特に高くなることが示された。 なお、1分という長いパルス間隔をとった場合であっても、生存率は比較的高いことが示された。<実施例15> 第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔の検討2表15に示すように、第1電気パルスと第2電気パルスのパルス間隔を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にして、エレクトロポレーションを行った(サンプル46〜51)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル45)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表15に示す。 その結果、パルス間隔が短いほど生存率は高く、パルス間隔を長くするほど生存率が低下する傾向が認められた。特に99.9m sec(約0.1 sec)以下にすることで、生存率が特に高くなることが示された。 なお、1分という長いパルス間隔をとった場合であっても、生存率は比較的高いことが示された。<実施例16> バッファー容量の検討1 表16に示すように、エレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル85〜92)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル84)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表16に示す。 その結果、バッファー容量を100〜400μLにした場合でも、100μLでの電場強度と熱量強度での条件が適用できることが示された。<実施例17> バッファー容量の検討2 表17に示すように、エレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル147〜151)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル146)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表17に示す。 その結果、バッファー容量を50〜400μLにした場合でも、100μLでの電場強度と熱量強度での条件が適用できることが示された。<実施例18> 1mm gapキュベットでの検討1 表18に示すように、1mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル80〜83)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル79)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表18に示す。 その結果、1mm gapキュベットを用いた場合でも、2mm gapキュベットを用いた電場強度と熱量強度の条件が適用できることが示された。<実施例19> 1mm gapキュベットでの検討2 表19に示すように、1mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル133〜143)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル132)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表19に示す。 その結果、1mm gapキュベットを用いた場合でも、2mm gapキュベットでの電場強度と熱量強度の条件、が適用できることが示された。<実施例20> 4mm gapキュベットでの検討1 表20に示すように、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル154〜159)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル153)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表20に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させた場合でも、2mm gapキュベットでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例21> 4mm gapキュベットでの検討2 表21に示すように、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル161〜168)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル160)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表21に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いて電圧を変化させた場合でも、2mm gapキュベットでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例22> 4mm gapキュベットでの検討3 表22に示すように、4mm gapキュベットを用いてエレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル94〜102)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル93)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表22に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いてバッファー容量を200〜800μLにした場合でも、2mm gapキュベットを用いた100μLでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例23> 4mm gapキュベットでの検討4 表23に示すように、4mm gapキュベットを用いてエレクトロポレーション用バッファーの容量を変化させたことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル170〜177)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル169)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表23に示す。 その結果、4mm gapキュベットを用いてバッファー容量を200〜800μLにした場合でも、2mm gapキュベットを用いた100μLでの電場強度と熱量強度での条件、が適用できることが示された。<実施例24> DNA濃度の検討 表24に示すように、DNA濃度を変化させた条件で電気パルス処理を行ったことを除いては、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル193〜202)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル192)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表24に示す。 その結果、DNA濃度が高いほど遺伝子導入効率が高くなるが生存率は低くなることが示された。また逆に、DNA濃度が低いほど遺伝子導入効率が低くなるが生存率は高くなることが示された。 具体的には、DNA濃度が0.01μg/μLを上回る濃度、特に0.03〜0.5μg/μLが好適であることが示された。<実施例25> 血清濃度の検討 表25に示すように、対照細胞としてTIG-7細胞(ヒト胎児肺細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして抗生物質を含まないES培地の血清濃度を変化させて用いたこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル204〜207)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル203)とした。 そして、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表25に示す。 その結果、血清が混入することで遺伝子導入効率が低下することが示された。このことから、エレクトロポレーション用バッファーに培地を用いる場合は、血清を除去した無血清培地を用いることが好ましいことが示された。 また、正常細胞であるTIG-7細胞(ヒト胎児肺細胞)についても、癌細胞であるHela細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と同様の条件が適用できることが示された。<実施例26> ラット胎児繊維芽細胞での検討 表26に示すように、対照細胞としてREF細胞(ラット胎児繊維芽細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして血清/抗生物質不含Opti−MEM培地の無血清抗生物質フリー培地を用いたこと、および、パルス幅やDNA濃度を変化させて電気パルス処理を行ったこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル215〜219)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル208)とした。 そして、DMEM培地を用いて培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表26に示す。 その結果、ラットのREF細胞(ラット胎児繊維芽細胞)についても、ヒトのHela細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と同様の条件が適用できることが示された。 なお、REF細胞はHela細胞よりも、第1電気パルスの熱量強度の合計がやや高い方が好適である、ことが示された。<実施例27> ヒト肝臓癌細胞での検討 表27に示すように、対照細胞としてHepG2細胞(ヒト肝臓癌細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして血清/抗生物質不含DMEM培地の無血清抗生物質フリー培地を用いたこと、および、電圧やパルス幅やDNA濃度を変化させて電気パルス処理を行ったこと、を除いては実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った(サンプル221〜228)。 なお、キュベットに注入した後、電気パルス処理をしなかったサンプルを対照(サンプル220)とした。 そして、DMEM培地を用いて培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表27に示す。 その結果、肝臓癌のHepG2細胞(ヒト肝臓癌細胞)についても、子宮頸癌のHela細胞(ヒト子宮頸癌細胞)と同様の条件が適用できることが示された。 なお、HepG2細胞はHela細胞よりも、第1電気パルスの電場強度がやや低く、熱量強度が強い(パルス幅が長い)方が好適である、ことが示された。<実施例28> 各種動物細胞への応用 表29〜32に示す各種細胞(株化細胞、プライマリー細胞)を用いたこと、エレクトロポレーション用バッファーとして各種増殖培地の無血清抗生物質フリー培地を用いたこと、および、各種細胞に応じた電気パルス処理を行ったことを除いて、実施例1と同様にしてエレクトロポレーションを行った。なお、各種細胞の代表例の電気パルス条件を表28〜32に示す。 そして、各種増殖培地を用いて培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表33〜36に示す。 また、細胞の写真像図を図1〜35に示す。これら写真像図において、左図は培養後の細胞像を示し、右図は導入遺伝子の蛍光タンパク質を検出した像を示す(なお、図18,22,26,28,29,31は蛍光タンパク質を検出した像のみを示す)。 その結果、上記条件で第1電気パルスと第2電気パルスを与えるエレクトロポレーション法は、様々な組織に由来する株化細胞やプライマリー細胞に対しても適用可能であることが示された。例えば、神経細胞(図18,19,28,33)やES細胞(図34,35)に対しても、高い生存率と導入効率でエレクトロポレーションが可能であることが示された。 また、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ウマといった哺乳類だけでなく、昆虫であるショウジョウバエ(図33)にも適用可能なことから、動物全般への応用可能性も示唆された。<実施例29> 接着細胞への応用 まず、12ウエルプレートに培養したSH-SY5Y細胞(ヒト神経芽細胞:付着細胞)をPBSで2回洗浄した。次いで、1μg/μLのDNA(pCMV-EGFP vector)を含む240〜350μLのエレクトロポレーション用バッファーを注入し、細胞上に付着細胞用脚付電極(CUC513-5電極)を置いた。 そして、細胞が接着状態のまま、表37に示す条件で電気パルス処理を行って、エレクトロポレーションを行った。 そして、DMEM培地に液交換してそのまま培養したことを除いては、実施例1と同様にして生存率と遺伝子導入効率を算出した。結果を表38に示す。 また、細胞の写真像図を図36に示す。左図は培養後の細胞像を示し、右図は導入遺伝子の蛍光タンパク質を検出した像を示す。 その結果、上記条件で第1電気パルスと第2電気パルスを与えるエレクトロポレーション法は、付着状態の細胞に対しても直接適用可能であることが示された。 本発明によれば、医薬分野、食品分野、農業分野などの幅広い産業分野の試験研究において、有用に利用されることが期待される。 また、本発明によれば、有用な動物の遺伝子導入細胞(例えばiPS細胞、生体幹細胞、など)を、効率よく低コストで調製することを可能となり、幅広い産業分野で応用が可能となる。 エレクトロポレーション法により哺乳類細胞に外来遺伝子を導入するにあたり、;前記哺乳類細胞および前記外来遺伝子を含有する溶液を調製し、;前記溶液中の前記哺乳類細胞に、375〜4500V/cmの電場強度の第1電気パルスを、熱量強度の合計が0.3〜20J/100μLになるように与えた後、;15〜150V/cmの電場強度の第2電気パルスを、1パルス当たりの熱量強度が0.01〜3.6J/100μLになるように3回以上与えることを特徴とする、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法。 前記第2電気パルスを10回以上与える、請求項1に記載の外来遺伝子導入法。 前記第1電気パルスを与えた後、100m秒未満の間に、前記第2電気パルスを与える、請求項1又は2のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記溶液が、前記細胞の培養に用いることができる液体培地から血清を除いたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記第1電気パルスの熱量強度の合計が7J/100μL以下であり、;前記第2電気パルスの1パルスあたりの熱量強度が0.09J/100μL以上である、;請求項1〜4のいずれかに記載の外来遺伝子導入法。 前記第1電気パルスの熱量強度の合計が、5.3J/100μL以下である、請求項5に記載の外来遺伝子導入法。【課題】 広範囲の動物細胞への適用が可能であり、生存率および遺伝子導入効率が極めて顕著に向上したエレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、を提供することを目的とする。また、専用の導入バッファーを用いない場合でも、高い生存率および遺伝子導入効率でエレクトロポレーション法によって外来遺伝子を導入する方法、を提供することを目的とする。【解決手段】 動物細胞に、特定条件の第1電気パルス(強い電気パルス)と第2電気パルス(弱い電気パルス)、を連続して与えることを特徴とする、生存率および遺伝子導入効率が顕著に向上した、エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、;前記細胞の培養に用いることができる液体培地を導入バッファーとして用いる前記エレクトロポレーション法による外来遺伝子導入法、;を提供する。【選択図】 図1


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