生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_グルタチオンの保存安定性向上方法
出願番号:2009552507
年次:2014
IPC分類:A61K 38/00,A61K 31/197,A61K 47/12,A61K 9/20,A61K 9/14,A61P 37/04,A61P 39/06


特許情報キャッシュ

酒井 康 榧橋 俊 JP 5406049 特許公報(B2) 20131108 2009552507 20090205 グルタチオンの保存安定性向上方法 協和発酵バイオ株式会社 308032666 高島 一 100080791 土井 京子 100125070 鎌田 光宜 100136629 田村 弥栄子 100121212 山本 健二 100122688 村田 美由紀 100117743 酒井 康 榧橋 俊 JP 2008024855 20080205 20140205 A61K 38/00 20060101AFI20140116BHJP A61K 31/197 20060101ALI20140116BHJP A61K 47/12 20060101ALI20140116BHJP A61K 9/20 20060101ALI20140116BHJP A61K 9/14 20060101ALI20140116BHJP A61P 37/04 20060101ALN20140116BHJP A61P 39/06 20060101ALN20140116BHJP JPA61K37/02A61K31/197A61K47/12A61K9/20A61K9/14A61P37/04A61P39/06 A61K 9/00−9/72 A61K 31/00−33/44 A61K 38/00−49/22 A23L 1/27−1/308 A23K 1/00−1/175 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特表2001−507696(JP,A) 特開平03−052821(JP,A) 特開平10−259138(JP,A) 特開昭47−025312(JP,A) 国際公開第92/021368(WO,A1) 特開2001−190245(JP,A) 国際公開第2008/041740(WO,A1) 3 JP2009051944 20090205 WO2009099132 20090813 7 20120201 吉田 佳代子 本発明は、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物および該固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法に関する。 グルタチオンは生体内抗酸化物質であり、該抗酸化作用による美白、抗老化、高血糖抑制作用の生理活性を有することが報告されている。また、免疫機能が低下しているヒトでは、Tリンパ球等の細胞においてグルタチオンの含有量が低下している(非特許文献1参照)ことから、グルタチオンを外から補給すると免疫機能が強化されると考えられている。 しかし、グルタチオンは熱、酸素、光等の影響により品質が低下する性質を有しており、結果として、硫黄の様な不快臭が生じたり、製剤においては含有量の低下等が生じることがある。 このようなグルタチオンの品質低下を抑制する方法として、グルタチオンの粉末の粒子表面を被覆する方法(特許文献1および2参照)、シクロデキストリンを添加する方法(特許文献1および3参照)等が知られているが、操作が煩雑である、効果が弱い等の問題がある。 一方、アルギニンは、生体におけるタンパク質、ポリアミン、一酸化窒素等の合成基質として知られている。アルギニンが有する生理作用としては、免疫賦活作用(非特許文献2参照)、筋肉増強作用、一酸化窒素産生促進作用、創傷治癒作用等が報告されている。 このようにグルタチオンとアルギニンはいずれも多様な生理作用を有しており、免疫賦活作用等の共通する生理作用もあることから、グルタチオンとアルギニンとを同時に摂取することにより、それぞれの生理作用について、相加効果だけでなく、相乗効果が得られることも期待できる。 しかし、グルタチオンとアルギニンとを共存させるとグルタチオンの品質が顕著に低下することはこれまで知られていなかった。特開平5−176739号公報特開2002−97153号公報特開昭64−63342号公報「ペディアトリック・インフェクシャス・ディジーズ・ジャーナル(Pediatric Infectious Disease Journal)」1998年、第17巻、第3号、p.236−241「サージェリー(Surgery)」1990年、第108巻、第2号、p.331−337 本発明の目的は、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法、またはグルタチオンの保存安定性の向上したグルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物を提供することにある。 本発明は、以下の(1)〜(6)に関する。(1)グルタチオンおよびアルギニンと有機酸とを共存させることを特徴とする、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法。(2)固体組成物が固形製剤である、上記(1)の方法。(3)有機酸が、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸およびリンゴ酸から選ばれる有機酸である、上記(1)または(2)の方法。(4)有機酸が、クエン酸または酒石酸である、上記(1)〜(3)のいずれか1つの方法。(5)グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸または酒石酸とを含有することを特徴とする固体組成物。(6)グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸または酒石酸とを含有することを特徴とする固形製剤。 本発明により、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法、またはグルタチオンの保存安定性の向上したグルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物を提供することができる。 本発明の、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法(以下、本発明のグルタチオンの保存安定性向上方法ともいう)としては、例えば、グルタチオンおよびアルギニンと有機酸とを、混合等の方法により共存させて固体組成物とする方法があげられる。 本発明に用いられるグルタチオンは、還元型(L-γ-グルタミル-L-システイニルグリシン)および酸化型(グルタチオンジスルフィド)のいずれであってもよい。 グルタチオンは、粉体、粒体および粉粒体のいずれであってもよく、酵母エキス等のグルタチオンを含有する物に含有されていてもよいが、水分含量は5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましい。 本発明におけるアルギニンは、L体、D体のいずれでもよいが、L体が好ましい。 アルギニンは、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩であってもよいが、フリー体が好ましく用いられる。 アルギニンは、粉体、粒体および粉粒体のいずれであってもよいが、水分含量は3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。 グルタチオンおよびアルギニンと共存させる有機酸としては、常温で固体の有機酸であればいずれの有機酸であってもよいが、医薬品、飲食品、飼料等への使用という観点から、乳酸、酒石酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸等があげられ、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸およびリンゴ酸が好ましく、クエン酸、酒石酸およびアスコルビン酸がより好ましく、クエン酸および酒石酸がさらに好ましく用いられる。 有機酸は、粉体、粒体および粉粒体のいずれであってもよいが、水分含量は3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがさらに好ましい。 グルタチオンおよびアルギニンと共存させる有機酸の量は、アルギニン1重量部に対して通常0.1〜2重量部、好ましくは0.2〜1.2重量部、さらに好ましくは0.4〜0.8重量部である。 グルタチオンの量およびアルギニンの量は、通常、グルタチオン1重量部に対してアルギニン1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部である。 グルタチオンおよびアルギニンと有機酸とを共存させる際、グルタチオンの保存安定性に悪影響を及ぼさない、医薬品、食品または飼料の分野で通常用いられる物質をさらに共存させてもよい。 医薬品、食品または飼料の分野で通常用いられる物質としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等の製剤用基剤、甘味剤、着色剤、香料、抗酸化剤、流動化剤等があげられる。 賦形剤としては、マルトース、トレハロース、マンニトール、還元麦芽糖水飴、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等があげられる。 崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸ナトリウム、コーンスターチ、バレイショ澱粉、部分アルファー化澱粉等の澱粉等があげられる。 結合剤としては、ポリビニルピロリドン、プルラン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、寒天等があげられる。 滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸またはその金属塩、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油脂、二酸化ケイ素、リン酸カルシウム等があげられる。 甘味剤としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、スクラロース、グルコース、フルクトース、サッカロース等があげられる。 着色剤としては、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、カロチノイド色素、トマト色素等があげられる。 香料としては、レモンフレーバー、レモンライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、アップルフレーバー、オレンジフレーバー等があげられる。 抗酸化剤としては、トコフェロール、塩酸システイン等があげられる。 流動化剤としては、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、微粒二酸化ケイ素等があげられる。 また、上記以外に、キシロース、ガラクトース、トレハロース、乳糖、パラチノース、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ラフィノース、イヌロオリゴ糖(チコリオリゴ糖)、パラチノースオリゴ糖等の上記甘味料としてあげた糖類以外の糖類、ナイアシン、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンD等のビタミン類、ナトリウム等のミネラル類、微粒二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、タルク等の乾燥剤または固化防止剤等を用いてもよい。 これらの物質を共存させる場合は、これらの物質を、水、無機塩水溶液、緩衝液等の水性溶媒、メタノール、エタノール、グリセロール等のアルコール、またはこれらの混合物等の溶媒に溶解させずに共存させることが好ましい。 上記のようにこれらの物質を共存させて得られる本発明の固体組成物の水分含量は5重量%を超えないようにすることが好ましく、3重量%を超えないようにすることがさらに好ましい。 なお、本発明の固体組成物中のグルタチオンおよびアルギニンの量に特に限定はないが、通常10〜90重量%である。 本発明の保存安定性向上方法により、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物中のグルタチオンの品質の低下を抑制し、保存安定性を向上させることができる。 グルタチオンの保存安定性は、所定の条件下で保存する前の固体組成物中のグルタチオンの含有量に対する保存後のグルタチオンの含有量の百分率として知ることができる。 本発明の固体組成物は、これを製剤原料として、通常の製剤、好ましくは固形製剤の製剤方法に準じて製剤化し、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の、グルタチオン、アルギニンまたはその塩および有機酸を含有する本発明の固形製剤として用いることができる。 例えば、散剤は、粉末状の製剤原料を混合機を用いて混合するか、または製剤原料を粉砕機等により粉砕し、混合機等を用いて混合して製造することができる。 顆粒剤は、製剤原料を造粒機を用いて造粒して製造することができる。 錠剤は、打錠機を用いて製剤原料を打錠して製造することができる。 なお、顆粒剤、錠剤は調製後、糖、糖アルコール等を用いるシュガーコーティング、高分子を用いるフィルムコーティング等を施して用いてもよい。 カプセル剤は、散剤または顆粒剤を調製後、ハードカプセルに充填して製造することができる。 上記以外に、常法に従って、丸剤、トローチ剤、マイクロカプセル等の固形製剤を調製してもよい。 本発明のグルタチオンおよびアルギニンを含有する固形製剤は、医薬品、食品または飼料分野において利用することができるが、ヒトまたは非ヒト動物に投与する際は、グルタチオンおよびアルギニンまたはその塩として、一日あたり、100mg〜20gとなるように投与することが好ましい。 本発明の実施例を以下に示す。(1)0.5gのグルタチオン(協和発酵工業社製、以下同じ)に、L−アルギニン(協和発酵工業社製、以下同じ)、L−グルタミン(協和発酵工業社製)、L−シトルリン(協和発酵工業社製)およびL−リジン(協和発酵工業社製)を、それぞれ第1表に記載の量添加し、混合し、撹拌して粉末1〜4を得た。 粉末1〜4を、各々アルミパウチ袋に入れ、密封し、60℃で2週間保存した。2週間後、アルミパウチ袋から、少量をサンプリングし、グルタチオンの含有量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した。 以下に高速液体クロマトグラフィーの条件を示す。カラム:Nucleosil 10-C18 4.6mmΦX250mm(ジーエルサイエンス社製)移動相:2.84gのギ酸アンモニウムを水に溶解後、ギ酸でpH4に調整し、水で全量を1800mlとした後、メタノール200mlを加えて撹拌し、脱気を行なって調製したもの検出波長:280nmカラム温度:40℃移動相流量:1.0ml/分 保存前の各粉末(粉末1〜4)中のグルタチオンの含有量および保存後の各粉末(粉末1〜4)中のグルタチオンの含有量から、グルタチオンの残存率を算出した。 結果を第1表に示す。 第1表に示すとおり、L−アルギニンを含有する粉末1においては、保存後のグルタチオンの含有量が顕著に低下した。(2)0.5gのグルタチオンおよび10gのL−アルギニンに、それぞれ、クエン酸を第2表記載の量添加、混合し、攪拌して粉末5〜7を得た。 粉末5〜7を各々アルミパウチ袋に入れ、密封し、60℃で2週間保存した。2週間後、各粉末中のグルタチオンの残存率を上記(1)記載の方法に準じて算出した。 結果を第2表に示す。 第2表に示すとおり、有機酸としてクエン酸を添加することにより、アルギニンによるグルタチオンの品質の低下を抑制することができた。(3)0.5gのグルタチオンおよび5gのL−アルギニンに、それぞれ、第3表記載の有機酸を第3表記載の量添加、混合し、攪拌して粉末8〜11を得た。 粉末8〜11を各々アルミパウチ袋に入れて、密封し、60℃で2週間保存した。2週間後、各粉末中のグルタチオンの残存率を上記(1)記載の方法に準じて算出した。 結果を第3表に示す。 第3表に示すとおり、有機酸として、クエン酸以外にも、酒石酸、アスコルビン酸およびリンゴ酸を添加することにより、アルギニンによるグルタチオンの品質の低下を抑制することができた。 本発明により、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法、またはグルタチオンの保存安定性の向上したグルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物を提供することができる。 グルタチオンおよびアルギニンと有機酸とを共存させることを特徴とする、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法であって、有機酸が、クエン酸または酒石酸である、方法。 グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸または酒石酸とを含有することを特徴とする固体組成物。 グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸または酒石酸とを含有することを特徴とする固形製剤。


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