タイトル: | 特許公報(B2)_アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物 |
出願番号: | 2009551949 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 8/49,A61K 8/60,A61Q 19/02 |
イ、ゾン ノ チェ、ジョン ウン キム、サン ウ イ、ガン テ イ コン グク JP 5675112 特許公報(B2) 20150109 2009551949 20080225 アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物 コリアナ・コズメティック・カンパニー・リミテッド 502091135 山口 朔生 100082418 イ、ゾン ノ チェ、ジョン ウン キム、サン ウ イ、ガン テ イ コン グク KR 10-2007-0020603 20070228 20150225 A61K 8/49 20060101AFI20150205BHJP A61K 8/60 20060101ALI20150205BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20150205BHJP JPA61K8/49A61K8/60A61Q19/02 A61K 8/00-8/99 A61Q 1/00-90/00 国際公開第2005/53680(WO,A1) 韓国公開特許第10−2002−0080660(KR,A) 新しい化粧品素材の効能・効果・作用,1998年 8月31日,下巻、第1刷,p.539〜540 生薬学雑誌,1978年,vol.32,No.3,p.194〜197 生薬学雑誌,1979年,vol.33,No.3,p.150〜154 4 KR2008001077 20080225 WO2008105605 20080904 2010520233 20100610 17 20090831 2013011975 20130625 星野 紹英 小久保 勝伊 松浦 新司 本発明は、アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物に関するものである。 白くて綺麗な皮膚を有することは万人の一途な願いである。一般的に、人の皮膚、毛髪及び目などの色はメラニン、カロチン、及びヘモグロビンなどによって決定される。特に、メラニンは皮膚色を決定する一番重要な要因であって、メラニンの量と性質及び分布の程度によって皮膚色が決定される。人の皮膚や毛髪の色素は日光、特に紫外線の有害な影響から皮膚や毛髪を保護する役割をする。例えば、このような色素が乏しい人は日光に非常に敏感で火傷を負いやすく、若い年でも皮膚癌の発生確率が高い。短波長の紫外線(290−320nm)及び発癌物質は、皮膚で有害ラジカル、例えば、酸素ラジカルを形成し、このような酸素ラジカルが皮膚細胞を攻撃して皮膚を老化させると知られている。 紫外線による色素沈着はDNA損傷により直接的に誘発されることもあるが、紫外線が角質形成細胞及び繊維芽細胞などに作用し、その結果分泌されたサイトカイン(cytokine)、成長因子、ホルモンのメラニン細胞刺激によって色素沈着が発生することもある。角質形成細胞は、炎症、紫外線照射によってα-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH: α-Melanocyte stimulating hormone)、アガーチ信号蛋白質(ASP(Agouti signaling protein))、エンドセリン(endothelin)などを分泌することによってメラニン合成を増加させる。α-MSHは主に脳下垂体前葉から分泌されるが、紫外線照射や炎症の際に角質形成細胞から分泌される。α-MSHは紫外線によって刺激された角質細胞から分泌されたPOMC(Proopiomelanocortin)蛋白質の蛋白質加水分解によって生成され、培養したメラニン細胞にα-MSHを投与すると、メラニン細胞成長及びチロシナーゼ活性度が増加する。 メラニンの主な機能は、このような有害ラジカルを除去し、これによる損傷から皮膚を保護することである。従って、メラニンの量が多いということは、物理的又は化学的毒性物質から皮膚を保護できる効果的な対応体系を持っていることを意味する。 一方、メラニンはチロシナーゼ(tyrosinase)という酵素によってチロシン(tyrosine)がドーパ(DOPA)、ドーパキノン(Dopaquinone)に転換され、非酵素的な酸化反応を経て生成される。この際に生成されたメラニンは皮膚細胞に伝達され、表皮剥離とともにメラニンが喪失され、消滅される循環過程を経る。 このようなメラニン生成過程は自然に起こる現象であって、正常状態の人の皮膚ではメラニンが過多生成しないが、皮膚が紫外線、環境汚染、又はストレスなどの外部の刺激と反応すると、メラニンが過多生成される。このように過多生成されたメラニンが皮膚外に排出できず、皮膚内に残ると、色素沈着が起こり、しみ及びそばかすなどで表れる。 従って、皮膚美白はメラニン生成の抑制を通して行われるが、代表的なメラニン生成抑制の方法としては、紫外線のような外部刺激を遮断する方法、メラニン形成と関連したチロシナーゼの活性を抑制する方法、メラニン生成を司るメラニン細胞の分裂を妨害する方法、ヴィタミンC誘導体を用いる方法などがある。 従来の美白化粧料はハイドロキノン(hydroquinone)やアスコルビン酸(Ascorbic acid)、コウジ酸(kojic acid)、グルタシオン(glutathione)などのようなチロシナーゼに対して阻害活性を有する物質を軟膏や化粧料に配合することによって、皮膚美白やしみ、又はそばかすなどを改善する目的に使用されてきた。しかし、ハイドロキノンの場合、皮膚美白効果は認められるが、皮膚刺激がひどく、使用量がごく制限される問題があり、アスコルビン酸は酸化しやすく、これを配合した化粧料は変色又は変質されるなどの問題をもたらす。また、グルタシオン、システインなどのチオール系化合物は特有の不快な臭いがするだけでなく、経皮吸収が良好ではなく、更に、これらの配糖体及び誘導体は極性が高く、これらの成分を化粧料の配合成分として使用するには問題があった。 最近、多くの化粧品会社で上記のような問題を克服するための多様な研究開発が行われており、桑白皮、甘草、チョウセンカクレミノ、天門冬、クロガネモチ、レンギョウ及び牛蒡子などの多様な天然物が皮膚美白において効果があるのを見出した。しかし、これらの殆どの成分は多様な成分が相互混合された抽出物であって、高い濃度で使用する場合、化粧料の安定性、皮膚刺激及び濃度による相対的な美白効果の低下を起こすなどの問題がある。 これに、本発明者らは、α-MSHによって誘発されるメラニン代謝経路に作用してメラニン生成を制御及び抑制することができる物質を開発し、化粧料の安定性、敏感性及び相対的な美白効果の低下など、従来の皮膚美白用化粧料組成物の問題を克服するために努力した結果、アルクチン及びアルクチゲニンが優れた美白効果及び皮膚安定性を表すことを確認したことにより、本発明を完成した。 従って、本発明の目的はアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物を提供することにある。 本発明の他の目的はアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物を人間の皮膚に塗布することを特徴とする化粧方法を提供することにある。 本発明の他の目的及び利点は下記の発明の詳細な説明及び請求範囲によって更に明確になる。 本発明は、アルクチン(Arctiin)、アルクチゲニン(Arctigenin)又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物に関するものである。 本発明の化粧料組成物に有効成分として使用される「アルクチゲニン」は、4-[(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]ジハイドロ-3-[(4-ハイドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-2(3H)- フラノン(4-[(3,4-Dimethoxyphenyl)methyl]dihydro-3-[(4-hydroxy-3-metoxyphenyl)methyl]-2(3H)-furanone)で表記される下記化学式1の構造を有する、分子量が372であるリガンド化合物であって、「アルクチン」は前記アルクチゲニンの配糖体であって、グルコースがくっ付いている化合物であり(化学式1)、4-[(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]ジハイドロ-3-[(4-グルコース-3-メトキシフェニル)メチル]-2(3H)-フラノン(4-[(3,4-Dimethoxyphenyl)methyl]dihydro-3-[(4-Glucose-3-metoxyphenyl)methyl]-2(3H)-furanone)で表記される、分子量が535であるリガンド化合物である。前記アルクチンとアルクチゲニンは両方ともリガンド化合物であって、レンギョウに含まれた多様な成分、即ち、マタイレジノール、カフェオイルグリコシド、フォルシトサイド、オレアノリック酸、ベツリック酸、ルーチン及びウルソール酸などと比較すると、一番強力な美白活性を有する成分である(実験例1及び3参考)。本発明のアルクチンとアルクチゲニンはレンギョウ(Forsythia suspensa、 Forsythia Koreana)から抽出することができ、商業的に販売されることもある。また、本発明のアルクチン、アルクチゲニンはゴボウ、牛蒡子(Arctium lappa)、 ベニバナ(Carthamus tinctorius)などからも抽出される。 本明細書の用語「リガンド化合物」は、ジフェノル化合物であって、その構造と分子量がステロイド女性ホルモンエストロゲンと類似しており、植物性女性ホルモン、即ち、フィトエストロゲン(Phytoestrogen)と呼ばれ、その作用もステロイド女性ホルモンエストロゲンと類似し、ホルモン依存性疾病に効果的である。前記リガンド化合物は乳房癌、大腸癌、前立線癌の発病を減少させ、閉経期の女性に発生する心臓病、骨多孔症を抑制し、抗酸化、抗炎及び抗ウィルスなどの効果があるとよく知られている(The Royal Soc. of Chemistry, UK, 1996; Anderson JJB, Garner SC, Nutr. Res.,17:1617-1632, 1997)。 本発明に使用されたアルクチン及びアルクチゲニンは、UVによって発現される α-MSHによって誘発されるメラニン代謝経路に作用してメラニン生成を制御又は抑制する物質であって、皮膚色を明るくする効果がある。 本発明のアルクチン及びアルクチゲニンは、ゴボウ、牛蒡子(Arctium lappa)、 ベニバナ(Carthamus tinctorius)及びレンギョウ(Forsythia Koreana)などの自然源から分離され、化学的に合成されることもある。 本発明のアルクチン及びアルクチゲニン混合物は、アルクチン及びアルクチゲニンが100:1乃至1:100の重量比で混合して含有されたものであって、好ましくは7:1乃至1:7、更に好ましくは3:1乃至1:3に混合して含有されたものである。 本発明のアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物の含量は化粧料の総重量に対し0.00001乃至40.0重量%であって、好ましくは0.005乃至20重量%であって、更に好ましくは0.001乃至15.0重量%であって、一番好ましくは0.1乃至8.0重量%である。 この際に、本発明のアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物の含量が0.00001重量%未満である場合には、目立つ美白効果は期待できず、アルクチン、アルクチゲニンの含量が40.0重量%を超える場合には、含有量増加による目立つ効果の増加が現れず、皮膚刺激及び剤形の安定性に問題がある。 本発明の化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分としてのアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物以外に、化粧品組成物に通常的に利用される成分を含み、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ヴィタミン、顔料、及び香料といった通常の補助剤、そして担体を含む。 本発明の化粧料組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形にも製造でき、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤‐含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、及びスプレー等に剤形化することができるが、これに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー、又はパウダーの剤形に製造されることができる。 本発明の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合は、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、滑石、又は酸化亜鉛などが用いられる。 本発明の剤形がパウダー、又はスプレーである場合は、担体成分として、ラクトース、滑石、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はポリアミドパウダーが用いられ、特にスプレーである場合は、追加的にクロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブタン、又はジメチルエーテルのような推進体を含むことができる。 本発明の剤形が溶液、又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶解化剤、又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。 本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール、或いはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタハイドロキシド、ベントナイト、寒天 、又はトラカント等が用いられる。 本発明の剤形が界面活性剤−含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられる。 本発明の他の様態は、アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物を人間の皮膚に塗布して皮膚美白効果を達成することを特徴とする化粧方法を提供する。 本発明の化粧方法は、本発明の化粧料組成物を単独又は重複塗布して使用するか、本発明以外の他の化粧料組成物と重複塗布して使用することができる。また、本発明による美白効果に優れた化粧料組成物は、通常的な使用方法によって使用し、使用者の皮膚状態又は好みによってその使用回数を異ならせることができる。 本発明の化粧料組成物が石鹸、界面活性剤含有クレンジング、又は界面活性剤非含有クレンジング剤形である場合、皮膚に塗布した後、拭き取るか、外すか、水で洗うこともできる。具体的な例として、前記石鹸は、液状石鹸、粉石鹸、固形石鹸、及びオイル石鹸であり、前記界面活性剤含有クレンジング剤形は、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、クレンジングタオルおよびクレンジングパックであり、前記界面活性剤非含有クレンジング剤形は、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングウォーターおよびクレンジングゲルであり、これに限定されるものではない。 本発明は、アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物に関するものであって、本発明の化粧料において特に構成となるレンギョウ成分であるアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物は、アルファ−メラノサイト刺激ホルモンによって誘発されるメラニン代謝経路に作用してメラニン生成を抑制し、従来の皮膚美白化粧料と比べて更に優れた美白作用を表し、皮膚刺激も低かった。 以下、実施例を通して本発明を更に詳細に説明する。これらの実施例はただ本発明を更に具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨により、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないということは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。 製造例1:レンギョウ活性物質の製造及び準備 精製水で洗滌し、乾燥させた後、粉末化したレンギョウ(連翹、Forsythia suspensa、Forsythia Koreana)の粉1Kgに95%エタノール5Lを加えて還流攪拌を実施し、フィルター及び濃縮して33.2gの濃縮物を得た。これに、ノーマルヘキサン(n-hexane)を加えて分画して分離する脱脂段階を経て得た濃縮物19.3gをカチオン交換樹脂であるDiaion HP-20(コラム25X100 cm)で水、10%メタノール、20%メタノールなど、順次上げながら分離した。このうち、60〜80%メタノール分画を濃縮して得た濃縮物3.5gをメタノールに溶解させた後、LH-20,MPLCで分離して0.63gのアルクチンを分離し、これをNMR,Massなどで確認した。レンギョウの他の活性物質として知られているアルクチゲニン、マタイレジノール、カフェオイルグリコシド、ファティアシッド、オレアノリック酸、ベツリック酸、ルーチン及びウルソール酸は、シグマ(Sigma)社、又はフルカ(Fluka)社から購入して使用し、アルクチン及びアルクチゲニンを含んだ各活性物質は各々単独で1,3-ブチレングリコールに高濃度(1,000ppm)で溶解させた後、実験濃度に合わせて希釈して使用するか、直接使用した。 製造例2. アルクチン及びアルクチゲニン混合物の製造 アルクチンは製造例1の方法でレンギョウから抽出して用意した後、シグマ社から購入したアルクチゲニンと1:3及び3:1の重量比で混合して1,3-ブチレングリコールに高濃度(4,000ppm)で溶解させて使用した。 実験例1.レンギョウ活性物質のメラニン生成阻害効果 メラニン生成阻害実験に使用したα-MSHは、10%DMSO(Dimethyl sulfoxide)に解けて1mM溶液で使用した。マウス由来B―16メラノマ(ATCC CRL 6323)細胞株は、ブドウ糖4.5g/L、10%血清及び1%抗生剤が含有されたDMEM培地に接種し、75cm2 T−プラスクで5%CO2及び37℃条件下で継代培養した。継代培養したメラノマ細胞株は75cm2 T−プラスクで24時間培養した後、0.02%EDTAが含有された0.05%トリプシン(Trypsin)を処理して細胞を分離した後、75cm2 T−プラスクに接種して6時間さらに培養し、この際の細胞数は1×107細胞/プラスクである。ここに、メラノサイト刺激ホルモンをDMEM培地に希釈して最終100μg/mlの濃度とし、アルクチン、アルクチゲニン、マタイレジノール、オレアノリック酸、ベツリック酸、ルーチン及びウルソール酸を各々DMEM培地に希釈し、最終に各々10〜1000μg/mlの濃度でメラノマ細胞に処理し、37℃で5日間さらに培養した。培養した後、培地を収得して475nmで吸光度を測定してメラニン生成程度を比較し、メラニン生成を50%阻害するのに必要な試験物質濃度であるIC50(μg/ml)を計算してその結果を次の表1に示した。 前記表1の結果から分かるように、他のレンギョウ成分よりアルクチン、アルクチゲニン成分がメラニン阻害効果において一番卓越していた。 実験例2. アルクチン、アルクチゲニン及びその混合物のメラニン生成阻害効果 メラニン生成阻害実験は、下記を除いては、実験例1と同一に実験を施した。製造例1及び製造例2から用意したアルクチン、アルクチゲニン、又はアルクチン及びアルクチゲニン1:3及び3:1 混合物をDMEM培地に希釈し、最終に各々60,100,140,180μg/mlの濃度でメラノマ細胞に処理し、37℃で5日間さらに培養した。培養した後、培地を手得して475nmで吸光度を測定してメラニン生成程度を比較し、メラニン生成抑制率(%)はメラノサイト刺激ホルモンのみ添加した細胞培養液の吸光度値を対照値として下記の数学式1によって計算し、その結果を表2に示した。 前記表2の結果から分かるように、アルクチン、アルクチゲニン、アルクチン及びアルクチゲニン1:3及び3:1混合物のメラニン生成阻害率は、濃度依存的に阻害効果が増加することが確認できた。特に、アルクチン及びアルクチゲニン1:3混合物が他のものと比較して、効果が非常に優れていることが確認できた。 実験例3.メラノサイトにおけるメラニン合成酵素の発現抑制効果I アルクチン、アルクチゲニン、マタイレジノール、オレアノリック酸、ベツリック酸、ルーチン及びウルソール酸を各々添加して3日間さらに培養した後、細胞を獲得して使用したことを除いては、実験例1と同一に実験を施した。メラニン合成酵素の発現抑制効果の対照のために、何も入れなかった対照例1、及びメラノサイト刺激ホルモンのみ入れた対照例2の実験もともに実施した。獲得された細胞はリン酸ナトリウム緩衝溶液(sodium phosphate buffer)を用いて2回洗滌した後、0.1% triton X-100を処理した後、ソニケータを用いて30秒間反応する。この反応液をまた高速遠心分離機を用いて(12,000rpm, 30分,4℃)、細胞沈殿物と上澄み液を分離する。分離された上澄み液はまた電気泳動法を利用して蛋白質を分離し、ここに0.2%ドーパ(DOPA)溶液が入っている反応液で約8時間反応した後、ゲルにおけるチロシナーゼ生成量を検証し、その結果を次の表3に示した。 上記表3の結果から、チロシナーゼバンドの強度数値が低いほど、チロシナーゼ生合成抑制効果が優れていることを意味する。従って、上記表3の結果は、アルクチン、アルクチゲニンは何も入れなかった対照例1と比較して類似した程度でバンド強度数値が低いだけでなく、メラノサイト刺激ホルモンのみ添加した対照例2に比べて有意的な効果を表すことが分かり、他のレンギョウ成分と比べてもチロシナーゼ抑制効果が一番優れていることが分かる。 実験例4.メラノサイトにおけるメラニン合成酵素の発現抑制効果II アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物のメラノサイトにおけるメラニン合成酵素の発現抑制効果を調査した。製造例1及び製造例2で用意したアルクチン、アルクチゲニン又はアルクチン及びアルクチゲニン1:3及び3:1混合物を添加して3日間さらに培養した後、細胞を獲得して使用したことを除いては、実験例1と同一に実験を施した。メラニン合成酵素の発現抑制効果の対照のために、何も入れなかった対照例1、及びメラノサイト刺激ホルモンのみ入れた対照例2の実験もともに実施した。獲得された細胞はリン酸ナトリウム緩衝溶液(sodium phosphate buffer)を用いて2回洗滌した後、0.1% triton X-100を処理した後、ソニケータを用いて30秒間反応する。この反応液をまた高速遠心分離機を用いて(12,000rpm, 30分,4℃)、細胞沈殿物と上澄み液を分離する。分離された上澄み液はまた電気泳動法を利用して蛋白質を分離し、ここに0.2%ドーパ(DOPA)溶液が入っている反応液で約8時間反応した後、各ゲルにおけるチロシナーゼ生成量を検証し、その結果を次の表4に示した。 上記表4の結果から分かるように、何も入れなかった陰性対照例である対照例1と比べて、メラノサイト刺激ホルモンを添加した陽性対照例である対照例2でチロシナーゼの蛋白質量が増加したが、アルクチン、アルクチゲニン、アルクチン及びアルクチゲニン1:3及び3:1混合物を添加した実施例1乃至4ではチロシナーゼ蛋白質量が陽性対照例と比べて相当減少した。特に、アルクチンとアルクチゲニン1:3の混合物で一番効果が優れていることを確認した。従って、アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物はメラノサイト刺激ホルモンによるチロシナーゼ蛋白質の過量発現を抑制することが分かった。 実験例5.細胞毒性実験 製造例1及び製造例2で用意した本発明のアルクチン、アルクチゲニン、又はアルクチン及びアルクチゲニン1:3及び3:1混合物の繊維芽細胞(fibroblast cell)に毒性があるか否かを測定した。繊維芽細胞はマウス由来NIH/3T3(ATCC CRL 1658)細胞株を購入して使用し、ブドウ糖4.5g/L、10%血清及び1%抗生剤が含有されたDMEM培地に接種し、75cm2 T−プラスクで37℃で継代培養した。実験は5%CO2条件下で24時間培養し、0.02%EDTAが含有された0.05%トリプシン(Trypsin)を処理して細胞を分離した後、96−ウェル−プラスクに1×104細胞/ウェルを接種して6時間培養し、安定化させた。ここに、本願発明のアルクチン、アルクチゲニン、又はアルクチン及びアルクチゲニン1:3及び3:1混合物を下記の表5の濃度で添加し、12時間さらに培養した。培養した後、NTT(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)2,5-diphenyl tetrazolin bromide)溶液(5mg/ml)をウェルに10μl添加して4時間培養し、DMSO(Dimethyl sulfoxide)溶液100μlを添加した後、OD 570nmで吸光度を測定して細胞生存率を計算し、その実験結果を表6の判定基準によって表5に示した。試験物質を添加しなかったものの吸光度を細胞生存率100%にして結果を示した。 表5の結果から分かるように、本発明のアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物の細胞生存率は94乃至100%で、高い生存率を示し、表6の毒性判定基準によると、その毒性程度が比較的に低い無毒性を表した。 製造例3.化粧料の製造 前記製造例1で分離したアルクチン及びシグマ社から購入したアルクチゲニンを有効成分として含有する化粧料を下記の表7の組成で製造し(実施例5,6,7)、前記活性成分を何も添加しなかった化粧料(対照例3)、及び従来の美白物質であるアルブチンを添加した化粧料(比較例1)を製造した。 実験例6.化粧料組成物の美白効果 本発明の化粧料の美白効果を知るために、製造例3で製造した対照例3、実施例5、実施例6、実施例7及び比較例1の化粧料を、30乃至40歳女性50名を無作為で5つの群に分けてパネルテストを実施した。各群のパネルに前記対照例3、実施例5、実施例6、実施例7及び比較例1の化粧料を毎朝晩2回ずつ、洗顔した後、適量を腕の上膊に2ヶ月間連続的に塗るようにした。これに先立ち、各被験者は紫外線照射器を利用して皮膚の色素沈着をもたらした。美白効果は、上膊における皮膚美白改善効果を目視で皮膚色を観察して評価した後、その結果を表8に示した。 上記表8の結果から分かるように、本発明のアルクチン、アルクチゲニン又はアルクチン及びアルクチゲニン1:1混合物をそれぞれが含有する実施例5、実施例6及び実施例7は、何も入っていない対照例3及びアルブチンを含有する比較例1と比べて高い美白効果を表した。 実験例7.皮膚刺激実験 本発明のアルクチゲニン誘導体を含有する化粧料の皮膚刺激を評価した。前記製造例3で製造したアルクチゲニン誘導体を含有する処方例のクリーム(実施例5,6,7)、比較例のクリーム(比較例1)及び対照例クリーム(対照例3)を利用して実験した。 化粧料の皮膚刺激性を試験するために、健康な成人男女50名を対象に貼布試験(patch test)をヘイズテストチャンバー(Haye’s Test Chamber)を利用して実施した。試験部位を70%エタノールで拭き取って乾燥させた後、用意した試験物質15μg又は15μlを滴下したチャンバー(Finn chamber, 100×10, EPITEST, フィンランド)を試験対象者の前膊(forearm)の内側部に密閉貼布した。24時間貼布し、貼布を除去した後、表示ペンで試験部位を表示した。各々1時間、そして24時間後(貼布除去後1時間、24時間後=貼布付着含み24時間、48時間)に、拡大鏡(8MC-150, DAZOR, 米合衆国)を利用して試験部位を観察し、紅斑及び浮腫の有無を観察した。皮膚反応は国際接触皮膚炎研究会(ICDRG:International Contact Dermatitis Research Group)の規定(表9)によって判定し、下記の数学式2によって平均皮膚反応度を計算し、その結果を表10に示した。 上記表10から分かるように、本発明のアルクチゲニン誘導体を含有しない比較例のクリームにおける皮膚反応度は非常に低く、クリームの他の含有成分によっては皮膚刺激が誘発されないことが分かる。また、アルクチゲニン及び誘導体を添加しても皮膚刺激は表れないことが分かる。 実験例8.剤形安定性実験 製造例3で製造した対照例3、 実施例5、 実施例6、 実施例7及び比較例1の化粧料を用いて温度変化による剤形安定性を試験した。上記試料は不透明硝子容器に入れ、45℃に一定に維持される恒温槽で1週間保管するか、不透明硝子容器に入れ、4℃に一定に維持され、完全に遮光された冷蔵庫内で1週間保管した後、変色程度を目視で比較測定した。この際に製品変色程度は下記の表11の6等級に分類して評価し、その結果を下記の表12に示した。 前記表12から、本発明のアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を含有する化粧料組成物の温度安定性が非常に優れていることが分かった。前記実験を通して、アルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を含有する化粧料剤形が、UVによって発現されるα−MSHによって誘発されたメラニン代謝経路に作用し、メラニン生成を効果的に制御又は抑制して皮膚色を明るくする美白効果があることを間接的に確認した。これに、下記の剤形例を通してアルクチン、アルクチゲニン又はその混合物を含有する化粧料剤形の例を提示し、下記の剤形例は製造例1で分離したアルクチン、及びシグマ社から購入したアルクチゲニンを使用して化粧料を製造するが、これに限定されるものではない。 剤形例1乃至3.柔軟化粧水(スキン) 本発明のアルクチン及びアルクチゲニンを有効成分として含む化粧料のうち、柔軟化粧水(スキン)の剤形例は次のようである。 剤形例4乃至6.栄養化粧水(ミルクローション) 本発明のアルクチン及びアルクチゲニンを含む化粧料のうち、栄養化粧水(ミルクローション)の剤形例は次のようである。 剤形例7乃至9.栄養クリーム 本発明のアルクチン及びアルクチゲニンを含む化粧料のうち、 栄養クリームの剤形例は次のようである。 剤形例10乃至12.マッサージクリーム 本発明のアルクチン及びアルクチゲニンを含む化粧料のうち、マッサージクリームの剤形例は次のようである。 剤形例13乃至15.パック 本発明のアルクチン及びアルクチゲニンを含む化粧料のうち、パックの剤形例は次のようである。アルクチン(Arctiin)及びアルクチゲニン(Arctigenin)の混合物を有効成分として含有する皮膚美白用化粧料組成物であって、前記アルクチン及びアルクチゲニンが3:1乃至1:3の重量比で混合されていることを特徴とする皮膚美白用化粧料組成物。前記アルクチン(Arctiin)及びアルクチゲニン(Arctigenin)の混合物は、化粧料の総重量に対し0.00001乃至40.0重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載の皮膚美白用化粧料組成物。前記化粧料組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤‐含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、及びスプレーで構成された群から選択される剤形を有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚美白用化粧料組成物。第1項の化粧料組成物を人間の皮膚に塗布して皮膚美白効果を達成することを特徴とする化粧方法。