生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_微生物の二次代謝産物の誘導
出願番号:2009545995
年次:2010
IPC分類:C12P 1/06,C12P 1/04,C12P 1/02


特許情報キャッシュ

ミーンズ、 スプラッグ アンドリュー ヤン、 ライミング ジュークス、 カレン JP 2010516242 公表特許公報(A) 20100520 2009545995 20080118 微生物の二次代謝産物の誘導 アクアファーム バイオ−ディスカバリー リミテッド 509203577 三好 秀和 100083806 伊藤 正和 100095500 原 裕子 100111235 ミーンズ、 スプラッグ アンドリュー ヤン、 ライミング ジュークス、 カレン GB 0701021.8 20070119 C12P 1/06 20060101AFI20100423BHJP C12P 1/04 20060101ALI20100423BHJP C12P 1/02 20060101ALI20100423BHJP JPC12P1/06 AC12P1/04 AC12P1/04 ZC12P1/06 ZC12P1/02 A AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW GB2008000149 20080118 WO2008087410 20080724 19 20090910 4B064 4B064AH19 4B064CA02 4B064CA03 4B064CA05 4B064CC04 4B064CC22 4B064CD01 4B064CD05 4B064DA02 4B064DA12 4B064DA20 本発明は、微生物からの二次代謝産物の産生に関する。詳細には、様々な微生物からのこのような化合物の迅速な産生を誘導する方法を提供する。 自然環境から分離され、浮遊性懸濁物振とうフラスコにおいて培養された場合、微生物は時々、二次代謝産物を産生する能力のスイッチを切ることがある。密閉されたフラスコにおけるこのような振とう懸濁培養は、自然に遭遇する増殖条件には相当しない人工的な増殖条件を提供する。 2つのBacillus sp.(B. pumilusおよびB. licheniformis)の場合、バイオフィルムの形成および空気への直接暴露は、抗生物質化合物の産生を促進することが、以前に示されている(Yanら、2003)。 自然環境では、例えば細菌および真菌などの微生物は、表面に付着したバイオフィルムとして増殖しうる(Lappin-Scottら、1995)。バイオフィルム内での増殖条件は通常不均一であり、例えば、バイオフィルムを構成する微小コロニーの周囲にpH勾配が発生することがあり(Wimpennyら、2000)、バイオフィルム内への栄養素および基質の輸送における制限が、微生物の飢餓状態の格差を引き起こし得る(Jamesら、1995、Batchelorら、1997、Liら、2001)。従って、バイオフィルムとして増殖している微生物内で起こる代謝過程は、例えば、浮遊性懸濁物培養として増殖された場合の同一生物において起こる代謝過程とは著しく異なり得る。 上記に詳述されたような二次代謝産物は、幅広い重要な用途を有する重要な化合物群である。特に、多くの二次代謝産物は抗感染特性を有し、抗生物質は多くの感染症の治療において重要な役割を果たす。多剤耐性微生物の出現は、新たな種類の抗生物質の同定ならびに活性がより高い既知の化合物の変異型の開発についての更なる研究を必要としている。従って、微生物によって産生される二次代謝産物のスクリーニングは、有用な生物活性化合物を得る不可欠な方法である。 二次代謝産物産生の調節は複雑であり、ほとんどの二次代謝産物の生合成経路は十分には解明されていない。ストレス誘導性ネットワークおよび多数の細胞システムが、微生物による二次代謝産物の産生を制御することが知られている。例えば、栄養素の制限もしくは枯渇、誘導物質の生合成、および/または微生物の増殖速度の低下はすべて、二次代謝産物の産生に影響を及ぼすと考えられる。このような要因は、一連のシグナルを発生させ、化学的分化(二次代謝)および形態的分化(形態形成)を引き起こす調節事象のカスケードに作用すると考えられる。 いくつかの一次代謝産物は、二次代謝産物の産生を増加させることが知られている。例えば、ロイシンはBacillus sp.におけるバシトラシン合成に影響を及ぼし、メチオニンはアミノアジピル-L-システイニル-D-バリン(ACV)合成酵素を促進する。 今日まで、バイオフィルムにおける増殖の、二次代謝産物の産生に対する効果についての研究はごくわずかであり、現在の抗生物質に耐性を示す多数の病原体に対して有効な新たな抗感染薬の開発の必要性は増加している。 本発明は、第一条件下で強制的固着群集(compulsory sessile community)(バイオフィルム)として定着した微生物が、その後改変条件に暴露された場合、抗感染活性を有する化合物を含有する二次代謝産物を産生しうるという所見に基づく。 本発明の第一の態様では、微生物を誘導して二次代謝産物を産生させる方法が提供され、前記方法は以下のステップ:(a)第一条件下での増殖によって、前記微生物を含むバイオフィルムを定着させるステップと;(b)前記第一条件を改変して、バイオフィルム内の1つ以上の微生物を誘導して二次代謝産物の産生するようにするステップとを包含している。 微生物は通常、前記改変条件に暴露されないかぎり、前記二次代謝産物を産生しないものであることが理解される。第一条件下で増殖された場合、バイオフィルムは、異なる二次代謝産物を産生しうるが、前記改変条件下で産生される二次代謝産物を制限するか、または実質的にまったく産生しない。 二次代謝産物は多くの種類の化合物を含み、例えば、色素、ならびに抗生物質、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗原虫剤などの抗感染化合物を含みうる。加えて、二次代謝産物はまた、毒素、生態学的競争および共生のエフェクター、フェロモン、酵素阻害剤、免疫調節物質、受容体拮抗薬、殺虫剤、抗腫瘍物質、および動植物の成長促進物質をも含みうる。本件では、上記に詳述されるような抗感染化合物の産生を誘導するために、本発明の方法を使用することが、特に望ましい。従って、好ましい実施形態では、本発明は、微生物を誘導して抗感染化合物を産生させる方法を提供する。 バイオフィルムは当技術分野において周知であり、表面または基質(substrate)に定着した微生物の群集を含むと理解されうる。細菌、真菌、原生動物および酵母などの微生物は、すべてバイオフィルムを形成することができる。バイオフィルムは単一種の微生物を含んでもよく、2種以上の微生物を含む場合もありうる。バイオフィルム内の微生物は固着性であり、すなわち、表面または基質に付着するので、バイオフィルムはまた「強制的固着群集」とも呼ばれうる。 従って、本明細書に記載される方法は様々な微生物を用いて使用され得るものであり、これらの微生物は、細菌、真菌または原生動物の種を含みうる。一例として、Pseudolateromonas、Streptomycetes(放線菌)、Berundimonas、Dietzia、Rhodococcus、Micrococcus、Pseudomanas、Serratia、Flavobacteria、Vibrio、およびAlteromonas sp.などの微生物は、本明細書に記載される方法に従って誘導され、二次代謝産物を産生する。 微生物の増殖は通常、遅滞期、増殖期(対数期)、静止期、および死滅期として知られる4つの段階を含む。遅滞期は、微生物が増殖を開始するために準備している初期段階である。この段階の間、多数の微生物は生き残らず、全生存微生物数は減少しうるため、「遅滞」という用語となる。短い期間の後、存続したすなわち生き残ったそれらの微生物は増殖し、これが増殖(対数)期を開始する。この段階は微生物数の急速な増加が見られ、増殖のために利用可能な栄養素および空間が枯渇し始めるにつれて、増殖は静止期に入る。通常、静止期の間、増殖は減速し始め、存在する微生物数の更なる増加はほとんどまたはまったくない。微生物はこの段階に留まりうるが、条件の変化、すなわち栄養素の枯渇、毒性物質の蓄積などは、微生物を死滅させ始め、従って増殖は死滅期に入る。 バイオフィルム内の微生物は、すでに遅滞期および増殖期を通過した静止期にあると見なされうる。従って有利には、本発明の第一条件は、初期増殖、および前記微生物の静止期への進行、ならびにバイオフィルムの定着を可能にする条件であると理解されうる。 従って、「第一条件」という用語は、増殖パラメーター、例えば、増殖培地の選択、あるいは微生物が増殖、培養もしくは維持される温度および/または圧力を指しうる。通常、微生物の群集またはバイオフィルムを定着させるためには、栄養素の豊富な、特定の微生物の増殖に適した、液体、半固体または固体培地の使用が望ましい。本発明の1つの実施形態では、微生物は、その一部が増殖培地と接触している表面または基質上で増殖または培養されうる。 微生物培養技術に精通する者は、使用されうる培地の種類を認識しており、簡略のため、限られた数のみが本明細書に記載されることに留意すべきである。例えば、海洋環境から分離された微生物は、指定された「マリン」培地で培養されうるが、一方、例えば哺乳動物の消化管から分離された微生物は、マッコンキー寒天培地またはマッコンキーブロスなどの、このような生物の増殖を選択的に可能にする培地で培養されうる。このような培地は、例えばNaCl、胆汁酸塩、および他の化合物、ならびに対象となる生物の自然環境において見られる条件の再現を目的とする成分を含有しうる。 他の培地はより一般的な用途を有し、異なる環境から分離された多数の異なる生物を培養するために使用されうる。このような培地は「汎用培地」として知られ、例えば、血液、チョコレート、コロンビア、LB、ニュートリエント、およびポテトデキストロース(PD)の寒天培地ならびにブロスを含みうる。これらの培地は、特定の微生物の増殖を促進するために、または培地にある程度の特異性を与えるために、任意の選択された薬剤、化合物、または物質が更に添加されうる。例えば、ポテトデキストロース培地は、例えば酵母抽出物が更に添加されうる(PDY培地)。例えば、この培地は約0.1〜1%(w/v)の酵母抽出物、より好ましくは約0.2%(w/v)の酵母抽出物が添加されうる。 加えて、「第一条件」という用語は、例えば、タンパク質もしくはペプチド、アミノ酸、例えばビタミンなどの栄養素、核酸、または他の有機低分子のような化合物を含みうる。このような化合物は、例えば、選択された増殖培地に添加され得るものであり、または付加的もしくは代替的に、微生物に直接添加されうる。 有利には、「第一条件」は、バイオフィルムの定着を約1〜約10日間以内に促進する。好ましくは、バイオフィルムは、約2日間〜約5日間以内に、より好ましくは約3〜約4日間以内に定着すべきである。 好ましくは、バイオフィルムは特定の表面または基質上に定着する。有利には、バイオフィルムが定着するべき表面または基質(以下「基質」と称する)は、バイオフィルムの微生物によって代謝され得ず、従って「不活性な」材料または物質と呼ばれうる。従って、本発明の好ましい実施形態では、特定の微生物を含むバイオフィルムは、「不活性基質」上に定着する。 好ましくは、不活性であることに加えて、基質は半透性の材料または物質である。バイオフィルムが定着しうる適切な不活性半透性基質は、ガラス繊維、ナイロン、およびセロファン膜を含むが、それらに限定されない。代替的に、バイオフィルムは、再生セルロースまたはセルロースエステル材料、例えばVisking透析チューブなどの透析法に適した材料を含む基質上に定着しうる。 いくつかの基質は、ある微生物によっては代謝されることができないが、他の微生物によっては代謝されうるため、バイオフィルムが定着するべき基質の選択は、バイオフィルムの微生物に依存しうることに留意すべきである。例えば、放線菌などの細菌は、ナイロンを含む基質の分解を引き起こしうる。従って、放線菌を含むバイオフィルムは、ナイロンを含まない基質上で培養されるべきである。加えて、基質は半透性であることが望ましいが、基質を介したバイオフィルムの微生物の通過を可能にするほど高い透過性であるべきではない。例えば、ある細菌は、例えばガラス繊維などの材料を含む基質に存在する細孔を通過できる可能性がある。当業者は、バイオフィルムを形成するために使用される微生物に応じて、半透性基質または適切な細孔径を容易に選択することができる。 本発明に従って、不活性な半透性基質は、バイオフィルムを定着させるための第一条件下で維持される。例えば、基質は滅菌増殖培地の表面に静置されうる。有利には、基質は、表面張力によって滅菌培地の表面に保持されうる。加えて、または代替的に、この材料または物質は、他の何らかの方法によって、例えばある種の支持構造物によって適切な位置に保持されうる。代替的に、基質は、表面張力と他の何らかの方法、例えば支持構造物との組合せによって適切な位置に保持されうる。このような方法で、基質の片面は滅菌増殖培地と接触するが、反対面は空気と接触する。 バイオフィルムが定着するべき基質は、任意の適切な方法によって、例えば、スワブによって、前記第一条件への暴露前または暴露後に、選択された微生物を植菌されうる。 基質は任意の特定の形状に形成されてよく、例えば、基質は円盤型または他の基本的には二次元の形状を取りうる。代替的に、基質は三次元形状を取ってもよく、例えば、バイオフィルムが定着しうる表面積を増加させる役割を果たしうる多数の中空管、襞、または空洞を含みうる。 典型的なバイオフィルム培養系は、Yanら、2003による論文に詳述される。その中に記載される系は、選択された基質上への強制的固着微生物群集(バイオフィルム)の定着を可能にする空気‐膜表面(AMS)リアクターを提供する。簡潔には、選択された基質はまず、大量の滅菌した液体半固体増殖培地の表面に静置され、表面張力によって保持される。そのため、基質の片面のみが滅菌増殖培地と接触し、一方反対面は空気に暴露される。空気に暴露される基質の表面は、その後、バイオフィルムを形成するべき微生物を植菌される。「自由な」増殖培地の利用可能性の制限は、バイオフィルムすなわち強制的固着群集の定着を促進する。 特定の微生物が二次代謝産物を産生する条件は、上記微生物を含むバイオフィルムの定着に必要とされる条件とは異なりうる。従って、本発明の方法に基づき、二次代謝産物の産生を誘導するために、バイオフィルムを構成する微生物は第二条件すなわち改変条件に暴露される。例えば、二次代謝産物の産生の誘導に必要とされる改変条件は、微生物の増殖もしくは生存を阻害、制限、または阻止しうる有毒/有害な物質あるいは条件あるいは化合物を含みうる。通常、二次代謝産物の産生を誘導する改変条件は、バイオフィルムの微生物をストレス下に置くことであると言えるかもしれない。しかし重要なことには、上記改変条件は、例えば、上述の第一条件下でバイオフィルムとして既に定着した微生物に許容される。 従って、「第一条件」は、遅滞期および増殖期の間微生物の存続を支え、定着したバイオフィルムの維持を可能にするが、一方、「第二条件」すなわち「改変条件」は、微生物の増殖の維持には不適当かもしれないが、バイオフィルムとして定着した微生物の少なくとも一部に許容される。このようにして、他の方法では二次代謝産物の産生を誘導するために必要とされる条件下でバイオフィルムが容易に定着できない微生物は、バイオフィルムの迅速な定着を促進する第一条件、および二次代謝産物の産生を誘導するための第二条件すなわち改変条件の、2組の条件を提供する本発明の方法によって、二次代謝産物を産生するように誘導されうる。 本明細書に記載される方法は、微生物を誘導して二次代謝産物を産生させるための2段階の過程を提供し、第一段階は、実質的には上述されたようにバイオフィルムを定着させることを含み、第二段階は、微生物を誘導して二次代謝産物を産生させるために条件を改変することを含む。 二次代謝産物の産生を誘導する「改変条件」は、微生物の一次代謝および/もしくは二次代謝を調節する特定の増殖条件または化合物の使用を含みうる。例えば、このような化合物は、微生物のストレス誘導性ネットワーク経路を調節できるものを含みうる。従って、例えば、一旦バイオフィルムが定着すると、バイオフィルムは、二次代謝産物の産生を誘導する条件下または化合物の存在下で維持されうる。 本発明の改変条件は、二次代謝産物の産生を誘導する一次代謝産物または栄養素などの化合物の使用を含みうる。「一次代謝産物」または「栄養素」という用語は、例えば、ビタミン(例えばビタミンKもしくはその合成等価物メナジオン(ビタミンK3))、炭水化物、タンパク質もしくはペプチド、アミノ酸、および他の同様の化合物を含むと解釈されうることが理解されるべきである。加えて、「一次代謝産物」または「栄養素」はまた、例えば、核酸、ミネラル、ならびに金属イオン(例えば第二鉄イオン、マンガンイオン、および/もしくは第二銅イオン)を指しうる。金属イオンは、例えば、任意の有機または無機金属塩(例えばクエン酸第二鉄もしくは塩化第二鉄)の形態で添加されうる。有利には、金属イオンは、約1〜約1OmM、好ましくはl〜5mM、より好ましくはl〜2mMの最終濃度で添加されうる。 加えて、または代替的に、改変条件は増殖培地の変更を含みうる。栄養素の制限および/または枯渇は、微生物の一次代謝および/または二次代謝に影響を及ぼし、そのため二次代謝産物の産生を誘導しうる。従って、特定の増殖培地は、微生物に特定の栄養素の利用性を制限するために適合されうる。これは、微生物の生体系に不可欠な特定の成分を欠如した培地の供給によって達成されうる。例えば、培地は特定の栄養素を欠如し、その培地上で維持される微生物が上記栄養素を欠乏するかまたは剥奪されるようにし得る。 二次代謝産物の産生を誘導する改変条件はまた、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤などの薬剤または化合物の添加を含みうるが、それは微生物においてストレス反応を誘導しうる。このように機能しうる抗生物質の例は、キノロン類、例えばシプロフロキサシンを含む。更に、浸透圧条件を変化させることができる化合物および酸化化合物または酸化分子は、更に、二次代謝産物の産生を誘導することができると認識されている。酸化化合物の例は、例えば過酸化水素、またはメナジオンもしくはパラコートなどの活性酸素生成剤を含む。メナジオンの場合、キノン構造が酸素分子に1つの電子を与え、酸化されてセミキノンとなり、セミキノンは更に別の二原子酸素に別の電子を与えることができ、酸化されてヒドロキノンとなる。従って、ヒドロキノンへのキノンの酸化過程で、2分子のスーパーオキシドが生じる。スーパーオキシドはバイオフィルムの微生物をストレス下に置き、二次代謝産物の産生を誘導する。 加えて、または代替的に、二次代謝産物の産生を誘導することができる化合物は、微生物に直接的に、またはそれらが培養される基質の成分として添加されうる。 改変条件はまた、二次代謝産物の産生を誘導する効果を有する特定の環境条件または環境要因を含みうる。例えば、改変条件は、微生物を放射線、例えば電離放射線および/または電磁放射線に暴露すること、温度変化および/または圧力変化にさらすことを含みうる。電子放射線(electro-radiation)に暴露する場合、微生物は、短波長の電磁放射線、または約100〜約400nm、好ましくは200〜3OOnm、より好ましくは254nmの紫外線に暴露されうる。電離放射線については、微生物は、例えば、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、および/またはx線照射を受けうる。 従って、本発明の第二の態様では、微生物を誘導して二次代謝産物を産生させる方法が提供され、前記方法は以下のステップ、すなわち、(a)第一条件下での増殖によって、前記微生物を含むバイオフィルムを定着させるステップと(b)前記第一条件を改変して、バイオフィルム内の1つ以上の微生物が誘導されて二次代謝産物を産生するようにするステップとを包含しており、前記改変条件は、微生物を放射線に暴露することを含む。 微生物が放射線に暴露されうる時間の長さは、使用される微生物によって異なりうる。しかし一例として、約1〜約6日間、好ましくは2〜5日間、より好ましくは4日間、微生物を放射線に繰り返し暴露することが望ましい場合がある。更に、放射線への各暴露の継続期間は異なりうるが、一例として、微生物は約4〜約20時間、好ましくは6〜約15時間、より好ましくは12時間、放射線に暴露されうる。 二次代謝産物の産生を誘導する改変条件を設定するために、上述の条件、化合物もしくは薬剤のうち任意の1つは、単独で、または他の任意の条件、化合物もしくは薬剤と組み合わせて使用されうることに留意すべきである。例えば、本発明の1つの実施形態では、二次代謝産物産生の誘導のための改変条件は、第二鉄イオン、マンガンイオンおよび/または第二銅イオンと併用したメナジオンの使用を含みうる。代替的に、本発明の更なる実施形態では、改変条件は、第二鉄イオン、マンガンイオンまたは第二銅イオンのいずれかとともに、メナジオンなどの栄養素および過酸化水素などの化合物の使用を含みうる。詳細な説明 本発明は、以下詳細に下記の図面を参照して記載される。本発明の方法における使用のための空気・膜表面バイオリアクターシステムは、通常、Yanら、2003によって記載されるように参照番号10で表される。バイオリアクター10は、多量の増殖培地4を保持するチャンバー2を備え、これは表面張力によって増殖基質6を支持する。基質6は、一部は増殖培地4に浸漬し、一部は空気に暴露されている不活性な半透性材料から成り、そのため参照番号8によって示される空気/表面境界面(air/surface interface)を提供する。示される実施形態では、バイオフィルム12は、空気に暴露されている基質6の表面に定着している。チャンバー2は、増殖基質6の雑菌混入を防ぐ蓋14によって密閉される。一旦バイオフィルム12が定着すると、増殖培地4は改変培地4bに置換され、これが二次代謝産物の産生を誘導する。二次代謝産物は、不活性な半透性基質を通過し、改変培地4aに蓄積する。Streptomyces sp. AQP274によって産生される抗菌性化合物の誘導に対する酸化ストレスの効果。図面は、過酸化水素がいくつかの培養系において抗菌性化合物の産生を誘導し得たことを示唆する。一方、メナジオンの誘導効果は、より小さい標準偏差のため、より安定的であり、本発明にとってより好ましかった。簡潔には、メナジオンと過酸化水素との両方とも、放線菌属、より好ましくはStreptomyces sp.において抗菌性化合物の産生を誘導し得た。培地の処方は以下の通りであった:「PDY」、酵母抽出物を含むポテトデキストロース;「NG」、1%(v/v)グリセロールを含むニュートリエントブロス;「NGF」、1%(v/v)グリセロールおよび1mMクエン酸第二鉄を含有するニュートリエントブロス;「H2O2」、過酸化水素;「MD」、メナジオン。異なる培地中での微生物の培養は4連で実施され、標準偏差はエラーバーによって示された。メナジオン中のキノン基の自己酸化還元(autoredox)反応によって提唱されるスーパーオキシドの生成。メナジオン中のキノン構造は酸素に1つの電子を与え、酸化されてセミキノンとなり、セミキノンは更に別の二原子酸素に別の電子を与えることができ、酸化されてヒドロキノンとなる。従って、キノンのヒドロキノンへの酸化過程で、2分子のスーパーオキシドが生じる。海洋Pseudoalteromonas sp. AQP816菌株による色素産生の誘導。AQP816がナイロン膜培養系を用いて増殖した際の、黒色色素産生に対するメナジオンの効果。培地中にメナジオンを添加した場合、黒色色素の有意な産生が観察された。同一培地(100μg/mlメナジオンを含有するマリンブロス)でのAQP816による黒色色素産生に対するナイロン膜表面培養系の効果。色素は、膜表面培養系を用いてAQP816を増殖させた場合のみ、産生されると思われた。実施例1微生物を増殖させるための2段階培養法 特定の細菌の増殖のための培地は、二次代謝産物の産生にとって必ずしも理想的ではない。従って、通常の振とうフラスコ培養条件下でこれまでは産生されなかった、細菌、より好ましくは放線菌属の細菌において二次代謝産物の産生を誘導する、2段階培養法が適用された。浮遊性物質振とうフラスコ、より好ましくは、ガラス繊維膜バイオフィルム培養系のいずれかを用いて、適切な微生物群集が確立されるまで、適切な微生物を増殖培地に植菌した。この時点で、バイオマスまたはバイオフィルムを、二次代謝産物の産生に適した別の増殖培地に移した。 より好ましくは、ガラス繊維膜上に植菌された際の放線菌Streptomyces sp. 菌株AQP274は、0.2%(w/v)酵母抽出物を含有するポテトデキストロース寒天培地(PDY)上で増殖させた場合、4日以内に十分なバイオマスを生じることができたが、抗菌性化合物の産生についてスクリーニングした際、この菌株は、この培地で培養した場合、MRSAに対してスクリーニングした時には、検出可能な抗生物質活性を示さなかった。同時に同一の培養方法を用いた場合、AQP274は、NGFM培地と呼ばれるニュートリエントアガー(28g /L)、グリセロール(1%v/v)、1mMクエン酸第二鉄、およびメナジオン(0.15g/L)を含有する培地中では非常にゆっくり増殖したが、室温での21〜24日間の培養後、MRSA菌株およびCandida albicans菌株に対する抗菌活性を容易に検出することができた。より好ましくは、二次代謝産物産生のこの過程を迅速化し、ひいてはこの系を用いてこの菌株から抗感染化合物を迅速に誘導するためのバイオプロセスの最適化を改善するために、AQP274を最初はPDY培地に植菌し、その後、NGFM培地に移した。結果は、上述の試験菌株に対する抗菌活性が、この菌株によって産生され、抗生物質産生微生物の増殖の4日目で検出され得ることを示した。更に、検出可能な活性に必要とされる粗培地抽出物の量は、2分の1に減少した。実施例2複合物−微生物の強制的固着群集(バイオフィルム)の定着 この2段階培養法は、抗感染薬産生微生物、より好ましくは放線菌属の、強制的固着群集を不活性ガラス繊維膜上に定着させることによって、更に改善された。桿菌において抗生物質産生に関連する遺伝子は、環境ストレスによって調節され得ることが報告されている(Yanら2003)。加えて、バイオフィルムまたは固着群集内で増殖する細胞は、様々な種類の環境ストレスに対してより耐性を示す複雑な機構を発達させ;従って、それらは、それらの浮遊性懸濁物とは対照的に、より広範な物理的および化学的環境に適応する。しかし、浮遊性懸濁物培養法を用いて増殖させた場合、多くの種は、自然には、不活性な支持体の表面に固着微生物マトリックスを形成せず;従って、空気−固体/液体境界面に強制的固着微生物マトリックスを定着させた。例えば細菌もしくは真菌、より好ましくは放線菌の、純粋なまたは混合された微生物菌株を、ナイロン膜またはガラス繊維フィルターなどの半透性の不活性な支持体の表面に植菌した。その後、不活性な支持体を培地の表面に静置し、不活性な支持体が微生物バイオマスを増殖培地から分離することを可能にした。バイオマスは不活性な支持体の一方の面に形成され、増殖培地は他方の面に存在した。自由液体が存在しないため、微生物バイオマスは、この支持体システムの表面に強制的固着微生物マトリックス(バイオフィルム)の形で増殖する。この方法は、任意の微生物、より好ましくは放線菌の強制的固着マトリックスを、より好ましくは半透性の不活性な支持体システムの表面に定着させ得る。実施例3酸化ストレスを用いた抗菌性化合物産生の誘導 実施例2に記載される培養系を用いて、定着したバイオマス、より好ましくは強制的固着微生物群集のバイオマスによる二次代謝産物の産生を誘導するために、様々なストレスが使用され得る。 本発明は、強制的固着微生物群集として培養される細菌への第二鉄イオン、マンガンイオンまたは第二銅イオンなどの遷移金属イオンの追加とともに、過酸化水素を含む過酸化化合物、またはメナジオンもしくはパラコートなどのスーパーオキシド生成剤を用いて行われ得る、活性酸素種(ROS)によって与えられる酸化ストレスを用いる。より好ましくは、この系を用いてStreptomyces sp. 菌株AQP274を2段階法で培養し、抗菌性化合物の産生を誘導した。初期の強制的固着マトリックス(バイオフィルム)を、PDY培地中の一片のガラス繊維フィルター上に定着させた。微生物マトリックスはその後、このフィルターに定着し、その後、上述のように、第二鉄イオンおよび/もしくは第二銅イオンの存在下で、活性酸素生成剤(ROS)、より好ましくはH2O2、またはメナジオンを用いた、酸化ストレスを与える別の培地に移された。 この記載された系を用いた抗菌性化合物の産生は、異なる培地処方を用いた様々な培養物間で分析された(図2)。より好ましくは、すべての培地は0.3%(w/v)寒天粉末(No.3)によって固化され、それはガラス繊維フィルターの支持を補助した。より好ましくは、フィルター滅菌したメナジオンおよび/またはH2O2は、約37℃に冷却する際に、培地に添加された。より好ましくは、結果は、メナジオンと過酸化水素との両方が培地中に抗生物質および抗真菌性化合物を誘導することができ、第二鉄イオンおよび/もしくは第二銅イオンがこれらの二次代謝産物の産生を促進することを示唆した。 過酸化水素は、細菌および真菌、より好ましくは菌株AQP274において、抗生物質産生を誘導することができた。より好ましくは、頻繁な(1日3回を超える)補給戦略とともに用いられた低濃度の過酸化水素(0.5%未満)の供給が、抗菌性化合物の誘導にとってより有利であった。これは、単一バッチ処理で高濃度の過酸化水素を供給するよりも良いシステムであることを示した。加えて、細菌、より好ましくは放線菌からの二次代謝産物の誘導において、メナジオンはより好ましかった。 メナジオン(ビタミンK3、2-メチル-l,4-ナフトキノン)は、原核生物と真核生物との両方においてスーパーオキシドストレスを研究するためのレドックスサイクリングキノンのモデルとして広範に使用されている(FernandesおよびMannarino, 2007; GoldbergおよびStern, 1976)。キノンレドックスサイクリングは、キノン還元生成物の自動酸化を示す。自動酸化の間、2回の一電子移動ステップは、セミキノン中間体およびスーパーオキシドの生成を伴う(図3)。実施例4UV光を用いた抗菌性化合物産生の誘導 UV光は様々なストレスの原因となり得、UVはDNAに損傷を与えることがよく知られており、それは微生物においてよく研究されている。加えて、UVはまた、別のROSである一重項酸素種の産生をも引き起こし得る。実施例2に記載される培養系は、細菌、好ましくは放線菌において抗菌性化合物を産生するために使用される。GFMSバイオリアクターシステムを用いてStreptomyces sp.菌株AQP1159を培養し、1%(v/v)グリセロールおよび1mMクエン酸Feを含有するニュートリエントブロス(NGF)中で空気/ガラス繊維膜境界面に固着群集マトリックスを定着させる。マトリックスが形成された後、バイオリアクターを36時間、3日間連続して毎日12時間、UV254に暴露した。その後、ガラス繊維膜下のNGF培地を交換し、培養物をその後4日間室温で培養した。ガラス繊維膜下の液体培地をその後回収して、抗菌アッセイを実施した。 UV254への暴露なしでは、AQP1159はCandida albicansおよびMRSAに対する検出可能な抗菌性化合物を産生しなかったが、UV254による処理および培地交換の後、AQP1159はCandida albicansとMRSAとの両方に対する抗菌剤を産生した。同一培地を用いて、ガラス繊維膜上に十分なバイオマスを形成していない新たに植菌されたAQP1159は、UV254への暴露後、それ以上増殖しなかった。NGF培地の交換もまた、抗菌性化合物の産生にとって重要であった。実施例5強制的固着微生物マトリックス(バイオフィルム)として細菌を増殖させるために設計されたバイオ発酵槽を用いた、様々なγ-プロテオバクテリアによる二次代謝産物産生の誘導 固着微生物群集において細菌を培養するために記載された方法を用い、ストレス反応を誘導するためのフリーラジカル生成培地を用いて、様々な真正細菌を二次代謝産物の誘導について試験した。例えば、Pseudoalteromonas sp.菌株AQP816をナイロン膜の表面に植菌し、その後、マリンブロスで満たした浅皿に静置した。AQP816の適切なバイオフィルムが空気/膜境界面でナイロン膜の表面に定着した時に、膜の下のマリンブロスを、新たなマリンブロス、100μg/mlメナジオンを含有するマリンブロス、3%v/v H2O2を含有するマリンブロス、1%(v/v)グリセロールを含有するマリンブロス、および1 mMクエン酸第二鉄を含有するマリンブロスを含む様々な培地に交換した。得られた結果は、メナジオンの添加は、この表面方法を用いて、特定の黒色色素化合物の産生を有意に誘導し得るが、一方、それに対応する振とうフラスコ培養では色素産生はされなかったことを示した(図4)。この所見はまた、放線菌、ストレプトミセス、ならびにブレブンディモナス、ディエツィア、ロドコッカス、シュードモナス、セラチア、フラボバクテリウム科、ビブリオおよびシュードアルテロモナスを含むγ-プロテオバクテリアの培養物においても観察され、メナジオンの存在下において膜上で増殖させた場合、それらは二次代謝産物の産生を誘導することができた。実施例6ストレスを与えるための様々な作用因子を用いた、様々な微生物による二次代謝産物の誘導 多数の更なる細菌分離株および真菌分離株を、基本的に実施例2に記載されたようにバイオフィルムとして増殖させ、様々なストレスを与えて、二次代謝産物産生の誘導を探求した。 様々なストレスを与える方法を用いた場合の有意な二次代謝産物の変化を示した様々な菌株の例は、表1に要約される。すべての菌株はバイオフィルム内で増殖し、その中で真菌は天然のバイオフィルムを形成することができた。ストレス条件が適用された7日後に、任意の所定の菌株において通常産生される二次代謝産物とは異なる、任意の二次代謝産物産生の検出が行われた。 0.5mM NaNO3は、試験された分離株においてほとんどの微生物の増殖を有意に遅延させることを示した。加えて、0.5mM NaNO3を含有する培地で増殖させた場合、多くの菌株はまた、二次代謝産物産生だけでなく形態の変化をも示した。Streptomyces sp.菌株AQP4511は、0.5mM NaNO3が添加されたPDY培地において、ナフトキノン構造を有する赤橙色化合物を産生した。その化合物はほとんどのグラム陽性細菌株に対して非常に強い活性を示した。 Cu、Fe、Mnなどの重金属もまた、多くの微生物にストレスを与えるために使用された。Cuは海洋環境において生物付着過程を妨げるための塗料に使用されており;FeおよびMnは多くの細胞の呼吸鎖に作用し得る。1つの実施例では、Bacillus licheniformi として同定されたAQP1148は、第二鉄イオンおよび炭水化物を含有する培地中で直接空気と接触して定着した強制的バイオフィルム内で増殖されないかぎり、バシトラシン、または恐らくプルケリミンと思われる赤色色素を産生しなかった。Mn2+もまた、菌株がバイオフィルムで増殖された場合、バシトラシンの産生を誘導した。Fe3+の至適濃度は1mMであり、Mn2+の至適濃度は0.5mMであった。これらの濃度より高いものは、有意な増殖の遅れを引き起こし、これは、これらの金属が与えるストレスを示した。参考文献Batchelor, S. E., M. Cooperら (1997). Cell density-regulated recovery of starved biofilm populations of ammonia-oxidizing bacteria. Appl Environ Microbiol 63(6): 2281-6.Costerton, J. W., Z. Lewandowskiら (1995). Microbial biofilms. Annu Rev Microbiol 49: 711-45. Fernandes, P. N., S. C. Mannarinoら (2007). Oxidative stress response in eukaryotes: effect of glutathione, superoxide dismutase and catalase on adaptation to peroxide and menadione stresses in Saccharomyces cerevisiae. Redox Rep 12(5): 236-44. Goldberg, B.およびA. Stern (1976). Production of superoxide anion during the oxidation of hemoglobin by menadione. Biochim Biophys Acta 437(2): 628-32.James, G. A., D. R. Korberら (1995). Digital image analysis of growth and starvation responses of a surface-colonizing Acinetobacter sp. J Bacteriol 177(4): 907-15.Li, Y. H., M. N. Hannaら (2001). Cell density modulates acid adaptation in Streptococcus mutans: implications for survival in biofilms. J Bacteriol 183(23): 6875-84.Wimpenny, J., W. Manzら (2000). Heterogeneity in biofilms. FEMS Microbiol Rev 24(5): 661-71.Yan, L., K. G. Boydら (2003). Biofilm-specific cross-species induction of antimicrobial compounds in bacilli. Appl Environ Microbiol 69(7): 3719-27. 微生物を誘導して二次代謝産物を産生させる方法であって、前記方法が以下のステップ:(a)第一条件下での増殖によって、前記微生物を含むバイオフィルムを定着させるステップと(b)前記第一条件を改変して、バイオフィルム内の1つ以上の微生物が誘導されて二次代謝産物を産生するようにするステップとを包含する方法。 前記二次代謝産物が、色素、ならびに抗生物質、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗原虫剤などの抗感染化合物、毒素、生態学的競争および共生のエフェクター、フェロモン、酵素阻害剤、免疫調節物質、受容体拮抗薬、殺虫剤、抗腫瘍物質、ならびに動植物の成長促進物質より選択される、請求項1に記載の方法。 前記微生物が少なくとも1つの種の細菌、真菌、原生動物、またはそれらの混合物を含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。 前記の少なくとも1つの微生物が、Pseudoalteromonas、Streptomycetes(放線菌)、Berundimonas、Dietzia、Rhodococcus、Micrococcus、Pseudomanas、Serratia、Flavobacteria、Vibrio、およびAlteromonas sp.を含む、請求項3に記載の方法。 前記第一条件下で培養される際、前記微生物が表面または基質上で培養され、その一部が増殖培地と接触している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記表面または基質が不活性である、請求項5に記載の方法。 前記バイオフィルムが1〜10日間で定着する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 前記表面または基質が半透性である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。 前記半透性表面または基質が、表面張力または支持構造物によって滅菌した増殖培地の表面に保持される、請求項8に記載の方法。 二次代謝産物の産生を誘導するために設計された改変条件が、バイオフィルム内の微生物の増殖もしくは生存を阻害、制限もしくは阻止する有毒または有害な物質あるいは条件あるいは化合物を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 前記改変条件が、ビタミンもしくはその合成等価物、炭水化物、タンパク質もしくはペプチド、アミノ酸、核酸、ミネラル、金属もしくは金属イオン、栄養制限、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、浸透圧条件を変化させることができる化合物、電離放射線、電磁放射線、温度変化もしくは圧力変化の少なくとも1つを添加または処理することを含む、請求項10に記載の方法。 前記改変条件が、金属もしくは金属イオン、浸透圧条件を変化させることができる化合物、および/または電磁放射線の少なくとも1つを添加あるいは処理することを含む、請求項11に記載の方法。 前記電磁放射線がUV光である、請求項12に記載の方法。 前記金属イオンがMn、Cuおよび/またはFeである、請求項12に記載の方法。 浸透圧条件を変化させることができる化合物がメナジオン、H2O2および/またはニトラートである、請求項12に記載の方法。 前記改変条件が約1〜6日間維持される、請求項11〜15のいずれか1項に記載の方法。 本発明は、微生物からの二次代謝産物の産生に関する。詳細には、様々な微生物からのこのような化合物の迅速な産生を誘導する方法を提供する。


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