タイトル: | 公表特許公報(A)_二酸化炭素吸収剤 |
出願番号: | 2009544019 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | B01J 20/04,B01D 53/14,B01J 20/30,C01B 31/20,C01F 11/02,A61P 23/00,A61K 31/08,A61K 31/02 |
ジョン ロバートソン カルロス エー・ ベニッツ シャノン ヴィッセル ダグラス エル・ ウェルナー JP 2010514556 公表特許公報(A) 20100506 2009544019 20071217 二酸化炭素吸収剤 アライド ヘルスケア プロダクツ、インコーポレーテッド 509058058 ALLIED HEALTHCARE PRODUCTS, INC. 古谷 史旺 100072718 森 俊秀 100116001 ジョン ロバートソン カルロス エー・ ベニッツ シャノン ヴィッセル ダグラス エル・ ウェルナー US 60/877,218 20061226 US 60/933,032 20070604 B01J 20/04 20060101AFI20100409BHJP B01D 53/14 20060101ALI20100409BHJP B01J 20/30 20060101ALI20100409BHJP C01B 31/20 20060101ALI20100409BHJP C01F 11/02 20060101ALN20100409BHJP A61P 23/00 20060101ALN20100409BHJP A61K 31/08 20060101ALN20100409BHJP A61K 31/02 20060101ALN20100409BHJP JPB01J20/04 BB01D53/14 AB01J20/30C01B31/20 ZC01F11/02 ZA61P23/00A61K31/08A61K31/02 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2007025659 20071217 WO2008085306 20080717 12 20090625 4C206 4D020 4G066 4G076 4G146 4C206AA01 4C206AA02 4C206BA07 4C206CA22 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA06 4C206ZA04 4D020AA03 4D020BA01 4D020BA02 4D020BB01 4D020CA05 4D020DA03 4D020DB20 4G066AA13B 4G066AA17B 4G066AA30A 4G066AA30D 4G066AA33A 4G066AA33D 4G066AA36D 4G066AA43A 4G066AA47D 4G066BA01 4G066BA20 4G066CA35 4G066DA01 4G066FA03 4G066FA25 4G066FA37 4G076AA02 4G076DA25 4G146JA02 4G146JC22 本出願は、2006年12月26日に出願された米国仮出願第60/877,218号と2007年6月4日に出願された米国仮出願第60/933,032号による利益を請求するものである。 本発明は、水酸化ナトリウムまたはカリウムを実質的に含有しない石灰、水酸化リチウムまたは水酸化リチウム前駆体、および水を含むガス系のための二酸化炭素吸収剤配合物に関する。吸収剤配合物は、特に、低流量または閉回路麻酔中に使用するために意図されているが、慣用のソーダ石灰吸収剤が使用される用途のために使用することができる。 最も一般的な二酸化炭素用の吸収剤は、消石灰または水酸化カルシウムである。正味二酸化炭素吸収反応において、吸収剤配合物は基質として役立つために水が必要となる。 CO2(g)+Ca(OH)2(s) → CaCO3(s)+H2O(g,1)ここで、二酸化炭素は、石灰と反応して、炭酸カルシウムおよび水をもたらす。慣用的には、石灰を、水酸化ナトリウムおよび/またはカリウムと組み合わせて、ソーダ石灰を形成する。強アルカリ水酸化物の存在により、ソーダ石灰は、石灰および水のみを含有する混合物よりも、より迅速に、かつ高い能力で二酸化炭素を吸収することができる。 ソーダ石灰の欠点は、強水酸化物塩基に対する麻酔薬の過敏性である。最も一般的に使用されている現在の麻酔薬は、水酸化ナトリウムおよび/またはカリウムと化学的に反応して、毒性である可能性のある副生成物を形成しうるフッ素化炭化水素である。例えば、麻酔薬セボフルラン(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(フルオロメトキシ)プロパン)は、水酸化物誘発脱フッ化水素化を受けて、「Compound A」(フルオロメチル−2,2−ジフルオロ−1−(トリフルオロメチル)ビニルエーテル)と称されるフルオロ−オレフィン副生成物をもたらし、これは、ラットに対して、60〜100ppmの濃度で腎毒性であり、350〜400ppmの濃度で致死性であることが判明している。 水酸化ナトリウムおよび/またはカリウムを含有する吸収剤を使用する場合のさらなる懸念は、混合物の乾燥の可能性である。麻酔薬と無水ソーダ石灰における高度な発熱性の化学反応によって、ホルムアルデヒド、メタノールおよび一酸化炭素といった望ましくない副生成物が放出される。極端な場合には、これらの化学反応により放出される熱が、火災をもたらす。 副生成物であるCompound Aの形成ならびにホルムアルデヒド、メタノールおよび一酸化炭素への発熱性分解の問題に対処するために、2つの主なアプローチがとられてきた。第1のアプローチは、吸収剤配合物から水酸化ナトリウムおよびカリウムなどの強アルカリ水酸化物を除去することである。特許文献1および特許文献2はそれぞれ、水酸化ナトリウムおよびカリウムを実質的に含有しない水酸化カルシウムを含む二酸化炭素吸収剤を開示している。特許文献3は、水酸化ナトリウムを実質的に含有しない石灰を含み、水を実質的に含有せず、湿潤剤を実質的に含有せず、かつ少なくとも20%の無水水酸化リチウムを含有する二酸化炭素吸収剤を開示している。特許文献4は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを含有せず、水酸化バリウムおよび/または水酸化マグネシウムおよび/または水酸化リチウムが加えられていてよい石灰の使用を開示している。特許文献4には、範囲も、配合物の含水率も開示されていない。前記で挙げた刊行物のいずれも、消石灰を70〜90重量%および水を5〜25重量%に対して、水酸化リチウム、水酸化リチウム前駆体またはそれらの組合せを0.1〜17%使用することは開示していない。 麻酔薬分解を回避するために使用される第2のアプローチは、吸収剤混合物の保水性および/または色指示特性を増強する吸湿性塩または他の湿潤剤を加えることである。特許文献5は、ソーダ石灰の保水特性を増強するために塩化カルシウムを使用することを開示している。特許文献6は、塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムを0.2〜2.0重量%、ソーダ石灰吸収剤配合物中で使用することを開示している。特許文献1は、水を7.5〜20重量%をもたらすのに十分な量で存在する塩化カルシウム六水和物および/または塩化マグネシウム六水和物である無機湿潤剤を包含する石灰ベースの二酸化炭素配合物を開示している。加えて、この刊行物は、有機湿潤剤としてグリセロールを2.5〜25体積%加えることを開示している。グリセロールは、Compound Aなどのオレフィン生成物に対して反応性であることも知られている(非特許文献1)。特許文献7は、水酸化カルシウムを含む二酸化炭素吸収剤を開示しており、これは、水酸化ナトリウムまたはカリウム、水、ホスホン酸および塩の群からのレオロジー調節剤ならびに色指示特性を改善するための塩化カルシウムを0.1〜6.0重量%含有してよい。米国特許第6,228,150号明細書米国特許出願公開第2004/0029730号明細書WO01/45837号パンフレットドイツ特許第19740736号明細書カナダ特許第1151633号明細書米国特許出願公開第2004/0029730号明細書米国特許第6,867,165号明細書Cunningham 1996年 前記で挙げられた刊行物のいずれも、塩化カルシウムまたは他の湿潤剤を、水酸化リチウムまたは水酸化リチウム前駆体もしくはそれらの組合せを0.1〜17重量%、石灰を70〜90重量%および水を5〜25重量%含有する配合物中で使用することは開示されていない。 本発明は、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを実質的に含有しない石灰を70〜90重量%、水酸化リチウム、1種もしくは複数の水酸化リチウム前駆体またはそれらの組合せを0.5〜17重量%、ならびに水を5〜25重量%含有する二酸化炭素用の吸収剤である。水酸化リチウム前駆体は、溶液中にリチウムイオンを放出する化合物である。石灰(水酸化カルシウム)および水の存在下において、リチウム担持化合物はリチウムイオンを、カルシウムイオンおよびヒドロキシドイオンと共に放出して、その場でLiOHを形成する。LiOH前駆体のいくつかの例には、これらに限られないが、無水水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)、塩化リチウム(LiCl)、塩化リチウム水和物(LiCl・H2O)、炭酸リチウム(Li2CO3)およびケイ酸リチウムが包含される。加えて、配合物は、硬化剤、水指示薬、消耗指示薬または湿潤剤を約0.1〜10重量%含有してもよい。吸収剤は顆粒化されることで、顆粒化したソーダ石灰が現在使用されている潜水艦、閉回路水中呼吸具または緊急呼吸具などに使用することができる。特に、本発明は、吸入麻酔薬とのその相容性により、低流量および閉回路麻酔を包含する医学的麻酔において使用するために意図されている。水酸化リチウムの高い活性により、本発明の吸収剤の寿命は典型的には、追加の強アルカリを伴わない他の市販製品の寿命よりも長くなる。 二酸化炭素吸収剤は、石灰、水酸化リチウムまたは水酸化リチウム前駆体および水を混合することでペーストを形成し、これを押し出して顆粒を形成することにより調製される。次いで、顆粒化物質を、所望の含水率まで乾燥させるか、または完全に乾燥させて、所望の含水率まで再水和させ、直径約2から5mmのペレットサイズを保持するようにスクリーニングする。本発明の吸収剤の他の形態およびサイズもまた考えられる。 吸収剤で使用される石灰は、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを実質的に含有しない水酸化カルシウムである。少量の不純物が石灰中に存在してもよい。水酸化リチウム前駆体は、溶液中でリチウムイオンを放出する化合物である。石灰(水酸化カルシウム)および水の存在下に、リチウム担持化合物はリチウムイオンを、カルシウムイオンおよびヒドロキシドイオンと共に放出して、その場でLiOHを形成する。LiOH前駆体のいくつかの例には、これらに限られないが、無水水酸化リチウム(LiOH)、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)、塩化リチウム(LiCl)、塩化リチウム水和物(LiCl・H2O)、炭酸リチウム(Li2CO3)およびケイ酸リチウムが包含される。1種または複数の前駆体を組み合わせて使用することができる。吸収剤配合物中での水酸化リチウムの量は、その調製で使用される1種または複数の前駆体の種類に応じて算出する。無水水酸化リチウムを調製で使用する場合、これは、処理の間に水和されて、水酸化リチウム一水和物をもたらし、次いで、これが、石灰および水混合物中でリチウムおよびヒドロキシドイオンを放出する。 本発明は、処理および製造特性を改善するか、利用効果または麻酔薬相容性を改善する物質をさらに含む。本発明の好ましい実施形態では、塩化カルシウム約0.1〜5.0%が湿潤剤として存在する。吸収剤配合物はグリセロール0.5〜5.0%を湿潤剤、及びフルオロオレフィンCompound Aの化学的捕捉剤としてさらに包含してよい。 本発明の配合物は、0.01〜0.30%の量で存在するエチルバイオレット、メチルバイオレット、チタンイエロー、KenazolイエローまたはClaytonイエローから選択される指示薬染料を包含する他の少量の成分を追加的に含んでよい。塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸リチウム、硫酸カルシウムまたは硫酸マグネシウムなどの硬化剤が、0.1〜10%の量で存在してよい。アルカリハロゲン化物および/またはアルカリ土類ハロゲン化物約0.1〜5.0%もまた、少量成分として加えることができる。 水酸化リチウム、水酸化リチウム前駆体またはそれらの組合せを含有する請求の吸収剤配合物の試料を調製し、試験した。本発明の次の実施例は、説明を目的とするものにすぎず、本発明の請求項を何ら制限するものではない。すべての百分率は、他に明示しない限り重量による。[実施例1] ケイ酸リチウム水溶液(ケイ酸リチウム20重量%含有)約92gを、水284g中で混合し、続いて、グリセロール31gを加えた。次いで、生じた溶液を、石灰1172gと混合した。別のコンテナで、水酸化リチウム一水和物53gを水400gに溶かし、続いて、エチルバイオレット指示薬水溶液15mLを加えた。次いで、水酸化物溶液を、石灰−ケイ酸塩−グリセロール混合物に、所望の粘稠度およびテクスチャまで混合した。生じたペーストを押出して、直径約3mmおよび長さ3〜10mmの円柱形ペレットを得た。ペレットを110℃で、約15重量%の好ましい含水率までオーブン乾燥させた。[実施例2] ケイ酸リチウム水溶液(ケイ酸リチウム20%含有)約92gを水284g中で混合し、続いて、グリセロール31gを加えた。次いで、生じた溶液を石灰1184gに加え、所望の粘稠度およびテクスチャまで混合した。生じたペーストをペレットに押出し、所望の含水率まで乾燥させた。[実施例3] 水酸化リチウム一水和物約8gを、水460gに溶かし、続いて、エチルバイオレット指示薬水溶液約15mLを加えた。次いで、水酸化物溶液を石灰1288gと混合した。別のコンテナで、塩化カルシウム約34gを水460gに溶かした。次いで、塩化物溶液を、石灰−水酸化物混合物に加え、混合し、次いで、生じたペーストをペレットに押出し、所望の含水率まで乾燥させた。[実施例4] 塩化リチウム約8gおよび塩化カルシウム23gを水920gに溶かし、続いて、エチルバイオレット指示薬水溶液約15mLを加えた。次いで、塩化物溶液を石灰1296と混合し、次いで、生じたペーストをペレットに押出し、所望の含水率まで乾燥させた。 調製の後に、実施例1〜4を、麻酔呼吸回路で試験して、二酸化炭素吸収性能を測定し、compound Aまたは他の分解副生成物の形成を監視した。これらの実験では、吸収剤約1kgを、麻酔機械(North American Drager NARKOMED 2)の下部(下流)吸収剤キャニスターに入れた。500mLの一回呼吸量を、1分当たり呼吸20回の呼吸速度で、1分当たり10リットルの全体積で使用した。吸息:呼息比は、1:2であった。セボフルラン濃度を、体積で4%に設定した(North American Drager Vaporizer 19.1)。新鮮ガス速度は、低流量麻酔条件をシミュレートするために、1リットル分であった(N2O 600mL/O2 400mL)。1分当たり約400mLのCO2流速を人工肺に送達して、呼気中CO24%を達成した。超音波浴が、相対湿度100%を達成するために肺アセンブリに包含されていた。医療用カプノメーター(DATASCOPE Multinex 4000)を使用して、実験を通して麻酔回路ガス(セボフルラン、N2O、O2、CO2)を監視した。吸気は、吸収剤キャニスター(吸息アーム)から出て、呼気は人口肺(呼息アーム)から出た。吸息アーム中の一酸化炭素を、カプノメーター排気をCOモニター(VULCAIN VA301D2)でサンプリングすることにより測定した。ガス試料を吸息アームから抜き取って、ガスクロマトグラフィーにより、分解副生成物(Compound Aなど)を監視した。CO2ガス濃度が、呼吸回路の吸息アーム中、体積で0.5%まで上昇したら、各実験を終えた。 表1に、水酸化リチウムまたは1種もしくは複数の水酸化リチウム前駆体を含む実施例1〜4での試験結果をまとめる。各配合物での1種または複数の水酸化リチウム前駆体の量は、重量パーセントで示され、無水種として挙げられている。各試料の吸収性能は、利用率によって測定される。即ち、質量増加によって決定される利用率は、(吸息アーム内をCO20.5%としたときの)吸収剤1キログラムを消費するまでに吸収される二酸化炭素のリットル数からなる。 表1に示す利用率の結果により、様々なLiOH前駆体を使用して調製された配合物で同様の性能が証明される。水酸化リチウム一水和物、ケイ酸リチウムおよび塩化リチウムを使用して調製された試料は、低流量麻酔条件下において吸収剤1キログラム当たり二酸化炭素164〜169リットルを吸収する。配合物への湿潤剤および硬化剤としての塩化カルシウムの添加により、セボフルラン分解副生成物であるcompound Aおよび一酸化炭素の生成が低減された。実施例3および4は、重量でリチウム0.1%、塩素1.4%、水16%および消石灰82.5%の理想的な吸収剤組成が生じるように調製された。表1の分解および利用率の結果は、二酸化炭素吸収剤配合物内における水酸化リチウムへの前駆体として、水酸化リチウム一水和物および/または塩化リチウムを使用した場合でも同等の結果となることを証明している。[実施例1〜8] 本発明の好ましい実施形態では、吸収剤配合物は、水酸化カルシウムを70〜90重量%、水を5〜25%、指示薬染料としてのエチルバイオレットを0.01〜0.3%、水酸化リチウム前駆体としてのLiClを0.5〜17%、および湿潤剤としてのCaCl2を0.1〜5.0%含有している。好ましい配合物の試料は、実施例5〜実施例8の通りに調製され、ペレット硬度、セボフルラン分解副生成物の生成および二酸化炭素の利用率について試験した。水酸化リチウム前駆体としてのLiClと、湿潤剤としてのCaCl2とを含む実施例5〜8での実験結果を、表2に示す。 水酸化リチウム前駆体としての塩化リチウム、および湿潤剤としての塩化カルシウムの添加は、次の一般的な作用を吸収剤性能に有することを、表2の結果は示しており、配合物中でのCaCl2の量の増加は、ペレット硬度を上昇させ、利用率を低下させ、Compound Aの生成を低減させており、配合物中でのLiClの量の増加は、二酸化炭素の利用率を上昇させ、ペレット硬度を低下させる。表2に挙げられた全ての実施例で、麻酔回路中の一酸化炭素濃度は、実験を通して検出レベル未満にとどまった。[実施例9](本発明の吸収剤と市販の吸収剤との比較) 本発明の好ましい実施形態、下記の実施例9では、配合物は、エチルバイオレット指示薬を0.025%、塩化リチウムを0.5%、塩化カルシウムを2.0%、水を13〜18%、および石灰を79〜84%を含み、これを、次の通り調製した。塩化リチウム約8gおよび塩化カルシウム32gを水923gに溶かし、続いて、エチルバイオレット指示薬水溶液約15mLを加えた。次いで、塩化物溶液を石灰1288gと混合し、次いで、生じたペーストをペレットに押し出し、所望の含水率まで乾燥させ、スクリーニングして、直径約0.2〜0.5cmのペレットサイズを得た。 実施例9の複数の試料は、市販の二酸化炭素吸収剤と、吸収能およびセボフルランなどの麻酔薬との相容性の試験で比較した。市販の吸収剤には、表3に示されている次の配合物が包含される。 二酸化炭素吸収能(利用率)およびCompound Aの発生の両方を、上記の麻酔条件で新鮮な吸収剤の試料を使用して試験した。市販の吸収剤および実施例9の試料をまた、乾燥条件下でのセボフルランとの相容性を試験するために乾燥させた。これらの試験のために、吸収剤試料を、その含水率がほぼ0重量%になるまで、酸素ガスの高流量下に置いた。次いで、乾燥試料を、酸素87%、セボフルラン8%および二酸化炭素5%の混合体に晒した。ガスクロマトグラフィーを使用して、麻酔回路ガスを、メタノールおよび一酸化炭素、セボフルランなど、乾燥吸収剤との望ましくない副反応による生成物に関して試験した。これらの実験それぞれでの試験結果を表3にまとめたが、これは、Compound Aの形成および新鮮な吸収剤の利用率ならびに乾燥吸収剤でのメタノールおよび一酸化炭素の生成量を挙げている。 表3の結果は、実施例9の試料は、水酸化カリウム(吸収剤1)または水酸化ナトリウム(吸収剤2)を含有する慣用の吸収剤の試料よりもかなり少ないCompound Aを生成することを示している。実施例9での吸収剤もまた、塩化カルシウム(吸収剤3および4)を含有する市販の吸収剤よりも高い二酸化炭素吸収能を有する一方で、良好なペレット硬度および最小Compound Aの生成を維持する。 さらに、水酸化カリウム(吸収剤1)または水酸化ナトリウム(吸収剤2)を含有する慣用の吸収剤は、乾燥させると、セボフルランと反応して、著しい量のメタノールおよび一酸化炭素を麻酔呼吸回路で発生させる。実施例10の乾燥試料は、セボフルランおよび乾燥吸収剤との望ましくない副反応において、このような証拠を示さない。これらを考えると、試験結果は、本発明の好ましい吸収剤配合物は、大抵の市販の吸収剤よりも高い吸収能、望ましくないフルオロオレフィン副生成物Compound Aの最小生成、湿潤剤の添加による低い乾燥リスク、ならびに乾燥吸収剤およびセボフルランとの相互作用から形成される望ましくない副生成物がごく僅かであることを示している。 水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを実質的に含有しない石灰を約70〜90%、水酸化リチウムまたは水酸化リチウム前駆体もしくはそれらの組合せを約0.1〜17%、ならびに水を約5〜25%含むことを特徴とする二酸化炭素吸収剤配合物。 前記水酸化リチウム前駆体は、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、塩化リチウム、塩化リチウム水和物、炭酸リチウムもしくはケイ酸リチウムまたはそれらの組合せからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の吸収剤。 硬化剤を約0.1〜10.0%さらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の吸収剤。 前記硬化剤は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムもしくはケイ酸リチウムまたはそれらの組合せからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の吸収剤。 前記吸収剤は、さらにアルカリハロゲン化物またはアルカリ土類ハロゲン化物を約0.1〜5.0%含有することを特徴とする、請求項1に記載の吸収剤。 塩化カルシウムを約0.1〜5.0%含有することを特徴とする、請求項1に記載の吸収剤。 グリセロールを約0.5〜5.0%含んでもよいことを特徴とする、請求項2に記載の吸収剤。 前記水酸化リチウム前駆体は水酸化リチウムおよび/または塩化リチウム約0.1〜17%であり、前記吸収剤は塩化カルシウムを約0.1〜5.0%含有することを特徴とする、請求項1に記載の吸収剤。 二酸化炭素吸収剤を製造する方法であって、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを実質的に含有しない石灰約70〜90%、ならびに水酸化リチウムまたは水酸化リチウム前駆体もしくはそれらの組合せ約0.1〜17%を水性懸濁液または水溶液中で混合して、ペーストを形成するステップと、前記ペーストを乾燥させて、前記吸収剤を形成するステップとを含むことを特徴とする方法。 前記吸収剤の最終含水率は、水約5〜25%であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。 指示染料、硬化剤、処理剤および湿潤剤を、前記吸収剤が乾燥する前に加えることを特徴とする、請求項9に記載の方法。 麻酔ガス中の二酸化炭素を吸収する方法であって、前記麻酔ガスから二酸化炭素を除去するために、二酸化炭素を含有する前記麻酔ガスを、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを実質的に含有しない石灰を約70〜90%、水酸化リチウムまたは水酸化リチウム前駆体もしくはそれらの組合せを約0.1〜17%、ならびに水を約5〜25%含む二酸化炭素吸収剤配合物と接触させることを特徴とする方法。 前記麻酔剤は、セボフルラン、デスフルラン、イソフルラン、ハロタンもしくはエンフルランまたはそれらの組合せからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。 前記水酸化リチウム前駆体は、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、塩化リチウム、塩化リチウム水和物、炭酸リチウムもしくはケイ酸リチウムまたはそれらの組合せを含むグループから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。 前記吸収剤は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムまたはケイ酸リチウムからなるグループから選択される少なくとも1種の硬化剤を含有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。 前記吸収剤は、アルカリハロゲン化物もしくはアルカリ土類ハロゲン化物またはそれらの組合せを約0.1〜5.0%含有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。 前記吸収剤は、塩化カルシウムを約0.1〜5.0%含有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。 前記吸収剤は、グリセロールを約0.5〜5.0%含有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。 前記水酸化リチウム前駆体は水酸化リチウムおよび/または塩化リチウムを約0.1〜17%含有し、前記吸収剤は塩化カルシウムを約0.1〜5.0%含有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。 前記吸収剤は、指示薬染料を0.1〜3.0%含有することを特徴とする、請求項12に記載の方法。 石灰を70〜90%、水酸化リチウムまたは水酸化リチウム前駆体もしくはそれらの組合せを0.1〜17%、および水を5〜25%を用いて製造された低流量または閉回路での麻酔学における使用に適した二酸化炭素吸収剤であって、ここで、前記吸収剤は、副生成物であるCompound Aの生成が低く、高い吸収率をもたらす。