生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_GPR4の阻害
出願番号:2009540777
年次:2010
IPC分類:A61K 45/00,C12N 15/09,A01K 67/027,A61K 48/00,A61K 31/7088,A61P 35/00,A61P 17/06,A61P 19/02,A61P 25/00,A61P 9/10,G01N 33/50,G01N 33/15


特許情報キャッシュ

クラウス・ゾイヴェン エリック・ビリー トマ・シュプリ ロレンツァ・ヴィダー ジャネット・ドーソン・キング マリー−ガブリエル・ルートヴィッヒ マティアス・ミューラー プニータ・ナス キャロル・エリザベス・ジョーンズ JP 2010513246 公表特許公報(A) 20100430 2009540777 20071213 GPR4の阻害 ノバルティス アーゲー 504389991 田中 光雄 100081422 山田 卓二 100101454 岩崎 光隆 100067035 青山 葆 100062144 中川 将之 100144923 クラウス・ゾイヴェン エリック・ビリー トマ・シュプリ ロレンツァ・ヴィダー ジャネット・ドーソン・キング マリー−ガブリエル・ルートヴィッヒ マティアス・ミューラー プニータ・ナス キャロル・エリザベス・ジョーンズ EP 06126205.1 20061215 A61K 45/00 20060101AFI20100402BHJP C12N 15/09 20060101ALI20100402BHJP A01K 67/027 20060101ALI20100402BHJP A61K 48/00 20060101ALI20100402BHJP A61K 31/7088 20060101ALI20100402BHJP A61P 35/00 20060101ALI20100402BHJP A61P 17/06 20060101ALI20100402BHJP A61P 19/02 20060101ALI20100402BHJP A61P 25/00 20060101ALI20100402BHJP A61P 9/10 20060101ALI20100402BHJP G01N 33/50 20060101ALI20100402BHJP G01N 33/15 20060101ALI20100402BHJP JPA61K45/00C12N15/00 AA01K67/027A61K48/00A61K31/7088A61P35/00A61P17/06A61P19/02A61P25/00 101A61P9/10G01N33/50 ZG01N33/15 Z AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2007063899 20071213 WO2008071771 20080619 40 20090812 1.テフロン 2.ウィンドウズ 2G045 4B024 4C084 4C086 2G045DA14 4B024AA01 4B024CA11 4B024HA17 4C084AA13 4C084AA17 4C084ZA022 4C084ZA452 4C084ZA892 4C084ZA962 4C084ZB262 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA16 4C086NA14 4C086ZA45 4C086ZA89 4C086ZA96 4C086ZB26 4C086ZC011.発明の分野 本発明は、新脈管形成の阻害、例えば癌治療における腫瘍成長の阻害または関節炎の処置を目的とする医薬の製造におけるGPR4阻害剤の使用に関するものである。好ましい態様では、上記阻害剤はsiRNAである。 本発明はまた、GPR4が不活化されている非ヒト動物および新脈管形成についての実験モデルとして、および新脈管形成を調節する化合物をスクリーニングするための上記動物の使用に関するものである。2.発明の背景 GPR4は、3種の密接に関連したGタンパク質共役型受容体(GPCR):GPR4、OGR1/GPR68およびTDAG8/GPR65を含むタンパク質ファミリーに属する。我々は、OGR1およびGPR4が細胞外プロトンを感知し、弱酸性pHへ曝露されたときに細胞内第2メッセンジャーを刺激することを以前に示した1。同様に、TDAG8も、プロトン感受性受容体として同定されている2、3。これらの受容体の半最大活性化は、pH7.4前後の生理学的範囲で観察され、最高の活性はpH6.8で観察される。遺伝子発現プロファイリング試験において、我々は、GPR4 mRNAの発現と内皮細胞に関するマーカー遺伝子の間に強い相関関係を見出した。以前の報告は、既に内皮細胞機能におけるGPR4の重要な役割について記載しているが、これらの発見は、推定されるリガンドスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)に関連して見られたものである4、5。新脈管形成、すなわち新たな血管の形成は、癌の顕著な特徴であり、腫瘍を大きさ1〜3mm3以上に成長させ得て、局所的浸潤および転移を促す。これは、血管新生増殖因子、例えばVEGF(血管内皮増殖因子)の異所性発現および低酸素状態、グルコース欠乏、および酸化および機械的ストレスによる腫瘍微小環境の局所改変により誘導される6。最近、最初の抗VEGF療法が、結腸直腸癌の処置に是認され、新脈管形成が癌治療に関する重要な標的であるという概念が確認された。 腫瘍は、正常組織と比べて酸性のpHを有し得る7。低酸素状態に応答して、腫瘍細胞は、解糖速度を高めてエネルギーを生じることにより、細胞外空間を酸性化する8、9。腫瘍の常用的画像診断方法である、FdG(フルオロデスオキシグルコース)PET(陽電子放射断層撮影)により観察され得るところによると、ほとんどの腫瘍は解糖を上方制御する。低酸素状態およびアシドーシスに順応することにより、腫瘍細胞は、正常細胞が耐容しない条件下でも生き残るため、この特徴は浸潤能と相関関係を示し得る。正常細胞は酸性微小環境に長時間曝露されると、壊死またはアポトーシスが起こる11。 細胞がどのように細胞外アシドーシスに順応し得るかについてはほとんど知られておらず、新脈管形成の調節における低酸素状態とアシドーシス間の相互作用についても完全に解明されているわけではない12。3.発明の要旨 本発明者らは、内皮細胞におけるGPR4の発現を分析し、これらの細胞におけるpH依存的cAMP形成を示している。本発明者らは、HUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)において、cAMP応答がGPR4特異的siRNAにより排除されることを立証しているが、このことはGPR4がpH感知に関与することを示すものである。これらの発見は、新脈管形成の制御に関する有望な新しい方法を示している。 生理機能におけるGPR4の役割についての理解をさらに深めるため、本発明者らはGPR4欠損マウスを作製した。驚くべきことに、これらの動物は、生存能力および繁殖力があり、重大な異常も示さないことから、GPR4が発達中において不可欠ではないことがわかる。しかしながら、GPR4欠損マウスは、増殖因子移植新脈管形成モデルに付されたとき、bFGF推進によるのではなく、VEGF推進による新脈管形成に対して顕著に低い応答を示す。さらに、異なる2つの正常位腫瘍モデルにおいて野生型マウスと比べるとGPR4欠損マウスでは腫瘍の成長が小さい。腫瘍成長の低下は、GPR4欠損マウスにおいては血管構造の損傷およびVEGFR2レベルの低下と相関関係を示す。したがって、理論に縛られることを望まないが、本発明者らは、アシドーシスがGPR4を介して内皮細胞により感知され、このシグナルが病理学的新脈管形成を調節し得るという結論に達した。これらの発見は、新脈管形成の制御に関する有望な新しい方法を示している。 このため、本発明は、新脈管形成の阻害、例えば癌、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症またはアテローム性動脈硬化症の治療における腫瘍成長の阻害を目的とする医薬の製造についてのGPR4阻害剤の使用に関するものである。好ましい態様では、上記阻害剤は、好ましくは2本鎖のsiRNAである。 特に好ましいのは、ヒトGPR4に対してターゲッティングされた2本鎖siRNA分子であり、上記2本鎖siRNA分子は以下の配列を有する:センス:5'−GCGCTGTGTCCTATCTCAAdTdT−3'(配列番号1)およびアンチセンス:5'−TTGAGATAGGACACAGCGCdAdG−3'(配列番号2)またはセンス:5'−CCATGTCTGGCCAGATAAAdTdT−3'(配列番号4)およびアンチセンス:5'−TTTATCTGGCCAGACATGGdCdG−3'(配列番号5)、またはセンス:5'−CATAAGACCGCAATTCTAAdTdT−3'(配列番号7)およびアンチセンス:5'−TTAGAATTGCGGTCTTATGdTdT−3'(配列番号8)。 本発明はまた、本発明のGPR4阻害剤による患者の処置を包含する。 さらに本発明は、配列番号1〜20の配列を含むsiRNA分子を包含し、そのsiRNAは例えばヒトおよびマウスでの使用に適している。さらに、本発明は、GPR4を欠くヒト以外のノックアウト動物および新脈管形成、癌または関節炎に関する実験モデルとして、および新脈管形成、癌または関節炎を調節する化合物についてスクリーニングするための非ヒト動物の使用を包含する。4.図面の簡単な説明 図1:GPR4は、内皮細胞で高度発現されるa)様々なタイプの内皮細胞(濃灰色)、正常細胞(明灰色)および腫瘍細胞系(白色)におけるGPR4発現を、マイクロアレイ実験により測定した。GPR4発現レベルのMAS5正規化値を示す(1サンプル当たりn=2〜3)。HUVECは、Vectec(VT)またはPromocell(PC)からのものであった。HPAEC:一次ヒト肺大動脈内皮細胞;HMVEC:一次ヒト微小血管内皮細胞、DU145ヒト前立腺癌細胞;ヒーラヒト頸癌細胞。b)幾つかのヒトおよびマウス内皮細胞におけるRT−PCRによりGPR4の発現を確認したが、試験腫瘍細胞には存在しなかった。GAPDHを内部対照として使用した。MS1:マウス膵臓内皮細胞系、4T1:マウス乳房腫瘍細胞系、CT26:マウス結腸腫瘍細胞系。 図2:GPR4発現細胞は、GPR4特異的siRNAにより遮断され得る反応である、cAMP産生による細胞外酸性化に応答する。細胞外pH変化に応じたcAMPの産生を、a)GPR4により安定してトランスフェクションされたヒーラ細胞で評価した。HUVECSでのb〜d)において、bではアッセイウインドウを増やすためフォルスコリン(FSK、アデニリルシクラーゼアゴニスト)を用いた。d)対照ではなく、GPR4特異的siRNAが、pH依存的cAMP産生を阻害する(1点当たりn=2〜3測定値)。IBMX(ホスホジエステラーゼ阻害剤)を用いて、cAMPを安定させた。 図3:GPR4欠損マウスの作製a)ES細胞での相同的組換えによるGPR4欠損マウスの作製に使用されるターゲッティング構築物および戦略。Pは、構築物の作製に使用されるプライマーを示す(「材料および方法」参照)。b)パネルaに描いたプローブによる野生型およびGPR4欠損マウスからのSacI消化ゲノムDNAでのサザンブロット。c)野生型およびGPR4欠損マウスの異なる臓器におけるGPR4についてのRT−PCR。クラスリン−2K(Clathk)を対照として使用した。d)野生型またはGPR4欠損マウスから摘出した一次肺内皮細胞(肺EC)におけるGPR4についてのRT−PCR、GAPDHを対照として使用した。 図4:GPR4欠損により、VEGF推進による新脈管形成に対する応答が損なわれるa)成長因子を含有または不含有の寒天を含むテフロンチャンバーを、野生型またはGPR4欠損雌マウスの背中に埋め込んだ。4日後、埋込物を取り出し、チャンバー周囲に形成されている組織を秤量した。b)内皮細胞特異的マーカーTie2について、脈管質を定量する方法としてELISAにより測定した。c)種々の埋込物の物質的外観。d)siRNAと共に成長因子を含有または不含有の寒天を含むテフロンチャンバーを、野生型雌マウスの背中に埋め込んだ。3日後、埋込物を取り出し、チャンバー周囲に形成されている組織を秤量した。e)Tie2マーカーの量を、成長因子およびsiRNAを含むチャンバーにおいてELISAにより測定した(1群あたりn=6、*P≦0.05WT対GPR4−KO;**PBSと比較しP≦0.05)。 図5:GPR4−KOマウスは、2つの異なる正常位腫瘍モデルにおいて腫瘍成長の低下を示すa)同遺伝子型4T1乳房腫瘍細胞を、野生型およびGPR4欠損マウスの脂肪パッドに正常位移植した。腫瘍の成長をカリパスで経時的に測定した。b)21日後にマウスを殺し、4T1腫瘍重量を測定した(1群あたりn=6マウス、*P≦0.05WT対GPR4−KO)。c)同遺伝子型CT26結腸腫瘍細胞を、WTおよびGPR4欠損マウスの盲端に正常位移植した。20日後に動物を殺し、腫瘍重量を測定した。d)結腸腫瘍の物質的外観。(1群あたりn=8〜10、*P≦0.05WT対GPR4−KO)。 図6:a)野生型マウスと比較した場合の、GPR4欠損マウスで成長させたCT26腫瘍における血管の脆弱で破裂した外観の例(CD31染色、バー=50μm)。b)WTまたはGPR4欠損マウス(1群あたりn=4〜5)で成長させた腫瘍の全領域においてCD31陽性血管を数えることにより、血管密度を評価した。c)血管の長さ。d)野生型対GPR4欠損マウス(1群あたりn=5;*P<0.001)で成長させた腫瘍において増殖しているKi67−陽性細胞のパーセンテージ。 図7:GPR4欠損は、他の内皮細胞マーカーではなく、VEGFR2の下方制御をもたらすa〜b)VEGFR2 8(a)およびTie2(b)発現を、ELISAによりWTまたはGPR4欠損マウスの肺において測定した。c)EphB4およびVE−カドヘリン発現を、ウエスタンブロットによりWTおよびGPR4欠損マウスの肺において測定した。チューブリンを同等のタンパク質負荷についての対照として使用した。(1群あたりn=6、*P<0.05)。d)HUVEC細胞を異なるsiRNAでトランスフェクションし、VEGFR2の表面発現を、トランスフェクションの48時間後FACS分析により評価した。 図8:GPR4欠損マウスは、野生型マウスと比べて膝腫脹を顕著かつ大きく阻害する。 図9:GPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における短期タバコ煙曝露後の気管支肺胞洗浄液中の全細胞、マクロファージ、リンパ球および好中球の平均数。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001。□=Balb/C模擬曝露マウス、■=GPR4−/−模擬曝露マウス、=Balb/C煙曝露マウス、=GPR4−/−煙曝露マウス。 図10:GPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における中期タバコ煙曝露後の気管支肺胞洗浄液中の全細胞、マクロファージ、リンパ球および好中球の平均数。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001。データは平均±SEMとして示されている。□=Balb/C模擬曝露マウス、■=GPR4−/−模擬曝露マウス、=Balb/C煙曝露マウス、=GPR4−/−煙曝露マウス。 図11:GPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における中期タバコ煙曝露後の肺組織におけるMIP−2レベル。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001。データは平均±SEMとして示されている。□=Balb/C模擬曝露マウス、■=GPR4−/−模擬曝露マウス、=Balb/C煙曝露マウス、=GPR4−/−煙曝露マウス。 図12:卵アルブミン感作および卵アルブミン曝露後のGPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における気道過敏症。個々の動物からの対数濃度−肺抵抗曲線の補間によりPC300を計算した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001。データは平均±SEMとして示されている。 図13:GPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における長期タバコ煙曝露後の気管支肺胞洗浄液中の全細胞、マクロファージ、リンパ球および好中球の平均数。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.0001。データは平均±SEMとして示されている。□=Balb/C PBS曝露マウス、■=GPR4 PBS−曝露マウス、=Balb/C卵アルブミン曝露マウス、=GPR4−/−卵アルブミン曝露マウス。GPR4は、内皮細胞で高度発現されるGPR4発現細胞は、GPR4特異的siRNAにより遮断され得る反応である、cAMP産生による細胞外酸性化に応答するGPR4欠損マウスの作製GPR4欠損により、VEGF推進による新脈管形成に対する応答が損なわれるGPR4−KOマウスは、2つの異なる正常位腫瘍モデルにおいて腫瘍成長の低下を示すa)野生型マウスと比較した場合の、GPR4欠損マウスで成長させたCT26腫瘍における血管の脆弱で破裂した外観の例(CD31染色、バー=50μm)。b)WTまたはGPR4欠損マウス(1群あたりn=4〜5)で成長させた腫瘍の全領域においてCD31陽性血管を数えることにより、血管密度を評価した。c)血管の長さ。d)野生型対GPR4欠損マウス(1群あたりn=5;*P<0.001)で成長させた腫瘍において増殖しているKi67−陽性細胞のパーセンテージ。GPR4欠損は、他の内皮細胞マーカーではなく、VEGFR2の下方制御をもたらすGPR4欠損マウスは、野生型マウスと比べて膝腫脹を顕著かつ大きく阻害するGPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における短期タバコ煙曝露後の気管支肺胞洗浄液中の全細胞、マクロファージ、リンパ球および好中球の平均数GPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における中期タバコ煙曝露後の気管支肺胞洗浄液中の全細胞、マクロファージ、リンパ球および好中球の平均数GPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における中期タバコ煙曝露後の肺組織におけるMIP−2レベル卵アルブミン感作および卵アルブミン曝露後のGPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における気道過敏症GPR4−/−およびBalb/Cマウス(n=7/8)における長期タバコ煙曝露後の気管支肺胞洗浄液中の全細胞、マクロファージ、リンパ球および好中球の平均数5.発明の詳細な説明 Gタンパク質共役型受容体GPR4は、酸性pHにより活性化されるが、その生理学的役割についてはほとんど知られていない。本発明者らは、GPR4 mRNA発現と内皮マーカー遺伝子の驚くほど高い相関関係を観察した結果として、一次ヒト血管内皮細胞におけるGPR4の発現性および機能を立証している。このため本発明は、対象の処置または新脈管形成を阻害、例えば癌治療における腫瘍の成長、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症またはアテローム性動脈硬化症を阻害するための医薬の製造を目的とするGPR4阻害剤の使用に関するものである。好ましい態様では、上記阻害剤はsiRNAである。また、驚くべきことに生存能および繁殖能があるGPR4欠損マウスも本発明の一部である。これらの動物は、増殖因子移植モデルにおいてbFGFではなく、VEGFに著しく低い血管新生応答を示す。さらに、注入された腫瘍細胞の成長は、GPR4を欠くマウスにおいて著しく低下している。腫瘍の組織学的分析は、腫瘍細胞増殖の低下、血管密度の低下、および血管形態の改変を示していた。さらに、GPR4欠損の結果、観察される表現型について少なくとも一部考慮に入れるとしても、内皮細胞におけるVEGFR2レベルは低下する。これらのデータは、内皮細胞がGPR4を介して局所的組織アシドーシスを感知すること、およびこのシグナルがVEGFに対する完全な血管新生応答を発生させるのに要求されることから、例えば腫瘍、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症またはアテローム性動脈硬化症の治療に関する標的を提供することを示している。さらに、本発明者らは、GPR4欠損動物が関節炎に関する実験モデルとして有利に使用され得ることを発見した。 RNAiは、動物および植物における配列特異的転写後遺伝子サイレンシングの過程である。それは、2本鎖であり、サイレンスする(標的)遺伝子と配列が相同である小さな干渉性RNA分子(siRNA)を使用する。このため、標的遺伝子の転写により生成されたmRNAとsiRNA分子の配列特異的結合により、遺伝子発現の非常に特異的にターゲッティングされたノックダウンが可能となる。 本発明による「siRNA」または「小干渉性リボ核酸」は、次の特徴を含め、当業界で周知の意味を有する。siRNAは、生理学的条件下で相補的領域に沿ってハイブリダイゼーションするリボヌクレオチドの2本鎖により構成される。鎖は通常別々のものである。2本鎖は細胞において別々の役割を有するため、一方の鎖は「アンチセンス」鎖と呼ばれ、「ガイド」配列としても知られており、機能的RISC複合体で使用されることにより、開裂に関して正確なmRNAにそれを導く。この「アンチセンス」の使用は、それがRNA化合物に関するものであるため、本明細書の他の箇所で言及されているアンチセンス標的DNA化合物とは異なる。他方の鎖は「アンチガイド」配列として知られており、それが標的配列と同じヌクレオチド配列を含むことから、センス鎖としても知られている。鎖は、ある種の態様では分子リンカーにより連結され得る。個々のリボヌクレオチドは、非修飾の天然に存するリボヌクレオチド、非修飾の天然に存するデオキシリボヌクレオチドであり得るか、または本明細書の他の箇所で記載しているとおり、それらは化学的に修飾または合成され得る。 好ましくは、siRNA分子は、遺伝子の下方制御を可能にするためにGPR4のコーディング配列の少なくとも一領域と実質的に同一である。好ましくは、siRNA分子とGPR4遺伝子の標的領域の配列間の同一性の度合いは、少なくとも60%配列同一性、好ましくは少なくとも75%配列同一性、好ましくは少なくとも85%同一性、好ましくは少なくとも90%同一性、好ましくは少なくとも95%同一性、好ましくは少なくとも97%同一性、そして最も好ましくは少なくとも99%同一性である。 異なるアミノ酸/ポリペプチド/核酸配列間の同一性パーセンテージの計算は、次の要領で実施され得る。まず、ClustalX プログラム(ペアワイズパラメーター:ギャップオープニング10.0、ギャップ伸長0.1、タンパク質マトリックスGonnet250、DNAマトリックスIUB;マルチプルパラメーター:ギャップオープニング10.0、ギャップ伸長0.2、遅延分岐配列30%、DNAトランジション重量0.5、マイナスマトリックス・オフ、タンパク質マトリックスgonnetシリーズ、DNA重量IUB;タンパク質ギャップパラメーター、残基特異的ペナルティ・オン、親水性ペナルティ・オン、親水性残基GPSNDQERK、ギャップ分離距離4、エンドギャップ分離オフ)により、マルチプルアラインメント(多重整列)を作製する。次いで、同一性パーセンテージを、(N/T)*100(式中、Nは、2配列が同一残基を共有する位置の数であり、Tは比較された位置の総数である)としてマルチプルアラインメントから計算する。あるいは、同一性パーセンテージは、(N/S)*100(式中、Sは、比較されている短い方の配列の長さである)として計算され得る。アミノ酸/ポリペプチド/核酸配列は、新たに合成され得るか、または天然アミノ酸/ポリペプチド/核酸配列、またはその誘導体であり得る。実質的に類似したヌクレオチド配列は、ストリンジェント条件下で本明細書に示した核酸配列またはそれらの相補体のいずれかとハイブリダイゼーションする配列によりコード化される。ストリンジェント条件とは、ヌクレオチドを、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中においてフィルター結合DNAまたはRNAとハイブリダイゼーションさせた後、約5〜65℃で0.2×SSC/0.1%SDS中において少なくとも1回洗浄することを意味する。また、実質的に類似したポリペプチドは、本発明によるペプチド配列とは少なくとも1個、しかし5、10、20、50または100個未満のアミノ酸が異なり得る。遺伝コードの縮重故に、核酸配列が、それによりコード化されるタンパク質の配列に実質的に影響することなく、改変または変更され、その機能性変異型が提供され得ることは明らかである。適切なヌクレオチド変異型は、配列内の同一アミノ酸をコード化する異なるコドンの置換により改変された配列を有するものであり、すなわちサイレント変化をもたらす。他の適切な変異型は、相同的ヌクレオチド配列を有するが、それが置換するアミノ酸と似た生物物理特性を有する側鎖をもつアミノ酸をコード化する異なるコドンの置換により同類変化が加えられ、改変されている配列の全部または一部を含むものである。例えば、小さな非極性疎水性アミノ酸には、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリンおよびメチオニンがある。大きな非極性疎水性アミノ酸には、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンがある。極性中性アミノ酸には、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギンおよびグルタミンがある。正に荷電した(塩基性)アミノ酸には、リシン、アルギニンおよびヒスチジンがあり、負に荷電した(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸がある。 タンパク質またはDNA配列の正確なアラインメントは複雑な過程であり、多数の研究者により詳細に調査されてきた。特に重要なのは、配列の最適なマッチ間の歩み寄りおよび上記マッチを得るためのギャップの導入である。タンパク質の場合、マッチを評点する手段も重要である。PAMマトリックスのファミリー(例えばDayhoff, M. et al., 1978, Atlas of protein sequence and structure, Natl. Biomed. Res. Found.)およびBLOSUMマトリックスは、同類置換の性質および尤度を定量するもので、マルチプルアラインメントアルゴリズムで使用されるが、他の均等内容の適用可能なマトリックスも当業者には知られている。一般的なマルチプルアラインメントプログラムClustalW、およびそのウインドウズバージョンClustalX(Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Research, 22, 4673-4680;Thompson et al., 1997, Nucleic Acids Research, 24, 4876-4882)は、タンパク質およびDNAのマルチプルアラインメントを作製する有効な方法である。 自動作製アラインメントは、手動による整列を必要とすることが多く、訓練されたユーザーの試験中のタンパク質ファミリーに関する知識、例えば鍵となる保存部位に関する生物学的知識を活用することになる。上記の一アラインメント編集プログラムは、Align(http://www.gwdg.de/dhepper/download/;Hepperle, D., 2001:Multicolor Sequence Alignment Editor. Institute of Freshwater Ecology and Inland Fisheries, 16775シュテクリン、ドイツ国)であるが、他の例えばJalViewまたはCinemaも適切である。 タンパク質間の同一性パーセンテージの計算は、Clustalによるマルチプルアラインメントの作製中に行われる。しかしながら、アラインメントが手動により改良された場合、または2配列を慎重に比較するためには、これらの値を再計算する必要がある。アラインメント内のタンパク質配列の対についてこの値を計算するプログラムは、アミノ酸置換に関するモデルとして「類似度表」オプション(P)を用いるPHYLIP系統発生パッケージ(Felsenstein; http://evolution.gs.washington.edu/phylip.html)内のPROTDISTを含む。DNA/RNAについては、PHYL1PのDNADISTプログラム内に同一オプションが存在する。 本発明によるdsRNA分子は、標的遺伝子のmRNAの一領域と実質的に同一である2本鎖領域を含む。標的遺伝子の対応する配列と100%の同一性をもつ領域が適切である。この状態を「完全に相補的」と称す。しかしながら、その領域はまた、標的遺伝子の対応領域と比べた場合、標的とされるmRNAの領域の長さによって、1、2または3個のミスマッチを含み得、それ自体完全に相補的ではない場合もあり得る。一態様において、本発明のRNA分子は、所与の一遺伝子を特異的にターゲッティングする。目的mRNAをターゲッティングするだけのために、siRNA試薬は、標的mRNAとの100%相同性および細胞または生物体に存在する他の全遺伝子に対し少なくとも2つのミスマッチヌクレオチドを有し得る。特異的標的配列の発現を有効に阻害できるほどの十分な配列同一性をもつsiRNAを解析および同定する方法は当業界では公知である。配列同一性は、当業界で公知の配列比較およびアラインメントアルゴリズム(GribskovおよびDevereux, Sequence Analysis Primer, Stockton Press, 1991、およびそこに引用されている参考文献参照)および例えばデフォルトパラメーターを用いるBESTFITソフトウェアプログラム(例えばUniversity of Wisconsin Genetic Computing Group)で実行されるSmith-Watermanアルゴリズムによるヌクレオチド配列間の差異パーセントを計算することにより最適化され得る。 本発明によると、標的と相補的なsiRNAの領域の長さは、10〜100ヌクレオチド、12〜25ヌクレオチド、14〜22ヌクレオチドまたは15、16、17または18ヌクレオチドであり得る。対応する標的領域に対しミスマッチがある場合、相補領域の長さは、一般に幾分長めであることが要求される。好ましい態様では、阻害剤は、siRNA分子であり、約5bp〜50bp、さらに好ましくは10bp〜35bp、さらに好ましくは15bp〜30bp、さらに好ましくは18bp〜25bpを含む。最も好ましくは、siRNA分子は、20bpより多く、かつ23bp未満を含む。 siRNAはオーバーハング末端(標的と相補的である場合もない場合もあり得る)、または標的遺伝子ではなくそれ自体に相補的なさらなるヌクレオチドを有し得るため、siRNAの別々の各鎖の全長は10〜100ヌクレオチド、15〜49ヌクレオチド、17〜30ヌクレオチドまたは19〜25ヌクレオチドであり得る。 「各鎖は49ヌクレオチドまたはそれ未満である」という表現は、全ての修飾または非修飾ヌクレオチドを含むが、鎖の3'または5'端に付加され得る化学的部分は含まない、鎖中の連続したヌクレオチドの総数を意味する。鎖に挿入された短い化学的部分は計数されないが、2本の別々の鎖を連結するように設計された化学的リンカーは、連続したヌクレオチドを形成するとはみなされない。 「5'端または3'端の少なくとも一方における1〜6ヌクレオチドオーバーハング」という表現は、生理学的条件下で2本の別々の鎖から生ずる相補的siRNAの構造をいう。末端ヌクレオチドがsiRNAの2本鎖領域の一部である場合、siRNAは平滑末端であるとみなされる。1個またはそれ以上のヌクレオチドが末端で対を形成していない場合、オーバーハングが形成される。オーバーハングの長さは、オーバーハング状のヌクレオチドの数により測定される。オーバーハング状ヌクレオチドは、どちらかの鎖の5'端または3'端のいずれかにあり得る。 本発明によるsiRNAは、高いインビボ安定性を示し、鎖の少なくとも一方に少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含むことにより経口送達に特に適したものとなり得る。すなわち、本発明によるsiRNAは、少なくとも1個の修飾または非天然リボヌクレオチドを含む。多くの公知化学的修飾の長い説明は、PCT特許出願公開WO200370918号に示されている。送達に適切な修飾には化学的修飾が含まれ、以下のものから選択され得る:a)3'キャップ;b)5'キャップ、c)修飾ヌクレオシド間連鎖;またはd)修飾糖または塩基部分。 適切な修飾には、限定されるわけではないが、糖部分(すなわち、糖部分の2'位、例えば2'−O−(2−メトキシエチル)または2'−MOE)(Martin et al.,Helv. Chim. Acta., 1995, 78, 486-504)すなわち、アルコキシアルコキシ基)または塩基部分(すなわち、異なるヌクレオチド鎖における別の特異的塩基との対合能力を維持する非天然または修飾塩基)に加えられる修飾がある。他の修飾には、例えばホスホロチオエート、キラルホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートによるホスホエステル基(隣接リボヌクレオチドを連結する)の置換を含む、いわゆる「バックボーン」修飾があるが、これに限定されるわけではない。 本明細書において3'キャップまたは5'キャップと称されることもある末端修飾は、重要なものであり得る。キャップは、単に追加的ヌクレオチドを付加することにより構成され得て、例えば「T−T」はsiRNAでの安定性を付与することが見出された。キャップは、当業者には公知のさらに複雑な化学作用により構成され得る。 適切なsiRNA分子の設計は複雑な過程であり、標的mRNA分子の配列を非常に注意深く解析する必要がある。siRNAの設計方法の一例は、国際公開第2005/059132号に説明されている。次いで、発明に向けたかなりの努力でもって、発明者らは、RNA干渉を誘発するのに必要とされる親和力および安定性をもたらす、ヌクレオチド塩基のある種の組成を有するsiRNAの特定配列を選択しなければならない。 本発明の好ましいsiRNAは以下のものである:センス:5'−GCGCTGTGTCCTATCTCAAdTdT−3'(配列番号1)アンチセンス:5'−TTGAGATAGGACACAGCGCdAdG−3'(配列番号2)標的(ヒト):GCGCTGTGTCCTATCTCAA(配列番号3)センス:5'−CCATGTCTGGCCAGATAAAdTdT−3'(配列番号4)アンチセンス:5'−TTTATCTGGCCAGACATGGdCdG−3'(配列番号5)標的(ヒト):CCATGTCTGGCCAGATAAA(配列番号6)センス:5'−CATAAGACCGCAATTCTAAdTdT−3'(配列番号7)アンチセンス:5'−TTAGAATTGCGGTCTTATGdTdT−3'(配列番号8)標的(ヒト):CATAAGACCGCAATTCTAA(配列番号9)センス:5'−GGAGGTAGGACTAACAATAdTdT−3'(配列番号10)アンチセンス:5'−TATTGTTAGTCCTACCTCCdCdT−3'(配列番号11)標的(マウス):GGAGGTAGGACTAACAATA(配列番号12)センス:5'−GGGTCTGAAGGGGGAACAAdTdT−3'(配列番号13)アンチセンス:5'−TTGTTCCCCCTTCAGACCCdTdG−3'(配列番号14)標的(マウス):GGGTCTGAAGGGGGAACAA(配列番号15)。 また、以下の配列を含むsiRNA分子も包含される:TTGAGATAGGACACAGCGC(配列番号16)TTTATCTGGCCAGACATGG(配列番号17)TTAGAATTGCGGTCTTATG(配列番号18)TATTGTTAGTCCTACCTCC(配列番号19)TTGTTCCCCCTTCAGACCC(配列番号20) siRNA分子は、新たに合成されるか、または微生物により生産され得る。例えば、siRNA分子は、細菌、例えばエシェリキア・コリ(E. coli)により製造され得る。少なくとも1個の修飾または非天然リボヌクレオチドを含むsiRNAを含む、siRNAの合成方法は、当業者には公知であり、容易に利用され得る。例えば、様々な合成化学作用がPCT特許出願公開第2005021749号および第200370918号に示されており、これらの両方について出典明示で援用する。この反応は、溶液中、または好ましくは固相で、またはポリマー支持試薬を用い、次いでRNAiを伝達し得るsiRNA分子が形成される条件下で合成されたRNA鎖を合わせることにより実施され得る。 siNA(小干渉性核酸)は、ウラシル(siRNA)またはチミジン(siDNA)を含み得るものとする。従って、上記で示されているヌクレオチドUおよびTは相互交換され得る。しかしながら、siRNAを使用する方が好ましい。 発明者らは、実施例に記載した方法によりこれらのsiRNA分子をそれぞれ試験し、これらの阻害剤が、新脈管形成を低減化させる、GPR4発現の低下に有効であること、従って、これらの本発明siRNA分子が癌の治療、特に腫瘍成長の阻害に有効であることを立証した。 本発明により使用される遺伝子サイレンシング分子、すなわち阻害剤は、好ましくは核酸(例えばsiRNAまたはアンチセンスまたはリボザイム)である。上記分子は、(必ずというわけではないが)処置されている対象の細胞のDNAに組み込まれるものであり得る。未分化細胞は、遺伝子サイレンシング遺伝子によって安定して形質転換されることにより、遺伝子修飾娘細胞の生産を誘導し得る(この場合、例えば特異的転写因子、または遺伝子活性化因子での対象における発現の調節が要求され得る)。 遺伝子サイレンシング分子は、新たに合成され、標的細胞において(例えばRNA干渉による)遺伝子サイレンシングを誘導するのに十分な量で導入され得る。あるいは、上記分子は、微生物、例えばエシェリキア・コリ(E. coli)により生産され、次いで標的細胞において遺伝子サイレンシングを誘導するのに十分な量で導入され得る。 この分子は、遺伝子サイレンシング配列をコード化する核酸を含むベクターにより製造され得る。ベクターは、核酸の発現を制御および/促進し得るエレメントを含み得る。ベクターは、組換えベクターであり得る。ベクターは、例えばプラスミド、コスミド、ファージまたはウイルスDNAを含み得る。ベクターの使用による遺伝子サイレンシング分子の合成に加えて、またはその代わりに、ベクターは、遺伝子サイレンシング配列で標的細胞を形質転換するための送達系として使用され得る。 組換えベクターはまた、他の機能性エレメントを含み得る。例えば、組換えベクターは、ベクターが標的細胞で自律複製するように設計され得る。この場合、核酸複製を誘導するエレメントが組換えベクターにおいて要求され得る。あるいは、組換えベクターは、ベクターおよび組換え核酸分子が標的細胞のゲノムに組み込まれるように設計され得る。この場合、ターゲッティングされた組込み(例えば相同的組換えによる)に有利な核酸配列が望ましい。組換えベクターはまた、クローニング過程における選択マーカーとして使用され得る遺伝子をコードするDNAを有し得る。 組換えベクターはまた、必要に応じて核酸の発現を制御するためのプロモーターまたはレギュレーターまたはエンハンサーを含み得る。組織特異的プロモーター/エンハンサーエレメントは、特異的細胞型、例えば内皮細胞において核酸の発現を調節するのに使用され得る。プロモーターは、構成的または誘導性であり得る。 あるいは、遺伝子サイレンシング分子は、ベクターに組込まれた状態または組込まれていない状態で対象における標的細胞または組織に投与され得る。例えば、分子は、リポソームまたはウイルス粒子(例えばレトロウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、レンチウイルスなど)内に組込まれ得る。 あるいは、「裸の」siRNAまたはアンチセンス分子は、適切な手段、例えば直接エンドサイトーシスでの取り込みにより対象の細胞中に挿入され得る。 遺伝子サイレンシング分子はまた、トランスフェクション、感染、顕微注入、細胞融合、プロトプラストフュージョンまたはバリスティック導入により処置される対象の細胞に移入され得る。例えば、移入は、コーティング金粒子でのバリスティックトランスフェクション、siNA分子を含むリポソーム、遺伝子サイレンシング配列を含むウイルス性ベクターまたは遺伝子サイレンシング分子の直接適用による直接核酸取り込み手段(例えばエンドサイトーシス)によるものであり得る。 本発明の好ましい実施態様では、siNA分子は、標的細胞に(ベクターまたは「裸」で)送達され得、次いで確実に宿主細胞で複製されることにより、治療有効レベルに到達し得る。これに該当するとき、siNAは、好ましくはsiNAを細胞において転写させ得る発現カセットに組み込まれ、次いで(GPR4をコードする内在性mRNAの破壊を誘導することにより)翻訳を妨害する。 本発明のいずれかの態様による阻害剤は、単剤療法(例えばsiRNAのみの使用)で使用され得る。しかしながら、阻害剤は、補助薬として、または他の例えば癌治療(例えば放射線療法、慣用的化学療法または他の発癌遺伝子サイレンシング戦略と連係的に)と組み合わせて使用され得るものとする。例えば、併用療法は、本発明による遺伝子サイレンシング分子および放射線療法のクールを含み得る。 本発明による阻害剤は、特に組成物が使用される方法によって異なる多数の形態を有する組成物内に含まれ得る。すなわち、例えば、組成物は、カプセル、液体、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、エーロゾル、スプレー、ミセル、経皮パッチ、リポソームの形態または例えば癌に罹患しているかまたは癌発症の危険があるヒトまたは動物に投与され得る他の適切な形態であり得る。本発明組成物の賦形剤は、当然それが投与される対象にとって耐容性良好であり、好ましくは標的部位へ阻害剤を送達させ得るものとするべきである。 本発明による阻害剤は、多数の方法で使用され得る。 例えば、全身投与が必要とされ得る場合、化合物は、例えば注射により血流中へ投与され得る組成物内に含有され得る。注射は、静脈内(ボーラスまたは注入)、皮下、筋肉内または標的組織への直接注射(例えば脳室内注射 − 脳での使用時)であり得る。阻害剤はまた、吸入により(例えば鼻腔内)または経口的に(適切な場合)投与され得る。 本発明の阻害剤はまた、徐放性または時限放出型装置内に組み込まれ得る。上記装置は、例えば腫瘍部位に挿入され得、分子は何週間または何カ月かにわたって放出され得る。上記装置は、通常頻繁な投与(例えば少なくとも毎日注射)を必要とする、本発明阻害剤による長期治療が必要とされるとき特に有利であり得る。 必要とされる阻害剤の量は、その生物活性および生物学的利用能により決定されるが、それらは投与方法、使用分子の物理化学的特性およびそれが単剤療法としてまたは併用療法のいずれで使用されているかにより異なるものとする。投与頻度はまた、上述の因子および特に処置されている対象内における阻害剤の半減期により影響される。 投与される最適用量は、当業者により決定され得、使用されている特定阻害剤、製剤の強度、投与方式、および癌の進行度および重症度により変動する。 対象の年齢、体重、性別、食事療法および投与時間を含む追加的因子は、処置されている特定対象により異なるため、投薬量の調節を必要とする。 阻害剤が核酸であるとき、慣用的分子生物学的技術(ベクター移入、リポソーム移入、バリスティック導入など)が、標的組織への阻害剤の送達に使用され得る。 公知手順、例えば製薬業界が慣用的に採用している手順(例えばインビボ実験、臨床試験など)を用いることにより、本発明による使用を目的とする特異的処方物および正確な治療法(例えば遺伝子サイレンシング分子の一日用量および投与頻度)を確立し得る。 一般的に、本発明阻害剤については、体重に基づいた0.01μg/kg〜0.5g/kgの一日用量が、使用する特異的阻害剤により変動するものとして、癌の治療に使用され得る。阻害剤がsiRNA分子であるとき、一日用量は、体重に基づいて1pg/kg〜100mg/kg、さらに好ましくは約10pg/kg〜10mg/kg、さらに好ましくは約50pg/〜1mg/kgであり得る。 阻害剤(例えばsiNA)が細胞に送達されるとき、一日用量は1回投与(例えば1日1回注射)として与えられ得る。 あるいは、阻害剤または癌の状態によっては、1日に2回またはそれ以上の回数での投与を必要とする場合もあり得る。一例として、本発明によるsiNAは、0.1mg/kg〜10mg/kg(すなわち70kgの体重を仮定して)の1日2回(または状態の重症度によってはそれ以上の回数)用量として投与され得る。処置を受けている患者は、起床時に初回用量、次いで夕方(2回服用体制の場合)に2回目の用量を服用し、またはその後3または4時間間隔で服用する。あるいは、徐放性装置を用いることにより、反復用量の投与を必要とせずに患者に最適な用量を供給し得る。 本発明による医薬は、GPR4阻害剤の治療有効量および医薬上許容される賦形剤を含むべきである。 本明細書および請求の範囲では、全体を通して以下の定義を使用する。 「単離核酸配列」は、物質が、その本来の環境(例えばそれが天然に存する場合自然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に存在する天然ポリヌクレオチドは単離されていないが、同じポリヌクレオチドでも、自然系における共存物質の一部または全部から分離されると、その後に自然系に再導入されたときでも、単離されたことになる。上記ポリヌクレオチドはベクターの一部であり得、そして/または上記ポリヌクレオチドは、組成物の一部であり得、さらに上記ベクターまたは組成物がその自然環境の一部ではないという点で単離されていることになる。 「核酸ベクター」は、細胞環境、例えば細胞ライゼートまたは全細胞へ曝露されると増殖および/または転写されるように設計された核酸配列である。「遺伝子治療ベクター」は、1つまたはそれ以上の遺伝子および/またはタンパク質の高い発現性を意図した、全細胞へのトランスフェクションのための機能的特徴をもつ核酸ベクターをいう。それぞれの場合において、上記ベクターは、通常、一般に細胞により認識される複製起点であって、細胞内でベクターを増殖させ得る「ベクター増殖配列」を含む。広範囲の核酸ベクターおよび遺伝子治療ベクターは当業者には馴染み深いものである。 本明細書で使用している「治療有効量」および「予防有効量」という表現は、病理学的過程の処置、予防または管理において治療上の利益をもたらす量をいう。治療上有効である特定の量は、通常の医療従事者により容易に決定され得、当業界で公知の因子、例えば病理学的過程のタイプ、患者の病歴および年齢、病理学的過程の段階、および他の併用薬剤の投与によって変動し得る。例えば、「治療有効量」は、対象に投与されると癌の成長を阻害する本発明阻害剤の量である。 本明細書で使用している「医薬組成物」は、本発明治療剤の薬理学的有効量および医薬上許容される担体を含む。本明細書で使用している「薬理学的有効量」、「治療有効量」または単に「有効量」は、意図した薬理学的、治療的または予防的成果をもたらすのに有効な薬剤の量をいう。例えば、疾患または障害に関連した測定可能なパラメーターが少なくとも25%低下している場合に所与の臨床処置が有効であるとみなすならば、その疾患または障害の処置に関する薬剤の治療有効量は、そのパラメーターの少なくとも25%低下をもたらすのに必要な量である。 「医薬上許容される担体」の語は、治療剤を投与するための担体をいう。上記担体には、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセリン、エタノールおよびそれらの組合わせがあるが、これらに限定されるわけではない。この語は、特に細胞培養培地を除外する。経口投与薬剤については、医薬上許容される担体には、医薬上許容される賦形剤、例えば、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味料、調味料、着色剤および保存剤があるが、これらに限定されるわけではない。適切な不活性希釈剤には、炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウム、および乳糖があるが、これらに限定されるわけではなく、またトウモロコシ澱粉およびアルギン酸は適切な崩壊剤である。結合剤は澱粉およびゼラチンを含み得、滑沢剤が存在するとすれば、一般にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。所望ならば、グリセリンモノステアレートまたはグリセリンジステアレートなどの材料で錠剤をコーティングすることにより、胃腸管での吸収を遅延させ得る。 本明細書で使用している「形質転換細胞」は、ベクターが導入された細胞であり、そこからdsRNA分子が発現され得る細胞である。トランスフェクションが一時的なものであろうと、安定したものであろうと、外側から供給される核酸、例えば本発明作用物質を含む細胞もまた、形質転換細胞であると考えられる。 本発明を実践する場合、分子生物学、微生物学および組換えDNAにおける多くの慣用的技術が使用される。これらの技術は公知であり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology、第I、IIおよびIII巻, 1997(F.M.Ausubel編);Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク;DNA Cloning: A Practical Approach、第IおよびII巻, 1985(D.N.Glover編);Oligonucleotide Synthesis, 1984(M.L.Gait編);Nucleic Acid Hybridization, 1985(HamesおよびHiggins);Transcription and Translation, 1984(HamesおよびHiggins編);Animal Cell Culture, 1986(R.I.Freshney編);Immobilized Cells and Enzymes, 1986(IRL Press);Perbal, 1984, A Practical Guide to Molecular Cloning;シリーズ, Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, 1987(J.H.MillerおよびM.P.Calos編、Cold Spring Harbor Laboratory);およびMethods in Enzymology、第154巻および第155巻(それぞれWuおよびGrossman、およびWu編)で説明されている。 「対象」は、脊椎動物、哺乳類、家畜または人間であり得る。処置される対象はヒトであるのが好ましい。これに該当する場合、阻害剤はそれらがヒトの治療に最も適するように設計され得る。しかしながら、阻害剤はまた、獣医学的興味の対象である他の動物(例えばウマ、イヌまたはネコ)の処置にも使用され得るものとする。あるいは、対象は、例えば実験モデルの場合、マウスであり得る。さらに、別の実験モデルでは、上記対象は、単細胞または培養細胞の集団であり得る。 本明細書でいう「医薬上許容される賦形剤」は、医薬組成物の製剤に有用である当業者に公知の生理学的賦形剤である。 好ましくは、医薬は、約0.1%(w/w)〜90%(w/w)、さらに好ましくは1%(w/w)〜10%(w/w)の割合で阻害剤を含有する。組成物の残りは賦形剤により構成され得る。 好ましい例において、医薬用賦形剤は液体であり、医薬組成物は溶液形態である。別の例では、医薬用賦形剤はゲルであり、組成物はクリームなどの形態である。 滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば筋肉内、鞘内、硬膜外、腹腔内、静脈内、皮下、大脳内または脳室内注射により使用され得る。阻害剤は、滅菌水、食塩水または他の適切な滅菌注射可能媒質を用いて投与時点で溶解または懸濁され得る滅菌固体組成物として製造され得る。賦形剤は、適切な場合、不活性結合剤、懸濁剤、滑沢剤、調味料、甘味料、保存剤、染料およびコーティング剤を含むものとする。 本発明阻害剤の好ましい使用は、癌、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症およびアテローム性動脈硬化症の処置であるが、上記本発明阻害剤は、新脈管形成それ自体の処置または新脈管形成が重要な役割を演じ得る疾患の処置でも使用され得る。上記疾患の例には、微生物、例えばニューモシスティス・カリニ(pneumocystis carinii)、クルーズ・トリパノソーマ(trypsanoma cruzi)、ブルース・トリパノソーマ(trypsanoma brucei)、クリチジア・フィスクラタ(crithidia fusiculata)による感染を含む疾患、および寄生虫疾患、例えば住血吸虫症およびマラリア、腫瘍(腫瘍浸潤および腫瘍転移)、および他の疾患、例えば異染性白質萎縮症、筋ジストロフィー、筋萎縮症および類似疾患、オステオポローシス、歯肉疾患、例えば歯肉炎および歯肉炎、パジェット病、悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症、例、腫瘍誘導性高カルシウム血症および代謝性骨疾患、変形性関節症、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症(アテローム性プラーク破綻および脱安定化を含む)、自己免疫疾患、呼吸器疾患および免疫介在性疾患(移植拒絶を含む)、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方を含むあらゆるタイプまたは発生過程の喘息、軽症喘息、中等症喘息、重症喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および細菌感染後に誘発される喘息、急性肺傷害(ALI)、急性/成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺、気道または肺疾患(COPD、COADまたはCOLD)、例えば慢性気管支炎またはそれに伴う呼吸困難、気腫、ならびに特に他の薬物療法、特に他の吸入薬物療法の結果として起こる気道過敏症の増悪、好酸球増加症、特に気道の好酸球関連疾患(例えば肺組織の病的好酸性浸潤を伴う)、例えば気道および/または肺が侵される過好酸球増加症ならびに、例えばレフラー症候群、好酸球性肺炎、寄生虫(特に後生動物)インフェステーション(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ-ストラウス症候群を含む)、好酸球肉芽腫の結果として、または付随して起こる気道の好酸球関連疾患、および薬物反応により誘発される気道をおかす好酸球関連疾患があるが、これらに限定されるわけではない。癌以外に、特に適した疾患は、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症およびアテローム性動脈硬化症を含む新脈管形成/血管内皮関連疾患である。 「癌」の語は、例えばメラノーマ、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺癌、悪性肝細胞癌、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠芽細胞腫、白血病、神経芽細胞腫、頭部、頸部、乳房、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣の癌、中皮腫、子宮頚癌、胃腸の癌、リンパ腫、脳、結腸または膀胱癌を含む。最も好ましい例で、 さらなる好ましい態様において、上記の新脈管形成関連疾患は、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、変形性関節症、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、脈管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、前新生物病変、上皮内癌、口腔毛髪状白斑または乾癬であり、処置の対象であり得る。最も好ましい態様において、本発明化合物により処置される疾患は、乾癬、関節炎、多発性硬化症およびアテローム性動脈硬化症、特に慢性関節リウマチである。別の好ましい態様において、癌は、部分切除可能なものまたは可能でないものであり得る腫瘍を含む。さらに、癌は、転移性腫瘍または転移し得る可能性が高い腫瘍を必然的に伴い得る。 また、本発明の方法および組成物により処置され得る癌細胞には、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌または子宮からの細胞が含まれる。さらに、癌は、具体的には次の組織構造タイプを有し得るが、これらに限定されるわけではない:新生物、悪性;癌腫;癌腫、未分化;巨細胞癌および紡錘体細胞癌;小細胞癌;乳頭状癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛質性上皮癌;移行上皮癌;乳頭状移行上皮癌;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管癌;肝細胞癌;混合型肝細胞癌および胆管癌;索状腺癌;腺様のう胞癌;腺腫性ポリープ内腺癌;腺癌、家族性結腸ポリポーシス;固形癌;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺腺癌;乳頭状腺癌;嫌色素細胞癌;好酸性細胞癌;好酸性腺癌;好塩基性細胞癌;透明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞状腺癌;乳頭状および濾胞状腺癌;非被包性硬化癌;副腎皮質細胞癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘液性類表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液性嚢胞腺癌;粘液嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性腺管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性乳癌;パジェット病、乳房;細葉細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質性腫瘍、悪性;莢膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;男性ホルモン産生細胞腫、悪性;セルトーリ細胞癌;ライディヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;パラガングリオーマ、悪性;乳房外パラガングリオーマ、悪性;褐色細胞腫;悪性グロームス腫瘍;悪性黒色腫;メラニン欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣型横紋筋肉腫;間質性肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽細胞腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胎生期癌;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫瘍;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯牙腫;エナメル上皮種、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;脳室上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;神経膠芽細胞腫;乏突起膠腫;希突起膠芽細胞腫;原始神経外胚葉性腫瘍;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫瘍、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン傍肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;他の特定非ホジキンリンパ種;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞性白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;骨髄巨核芽球性白血病;骨髄肉腫および毛様細胞性白血病。 さらに、実施例で説明されている本発明の別の態様において、本発明者らは、GPR4ノックアウトマウスを提供している。GPR4ノックアウトマウスは、GPR4をコードする遺伝子が欠失されたヒト以外の哺乳類の好ましい一例であるに過ぎない。このため、特にノックアウトマウスについて言及していても、それは単なる典型例に過ぎないものとし、GPR4をコードする遺伝子が欠失されたヒト以外の哺乳類についてもあてはまるものとする。GPR4をコードする遺伝子が欠失された上記のヒト以外の哺乳類は、新脈管形成、癌または関節炎についての実験モデルとして、また新脈管形成、癌または関節炎を調節する化合物についてのスクリーニングにも使用され得る。 本明細書(添付の請求の範囲、要約および図面を含む)記載の特徴の全て、および/またはそこに開示された方法または工程の段階は全て、上記特徴および/または段階が少なくとも一部でも相互に両立し得ない場合の組み合わせを除き、何らかの組み合わせで上記態様のいずれかと組み合わされ得る。6.実施例材料および方法バイオインフォマティクススクリーン ほぼ排他的に内皮細胞で発現され、似た発現プロフィールを示すことが知られている7種のマーカー遺伝子(公式ヒト遺伝子記号:KDR、TIE1、TEK、ANGPT2、CDH5、VWF、PTPRB)を参照として選択した。 細胞系、一次細胞および様々なヒト組織により行われた100を超えるマイクロアレイ実験(Affymetrix HG−U133A)からのデータを、GeneSpring(Silicon Genetics(登録商標)により提供される遺伝子発現ソフトウェア)を用いて解析した。7マーカー遺伝子のそれぞれについて、ピアソン相関を用いることにより類似発現プロフィールをもつ全遺伝子を測定した。7マーカー遺伝子の少なくとも1つに対し0.7またはそれ以上の相関係数をもつ遺伝子のみ考慮に入れた。RNA抽出およびRT−PCR QUIAGEN RNA-easyミニキットを用いて、全RNAを細胞から採取した。逆転写の前に、製造業者の手順(Amplification Grade DNaseI、Invitrogen、バーゼル、スイス国)に従って、RNAをデオキシリボヌクレアーゼIで処理した。総容量30μlで逆転写を実施した。反応混合物は次のものを含んでいた:2μgデオキシリボヌクレアーゼI処理RNA20μl、2μlの10×バッファーRT、2μlのdNTP混合物(5mMの各dNTP)、2μlのオリゴ−dTプライマー(10μM)、1mlのリボヌクレアーゼ阻害剤(10U/μl)、1μlのOmniscript逆転写酵素(QIAGEN、バーゼル、スイス国)、2μlのリボヌクレアーゼ不含有水。混合物を37℃で60分間インキュベーションし、次いで反応物を93℃で5分間熱不活化し、次いで氷上で急速冷却した。Hotstart Mastermixキット(QIAGEN、バーゼル、スイス国)を用いて、5mlのcDNAでPCRを実施した。増幅は次のプログラムによるものであった:95℃で15分間初回変性、次いで94℃で15秒、50℃で30秒および72℃で30秒の45サイクル。最終サイクル後、ABI7000ソフトウェアを用いることにより、試験したもの全てについて溶解曲線分析を実施した。使用プライマーは、マウスGPR4−1466F(TGTGCTACCGTGGCATCCT、配列番号21)、マウスGPR4−1581R(AAAGCACACCAGCACAATGG、配列番号22)、マウスGAPDH−F960(TTGTCAAGCTCATTTCCTGGTATG、配列番号23)、マウスGAPDH−1062R(TGGTCCAGGGTTTCTTACTCCTT、配列番号24)、ヒトGPR4−2319F(TGTGCTACCGTGGCATCCT、配列番号25)、ヒトGPR4−2469R(CTTGAGTTCTGACATTCTCCCTCTT、配列番号26)、ヒトGAPDH−111F(CAGGGCTGCTTTTAACTCTGGTA、配列番号27)、ヒトGAPDH−211R(GGGTGGAATCATATTGGAACATG、配列番号28)であった。安定したヒーラ−GPR4細胞の作製 安定したヒーラGPR4細胞系を作製するため、完全長ヒトGPR4を発現するpcDNA3.1(+)/myc−Hisベクター(Invitrogen、バーゼル、スイス国)をPvuIで線状化し、Effectene試薬(QIAGEN、バーゼル、スイス国)を用いてトランスフェクションした。受容体を発現する安定した細胞クローンを、Hepes不含有で抗生物質G418(400μg/ml)含有の培養培地pH7.4での選別後に単離した。18日後、細胞をpH7.9でさらに増殖させた。細胞培養 ヒーラ−GPR4安定細胞を、重炭酸緩衝DMEMおよび10mMのHepes、10%胎児ウシ血清および抗生物質を補ったハムF12培地の1:1混合物、pH7.9中で成長させた。 HUVEC細胞を、Promo Cell(BioConcept AG、アルシュビル、スイス国、C−10251)から購入し、培地C−22210+サプリメントキットC−39210(両方ともスイス国アルシュビルのPromocell/BioConcept AG から)および最終濃度5%の胎児ウシ血清(South American 10270−106、Gibco/Invitrogen、バーゼル、スイス国)において培養した。マウス肺内皮細胞を単離し、Reynolds et al.13により報告されたプロトコルに従うが、ただし、陽性選別を、ラット抗マウスVE−カドヘリン(クローン11D4.1)および抗CD31(クローンMEC13.3;両方とも、スイス国アルシュビルのBecton Dickinsonから)の1:1混合物で行うという修正を加えて培養した。cAMP形成検定法 24ウェルプレートで密集成長させた細胞培養物を、血清不含有DMEM培地中で4時間[3H]アデニン(100MBq/ml;Amersham、チューリッヒ、スイス国)により標識した。次いで、細胞を、130mMのNaCl、0.9mMのNaH2PO4、5.4mMのKCl、0.8mMのMgSO4、1.0mMのCaCl2、25mMのグルコース、20mMのHepesを含む緩衝塩溶液中37℃でインキュベーションした。全溶液のpHを室温で指示された値に調節した。cAMPを蓄積させ得るように示された要領でホスホジエステラーゼ阻害剤イソブチルメチルキサンチン(IBMX、1mM)を加えた。フォルスコリン(FSK)は、G□s刺激との相乗作用でアデニリルシクラーゼを活性化するため、これを用いることにより、アッセイウインドウを増加させた。インキュベーション時間は15分であった。次いで、細胞を氷冷トリクロロ酢酸で抽出し、Salomon14により報告された方法に従ってバッチカラムクロマトグラフィーを用いることによりcAMPを遊離アデニンおよびATPから分離した。siRNA 国際公開第2005/059132号記載の我々が所有権をもつアルゴリズム(Novartis Nucleic Acid Scienceユニット、バーゼル、スイス国)を用いて、全siRNAを設計し、QIAGENにより合成した。標準化mRNA融合構築物検定法を用いることにより、ヒトおよびマウスGPR4のそれぞれのターゲッティングにおける有効性について幾つかの異なるsiRNAをスクリーニングした15。最も強力なsiRNAをこの試験で使用した。凍結乾燥siRNAを、使用前に供給されたハイブリダイゼーション緩衝液に再懸濁した。対照siRNA(siCtrl)として、QIAGENからの非ターゲッティングsiRNAを使用した。 HUVEC細胞(継代3)を、製造業者の使用説明書に従ってHiperpefect(QIAGEN)でトランスフェクションし、3μlのHiperfectトランスフェクション試薬を、24ウェルにおける30000細胞に使用したところ、最終siRNA濃度は10nMであった。トランスフェクションの48時間後、QIAGEN RNeasyキットを用い、製造業者の使用説明書に従ってRNAを採取した。pRAY2−GPR4ターゲッティングベクターの作製 KOD HIFI DNAポリメラーゼ(Novagen)でのSV129ゲノムDNAからのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、相同性を有するアームを増幅した。マウスGPR4遺伝子(mCG50351.1)の配列に従って、プライマーを設計した。センスプライマーCTGGCCATACTGGCCGGATGTGGCTCAGTTGTTAC(配列番号29)およびアンチセンスプライマーCCGCTCGAGTCATGCTTATACCAGCGGTGTCATGCTTAT(配列番号30、生成物サイズ2.0kb)を用いて5'アームを増幅した。センスプライマーCCATCGATGGCTGGCAGATAAGGACAGACG(配列番号31)およびアンチセンスプライマーATAAGAATGCGGCCGCAGCCTCTTCAGTGACTATCC(配列番号32、生成物サイズ1.5kb)を用いて、3'アームを増幅した。生成した5'および3'アームを、pRAY2ベクター(Genbank受入番号U63120)でクローン化した。全てのPCRフラグメントおよび生成したベクターについて配列確認した。GPR4ノックアウトマウスの作製 Sfil線状化ターゲッティングベクター(pRAY2−GPR4)20μgを、1.5×107BALB/c細胞に電気穿孔し16、次いで、それらを有糸分裂不活化マウス胚由来線維芽細胞で0.2mg/mlのG418の存在下において培養した。ターゲッティングされた突然変異が、プライマーP1 TGATATTGCTGAAGAGCTTGGCGGC(配列番号33)(Neo遺伝子)およびP2 CACTTCCTCTCCCTCCTATTTG(配列番号34)を用いるPCR、次いでプライマーP3 AGCGCATCGCCTTCTATCGCC(配列番号35)(Neo遺伝子)およびP4 CCAGCACTGTAAGACCTTC(配列番号36)でのネステッドPCRにより同定された(図3)。SacI、BamHI、EcorVまたはHindIII消化ゲノムDNAにおけるプライマーcgtgcttgttaagcgaatac(配列番号37)およびagtcattccagaagcctaga(配列番号38)からのPCR産物である外側5'プローブでのサザンブロット分析により、相同的組換えを効果的に確認した。ネオマイシンプローブ(BamHI NheI消化pRAY2ベクターからの1.2kbフラグメント)は、単一組込み部位を示した。それに続いて、陽性ES細胞クローンをC57BL/6未分化胚芽細胞に顕微注入し、偽妊娠養母マウスに再移植した。生まれた雄キメラをBalb/c雌と交雑し、生殖系列組込みを、毛の色、PCRおよびサザンブロットハイブリダイゼーションを用いて測定した。これらのGPR4ヘテロ接合マウスの交配は、メンデル比でホモ接合GPR4ノックアウトマウスを得るのに有効であった。GPR4転写物の欠如を、GPR4欠失および野生型マウスからの心臓、腎臓、肝臓、肺、脾臓および精巣cDNAについて評価した。マウスをCO2吸入により安楽死させ、組織を迅速に取り出し、RNAlater(Ambion、ハンティントン、イギリス国)に貯蔵した。RNAを、Absolutely RNA RT-PCR miniprepキット(Stratagene、アムステルダム、オランダ国)で調製し、Omniscript キット(QIAGEN、バーゼル、スイス国)により逆転写した。GPR4についてはプライマーGCTGCCATGTGGACTCTCGA(配列番号39)およびCAGGAAGGCGATGCTGATAT(配列番号40)および対照としてのクラスリン2Kについてはgctcacatgggaatgttcac(配列番号41)およびatgttgtcaaagttgtcataag(配列番号42)を用いて、マルチプレックスPCRを実施した。マウスを食物および水へ無制限に接近できるようにし、手順は全てスイス国動物保護法に準拠して実施された。動物 6〜8週齢の雌Balb/Cマウス(WTまたはGPR4 KO)を、Novartis動物育種施設で飼育した。対照Balb/Cマウスを、Charles River Laboratories(レゾンシン、フランス国)から入手した。マウスを耳標識により識別し、通常条件下において群(1ケージあたり5〜6動物)で飼い、毎日観察した。5〜10匹のマウスを一処置群について使用し、動物実験は全て、スイス国動物保護法を厳守して実施した。全ての動物実験を少なくとも2回実施した。血管新生増殖因子埋め込みモデル モデルについては、以前に報告されている17。簡単に述べると、ペルフルオロ−アルコキシ−テフロン製の多孔質組織チャンバー(Teflona-PFA、21mm×8mm直径、550μl容量)に、0.8%寒天(BBLa Nr.11849、Becton Dickinson、メイラン、フランス国)および20U/mlヘパリン(Roche、バーゼル、スイス国)に3mg/mlの組換えヒトVEGF16518および0.3mg/mlのbFGF(Invitrogen、バーゼル、スイス国)を含有または不含有で、指示されたsiRNAを補ったものを充填した。充填手順前に溶液を39℃で維持した。3%イソフルラン(Forenea、Abbott AG、シャム、スイス国)吸入を用いて、マウスに麻酔をかけた。皮下埋め込みを行うため、インプラントトロカールを挿入できるように、尾の基部のところで皮膚に小さな切りこみを入れた。無菌条件下、小さな切りこみから動物の背部へチャンバーを埋め込んだ。皮膚の切りこみを創傷用クリップ(Autoclip 9mm Clay Adams)により閉じた。埋め込み後4日目、CO2を用いて動物を殺した。siRNA実験については、siRNAを、増殖因子と一緒に0.3mMの最終濃度でチャンバーに加え、埋め込みの3日後に動物を殺した。チャンバーを摘出し、各埋込物周囲に形成された血管化線維組織を注意深く取り出し、秤量した。マウスの全般的状態を監視するのに体重を使用した。脈管形成応答の定量化 埋込物周囲で成長した線維組織に、1mlのRIPA緩衝液(50mMのトリス−HCl pH7.2、120mMのNaCl、1mMのEDTA pH8.0、6mMのEGTA pH8.5、1%NP−40、20mMのNaF)を加えた後、24000rpm(Ultra Turrax T25)で30秒間ホモジネートし、そこに1mMの Pefabloc SCプロテイナーゼ阻害剤(Roche、バーゼル、スイス国)および1mMのバナジウム酸Naを新たに加えた。ホモジネートを7000rpmで30分間遠心分離にかけ、0.45μmGHPシリンジフィルター(Acrodisca GF、Gelman Sciences、アナーバー、ミシガン)を用いて上清を濾過することにより、脂肪混入を回避した。報告された要領でELISAによりTie2タンパク質レベルを測定するのにこのライゼートを用いた19。正常位腫瘍モデル 4T1マウス乳癌細胞系を、ATCC(LGC Promochem、モルシャン、フランス国)から入手し、DMEM高グルコース+1%グルタミン+10%FCS中で成長させた。CT26細胞をATCCから入手し、MEM+10%FCS+1%ピルビン酸ナトリウム+1%グルタミン+1%非必須アミノ酸+2%ビタミン中で成長させた。軽いイソフルラン麻酔下、20μLの4T1細胞懸濁液(PBS中5×107細胞/ml)を、第4乳腺の脂肪パッド下に注射し、マウス1匹あたり106細胞の総接種量を与えた。 CT26腫瘍モデルについては、細胞接種を無菌条件下、OHC帯で実施した。手術前に、ケタミン(100mg/kg)およびキシラジン(5mg/kg)の新たに調製した混合物の単一皮下注射によりマウスに麻酔をかけた。その腹部(皮膚および筋肉)を、白線(長さ0.5〜1cm)に沿って外科用ハサミで切開した。ニュートラル鉗子で、動物の盲腸を突きとめ、腹部から徐々に引っ張り出した。30ゲージの針(Becton-Dickinson、320834)により、CT26細胞懸濁液(HBSS中106細胞/ml)10mlを、拡大鏡の助けを借りて粘膜下層へ注射することにより、マウス1匹につき1×105細胞の総接種量を与えた。最後に、盲腸を腹部へ戻し、筋肉を縫合し(Dexon、9104−11)、傷口を3つのAutoclips(登録商標)(Clay-Adams427631)で閉じた。動物を最後に37℃の電気パッドへ移すことにより、麻酔から回復させた。腫瘍移植の19〜21日後、動物を殺した。マウスの全般的状態を監視するのに体重を使用した。免疫蛍光および血管数 CT26正常位腫瘍の8mm凍結切片を、アセトンにより固定し、10%正常ヤギ血清(NGS)により遮断し、室温で2時間、PBS/0.5%NGS/0.05%トリトンX−100中で1:200に希釈した一次抗体とインキュベーションした。切片をPBSで3回洗浄し、PBS/0.5%NGS/0.05%トリトンX−100中で1:400に希釈した2次抗体とインキュベーションした。室温で1時間インキュベーション後、切片をPBSで洗浄し、Mowiolに載せた。使用抗体は、ラット抗マウスCD31(クローンMEC13.3、BD PharMingen、サンディエゴ、カリフォルニア)およびウサギ抗マウスKi67(Neomarkers、フレモント、カリフォルニア)であった。2次抗体は、ヤギ抗ウサギALEXA蛍光体568およびヤギ抗ラットALEXA蛍光体488(両方ともMolecular Probesから、Invitrogen、バーゼル、スイス国)であった。Ki67染色を用いて、CT26腫瘍における増殖性細胞の量を定量化した。Zeiss Axioplan 顕微鏡(20×レンズ)を用いて、6〜8枚の典型的画像を、各腫瘍(1群につきn=6)から撮影した。Microsoft プログラムを用いることにより、総面積の増殖性細胞のカバレッジパーセントを計算した。 血管密度を測定するため、上記要領で血管をCD31について染色し、腫瘍片全体にわたって手作業で計数した。腫瘍全体を包含する画像を、Zeiss Axioplan顕微鏡により10×倍率で撮影した。Openlab 3.1.5ソフトウェア(Improvision、レキシントン、マサチューセッツ)を用いて、計数した領域の面積を測定した。1群当たり6つの完全な腫瘍が計数された。FACS分析 非トランスフェクションおよびトランスフェクションHUVEC細胞を、VEGFR2レベルについてFACSにより分析した。簡単に述べると、細胞をトリプシン処理し、PBS+10%FCSで洗浄し、氷上で10分間インキュベーションした後、RPE−コンジュゲートマウス抗ヒトVEGFR2 mAb(1mg/106細胞;R & D Systems、アビンドン、イギリス国)を加えた。RPE標識イソ型マウスIgG1をFACS対照として使用した(R & D Systems、アビンドン、イギリス国)。Cell Quest ソフトウェア(Becton-Dickinson、アルシュビル、スイス国)を用いて、FACS分析をFACScaliburで実施した。SDS−PAGE、ウエスタン−ブロット、ELISA 全タンパク質を、プロテアーゼ阻害剤(Complete、Roche Diagnostics、スイス国)を補ったRIPA緩衝液により組織から抽出した。タンパク質を8%SDS−PAGEで分解し、次いでPVDF膜にブロッティングし、種々の抗体(ラット抗マウスVE−カドヘリンmAb、クローン11D4.1、Becton Dickinson、アルシュビル、スイス国;ヤギ抗マウスEphB4、R & D systems、アビンドン、イギリス国;ウサギ抗マウスチューブリン、Spring Biosciences、フレモント(Freemoiont)、カリフォルニア)によりプローブした。HRP−標識2次抗体およびECL−プラス化学発光試薬(Amersham Biosciences、ウプサラ、スウェーデン国)で検出を行った。報告された要領19でTie2 ELISAを用いて、Tie2受容体のレベルを測定した。市販のELISAキット(R & D systems、アビンドン、イギリス国)を用いてマウスVEGFR2レベルを測定した。結果GPR4は内皮細胞で発現される ヒトに由来する様々な細胞型および組織のDNAマイクロアレイを用いて得られた遺伝子発現データの解析は、GPR4の発現が、内皮細胞特有の一連のマーカー遺伝子の発現と相関関係をなすことを示していた(図示せず)。我々は、伸長DNAマイクロアレイ分析(図1a)およびヒトおよびマウス内皮細胞でのRT−PCR(図1b〜c)により内皮細胞におけるGPR4の特異的な発現を確認することができた。GPR4は、内皮細胞において機能的プロトン感受性受容体として作用する GPR4が内皮細胞での機能的pHセンサーであることを立証するため、我々は、HUVEC(1次ヒト臍静脈内皮細胞)を弱い細胞外アシドーシスに曝露し、cAMP生産を測定した。組換えGPR4でトランスフェクションしたヒーラ細胞を、対照として用いた(図2a)。HUVECは、弱いが明らかに顕著な応答を示し、この応答は、フォルスコリンの添加により強く増幅され得た(図2b、c)。最大応答はpH6.8前後で観察され、全てのGPR4発現性細胞においてpH7.9では顕著なcAMP生産が無く、我々の以前の結果と一致していた1。GPR4がこの高いcAMP生産に関与するpHセンサーであることを立証するため、我々は、HUVECを、細胞外アシドーシスに曝露する48時間前にsiRNAでトランスフェクションした。GPR4−特異的siRNAは、pH依存的cAMP増加を排除し得、対照siRNAは何ら影響を及ぼさなかった(図2d)。またアシドーシスに対する応答は、GPR4受容体の特異的低分子量拮抗物質により阻害され得た(データは示さず)。GPR4欠損マウスは、生存能および繁殖能を有する GPR4の機能に関してさらに理解を深めるため、受容体のコーディング配列をネオマイシン耐性カセットで置換することにより、GPR4欠損マウスを作製した(図3a)。GPR4遺伝子の正確なターゲッティングを、サザンブロッティングにより確認した(図3b)。また、幾つかの臓器ならびに野生型およびGPR4欠損マウスの両方から単離した一次肺内皮細胞でのRT−PCRによりGPR4 mRNAの発現を測定した。予想通り、GPR4 mRNAは、GPR4欠損マウスからの全ての組織には存在しなかったが、野生型対照には存在していた(図3c)。図3dは、野生型マウスの肺から単離された一次内皮細胞におけるGPR4発現を示しており、さらにGPR4は内皮細胞では発現されるが、GPR4欠損マウスからの細胞では発現されないことが確認された。GPR4欠損マウスは、生存能および繁殖能があり、それらの野生型同腹子と比べて著しい異常性も示さないことから、GPR4が発達中において不可欠なものではないことを立証している。さらに、年齢および性別がマッチする野生型動物と比較したとき、GPR4欠損マウスについては明白と言える顕著な組織病理学的差異が無かった。特に、心臓血管系は正常であると思われた。肺、卵巣および精巣についてGPR4欠損マウスと野生型マウスを比較したとき臓器重量の僅かな差異は認められた。しかしながら、確証的な組織病理学的発見が無いことを考慮に入れると、これらの臓器の重量変化は偶発的なものであり得る。GPR4欠損マウスでのVEGF推進による新脈管形成の低下 GPR4が病気に伴う新脈管形成において一定の役割を演じるか否かを調べるため、GPR4欠損マウスを増殖因子移植血管新生モデルに付した17,19。この目的については、よく知られた血管新生因子であるVEGFまたはbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)、またはベースライン対照としてPBSを含むテフロン製チャンバーをマウスに埋め込んだ。血管新生因子の添加により、埋め込まれたチャンバー周囲において新しい明確な血管化組織の形成が誘発される。図4a〜cに示されているとおり、GPR4欠損マウスは、VEGFに対し血管新生応答を示し得なかったが、bFGFに対する応答は野生型対照で観察されたものと類似していた。この驚くべき効果を確認するため、我々は、GPR4特異的siRNAを、種々の増殖因子と一緒に埋め込みチャンバーに添加した。このタイプのsiRNAの局所送達を先に用いて、血管新生標的を下方制御した(E.B投稿準備中;20)。以前の実験と一致するところでは、2つの独立したGPR4特異的siRNAは、VEGFの血管新生効果を排除したが、bFGFと組み合わせた場合には何ら効果を示さなかった(図4d)。類似した効果はVEGFR2に特異的なsiRNAについても観察され、対照siRNAの場合はいずれの増殖因子についても効果を示さなかった。GPR4欠損マウスにおける腫瘍成長の縮小 新たな脈管形成は腫瘍にとって非常に重要であるため、次に我々は宿主におけるGPR4の欠如が腫瘍成長に影響を及ぼすか否かを調べた。同遺伝子型の4T1乳房腫瘍細胞を、GPR4欠損または野生型雌マウスの脂肪パッドに移植した。腫瘍の成長を、カリパス測定により3週間にわたって監視し、実験の最後に腫瘍を秤量した。図5aおよび5bで示すとおり、腫瘍は、野生型対照と比べてGPR4欠損マウスでは著しく小さかった。同遺伝子型CT26結腸腫瘍細胞の注入を第2の腫瘍モデルとして使用した。細胞をマウスの盲腸に正常位移植し、20日後に腫瘍重量を測定した。このモデルでは、野生型対照と比べた場合のGPR4欠損マウスでの腫瘍成長の低下がさらに明白であった(図5c、d)。GPR4欠損マウスで成長した腫瘍における血管分布の低減化および細胞増殖の低下 CT26腫瘍をさらに詳細に組織分析した(図6a〜6d)。腫瘍片を内皮共通マーカーであるCD31について染色したとき、我々は、内皮細胞が脆く破壊されて見え、血管が正しい形状を呈していないことに気づいた(図6a)。CD31染色管腔を定量化したとき、我々は、CPR4欠損マウスで成長させた腫瘍における血管密度の低下を観察した。不運なことに、管腔の高い変動性および形態学的差異故に、この差異は統計的有意に到達しなかった(P=0.11;図6b)。核増殖抗原Ki67についての染色は、野生型対照と比べてGPR4欠損マウスで成長させた腫瘍では増殖している細胞が極めて著しく低減化していることを明らかにした(図6c)。対照的に、我々は、野生型およびGPR4欠損マウスでの腫瘍成長間におけるアポトーシス(活性化カスパーゼ3)または平滑筋細胞/周辺細胞(平滑筋アクチン、デスミン、NG2)についての染色での差異を認めなかった(データは示さず)。GPR4欠損はVEGFR2レベルの減少をもたらす GPR4欠損マウスがVEGF推進による新脈管形成に対して特異的に抵抗力がある理由を解明する試みにおいて、我々は、野生型およびGPR4欠損マウスにおける内皮細胞でのVEGFについての主たるシグナリング受容体である、VEGFR2の発現を調べた。興味深いことに、我々は、GPR4欠損マウスの肺および腎臓においてVEGFR2レベルの減少を見出した(図7aおよびデータは示さず)。他の内皮細胞マーカー、例えばTie2、VE−カドヘリンおよびEphB4のレベルが、野生型およびGPR4欠損マウス間では類似しているため(図7b、c)、この差異は内皮細胞数の差異に起因するものではなかった。さらに、GPR4特異的siRNAをHUVECへトランスフェクションしたとき、VEGFR2表面レベルの低下がFACS分析により測定されたが、これは対照siRNAによりトランスフェクションしたHUVECでは見られなかったことである(図7d)。したがって、我々は、GPR4欠損内皮細胞のVEGFに対する血管新生応答の低下は、少なくとも一つにはVEGFR2の発現の減少に起因しているという結論に達した。マウス抗原誘導関節炎モデル 雌GPR4野生型およびGPR4欠損マウスを、21および14日前に完全フロイントアジュバント(1mg/ml mBSA含有0.1ml)で1:1ホモジネートしたメチル化ウシ血清アルブミン(mBSA − Fluka Chemie AG)に対し背部の2部位で感作(i.d.)した。0日目、右膝に5%グルコース溶液中の10mg/ml mBSA 10mlを投与し(抗原注入膝)、左膝には5%グルコース溶液のみ10μlを与えた(賦形剤注入膝)。次いで、関節内注射直後、および2、4および7日目に再度カリパスを用いて左および右膝の直径を測定した。右膝腫脹を左膝腫脹の比として計算し、R/L膝腫脹比を時間に対してプロットすることにより、対照および処置群についての曲線下面積(AUC)グラフを得た。Excelスプレッドシートを用いて、個々の処置群AUCの阻害パーセンテージを、対照群AUC(0%阻害)に対して計算した。7日目、マウスをCO2吸入により殺し、右および左膝を取り出し、組織学的分析にかけた。Histodurプラスチック埋封方法(Leica AG、ドイツ国)を用いて、膝を非脱灰組織研究用に処理した。対照および関節炎膝の両方からの薄片(5μm)を、RM2165回転ミクロトーム(Leica AG、ドイツ国)で切断した。標準プロトコルに従って、ギムザ染色後、各動物から左膝/右膝対として番号コード化し、盲検方式で読み取った。GPR4欠損マウスにおける関節炎の重症度の低下 新脈管形成は、滑膜パンヌスの成長を制御することにより炎症性関節炎においてある重要な役割を演じる。増殖しているパンヌス組織は、主として滑膜線維芽細胞により構成され、マクロファージは、軟骨および肋軟骨下骨の破壊に関与する。固形腫瘍成長と類似した方法で、侵襲中のパンヌス組織は、十分な血液供給が無ければある一定の点を超えては進行することができない。新脈管形成阻害剤は関節炎モデルにおいて有効である。 GPR4欠損マウスでは、図8に示された通り野生型マウスと比べて膝腫脹が明らかに顕著に阻害されており、58.7%の腫脹AUC[0〜7日]の低下を示した。GPR4およびCOPD方法動物の擁護および福祉の主張 Balb/CおよびGPR4−/−マウス(雄および雌)(20〜28g)(Charles River、マーゲート、イギリス国)を、12時間明サイクルおよび1時間に15〜20換気で、一定温度(21±2℃)および湿度(55±15%)で維持した部屋に収容した。動物には、食物、RMI3ペレット(SDS UK Ltd.)および水を制約なしに与えた。本明細書記載の試験は、イギリス国内務省により公布されたプロジェクト認可書の下で実施され、プロトコルは、Novartis Institutes for BioMedical Research(ホーシャム)での地方倫理検討プロセスにより是認されたものである。タバコ煙曝露 マウスを7リットルのパースペックスチャンバーに入れ、タバコの煙を60秒ごとに送りこみ、残りの時間は新鮮な空気を注ぎ込んだ。1R3F Research Cigarettes(University of Kentucky、ルイスビル、ケンタッキー)を用いて、煙を発生させ、蠕道ポンプを介してチャンバーに引き入れた。模擬的な年齢および性別を一致させた対照動物を、同じ持続時間(1曝露期間につき約55分間)で同様にして空気のみに曝露した。短期タバコ煙曝露 動物を連続3日間1曝露期間につき5本のタバコに曝露した。タバコ煙曝露後、過剰量の致命的麻酔薬(ペントバルビトンナトリウム塩200mg腹腔内)で動物を殺し、全採血をした。マウスを最終曝露の3時間、24時間、48時間、72時間、96時間および10日後に選別した。模擬曝露対照マウスについても各時点で選別した。中期タバコ煙曝露 簡単に述べると、マウスを上記と同様2週間1曝露期間につき5本のタバコに曝露した。最終曝露の24時間、48時間、3日、1週間および2週間後に、過剰量の致命的麻酔薬(ペントバルビトンナトリウム塩200mg腹腔内)で動物を殺し、全採血をした。模擬曝露対照マウスについても各時点で選別した。卵アルブミン曝露 0日目に0.2mlの水酸化アルミニウムゲル中に卵アルブミン10μgを含む腹腔内注射でマウスを感作した。14日目、マウスに同抗原/水酸化アルミニウムゲル混合物の腹腔内ブースター注射を行った。第2感作の7日後、マウスをエーロゾル化卵アルブミン(PBS中50mg/ml)またはPBSエーロゾルに曝露した。動物を、1日2回各曝露に6時間の間隔をおいて20分間アレルゲンに曝露した。動物を連続3日間卵アルブミンまたはPBSに曝露し、合計6回の攻撃を行った。最終エーロゾル攻撃の18〜20時間後、マウスをメタコリンおよび気管支肺胞洗浄液に対する気管支過敏性の評価用に準備し、肺組織を集めた。気管支過敏性の測定 アレルゲン曝露の18〜20時間後、動物に麻酔をかけ、Portexカニューレ(1.3mmカニューレを1.7mmカニューレに挿入、長さ15mm)で気管切開をし、250μlの1回換気量により250拍/分の速度で換気した。フロートランスデューサーに連結した呼吸気流計(Buxco、イギリス国)で気流を監視した。経肺圧を、圧力変換器(Buxco、イギリス国)に連結した食道カテーテルにより評価した。Microsoft コンピューターに連結した増幅器インターフェースユニットを用いて、変換器からのシグナルをディジタル化し、Buxco XAソフトウェアで分析した。Buxco XAソフトウェアは、気流からの肺抵抗(RL)および経肺圧測定値を瞬時に計算するようにプログラム化されていた。安定したベースラインRLをPBSに応じて記録した。次いで、Aeronebマイクロポンプネブライザー(Aerogen、アイルランド国)を用いて増加用量の臭化メタコリン(Mch)エーロゾル(0.35、0.7、1.5、3、6、12.5、25mg/ml)を10秒間投与し、RLを5分間記録した。ベンチレーターからの流出を手動で遮断することにより、気道を1回換気量の2倍まで過膨張させて、MChの各用量を10分間隔で分散させた。後続のMCh曝露前に一定量歴を確実にするために過膨張させた。5分間の間における平均RL値を、PBSエーロゾル後におけるベースラインからの変化パーセンテージとして表した。PBSベースラインを超えてRLを300%増加させるのに必要とされるMChの濃度(PC300)を、個々の動物からの対数濃度−肺抵抗曲線の補外により計算し、log PC3000を気管支過敏性の尺度として用いた。気管支肺胞洗浄(BAL)液炎症 実施した全実験では、気管に挿入したバタフライカニューレを用い、滅菌PBSの3×0.4mLアリコートを肺に点滴注入することにより、肺を洗浄した。洗浄液を4℃、1500rev/分で15分間遠心分離にかけた。上清をアリコートに分け、サイトカインおよびケモカイン検定法に−80℃で貯蔵した。残りの細胞ペレットを、0.5mlのメチルバイオレット溶液に再懸濁した。血球計算法により、全細胞数計算を実施した。Hema−Gurr染色サイトスピン(300細胞/試料)(Merck、プール、イギリス国)での標準形態学的基準を用いて、細胞分画を実施した。各試料についての細胞総数と各白血球部分集団のパーセンテージを掛けることにより、白血球数を測定し、BAL細胞についての細胞/mLとして表した。肺組織の収集およびホモジネート化 BAL手順後、肺を胸腔から摘出し、液体窒素中で急速冷凍した。全肺試料を−80℃で貯蔵した。RIPA緩衝液(50mMのトリス−HClpH7.4、150mMのNaCl、0.1%SDS、1%NP40、0.5%デオキシコール酸、緩衝液10mlにつき1錠の完全ミニカクテル阻害剤(Roche))を含む、電動組織粉砕機を用いて、冷凍肺組織をホモジネート化した。全試料を氷上に保ち、溶液が澄明になるまでホモジネート化した。次いで、試料を10分間13000RPMでの遠心分離にかけ、肺ホモジネートのアリコートを−80℃で貯蔵した。ELISAによる組織サイトカイン分析 R&D Systems(アビンドン、イギリス国)からのELISAデュオセットを用いてMIP−2を測定した。BCAタンパク質検定キット(Pierce、ノーサンバーランド、イギリス国)を用いて、組織ホモジネートタンパク質レベルを測定し、ケモカイン値を個々の試料についてのレベルに対して正規化した。統計的分析 データは全て平均+平均の標準誤差(SEM)として示した。スチューデントのt検定を用いて、全煙曝露動物と時間を一致させたそれらの空気曝露対照を比較した。卵アルブミン曝露動物を、それらのPBS曝露対照と比較した。結果GPR4−/−マウスに対する短期タバコ煙曝露の影響 短期タバコ煙曝露後、動物を様々な時点で殺し、BALを実施した。BAL液での好中球増加は、模擬対照と比べると、煙曝露したGPR4−/−およびBalb/Cマウスの両方で3時間早く観察された。BAL液好中球は、煙曝露GPR4−/−およびBalb/Cマウスの両方において24時間でピークに達した。煙曝露の48時間後、好中球数は、GPR4−/−およびBalb/C煙曝露マウスの両方で分解し始めた。煙曝露の72時間後に観察されたところによると、好中球融解は、煙曝露Balb/Cマウスと比べて煙曝露GPR4−/−マウスでの方が高くなっていた(5.10×104±1.31対15.24×104±3.43細胞/ml;p<0.05)(図9)。GPR4−/−マウスに対する中期タバコ煙曝露の影響 中期タバコ煙曝露後、好中球は、模擬対照と比べるとBalb/C煙曝露マウスおよびGPR4−/−煙曝露マウスからのBAL液で増加していた。24時間および3日目に、Balb/Cマウスと比べてGPR4−/−マウスでは好中球の数が著しく減少していた(図10)。興味深いことに、リンパ球の数もGPR4−/−およびBalb/Cマウスの両方でタバコ曝露後に増加していた。しかしながら、GPR4−/−BAL液におけるリンパ球数は、Balb/Cマウスと比べて煙曝露後1週目(10.42×104±2.08対3.57×104±0.57細胞/ml;p<0.01)および2週目(2.76×104±0.31対0.97×104±0.2細胞/ml;p<0.01)で著しく低下した。BAL液中のマクロファージの数は煙曝露後に増加したが、GPR4−/−およびBalb/Cマウス間で差異は全く観察されなかった。 MIP−2は、Balb/Cマウスと比べてGPR4−/−マウスでは煙曝露後24時間で著しく低下していた(42.7±3.0対194.9±50.1pg/ml;p<0.01)。驚くべきことに、MIP−2レベルは、煙曝露Balb/Cマウスと比べて煙曝露GPR4−/−マウスでは煙曝露後2週間目で著しく高くなっていた(53.3±15.4対22.6±1.9pg/ml;p<0.05)(図11)。感作GPR4−/−マウスにおける卵アルブミン曝露後の気道過敏性 卵アルブミン曝露の24時間後、気道過敏性をメタコリン攻撃により評価した。動物を増加量のメタコリンに曝露し、肺機能の変化を測定した。PBS曝露GPR4−/−マウスおよびBalb/C PBS曝露マウス間で比較したところ気道過敏性での差異は全く観察されなかった(図12)。興味深いことに、卵アルブミンに曝露したGPR4−/−マウスは、卵アルブミン曝露Balb/Cマウスと比べてメタコリンに対する応答性が著しく低かった(PC300−1.02±0.07対−0.61±0.09―log mg/mlメタコリン;p<0.01)。 卵アルブミン曝露後、PBS曝露マウス対照の場合と比べてBalb/CおよびGPR4−/−卵アルブミン曝露マウスの両方ではマクロファージ、好酸球およびリンパ球が著しく増加していた。Balb/C卵アルブミン曝露およびGPR4−/−卵アルブミン曝露マウス間でマクロファージ、好酸球またはリンパ球に差異は全く観察されなかった(図13)。要約 現在までに実施された実験では、GPR4遺伝子欠失が、短期、中期および長期タバコ煙曝露後のBAL液において好中球の融解を促進することが立証された。さらに、GPR4欠損はまた、卵アルブミン誘発気道過敏性を減ずることが立証された。7.参考文献情報1. Ludwig, M. G. et al. Proton-sensing G-protein-coupled receptors, Nature 425, 93-8(2003)。2. Ishii, S., Kihara, Y. & Shimizu, T. Identification of T cell death-associated gene 8 (TDAG8) as a novel acid sensing G-protein-coupled receptor, J Biol Chem 280, 9083-7(2005)。3. Wang, J. Q. et al. TDAG8 is a proton-sensing and psychosine-sensitive G-protein-coupled receptor, J Biol Chem 279, 45626-33(2004)。4. Kim, K. S. et al. GPR4 plays a critical role in endothelial cell function and mediates the effects of sphingosylphosphorylcholine, Faseb J, 19, 819-21(2005)。5. Lum, H. et al. Inflammatory stress increases receptor for lysophosphatidylcholine in human microvascular endothelial cells, Am J Physiol Heart Circ Physiol , 285, H1786-9(2003)。6. Bergers, G. & Benjamin, L. E. Tumorigenesis and the angiogenic switch, Nat Rev Cancer 3, 401-10(2003)。7. Griffiths, J. R. Are cancer cells acidic?, Br J Cancer, 64, 425-7(1991)。8. Gatenby, R. A. 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Husken, D. et al. mRNA fusion constructs serve in a general cell-based assay to profile oligonucleotide activity, Nucleic Acids Res 31, e102(2003)。16. Gassmann, M. et al. Redistribution of GABAB(1) protein and atypical GABAB responses in GABAB(2)-deficient mice, J Neurosci 24, 6086-97(2004)。17. Wood, J. et al. Novel antiangiogenic effects of the bisphosphonate compound zoledronic acid, J Pharmacol Exp Ther 302, 1055-61(2002)。18. Siemeister, G. et al. Expression of biologically active isoforms of the tumor angiogenesis factor VEGF in Escherichia coli, Biochem Biophys Res Commun 222, 249-55(1996)。19. Ehrbar, M. et al. Cell-demanded liberation of VEGF121 from fibrin implants induces local and controlled blood vessel growth, Circ Res 94, 1124-32(2004)。20. Chae, S. S., Paik, J. H., Furneaux, H. & Hla, T. Requirement for sphingosine 1-phosphate receptor-1 in tumor angiogenesis demonstrated by in vivo RNA interference, J Clin Invest 114, 1082-9(2004)。 新脈管形成阻害用医薬の製造を目的とする、GPR4阻害剤の使用。 新脈管形成の阻害が、癌、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症またはアテローム性動脈硬化症の処置を目的とする、請求項1記載の使用。 阻害剤がsiRNAである、請求項1または2記載の使用。siRNAが2本鎖である、請求項3記載の使用。 医薬が人間を処置するためのものであり、siRNAの配列が、センス:5'−GCGCTGTGTCCTATCTCAAdTdT−3'(配列番号1)アンチセンス:5'−TTGAGATAGGACACAGCGCdAdG−3'(配列番号2)である、請求項4記載の使用。 医薬が人間を処置するためのものであり、siRNAの配列が、センス:5'−CCATGTCTGGCCAGATAAAdTdT−3'(配列番号4)アンチセンス:5'−TTTATCTGGCCAGACATGGdCdG−3'(配列番号5)である、請求項4記載の使用。 医薬が人間を処置するためのものであり、siRNAの配列が、センス:5'−CATAAGACCGCAATTCTAAdTdT−3'(配列番号7)アンチセンス:5'−TTAGAATTGCGGTCTTATGdTdT−3'(配列番号8)である、請求項4記載の使用。 請求項1〜7記載の医薬で対象を処置する方法。 配列番号1〜20の配列を含むsiRNA分子。 GPR4をコードする遺伝子が欠失されている、非ヒト動物。 新脈管形成、癌、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症またはアテローム性動脈硬化症に関する実験モデルとしての、請求項10記載の動物の使用。 新脈管形成、癌、黄斑変性、乾癬、関節炎、多発性硬化症またはアテローム性動脈硬化症を調節する化合物をスクリーニングするための、請求項10記載の動物の使用。 癌(例えば固形腫瘍癌)、COPD、関節炎(例えば慢性関節リウマチ)から選択される疾患に侵されているヒト患者を処置するための医薬の製造方法で使用されるGPR4(例えばヒトGPR4)の阻害剤を同定する方法であって、(a)候補阻害剤をGPR4(例えば宿主細胞で発現されたヒトGPR4)と接触させ、(b)GPR4機能の阻害を(例えばpH依存的cAMP形成を測定することにより)観察し、(c)pH依存的cAMP形成の阻害を示す阻害剤を選択し、さらに(d)所望により、GPR4機能阻害性を強化し、そして/または対象のヒト患者における上記阻害剤の毒性プロフィールを改善するように工程(c)の阻害剤に構造的修飾を加えてもよい方法。 本発明は、新脈管形成を阻害する、例えば癌治療において腫瘍の成長を阻害する医薬の製造におけるGPR4阻害剤の使用に関するものである。好ましい態様において、上記阻害剤は、好ましくは2本鎖状のsiRNAである。これに加えて、本発明は、さらにGPR4が不活化された非ヒト動物、例えばGPR4を欠くノックアウトマウス、および新脈管形成に関する実験モデルとして、また新脈管形成を調節する化合物をスクリーニングするための上記動物の使用を包含する。


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