生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ナノ型乳酸菌の菌体の製造方法
出願番号:2009534787
年次:2013
IPC分類:A61K 35/74,A61K 9/19,A61P 37/04


特許情報キャッシュ

長谷川 秀夫 菅 辰彦 JP 5257363 特許公報(B2) 20130502 2009534787 20080626 ナノ型乳酸菌の菌体の製造方法 信和薬品株式会社 592242419 有限会社バイオ研 505164690 特定非営利活動法人日本サプリメント臨床研究会 306000935 コスモ食品株式会社 393017535 小島 隆司 100079304 重松 沙織 100114513 小林 克成 100120721 石川 武史 100124590 長谷川 秀夫 菅 辰彦 20130807 A61K 35/74 20060101AFI20130718BHJP A61K 9/19 20060101ALI20130718BHJP A61P 37/04 20060101ALI20130718BHJP JPA61K35/74 AA61K9/19A61P37/04 A61K 35/74 A61K 9/19 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) WPI BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) 特開2003−171292(JP,A) 特開平07−313140(JP,A) 特開昭63−022179(JP,A) 特開昭50−132155(JP,A) 特開平06−206826(JP,A) 特開平04−211360(JP,A) 特開平08−259450(JP,A) 特開2007−195415(JP,A) 特開平09−188627(JP,A) 特開2008−195631(JP,A) 国際公開第2008/149654(WO,A1) KOKKINOS, A. et al.,Lait,1998年,Vol.78,p.491-500 2 JP2008061612 20080626 WO2009157073 20091230 12 20090928 遠藤 広介 本発明は、抗原提示細胞からのインターフェロンα産生能を増強する作用を有するナノ型乳酸菌の菌体の製造方法に関する。 最近の研究では、ナイーブT細胞(以下、Th0と略す)は、機能的にI型T細胞(以下、Th1と略す)とII型T細胞(以下、Th2と略す)に分化することが知られている。 Th1細胞による免疫応答は、細胞性免疫を誘導し、マクロファージやリンパ球など単核細胞中心の食菌処理が起こる。一方、Th2細胞による免疫応答は、液性免疫を誘導し、抗体による殺菌処理が起こる。Th1型サイトカインはTh2を抑制し、逆にTh2型サイトカインはTh1を抑制し、この2つは免疫全体のバランスを保つために互いに関係し合っている。 インターフェロンα(IFN−α)は、ウイルスや、結核菌、サルモネラ菌、リステリア菌、らい菌といった細胞内寄生性細菌、クリプトコッカスのような細胞内寄生性真菌による感染時に、樹状細胞(抗原提示細胞)から分泌されるサイトカインである。 また、インターロイキン12(IL−12)は、樹状細胞およびマクロファージのような抗原提示細胞から分泌されるサイトカインで、ガン細胞を直接攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)や、ラック細胞(LAK細胞)、キラーT細胞(CTL細胞)を活性化したり、IFN−γの産生を増強したりする非常に強力な免疫活性物質として知られている。 これらのIFN−αおよびIL−12は、ともにTh1細胞を誘導するサイトカインであるが、抗原提示細胞に発現している受容体(TRL:Toll−like receptor)の違い(IL−12の場合:TLR1、TLR3、TLR5、TLR9;IFN−αの場合:TLR7、TLR9)が見られる。 ところで、抗原提示細胞からのIFN−α産生を増強する乳酸菌またはその構成物については、ラクトバシルス・ブレビス菌粉末(特許文献1:特開平6−206826号公報参照)、エンテロコッカス属に属する乳酸菌またはその処理物(特許文献2:特開平8−259450号公報参照)、ラクトバシルス・ブレビス菌株FERM BP−4693の構成抽出物(特許文献3:特開平9−188627号公報参照)等が報告されている。 通常であれば、IFN−α産生能が高い菌株を選択するのが自然であり、活性が低い菌株をあえて活性が高い菌株に変える必要はなく、またそれを試みようとも思わない。 しかし、長年、ラクトバシルス・ブレビス菌を市場に提供してきた事業者にとっては、乳酸菌のIFN−α産生能を増強することは切実な願いである。 これまで乳酸菌は、発酵乳あるいはヨーグルトの形態で摂取するのが常態である。口から摂取される抗原は、パイエル板でM細胞の貪食によって取り込まれる。 そこで、どれくらいまでの大きさであればパイエル板から取り込まれるのかといった関心から、粒子の大きさ(粒子径)とパイエル板への取り込みの関係についてこれまで多くの研究がなされてきた。 その結果、粒子の大きさが10μmを超えるとM細胞による貪食は著しく低くなり(非特許文献1参照)、パイエル板を通過する粒子の最大径は、粒子の材質がポリラクタイドの場合には10μm(非特許文献2参照)、ポリスチレンの場合には15μm(非特許文献3参照)、生分解性ポリ乳酸の場合には21μm(非特許文献4参照)ということが明らかとなっている。 これらの結果から、パイエル板を通過できる粒子の大きさは高々20μm程度ということがわかる。 また、抗原を感作させた生分解性ポリ乳酸ビーズをラットに経口投与した実験によれば、Th2誘導によって抗原特異抗体が産生される率が最も高くなる粒子径は、IgGの場合4μm、IgAの場合は7μmであり、Th2誘導に好ましい粒子径は3〜7μm程度であることがわかる(非特許文献4参照)。 しかしながら、Th1誘導に好ましい粒子径は現在までのところ明らかにされていない。特開平6−206826号公報特開平8−259450号公報特開平9−188627号公報Tabata Y、Ikada Y. Adv Polym Sci 94:107-141, 1990.Eldridge JH. et al. J Controlled Rel 11:205-214, 1990.Eldridge JH. et al. Molec Immun 28:187-194, 1991.Tabata Y. et al. Vaccine 14:1677-1685, 1996. 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、Th1誘導に好ましい粒子径を有し、INF−αの産生能に優れるとともに、水への分散性に優れた乳酸菌を提供することを目的とする。 本発明者らは、長寿と関係のある乳酸菌を、京都の酸茎漬、長野のすんき漬、グルジア地方のマリアーミとマッツォーニライク、モンゴルの馬乳酒、および各種発酵乳製品より分離し、乳酸菌の大きさと抗原提示細胞からのIL−12およびIFN−αの産生能の関係を解析した。 その結果、図1Aに示されるように、乳酸菌刺激による抗原提示細胞からのIL−12産生能は、乳酸菌の大きさが1μm以下まで小さくなると高くなった(参考例1参照)。 一方、IFN−α産生能の場合においても、図1Bに示すように、乳酸菌の大きさが1μm以下まで小さくなると高くなった(参考例1参照)。 しかし、IL−12およびIFN−αの産生能には負の相関を示す菌株も認められた(図2参照)。例えば、EF、KH1、KH3といった菌株ではIL−12産生能が高くIFN−α産生能が低い、逆にLL12、ML4といった菌株ではIL−12産生能が低くIFN−α産生能が高い。 一方、SNKはIL−12およびIFN−αの産生能が相対的にともに高いといった特徴が認められた。 これは、先行技術(特願2007−30324号明細書)からは想到し得ない知見で、おそらく、抗原提示細胞に発現する受容体の乳酸菌に対する認識の違いによると推察される。 その結果、ラクトバシルス・ブレビス菌株FERM BP−4693(表1および図1−2中、LBRで表示)のように、粒子径が9μm近くもある乳酸菌においては、それが1μm程度のものに比べて、IFN−α産生能が著しく劣るということが明らかとなった。 そこで、さらに本発明者は、上記課題を解決すべく、乳酸菌体の粒度分布における最頻値を小さくし、しかも菌体同士の再凝集を防止するための条件を鋭意検討した。 その過程で、乳酸菌の表面が正(プラス)に荷電していることに着眼し、培養工程および加工工程におけるpHを中性域に調整することで、乳酸菌体の粒度分布における最頻値(以下、単に粒度という場合もある)が1.0μm以下にまで小さくなることを見出した。 一般的に、乳酸菌が培養時における諸条件によってその形態が変化することは知られているが、培養工程および加工工程におけるpHを制御することでその大きさを1.0μm以下に調整できるという知見は、当業者のあいだではこれまで知られていない。 また、本発明者は、当該菌体をもって抗原提示細胞からのIFN−α産生能を著しく増強させることができることも見出した。 以上のように、本発明者は、通常の粒度が1.0μmより大きな乳酸菌に対しても、中性域のpHでの培養および加工処理を通して、乳酸菌体の粒度を1.0μm以下にまで調整し得ること、およびこの乳酸菌が抗原提示細胞からのIFN-α産生能を増強させ、免疫賦活作用を向上し得ることを見出し、本発明を完成した。 なお、最近乳酸菌の死菌体を濃縮した乾燥粉末を市場で見受けるようになった。これは、少量で多数量の乳酸菌を摂取可能とすることを目的とするものである。 しかし、このような乾燥粉末における乳酸菌本来の粒度が1.0μm以下であったとしても、濃縮した菌体を乾燥しただけの粉末であっては、これを水に入れた場合に粒子同士が吸着・凝集し、かたまり(塊)となってしまう(参考例2参照)。 そもそも、通常の培養条件では、粒度が1.0μm以下の乳酸菌は、存在する可能性が低い(表1参照)。 すなわち、本発明は、1. 粒度分布における最頻値が1.0μm以下であるナノ型乳酸菌の菌体の製造方法であって、 前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ブレビスであり、 非中和培養における菌体粒度が1μmより大きな乳酸菌を培養する培養工程と、得られた乳酸菌を加工する加工工程とを備え、 前記培養工程における培地がエネルギー源としてブドウ糖を含有し、前記ブドウ糖が消費された時点を培養終点とし、 前記加工工程が、分散剤または賦形剤を乳酸菌に添加した後、凍結乾燥または噴霧乾燥する工程を含み、 前記培養工程および加工工程におけるpHを5〜8に調整することを特徴とするナノ型乳酸菌の菌体の製造方法、2. 前記培養工程において、アルカリ添加によってpHを調整する1のナノ型乳酸菌の菌体の製造方法を提供する。 本発明によれば、通常の粒度が1μmより大きな乳酸菌に対しても、中性域のpHでの培養および加工処理を通して、乳酸菌体の粒度を1.0μm以下にまで調整することができる。 このようにして得られたナノ型乳酸菌の菌体は、抗原提示細胞からのIFN-α産生能を増強させ、免疫賦活作用を向上し得るため、非常に有用な菌体であるといえる。乳酸菌の菌体粒度とIL−12およびIFN−α産生能の関係を示した図である。乳酸菌刺激によるIL−12およびIFN−α産生能の相関を示した図である。菌体粒度を比較した図である。乳酸菌粉末の粒径分布(A:頻度%,B:積算%)を示した図である。ナノ型乳酸菌ラブレの菌体粒度とIFN−α産生能を示した図である。 以下、本発明についてさらに詳しく説明する。 本発明に係るナノ型乳酸菌の菌体は、粒度分布における最頻値(粒度)が1.0μm以下のものである。 本発明において、「粒度分布における最頻値」は、菌の大きさを表す指標となる値であって、菌体の粒子径を測定したときの粒度分布における相対頻度が最大となる粒子径をいう。 本発明の「ナノ型乳酸菌の菌体」の原料となる乳酸菌の具体例としては、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidphilus)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・マリ(L.mali)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptcoccus thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)等のラクトコッカス属細菌、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)等のエンテロコッカス属細菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)等のビフィドバクテリウム属細菌などが挙げられる。 本発明のナノ型乳酸菌の菌体の形態は、生菌でも死菌でもよいが、生菌の場合、製品製造以降の配送時や陳列時に形態変化を起こす可能性があるため、それ以上形態変化を起こさない死菌が好ましい。 乳酸菌は、培養時の生育環境が劣悪になると、そのストレスで形態が変化することが知られている。 そこで本発明では、培養および加工条件を制御することで、乳酸菌の形態が一定になるように維持しながら乳酸菌を増殖させて、上述した粒度分布における最頻値を有するナノ型乳酸菌を製造する。 具体的には、先に述べたとおり、乳酸菌の表面が正(陽、プラス)に荷電していることに着眼し、培養工程および加工工程におけるpHを中性域に調整して膜を安定化することで、分裂菌が接合したままの双菌状態および菌同士の再吸着を防止するものである。 ここで、「pHを中性域に調整」する方法としては、乳酸等の酸や水酸化ナトリウム等のアルカリでの中和が挙げられる。 なお、本発明における「培養工程および加工工程における培地のpHを中性域に調整」するとは、培養工程のpHを中性域に調整しておくことのみならず、培養終了後の菌体滅菌、洗浄、濃縮といった工程(加工工程)におけるpHも中性域に調整することを意味している。 培養工程および加工工程におけるpHは、5〜8が好ましく、5.5〜7.5がより好ましい。 また、培地の栄養組成におけるエネルギー源としては、エネルギー利用性が最も高いブドウ糖が好ましく、その添加量は培地中に5〜10質量%程度とすることが好ましい。 なお、ブドウ糖が消費された時点を培養終点とすることで、栄養枯渇から来るストレスによる菌形態の変化を防止することができる。 さらに、本発明の「ナノ型乳酸菌の菌体」は分散処理されたものであることが好ましい。 分散処理の手法としては、特に限定されるものではないが、例えば、菌の培養液を湿式で150kgf/cm2(1.5MPa)程度の高圧ホモゲナイザーで分散する方法が挙げられる。 この場合、予め公知の分散剤または賦形剤を培養液に添加しておくことが好ましく、これにより、菌体の再凝集を効率的に防止することができる。 使用する分散剤および賦形剤の添加量は、菌体の性状によって変化するが、質量換算で菌体に対して1〜100倍量が好ましく、2〜20倍量がより好ましい。 好適な分散剤および賦形剤としては、トレハロース、デキストリン、スキムミルク等が挙げられる。 なお、本発明の「ナノ型乳酸菌の菌体」を最終的に粉末として得る場合には、公知の分散剤・賦形剤等で菌体が再凝集しないような処理を施してから、凍結乾燥や噴霧乾燥することが好ましい。これにより、水への分散性に優れた菌体粉末を得ることができる。 以上説明した本発明のナノ型乳酸菌の菌体は、粒度が1.0μm以下のナノメータ(nm)サイズにまで微細化されたものである。 また、この菌体は、上記手法によって乾燥粉末とし、当該粉末を生理的消化液に再懸濁した場合の菌体粒度がやはり1.0μm以下を保つ。なお、生理的消化液とは、公知の方法で調製された人工胃液あるいは腸液を意味する。 本発明のナノ型乳酸菌の菌体は、そのまま製品とすることもできるが、一般には、風味を上げたり、必要な形状とする等のために種々の成分を添加、配合したり、更にフレーバーを添加したりして最終製品される。 この添加、混合される成分としては、各種糖質や乳化剤、甘味料、酸味料、果汁等が挙げられる。 より具体的には、グルコース、シュークロース、フラクトース、蜂蜜等の糖類;ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット等の糖アルコール;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤などが挙げられる。その他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE等の各種ビタミン類やハーブエキス、穀物成分、野菜成分、乳成分等を配合しても、優れた風味のTh1誘導剤を得ることができる。 また、フレーバーとしては、ヨーグルト系、ベリー系、オレンジ系、花梨系、シソ系、シトラス系、アップル系、ミント系、グレープ系、ペア、カスタードクリーム、ピーチ、メロン、バナナ、トロピカル、ハーブ系、紅茶、コーヒー系等のフレーバーが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。フレーバーの添加量は特に限定されないが、風味面から菌体中に0.05〜0.5質量%、特に0.1〜0.3質量%程度が好ましい。 以上説明した本発明のナノ型乳酸菌の菌体は、固形状、液状等いずれの形態の製品とすることもできる。具体的には、医薬的に受容な塩、賦形剤、保存剤、着色剤、矯味剤等とともに、医薬品あるいは食品の製造分野における公知の方法によって、飲料、顆粒、錠剤、カプセル剤等の種々の形態として製品化することができる。 また、本発明のナノ型乳酸菌の菌体は、健康食品に利用することができる。健康食品とは、通常の食品よりも積極的な意味で、保健、健康維持・増進等の目的とした食品を意味する。その形態は、液体、半固形、固形のいずれでもよく、具体的には、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類;清涼飲料、栄養飲料、スープ等が挙げられる。 さらに、本発明のナノ型乳酸菌の菌体は、ローション(化粧水)、化粧用クリーム類、乳液、化粧水、パック剤、スキンミルク(乳剤)、ジェル剤、パウダー、リップクリーム、口紅、アンダーメークアップ、ファンデーション、サンケア、浴用剤、ボディシャンプー、ボディリンス、石鹸、クレンジングフォーム、軟膏、貼付剤、ゼリー剤、エアゾール剤等種々の製品形態で皮膚外用剤に利用することもできる。 なお、本発明のナノ型乳酸菌の菌体には、下記に例示されるような化粧品、医薬部外品、医薬品において通常用いられる各種成分や、添加剤を必要に応じて適宜配合することができる。 すなわち、グリセリン、ワセリン、尿素、ヒアルロン酸、ヘパリン等の保湿剤;PABA誘導体(パラアミノ安息香酸、エスカロール507(アイエスピー・ジャパン(株))等)、桂皮酸誘導体(ネオヘリオパン、パルソールMCX(DSMニュートリション ジャパン(株)、サンガードB((株)資生堂)等)、サリチル酸誘導体(オクチルサリチレート等)、ベンゾフェノン誘導体(ASL−24、ASL−24S((有)湘南ケミカルサービス)等)、ジベンゾイルメタン誘導体(パルソールA、パルソールDAM(DSMニュートリション ジャパン(株)等)、複素環誘導体(チヌビン系等)、酸化チタン等の紫外線吸収剤・散乱剤;エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、リンゴ酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤;サリチル酸、イオウ、カフェイン、タンニン等の皮脂抑制剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等の殺菌・消毒剤;塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸、グアイアズレン、アズレン、アラントイン、ヒノキチオール、グリチルリチン酸およびその塩、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸等の抗炎症剤;ビタミンA、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、B15)、葉酸、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD群(D2、D3)、ビタミンE、ユビキノン類、ビタミンK(K1、K2、K3、K4)等のビタミン類;アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、リジン、グリシン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、アルギニン、ピロリドンカルボン酸等のアミノ酸およびその誘導体;レチノール、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、胎盤抽出液等の美白剤;ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル等の抗酸化剤;塩化亜鉛、硫酸亜鉛、石炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム等の収斂剤;グルコース、フルクトース、マルトース、ショ糖、トレハロース、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール等の糖類;甘草、カミツレ、マロニエ、ユキノシタ、芍薬、カリン、オウゴン、オウバク、オウレン、ジュウヤク、イチョウ葉等の各種植物エキス等の他、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色素などを適宜配合することができる。 以下、参考例および実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、乳酸菌の粒子径は粒度分布測定装置((株)島津製作所、SALD−3100)で測定した。また、マクロファージから乳酸菌刺激によって産生されるIL−12およびIFN−αは市販されているELISAキットで測定した。[参考例1]〔死菌体の調製〕 表1に示されるように、長寿と関係のある乳酸菌を、京都の酸茎漬、長野のすんき漬、グルジア地方のマリアーミとマッツォーニライク、モンゴルの馬乳酒、各種発酵乳製品より分離し、MRS培地を用いて培養時のpHを調整することなく36.5℃で48時間培養した。培養終了後、培養液を80℃で10分間加熱滅菌処理し、菌体をPBSで洗浄し、菌体濃度で10mg/mlになるように調製した。 なお、表中のLBRとはラクトバチルス・ブレビス菌株FERM BP−4693を指す。〔菌体粒度とIL−12およびIFN−α産生能との関係〕 乳酸菌の菌体粒度とIL−12およびIFN−α産生能との関係を図1Aおよび図1Bにそれぞれ示す。 乳酸菌の大きさ(粒子径)が1μm程度にまで小さくなった方が、IL−12およびIFN−αのいずれのサイトカインも著しく産生能が増強されることが明らかとなった(表1と図1参照)。 ただし、図2に示されるように、IL−12およびIFN−αとの産生能には負の相関を示す菌株が認められ、たとえばEF、KH1、KH3といった菌株ではIL−12産生能が高くIFN−α産生能が低い、逆にLL12、ML4といった菌株ではIL−12産生能が低くIFN−α産生能が高い、一方でSNKはIL−12およびIFN−αの産生能が相対的にともに高いといった特徴が認められた。[実施例1]〔ナノ型乳酸菌EFの調製〕 乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス菌株EFを、5質量%ブドウ糖添加の公知の栄養培地で、20質量%水酸化ナトリウム水溶液で培養時におけるpHを6.5に調整しながら36.5℃で培養し、ブドウ糖が消費された時点を培養終点とした(培養工程)。 培養終了後、培養液を80℃で10分間加熱滅菌処理した後、菌体をPBSで洗浄し、菌体濃度で10mg/mlになるように調整した(加工工程)。なお、加工工程時のpHは6.5に保持した。〔菌体粒度の比較〕 参考例1および実施例1で調製した乳酸菌EFの菌体粒度を測定した。その結果を図3に示す。 図3に示されるように、非中和培養による菌体粒度が1.215と1μmより大きかったのに対し、中和培養による菌体粒度は0.701と1.0μm以下になっていることがわかる。[参考例2]〔死菌乾燥粉末の調製〕 乳酸菌本来の大きさが0.6μm(図4A)で、選択的にサイトカインを誘導し得る2μm以下の粒子の積算分布が99%(図4B)の乳酸菌エンテロコッカス・フェカリス菌株EFを実施例1の方法で培養し、その培養液から菌体を濃縮し、賦形剤を添加せずに噴霧乾燥して粉末とした。〔菌体粒度の比較〕 上記で調製した粉末を、再び水に分散させた。その結果、図4Aに示されるように、粒子径が100μmまでなだらかな粒度分布を示した。その内訳は、図4Bの積算分布に示されるように、パイエル板を通過する20μmまでの粒子は約50%、Th2細胞を誘導する3〜7μmの粒子は約14%、さらにTh1細胞を誘導する2μm以下の粒子は高々1%に過ぎなかった。これではTh1/Th2応答をともに誘導する粒子が混在することになり、生理的には決して好ましい状況とは言えない。 さらに生体内での消化作用を想定し、これを公知の方法で調製された人工胃液または腸液で処理した場合でも、Th1細胞を誘導する2μm以下の粒子の積算分布は高々10%までしか上がらなかった(図4)。 これではせっかくの乳酸菌本来の機能も十分に発揮されない(高々10%程度)という結果を招くことが懸念される。[実施例2]〔ナノ型乳酸菌ラクトバチルス・ブレビスの調製〕 乳酸菌ラクトバチルス・ブレビス菌株FERM BP−4693を、5質量%ブドウ糖添加の公知の栄養培地で、20質量%水酸化ナトリウム水溶液で培養時におけるpHを6.5に調整しながら36.5℃で培養し、グルコース消費が完了した時点を培養終点とした(培養工程)。 培養終了後、培養液を80℃で10分間加熱滅菌処理し、菌体をPBSで洗浄し、菌体に対して重量換算で4倍量のデキストリンを賦形剤として添加し、ミキサーで分散してから凍結乾燥して試料を調製し、これを再び菌体濃度で10mg/mlになるようにPBSに懸濁した(加工工程)。なお、加工工程時のpHは6.5に保持した。〔菌体粒度およびIFN−α産生能の比較〕 参考例1および実施例2で調製したラクトバチルス・ブレビス菌株FERM BP−4693の菌体粒度およびIFN−α産生能を測定した。その結果を図5に示す。 図5に示されるように、非中和培養の場合(LBRと表示)は、菌体粒度が8.8μm、IFN−α産生能が16.8pg/mlであったのに対し、中和培養の場合(NANO−LBRと表示)は、菌体粒度が0.7μmと1.0μm以下になり、そしてIFN−α産生能は92.9pg/mlと非中和培養の場合に比べて5.5倍に増強されていることがわかる。 以上の結果より、培養および加工工程におけるpHを中性域に調整することで、菌体粒度を1.0μm以下にまで微細化でき、さらに菌体に質量換算で4倍量程度の賦形剤を添加してから分散処理を施し、凍結乾燥することによって分散性に優れた菌体粉末を得ることができ、この粉体をもってマクロファージから効率よくインターフェロンαを産生させることができることが確認された。 粒度分布における最頻値が1.0μm以下であるナノ型乳酸菌の菌体の製造方法であって、 前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ブレビスであり、 非中和培養における菌体粒度が1μmより大きな乳酸菌を培養する培養工程と、得られた乳酸菌を加工する加工工程とを備え、 前記培養工程における培地がエネルギー源としてブドウ糖を含有し、前記ブドウ糖が消費された時点を培養終点とし、 前記加工工程が、分散剤または賦形剤を乳酸菌に添加した後、凍結乾燥または噴霧乾燥する工程を含み、 前記培養工程および加工工程におけるpHを5〜8に調整することを特徴とするナノ型乳酸菌の菌体の製造方法。 前記培養工程において、アルカリ添加によってpHを調整する請求項1記載のナノ型乳酸菌の菌体の製造方法。


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