タイトル: | 公開特許公報(A)_抗腫瘍油中水型乳化組成物 |
出願番号: | 2009298677 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 33/00,A61K 9/107,A61P 35/00,A61P 17/00 |
久保 忠一 JP 2011121932 公開特許公報(A) 20110623 2009298677 20091209 抗腫瘍油中水型乳化組成物 久保 忠一 507098472 久保 忠一 A61K 33/00 20060101AFI20110527BHJP A61K 9/107 20060101ALI20110527BHJP A61P 35/00 20060101ALI20110527BHJP A61P 17/00 20060101ALI20110527BHJP JPA61K33/00A61K9/107A61P35/00A61P17/00 1 書面 4 4C076 4C086 4C076AA17 4C076BB31 4C076CC18 4C076CC27 4C076DD08F 4C076DD34A 4C076DD37A 4C076DD41A 4C076DD46F 4C076DD66A 4C076EE38A 4C076EE53A 4C076EE55A 4C076FF11 4C076FF16 4C076FF36 4C076FF43 4C076GG45 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA03 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA07 4C086MA22 4C086MA63 4C086NA03 4C086NA10 4C086ZA89 4C086ZB26 本発明は油中水型乳化組成物およびこれを用いた外用抗がん剤に関する。さらに詳しくは、良好な乳化状態を呈し、温度や経時による変化がなく、安定性に優れ、かつ、抗がん剤による皮膚への刺激を緩和した抗腫瘍油中水型乳化組成物に関する。 Mohsペーストは1941年アメリカのMohs博士により開発された表在性切除不能腫瘍に対する保存療法で、その作用機序は主成分塩化亜鉛の亜鉛イオンによるたんぱく質への結合による沈殿である。 塩化亜鉛は、両性金属であり、酸にも塩基にも反応するため、タンパク質(全てのアミノ酸)そのものの構造を変化させる。また、石灰化した組織の成分である炭酸カルシウムとも反応する。 止血作用もあり(Znイオンが凝固系に関与か)、治療に便利である。このように、主成分塩化亜鉛の取り扱いの難しさなどにより、市販されることがないまま今日に至り、皮膚表在性腫瘍などに院内製剤により使用されている。現在日本の病院で処方されているものは、塩化亜鉛40%、亜鉛華デンプン、グリセリン、水などとなっており水溶性で流動性が極めて高い。そのため苦痛のため途中で治療を中断せざるを得ないケースが多い。 発明が解決しようとする課題 外側に油層の膜が無い水溶性の基材では、組織傷害性の極めて強い化学物質は無秩序にしかも急速に皮膚組織に散乱するのでロスが多く、正常組織を回復不可能なまでに傷害すると考えられる。事実、Mohsペーストでは、水溶性基材のままだと、周囲にワセリンを十分に塗布しながら慎重に治療に当たらなければならないし、それでも正常皮膚に付着した場合には潰瘍を生じたり、苦痛を訴え、所期の目的を達せられずに治療を断念せざるを得ないケースがほとんどであった。 課題を解決するための手段 パラフィンやステアリン酸等の炭化水素や脂肪酸、乳化剤などを全体の50%弱加え、一般の乳化機で乳化すると外側に油層のある乳剤型となるが、これにより、苦痛が軽減し継続的使用が可能となるとともに使用する医療従事者にとってもより安全なものとなる。 発明の効果 これまで、有棘細胞がんなどで転移はあまりしないが、次第に皮膚組織を冒す腫瘍で、他に治療法も無い場合について、Mohsペーストは使われてきたが、上述のように苦痛の為治療を継続できない場合が多かったのであるが、特に顔などの場合で形状が崩れるような場合には当人にとって悲劇的状況となる。そのような場合に、早い段階で外用剤での保存療法によって除去可能な安全な方法が見出されることは福音である。また、使う側にとってもより安全となり、対象となる患者数はそれほど多いものではないが、商品化することが待ち望まれる医薬品となる。 また、本発明は、製薬に関わる者であれば容易に想定できる範囲を超え、臨床に携わり、使用される患者の意見も参考に実際に試行錯誤をしなければ容易に到達し得ない事案であると考える。 また、剤型、添加物の変化により薬効が著しく向上する例は他にもあり、ひとえに新しく加えた添加物の生体タンパク質との作用により、薬剤の効果をロスや副作用なく長続きさせる効果である。ただ、それなくしては、いかに効果のある薬剤でもその特徴を生かすことはできないのであるから、薬剤の本質は、物質の働きだけではなく、工夫をして、いかに効率よく働かせるかという点が重視されるべきであると考える。 塩化亜鉛は極めて水に溶けやすい為、製剤全体の40%程度までの濃度に調製することができる。20%と40%の濃度で調整した。配合は以下のとおりである。この実施例に限らず他の炭化水素、脂肪酸、多価アルコールを用いることは差し支えないが、半透膜とするためには不飽和脂肪酸を含むことが望ましい。添加物も塩化亜鉛と反応性のないものであれば差し支えない。 乳化剤は自己乳化型モノステアリン酸グリセリンを用いた。 内層の水層の化学的ポテンシャルを高めるほど患部から浸潤する粘液を吸収することができる。すなわちその反対向きの浸透圧を得ることになる。さらに、水層内部が温められて膨張することによって、薬剤が油膜を半透膜のような役目をさせて、効率よく患部に浸透させることができる。そのため、水層内部には白糖のような強い浸透圧を持つ物質やデンプンのような水分を吸って膨張するような物質を混入させることがより効率的である。 安定性においても、11ヶ月室温経過後も全く形状の変化が見られない。 有棘細胞がん、手首、30×20mm89歳男性のケースで2009年2月10日から同年3月24日までの当発明品[表1]▲2▼使用で腫瘍組織が自然除去され、その後の傷はポビドンヨードシュガーにて治療し、同年4月22日完治した。 切除不能巨大乳がん症例で、発症はH11年頃、脂肪の塊と言われていたが、18年頃から乳首に亀裂が生じだし、19年になると、切除不能となってしまう。19年10月時点での病理所見では、ER(エストロゲン受容体):(+)、PgR(プロゲステロン受容体):(−)、HER−2遺伝子:(1+)。繊維性間質を背景に小型異型細胞の小胞巣を散見し、間質を欠いて、粘液内に異型細胞が浮遊しており、mucinous carcinomaが推定された。19年頃まではホルモン療法を行なっていた。H20年以降ホルモン療法、化学療法は行なわれていない。過去に放射線療法、手術の実施もなし。転移は無いと診断されたが、滲出液多く悪臭ひどい状態。サイズは21cm×31cm。 21年1月11日より水溶性処方([表1]▲1▼の日局流動パラフィン、日局精製ラノリン、日局ステアリン酸、日局セタノール、日局オリーブ油、乳化剤を抜いた処方)のMohs使用も、すぐに痛みを訴え断続的な使用となる。しかし、21年1月25日以後本発発明乳剤型Mohsに変更、痛み軽減し、毎日使用が可能となる。[表1]▲1▼を週5回、▲2▼を週2回使用し続け、次第に石灰化した腫瘍組織が除去され、同年6月25日にはさみとメスによるデブリードメントを行い、肉眼上完全に腫瘍組織は除かれる。その後は創をワセリンで保護し、次第に縮小している。検査データはCRP値(炎症)5.74(21年2月)〜0.78(21年11月腫瘍マーカーのCEA 63(21年2月)〜19.4(21年11月、フェリチン(FRN) 249.9(21年2月)〜128.6(21年11月)であり、絶対値としては転移を否定できないが、相対的に転移の危険性も減少している。 塩化亜鉛を10%以上50%未満含み、油性基材を全重量の40〜70%を含有する油中水型の乳剤性基材の抗腫瘍乳化組成物。 【課題】表在性の切除不能となった腫瘍は、腫瘍組織が固着し、かつ、意外にも増殖が緩やかな場合が多いので、増殖に関わる標的物質をターゲットにした抗がん剤の投与はあまり意味を持たない。外用剤で根こそぎ除去するしかないが、そのような場合に伝統的に使用されている製剤としてMohs(モーズ)ペーストがある。Mohsペーストは1941年アメリカのMohs博士により開発された表在性切除不能腫瘍に対する保存療法で、その作用機序は主成分塩化亜鉛の亜鉛イオンによるたんぱく質への結合による沈殿である。現在日本の病院で処方されているものは、塩化亜鉛40%、亜鉛華デンプン、グリセリン、水などとなっており水溶性で流動性が極めて高い。もちろん、その処方でも治療は可能だが、周囲にワセリンを十分に塗布することや、痛みの管理などにより留意しなければならない。それでも苦痛のため途中で治療を中断せざるを得ないケースが多かったと言う【解決手段】そこで、パラフィンやステアリン酸等の炭化水素や脂肪酸、乳化剤などを全体の50%弱加え、外側に油層のある乳剤型にすると、苦痛が軽減し毎日使用が可能となるとともに使用する医療従事者にとってもより安全なものとなる。【選択図】なし