タイトル: | 公開特許公報(A)_皮膚機能の判定方法 |
出願番号: | 2009287979 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01N 33/50 |
石川 准子 井上 高良 北野 順子 本多 泰揮 JP 2011128062 公開特許公報(A) 20110630 2009287979 20091218 皮膚機能の判定方法 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 石川 准子 井上 高良 北野 順子 本多 泰揮 G01N 33/50 20060101AFI20110603BHJP JPG01N33/50 DG01N33/50 Q 4 OL 10 2G045 2G045AA01 2G045CA25 2G045CB09 2G045DA60 2G045FA34 2G045GC16 2G045GC24 本発明は皮膚機能、特に皮膚の保湿機能、バリア機能状態を評価・判定する方法に関する。 皮膚は、生体の最外層を覆い、外界との境界を形成して外界物質の侵入防止、水分蒸散防止などの生命維持に必須なバリア機能を有している。角質の細胞間には、セラミド、コレステロール及び脂肪酸を主成分とする脂質が多層状構造(ラメラ構造)を形成し、当該ラメラ構造が水分透過バリアとして重要な役割を果たしている。 特に角質におけるセラミドは、上記バリアの形成に必須な成分であると考えられている。しかし、このセラミドの代謝は、加齢、紫外線曝露、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、老人性乾皮症、乾癬などによって、健全な状態が損われることがある。その結果、角層中のセラミド量が減少して、例えば、皮膚の保湿機能およびバリア機能の低下を引き起こすことが数多く報告されている。 従って、角層中のセラミド量を測定し、皮膚の保湿機能またはバリア機能を評価・判定することは、健全な皮膚状態を把握すると共に、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎等を防止する上でも重要である。 角層中のセラミドは、表皮細胞においてセリンとパルミトイルCoAを出発原料に、de novo合成されて生成するとされている。従来、角層中のセラミド量を測定するには、対象とする部位の角層を採取して分析していた。しかしながら、角層の採取ができない場合は、セラミド量を測定することができない、という問題があった。 一方、セラミドは生体において各臓器や細胞でde novo合成されており、肝臓からはセラミドが血中に分泌されることが報告されている。実際にセラミドは人の血液にも存在し、アポリポタンパク質に結合した状態で血液中を輸送されていることが報告されている。斯かる血中セラミドについては、例えば、Gaucher病等の遺伝病において、血漿セラミド量が上昇すること(非特許文献1)や、アテローム性動脈硬化症において血漿総セラミドがリスクファクターとなり得ること(非特許文献2)等が報告されている。 しかし、血中セラミド量が角層中のセラミド量と相関するという報告はこれまでに全く存在しない。Clin Chem 2007 53(4):742-7Lipids 2006;41(9):859-63 本発明は、迅速で簡便に、皮膚の保湿機能、バリア機能等の皮膚機能を評価・判定する方法、及び皮膚機能改善剤の評価又は選択方法を提供することに関する。 本発明者らは、皮膚機能を評価するためのマーカーについて種々検討したところ、ヒト血液中のセラミド量が、角層セラミド量及び経皮水分蒸散量(TEWL)やコンダクタンス値と相関し、血中セラミド量を測定することにより、皮膚の保湿機能、バリア機能等の皮膚機能を評価できること、また皮膚機能改善剤を評価・選択できることを見出した。 すなわち、本発明は、以下の1)〜4)に係るものである。 1)被験者から採取した血液中のセラミド量を測定し、その測定値に基づいて皮膚バリア機能を判定することを含む、皮膚機能の判定方法。 2)皮膚機能が、皮膚バリア機能又は保湿機能である上記1)の判定方法。 3)血液中のセラミド量の測定値から、角層セラミド量、TEWL値及びコンダクタンス値から選ばれる数量を推定し、それに基づき皮膚機能を判定する、上記1)又は2)の判定方法。 4)以下の(A)及び(B)の工程を含むことを特徴とする、皮膚機能改善剤の評価又は選択方法。 (A)被験物質を被験者又は被験動物に投与する工程 (B)血液中のセラミド量を測定し、その変化を評価する工程 本発明によれば、血清などの血中のセラミド量を測定することにより、特別な装置を用いることなく、迅速で簡便に、保湿機能、バリア機能等の皮膚機能を評価・判定することが可能になり、また皮膚機能改善剤をスクリーニングすることができる。角層セラミド量と血清セラミド量との相関性を解析した結果を示した図、横軸は角層セラミド量(μg)/タンパク量(mg)を示し、縦軸は血清セラミド量(μg)/血清量(ml)を示す。脂肪酸摂取前の角層セラミド量と血清セラミド量との相関性を解析した結果を示した図。(A)図の横軸は角層セラミド量(μg)/タンパク量(mg)を示し、縦軸は血清セラミド量(μg)/血清量(ml)を示す。(B)図の横軸はほほTEWL値を示し、縦軸は血清セラミド量(μg)/血清量(ml)を示す。(C)図の横軸はほほコンダクタンス値を示し、縦軸は血清セラミド量(μg)/血清量(ml)を示す。脂肪酸摂取群毎の摂取前に対する摂取4週後、摂取8週後の変動量の相関を解析した結果を示した図。 本発明の方法において、測定される「セラミド」とは、スフィンゴシン塩基のアミノ基に脂肪酸が酸アミド結合した構造をもつ化合物を意味する。従って、スフィンゴシン塩基と、脂肪酸との組合せにより種々のセラミド・クラスを包含するものであり、特定のセラミド・クラスを示すものではない。すなわち、本発明において測定されるセラミド量は、種々のクラスのセラミドを総じて含むセラミド量(総セラミド量)であるのが好ましい。 本発明における血液としては、医療機関等においてヒトから採取されるものであればよく、血清、血漿等を用いることができ、血清が好適である。 また、マウス等の哺乳動物においては、血漿中のセラミド量が生理的要因で変動することが報告されていることから(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY ,VOL283,NO20,PP13538-13548)、皮膚機能改善剤の評価又は選択においては、当該動物から採取される血液を用いることもできる。 セラミドの測定方法としては、公知の方法、すなわち、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)、TLC、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MSあるいはLC-MS/MS)等を単独あるいは組み合わせて測定することができる。以下に、その一例を示す。 1)採取した血清を、リン酸緩衝液(PBS)等の緩衝液で希釈し、これにクロロホルム、メタノールを加え、Bligh & Dyer法による脂質の抽出を行なう。 2)次いで、セラミドを含む画分に内部標準物質を添加し、LC-MSにより血清1mLあたりのセラミド量を定量する。 斯かる方法により、健常者の血液中のセラミド量を測定したところ、後記実施例に示すように、血液中のセラミド量は、同時に測定した角層セラミド量、特に膝裏、手の甲、額、頬における角層セラミド量と高い相関を示した(実施例1)。更に、脂肪酸摂取により角層セラミド量は増加し、TEWL値は低下して、皮膚バリア機能が向上することが知られているが(特開2009-084244号公報)、当該脂肪酸摂取時における血中セラミドの変化量と、角層セラミド量及びTEWL値の変化量との相関性を解析したところ、角層セラミド量及びコンダクタンス値の変動量とは正の相関があり、TEWL値の変動量とは負の相関があることが示された(実施例2)。従って、血液中のセラミド量は、角層セラミド量及び皮膚バリア機能や保湿機能等の皮膚機能を把握するための指標となり、これを測定することにより皮膚機能を判定することができる。 判定は、例えば、血清1mLあたりのセラミド量が1μg未満の場合(好ましくは0.6μg以下の場合)、角層のセラミドが少なく、バリア機能や保湿機能の低下した状態と判断される。この場合、額や頬および手の甲のような部位では特にこれらの機能が低下した状態であると判断される。 このように、本発明の皮膚機能の判定方法によれば、角層セラミド量及び皮膚バリア機能や保湿機能の測定値がない場合でも、血中セラミド値から皮膚機能を判定することができるため、健康診断や他の採血を伴う試験で採取した血液を利用して、その個人の皮膚機能を判定することができる。たとえば、何らかの生理作用変化に対する生体の変動を観察する試験において(ストレス負荷や睡眠、生活習慣等)、その生理作用に対する血液中のセラミド量に変化が生じた場合、角層セラミド量及び皮膚バリア機能や保湿機能に対する影響の指標となる。この場合の判定は、例えば、生理的変動の前後や、異なる群間において、血清中のセラミド濃度が5%以上、好ましくは10%以上変動した場合に、角層セラミド量及び皮膚バリア機能や保湿機能に対する影響がある、と判断される。一方、血清中のセラミド濃度が増加した場合は角層セラミド量の増加や皮膚バリア機能の改善や保湿機能の改善が生じ、血清中のセラミド濃度が減少した場合は、角層セラミド量の減少や皮膚バリア機能の低下や保湿機能の低下が生じた、と判断される。 本発明の皮膚機能改善剤の評価又は選択方法は、(A)被験物質を被験者又は被験動物に投与する工程、(B)血液中のセラミド量を測定し、その変化を評価する工程、を含むものである。 この方法は、例えば、何らかの機能性成分(例えば老化や紫外線に対する抵抗性を高める皮膚機能改善を目指した機能性成分や、生活習慣病や肥満、疲労等の皮膚機能以外の改善を目指した機能性成分等)を含む機能性食品や医薬品(被験物質)の摂取試験等において採取した血液を用いて、これらの被験物質の摂取による血液中のセラミドの変化量を測定し、その被験物質が皮膚バリア機能や保湿機能に対して有効か否かを判断することにより行うことができる。また斯かる皮膚機能改善剤の評価又は選択は、前述した動物を用いて行うことでもよい。 被験物質が皮膚機能改善作用を有するか否かの評価は、例えば、摂取の前後や、対照群と摂取群との群間において、血清中のセラミド濃度が5%以上、好ましくは10%以上変動した場合に、皮膚機能が変動したと判断でき、血清中のセラミド濃度が増加した場合は皮膚機能改善剤として有用であると評価される。1.実験方法1)被験者 インフォームドコンセントが得られた健常皮膚を有する10名(男性9名、女性1名、21〜29才、平均24.2歳)。2)採血および血清の採取 12時間の絶食後、採血を行い、20mLの血液を採取した。室温で1時間静置した後、遠心分離を行い(3000rpm、5min、RT)、血清を採取した。血清は−20℃で保存した。3)角層採取部位 下記に示した13部位 頭皮、額、頬、肩、体側、腰、背中、膝裏、脛、足裏、上腕内側、前腕内側、手の甲4)被験部位の洗浄 額、頬、上腕内側、前腕内側については、洗浄剤で洗浄し、水洗した後、水分を拭い5分間馴化した。 上記の4部位以外の部位に関しては、70%エタノールを含ませた脱脂綿で軽く拭き取り、5分間馴化した。5)角層採取 頭皮を除く12ヶ所の被験部位からは、いずれも2.5cm×6.4cmのPPSテープ(ニチバン)で同部位から連続10枚ストリッピングすることにより角層を採取した。頭皮に関しては採取部位1cm四方の毛髪を短くカットし、1.0cm×1.0cmのPPSテープで連続10枚ストリッピングした。得られた角層は直ちに冷凍保存し、解析まで−20℃で保存した。6)血清からの脂質抽出 採取した血清量を計測し、合計10.5mlとなるようにPBSで希釈した。各血清サンプルを3.5mlずつ3本に分注する。それぞれのサンプルにクロロホルム4.375ml、メタノール8.75mlを加え、20分間振とうした。その後、遠心分離(1500rpm、5分間、RT)を行い、上清を回収した。上清にクロロホルム 4.4ml、PBS 4.4mlを加え20分間振とうし、遠心分離後(1500rpm、5分間、RT)、下相を回収した。3本に分注した下相を1本にまとめ、乾燥窒素気流で溶媒を留去した。7)セラミド定量(i)血清抽出脂質の前処理方法 ヒト血清からの脂質抽出物をクロロホルム/メタノール=2/1(v/v)に溶解し、10nmolの内部標準物質を添加し、窒素気流下で乾固した。その後、5mLのクロロホルム/メタノール=99.5/0.5(v/v)に溶解し、予め10mLのクロロホルム/メタノール=99.5/0.5でコンディショニングした固相抽出カートリッジ(Waters Sep-Pak Vac RC 500mg Silica Cartriges)に添加した。初めに10mLのクロロホルム/メタノール=99.5/0.5で溶出して溶出液を廃棄し、その後10mLのクロロホルム/メタノール=95/5、90/10、40/60、10/90(v/v)で順次溶出して溶出液を同一のスクリュー管に回収した。この溶出液を窒素気流下で乾固し、10mLのクロロホルム/メタノール=2/1(v/v)に溶解してねじ口遠沈管に移した。この溶液を再度窒素気流下で乾固し、5mLのヘキサン/2-プロパノール=95/5に溶解し、順相LC-MS測定に供した。 LC-MS測定は既報と同様に実施した(Jounal of Lipid Research 2008. 49: 1466-1476)。(ii)テープの前処理方法 得られたテープストリッピング角層をすべて半分に切断し、2.25cm2×10枚をLC-MSによるセラミド定量に用いた。角層からの脂質の抽出、内部標準の添加、固相抽出、LC-MS測定は既報と同様に実施した(Jounal of Lipid Research 2008. 49: 1466-1476)。 得られたセラミド定量値は、標準物質により感度補正を行い、総炭素数の異なる成分ごとに絶対量を得た。続いて総炭素数の異なる成分を同じセラミドクラス毎に総和し、クラス別の定量値を得た。さらに全クラスの定量値を総和して総セラミド量を得た。また採取した角層の量でセラミド量を補正するため、残り半分(2.25cm2×10枚)の角層から可溶性タンパク質を抽出し、タンパク質定量にて得られた値で補正した。2.結果(i)血清中のセラミド解析 被験者10名の血清中に存在する総セラミド量を算出したところ、個人間で総セラミド量は異なることが確認された(2930±0.42ng/ml)。これまでに血漿中には平均5500ng/mlのセラミドが存在していることが報告されている(W. Drobnik, et al., Journal of Lipid Research 44, 754-761, (2003))。(ii)角層セラミドと血清セラミドの相関解析 被験者10名の身体各13部位(頭皮、額、頬、肩、体側、背中、腰、膝裏、脛、足裏、上腕内側、前腕内側、手の甲)における角層セラミド量と血清のセラミド量について、それぞれ相関を解析した。 角層セラミド量と血清セラミド量との相関性を解析した結果を図1に示した。 6部位〔額(R=0.71)、頬(R=0.54)、前腕内側(R=0.49)、膝裏(R=0.76)、肩(R=0.30)、手の甲(R=0.73)において角層セラミド量と血清セラミド量の間に高い相関が認められた。実施例21.実験方法 1)被験者 インフォームドコンセントが得られた健常皮膚を有する男性8名(22〜27才、平均24.2歳)。 2)被験品 表1に示す処方の錠剤を製造した。 i)ルナックBA(登録商標)含有錠:1錠(350mg)あたりルナックBA(花王株式会社;ベヘン酸(C22:0)/90.1%、リグノセリン酸(C24:0)/1.9%、アラキジン酸(C20:0)/6.9%、ステアリン酸(C18:0)/0.3%)を125mg含有。 ii)プラセボ錠:上記錠剤からルナックBAを除いて調製したもの 3)被験品の摂取期間と方法 i)摂取期間:被験品を4錠/日の割合で2回に分けて(朝2錠、夕方2錠)、連続8週間摂取した。 ii)摂取方法:摂取の際は2錠あたりコップ1杯(約100ml)の水とともに摂取した。 iii)被験品摂取:1回目の採血が終了した直後、試験参加者に被験品を2錠摂取してもらい、被験品の摂取を開始した。 4)採血および血清の採取 摂取前、摂取4週間後、摂取8週間後において、それぞれ12時間の絶食後、採血を行い、20mLずつの血液を採取した。室温で1時間静置した後、遠心分離を行い(3000rpm、5min、RT)、血清を採取した。血清は−20℃で保存した。 5)皮膚測定 採血を行った日に、被験部位(頬)を洗浄剤で洗浄した後、20℃、40%RHの環境下で10分間の馴化を行った(摂取前、摂取4週間後、摂取8週間後)。 6)経皮水分蒸散量測定 頬部において、3点ずつTEWL(TEWAMETER TM300, CK electronic GmbH社製)の測定を行った(20℃、40%RHの環境下)。 7)角層水分量測定 頬部において、10点ずつコンダクタンス(SKICON-200EX, IBS社製)の測定を行った(20℃、40%RHの環境下)。 8)角層採取 採血および上記皮膚測定を行った日に、皮膚測定に続いて頬部からテープストリッピングにより角層を採取した(摂取前、摂取4週間後、摂取8週間後)。PPSテープを用いて(6.4cm×2.5cm)、深さ方向に同一部位から連続5枚採取した。得られた角層は直ちに冷凍保存し、解析まで−20℃で保存した。 9)セラミド解析 i)血清からの脂質抽出 採取した血清1.0mlにメタノール2.5ml、クロロホルム1.25mlを加え、20分間振とうした。その後、遠心分離(1500rpm、5分間、RT)を行い、上清を回収した。上清にクロロホルム 1.25ml、PBS 1.25mlを加え20分間振とうし、遠心分離後(1500rpm、5分間、RT)、下相を回収した。下相を乾燥窒素気流で溶媒を留去した。 ii)血清抽出脂質の前処理方法 ヒト血清からの脂質抽出物をクロロホルム/メタノール=2/1(v/v)に溶解し、10nmolの内部標準物質を添加し、窒素気流下で乾固した。その後、5mLのクロロホルム/メタノール=99.5/0.5(v/v)に溶解し、予め10mLのクロロホルム/メタノール=99.5/0.5でコンディショニングした固相抽出カートリッジ(Waters Sep-Pak Vac RC 500mg Silica Cartriges)に添加した。初めに10mLのクロロホルム/メタノール=99.5/0.5で溶出して溶出液を廃棄し、その後10mLのクロロホルム/メタノール=95/5、90/10、40/60、10/90(v/v)で順次溶出して溶出液を同一のスクリュー管に回収した。この溶出液を窒素気流下で乾固し、10mLのクロロホルム/メタノール=2/1(v/v)に溶解してねじ口遠沈管に移した。この溶液を再度窒素気流下で乾固し、5mLのヘキサン/2-プロパノール=95/5に溶解し、順相LC-MS測定に供した。 LC-MS測定は既報と同様に実施した(Jounal of Lipid Research 2008. 49: 1466-1476)。 iii)テープストリッピング角層のセラミド定量 得られたテープストリッピング角層をすべて半分に切断し、2.25cm2×10枚をLC-MSによるセラミド定量に用いた。角層からの脂質の抽出、内部標準の添加、固相抽出、LC-MS測定は既報と同様に実施した(Jounal of Lipid Research 2008. 49: 1466-1476)。得られたセラミド定量値は、標準物質により感度補正を行い、総炭素数の異なる成分ごとに絶対量を得た。続いて総炭素数の異なる成分を同じセラミドクラス毎に総和し、クラス別の定量値を得た。さらに全クラスの定量値を総和して総セラミド量を得た。また採取した角層の量でセラミド量を補正するため、残り半分(2.25cm2×10枚)の角層から可溶性タンパク質を抽出し、タンパク質定量にて得られた値で補正した。2.結果 脂肪酸摂取前の角層セラミド量と血清セラミド量との相関性を解析した結果を図2に示した。 脂肪酸摂取群毎の摂取前に対する摂取4週後、摂取8週後の変動量の相関を解析した結果を図3に示した。 脂肪酸摂取前においても血清中のセラミド濃度は角層セラミド濃度及び皮膚コンダクタンスと正の相関が、TEWL値と負の相関が認められた。一方、脂肪酸摂取による血清中のセラミド濃度の変動量は、角層セラミド濃度の変動量と正の相関が、TEWL値の変動量との負の相関が認められた。 被験者から採取した血液中のセラミド量を測定し、その測定値に基づいて皮膚機能を判定することを含む、皮膚機能の判定方法。 皮膚機能が、皮膚バリア機能又は保湿機能である請求項1記載の判定方法。 血液中のセラミド量の測定値から、角層セラミド量、TEWL値及びコンダクタンス値から選ばれる数量を推定し、それに基づき皮膚機能を判定する、請求項1又は2記載の判定方法。 以下の(A)及び(B)の工程を含むことを特徴とする、皮膚機能改善剤の評価又は選択方法。 (A)被験物質を被験者又は被験動物に投与する工程 (B)血液中のセラミド量を測定し、その変化を評価する工程 【課題】迅速で簡便に、皮膚の保湿機能、バリア機能等の皮膚機能を評価・判定する方法等の提供。 【解決手段】被験者から採取した血液中のセラミド量を測定し、その測定値に基づいて皮膚バリア機能を判定することを含む、皮膚機能の判定方法;(A)被験物質を被験者又は被験動物に投与する工程、及び(B)血液中のセラミド量を測定し、その変化を評価する工程、を含むことを特徴とする皮膚機能改善剤の評価又は選択方法。【選択図】なし