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タイトル:公開特許公報(A)_金属石鹸の製造方法
出願番号:2009271303
年次:2011
IPC分類:C07C 51/41,C07C 53/126,C07C 57/12,C07C 53/128


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伊森 徹 鈴木 準 JP 2011111428 公開特許公報(A) 20110609 2009271303 20091130 金属石鹸の製造方法 JX日鉱日石金属株式会社 502362758 酒井 正己 100116713 加々美 紀雄 100094709 伊森 徹 鈴木 準 C07C 51/41 20060101AFI20110513BHJP C07C 53/126 20060101ALI20110513BHJP C07C 57/12 20060101ALI20110513BHJP C07C 53/128 20060101ALI20110513BHJP JPC07C51/41C07C53/126C07C57/12C07C53/128 8 OL 6 4H006 4H006AA02 4H006AC47 4H006BC10 4H006BS10 4H006BS70本発明は、新規な純度の高い金属石鹸の製造方法に関する。 金属石鹸は、例えば、非特許文献1に記載されているように、工業的には通常(1)複分解法、(2)直接法により合成されている。複分解法とは、脂肪酸のトルエン溶液と水酸化ナトリウム(もしくは水酸化カリウム)水溶液を加熱攪拌して水溶液中で脂肪酸アルカリ金属塩を合成し、さらに金属塩を添加し加熱攪拌して金属石鹸を生成させて、生成した金属石鹸を有機相に抽出・分離し、溶媒除去後、加熱乾燥して脂肪酸金属塩を得るという方法である。一方、直接法とは、金属の水酸化物や炭酸塩と脂肪酸を直接無溶媒で加熱攪拌する方法である。上記した方法により、コバルト、ニッケル、銅等金属塩とナフテン酸、ステアリン酸、ネオデカン酸等の脂肪酸との金属石鹸がほぼ定量的に合成されている。吉田 時行他編「金属せっけんの性質の応用」昭和63年10月5日、幸書房発行11〜23頁 しかしながら、前記複分解法では、アルカリ水溶液中で反応させるので、水溶液中では不安定な金属塩や酸性領域でのみ安定な金属塩には適さない。例えば、パラジウムや白金等の塩はアルカリ性や中性付近では原料となる金属塩が不安定で分解するため、収率よく金属石鹸を合成することが不可能であった。すなわち、金属石鹸の合成方法として一般的な複分解法では、いわゆる金属塩を脂肪酸ナトリウムで中和する反応によるため、酸性溶液でのみ安定な金属塩はこの方法では金属石鹸にすることができなかった。また、複分解法で得られた金属石鹸は、アルカリ金属や未反応の脂肪酸などの不純物が多く、純度の高い金属石鹸を得るためには、生成した金属石鹸の有機相への抽出・分離を繰り返し行う必要があり、精製が煩雑である。 、一方、前記直接法は、反応材料として使用する金属化合物が高活性である場合に適用することができるが、Pd化合物などの貴金属化合物は、前記の反応活性が低く、適用することができない。 このように従来の技術では、貴金属化合物から金属石鹸を収率よく、高い純度の金属石鹸を得ることはできなかった。従来の金属石鹸、特に貴金属石鹸では脂肪酸の残留が避けられず、その場合用途によっては濡れ性等の特性に影響を与えることになる。 本発明は、こうした問題を解決するものであり、貴金属化合物を含め金属化合物から収率よく、かつ高純度の金属石鹸を得ることができる方法を提供することを目的とする。本発明者は、係る問題を解決するため、鋭意検討した結果、低級脂肪酸塩を用い脂肪酸部位の交換反応により、従来の複分解法や直接法では不可能な高収率で、かつ高純度の金属石鹸を合成できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、(1) 低級脂肪酸金属塩と長鎖脂肪酸を加熱下に反応させることを特徴とする金属石鹸の製造方法、(2) 低級脂肪酸が酢酸、またはプロピオン酸、であることを特徴とする前記(1)記載の金属石鹸の製造方法、(3) 低級脂肪酸の金属塩が金、銀、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、スズ、ニッケル、コバルト、リチウム、アルミニウム、インジウム、ネオジムの塩であることを特徴とする前記(1)または(2)記載の金属石鹸の製造方法、(4) 長鎖脂肪酸が炭素原子数7〜30である前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法、(5) 低級脂肪酸金属塩が低級脂肪酸パラジウム塩である前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法、(6)反応温度が100〜150℃である前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法、(7) 金属石鹸の収量が理論収量の90%以上であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法、(8) 前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法により得られた脂肪酸含有量が5%以下であることを特徴とする金属石鹸、に関する。 本発明によれば、低級脂肪酸金属塩と長鎖脂肪酸とを加熱するのみで脂肪酸の置換反応を進行することができ、ほぼ100%の高収率で金属石鹸を得ることができる。しかも、この反応により副生した低級脂肪酸は、低沸点であるから、生成物から容易に分離することができ、高純度の金属石鹸を得ることができる。 さらに本発明の方法によればアルカリを使用しないので、従来の複分解法のように、ナトリウム、カリウムの混入も完全に回避することができ、こうした不純物の存在が問題となる分野においては極めて有用である。 以下、本願発明について具体的に説明する。 本発明は、低級脂肪酸金属塩と長鎖脂肪酸とを加熱下に反応させることにより、金属石鹸を製造するものである。 本発明に使用する前記低級脂肪酸金属塩を構成する低級脂肪酸としては、炭素原子数2〜5の脂肪酸が好ましい。中でも反応性の観点からまた沸点が低く、反応後の分離が容易であることから酢酸、プロピオン酸が特に好ましい。 前記金属塩の金属としては、金、銀、或いはパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム等の白金族元素の貴金属が好ましいが、錫、ニッケル、コバルト、リチウム、アルミニウム、インジウム、ネオジム等の金属塩でも良い。特に好ましいのはパラジウムである。 本発明に使用する長鎖脂肪酸は、目的とする金属石鹸に応じて選択されるが、炭素原子数7〜30の脂肪酸が好ましい。例えばヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸などの飽和脂肪酸、ナフテン酸、また、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸でも良い。その他、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、トール油酸等も例示することができる。 本発明において、前記低級脂肪酸金属塩と長鎖脂肪酸との反応は、これらの混合物を加熱するだけで反応は進行する。反応温度は、100〜150℃、好ましくは110〜130℃で、反応時間30分〜5時間、好ましくは1〜3時間である。反応は定量的に進行して100%の収率で金属石鹸を得ることができる。なお、反応に際して溶媒は使用しても良いが、使用しない方が反応により生成する低級脂肪酸を反応系から外に抜き出しながら反応を行うことにより、効率的に置換反応を進行させることができる。これは、沸点の低い溶媒を使用すると、溶媒が還流し内容物の温度を上げることができず、一方沸点の高い溶媒を使用すると生成物に溶媒が混入することとなり、金属石鹸の純度を低下させることになるからである。このように本発明の方法では、反応生成物中には未反応の出発材料等を残存させることなく反応を行うことができる。かつ副反応もない。加えて、脂肪酸の置換で生成する低級脂肪酸は沸点が低いので、容易に金属石鹸と分離することができ、不純物を含まない金属石鹸を得ることができる。 本発明によれば、得られた金属石鹸中のフリーの脂肪酸含有量は、得られた金属石鹸の重量基準で5%以下であり、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下で、最も好ましくは0%である。 なお、本発明の前記反応は、赤外線吸収スペクトルによる低級脂肪酸塩のピークの消滅で確認することができる。前記した反応条件で反応を行えば、低級脂肪酸塩のカルボキシル基のピークは消滅するので、その反応が定量的に進行することを確認することができる。 具体的には、反応後の反応生成物から金属石鹸を分離するには、反応生成物にトルエンなどの有機溶媒を加え金属石鹸を溶解してその溶液をろ過した後、溶液を乾燥して、金属石鹸を分離させる。この溶媒除去のための乾燥の際に前記溶液中に含まれている低級脂肪酸も除去することができる。前記乾燥は、真空乾燥が好ましい。実施例1 酢酸パラジウム31.6gにネオデカン酸50.0gを添加し130℃で2時間加熱攪拌して反応させた。反応終了後、トルエンを100ml投入し溶解させ、ごく微量の微小粒子を除くため、孔径0.1μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ろ紙を用いてろ過を行った。ろ液を130℃で加熱真空乾燥し、65.0gのネオデカン酸パラジウムを得た。収率は、ほぼ100%であった。なお、前記ごく微量の微粒子は、酢酸パラジウムである。実施例2 酢酸パラジウム20.7gにn−オクタン酸27.1gを添加し130℃で2時間加熱攪拌して反応させた。反応終了後、トルエンを100ml投入し溶解させ孔径0.1μmPTFEろ紙を用いてろ過を行った。ろ液を100℃で加熱真空乾燥し36.9gのn−オクタン酸パラジウムを得た。収率は、ほぼ100%であった。 実施例3 酢酸パラジウム20.7gにn−ヘプタン酸24.5gを添加し、130℃で2時間加熱攪拌して反応させた。反応終了後、トルエンを100ml投入し溶解させ孔径0.1μmPTFEろ紙を用いてろ過を行った。ろ液を130℃で加熱真空乾燥し34.3gのn−ヘプタン酸パラジウムを得た。収率は、ほぼ100%であった。 実施例4 実施例4 プロピオン酸パラジウム23.3gにオレイン酸46.0gを添加し、150℃で2時間加熱攪拌して反応させた。反応終了後、キシレンを200ml投入し、溶解させ、孔径0.1μmのPTFEろ紙を用いてろ過を行った。ろ液を100℃で加熱して真空乾燥し、54.5gのオレイン酸パラジウムを得た。収率は98%であった。 以上実施例1〜4の結果を下記の表に示す。なお、パラジウム濃度の分析方法は、原子吸光法により行った。 なお、表中、収率(%)が100%に満たない例は、容器へ移す際のロスによるもので、反応が完了していないことを意味するものではない。 実施例5 酢酸パラジウムの代わりに酢酸銀24.0gを用い、ネオデカン酸を25.1g用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、40.5gのネオデカン酸銀を得た。収率はほぼ100%で、Na不純物は10ppm以下であった。 比較例1 ネオデカン酸40.0gに水酸化ナトリウム8.5gを含む水溶液100mlを加え、さらにトルエンを400ml添加した。75℃で3時間に加熱した後、塩化パラジウム19.9gを投入し80℃で3時間攪拌した。反応終了後トルエン層を抽出し孔径0.1μmPTFEろ紙でろ過を行い、ろ液を100℃で加熱真空乾燥し44.8gの黒褐色の高粘度液体を得た。パラジウム濃度を分析したところ16.1%であり、理論値の23.1%には到達していなかった。また、Naが35ppm検出された。 比較例2 ネオデカン酸40.0gにアンミンパラジウム17.0gを用いたこと以外は比較例1と同様な操作を行い、30.2gの黒褐色の高粘度液体得た。パラジウム濃度を分析したところ9.3%であり、理論値の23.1%に到達していなかった。 比較例3 ネオデカン酸10gと酸化パラジウム3.5gを180℃で5時間加熱攪拌したが、外観上変化は観察されなかった。低級脂肪酸金属塩と長鎖脂肪酸を加熱下に反応させることを特徴とする金属石鹸の製造方法。低級脂肪酸が酢酸、またはプロピオン酸、であることを特徴とする請求項1記載の金属石鹸の製造方法。低級脂肪酸の金属塩が金、銀、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、スズ、ニッケル、コバルト、リチウム、アルミニウム、インジウム、ネオジムの塩であることを特徴とする請求項1または2記載の金属石鹸の製造方法。長鎖脂肪酸が炭素原子数7〜30である請求項1〜3のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法。低級脂肪酸金属塩が低級脂肪酸パラジウム塩である請求項1〜4のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法。反応温度が100〜150℃である請求項1〜5のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法。金属石鹸の収量が理論収量の90%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法。請求項1〜7のいずれか一つに記載の金属石鹸の製造方法により得られた脂肪酸含有量が5%以下であることを特徴とする金属石鹸。 【課題】貴金属化合物を含め金属化合物から収率よく、かつ高純度の金属石鹸を得ることができる方法を提供する。【解決手段】酢酸パラジウムなどの低級脂肪酸金属塩とネオデカン酸等の長鎖脂肪酸を加熱下に反応させることを特徴とするネオデカン酸パラジウムなどの金属石鹸の製造方法、及びその方法で得られた脂肪酸含有量5%以下の高純度の金属石鹸。【選択図】 なし


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