タイトル: | 特許公報(B2)_金属表面処理剤ならびにイミダゾール系化合物 |
出願番号: | 2009269892 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C23C 22/52,C23C 22/56,C23C 22/50,C23C 22/58,C07D 233/64,C09K 3/00,C23C 22/05,C23C 22/02 |
平尾 純孝 蔭山 秀樹 JP 5610751 特許公報(B2) 20140912 2009269892 20091127 金属表面処理剤ならびにイミダゾール系化合物 日本合成化学工業株式会社 000004101 平尾 純孝 蔭山 秀樹 JP 2008307739 20081202 20141022 C23C 22/52 20060101AFI20141002BHJP C23C 22/56 20060101ALI20141002BHJP C23C 22/50 20060101ALI20141002BHJP C23C 22/58 20060101ALI20141002BHJP C07D 233/64 20060101ALI20141002BHJP C09K 3/00 20060101ALI20141002BHJP C23C 22/05 20060101ALI20141002BHJP C23C 22/02 20060101ALI20141002BHJP JPC23C22/52C23C22/56C23C22/50C23C22/58C07D233/64 106C09K3/00 RC23C22/05C23C22/02 C23C22/00〜22/86 特開昭50−069079(JP,A) 特開平02−053779(JP,A) 特表2004−526782(JP,A) 特開2005−226082(JP,A) 特開2005−171366(JP,A) 特開平06−329635(JP,A) 5 2010156042 20100715 12 20121015 佐藤 健史 本発明は、金属表面の防錆性能に優れた金属表面処理剤に関するものであり、とりわけプリント配線板の製造に有用な銅および銅合金の表面処理剤に関するものである。 従来、金属表面の防錆を目的として、イミダゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物が、金属表面処理剤として用いられていた。 また、特に銅で形成される電気部品や、銅で回路が形成されるプリント配線板、その他銅のメッキを表面に形成した部品などにおいては、銅の表面は容易に腐食されて変色されるために、防錆剤を含む変色防止剤を塗布して腐食変色を防ぐことがおこなわれていた。 このような防錆性能を持った表面処理剤として、例えば、特許文献1には、ベンゾトリアゾール又はその誘導体からなる防錆剤が記載されており、また、特許文献2には、銅および銅合金の防錆剤、特にプリント配線板の銅回路部のプレフラックス処理剤として好適なイミダゾール系化合物が記載されている。 しかしながら、上記特許文献1および2に記載の表面処理剤は、変色防止や防食等の防錆効果を謳ってはいるものの、かかる効果に関する評価は行なわれていない。更に、現在では、防錆性の付与を目的として表面処理された金属の用途は、多種多様に広がっており、より厳しい条件下での使用にも耐えうる防錆性能が要求されている。したがって、上記特許文献1および2の表面処理剤の苛酷な条件下での防錆性能は未だ十分なものとは言えないものであった。特開2005−171366号公報特開平6−329635号公報 そこで、本発明ではこのような背景下において、高温条件下においても、金属の表面処理剤として用いた際の防錆性能に優れる金属表面処理剤の提供を目的とする。 しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、従来表面処理剤として使用されていなかった、カルボキシアルキル基(又は、そのエステル体)で窒素原子上の水素が置換された特定構造のイミダゾール系化合物を含む表面処理剤が、高温条件下においても優れた防錆性能を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物を有効成分する金属表面処理剤である。(式中、R1〜R3は、水素原子、アルキル基、フェニル基、又はハロゲン原子であり、同一でも異なっていてもよい。Xは、アルキレン基、Yは、水素原子またはアルキル基を表す。) なお、金属表面処理剤中のイミダゾール骨格のN原子のローンペアは、金属表面の空軌道に配位し、薄い有機皮膜を形成し、金属表面を保護することで熱や湿気から金属酸化を防いでいると考えられている。本発明における一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物は、分子内にカルボキシル基、カルボン酸エステル基を有するために、イミダゾール骨格が配位した分子とは別の分子と塩を形成することで強固な皮膜となり、防錆性の向上に寄与しているものと考えられる。 本発明の表面処理剤は、高温下における変色防止や防食等の防錆性能に優れるものである。 以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。 本発明の金属表面処理剤は、下記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物(以下、単に「イミダゾール系化合物(A)」と記すことがある。)を有効成分とするものである。 なお、本発明における「有効成分とする」とは、金属表面処理剤全量に対して、イミダゾール系化合物(A)を通常0.000001重量%以上、好ましくは0.00001重量%以上、特に好ましくは0.0001重量%以上含有するものである。(式中、R1〜R3は、水素原子、アルキル基、フェニル基、又はハロゲン原子であり、同一でも異なっていてもよい。Xは、アルキレン基、Yは、水素原子またはアルキル基を表す。) 上記一般式(1)中のR1〜R3は、水素原子、アルキル基、フェニル基、又はハロゲン原子のいずれかである。 上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、通常ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる。かかるアルキル基としては、通常、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のものが用いられる。 上記フェニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、通常ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる。 上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。 かかるR1、R2、R3は全て同一であってもよいし、一部又は全てが異なるものであってもよい。 上記一般式(1)中のXは、アルキレン基であり、中でも、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、特には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、更にはメチレン基、エチレン基が好ましい。また、かかるアルキレン基は、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基などの置換基を有するものであってもよい。 上記一般式(1)中のYは、水素原子またはアルキル基であり、アルキル基としては、低級アルキル基が用いられ、通常炭素数1〜20、好ましくは1〜10のものが用いられ、これらの中でも、メチル基、エチル基であることが好ましい。 上記一般式(1)を満たすイミダゾール系化合物(A)としては、具体的には、(1H−2−フェニルイミダール−1−イル)酢酸、(1H−2−フェニルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル、(1H−2−フェニルイミダゾール−1−イル)酢酸エチル、(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸、(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル、(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸エチル、(1H−2−メチルイミダゾール−1−イル)酢酸、(1H−2−メチルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル、(1H−2−メチルイミダゾール−1−イル)酢酸エチル、(1H−2−ウンデシルイミダゾール−1−イル)酢酸、(1H−2−ウンデシルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル、(1H−2−ウンデシルイミダゾール−1−イル)酢酸エチル、(1H−2−エチル−4−メチルイミダゾール−1−イル)酢酸、(1H−2−エチル−4−メチルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル、(1H−2−エチル−4−メチルイミダゾール−1−イル)酢酸エチル、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸エチル、(1H−2−フェニルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸、(1H−2−フェニルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸メチル、(1H−2−フェニルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸エチル、(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸、(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸メチル、(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸エチル、(1H−2−ウンデシルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸、(1H−2−ウンデシルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸メチル、(1H−2−ウンデシルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸エチル、(1H−2−エチル−4−メチルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸、(1H−2−エチル−4−メチルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸メチル、(1H−2−エチル−4−メチルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸エチル、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸メチル、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)プロピオン酸エチル等が挙げられるが、これらの中でも、防錆性能に優れる点で(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸、(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸、(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸メチルが好ましい。 イミダゾール系化合物(A)の分子量としては、通常100〜1000であり、好ましくは120〜800、特に好ましくは150〜600である。かかる分子量が小さすぎると防錆被膜の耐熱性が劣る傾向があり、大きすぎると化合物の溶媒への溶解性が劣り、処理液の調整、防錆処理が困難になる傾向がある。 イミダゾール系化合物(A)の製造方法に関しては、特に限定されるものではなく、例えば、下記反応式([化3]参照)で示される1位無置換のイミダゾール系化合物をハロゲン化アルキルカルボン酸エステルを用いてアルキル化、次いでエステル基を加水分解する方法や、アミノ酸エステル、アルデヒド化合物、アンモニア、α‐ジケトン化合物との反応によりイミダゾール環を形成後、エステル基を加水分解する等の方法により製造することができる。 ここでは、上記アルキル化法について、簡単に説明する。 1位無置換イミダゾール系化合物、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機塩基、トリエチルアミンなどの有機塩基及び有機溶媒との混合液に、攪拌下、クロロ酢酸メチル、ブロモ酢酸メチル、クロロプロピオン酸メチルなどのハロゲン化カルボン酸エステル、あるいはこれら化合物の有機溶媒の溶液を滴下した後、攪拌下反応させる。 上記有機溶媒としては、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリルなどが挙げられる。 かかるアルキル化反応のハロゲン化カルボン酸エステルの仕込み量は、イミダゾール系化合物に対し、通常0.5〜5倍モル、好ましくは、0.7〜3倍モル、さらに好ましくは0.8〜2倍モルである。かかるハロゲン化カルボン酸エステルの仕込み量がこれより少なすぎると、未反応のイミダゾール系化合物が多くなり収率の低下、分離、精製が困難になる傾向があり、これより多すぎると、イミダゾール系化合物の4級塩などの副生物が多くなり、収率が低下する傾向がある。 かかるアルキル化反応の塩基の仕込み量はイミダゾール系化合物に対し、通常0.5〜10倍モル、好ましくは0.7〜8倍モル、さらに好ましくは0.8〜6倍モルである。かかる塩基の使用量がこれより少なすぎると、収率が低下する傾向が見られ、多すぎても不経済であり好ましくない。 かかるアルキル化反応に使用する反応溶媒はイミダゾール系化合物に対して通常1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。かかる溶媒の使用量がこれより少なすぎると、攪拌が困難になることや、4級塩の副生により収率が低下する傾向が見られ、これより使用量が多いと反応速度の低下、収率が低下する傾向が見られる。 かかるアルキル化反応の反応温度は、通常−20〜150℃、好ましくは−10〜130℃、さらに好ましくは0〜120℃である。かかる反応温度がこれより低すぎると反応を追い込むことができず収率が低下する傾向が見られ、これより高すぎると4級塩の副生などにより収率が低下する傾向が見られる。 かかるアルキル化反応の反応時間は、通常1分〜100時間、好ましくは3分〜90時間、さらに好ましくは5分〜80時間である。かかる反応時間がこれより短いと反応が追い込めず低下する傾向が見られ、反応温度が長くなると、化合物が分解する傾向が見られる場合もある。 ここに記載したアルキル化反応の反応条件は一例を挙げているのみであり、用いるイミダゾール系化合物、ハロゲン化カルボン酸エステルにより異なり適宜調整することが可能である。 かかるアルキル化反応の反応終了後、加水し、そのまま加水分解しても、ろ過、濃縮、再結晶などの方法によりエステル体を単離した後、加水分解を行っても良い。 かかるアルキル化反応の後、エステル体を単離せずに続けて加水分解を行う際には、仕込んだイミダゾール系化合物に対し、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の水を加える。かかる加水量がこれより少なすぎると反応速度が遅く、収率が低下する傾向があり、多すぎるとイミダゾール系化合物が析出し収率が低下することがある。 かかる加水分解反応において、必要に応じて水酸化ナトリウムなどの無機塩基を反応系中にイミダゾール系化合物に対して通常0.5〜20倍モル、好ましく0.8〜10倍モル、さらに好ましくは0.9〜5倍モル含まれるように添加する。かかる塩基の量が少なすぎると加水分解反応が進まず、収率が低下する傾向があり、多すぎてもイミダゾール系化合物の分解などにより収率が低下する傾向がある。 かかる加水分解反応の反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは5〜120℃、さらに好ましくは10〜100℃にて行う。かかる反応温度が低すぎる場合には、反応速度が遅く、収率が低下する傾向があり、高すぎるとイミダゾール系化合物の分解により収率が低下する傾向がある。 かかる加水分解反応の反応時間は、通常1分〜100時間、好ましくは3分〜90時間、さらに好ましくは5分〜80時間である。かかる反応時間がこれより短いと十分に反応が進行せずに収率が低下する傾向が見られ、反応温度が長くなると、化合物が分解する傾向が見られる場合もある。 上記、エステル体を単離した場合にも、単離せずに加水分解反応をさせたときと同様に、塩基と水を加え、必要に応じてメタノール、エタノールなどのアルコール類、THF、ジオキサンなどのエーテル類などの有機溶媒を添加し、加水分解反応を行う。 かかる加水分解終了後、反応液を塩酸等の酸で中和、ろ過、抽出、晶析などの後処理により、目的とするイミダゾール系化合物(A)を得るのである。 次に、上記イミダゾール系化合物(A)を用いた金属表面処理剤について説明する。 なお、本発明における金属表面処理とは、金属表面の防錆処理を主とするものであるが、その他にも、金属表面の洗浄、エッチング処理、フラックス処理等も含むものである。 イミダゾール系化合物(A)を表面処理剤として用いる場合には、イミダゾール系化合物(A)を溶媒に溶解させて使用することが一般的であるが、固体のまま、又は気化、昇華させるなどして使用することもできる。 かかる溶媒としては、イミダゾール系化合物を完全に溶解させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類等を挙げることができるが、これらの中でも、取り扱いの容易さ、作業性の点で水、または水と混和する有機溶媒、もしくは水と有機溶媒との混合溶媒が特に好ましい。 イミダゾール系化合物(A)の溶媒中での濃度としては、通常0.000001〜20重量%であり、好ましくは0.00001〜10重量%、特に好ましくは0.0001〜5重量%である。かかる濃度が濃すぎると不経済であり、薄すぎるとイミダゾール系化合物の有機被膜が十分に形成されない傾向がある。 本発明における表面処理剤は、イミダゾール系化合物(A)以外に、有機酸や無機酸、アミン系化合物、無機塩基、金属塩、界面活性剤、キレート剤などを含有していてもよい。 かかる有機酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ラウリル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グリコール酸、グリオキシル酸、乳酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、アクリル酸等が挙げられる。 かかる無機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などが上げられる。 かかるアミン系化合物としては、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミンなどのアルキルアミン、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールなどのアゾール類が挙げられる。 かかる無機塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。 かかる金属塩としては、例えば、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅などの銅塩、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛などの亜鉛塩、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどのハロゲン化アルカリ金属塩などが挙げられる。 ついで、本発明の金属表面処理剤を用いた金属の表面処理方法について説明する。 金属表面処理剤を用いて表面処理される金属としては、特に限定されるものではなく、公知一般の金属を用いることができるが、中でも銅、ニッケル、銀、亜鉛、鉄、アルミニウムまたはこれらの合金が、本発明の金属表面処理剤に対して好適であり、特に好ましくは、銅、銅合金である。 金属表面の処理方法については、処理する金属を上記イミダゾール系化合物を含んだ処理液に含浸したり、処理する金属に上記イミダゾール系化合物を含んだ処理液を吹き付けたり、スピンコーターを用いて塗布したりした後、乾燥、もしくは余分な処理液を水などにより洗浄後、乾燥する等の方法により処理することができる。 かかる処理温度は、通常10〜80℃、好ましくは15〜70℃、より好ましくは20〜60℃である。かかる処理温度が低すぎる場合には、金属表面へ十分な被膜を形成させることができない傾向があり、高すぎる場合にはイミダゾール系化合物の分解などが起こる可能性がある。 かかる処理時間は、通常1秒〜30分、好ましくは5秒〜25分、より好ましくは10秒〜20分である。かかる処理時間が短すぎると、金属表面へ十分な被膜を形成させることができない傾向があり、長すぎても、必要以上の被膜を形成させることで不経済であったり、分厚い被膜による導電性の低下などが起きる傾向がある。 表面処理された後の金属上の塗布膜の厚みに関しては、通常0.1nm〜2μmであるが、表面処理された金属の用途、求められる性能により、適宜処理方法、条件を変えて膜厚をコントロールすることができる。 また、本発明は、下記一般式(2)、および(3)で示される新規イミダゾール系化合物も提供するものである。(式中、Yは水素原子またはアルキル基である。) (式中、Yは水素原子またはアルキル基である。) 以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。<化合物の製造方法>(製造例1)(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸(A−1)の合成 (1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル8.0g(27mmol)のメタノール24mLの溶液に、25%水酸化ナトリウム水溶液9.2g(58mmol)を加え、25℃で1.5時間攪拌した。反応終了後、減圧下にメタノール分を留去し、20%塩酸水溶液10.9g(59mmol)を加え中和した。析出した結晶を濾取し、水10mLで2回洗浄後、乾燥し、イミダゾール系化合物(A−1)を6.6g(収率86.3%)で得た。LC-MS:[M+1]=2791H-NMR (DMSO-d6):4.9(s,2H),7.2〜7.8(m,11H)13C-NMR (DMSO-d6):49.1,120.3,125.0,127.4,129.0,129.3,129.4,129.7,130.5,134.3,139.6,147.9,170.3(製造例2)(1H−2,4−ジフェニルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル(A−2)の合成 2,4−ジフェニルイミダゾール22.0g(0.1mol)、及び炭酸カリウム41.4g(0.3mol)のアセトニトリル110mL溶液に、クロロ酢酸メチル16.2g(0.15mol)を加え、70℃で56時間攪拌した。不溶物をろ過、アセトニトリルで洗浄した後、ろ液と洗液を合わせて減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチル60mLを加えて溶解させ、水30mLで2回洗浄した。酢酸エチル層を減圧下濃縮し、酢酸エチルで再結晶を行った。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄後乾燥し、イミダゾール系化合物(A−2)を16.7g(収率57.2%)で得た。LC-MS:[M+1]=2931H-NMR (DMSO-d6):3.7(s,3H),5.0(s,2H),7.2〜7.8(m,11H)(製造例3)(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸(A−3)の合成 (1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル9.2g(50mmol)の水30mLの溶液に、20%水酸化ナトリウム水溶液20g(100mmol)を加え、25℃で4時間攪拌した。反応終了後、20%塩酸水溶液18.2g(100mmol)を加え中和し、減圧下、濃縮乾固した。残渣にメタノールを200mL加え、不溶物をろ過、除去した後、ろ液を濃縮乾固した。残渣をメタノール15mLで洗浄後、乾燥し、イミダゾール系化合物(A−3)を7.1g(収率83.6%)で得た。LC-MS:[M+1]=1691H-NMR (D2O):2.1(s, 3H), 2.2(s, 3H), 2.5(s, 3H), 4.8(s, 2H)13C-NMR (D2O):10.1, 11.0, 12.8, 50.4, 126.1, 128.6, 144.9(製造例4)(1H−2,4,5−トリメチルイミダゾール−1−イル)酢酸メチル(A−4)の合成2,4,5−トリメチルイミダゾール11.0g(0.1mol)のメタノール25mL溶液に5mol/Lナトリウムメトキシド/メタノール溶液20mL(0.1mol)を加え、溶解させた後、減圧下濃縮乾固した。残渣にDMF110mLを加え、氷浴下にて冷却した。これにクロロ酢酸メチル10.9g(0.1mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴をはずし、23℃で2時間攪拌した後、反応液を減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチル100mLを加え、不溶物をろ過し、酢酸エチル50mLで洗浄した。得られた酢酸エチル層に更に酢酸エチル200mLを添加した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液25mL、次いで水25mLで洗浄した。得られた有機層を減圧下濃縮し、イミダゾール系化合物(A−4)を10.7g(収率58.8%)で得た。LC-MS:[M+1]=1831H-NMR (DMSO-d6):1.9(s, 6H), 2.1(s, 3H), 3.7(s, 3H), 4.7(s, 2H)13C-NMR (DMSO-d6):8.9, 13.1, 13.3, 45.2, 52.9, 122.4, 130.7, 142.9, 169.7<金属表面処理試験> 上記で得られたイミダゾール系化合物(A−1)〜(A−4)、更に1,2,3−ベンゾトリアゾールについて、金属表面処理試験(耐熱試験)を行なった。(実施例1) 銅板(山本鍍金試験器製:ハルセル用陰極板;B-60-P05)を酸性クリーナー:LAC−41(ロームアンドハース製)の20%水溶液に40℃で5分浸漬した後、純水に1分間浸漬し、次いで5%硫酸水溶液に30℃、1分浸漬した。得られた銅板を濃度100ppmのイミダゾール系化合物(A−1)のイソプロピルアルコール溶液に30℃、1分間浸漬し、次いで純水に1分浸漬洗浄した後、ドライヤーで乾燥させた。得られた銅板について、表面処理試験(耐熱試験)を行なった。評価結果は下記表1に示す。(実施例2〜4) 実施例1において、イミダゾール系化合物(A−1)の代わりに、イミダゾール系化合物(A−2)〜(A−4)を用い、表1に示した溶媒で100ppmの試験液を調整した以外は同様にして、銅板を得た。次いで、表面処理試験(耐熱試験)を実施した。(比較例1) 実施例1において、イミダゾール系化合物(A−1)のイソプロピルアルコール溶液の代わりに、1,2,3−ベンゾトリアゾールの水溶液を用いた以外は同様にして、銅板を得た。次いで、表面処理試験(耐熱試験)を実施した。(耐熱試験) オーブン(SAKURA社製:HOT−AIR STERILIZER HE−11)を用いて、150℃で1時間加熱した。・評価(目視判定) 1:変色なし、 2:僅かに変色、 3:少し変色、 4:明らかに変色、 5:ひどく変色 上記表1の結果より、実施例1〜4のイミダゾール系化合物(A−1)〜(A−4)は、比較例1のベンゾトリアゾール系化合物よりも優れた防錆性を示すことがわかる。 なお、耐熱試験は、通常の環境よりも過酷な条件下での表面処理試験であるため、化合物のもつ防錆性能の差がより顕著に現れる試験であると考えられる。 本発明の表面処理剤は、高温条件下においても、優れた防錆性能を示すものであるため、プリント配線板の製造における銅箔やリードフレーム用の処理剤、またはプレフラックス処理剤に非常に有用である。 下記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物を有効成分とすることを特徴とする金属表面処理剤。(式中、R1〜R3は、水素原子、アルキル基、フェニル基、又はハロゲン原子であり、同一でも異なっていてもよい。Xは、アルキレン基、Yは、水素原子またはアルキル基を表す。) 銅、ニッケル、銀、亜鉛、鉄、アルミニウムまたはこれらの合金から選ばれる金属に用いることを特徴とする請求項1記載の金属表面処理剤。 金属表面防錆剤として用いることを特徴とする請求項1または2記載の金属表面処理剤。 下記一般式(2)で示されるイミダゾール系化合物。(式中、Yは水素原子またはアルキル基である) 下記一般式(3)で示されるイミダゾール系化合物。 (式中、Yは水素原子またはアルキル基である)