タイトル: | 公開特許公報(A)_試料容器、試料容器用蓋及びセプタム |
出願番号: | 2009260003 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01N 30/18,G01N 1/00,G01N 30/04 |
馬路 健 井上 隆志 長沼 博貴 三橋 新一 野田 佳孝 JP 2011106869 公開特許公報(A) 20110602 2009260003 20091113 試料容器、試料容器用蓋及びセプタム 株式会社島津製作所 000001993 特許業務法人京都国際特許事務所 110001069 馬路 健 井上 隆志 長沼 博貴 三橋 新一 野田 佳孝 G01N 30/18 20060101AFI20110506BHJP G01N 1/00 20060101ALI20110506BHJP G01N 30/04 20060101ALI20110506BHJP JPG01N30/18 AG01N1/00 101QG01N30/04 ZG01N30/04 A 6 2 OL 7 2G052 2G052AD26 2G052AD32 2G052AD42 2G052DA12 2G052DA13 2G052DA22 2G052EB11 2G052EB12 2G052GA27 2G052JA04 本発明は、ガスクロマトグラフィにおけるヘッドスペースガス分析に好適に用いることができる試料容器に関する。 ヘッドスペースガス分析法は、試料容器内に収容した液体試料又は固体試料を加熱することにより比較的沸点の低い成分を揮発させて試料容器内の上部空間(ヘッドスペース)に満たし、その空間内のガスをシリンジ等で採取しガスクロマトグラフ装置等の分析装置に導入して分析を行うものである。 ヘッドスペースガス分析に用いられる試料容器は容器を密閉するために一般にシリコンゴムやブチルゴムから成る円板状のセプタムを備える。試料容器内に試料を封入する際には、液体試料又は固体試料を試料容器に入れ、その口をセプタムで塞ぎ、その上から中央が開口するアルミキャップを被せキャップ端部をかしめることにより、セプタムを試料容器の口の縁に密着させ容器を密閉する。試料ガスのサンプリング時には、キャップ中央の開口からセプタムにニードルを刺し、試料容器内のヘッドスペースガスを採取する。 ヘッドスペースガス分析では試料を揮発させるために試料容器を200℃程度まで加熱することがあるが、試料容器の温度が高いとセプタムを構成するシリコンゴムやブチルゴムからガスが発生し、試料ガスに混入することがある。そこで、それを防ぐためにセプタムの試料容器側の面に、シリコンゴム等よりも高い耐熱性を有しアウトガスが発生しにくいPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のシートを貼り付けることが従来より行われている。 近年、試料をより高温の300℃程度まで加熱してヘッドスペースガス分析を行うことが検討されている。しかし、300℃程度の高温環境下ではPTFEであってもアウトガスが発生しやすい。また、セプタムのゴム部分であるシリコンゴムやブチルゴムが熱で軟化し、試料容器内のガスの圧力によってアルミキャップの開口から盛り上がるように膨らむトラブルも生じやすい。 そこで従来より、300℃程度の高温環境下でも使用可能な試料容器が提案されている(特許文献1参照)。図3(a)はそのような試料容器50の蓋51付近の断面図であり、図3(b)は蓋51の分解断面図である。蓋51は、上面中央に凹部を有しその凹部底面の中央に貫通孔を有する金属製のキャップ本体52と、キャップ本体52の凹部に配置されるOリング53及びアルミ箔54と、中央に上下に貫く貫通孔を有する円柱状の金属製の押圧部材55とを有する。 試料容器50内から試料ガスを採取する際には、押圧部材55の貫通孔にニードル56を挿入してニードル56先端でアルミ箔54を破り、さらにニードル56をOリング53の開口及びキャップ本体52の貫通孔に挿入してニードル56先端を容器内に入れる。このとき、Oリング53がニードル56の外周に密着するため、アルミ箔54が破られた後も容器の気密性が保たれる。このように試料容器50では容器の密閉にOリング53を用いるため、従来の円板状のセプタムよりもゴムの露出面積が小さく試料ガス中にアウトガスが混入しにくい。蓋51を構成する部材はOリング53を除けば全て金属製であるため、高温環境下でもアウトガスが発生せず、熱により変形することもない。実登3147435号公報 試料容器50の蓋51は部品点数が多く各部品の形状が複雑であるため、製造コストが高い。そこで、特許文献1では、蓋51の構成部材のうちアルミ箔54のみを使い捨てとし、それ以外の部品は繰り返し使用することによって、ランニングコストを抑えている。 しかし、各部品を繰り返し使用する場合には部品の洗浄が不可欠であり、洗浄に手間が掛かるだけでなく洗浄不良によりコンタミネーションが生じて分析精度が低下するおそれもある。また、蓋51は一般的な円板状のセプタムよりも複雑な構造を有するため、試料容器への取り付け・取り外しに手間が掛かる。 本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、300℃程度の高温環境下でのヘッドスペースガス分析にも使用可能であって、低コストで製造可能であり、取り扱いが容易な試料容器、並びにそのような試料容器に用いられる試料容器用蓋及びセプタムを提供することにある。 上記課題を解決するために成された本発明に係るセプタムは、 パーフロロエラストマから成り、少なくとも試料容器の口を塞ぐ大きさを有するセプタム部材と、 前記セプタム部材の試料容器側の面を覆う金属膜と から成ることを特徴とする。 また、上記課題を解決するために成された本発明に係る試料容器用蓋は、 上記セプタムと、 前記セプタムを試料容器の口に固定するための固定具と から成ることを特徴とする。 また、上記課題を解決するために成された本発明に係る試料容器は、 上記セプタムと、 前記セプタムにより塞がれる開口を有する容器部と を備えることを特徴とする。 セプタム部材は弾性を有するものであり、その弾性により、ニードルが刺されたときにニードル外周に密着して試料容器の気密性を保つ。 パーフロロエラストマは主鎖部や枝分れ部が完全にフッ素化されたエラストマであり、例えば米国デュポン社が開発したKalrez(登録商標)がある。パーフロロエラストマは高い耐熱性を有するため、300℃程度の高温環境下においても軟化せずセプタムとしての機能を保つことができる。 本発明に係るセプタム、試料容器用蓋及び試料容器では、試料容器の口を塞ぐ大きさを有するセプタム部材の試料容器側の面が金属膜で覆われているため、試料容器の加熱によりセプタム部材からガスが発生してもそのガスは金属膜で遮蔽される。従って、高温環境下で使用してもセプタム部材からのアウトガスが試料容器内の試料ガスに混入しない。また、セプタム部材は高い耐熱性を有するパーフロロエラストマから成るため、300℃程度の高温環境下で使用しても軟化せず、試料容器内のガスの圧力によって変形することがない。 セプタム部材は円板状等の単純な形状でよいため、加工が容易であり、低コストで製造することができる。また、セプタム部材は従来のアルミキャップ等の固定具を用いて試料容器の口に固定することができ、試料容器への取り付け・取り外しが容易である。本発明の一実施例である試料容器の断面図。本実施例の試料容器の拡大断面図。従来の試料容器を説明する図であり、(a)は蓋付近の断面図、(b)は蓋の分解断面図である。 以下、本発明の一実施例である試料容器、試料容器用蓋及びセプタムについて、図面を参照して説明する。図1に示すように試料容器10は試料が収容される容器部であるガラス瓶11と、ガラス瓶11の口を塞ぐ試料容器用蓋12から成る。試料容器用蓋12はガラス瓶11の口の上に配置されるセプタム13と、セプタム13をガラス瓶11の口に固定するためのアルミキャップ14から成る。 セプタム13はパーフロロエラストマ製のセプタム部材131と、セプタム部材131の下面を覆うアルミ箔132から成る(図2参照)。セプタム部材131は少なくともガラス瓶11の口を塞ぐことができる大きさを有するものであり、本実施例のセプタム部材131はガラス瓶11の口の外径と同じ径の円板である。 アルミ箔132もガラス瓶11の口を塞ぐ大きさを有するものであり、本実施例のアルミ箔132はガラス瓶11の口の外径と同じ径、つまりセプタム部材131と同じ径の円形のものである。なお、箔の材料はアルミに限らず、延性を有する他の金属であってもよい。 セプタム部材131とアルミ箔132はそれぞれ別部品として扱い、ガラス瓶11の口へ固定する段階で重ね合わせてもよいが、予め互いに接合させておいてもよい。これにより、ガラス瓶11への固定時の取り扱いを容易にすることができる。その接合方法としては様々な方法が考えられ、例えば接着剤を用いる方法やセプタム部材131の成形時に一体成形する方法等がある。一体成形する場合には、金型内の所定位置にアルミ箔132を配置しておき、そこへ液状のパーフロロエラストマを流し込み硬化させればよい。接着や一体成形を行う場合、セプタム部材131又はアルミ箔132の接合面の表面粗さを大きくすることにより、接合力を高めることができる。 アルミキャップ14はガラス瓶11の口に覆い被さるような形状のキャップであり、上面中央に開口を有する。アルミキャップ14とセプタム12はそれぞれ別部品として扱い、ガラス瓶11の口に固定する段階でセプタム12の上にアルミキャップ14を被せてもよいが、予めアルミキャップ13の内側にセプタム13を嵌め込んでおいてもよい。これにより、ガラス瓶11への固定時の取り扱いをより容易にすることができる。 ガラス瓶11の開口にはフランジが設けられている。このフランジには、ガラス瓶11の開口に被せられたアルミキャップ14の下端部が内側に折り曲げられて係合する。 試料容器10内に試料を封入する際には、液体試料又は固体試料をガラス瓶11に入れ、ガラス瓶11の口に、アルミ箔132、セプタム部材131及びアルミキャップ14をこの順に配置する。このとき、上述したように各部材が予め一体化されていれば、それらをガラス瓶11の口に配置することが容易である。次に、一般にクリンパと呼ばれるアルミキャップ締め付け工具により、アルミキャップ14の上面を抑えながらキャップ下端部を内側に折り曲げガラス瓶11のフランジに係合させる(かしめる)。これにより、アルミキャップ14とガラス瓶11の間に挟まれたセプタム部材131が縦方向に圧縮され、その弾性力によりガラス瓶11の口が密閉される。 試料ガスを採取する際には、まず、試料が封入された試料容器10を加熱することにより比較的沸点の低い試料成分を揮発させ試料容器10のヘッドスペースに満たす。次に、アルミキャップ14中央の開口からセプタム13にニードルを突き刺し、アルミ箔132を破り、ニードル先端をガラス瓶11のヘッドスペースに配置する。そして、シリンジ等によりニードル先端からヘッドスペース内の試料ガスを吸引し採取する。採取した試料ガスはガスクロマトグラフ装置等の分析装置に導入され分析される。 試料容器10を高温に加熱するとセプタム部材131からガスが発生することがあるが、セプタム部材131のガラス瓶11側の面がアルミ箔132で覆われているため、そのガスはアルミ箔132で遮蔽される。従って、高温環境下で使用してもセプタム部材131からのアウトガスが試料容器10内の試料ガスに混入しない。 セプタム部材131は高い耐熱性を有するパーフロロエラストマから成るため、300℃程度の高温環境下で使用しても軟化せず、セプタムとしての機能を保つことができる。 セプタム部材131は円板状等の単純な形状でよいため、加工が容易であり、低コストで製造することができる。また、アルミ箔132やアルミキャップ14もプレス加工等により安価に製造することができる。従って、これらの部材はいずれも使い捨てを前提とした消耗品として扱うことができる。 なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に添って適宜変形や修正を行えることは明らかである。例えば、セプタム部材131の下面をアルミ箔132で覆う代わりに、セプタム部材131の下面に真空蒸着やスパッタリング等により金属の蒸着膜を成膜してもよい。また、セプタム13をガラス瓶の口に固定するための固定具として、ガラス瓶11のフランジに固定されるアルミキャップ14の代わりに、ガラス瓶の開口付近に設けられた雄ねじに締め込まれるスクリュー式のキャップ等を用いてもよい。10、50…試料容器11…ガラス瓶12…試料容器用蓋13…セプタム131…セプタム部材132、54…アルミ箔14…アルミキャップ51…蓋52…キャップ本体53…Oリング55…押圧部材56…ニードル パーフロロエラストマから成り、少なくとも試料容器の口を塞ぐ大きさを有するセプタム部材と、 前記セプタム部材の試料容器側の面を覆う金属膜と から成ることを特徴とするセプタム。 前記金属膜が、前記セプタム部材に接着された箔であることを特徴とする請求項1に記載のセプタム。 前記金属膜が箔であり、該箔と前記セプタム部材が一体成形されたものであることを特徴とする請求項1に記載のセプタム。 前記金属膜が、前記セプタム部材に成膜された蒸着膜であることを特徴とする請求項1に記載のセプタム。 請求項1〜4のいずれかに記載のセプタムと、 前記セプタムを試料容器の口に固定するための固定具と から成ることを特徴とする試料容器用蓋。 請求項1〜4のいずれかに記載のセプタムと、 前記セプタムにより塞がれる開口を有する容器部と を備えることを特徴とする試料容器。 【課題】300℃程度の高温環境下でのヘッドスペースガス分析にも使用可能であって、低コストで製造可能であり、取り扱いが容易な試料容器、試料容器用蓋及びセプタムを提供する。【解決手段】パーフロロエラストマから成りガラス瓶11の口を塞ぐ大きさを有するセプタム部材131における試料容器10側の面をアルミ箔132で覆う。これにより、試料容器10の加熱によりセプタム部材131からガスが発生してもそのガスはアルミ箔132で遮蔽される。従って、セプタム部材131からのアウトガスが試料容器10内の試料ガスに混入しない。また、セプタム部材131は高い耐熱性を有するパーフロロエラストマから成るため、300℃程度の高温環境下で使用しても軟化せず、試料容器内のガスの圧力によって変形することがない。【選択図】図2