タイトル: | 公開特許公報(A)_アントラセン誘導体およびピレン誘導体 |
出願番号: | 2009249460 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07C 15/20,C07C 43/20 |
小西 玄一 内村 真 渡辺 順次 JP 2011093841 公開特許公報(A) 20110512 2009249460 20091029 アントラセン誘導体およびピレン誘導体 国立大学法人東京工業大学 304021417 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 蛯谷 厚志 100093665 小林 良博 100102990 吉井 一男 100089901 小西 玄一 内村 真 渡辺 順次 C07C 15/20 20060101AFI20110415BHJP C07C 43/20 20060101ALI20110415BHJP JPC07C15/20C07C43/20 D 8 3 OL 28 4H006 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB92 4H006GP03 本発明は、好適な特性を有するアントラセンないしピレン誘導体に関する。本発明のアントラセン誘導体は、特に、有機レーザ用色素として好適に使用可能である。 レーザ用の有機色素は、これまでに多数開発されているが(非特許文献1〜5を参照)、それらの多くは液体レーザ用であり、固体レーザ用の色素はごく少数であった。また、高安定性と高効率発光を両方とも満足する色素はかなり少なかった。したがって、コレステリック液晶レーザの開発においては、新しい色素が求められている。 例えば、下記式に示す従来の色素(「DCM」と称される)は、発光能は優れているものの、YAGレーザ等では、すぐに分解してしまうという欠点があった。V. de Halleuxら、Adv. Funct. Mater., 14、No.7、第649〜659頁T. M. Figueira−Duarteら、Angew. Chem., 2008,120、第10329〜10332頁M. Ozakiら、Adv. Mater., 2002、14、No.4、第307〜309頁J. Schmidtkeら、Adv. Mater., 2002、14、No.10、第746〜749頁M. H. Songら、Adv. Mater., 2004、16、No.9〜10、第779〜783頁 本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消することができる有機化合物を提供することにある。 光照射に対する耐久性に優れ、高効率で発光する有機レーザ用色素を提供することである。ここでいう光照射に対する耐久性とは、長時間光照射または繰り返し光照射を行っても分子結合が切れる等の分子構造が変わることがないことを意味する。具体的には、該化合物に、吸収波長の光を照射する時間または回数に対する、該化合物のNMRが変化しないことや該化合物の蛍光強度が変化しないことで評価する。 本発明者は鋭意研究の結果、特定の基本骨格(すなわち、アントラセンおよび/又はピレン骨格)を有し、しかも特定位置にアリール基を有する化合物が、高エネルギー印加時における耐久性に優れることを見出した。たとえばピレンの臭素化や酸化反応は1,3,6,8位で特異的に起こることが知られており、ベンゼンやナフタレンと異なり無触媒で容易に反応が進行する(H.Maedaら、Eur.J.Chem.,2006、12,824)。そこで、該当の位置に酸化されにくいフェニル基またはナフチル基などのアリール基を導入すると、その安定性が大きく向上する。本発明者らは、上記知見に基づき更に研究を進めた結果、これらの化合物が、好適な波長で高い発光効率を有することをも見出した。 本発明のアントラセン誘導体は上記知見に基づくものであり、より詳しくは、後述する一般式(1)によって示される、9、10位にアリール基を有するアントラセン誘導体である(式(1)中、Arは、後述する一般式(2)〜(14)からなる群から選ばれるいずれかのアリール基であり;該Ar1およびAr2は全て同じでも、それらの一部が異なっていてもよい)。 本発明によれば、更に、後述する一般式(15)によって示される、1、3、6、8−アリール基を有するピレン誘導体(式(2)中、Ar1〜Ar4は、後述する下記一般式(2)〜(14)からなる群から選ばれるいずれかのアリール基であり;該Ar1〜Ar4は全て同じでも、それらの一部が異なっていてもよい)が提供される。 上述したように本発明によれば、良好な特性を発揮可能な有機化合物が提供される。 本発明のアントラセンないしピレン誘導体は、例えば、下記の効果を奏することができる。(1)レーザ色素を指向した新しい高安定性・高効率発光色素が実現可能となる。(2)レーザ色素として、高い安定性が得られる。例えば、熱、酸化反応、ラジカル反応等の、特に、レーザ照射条件下において、高い耐久性を発揮できる。(3)レーザ色素として、高効率の発光が得られる。例えば、レーザ照射波長におけるモル吸光係数(ε)が10000L・M−1・cm−1以上で蛍光量子収率(Φ)が0.8以上である等の、高い発光効率を得ることができる。(4)レーザ色素として、高い溶媒への相溶性が得られる。例えば、液晶相との高い相溶性を発現可能な設計が容易である。液晶と相溶性が高ければ、液晶相に溶解した状態で分子配向しやすく、レーザ発振の条件であるコヒーレントな蛍光が得られやすい。この液晶相との相溶性については、目視または倍率10倍程度の顕微鏡で観察した際に透明均一になっていること、さらに詳しくは、紫外可視吸収スペクトルが該化合物と液晶化合物の吸収スペクトルの重ね合わせとなっていることで確認できる。実施例1で得られた1H−NMRデータを示すチャートである。実施例1で得られた1H−NMRデータを示すチャートである。実施例1で得られたUV−Vis吸光度データを示すチャートである。実施例2で得られた1H−NMRデータを示すチャートである。実施例2で得られた1H−NMRデータを示すチャートである。実施例2で得られた1H−NMRデータを示すチャートである。実施例2で得られたUV−Vis吸光度データを示すチャートである。実施例3で得られた1H−NMRデータを示すチャートである。実施例3で得られたUV−Vis吸光度データを示すチャートである。実施例4で得られた1H−NMRデータを示すチャートである。実施例4で得られた13C−NMRデータを示すチャートである。実施例4で得られたUV−Vis吸光度データを示すチャートである。 以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。(アントラセン誘導体) 本発明の第1の態様たる「アントラセン誘導体」は、下記一般式(1)によって示される、9、10位にアリール基を有するアントラセン誘導体である。(アリール基) 上記式中、Ar1およびAr2は、下記一般式(2)〜(14)のいずれかによって示される基である。これら、Ar1およびAr2はすべて同じでも、また一部もしくは全部異なっていてもよい。本発明のアントラセン誘導体を製造する際の簡便さの点からは、Ar1とAr2が同一であることが好ましい。(ピレン誘導体) 本発明の第2の態様たる「ピレン誘導体」は、下記一般式(15)によって示される、1、3、6、8−アリール基を有するピレン誘導体である。(式中、Ar1〜Ar4は、下記一般式(2)〜(14)からなる群から選ばれるいずれかのアリール基であり;該Ar1〜Ar4は全て同じでも、それらの一部が異なっていてもよい)。(一般式(2)〜(14)中、R1〜R3は、炭素数1〜18の直鎖または分岐状のアルキル基、ベンジル基またはフェニル基およびそれらの炭化水素置換基を有する誘導体、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基、水素。更に、フッ化アルキル官能基を含むアルキル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基である;該R1〜R3は、全てが同じでも、一部が異なっていてもよい)。(好適なアリール基) レーザ用色素としての高量子効率を発現する点からは、Arは、ビフェニル骨格(一般式2、4)、ターフェニル骨格(一般式3、5)、ナフチル骨格(一般式6〜8)、アントラセン骨格(一般式9〜11)であることが好ましい。 更に製造法の簡便さと溶解性の点からは、Arは、ビフェニル骨格(一般式2、4)、ターフェニル骨格(一般式3、5)、ナフチル骨格(一般式6〜8)を有するものであることが特に好ましい。(好ましい置換基) 一般式(2)〜一般式(14)中のR(R1〜R3は)は、炭素数1〜18の直鎖または分岐状のアルキル基、ベンジル基またはフェニル基およびそれらの炭化水素置換基を有する誘導体、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基、水素。更に、フッ化アルキル官能基を含むアルキル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基である。R1〜R3は、すべて同じでも、異なっていてもよい。(特に好ましい置換基) 特に限定されないが、色素に高い有機溶媒への溶解性や高分子溶媒への分散、各種表面への吸着能を付与することが極めて好ましいため、下記のような条件が適当である。 Rは、溶解性の高さから好ましくは炭素数1〜18の直鎖または分岐状のアルキル基、アルキルエーテル基、アルキレンエーテル基、水素。更に、フッ化アルキル官能基を含むアルキル基、アルキルエーテル基である。 更に原料の入手しやすさから、特に好ましくは、炭素数1〜12の直鎖または分岐状のアルキル基、アルキルエーテル基、ポリオキシエチレン基、フッ化アルキル官能基を含むアルキル基およびアルキルエーテル基である。 またR1〜R3の種類については、製造法の簡便さから、好ましくはR1〜R3が同一の成分である。もしくは異なる成分で構成される場合は、少なくとも1つがメチル基、メトキシ基、水素のいずれかであることが好ましい。(発光効率が大きい化合物) ある物質に光を照射することで得られる蛍光の「発光効率」は、入射光量(I0)と発光量(IF)の比で定義され、蛍光化合物の吸収光量(I0・(1−T))と発光量(IF)の比である蛍光量子収率(Φ)の関数で表される。すなわち、 「発光効率」=IF/I0=Φ・(I0・(1−T))/I0=Φ・(1−T)である。ここで、Tは該物質に照射した光量(I0)と該物質を透過した光量(I)の比I/I0で定義される透過率であり、該化合物のモル吸光係数(ε[L・M−1・cm−1])が大きいほど小さい。Tの逆数の常用対数log(T−1)で定義される吸光度(Aと示す)は、化合物濃度が低い範囲(化合物に依存するが、例えばT>0.95、A<0.02となる濃度領域)では、下式のランバート・ベールの法則が成立する。 A=log(T−1)=ε・c・d (cは濃度[M・L−1]、dは光路長[cm]) 従って、化合物の濃度が低いところでは、「発光効率」は下記の式となる。 「発光効率」=Φ×(1−10−(−ε・c・d)) ランバート・ベールの法則が成立する範囲で、εが大きいほど、また、Φが大きいほど、「発光効率」が大きくなることは、上式から自明である。化合物濃度が高いところでは、照射光の全吸収や蛍光の再吸収があり上式から外れてくるが、εが大きいほど、また、Φが大きいほど、「発光効率」は大きくなるという点では変わりがない。したがって、εが大きく、Φが大きい化合物を「発光効率」が大きい化合物と称することができる。ある化合物がレーザー発振するか否かは、「発光効率」以外の要因もあるが、その「発光効率」が大きいことは、レーザー発振する必要不可欠な要因である。(アントラセン/ピレン誘導体の製造方法) 上記一般式(1)および(2)に記載の色素の製造法は、特に限定されないが、実施例に示すように9、10−ジブロモアントラセンや1、3、6、8−テトラブロモピレンと対応するアリール基のボロン酸またはボロン酸エステルをパラジウム(O)または(II)触媒を用いてクロスカップリングする方法(鈴木―宮浦法)がある。 その他に、アリール基のトランスメタル化剤として、マグネシウム誘導体(熊田―玉尾法)、スズ誘導体(スティレ法)、ケイ素誘導体(檜山法)、亜鉛誘導体(山本法)などを用いることができ、対応する触媒として、ニッケル錯体(熊田―玉尾法および山本法)、パラジウム錯体(スティレ法および檜山法)を用いることができる。その他、クロスカップリング法によりビアリール結合を形成する方法を適用することができる。 一般式(1)および(2)に記載の色素は、アントラセンおよびピレンの最も反応性の高い位置にアリール基が導入されており、酸化反応をはじめとする多環式芳香族系化合物の分解反応が起こりにくくなっている。(好ましい態様−1:一般式(1)で示されるアントラセン誘導体の蛍光挙動) 上記一般式(1)で示されるアントラセン誘導体は、300〜450nmの領域で大きなモル吸光係数(ε[L・M−1・cm−1])を示し、青色領域で大きな発光量子収率(Φ)を示すことを特徴としている。(モル吸光係数) 照射光波長300nm以上の領域で、クロロホルム、THF、トルエンなどの有機溶媒中での最大モル吸光係数(ε[L・M−1・cm−1])は、3000L・M−1・cm−1以上であり、好ましくは6000L・M−1・cm−1以上、特に好ましくは、10000L・M−1・cm−1以上である。 上記のモル吸光係数(ε[L・M−1・cm−1])は、下記の測定方法を用いて測定することができる。(モル吸光係数の測定法) モル吸光係数(ε[L・M−1・cm−1])は以下の方法で測定する。紫外可視吸光光度計(UV−Vis)を用いて、該色素化合物を測定溶媒に溶解した溶液の任意の波長における吸光度(A)を測定する。このとき、ランバート・ベールの法則 A=ε・c・d (cは濃度[M・L−1]、dは光路長[cm])が成立する濃度範囲、すなわち、吸収スペクトルの極大波長におけるAが0.02以下となる濃度に調整した溶液を用いる。 上式より ε=A/(c・d) [L・M−1・cm−1]を得ることができる。(蛍光量子効率) 蛍光量子効率については、クロロホルム、THF、トルエンなどの有機溶媒中(濃度1.0x10−5M・l−1以下)で、0.50以上であり、好ましくは0.60、特に好ましくは0.70である。 上記の蛍光量子効率は、下記の測定系を用いて測定することができる。 発光量子収率(Φ)は、該色素化合物を任意の波長における吸光度が0.1になるように測定溶媒に溶解したものを、浜松ホトニクス(株)製の絶対量子収率測定装置C9920−02を用いて測定した。この方法は、幅広く利用されており、例えば特開2008−56630などにも記載されている。(好ましい態様−2:一般式(15)で示されるピレン誘導体の蛍光挙動) 上記一般式(15)で示されるピレン誘導体は、300〜450nmの領域で大きなモル吸光係数(ε)を示し、青色領域で大きな発光量子収率(Φ)を示すことを特徴としている。(モル吸光係数) 照射光波長300nm以上の領域で、クロロホルム、THF、トルエンなどの有機溶媒中での最大モル吸光係数(ε[L・M−1・cm−1])は、3000L・M−1・cm−1以上であり、好ましくは10000L・M−1・cm−1以上、特に好ましくは、15000L・M−1・cm−1以上である。 蛍光量子効率については、クロロホルム、THF、トルエンなどの有機溶媒中(濃度1.0x10−5M・l−1以下)で、0.70以上であり、好ましくは0.80以上、特に好ましくは0.90以上である。 上記のピレン誘導体のモル吸光係数(ε[L・M−1・cm−1])および発光量子収率(Φ)は、上述したアントラセン誘導体のそれらの測定法と同様の方法で測定できる。 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。<使用実験機器> 1H NMR、13C NMRスペクトルはJEOL社製のLNM−EX400を用い、TMSを基準物質とし測定した。 赤外スペクトル(IR)は、日本分光(株)製FT−IR460puls spectrometer、紫外可視スペクトルはベックマンDU700、蛍光スペクトルは日本分光FP−6500、蛍光寿命は浜松ホトニクスOB920を用いて測定した。 質量分析(HRMS)は日本電子(株)製JMS−700を用いてFAB−MASSにより測定した。 リサイクル分取HPLCには、JAI社製UV−310検出器とRI−50S検出器、JAIGEL−1H−Aカラムを用い、クロロホルムを展開溶媒にして行った。実施例1(化合物A) この例で用いた合成法のスキームを下記の式(16)に示す。4’−heptylbiphenyl−4−ylboronic acid(A−1) 4−bromo−4’−heptylbiphenyl(1.65g、5mmol)のTHF(20ml)溶液に−78℃、アルゴン雰囲気下においてブチルリチウムの2.6mヘキサン溶液(1.2当量)を滴下した。混合溶液を−78℃において一時間攪拌した後にtrimethyl borate(1.4当量)を滴下し、室温において更に一日攪拌をおこなった。その後、2基底のHCl水溶液を加え更に18時間攪拌を行った。反応停止後、分液操作によってCH2Cl2を用いて抽出、水で洗浄を行い、得られた有機溶媒をMgSO4で乾燥させたのち減圧蒸留によって溶媒を除去した。得られた固体をヘキサンとクロロホルムの混合溶液を用いて再結晶を行うことで目的の化合物を得た(0.96g、65 %)。1H NMR(400mHz、DMSO): δ 7.83(d、J=6.64、Ar−H、2H)、7.58(t、J−=6.7、Ar−H、4H)、7.26(d、J=7.0、Ar−H、2H)、0.84(t、J=5.4、−CH3、3H)9、10−bis(4’−heptyl−1−4−biphenyl)anthracene(A) 充分にアルゴンバブリングした1M Na2CO3水溶液(1ml)、トルエン(10ml)、THF(10ml)を、アルゴン雰囲気下で4’−heptylbiphenyl−4−ylboronic acid(0.29g、1mmol)、dibromoanthracene(0.17g、0.5mmol)、Pd(PPh3)4(0.05当量)に加え、110℃で三日間攪拌した。反応停止後、分液操作によってCH2Cl2を用いて抽出、水で洗浄を行い、得られた有機溶媒をMgSO4で乾燥させたのち減圧蒸留によって溶媒を除去した。ヘキサンとクロロホルムの混合溶媒で充填したシリカゲルカラムを用いて、触媒を除去し続いてHPLCを用いて目的の化合物を分取し、ヘキサンを用いて再結晶を行うことで目的の化合物をえた(20mg、6 %)。1H NMR(400mHz、CDCl3): δ 7.29−7.85(m、Ar−H、8H)、7.70(d、J−=7.8、Ar−H、4H)、7.55(d、J=7.8、Ar−H、4H)、7.3−7.38(m、Ar−H、8H)、0.91(t、J=6.3、−CH3、6H)FT−IR HRMS(FAB)Calcd for C52H54 :678.4226、 Found :678.4217 ここで得られた1H NMRのチャートを図1および図2に示す。 ここで得られた光物性を下記の表1および図3に示す。実施例2(化合物B) 合成法のスキームを下記の式(17)に示す。2−bromo−6−hexyloxynaphtalene(B−1) 6−bromo−2−naphthol(1.8g 8.0mmol)、K2CO3(1.38g、10.0mmol)、bromohexane(1.24g、7.5mmol)にアセトニトリル(30ml)を加え混合溶液を18時間還流した。反応停止後、分液操作によってCH2Cl2を用いて抽出、水で洗浄を行い、得られた有機溶媒をMgSO4で乾燥させたのち減圧蒸留によって溶媒を除去した。得られた固体をヘキサンを用いて再結晶を行うことで目的の化合物を得た。(2.63g、99%)1H NMR(400mHz、CDCl3): δ 8.60(d、J=8.8、Ar−H、2H)、7.71(d、J−=9.0、Ar−H、2H)、7.57−7.60(m、Ar−H、2H)、7.36−7.39(m、Ar−H、2H)、7.30(d、J=8.3、Ar−H、2H)、7.11(d、J=8.5 Ar−H、2H)、4.10(t、J=6.6、Ar−O−CH2、2H)、0.95(t、J−=7.8、−CH3、3H)(化合物B−2)6−hexyloxynapthtyl−2−bronic acid(B−2) 化合物A−1のボロン酸合成法と同様の操作によって目的の化合物を得た(0.50g、37 %)。使用した試薬は、2−bromo−6−hexyloxynaphthalene(1.54g、5mmol)in THF(20ml)n−BuLi and B(OMe3)(化合物B)9、10−bis(6−hexlyoxy−2−naphtyl)anthracene(B) 化合物A−2の鈴木カップリングと同様の操作によって目的化合物を得た(50mg、16 %)。使用した試薬は、dibromoanthracene(0.17g、0.5mmol)、6−hexyloxynapthtyl−2−bronic acid(0.27g、1mmol)、Pd(PPh3)4 in 1M Na2CO3(1ml)、toluene(20ml)1H NMR(400mHz、CDCl3): δ 7.95(d、J=8.3、Ar−H、2H)、7.9(s、Ar−H、2H)、7.81(d、J=8.9.2 Ar−H、2H)、7.73−7.76(m、Ar−H、4H)、7.55−7.58(m、Ar−H、2H)、7.26−7.32(m、Ar−H、8H)、4.18(t、J=6.6、Ar−O−CH2、4H)、0.95(t、J−=7.3、−CH3、6H)HRM(EI)Calcd for C46H46O2 :630.3498、 Found :630.3491 上記で得られた1H NMRチャートを、図4〜6に示す。 上記で得られた光物性を、図7および下記の表2に示す。実施例3(化合物C) 合成法のスキームを、下記の式(17)に示す。1、3、6、8−tetrabromopyrene ピレンの1、3、6、8位のブロモ化は、下記の(文献A)に従って行った。(文献A):S. Bernhardt,M. Kastler,V. Enkelmann, M. Baumgarten, K. Muellen, Chem. Eur.J.,2006、12、6117−6128 ピレン(1g、4.9mmol)をニトロベンゼン(30ml)中に溶解させ、アルゴン雰囲気化において、臭素(1ml、20.3mmol)を滴下した。滴下終了後、反応温度を160℃にし3時間攪拌した。室温まで反応溶液を冷やし反応を停止させた後、反応溶液をアセトン中に注ぎ、吸引ろ過によって沈殿物を得た。得られた沈殿は一般的な有機溶媒に不溶であったため、精製せずにそのまま用いた。(化合物C−1)1、3、6、8−tetrakis(4’−n−heptyl−4−biphenyl)pyrene(C)化合物A−2の鈴木カップリングと同様の操作によって目的化合物を得た(30mg、10 %)。使用した試薬は、1、3、6、8−tetrabromopyrene(0.13g、0.25mmol)、4’−heptylbiphenyl−4−ylboronic acid(0.29g、1mmol)、Pd(PPh3)4 in 1M Na2CO3(5ml)、toluene(30ml)1H NMR(400mHz、CDCl3): δ 8.30(s、Ar−H、4H)、8.12(s、Ar−H、2H)、7.77(s、Ar−H、16H)、7.64(d、Ar−H、8H)、7.31(d、Ar−H、8H)、0.90(t、J=6.8、−CH3、12H)HRMS(FAB)Calcd for C92H98 :1202.7669、Found :1202.7628 上記で得られた1H NMRチャートを、図8に示す。 上記で得られた光物性を、図9および下記の表3に示す。実施例4(化合物D) 合成法スキームを、下記の式(19)に示す。1、3、6、8−tetrakis(6−n−hexyloxy−2−naphtyl)pyrene(D)化合物2の鈴木カップリングと同様の操作によって目的化合物を得た(30mg、11 %)。使用した試薬は、1、3、6、8−tetrabromopyrene(0.13g、0.25mmol)、6−hexyloxynapthtyl−2−bronic acid(0.27g、1mmol)、Pd(PPh3)4 in 1M Na2CO3(5ml)、toluene(30ml)1H NMR(400mHz、CDCl3): δ 8.26(s、Ar−H、4H)、8.20(s、Ar−H、2H)、8.08(s、Ar−H、4H)、7.79−7.90(m、Ar−H、12H)、7.20−7.28(m、Ar−H、4H)、4.13(t、J=6.6、O−CH2−、4H)、0.93(t、J=6.6、−CH3、6H)ppm、13C NMR(100mHz、CDCl3): δ 141.60、141.37、137.39、136.35、133.86、129.57、129.38、129.26、128.99、126.62、119.55、106.71、103.65、68.22、31.64、29.28、25.82、22.61、14.00 ppm 上記で得られた1H−NMRチャートを図10に、13C−NMRチャートを図11に示す。HRMS(FAB)Calcd for C80H82O4 :1106.6213、 Found :1106.6213 上記で得られた光物性を、図12および下記の表4に示す。 下記の一般式(1)によって示される、9、10位にアリール基を有するアントラセン誘導体。(式中、Arは、一般式(2)〜(14)からなる群から選ばれるいずれかのアリール基であり;該Ar1およびAr2は全て同じでも、それらの一部が異なっていてもよい)。(一般式(2)〜(14)中、R1〜R3は、炭素数1〜18の直鎖または分岐状のアルキル基、ベンジル基またはフェニル基およびそれらの炭化水素置換基を有する誘導体、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基、水素。更に、フッ化アルキル官能基を含むアルキル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基である;該R1〜R3は、全てが同じでも、一部が異なっていてもよい)。 下記一般式(15)によって示される、1、3、6、8−アリール基を有するピレン誘導体。(式中、Ar1〜Ar4は、下記一般式(2)〜(14)からなる群から選ばれるいずれかのアリール基であり;該Ar1〜Ar4は全て同じでも、それらの一部が異なっていてもよい)。(一般式(2)〜(14)中、R1〜R3は、炭素数1〜18の直鎖または分岐状のアルキル基、ベンジル基またはフェニル基およびそれらの炭化水素置換基を有する誘導体、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基、水素。更に、フッ化アルキル官能基を含むアルキル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、芳香族エステル基、アルキレンエーテル基である;該R1〜R3は、全てが同じでも、一部が異なっていてもよい)。 少なくとも請求項1に記載のアントラセン誘導体とマトリックスを含む複合体に、波長300〜450nmの帯域を含む励起光で照射して、蛍光を発生させる方法であって; 該蛍光を発生するアントラセン誘導体のモル吸光係数(ε)が5000L・M−1・cm−1以上となる波長を励起光に用いて、該蛍光量子収率(Φ)が0.8以上の発光効率を与えることを特徴とする蛍光発生方法。 少なくとも請求項2に記載のピレン誘導体とマトリックスを含む複合体に、波長300〜450nmの帯域を含む励起光で照射して、蛍光を発生させる方法であって; 該蛍光を発生するピレン誘導体のモル吸光係数(ε)が5000L・M−1・cm−1以上となる波長を励起光に用いて、該蛍光量子収率(Φ)が0.8以上の発光効率を与えることを特徴とする蛍光発生方法。 少なくとも請求項1に記載のアントラセン誘導体とマトリックスを含む複合体と、 該複合体を励起光で照射するための光照射手段と、 該複合体から放出された光を増幅する増幅手段とを少なくとも含むことを特徴とするレーザ発生装置。 前記レーザ発生において、該蛍光を発生するアントラセン誘導体のモル吸光係数(ε)が5000L・M−1・cm−1以上となる波長を励起光に用いて、該蛍光量子収率(Φ)が0.8以上である請求項5に記載のレーザ発生装置。 少なくとも請求項2に記載のピレン誘導体とマトリックスを含む複合体と、 該複合体を励起光で照射するための光照射手段と、 該複合体から放出された光を増幅する増幅手段とを少なくとも含むことを特徴とするレーザ発生装置。 前記レーザ発生において、該蛍光を発生するピレン誘導体のモル吸光係数(ε)が10000L・M−1・cm−1以上となる波長を励起光に用いて、該蛍光量子収率(Φ)が0.8以上である請求項7に記載のレーザ発生装置。 【課題】光照射に対する耐久性に優れ、高効率で発光する有機レーザ用色素を提供する。【解決手段】高安定性(対・酸化反応、ラジカル反応、光反応等)、高効率発光(高吸光度、高量子効率)でポリマーや液晶溶媒に高濃度で分散させることのできる蛍光色素。具体的には、ピレンの酸化されやすい4点およびアントラセンの2点にアリール基を導入し、該アリール基には溶解性の長鎖アルキル基を導入した化合物。これらの色素は、特に低い閾値で発振する有機レーザおよびその連続発振を指向している。【選択図】図3