生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_Fe3+を含む酸性溶液中のヨウ素定量法
出願番号:2009245771
年次:2011
IPC分類:G01N 27/416,C01B 7/14,G01N 31/00


特許情報キャッシュ

真鍋 学 JP 2011089970 公開特許公報(A) 20110506 2009245771 20091026 Fe3+を含む酸性溶液中のヨウ素定量法 JX日鉱日石金属株式会社 502362758 真鍋 学 G01N 27/416 20060101AFI20110408BHJP C01B 7/14 20060101ALI20110408BHJP G01N 31/00 20060101ALN20110408BHJP JPG01N27/46 351KC01B7/14 ZG01N31/00 Q 2 1 OL 7 2G042 2G042AA01 2G042BA10 2G042BB18 2G042CB03 2G042DA10 2G042EA07 2G042FA01 2G042FB02 2G042GA04 本発明はFe3+を含む酸性溶液中のヨウ素定量法に関する。金属の鉱石からの回収方法の一つに、リーチングと呼ばれる酸による金属の浸出法が知られているが、黄銅鉱を主体とする硫化銅鉱の鉱酸による常温での銅のリーチングは困難であることが知られている。しかしながら、発明者はヨウ素またはヨウ化物イオンとFe3+を添加することにより、黄銅鉱を主体とする硫化銅鉱からの銅の浸出を著しく促進させる方法を確立した。(特願2008-189258号、特願2009-193197号)。一方、ヨウ素は比較的高価な試薬であり、また気化や金属イオンと沈殿を形成するなどして逸損し易い。また、鉱石からの金属の浸出は、鉱石を採取した鉱山現地で実施されることが多いと想定される。そのため、前記発明などのヨウ素を用いた金属の浸出に際しては、鉱山現地のような環境下でも適用可能なヨウ素濃度の簡便・迅速な定量法の確立は操業管理上非常に重要である。一般に用いられるヨウ素の定量法としては、亜硝酸ナトリウムで酸化してすべて単体ヨウ素とし四塩化炭素やクロロホルムなどの溶媒で抽出後、吸光光度法により定量する方法(非特許文献1)、イオンクロマトグラフィーにより定量する方法、最近では誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)法により定量する方法も知られている。日本工業規格 JIS K0102 (2008) 36.1 p120-122 しかしながら既知の分析法のうち、酸化後四塩化炭素で抽出する方法については、四塩化炭素の有害性が問題となる。またイオンクロマトグラフィーやICP-AESは高価な精密機器や専用の設備が必要であり、簡便な分析法とは言いがたい。 また、鉱石からの金属浸出液には鉄イオンなどの金属イオンが含まれるため、それらの妨害を受けない分析方法が求められる。従って上述のような鉱山での操業において、鉄イオンなどの共存する条件でも、簡便・迅速かつ精度よくヨウ素を定量する方法を講じることが必要である。 本発明はこのような事情に鑑み、実操業レベルで汎用性ある条件でヨウ素精度よく定量する方法に関する。本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、非還元性の酸性多座配位子の存在下、亜鉛粉末でヨウ素を還元後、イオン電極法で測定すると、簡便かつ精度の高い定量が可能であることを解明した。本発明はかかる知見により完成されたものである。 すなわち、本発明は以下の発明を包含する。(1) Fe3+を含む酸性溶液中のヨウ素を分析するに際し、前処理として亜鉛粉末でヨウ素を還元してイオン電極法で定量する方法。(2) 定量に際して溶液の液性を安定させるため非還元性の酸性キレート剤を添加する(1)に記載の方法。 以上に示したように本発明によれば、(1)Fe3+を含有する溶液でも特に専門的な装置を使用せずにヨウ素とヨウ化物イオンを迅速に定量する事が出来る。(2)山間部等の僻地であって、アルゴンガス等を使用できない場所において、有効に使用される。 以下本発明に関して、詳細に述べる。 本発明の対象はFe3+が共存する酸性水溶液に含まれるヨウ素とヨウ化物イオンの定量方法であり、高価な機器を必要とせず、精度よく迅速に定量することが可能である。また有害な試薬を使用しないため負荷が小さい。 Fe3+とヨウ素が水溶液中で共存する場合式1に示す平衡が存在すると考えられる。2I− + 2Fe3+ ⇔ I2 + 2Fe2+ 式1 ヨウ素は形態ごとにその性質は異なり、幾つかの形態で混在する試料の定量では全ヨウ素を分析するにはICP−AES法が知られるが高価な装置が必要となり、またJISで規定されているような溶媒抽出、吸光光度分析法によるヨウ素の定量法では単体ヨウ素のみ定量されるため予めpHを調整して酸化剤を添加し全てのヨウ素を単体ヨウ素にしておく必要がある。単体ヨウ素に酸化したのち溶剤により抽出して定量する場合は、抽出に使用される四塩化炭素やクロロホルムは有毒な溶剤として知られる。溶剤としてトルエンなどの利用も検討したが、ヨウ素のガス化による逸損や抽出率のバラツキに起因する精度の問題があり、操作には熟練と前処理時間が必要とされ、実操業における迅速定量には不向きであった。この点を考慮すると安定なヨウ化物イオンとして比較的操作が簡便なイオン電極法で全ヨウ素濃度を定量することが望ましい。その際には、ヨウ素を還元する還元剤、妨害となるFe3+をFe2+に還元する還元剤、鉄イオン(Fe2+とFe3+)を安定化する試薬が必要となり、またこれらの試薬はヨウ素選択性イオン電極で定量する時に妨害物質になりえない(強い還元性を持たない)ことが必須の条件となる。そこで本発明者が検討の結果、還元剤として亜鉛粉末を用いることでヨウ素とFe3+をそれぞれヨウ化物イオンとFe2+に還元し、これを濾別することで未反応亜鉛粉末と還元後液を分離してイオン選択性電極による定量を可能とすることができることがわかった。また亜鉛粉末は還元剤として作用する一方、系内のH+を消費しpHの上昇を引き起こすことから鉄イオン(Fe2+とFe3+)を不安定化するが、予め酸性キレート剤としてクエン酸を添加しておくことにより、沈殿の生成や溶存酸素によるFe2+の再酸化をふせぐことが出来る。その他の還元剤として亜硫酸水の使用も検討したが、亜鉛粉末と比較し定量結果は不安定であった。また、一般的な還元剤であるチオ硫酸ナトリウムは、ヨウ化物選択性電極による測定を妨害することが知られており、その使用は適切ではない。なおクエン酸は還元性を持たずヨウ化物イオンとの選択性も大きくイオン選択電極定量法において妨害成分にはなり得ない。同様に還元性を持たない多座キレート剤、例えば酒石酸、エチレンジアミン4酢酸等は溶液安定化試薬として使用可能である。還元したサンプルは適当な量に規正されヨウ素選択性イオン電極で電極電位を測定し、横軸を濃度の対数値、縦軸を電極電位に設定した検量線法で定量される。(分析用試料の調整)分析用試料としては100mg/Lヨウ素イオンを添加した浸出前液による黄銅鉱を含む鉱石のカラム浸出実験で生じた浸出後液(pH2、Cu2+200mg/L、Fe3+5g/L)を使用した。(実施例1)実験に用いた試薬類は和光純薬工業社製の特級試薬とし、ヨウ化物イオン選択電極と電位計は東亜電波工業社製HM−25Rとした。分析用試料を70mL正確に測り取り、ビーカーに移した。クエン酸10g/Lを5mL添加し亜鉛粉末を加えて攪拌し溶液の色が黄色からほとんど無色になりFe3+がFe2+に還元された事を確認した。無色にならない場合はさらに亜鉛粉末を添加して攪拌した。 未反応の亜鉛粉末を5Cのろ紙で分離し、溶液を100mLに規正した。同じ試料について7回同じ操作を行った。本実施例の操作フローを図1に示す。ヨウ化カリウム濃度0.01g/L、0.1 g/L、0.5g/L、1g/Lに調整した水溶液を検量線用液としヨウ化物イオン選択電極で前処理を終えた試料の電位を測定し、図2に示すように、横軸にヨウ化カリウム(KI)濃度の対数値、縦軸に電位をプロットして試料中のヨウ素濃度を決定した。上記の分析用試料の調整したものを上記検量線により、測定した結果、7回共に、118mg/Lであった。(比較例1) 吸光光度法との比較比較として分析用試料を300mL正確に測り取り、分液ロートに移した。pHを濃硫酸で1.8以下に調整して次亜塩素酸ナトリウム溶液を1mL添加して攪拌した。さらにトルエンを50mL注ぎよく振とうした。振とう後しばらく静置し有機相と水相が分相した後に有機相を硫酸ナトリウムで脱水した。実施例と同じ試料について7回同じ操作を行った。単体ヨウ素濃度0、10、50、100mg/lに調整したトルエン溶液を検量線用液とし、厚さ10mmの石英セルを用いて各トルエン溶液の498nmの吸光度を測定した。横軸にKI濃度、縦軸に吸光度を図3のように、プロットして有機相中のヨウ素濃度を決定し、この値から試料の濃度を決定した。実施例と比較例の繰り返し分析結果を表1に示す。実施例は再現性よく分析できていることがわかり、所要時間は双方ともほとんど差異はなかった。(比較例2) 還元剤の比較比較として還元剤に亜硫酸水を用いて定量を行った。実施例と比較例2の繰り返し分析結果を表2に示すこの結果、還元剤は、亜鉛粉末とした場合のほうが安定した分析値を得ることができることが判った。本発明の一態様である処理フロートを示す。本発明の一態様であるヨウ素濃度(ヨウ化カリウム濃度)と電極電位の関係を示す。比較例として、使用した吸光光度法のヨウ素濃度と吸光度の関係を示す。Fe3+を含む溶液中のヨウ素の定量に際し、酸性キレート剤を添加し、亜鉛粉末を添加してヨウ素を還元した後、余剰の亜鉛粉末を濾別した溶液中のヨウ化物イオン濃度をイオン電極を用いて測定することを特徴とする、溶液中の全ヨウ素の定量方法。酸性キレート剤としてクエン酸を用いる請求項1に記載の方法。 【課題】 湿式精錬法において浸出にヨウ素を使用した場合において、Fe3+を含む溶液中のヨウ素濃度を簡便・迅速かつ正確に定量する方法を提供する。【解決手段】 Fe3+を含む溶液中のヨウ素の定量に際し、前処理として酸性キレート剤を添加した後に亜鉛粉末を添加して還元し、余剰の亜鉛粉末を濾別後、ヨウ素選択性イオン電極によりヨウ化物イオン濃度を測定することにより、溶液中の全ヨウ素を定量する。【選択図】図1


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