生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤
出願番号:2009238800
年次:2011
IPC分類:A61K 31/55,A61K 9/48,A61K 47/14,A61K 47/10,A61K 47/34,A61K 47/22,A61K 47/18,A61K 47/02,A61P 11/06,A61P 37/08


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高橋 雅人 後藤 正浩 遠藤 隆浩 吉野 愛 JP 2011084521 公開特許公報(A) 20110428 2009238800 20091016 アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤 東洋カプセル株式会社 000222200 赤岡 迪夫 100060368 赤岡 和夫 100124648 高橋 雅人 後藤 正浩 遠藤 隆浩 吉野 愛 A61K 31/55 20060101AFI20110401BHJP A61K 9/48 20060101ALI20110401BHJP A61K 47/14 20060101ALI20110401BHJP A61K 47/10 20060101ALI20110401BHJP A61K 47/34 20060101ALI20110401BHJP A61K 47/22 20060101ALI20110401BHJP A61K 47/18 20060101ALI20110401BHJP A61K 47/02 20060101ALI20110401BHJP A61P 11/06 20060101ALN20110401BHJP A61P 37/08 20060101ALN20110401BHJP JPA61K31/55A61K9/48A61K47/14A61K47/10A61K47/34A61K47/22A61K47/18A61K47/02A61P11/06A61P37/08 8 1 OL 10 4C076 4C086 4C076AA55 4C076BB01 4C076CC03 4C076CC15 4C076DD07E 4C076DD07F 4C076DD24Q 4C076DD24S 4C076DD37Q 4C076DD37S 4C076DD38E 4C076DD38F 4C076DD46E 4C076DD46F 4C076DD47E 4C076DD47F 4C076DD53Q 4C076DD53S 4C076DD59Q 4C076DD59S 4C076EE23E 4C076EE23F 4C076FF12 4C076FF15 4C076FF16 4C076FF43 4C076FF51 4C076FF63 4C076GG16 4C076GG45 4C076GG46 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC41 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA17 4C086MA37 4C086MA52 4C086NA02 4C086NA03 4C086NA11 4C086ZA59 4C086ZB13 本発明は、アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤、詳しくは充填液中のアゼラスチン塩酸塩の安定性および水分散性が改良されたカプセル剤に関する。 アゼラスチン塩酸塩は、喘息を含むアレルギー性疾患の治療薬として長年使用されており、セルフメディケーションにおいても有用性の高い一般用医薬品抗アレルギー薬として販売されている。経口投与用の製剤としては1錠中アゼラスチン塩酸塩0.5mgを含有する錠剤が市販されている。しかしながら錠剤、特に小型の錠剤において含量均一性を確保することは容易でない。この点はアゼラスチン塩酸塩の溶液を充填したカプセル剤として提供すれば克服される。アゼラスチン塩酸塩の溶液を用いてカプセル剤とした場合、アゼラスチン塩酸塩が経時的に安定であること、アゼラスチン塩酸塩を溶かした液状成分がカプセル剤皮に作用してカプセルの崩壊性に悪影響しないこと、およびアゼラスチン塩酸塩として水への分散性が良好であることが求められる。 アゼラスチン塩酸塩の溶液を充填したカプセル剤に関する先行技術として特許文献1がある。ここではアゼラスチン塩酸塩をポリエチレングリコールに溶解し、軟カプセルに充填している。この先行技術は含量均一性の確保を目的としており、アゼラスチン塩酸塩の経時安定性やカプセル剤皮の崩壊性は考慮されていない。特開平5−229947号公報 以上に鑑み、本発明の課題は、含量均一性が確保されていることは勿論のこと、アゼラスチン塩酸塩の経時安定性および水への分散性が高く、カプセル剤皮の崩壊性が悪影響されない、アゼラスチン塩酸塩溶液を充填したカプセル剤を提供することである。 本発明により、前記課題は抗酸化剤を添加したアゼラスチン塩酸塩溶液を充填したカプセル剤の提供によって解決される。 第一の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩はプロピレングリコール脂肪酸エステルおよび非イオン界面活性剤と、任意にプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールと中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む混合液に溶解される。この場合の抗酸化剤はプロピレングリコール脂肪酸エステルに可溶な抗酸化剤である。 第二の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩は、プロピレングリコールと、クエン酸トリエチルと、中鎖脂肪酸トリグリセリドと、非イオン界面活性剤の混合液へ溶解される。この場合の抗酸化剤はプロピレングリコールに可溶な抗酸化剤、例えばエデト酸ナトリウムである。 第三の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩は、少割合の水を含むポリエチレングリコールへ溶解される。この場合、水溶性の抗酸化剤、例えば亜硫酸ナトリウムが添加される。 アゼラスチン塩酸塩は水およびプロピレングリコールには良く溶ける。しかしながらこれらはカプセル剤皮を溶解または膨潤させるため単独ではカプセル充填用アゼラスチン塩酸塩の溶媒として使用することはできない。アゼラスチン塩酸塩が良く溶ける医薬品添加用に許容される他の溶媒としては、ポリエチレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタンおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルがある。このうちプロピレングリコール脂肪酸エステルは親水性が低く、単独では水分散性が求められるカプセル充填用アゼラスチン塩酸塩の溶媒としては不適切である。しかしながら非イオン界面活性剤と組合せて使用すれば水分散性を付与することが可能になる。好ましい非イオン界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリソルベート80を含む。溶媒としての役割も兼ねてセスキオレイン酸ソルビタンでもよい。 任意の成分としてプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールを含んでもよい。これらは水分散性を高める。溶液の粘度を調節するための中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでも良い。 この場合アゼラスチン塩酸塩の溶液へ添加される抗酸化剤は、プロピレングリコール脂肪酸エステルに可溶な抗酸化剤である。好ましいこのタイプの抗酸化剤の例は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、d−α−トコフェロールおよびトコフェロール酢酸エステルのようなトコフェロールおよびそのエステルである。 配合割合は、重量基準でアゼラスチン塩酸塩1部に対してプロピレングリコール脂肪酸エステル20〜200部、非イオン界面活性剤20〜100部の割合が好ましい。任意の成分は合計して100部までである。抗酸化剤は0.1〜10部の割合が好ましい。 他の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩はプロピレングリコールと、クエン酸トリエチルと、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび非イオン界面活性剤の混合液へ溶解される。この場合は非イオン界面活性剤および中鎖脂肪酸トリグリセリドの割合をプロピレングリコールより多くし、重量基準でアゼラスチン塩酸塩1部に対し、非イオン界面活性剤および中鎖脂肪酸トリグリセリドそれぞれ20〜200部、プロピレングリコールとクエン酸トリエチルの合計が10〜80部が好ましい。抗酸化剤はこの場合プロピレングリコールに可溶な抗酸化剤、例えばエデト酸ナトリウムであり、その割合は先の具体例と同じでよい。 さらなる好ましい具体例においては、アゼラスチン塩酸塩は少割合の水を含むポリエチレングリコールに溶解される。この場合水溶性の抗酸化剤、例えば亜硫酸ナトリウムが添加される。 常温で液状のポリエチレングリコール、例えばマクロゴール200、マクロゴール400などが使用される。含水率は1%以下が好ましい。アゼラスチン塩酸塩はポリエチレングリコールに良く溶けるので、この具体例は小型のカプセル剤に適しており、重量基準でアゼラスチン塩酸塩1部に対し、50〜150部の含水ポリエチレングリコールの割合でよい。 本発明のカプセル剤は、軟カプセル剤であっても硬カプセル剤であってもよい。軟カプセル剤は、常法により、本発明の医薬組成物をゼラチン等の軟カプセル用の皮膜に充填することにより製造することができ、また硬カプセル剤は、液体充てんの常法により、本発明の医薬組成物をゼラチン等の硬カプセルに封入することにより製造することができる。試験例1 アゼラスチン塩酸塩20mgを精密に量り、表1に示す各種溶解剤約4gを精密に量り加えた後、30分超音波処理し、試験開始時試料とした。同様に調製した試料をガラス瓶に封入し密栓して、50℃75%RHの環境で2週間保管し、保管後試料とした。試験開始時及び保管後の試料のアゼラスチン塩酸塩の含量をHPLCにより測定し、アゼラスチン塩酸塩の残存率を求めた。結果 アゼラスチン塩酸塩と一般的な各種溶解剤の配合変化は表1のとおりとなった。プロピレングリコール、精製水に溶解したものは溶解性・残存率共に優れており、アゼラスチン塩酸塩の溶液状組成物としては有用性がある。しかし、プロピレングリコール及び精製水は、カプセル剤皮成分を溶解させてしまうため、本発明では利用が制限される。また、本発明で目的とするのは医薬組成物であり、吸収性を考慮した場合、水中への溶解性が確保されることが望ましい。そのため、親水性の低いプロピレングリコール脂肪酸エステルを単独で使用することは、本来の目的から逸し、他の界面活性剤の使用が必須条件となる。試験例2 表2に示す処方により、50℃4週間の保存試験を行ったところ、抗酸化剤を添加した試料はアゼラスチン塩酸塩の残存率が良好となった。試験例3 表3に示す処方について、崩壊性に与える影響を観察した。カプセル剤皮は、一般的な組成で直径10mmのシート状に作製した。カプセル剤皮を処方液中に漬込んだ状態で保管し、試料とした。崩壊性の観察は、日本薬局方崩壊試験に準じた。その結果、抗酸化剤を添加した試料はカプセル剤皮の不溶化が抑制された。試験例4 表3に示した処方2とアゼラスチン塩酸塩含有の市販製剤について、溶出試験を実施した。具体的には、検体1個をとり、試験液に薄めたMcIlvaine緩衝液(pH4.0)900mLを用い、パドル法により、毎分50回転で試験を行った。規定時間で溶出液10mLをとり、HPLCにより、製剤単位中に含まれるアゼラスチン塩酸塩の表示含有量に対する溶出率を算出した。その結果、処方2はいずれの市販製剤と比較して速やかにアゼラスチン塩酸塩が溶出し、かつ良好な溶出性が得られた。結果を表4及び図1に示す。 以下に実施例として処方例を挙げる。各処方においてアゼラスチンと溶解剤及び抗酸化剤は常法に従って溶解混合し溶液状医薬組成物得た。さらに該医薬組成物を常法により充填して、軟カプセル剤を製造した。表3の処方2による本発明のカプセル剤と、市販のアゼラスチン塩酸塩製剤(錠剤)の溶出試験の結果を比較したグラフ。 抗酸化剤を添加したアゼラスチン塩酸塩溶液を充填してなるカプセル剤。 プロピレングリコール脂肪酸エステルおよび非イオン界面活性剤と、任意にプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールと中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む混合液に溶解した、アゼラスチン塩酸塩および抗酸化剤の溶液を充填してなるカプセル剤。 抗酸化剤がプロピレングリコール脂肪酸エステルに可溶である請求項2のカプセル剤。 抗酸化剤はジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、またはトコフェノールもしくはそのエステルである請求項3のカプセル剤。 プロピレングリコールと、クエン酸トリエチルと、中鎖脂肪酸トリグリセリドと、非イオン界面活性剤の混合液へアゼラスチン塩酸塩を溶解し、抗酸化剤を添加した溶液を充填してなるカプセル剤。 抗酸化剤がエデト酸ナトリウムである請求項5のカプセル剤。 少割合の水を含むポリエチレングリコールへ溶解したアゼラスチン塩酸塩および水溶性抗酸化剤の溶液を充填してなるカプセル剤。 抗酸化剤が亜硫酸ナトリウムである請求項7のカプセル剤。 【課題】カプセル製剤中のアゼラスチン塩酸塩の含量均一性が確保され、充填液中のアゼラスチン塩酸塩の経時安定性および水分散性が改良されたアゼラスチン塩酸塩含有カプセル製剤を提供する。【解決手段】アゼラスチン塩酸塩の溶液へ抗酸化剤を添加し、常法によりカプセルに充填してなるカプセル剤。抗酸化剤はジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、またはトコフェノールもしくはそのエステル、またはエデト酸ナトリウム、あるいは亜硫酸ナトリウムである該カプセル剤。【選択図】図1


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特許公報(B2)_アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤
出願番号:2009238800
年次:2014
IPC分類:A61K 31/55,A61K 9/66,A61K 47/14,A61K 47/10,A61K 47/34,A61K 47/22,A61P 11/06,A61P 37/08


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高橋 雅人 後藤 正浩 遠藤 隆浩 吉野 愛 JP 5503939 特許公報(B2) 20140320 2009238800 20091016 アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤 東洋カプセル株式会社 000222200 赤岡 迪夫 100060368 赤岡 和夫 100124648 高橋 雅人 後藤 正浩 遠藤 隆浩 吉野 愛 20140528 A61K 31/55 20060101AFI20140501BHJP A61K 9/66 20060101ALI20140501BHJP A61K 47/14 20060101ALI20140501BHJP A61K 47/10 20060101ALI20140501BHJP A61K 47/34 20060101ALI20140501BHJP A61K 47/22 20060101ALI20140501BHJP A61P 11/06 20060101ALI20140501BHJP A61P 37/08 20060101ALI20140501BHJP JPA61K31/55A61K9/66A61K47/14A61K47/10A61K47/34A61K47/22A61P11/06A61P37/08 A61K 9/00− 9/72 A61K31/00−33/44 A61K47/00−47/48 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特表2008−521812(JP,A) 特開平08−099869(JP,A) 特表2005−538102(JP,A) 特開平05−229947(JP,A) 特開2003−055254(JP,A) 特開平07−196483(JP,A) 特開2005−075804(JP,A) 特開平09−077663(JP,A) 特表2007−536257(JP,A) 3 2011084521 20110428 9 20120507 辰己 雅夫 本発明は、アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤、詳しくは充填液中のアゼラスチン塩酸塩の安定性および水分散性が改良されたカプセル剤に関する。 アゼラスチン塩酸塩は、喘息を含むアレルギー性疾患の治療薬として長年使用されており、セルフメディケーションにおいても有用性の高い一般用医薬品抗アレルギー薬として販売されている。経口投与用の製剤としては1錠中アゼラスチン塩酸塩0.5mgを含有する錠剤が市販されている。しかしながら錠剤、特に小型の錠剤において含量均一性を確保することは容易でない。この点はアゼラスチン塩酸塩の溶液を充填したカプセル剤として提供すれば克服される。アゼラスチン塩酸塩の溶液を用いてカプセル剤とした場合、アゼラスチン塩酸塩が経時的に安定であること、アゼラスチン塩酸塩を溶かした液状成分がカプセル剤皮に作用してカプセルの崩壊性に悪影響しないこと、およびアゼラスチン塩酸塩として水への分散性が良好であることが求められる。 アゼラスチン塩酸塩の溶液を充填したカプセル剤に関する先行技術として特許文献1がある。ここではアゼラスチン塩酸塩をポリエチレングリコールに溶解し、軟カプセルに充填している。この先行技術は含量均一性の確保を目的としており、アゼラスチン塩酸塩の経時安定性やカプセル剤皮の崩壊性は考慮されていない。特開平5−229947号公報 以上に鑑み、本発明の課題は、含量均一性が確保されていることは勿論のこと、アゼラスチン塩酸塩の経時安定性および水への分散性が高く、カプセル剤皮の崩壊性が悪影響されない、アゼラスチン塩酸塩溶液を充填したカプセル剤を提供することである。 本発明により、前記課題は抗酸化剤を添加したアゼラスチン塩酸塩溶液を充填したカプセル剤の提供によって解決される。 第一の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩はプロピレングリコール脂肪酸エステルおよび非イオン界面活性剤と、任意にプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールと中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む混合液に溶解される。この場合の抗酸化剤はプロピレングリコール脂肪酸エステルに可溶な抗酸化剤である。 第二の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩は、プロピレングリコールと、クエン酸トリエチルと、中鎖脂肪酸トリグリセリドと、非イオン界面活性剤の混合液へ溶解される。この場合の抗酸化剤はプロピレングリコールに可溶な抗酸化剤、例えばエデト酸ナトリウムである。 第三の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩は、少割合の水を含むポリエチレングリコールへ溶解される。この場合、水溶性の抗酸化剤、例えば亜硫酸ナトリウムが添加される。 アゼラスチン塩酸塩は水およびプロピレングリコールには良く溶ける。しかしながらこれらはカプセル剤皮を溶解または膨潤させるため単独ではカプセル充填用アゼラスチン塩酸塩の溶媒として使用することはできない。アゼラスチン塩酸塩が良く溶ける医薬品添加用に許容される他の溶媒としては、ポリエチレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタンおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルがある。このうちプロピレングリコール脂肪酸エステルは親水性が低く、単独では水分散性が求められるカプセル充填用アゼラスチン塩酸塩の溶媒としては不適切である。しかしながら非イオン界面活性剤と組合せて使用すれば水分散性を付与することが可能になる。好ましい非イオン界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリソルベート80を含む。溶媒としての役割も兼ねてセスキオレイン酸ソルビタンでもよい。 任意の成分としてプロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコールを含んでもよい。これらは水分散性を高める。溶液の粘度を調節するための中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでも良い。 この場合アゼラスチン塩酸塩の溶液へ添加される抗酸化剤は、プロピレングリコール脂肪酸エステルに可溶な抗酸化剤である。好ましいこのタイプの抗酸化剤の例は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、d−α−トコフェロールおよびトコフェロール酢酸エステルのようなトコフェロールおよびそのエステルである。 配合割合は、重量基準でアゼラスチン塩酸塩1部に対してプロピレングリコール脂肪酸エステル20〜200部、非イオン界面活性剤20〜100部の割合が好ましい。任意の成分は合計して100部までである。抗酸化剤は0.1〜10部の割合が好ましい。 他の好ましい実施態様によれば、アゼラスチン塩酸塩はプロピレングリコールと、クエン酸トリエチルと、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよび非イオン界面活性剤の混合液へ溶解される。この場合は非イオン界面活性剤および中鎖脂肪酸トリグリセリドの割合をプロピレングリコールより多くし、重量基準でアゼラスチン塩酸塩1部に対し、非イオン界面活性剤および中鎖脂肪酸トリグリセリドそれぞれ20〜200部、プロピレングリコールとクエン酸トリエチルの合計が10〜80部が好ましい。抗酸化剤はこの場合プロピレングリコールに可溶な抗酸化剤、例えばエデト酸ナトリウムであり、その割合は先の具体例と同じでよい。 さらなる好ましい具体例においては、アゼラスチン塩酸塩は少割合の水を含むポリエチレングリコールに溶解される。この場合水溶性の抗酸化剤、例えば亜硫酸ナトリウムが添加される。 常温で液状のポリエチレングリコール、例えばマクロゴール200、マクロゴール400などが使用される。含水率は1%以下が好ましい。アゼラスチン塩酸塩はポリエチレングリコールに良く溶けるので、この具体例は小型のカプセル剤に適しており、重量基準でアゼラスチン塩酸塩1部に対し、50〜150部の含水ポリエチレングリコールの割合でよい。 本発明のカプセル剤は、軟カプセル剤であっても硬カプセル剤であってもよい。軟カプセル剤は、常法により、本発明の医薬組成物をゼラチン等の軟カプセル用の皮膜に充填することにより製造することができ、また硬カプセル剤は、液体充てんの常法により、本発明の医薬組成物をゼラチン等の硬カプセルに封入することにより製造することができる。試験例1 アゼラスチン塩酸塩20mgを精密に量り、表1に示す各種溶解剤約4gを精密に量り加えた後、30分超音波処理し、試験開始時試料とした。同様に調製した試料をガラス瓶に封入し密栓して、50℃75%RHの環境で2週間保管し、保管後試料とした。試験開始時及び保管後の試料のアゼラスチン塩酸塩の含量をHPLCにより測定し、アゼラスチン塩酸塩の残存率を求めた。結果 アゼラスチン塩酸塩と一般的な各種溶解剤の配合変化は表1のとおりとなった。プロピレングリコール、精製水に溶解したものは溶解性・残存率共に優れており、アゼラスチン塩酸塩の溶液状組成物としては有用性がある。しかし、プロピレングリコール及び精製水は、カプセル剤皮成分を溶解させてしまうため、本発明では利用が制限される。また、本発明で目的とするのは医薬組成物であり、吸収性を考慮した場合、水中への溶解性が確保されることが望ましい。そのため、親水性の低いプロピレングリコール脂肪酸エステルを単独で使用することは、本来の目的から逸し、他の界面活性剤の使用が必須条件となる。試験例2 表2に示す処方により、50℃4週間の保存試験を行ったところ、抗酸化剤を添加した試料はアゼラスチン塩酸塩の残存率が良好となった。試験例3 表3に示す処方について、崩壊性に与える影響を観察した。カプセル剤皮は、一般的な組成で直径10mmのシート状に作製した。カプセル剤皮を処方液中に漬込んだ状態で保管し、試料とした。崩壊性の観察は、日本薬局方崩壊試験に準じた。その結果、抗酸化剤を添加した試料はカプセル剤皮の不溶化が抑制された。試験例4 表3に示した処方2とアゼラスチン塩酸塩含有の市販製剤について、溶出試験を実施した。具体的には、検体1個をとり、試験液に薄めたMcIlvaine緩衝液(pH4.0)900mLを用い、パドル法により、毎分50回転で試験を行った。規定時間で溶出液10mLをとり、HPLCにより、製剤単位中に含まれるアゼラスチン塩酸塩の表示含有量に対する溶出率を算出した。その結果、処方2はいずれの市販製剤と比較して速やかにアゼラスチン塩酸塩が溶出し、かつ良好な溶出性が得られた。結果を表4及び図1に示す。 以下に実施例として処方例を挙げる。各処方においてアゼラスチンと溶解剤及び抗酸化剤は常法に従って溶解混合し溶液状医薬組成物得た。さらに該医薬組成物を常法により充填して、軟カプセル剤を製造した。表3の処方2による本発明のカプセル剤と、市販のアゼラスチン塩酸塩製剤(錠剤)の溶出試験の結果を比較したグラフ。 少なくともプロピレングリコール脂肪酸エステルと他の非イオン界面活性剤を含む混合液に溶解した、アゼラスチン塩酸塩および抗酸化剤の溶液を充填してなるカプセル剤であって、抗酸化剤がジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、またはトコフェロールもしくはそのエステルから選ばれることを特徴とするカプセル剤。 他の非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルまたはポリソルベート80から選ばれる請求項1のカプセル剤。 前記アゼラスチン塩酸塩および抗酸化剤の溶液は、さらにプロピレングリコール、ポリエチレングルコールまたは中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでいる請求項1または2のカプセル剤。


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