タイトル: | 公開特許公報(A)_ビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法 |
出願番号: | 2009220583 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C08G 8/00,C08G 59/62,C08G 8/10,C07C 39/16,C07C 37/20,C07B 61/00 |
谷 洋一郎 山崎 哲也 JP 2011068760 公開特許公報(A) 20110407 2009220583 20090925 ビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法 DIC株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 谷 洋一郎 山崎 哲也 C08G 8/00 20060101AFI20110311BHJP C08G 59/62 20060101ALI20110311BHJP C08G 8/10 20060101ALI20110311BHJP C07C 39/16 20060101ALI20110311BHJP C07C 37/20 20060101ALI20110311BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110311BHJP JPC08G8/00 FC08G59/62C08G8/10C07C39/16C07C37/20C07B61/00 300 6 OL 14 4H006 4H039 4J033 4J036 4H006AA02 4H006AC41 4H006BA66 4H006BB31 4H006BC51 4H006BC52 4H006FE13 4H039CA11 4H039CL25 4J033CA02 4J033CA11 4J033CB29 4J033CC03 4J033CC08 4J033CD03 4J033CD05 4J033CD08 4J033HA12 4J033HB03 4J033HB06 4J036AA01 4J036AF06 4J036AF07 4J036AF15 4J036AF19 4J036FB07 4J036JA07 4J036JA08 本発明は、本発明は高純度のビスフェノールFとハンドリングや耐熱性等の物性のバランスに優れるノボラック型フェノール樹脂を併産方法に関する。 ビスフェノールFはエポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂の原料として用いられている。ビスフェノールFは、フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とを反応させて得られる。例えば、フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とを反応モル比〔(P)/(F)〕で、25〜50とフェノール過剰下で反応させ、その後170〜220℃で蒸留を行い、未反応のフェノールを除去することにより得られる。 通常、ビスフェノールFには、主成分である2核体(4,4´−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,4´−ジヒドロキシジフェニルメタン及び2,2´−ジヒドロキシジフェニルメタン)の他に、フェノールとホルムアルデヒドが重縮合した3〜5核体(以下、多核体と称する)が含まれており、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析によると、上記方法で得られるビスフェノールFには多核体が10面積%程度含まれている。このように多核体を多く含むビスフェノールFは一般グレード(汎用グレード)と呼ばれ、汎用ビスフェノールFを原料として得られたエポキシ樹脂は多核体由来の分岐成分の存在により変形追随に不利であるため、硬化塗膜がかた脆くなる欠点を有する。また、エポキシ樹脂を製造する際も多核体の存在が鎖伸張方向への分子量延伸を困難とさせるため、製造可能な分子量に制限が出る。その為、特に固形エポキシ樹脂が適用される用途においては、原料として多核体の含有量が少ない高純度のビスフェノールFが求められている。 また、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂は積層板用途や半導体封止材用途、耐火材用途などの熱硬化性樹脂組成物の硬化剤として利用される。ノボラック型フェノール樹脂は、通常、フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とを、前記ビスフェノールFを製造する際の反応モル比とは異なるモル比、例えば、〔(P)/(F)〕で、1〜2となるように反応させて得られる。このような反応比率で得られるノボラック型フェノール樹脂の平均核体数は通常4〜5であり、GPC分析による2核体含量は10〜30面積%である。 熱硬化性樹脂組成物の硬化剤に使用されるノボラック型フェノール樹脂には、低粘度で、流動性、含浸性に優れる性能も要求される。低粘度で、流動性、含浸性に優れるノボラック型フェノール樹脂は、例えば、反応モル比〔(P)/(F)〕を5/2とすると、反応生成物として低分子量のノボラック型フェノール樹脂となり、これは低溶融粘度を有する。しかし、架橋反応に寄与しない2核体を多く含有しているため、硬化反応の際には強度の不足の問題が起きる。 更に、近年、コスト削減の為、反応モル比が大きく異なるものの、原料が共通するビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂とを同時に製造(併産)する試みがなされている。ビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂の併産する手段として、例えば、酸触媒の存在下、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、得られた反応生成物から酸触媒、水及び未反応のフェノールを除去して粗ビスフェノールFを得る調製工程と、該粗ビスフェノールFを薄膜蒸留によって、留出物として2核体含量が95重量%以上である高純度ビスフェノールFを得、缶出物として2核体含量が15面積%以下であるノボラック型フェノール樹脂を得る蒸留工程を含む併産方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。 しかしながら、前記特許文献1で開示された方法では、99.6等の高純度のビスフェノールFが得られるものの、得られるビスフェノール型ノボラック樹脂は粘度が高く、流動性、含浸性が十分でない。加えて、耐熱性も十分でない。特開平6−128183号公報(第2頁、第12頁) 本発明の課題は、高純度のビスフェノールFと、流動性、含侵性等ハンドリングに優れ、耐熱性にも優れるビスフェノール型ノボラック樹脂とを併産できる製造方法を提供することである。 本発明者らは鋭意検討を行った結果、フェノールとビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物を得た後、該混合物に対して薄膜蒸留及びスチーム蒸留を行った後、更に、薄膜伝面熱媒温度が210〜250℃、蒸留機出口圧力が0.1〜3mmHgに保たれた薄膜蒸留器による蒸留を行うことで、二核体純度97%以上の高純度のビスフェノールFが得られること、併産されるノボラック型フェノール樹脂は粘度が1dPas以下と低く容易に溶解しハンドリングが良好なこと、得られる硬化物の耐熱性が良好なこと等を見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、酸触媒の存在下、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールとビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得る第一工程、 混合物(1)に対して薄膜蒸留を行った後、更にスチーム蒸留を行い、該混合物から未反応のフェノールを除去しビスフノェールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(2)を得る第二工程、および 薄膜伝面熱媒温度が200〜250℃、蒸留機出口圧力が0.1〜3mmHgに保たれた薄膜蒸留器へ混合物(2)を該薄膜の伝面1cm2あたり8〜20g/hrの供給量となるように供給し蒸留することにより、混合物(2)から留出物としてビスフェノールFを得、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂とを得る第三工程を含有することを特徴とする、ビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法。 また、本発明は、前記併産方法により得られたノボラック型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供するものである。 更に、本発明は、前記硬化性樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物を提供するものである。 本発明の併産方法は高純度のビスフェノールFと低粘度でハンドリングに優れるビスフェノール型フェノール樹脂を提供できる。更に、本発明の併産方法で得られるビスフェノール型フェノール樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、耐熱性に優れる硬化物を得る事ができる。 本発明を以下に詳細に説明する。本発明の第一工程は、酸触媒の存在下、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールとビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得る工程である。第一工程では、化学量論的に過剰のフェノールとホルムアルデヒドとを反応機に装入する。具体的には、例えば、攪拌機、温度調節装置、還流冷却器等を備えた反応機に、フェノール、ホルムアルデヒド及び酸触媒を装入し、攪拌下、所定温度において、所定時間反応させる。 本発明で用いるフェノールとしては、フェノールの他に例えばクレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどのアルキルフェノール類や、その(o−、m−、p−)位置置換体、(n−、sec−、tert−などの)置換基構造異性体を使用することも出来る。中でも、ホリマリンとの反応性、蒸留回収の容易さから、フェノールが好ましい。フェノールは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。 ホルムアルデヒドとしては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、トリオキサン及び環状ホルマール等が挙げられる。中でもホルマリンが好ましく、42重量%までの濃度のホルマリン水溶液を使用することができ、更に37〜42重量%の濃度のホルマリン水溶液がより好ましい。ホルムアルデヒドは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。 本発明の第一工程にてフェノール(P)とホルムアルデヒド(F)との反応モル比〔(P)/(F)は通常3以上、好ましくは3〜75であり、さらに好ましくは5〜40である。 本発明の第一工程にて工程1において使用する酸触媒は、陽イオン交換樹脂のような固体酸触媒の固定床であっても良いし、塩酸、硫酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸及び無機酸であっても良い。反応温度、反応時間は用いる触媒の種類、量または反応モル比〔(P)/(F)〕等により異なるが、反応温度は通常50〜110℃である。反応時間は通常0.5〜10時間である。第一工程で混合物(1)を得た後、必要に応じて触媒の分解と生成水の除去を行うことができる。触媒の分解と生成水の除去は、例えば、反応終了後に得られる混合物(1)を170〜200℃で1〜5時間維持することにより行うことができ、必要に応じて該温度を保持したまた200mmHg以下の減圧を行っても良い。 第一工程で得られる混合物(1)は、前記〔(P)/(F)〕を30とした場合、GPC分析による含有量は、例えば、ビスフェノールFを含むフェノール樹脂混合物30〜50面積%、未反応のフェノール50〜70面積%となる。 第二工程では、第一工程で得られた混合物(1)に対して薄膜蒸留を行った後にスチーム蒸留を行う。薄膜蒸留装置には該蒸発器からの蒸発ガスの一部を凝縮させた凝縮液を該蒸発器に戻すことができる分縮器を備えていても良い。また、薄膜蒸留装置は複数基繋いで用いても良い。複数基の蒸発器を用いる場合には各蒸発器は、分縮器を備えたものであっても良いし、分縮器を備えないものであっても良いが、少なくとも最終段に用いる蒸発器は分縮器を備えたものであることが好ましい。 第二工程は、第一工程終了後すぐに行っても良いし、第一工程終了後、混合物を例えば、別の槽に2〜10バッチ程度貯めた後、行っても良い。 薄膜蒸留を行う際の薄膜伝面熱媒温度は、150〜200℃がフェノールの揮発性とフェノール樹脂が分解しにくいこと好ましく、170〜190℃がより好ましい。また、薄膜蒸留器は蒸留機出口圧力は10〜50mmHg保たれることがフェノールの揮発性が良好となることから好ましく、20〜40mmHgに保たれた薄膜蒸留器がより好ましい。更に、薄膜蒸留器へ混合物(1)を供給する際には、薄膜蒸留器の薄膜の伝面1m2あたり100〜400kg/hrとなるように供給するのが効率的にフェノールを揮発(除去)できることから好ましく、200〜320kg/hrがより好ましい。 本発明において、ゲルパーエーションクロマトグラフィー(GPC)は、下記の条件に従った。 測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8120GPC カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN HXL−H +東ソー株式会社製 TSK−GEL G5000HXL +東ソー株式会社製 TSK−GEL G4000HXL +東ソー株式会社製 TSK−GEL G3000HXL +東ソー株式会社製 TSK−GEL G2000HXL 検出器 ;RI(示差屈折計) データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII 測定条件 ;カラム温度 40℃ 溶媒 テトラヒドロフラン 流速 1.0ml/分 標準 ;単分散ポリスチレン 試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl) 本発明において、混合物(1)を薄膜蒸留することにより混合物(2)中の未反応フェノールの含有率(面積%)は通常3〜8面積%程度となる。 混合物(1)に対して薄膜蒸留を行い、缶出物を得た後、缶出物に対してスチーム蒸留を行う。スチーム蒸留を行う事により、薄膜蒸留で除去しきれなかった未反応のフェノールを缶出物(ノボラック型フェノール樹脂)から除去できる。スチーム蒸留は減圧、加圧、常圧のいづれの圧力においても行うことができ、系内の圧力によって混合物の温度をコントロールすることができる。 スチーム蒸留は、前記缶出物の温度が150〜200℃になる様、系内の圧力又はスチーム吹き込み量を調整するのが好ましく、缶出物の温度が160〜190℃になる様に系内の圧力又はスチーム吹き込み量を調整するのがより好ましい。スチーム蒸留に要する時間は通常1hr以上であり、好ましくは2〜20hrである。また、スチームの供給量は20〜100kg/hrが好ましい。 尚、第二工程において、スチーム蒸留は薄膜蒸留を行った後すぐに行っても良いし、薄膜蒸留終了後、混合物を例えば、別の槽に2〜10バッチ程度貯めた後、行っても良い。第二工程により回収されたフェノールは、再びビスフェノールF、ノボラック型フェノール樹脂の原料として使用できる。このようにして、第二工程で得られた混合物(2)中のビスフェノールF(2核体)の含有量は、例えば、触媒としてシュウ酸を使用して、フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)との反応モル比〔(P)/(F)〕=5で実施した場合は通常56〜61面積%程度、反応モル比〔(P)/(F)〕=10で実施した場合は通常73〜77面積%程度、そして、反応モル比〔(P)/(F)〕=30で実施した場合は通常88〜92面積%程度となる。 本発明の第三工程において、混合物(2)を薄膜蒸留装置へ供給し、蒸留することにより、混合物(2)から留出物としてビスフェノールFを得、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂とを得る。この薄膜蒸留装置による薄膜蒸留を行う際の条件としては、薄膜伝面熱媒温度が200〜250℃、蒸留機出口圧力が0.1〜3mmHgに保たれた薄膜蒸留器を用い、該薄膜蒸留器に混合物(2)を該薄膜の伝面1cm2あたり8〜20g/hrとなるように供給する。このような条件により混合物(2)を薄膜蒸留装置へ供給し、混合物(2)からビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂とを分離することにより純度の高いビスフェノールFと低粘度でハンドリングが良好で硬化物の耐熱性に優れるノボラック型フェノール樹脂が得られる。 本願発明で得られる前記ノボラック型フェノール樹脂が、ハンドリングが良好で硬化物の耐熱性に優れるノボラック型フェノール樹脂となる理由は定かではないが、本発明の発明者らは、前記ノボラック型フェノール樹脂中に含まれる4核体と2核体(ビスフェノールF)の含有量(GPC分析チャートの面積%)及び4核体と2核体の面積比率によるものと考えている。即ち、本発明では前記第一工程〜第三工程を含むことにより、結果的に得られるノボラック型フェノール樹脂中の4核体の面積%は9〜25%、2核体の面積%は4〜20%、4核体の面積%(4)と2核体の面積%(2)との比〔(4)/(2)は0.4〜2.5となっており、2核体と4核体のバランスがノボラック型フェノール樹脂の性能に大きな影響と及ぼしていると本発明者らは考えている。 本発明者らは、2核体と4核体との含有量のバランスに優れるノボラック型フェノール樹脂は、特に第三工程がポイントであると考えている。第三工程において、薄膜蒸留を行う際の薄膜伝面熱媒温度、薄膜出口圧力及び薄膜の伝面1cm2あたりの供給量を上記の通りにそれぞれ設定する事により、2核体と4核体との含有量を別途あえて調整せずとも2核体と4核体との含有量のバランスに優れる、GPC分析チャートパターンが正規分布に近いノボラック型フェノール樹脂が容易に得られると考えられている。 第三工程において薄膜伝面熱媒温度は200〜250℃が蒸留効率が良好で、且つ、ノボラック型フェノール樹脂の分解を回避できることからより好ましく、205〜240℃がより好ましい。薄膜出口圧力は0.1〜3mmHgが蒸留効率が良好で、且つ、品質の良好な留出物も得られることから好ましく、0.2〜2mmHgがより好ましい。また、第三工程において、薄膜蒸留器に混合物(2)を該薄膜の伝面1cm2あたり8〜20g/hrとなるように供給するのが、品質の良好な留出物が得られることからから好ましく、10〜18g/hrがより好ましい。 本発明の第三工程で用いる薄膜蒸留器には該蒸留器からの蒸発ガスの一部を凝縮させた凝縮液を該蒸発器に戻すことができる分縮器を備えでいても良い。薄膜蒸留器は複数基用いても良く、複数基の薄膜蒸留器を用いる場合には各蒸留器は、分縮器を備えたものであっても良いし、分縮器を備えないものであっても良いが、少なくとも最終段に用いる蒸留器は分縮器を備えたものであることが好ましい。 第三工程は、具体的には、例えば、薄膜蒸留装置に混合物(2)を連続的に供給し、該蒸留器から発生する蒸発ガスの一部を分縮器を用いて凝縮させ、その凝縮液を該蒸留器に戻しながら蒸留し、該蒸発ガスの他の部分を全縮器を用いて凝縮させ、留出物としてビスフェノールFを製造し、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂を抜き出す。 本発明で得られるビスフェノールFの純度は97重量%以上であり、好ましくは98%以上となる。また、ノボラック型フェノール樹脂は、GPC分析チャートの2核体面積%が4〜20面積%、好ましくは5〜20面積%となる。ノボラック型フェノール樹脂は、GPC分析チャートの4核体面積%が9〜25面積%、好ましくは10〜20面積%となる。そして、ノボラック型フェノール樹脂の4核体と2核体の面積比〔(4)/(2)〕は0.4〜2.5、好ましくは0.5〜2.0となる。 本発明において全縮器を用いる場合、好ましく用いられる全縮器としては、多管式円筒形熱交換器、コイル式熱交換器等が挙げられる。また、分縮器を用いる場合、好ましく用いられる分縮器としては、多管式円筒形熱交換器、コイル式熱交換器等が挙げられる。また、蒸発器から全縮器に至る蒸発ラインを外部から冷却するようなタイプのものでもよい。 第三工程終了後、蒸留缶から缶出物としてノボラック型フェノール樹脂を抜き出し、大気中で放冷するか、または強制的に冷却する等して40℃以下程度に冷却し、好ましくは粉砕して粉砕状のノボラック型フェノール樹脂とすることができる。粉砕する方法には特に制限がなく、例えば、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機が好ましく用いられる。 また、留出物として得たビスフェノールFは保温することにより液体のまま製品としてもよいし、別途設置された造粒工程に送り造粒し、粒状の製品としてもよい。また、冷却固化後に粉砕により塊状にしてもよい。 本発明で得られるノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は通常400〜470である。数平均分子量(Mn)は通常340〜450である。そして、分子量分布を示すパラメーターである(Mw)/(Mn)は、1.04〜1.20程度となり、分子量分布が狭いものが得られる。 また、本発明で得られるノボラック型フェノール樹脂は必要に応じてそれ自身を原料とみなし、前出ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトンケトン等のケトン類と公知のフェノールノボラック樹脂合成法に従い反応させ、分子量を高めた樹脂を得ても良い。 更に、必要に応じて本発明で得る二核体純度の高いビスフェノールFはフェノールノボラック樹脂任意に混ぜて使用することも出来る。 本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の方法で得られたノボラック型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを含有する。前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール類をノボラック化後エポキシ化を行ったエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。 本発明の硬化物は本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる。硬化は例えば、溶融均一混合後に熱プレス成型、注型後加熱などにより得ることができる。 次に、実施例、比較例を用いて本発明を具体的に説明する。例中「部」とあるのは、特にことわりがない限り重量部を表すものとする。また、得られるノボラック型フェノール樹脂の分子量分布、各核体の面積比は下記GPCによる分析により決定した。 測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8120GPC カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN HXL−H +東ソー株式会社製 TSK−GEL G5000HXL +東ソー株式会社製 TSK−GEL G4000HXL +東ソー株式会社製 TSK−GEL G3000HXL +東ソー株式会社製 TSK−GEL G2000HXL 検出器 ;RI(示差屈折計) データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII 測定条件 ;カラム温度 40℃ 溶媒 テトラヒドロフラン 流速 1.0ml/分 標準 ;単分散ポリスチレン 試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl) また、ノボラック型フェノール樹脂の粘度測定は東亜工業株式会社製 溶融回転粘度計CV−1Sを用い、測定温度は150℃である。ノボラック型フェノール樹脂の軟化点はメイホー社製環球式軟化点測定装置ASP−M4SPを用い、昇温は3℃/分である。 実施例1 攪拌機、熱電対、環流冷却機、窒素導入管を有したステンレス製フラスコ1を窒素雰囲気に置換後、フラスコ1にフェノール1880g(20モル)、41.5%ホルマリン145g(2モル)及び蒸留水にて20%に希釈した蓚酸4.2gを仕込み、攪拌しながら液温を100℃まで1時間かけて昇温した。液温が100℃に到達した後、更に100℃にて2時間反応を行い、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールと水とビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得た。混合物(1)の液温をその後170℃に昇温し、150mmHgの減圧下30分保持し、留分(反応水とフェノール)を槽1に受けた。その後混合物(1)は窒素導入管、ジャケット付きの槽2へ移送した。 槽2へ混合物(1)を移送後、空となったステンレス製フラスコ1を用いて、前記と同様にフェノールとホルムアルデヒドとの反応を計5回行い、留分はすべて槽1へ、混合物(1)はすべて槽2へ移送した。槽2では窒素雰囲気下、混合物(1)の液温を170℃に維持した。 次に、5バッチ分の混合物(1)を槽2から薄膜蒸留器へ連続的に供給し、フェノール留分を分離した。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面の温度:190℃、薄膜伝面の圧力:25mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり27g/hrである。留分は全て槽1へ、残分は全て窒素導入管、ジャケット付きの槽3へ移送した。 次に槽3中の液を、攪拌機、熱電対、環流冷却機、スチーム吹き込み装置、減圧装置を有したステンレス製フラスコ2へ移送しスチーム蒸留を行い、未反応のフェノールを除去したビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(2)を得た。スチーム蒸留の条件は、液温:170℃、フラスコ内の圧力:50mmHg、スチーム供給量:1時間あたり10Kgのスチームを3時間である。スチーム供給停止後170℃、50mmHgの条件で2時間保持した後、混合物(2)を窒素導入管、ジャケット付きの槽4へ移送した。 混合物(2)を槽4から薄膜蒸留器へ連続的に供給し、蒸留により留出物としてビスフェノールFを1432g、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂452gをそれぞれ得た。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面熱媒温度:215℃、蒸留器出口の圧力:0.7mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり15g/hrである。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFの純度は98面積%であった。ノボラック型フェノール樹脂中の2核体の割合は13面積%、3核体の割合は62面積%、4核体の割合は18面積%であり、(4核体)/(2核体)面積比=1.4であった。ノボラック型フェノール樹脂の粘度は0.3dPa・s、軟化点は58℃であった。このノボラック型フェノール樹脂を(PN1)とする。 実施例2 攪拌機、熱電対、環流冷却機、窒素導入管を有したステンレス製フラスコ1を窒素雰囲気に置換後、フラスコ1にフェノール1880g(20モル)、41.5%ホルマリン48g(0.67モル)及び蒸留水にて20%に希釈した蓚酸4.2gを仕込み、攪拌しながら液温を100℃まで1時間かけて昇温した。液温が100℃に到達した後、更に100℃にて2時間反応を行い、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールと水とビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得た。混合物(1)の液温をその後170℃に昇温し、150mmHgの減圧下30分保持し、留分(反応水とフェノール)を槽1に受けた。その後混合物(1)は窒素導入管、ジャケット付きの槽2へ移送した。 槽2へ混合物(1)を移送後、空となったステンレス製フラスコ1を用いて、前記と同様にフェノールとホルムアルデヒドとの反応を計5回行い、留分はすべて槽1へ、混合物(1)はすべて槽2へ移送した。槽2では窒素雰囲気下、混合物(1)の液温を170℃に維持した。 次に、5バッチ分の混合物(1)を槽2から薄膜蒸留器へ連続的に供給し、フェノール留分を分離した。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面の温度:190℃、薄膜伝面の圧力:25mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり27g/hrである。留分は全て槽1へ、残分は全て窒素導入管、ジャケット付きの槽3へ移送した。 次に槽3中の液を、攪拌機、熱電対、環流冷却機、スチーム吹き込み装置、減圧装置を有したステンレス製フラスコ2へ移送しスチーム蒸留を行い、未反応のフェノールを除去したビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(2)を得た。スチーム蒸留の条件は、液温:170℃、フラスコ内の圧力:50mmHg、スチーム供給量:1時間あたり10Kgのスチームを3時間である。スチーム供給停止後170℃、50mmHgの条件で2時間保持した後、混合物(2)を窒素導入管、ジャケット付きの槽4へ移送した。 混合物(2)を槽4から薄膜蒸留器へ連続的に供給し、蒸留により留出物としてビスフェノールFを586g、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂73gをそれぞれ得た。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面熱媒温度:225℃、蒸留器出口の圧力:0.3mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり15g/hrである。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFの純度は99面積%であった。ノボラック型フェノール樹脂中の2核体の割合は6面積%、3核体の割合は83面積%、4核体の割合は11面積%であり、(4核体)/(2核体)面積比=1.8であった。ノボラック型フェノール樹脂の粘度は0.1dPa・s、軟化点は56℃であった。このノボラック型フェノール樹脂を(PN2)とする。 実施例3 第三工程の薄膜蒸留工程における薄膜伝面熱媒温度を210℃に変更する以外は、実施例2と同様に処理し、留出物としてビスフェノールFを575g、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂82gをそれぞれ得た。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFの純度は99面積%であった。ノボラック型フェノール樹脂中の2核体の割合は12面積%、3核体の割合は77面積%、4核体の割合は10面積%であり、(4核体)/(2核体)面積比=0.8であった。ノボラック型フェノール樹脂の粘度は0.1dPa・s、軟化点は56℃であった。このノボラック型フェノール樹脂を(PN3)とする。 実施例4 攪拌機、熱電対、環流冷却機、窒素導入管を有したステンレス製フラスコ1を窒素雰囲気に置換後、フラスコ1にフェノール1692g(18モル)、41.5%ホルマリン260g(3.6モル)及び蒸留水にて20%に希釈した蓚酸4.2gを仕込み、攪拌しながら液温を100℃まで1時間かけて昇温した。液温が100℃に到達した後、更に100℃にて2時間反応を行い、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールと水とビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得た。混合物(1)の液温をその後170℃に昇温し、150mmHgの減圧下30分保持し、留分(反応水とフェノール)を槽1に受けた。その後混合物(1)は窒素導入管、ジャケット付きの槽2へ移送した。 槽2へ混合物(1)を移送後、空となったステンレス製フラスコ1を用いて、前記と同様にフェノールとホルムアルデヒドとの反応を計5回行い、留分はすべて槽1へ、混合物(1)はすべて槽2へ移送した。槽2では窒素雰囲気下、混合物(1)の液温を170℃に維持した。 次に、5バッチ分の混合物(1)を槽2から薄膜蒸留器へ連続的に供給し、フェノール留分を分離した。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面の温度:190℃、薄膜伝面の圧力:25mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり27g/hrである。留分は全て槽1へ、残分は全て窒素導入管、ジャケット付きの槽3へ移送した。 次に槽3中の液を、攪拌機、熱電対、環流冷却機、スチーム吹き込み装置、減圧装置を有したステンレス製フラスコ2へ移送しスチーム蒸留を行い、未反応のフェノールを除去したビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(2)を得た。スチーム蒸留の条件は、液温:170℃、フラスコ内の圧力:50mmHg、スチーム供給量:1時間あたり10Kgのスチームを3時間、である。スチーム供給停止後170℃、50mmHgの条件で2時間保持した後、混合物(2)を窒素導入管、ジャケット付きの槽4へ移送した。 混合物(2)を槽4から薄膜蒸留器へ連続的に供給し、蒸留により留出物としてビスフェノールFを590g、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂67gをそれぞれ得た。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面熱媒温度:210℃、蒸留器出口の圧力:0.3mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1m2あたり15g/hrである。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFの純度は99面積%であった。ノボラック型フェノール樹脂中の2核体の割合は13面積%、3核体の割合は61面積%、4核体の割合は19面積%であり、(4核体)/(2核体)面積比=1.5であった。ノボラック型フェノール樹脂の粘度は0.2dPa・s、軟化点は57℃であった。このノボラック型フェノール樹脂を(PN4)とする。 比較例1 攪拌機、熱電対、環流冷却機、窒素導入管を有したステンレス製フラスコ1を窒素雰囲気に置換後、フラスコ1にフェノール1880g(20モル)、41.5%ホルマリン241g(3.3モル)及び蒸留水にて20%に希釈した蓚酸4.2gを仕込み、攪拌しながら液温を70℃まで0.5時間かけて昇温した。液温が70℃に到達した後、4時間反応を行い、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールと水とビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得た。混合物(1)の液温をその後160℃に昇温したのち、20mmHgの減圧下170℃へ昇温を行った。更に、210℃へ昇温を行った。留出した水、フェノールは槽1に採取し、混合物(1)は窒素導入管、ジャケット付きの槽2へ移送した。 槽2へ混合物(1)を移送後、温度250℃、3mmHgの条件で充填材蒸留塔を使用することによって、留出物としてビスフェノールFを440g、間出物としてノボラック型フェノール樹脂148g得た。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFの純度は97面積%であった。ノボラック型フェノール樹脂中の2核体の割合は5面積%、3核体の割合は60面積%、4核体の割合は30面積%であり、(4核体)/(2核体)面積比=6.0であった。ノボラック型フェノール樹脂の粘度は0.4dPa・s、軟化点は64℃であった。このノボラック型フェノール樹脂を(pn1)とする。 比較例2 第三工程の薄膜蒸留工程において、薄膜蒸留器へ混合物(2)の供給量を薄膜の伝面1cm2あたり25g/hrに変更する以外は、実施例2と同様に処理し、留出物としてビスフェノールFを494g、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂160gをそれぞれ得た。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFの純度は99面積%であったものの、ノボラック型フェノール樹脂中の2核体の割合は31面積%も含まれ、3核体の割合は58面積%、4核体の割合は10面積%であり、(4核体)/(2核体)面積比=0.3であった。ノボラック型フェノール樹脂の粘度は0.1dPa・s以下であり、また、タックが著しく軟化点は測定不能であった。このノボラック型フェノール樹脂を(pn2)とする。 比較例3 第三工程の薄膜蒸留工程において、薄膜伝面熱媒温度:280℃、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり12g/hrに変更する以外は、実施例1と同様に処理し、留出物としてビスフェノールFを1430g、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂450gをそれぞれ得た。このとき、蒸留機出口の圧力は1〜2mmHgの間で安定しなかった。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFの純度は95面積%であり、分解生成したと思われるフェノール成分が4%含まれていた。また、ノボラック型フェノール樹脂は着色が著しいものが得られ、粘度は0.8dPa・s以下、軟化点は65℃であった。このノボラック型フェノール樹脂を(pn3)とする。 比較例4 槽4からの蒸留において、蒸留器出口の圧力:5mmHgに変更した以外は実施例2とと同様に処理したが、留出物は殆ど得ることが出来ず、缶出物のみを650g得た。 比較例5 攪拌機、熱電対、環流冷却機、窒素導入管を有したステンレス製フラスコ1を窒素雰囲気に置換後、フラスコ1にフェノール1880g(20モル)、41.5%ホルマリン48g(0.67モル)及び蒸留水にて20%に希釈した蓚酸4.2gを仕込み、攪拌しながら液温を100℃まで1時間かけて昇温した。液温が100℃に到達した後、更に100℃にて2時間反応を行い、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールと水とビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得た。混合物(1)の液温をその後170℃に昇温し、150mmHgの減圧下30分保持し、留分(反応水とフェノール)を槽1に受けた。その後混合物(1)は窒素導入管、ジャケット付きの槽2へ移送した。 槽2へ混合物(1)を移送後、空となったステンレス製フラスコ1を用いて、前記と同様にフェノールとホルムアルデヒドとの反応を計5回行い、留分はすべて槽1へ、混合物(1)はすべて槽2へ移送した。槽2では窒素雰囲気下、混合物(1)の液温を170℃に維持した。 次に、5バッチ分の混合物(1)を槽2から薄膜蒸留器へ連続的に供給し、フェノール留分を分離した。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面の温度:190℃、薄膜伝面の圧力:25mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり27g/hrである。留分は全て槽1へ、残分は全て窒素導入管、ジャケット付きの槽3へ移送した。 次に槽3中の液を、薄膜蒸留器へ連続的に供給し、蒸留により留出物としてビスフェノールFを573g、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂83gをそれぞれ得た。薄膜蒸留器による蒸留の条件は薄膜伝面熱媒温度:225℃、蒸留器出口の圧力:0.6mmHg、薄膜蒸留器への供給量:薄膜の伝面1cm2あたり15g/hrである。 GPCによる分析の結果、得られたビスフェノールFは、殆ど着色は認めなれないものの、二核体純度は95面積%であり、除去し切れていなかったと考えられるフェノールの存在が確認された。ノボラック型フェノール樹脂中の2核体の割合は10面積%、3核体の割合は70面積%、4核体の割合は11面積%であり、(4核体)/(2核体)面積比=1.1であった。ノボラック型フェノール樹脂の粘度は0.1dPa・s、軟化点は56℃であった。このノボラック型フェノール樹脂を(pn5)とする。 得られたノボラック型フェノール樹脂(PN1)〜(pn3)を用いて取り扱い性の評価及び得られる硬化物の評価を行った。評価方法を下記に、評価結果を第1表に示す。 <取り扱い易さの評価> ノボラック型フェノール樹脂255gと、エピクロンN−665−EXP−S[o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量202g/eq、軟化点72℃、DIC(株)製]500gとを、攪拌機、熱伝対、環流冷却機、窒素導入管を有したステンレス製フラスコに仕込み、窒素雰囲気下120℃において溶融混合を行い、完全に均一溶融となる時間を測定した。時間が短いほど、混合時間が短縮できるため、工業的に成型物をえる作業性上、取り扱い易い。比較として、公知の方法で製造されるフェノール樹脂PHENOLITE TD−2131[軟化点80℃、DIC(株)製]を使用した。 <耐熱性の評価> 上記混練物に、触媒としてトリフェニルフォスフィン(TPP)5gを添加し2分間混合後、速やかに内容物をテフロン(登録商標)パンへ取り出し、冷却後固形物をハンマーで粉砕した。粉砕物を3mm厚の型枠にセットし、熱プレス機にて150℃×10分間処理した後に175℃×5時間処理することによって、均一厚の成型物に成型し、SIIテクノロジー社製 TMA/SS6100を使用し、硬化物Tgの測定を行った。 本発明で得られたノボラック型フェノール樹脂(PN1)〜(PN4)は、実用に供与できる耐熱性を有しつつハンドリングが優れる材料であることを見出した。一方、比較例で得たノボラックフェノール樹脂は、溶融時間が速いもののタックを有するためハンドリングが悪く、硬化物の耐熱性も不十分であることを確認した。酸触媒の存在下、フェノールとホルムアルデヒドとを反応させ、フェノールとビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得る第一工程、 混合物(1)に対して薄膜蒸留を行った後、更にスチーム蒸留を行い、該混合物から未反応のフェノールを除去しビスフノェールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(2)を得る第二工程、および 薄膜伝面熱媒温度が200〜250℃、蒸留機出口圧力が0.1〜3mmHgに保たれた薄膜蒸留器へ混合物(2)を該薄膜の伝面1cm2あたり8〜20g/hrの供給量となるように供給し蒸留することにより、混合物(2)から留出物としてビスフェノールFを得、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂とを得る第三工程を含有することを特徴とする、ビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法。前記第三工程が薄膜伝面熱媒温度205〜240℃、蒸留機出口圧力が0.1〜3mmHgに保たれた薄膜蒸留器へ混合物(2)を該薄膜の伝面1cm2あたり8〜20g/hrの供給量となるように供給する工程である請求項1記載のビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法。前記第一工程が、蓚酸存在下、フェノールとホルムアルデヒドとをモル比で、(フェノール)/(ホルムアルデヒド)=3〜75となる範囲で反応させる請求項1記載のビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法。前記第二工程の薄膜蒸留を薄膜伝面熱媒温度が150〜200℃で、蒸留機出口圧力が10〜70mmHgで、薄膜の伝面1cm2あたり10〜40g/hrの供給量となるように供給することにより缶出物を得、その後、該缶出物の温度が150〜200℃で、スチームの供給量が2〜10kg/hrとなるようにスチーム蒸留を行う請求項1記載のビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法。請求項1〜4のいずれか1項記載の併産方法により得られたノボラック型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。請求項5記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。 【課題】高純度のビスフェノールFとハンドリングや耐熱性等の物性のバランスに優れるノボラック型フェノール樹脂を併産方法を提供する。【解決手段】フェノールとビスフェノールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(1)を得る第一工程、 混合物(1)に対して薄膜蒸留とスチーム蒸留を行い、ビスフノェールFとノボラック型フェノール樹脂との混合物(2)を得る第二工程、および 薄膜伝面熱媒温度が200〜250℃、蒸留機出口圧力が0.1〜3mmHgに保たれた薄膜蒸留器へ混合物(2)を該薄膜の伝面1cm2あたり8〜20g/hrの供給量となるように供給し蒸留することにより、混合物(2)から留出物としてビスフェノールFを得、缶出物としてノボラック型フェノール樹脂とを得る第三工程を含有するビスフェノールF及びノボラック型フェノール樹脂の併産方法。【選択図】なし