生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_特定遺伝子を検出する方法
出願番号:2009219009
年次:2011
IPC分類:C12Q 1/68,C12N 15/09,G01N 37/00


特許情報キャッシュ

木下 健司 JP 2011019505 公開特許公報(A) 20110203 2009219009 20090924 特定遺伝子を検出する方法 学校法人武庫川学院 599125249 深見 久郎 100064746 森田 俊雄 100085132 仲村 義平 100083703 堀井 豊 100096781 酒井 將行 100109162 荒川 伸夫 100111246 佐々木 眞人 100124523 木下 健司 JP 2009018431 20090129 JP 2009142147 20090615 C12Q 1/68 20060101AFI20110107BHJP C12N 15/09 20060101ALI20110107BHJP G01N 37/00 20060101ALI20110107BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 AG01N37/00 102 11 1 OL 50 4B024 4B063 4B024AA11 4B024CA04 4B024CA09 4B024CA20 4B024HA14 4B063QA01 4B063QQ42 4B063QQ52 4B063QR08 4B063QR55 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS34 本発明は、特定遺伝子を検出する方法に関する。より詳細には、生体試料、臨床試料中に特定遺伝子が含まれるか、および、生体試料、食品や臨床試料中に微生物、ウイルスが含まれているか、を特異的に検出できる特定遺伝子を検出する方法に関する。 生物の個体間では、野生型とは異なる塩基配列を有する遺伝子多型(SNP)が存在する。この遺伝子多型は、個体の基礎代謝、性質、疾患などの差異を生じさせることが知られている。したがって、個体のDNAの特定遺伝子において変異が生じているか否かを検査することについて、PCR法などを利用した様々な研究が進められている(たとえば特開2005−245272号公報(特許文献1)を参照)。生物における遺伝子多型を検査することは、将来生じうる疾患などを予測することが臨床的にも重要視されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、PCR法に利用するためのDNAの精製などの操作が煩雑であり、より簡便な方法が求められている。 また生体から少量の血液などを採取し、その血液を直接利用して特定遺伝子を増幅して検出するための簡便なPCR法などが開発されている(たとえば特表2008−531039号公報(特許文献2)を参照)。しかし、特許文献2に記載の方法においては、血液を採取する際に痛みが伴い、血液を輸送する際には低温に保持する必要があり、さらに、PCR法などに使われなかった余った血液などの生体試料の保存および処分には細心の留意を払う必要がある。 また、PCR法などを利用した特開2006−187270号公報(特許文献3)、特開2006−322739号公報(特許文献4)およびKinoshita, K. et al., Nucleic Acids Res. 35:e3 (2007)(非特許文献1)には、ホスホリルコリン基を有する第一単位と電子求引性の置換基がカルボニル基に結合してなるカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質を表面にDNA鎖を固定化した不溶性担体に検出対象遺伝子のDNA断片またはRNA断片を含有する溶液を添加し、該DNA鎖とハイブリダイズさせ、溶液中の遺伝子断片の含有状況を判定することを特徴とする遺伝子の検出方法が開示されている。しかしながら、特許文献3、4などに記載の方法においても、同様にPCR法に利用するためのDNAの精製などの操作が煩雑であり、より簡便な方法が求められている。 生体試料、食品や臨床試料、または環境中などの特定微生物の有無を調べる場合には、従来、被検試料中の微生物を分離培養し、コロニーについて視覚的観察(コロニーの色素反応、コロニー形態など)、顕微鏡観察、グラム染色、生化学的性状の検査などを行っていた。特定微生物の有無が判明するまでに少なくとも2日間を要する。したがって、この方法は、微生物が検出されたとしてとしてもそれに対する対応が遅くなることから、食品メーカーによる食品出荷前の自主検査には採用し難い。そこで、食品衛生検査や臨床検査領域においては、微生物の迅速検出法として、PCR法により各微生物の特異遺伝子を視覚的に捉えられる量まで増幅し、各微生物の存在の有無を判別および定量する試みがなされている。 また、ウイルス病の診断を確実に行うこと、また、未知の流行病を新しいウイルス病として同定することは、当該ウイルス病の地域分布と流行時期を知り、当該疾患に対する予防と治療対策を立てる上で重要なことであることから、簡便に早急に診断することについて研究が進められている。したがって、生体試料から、生体に潜在しているウイルス核酸やmRNAの特定遺伝子としての存在を証明して診断する方法が開発されている。当該方法によると、PCR法(Science,230,1350(1985))やRT−PCR法を利用することによって生体試料中に微量存在するウイルス遺伝子でも高感度に検出できる。しかし、この場合、検査結果の取得に1日以上要する。 また、近年、臨床での応用が期待される薬物代謝関連酵素遺伝子のSNPも多く見出されており、多くの薬物代謝に関与するチトクロームP450(CYP)のファミリーや抗結核薬イソニアジドの代謝に関与するN−acetyltransferase 2(NAT−2)、経口抗凝固剤ワルファリンの効果の強さに大きく影響するCYP2C9とVKORC1などがそれである。これらの遺伝子にその酵素活性を低下させるようなSNPがあると、薬剤の血中濃度が長時間に渡って高く保たれた結果、効果が強く発現したり、有毒な中間代謝産物が蓄積されたりする副作用がある。また、代謝速度の高い遺伝子多型が見出されたならば、薬剤の血中濃度を維持するために投薬量を増やすなどの処置が必要となる。そこで、投薬前にこのような遺伝子のSNPを検査し、その遺伝子の型から判断して適切な薬剤の投薬量を決定するなどして、副作用を回避し、効率的な治療効果を得ようとする医療、すなわち、「テーラーメイド医療」、「オーダメイド医療」、あるいは「個別化医療」と呼ばれている患者個々の体質に応じたより適切な医療の実現が可能となり、無用な副作用への対処や不適切な投薬を減らすことによって医療費削減への効果も期待できる。このように、SNPを利用した診断の実用化と普及が大いに期待されている。 また、ヒトの大腸内には500〜1000種以上、糞便1g当たり1012個近い多種多様な細菌が棲息している。これらの細菌がヒトの栄養、薬効、生理機能、老化、発ガン、免疫、感染などに極めて大きな影響を及ぼすことが培養法により明らかにされてきた。しかしながら、大腸内の環境は複雑な栄養成分および嫌気性であるが故に分離、同定できる菌種に限りがあり、大腸内常在菌の約70〜80%が難分離、難培養性細菌で占められている。そのため、大腸内菌叢の全体像は明らかにされていなかった。1990年代になって分子生物学的手法より環境中の微生物菌叢の解析が行われるようになった。その結果、多数の難分離、難培養性細菌が存在することが系統学的に明らかにされ始めた。16S rRNA遺伝子ライブラリーによりヒト大腸内菌叢の解析を行い、今までに検出されていない細菌由来の16S rRNA遺伝子を検出し、多くの難分離、難培養性細菌の存在を明らかにした。しかしながら、現在行われている遺伝子の分離・精製法では煩雑であり、大腸内常在菌の全体像を理解するには不十分である。さらにどの様な大腸内常在菌が難分離、難培養性であるのか不明瞭であるなどの課題が残されていた。 また現在、核酸の増幅方法は、微量なRNAの検出方法としても活発に利用されている。RNAの検出方法として通常使用されるRT−PCR法は、逆転写酵素を用いてRNAを相補的なDNA(cDNA)に転換した後に、PCR法でcDNAを増幅する方法で、微量のRNAでも定量的に解析できるため、今日最も検出感度の高い解析法の1つとして、RNAを遺伝子として保有しているウイルスの検出、mRNAの定量的検出や塩基配列決定による発現遺伝子の解析、さらにはcDNAのクローニングによる発現産物の解析および生産などには欠かせないものになっている。 RT−PCR法をはじめとしたRNA増幅法は全て酵素反応をベースとしているため、生体試料中に存在する色素、タンパク質、糖類あるいは未知の夾雑物によって反応が強く阻害されることが広く知られている。そこで、RNA増幅に先立って、被験物から細胞、真菌、細菌、ウイルスなどのRNAを包含する試料を分離後、当該試料よりRNAを抽出する過程が必要となる。その方法として、従来、酵素、界面活性剤、カオトロピック剤などにより生体試料を処理し、その後、フェノールあるいはフェノール・クロロホルムなどを用いて、RNAを抽出する方法が従来より使用されている。最近ではRNA抽出の過程において、イオン交換樹脂、ガラスフィルター、ガラスビーズあるいはタンパク凝集作用を有する試薬などが使用されている。特開2005−245272号公報特表2008−531039号公報特開2006−187270号公報特開2006−322739号公報Kinoshita, K. et al., Nucleic Acids Res. 35:e3 (2007) 上述のように、生体試料、臨床試料中に特定遺伝子が含まれるか、および、生体試料、食品や臨床試料中に微生物、ウイルスが含まれているか、を特異的に検出できる特定遺伝子の検出において、さまざまな問題が未だ解決されていない。 そしてさらに、患者から採取した生体試料を対象として、該生体試料中に含まれるウイルス遺伝子の検出を目的としてハイブリダイゼーションが広く行われてきているが、1個の不溶性担体内でウイルス遺伝子を捕捉し、洗浄後、分離した遺伝子を増幅してウイルスを検出する方法は知られていなかった。 また、試料中の微量の核酸を増幅するためにはPCR法が広く普及している。しかしながら、PCR法では試料中に含まれる夾雑物により遺伝子の増幅反応を阻害してしまう場合があるため、上述のように増幅反応の前に分離および精製等の煩雑な前処理を行う必要がある。 特に、上述したようにRNAを増幅させる場合、試料中のRNAの精製を行っても、夾雑物の完全な除去は困難であり、かつ試料中のRNAの回収量が一定しない場合も多く、このため引き続くRNA増幅が、とりわけ試料中の目的とするRNAの含量が少ない場合には、うまくできない場合もある。また、RNAの精製は操作が煩雑で時間を要し、また操作中のコンタミネーションの機会が高い。 さらに、RNAは全ての生体試料中に普遍的に存在するRNA分解酵素(RNase)による分解の危険性に常に曝されており、精製の際に迅速なRNase不活性化の処理を行うべきことはもちろんのこと、精製過程においても、精製後においても、RNaseが混入しないような厳重な操作や管理が要求される。 このような背景から、本発明者は、固形被検試料を採取し、直接固形被検試料に含まれる特定遺伝子を増幅し、簡便かつ短時間に検出できる検査法の開発を行ってきた。また、本発明者は、食品や臨床試料中に含まれる特定の複数の微生物などを選択的、簡単かつ迅速に検出する方法の開発を行ってきた。 したがって、本発明の目的は、被検試料における核酸の分離および精製などの前処理を必要とせず、簡易に高感度で検出し得る特定遺伝子の検出方法を提供することである。 また本発明は特定遺伝子がRNAである場合、核酸合成に対する阻害物質の作用を抑制して、生体試料中のRNAを効率よく増幅させ得る特定遺伝子の検出方法を提供することもその目的とするものである。 本発明者は、上述した課題の解決を目的として種々検討していたところ、生体試料からDNAまたはRNAを抽出する前処理などを行うことなく、より簡便に生体試料中の特定遺伝子の検出を行う方法を開発した。本発明は、かかる知見に基づいて開発されたものである。 つまり、本発明は、特定遺伝子の検出を目的とする固形被検試料を採取する工程と、プレート状またはチューブ状の担体上で、固形被検試料をバッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液、および特定遺伝子を増幅するためのプライマーDNAに直接接触させて、PCR法、LAMP法、SDA法、RT−SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法から選ばれる方法を施して、前記特定遺伝子を増幅する工程と、特定遺伝子の増幅量を検出する工程とを備える特定遺伝子を検出する方法に関する。 また、本発明の方法において、固形被検試料を採取する工程では、毛根、口腔粘膜、細胞組織、皮膚、乾性耳垢および固形食品から選ばれる固形物から直接前記固形被検試料を採取する、または、鼻汁、鼻腔ぬぐい液、眼結膜ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、喀痰、糞便、血液、血清、血漿、髄液、唾液、尿、汗、乳、精液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、湿性耳垢、膣腔ぬぐい液、食品および細胞組織から選ばれる液状物を乾燥させることで前記固形被検試料を採取することが好ましい。 本発明の方法において、前記固形被検試料を採取する工程では、植物の葉、茎、根、果実から選ばれる固形物から直接前記固形被検試料を採取する、または、植物の葉、茎、根、果実から選ばれる固形物を溶解させた後乾燥させることで前記固形被検試料を採取することが好ましい。 また、本発明の方法において、固形被検試料を採取する工程では、糞便を植物繊維体に塗布し、植物繊維体を自然乾燥した後にシリカゲルとともに密閉して1時間以上保持することで固形被検試料を採取することが好ましい。 また、本発明の方法において、RNAを捕捉して逆転写反応によりcDNAを合成し、cDNAを鋳型にしてPCR法により増幅して網羅的に特異的DNAを検出する場合、担体は、ホスホリルコリン基を有する第一単位とカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質で被覆された不溶性担体であり、かつ、表面に特定遺伝子の少なくとも一部と相補的な配列からなるプローブDNAを固定化されてなることが好ましい。 また、本発明の方法において、担体は、複数種のプローブDNAを固定化されてなることが好ましい。 また、本発明の方法において、特定遺伝子の増幅量を検出する工程では、DNAシーケンス法、ゲル電気泳動法、平板状のDNAチップまたはビーズによるハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR法、およびプローブDNAを利用した伸張反応またはハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法のいずれかの方法で特定遺伝子の増幅量を検出することが好ましい。 また、本発明の方法において、特定遺伝子を増幅する工程では、プローブDNAで、固形被検試料の特定遺伝子としてのRNAをハイブリダイゼーションで捕捉し、RT−PCR法にて特定遺伝子を増幅することが好ましい。 また、本発明の方法において、特定遺伝子を増幅する工程では、担体上の液相で特定遺伝子を増幅し、特定遺伝子の増幅量を検出する工程では、同時に複数種のプローブDNAで特定遺伝子を捕捉することが好ましい。 また、本発明の方法において、固形被検試料は、DNAおよびRNAの少なくとも一つを有する生体試料(ウイルスを含む)から得られるものであれば特に限定はされない。 また、本発明においては、プライマーDNAは、18S rRNA遺伝子配列または16S rRNA遺伝子配列を増幅するために選択されることが好ましい。 本発明の方法において、前記固形被検試料は、細胞、真菌、細菌およびウイルスから選ばれるRNAを包含する試料を含むものであり、検出する特定遺伝子がRNAであってもよい。この場合、バッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液が、融解温度調整剤をさらに含むことが、より好ましい。 本発明の方法によると、被検試料における核酸の分離および精製等の前処理を必要とせず、簡易に高感度で検出し得る特定遺伝子の検出をすることができる。実施例1の各工程を示す模式図である。実施例1において、PCR反応液[G]に対して毛根を接触させてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例1において、PCR反応液[A]に対して毛根を接触させてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例2において、PCR反応液[G]およびPCR[A]に対して、乾燥ろ紙血および毛根を接触させてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。担体のプローブDNAの点着部分をCCDカメラで取り込んだ写真である。図5における各スポットの位置を簡単に示した模式図ものである。実施例4においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例5においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例5においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例6においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例6においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例7においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例7においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例7においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例8においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例9においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例11において合成ノロウイルスGI RNAを添加したものについてRT−LAMP法を実施した後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例11において合成ノロウイルスGII RNAを添加したものについてRT−LAMP法を実施した後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例13においてRT−PCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。実施例14においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 本発明の特定遺伝子を検出する方法は、特定遺伝子の検出を目的とする固形被検試料を採取する工程と、プレート状またはチューブ状の担体上で、固形被検試料をバッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液、および特定遺伝子を増幅するためのプライマーDNAに直接接触させて、PCR法、LAMP法、SDA法、RT−SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法から選ばれる方法を施して、特定遺伝子を増幅する工程と、特定遺伝子の増幅量を測定する工程とを備える。 以下、各工程について詳細に説明する。 <固形被検試料を採取する工程> 本工程では、直接固形被検試料を採取する、または、液状物を乾燥することで固形被検試料を採取する。 まず、直接固形被検試料を採取する場合とは、毛根、口腔粘膜、細胞組織、皮膚、乾性耳垢および固形食品から選ばれる固形物を直接以下の工程で用いることを意味する。なお毛根は、毛髪、眉毛、鼻毛、ひげ、陰毛、腋毛を含む全ての体毛由来のものであれば特に限定されない。毛根は、根元から毛を抜くことで得られるため、比較的痛みをともなわない採取が可能であり、口腔粘膜は口中に皮膚を綿棒等で軽くこすることで痛みをともなわず採取することが可能である。また、口腔粘膜は、採取後そのまま室温に置くことで乾燥させた固形状態のものであってもよい。細胞組織、皮膚、乾性耳垢、固形食品については、そのまま用いられる程度に乾燥していることが好ましく、水分含有量は0%以上50%未満であることが特に好ましい。また、細胞組織、固形食品については、細かく粉砕されることが好ましい。本発明方法の対象となる食品は、特に制限されず、麺製品、食肉、魚介類、野菜、穀類、乳製品およびこれらの加工物等の広い範囲の食品を対象にすることができる。細胞組織とは、動物の細胞のほか、植物組織も含むものとする。 次に、液状物を乾燥されることで固形被検試料を採取する場合とは、鼻汁、鼻腔ぬぐい液、眼結膜ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、喀痰、糞便、血液、血清、血漿、髄液、唾液、尿、汗、乳、精液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、湿性耳垢、膣腔ぬぐい液、食品および細胞組織から選ばれる液状物を乾燥させることで得られる固形物を以下の工程で用いることを意味する。ここで、液状物に含まれる食品および細胞組織は、水分含有量が50%以上のものを示すものとする。なお、上述した口腔粘膜も、適宜乾燥させた後に用いてもよい。 ここで、液状物を乾燥させる方法としては、ろ紙に該液体状の試料をしみこませ、水分を蒸発させる方法や、自然乾燥または凍結乾燥など、公知の乾燥方法を選ぶことができる。ただし、糞便由来の固形被検試料を得るためには、糞便を植物繊維体に塗布し、植物繊維体を自然乾燥した後にシリカゲルとともに密閉し1時間以上保持することが好ましい。植物繊維体とは、紙、綿などの植物性の繊維体をいうものとする。 液状物を乾燥させて固形被検試料とすることで、液状物にもともと含まれるプロテアーゼ、アミラーゼおよびヌクレアーゼなどの酵素活性を阻害することができ、生体組織細胞、微生物およびウイルスを完全に死滅させることなく生命活動を休止させることができる。したがって、固形被検試料の輸送、保存等は室温で行うことができ、より簡便となる利点がある。 本発明における固形被検試料は、植物から採取されたものであってもよい。この場合、植物の葉、茎、根、果実から選ばれる固形物から直接、または、植物の葉、茎、根、果実から選ばれる固形物を溶解させた後乾燥させることで、固形被検試料を採取する。 特定遺伝子とは、固形被検試料の遺伝子(DNA、RNA)に含まれる生物種に特異的配列またはその遺伝子多型(SNP)、微生物のユニバーサル領域、またはウイルス由来遺伝子における特異的配列である。特異的配列は、たとえば生物種ごとに公開されている遺伝子配列データベースを検索することで固形被検試料ごとに決定することができる。 特定遺伝子の長さとしては、通常20〜数十万塩基程度まで適用できるが、50〜3000塩基であることが好ましい。検出対象が微生物である場合には、具体的には、特定遺伝子は、16S rRNA遺伝子および18S rRNA遺伝子が挙げられる。これは、広汎な微生物に応用して使用することができるためである。また、23S rRNA遺伝子を応用して使用してもよい。 また、上述のように固形被検試料は、DNAおよびRNAの少なくとも一つを有する生体試料(ウイルスを含む)から得られるものであれば特に限定はされない。 本発明の方法において、前記固形被検試料は、細胞、真菌、細菌およびウイルスから選ばれるRNAを包含する試料を含むものであり、検出する特定遺伝子がRNAであってもよい。この場合、本発明においては、前記試料を反応液に直接添加してRNA増幅反応を行うことにより、当該試料中に存在するRNAを直に増幅させることを特徴の1つとするものである。ここで、「直接添加」とは、「RNA増幅に先立って、試料から細胞、真菌、細菌およびウイルスから選ばれるRNAを包含する試料を分離後、このRNAを包含する試料からRNAを抽出する過程が不要」という意味である。RNAを試料を含む試料が液状である場合には、上述したようにろ紙などに塗布して乾燥後、その一部(パンチ片)を直接反応液に添加すればよい。この場合、試料を反応液に添加しても、反応液を試料に添加してもよく、特に添加の順序は特に制限されるものではない。 <特定遺伝子を増幅する工程> 本工程においては、プレート状またはチューブ状の担体上で、固形被検試料をバッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液、および特定遺伝子を増幅するためのプライマーDNAに直接接触させて、PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification:ループ介在等温増幅)法、SDA(Strand Displacement Amplification:鎖置換増幅)法、RT−SDA(Reverse Transcription Strand Displacement Amplification:逆転写鎖置換増幅)法、RT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction:逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法、RT−LAMP(Reverse Transcription Loop-Mediated Isothermal Amplification:逆転写ループ介在等温増幅)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-Based Amplification:核酸配列に基づいた増幅)法、TMA(Transcription Mediated Amplification:転写介在増幅)法、RCA(Rolling Cycle Amplification:ローリングサイクル増幅)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids:等温遺伝子増幅)法、UCAN法、LCR(Ligase Chain Reaction:リガーゼ連鎖反応)法、LDR(Ligase Detection Reaction:リガーゼ検出反応)法、SMAP(Smart Amplification Process)法、SMAP2(Smart Amplification Process Version 2)法から選ばれる方法を施して、特定遺伝子を増幅する。これらの遺伝子増幅方法は、それ自体公知の方法である。 まず、プレート状またはチューブ状の担体上に試薬を置く。チューブ状の担体である場合には、その内部に試薬を投入し、プレート状の担体である場合には、その表面に試薬を置く。この試薬は、バッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液とプライマーDNAとを含有する。そして試薬と固形被検試料とが直接接触するように担体上に固形被検試料を配置し、公知の方法によってポリメラーゼ連鎖反応、LAMP法、鎖置換増幅、逆転写酵素鎖置換増幅、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応、逆転写LAMP法、核酸配列に基づく増幅、転写媒介性増幅およびローリングサークル型増幅法から選ばれる方法で遺伝子を増幅する。なお、担体上に固形被検試料を置き、その後に担体上に試薬を置いてもよい。 本工程において用いられるDNAポリメラーゼは、Taq DNA ポリメラーゼに代表される、プライマー付加による核酸を合成する耐熱性に優れたポリメラーゼであれば特に制限なく用いることができる。このようなDNAポリメラーゼとしては、たとえばThermus aquaticus由来のTaq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Pyrococcus由来のKOD DNAポリメラーゼ、PfuあるいはPwo DNAポリメラーゼ、あるいは上述したDNAポリメラーゼの少なくともいずれかの混合物などを挙げることができ、中でもKOD DNAポリメラーゼが好ましい。なお、Tth DNAポリメラーゼおよびCarboxydothermus hydrogenoformans 由来のC.therm DNAポリメラーゼはRT活性も有しているため、後述するようにRT−PCRをOne tube−One stepで行うときに、1種類の酵素で賄うことができるという特徴を有している。 バッファーは固形被検試料中に含まれるPCR反応を阻害する物質存在下でもDNA増幅可能なものであれば、特に制限されないが、EzWay(商標)(KOMA Biotechnology)、Ampdirect(登録商標)((株)島津製作所製)、Phusion(登録商標)Blood Direct PCR kitバッファー(New ENGLAND Bio−Labs)、KOD FXバッファー(東洋紡績(株)製)、MasterAmp(登録商標)PCRキット(Epicentre社製)などを用いることが好ましく、KOD DNAポリメラーゼ用に開発されたKOD FXバッファー(東洋紡績(株)製)を用いることが特に好ましい。たとえば実施例で用いられたPCR酵素キットKOD FX(東洋紡績(株)製)には、試料中のPCR阻害成分の反応阻害を除去する効果を有する、1〜2Mのベタインが含まれる。なお、MasterAmp(登録商標)PCRキット(Epicentre社製)には、ベタインが含まれていることが記載されており、KOD FXバッファーと同等の効果が期待できる。 以下、特定遺伝子がRNAである場合に好適な遺伝子増幅方法として用いられるRT−PCR法を行う場合を例に挙げて、具体的に説明する。 逆転写(RT)反応に用いる反応液(RT反応液)は、通常、pH緩衝液、MgCl2、KClなどの塩類、ジチオスレトール(DTT)、プライマー、デオキシリボヌクレオチド類、RNaseインヒビター、逆転写酵素を含むものである。また、上記の塩類は適宜他の塩類に変更して使用されている。RT反応液はまた、通常、ゼラチン、アルブミンなどのタンパク、界面活性剤を含む。 本発明において、特定遺伝子がRNAである場合、バッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液が、融解温度調整剤をさらに含むことが、より好ましい。融解温度調整剤は、DNAポリメラーゼ反応時のプライマーと鋳型DNAとの融解温度(Tm)を調整するためのものであり、このような融解温度調整剤としてベタイン(N,N,N−trimethylglycine)、プロリン、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと省略する)、ホルムアミド、テトラアルキルアンモニウム塩などが一般に利用される。融解温度調整剤を利用することで、オリゴヌクレオチドのアニールを限られた温度条件の下で調整することができる。さらに、ベタインやトラアルキルアンモニウム塩を融解温度調整剤として用いた場合には、そのisostabilize作用によって鎖置換効率の向上にも有効である。 融解温度調整剤としてたとえばベタインを用いる場合、反応液中0.2〜3.0M、好ましくは0.5〜1.5Mの範囲内の添加によって、本発明による核酸増幅反応の促進作用を期待できる。これらの融解温度の調整剤は、融解温度を下げる方向に作用するので、塩濃度や反応温度等のその他の反応条件を考慮して、適切なストリンジェンシー(stringency)と反応性を与える条件を適宜設定することができる。 RT反応に使用する逆転写酵素は、RNAをcDNAに逆転写出来る酵素を意味する。逆転写酵素としては、Rous associated viru(RAV)やAvian myeloblastosis virus(AMV)などのトリのレトロウイルス由来の逆転写酵素、Moloney murine leukemiavirus(MMLV)などのマウスのレトロウイルス(MMLV)由来の逆転写酵素、Thermus thermophilus由来のTth DNAポリメラーゼあるいはCarboxydothermus hydrogenoformans由来のC.therm DNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 RT−PCRはRT反応の産物の一部をPCR反応液に添加して実行すること(Two tube−Two step)、RT反応の産物にPCR用試薬類を添加して実行すること(One tube−Two step)、あるいは予めRT−PCRに必要な全ての試薬を準備しておき、RT反応とPCRを連続して実行すること(One tube−One step)も可能である。 RT−PCRにおいて、RT反応に引き続き行われるPCRの反応液は、通常、pH緩衝液、MgCl2、KClなどの塩類、プライマー、デオキシリボヌクレオチド類を含むものである。また、上記の塩類は適宜他の塩類に変更して使用されている。また、ゼラチン、アルブミンなどのタンパク、ジメチルスルホキシド、界面活性剤、さらに上述した融解温度調整剤であるジメチルスルホキシド、ベタインなどが添加される場合がある。 RT−PCRにおいて、添加剤として、たとえば、1mL中に2.7M ベタイン、6.7mM DTT、6.7% DMSO、55μg/mL BSAを含有する溶液を調整し、適宜、濃度調整して添加するようにしてもよい。また、上述した市販品であるMasterAmp(登録商標)Enhancer(登録商標)(with betaine)(ME81201、Epicentre社製)を添加しても同等の効果を得ることができる。 本発明における特定遺伝子を増幅する工程に用いられるDNAプライマーは、特定遺伝子を決定した時点で、適宜公知の方法で設計することができる。またたとえば、検出対象の微生物に特異的な特定遺伝子に対応するプライマーセットと、広汎なウイルスまたは微生物のDNAに対応するプライマーセットを用いることができる。具体的には、特定遺伝子は、16S rRNA遺伝子および18S rRNA遺伝子、23S rRNA遺伝子が挙げられる。 本発明においてPCR法に用いるプライマーDNAは、前記特定遺伝子を特異的に増幅することができるものであれば特に制限されない。検出対象が微生物である場合に、具体的には、23S rRNA遺伝子に対応するプライマーとしては、配列番号1、2および3に示すプライマーセット(Journal of Clinical Microbiology,42 1048−1057(2004))が挙げられる。また、16S rRNA遺伝子に対応するプライマーとしては、配列番号4および5に示すプライマー(MicroSeq500)セット、配列番号6および7に示すプライマーセット(Journal of Clinical Microbiology,32:335−351(1994)、Journal of Clinical Microbiology,43:3390−33397(2005)、 Journal of Molecular Diagnostics,7:575581−33397(2005))、および配列番号8および9に示すプライマーセット(Experimental Biology and Medicine 230:587−591(2005))が挙げられる。・配列番号1:5’−GACAGCCAGGATGTTGGCTTAGAAGCAGC−3’(43a2)・配列番号2:5’−GGAATTTCGCTACCTTAGGACCGTTATAGTTACG−3’(69ar2)・配列番号3:5’−GGAATTTCGCTACCTTAGGATGGTTATAGTTACC−3’(69arrh)・配列番号4:5’−GAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’(16S−9F)・配列番号5:5’−GTATTACCGCGGCTGCTG−3’(16S−536R)・配列番号6:5’−AACTGGAGGAAGGTGGGGAY−3’(RW01&RDR080、1170−1189)・配列番号7:5’−AGGAGGTGATCCAACCGCA−3’(DG74、1522−1540)・配列番号8:5’−ACTCCTACGGGAGGCAGCAGT−3’(Pba1、358-378)・配列番号9:5’−TCACCGGCCGTGTGTACAAG−3’(Pba2、1444-1425) また、担体は、不溶性であって、少なくとも内側を高分子物質で被覆して、その上にプローブDNAを固定化させたものが好ましい。プローブDNAとは、特定遺伝子の少なくとも一部と相補的な配列からなるDNAである。「高分子物質」は、ホスホリルコリン基を有する第一単位とカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含み、DNA鎖およびRNA鎖の非特異的吸着を抑制する性質とDNA鎖を固定化する性質とを併せ持つポリマーを示す。特に、第一単位に含まれるホスホリルコリン基は鋳型RNA断片の非特異的吸着を抑制する役割を果たし、第二単位に含まれるカルボン酸誘導基はプローブDNAを化学的に固定化する役割を果たす。すなわち、プローブDNAは、このコーティング層の活性エステル基の部位で共有結合して、当該不溶性担体の表面に固定化される。具体的には、住友ベークライト株式会社の開発した表面処理(S−BIO PrimeSurface)を施したPCRチューブを例として挙げることができる。なお、プローブDNA固定化をされた担体の作製方法については、特表2003−530118号公報に記載の方法を適宜選択することができる。なお、ホスホリルコリン基またはアルキレングリコール基等の生体適合性の高い官能基を有する高分子物質については、特開2008−128854号公報に記載されているものを挙げることができる。プローブDNAには、塩基数が100以下より好ましくは80以下のDNA鎖を用いることが好ましい。これは、プローブDNAの長さが100以下である場合には、合成が容易であり、また、後述する増幅を安定して行うことができるためである。また、プローブDNAには、修飾されたオリゴDNAを用いることが好ましいが、無修飾のオリゴDNAを用いても固定化が可能である。さらには、プローブDNAがアミノ基が導入されたオリゴDNAである場合には、固定化効率が高くなる。アミノ基は活性エステル基との反応性に優れるため、プローブDNAとして、アミノ基が導入されたオリゴDNAを用いることにより、該プローブDNAは、効率よくかつ強固に該高分子物質上にプローブDNAを固定化することができる。 次に、本発明における「不溶性担体」は、プラスチック、ガラス等からなるチューブのほか、96穴ウェル等を挙げることができる。チューブ状とは、中空状態のものをいい、底があるPCRチューブや、エッペンドルフチューブのような形状であってもよい。 また、担体に複数種のプローブDNAを固定すると、後述する特定遺伝子の増幅によって、1つの被検試料における複数の特定遺伝子の有無を検出することで、短時間に多数のデータを得ることも可能である。 上述のように、担体表面にはプローブDNAが固定化されていることが特に好ましい。これは、固形被検試料中のRNAの特定遺伝子をチューブ状の担体に固定したオリゴDNA(プローブDNA)を介してハイブリダイゼーションで捕捉して、RT−PCR法にて遺伝子増幅ができ、または、担体上の液相で特定遺伝子を増幅し、同時に、プレート状担体に固定した複数種のプローブDNAで多種の生物の特異的遺伝子を検出したり、遺伝子多型(SNP)を網羅的に検出できるという利点があるためである。 そして、PCR法、LAMP法、SDA法、RT−SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法から選ばれる方法によって前記特定遺伝子が増幅される。 <特定遺伝子の増幅量を検出する工程> 本工程では、増幅したDNA(PCR増幅産物)を検量して、被検試料中の特定遺伝子の存在の有無を判定する。 本工程における解析法は、増幅された特定遺伝子の検出または定量が可能なものであれば特に制限されず、DNAシーケンス法、ゲル電気泳動法、平板状のDNAチップまたはビーズによるハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR法、およびプローブDNAを利用した伸張反応またはハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法から選ばれるいずれかの方法が挙げられる。ゲル電気泳動法によれば、PCR増幅産物の量、およびその大きさを評価することができる。また、リアルタイムPCR法によれば、迅速にPCR増幅産物の定量を行うことができる。リアルタイムPCR法を採用する場合、一般に増幅サイクル数1〜10までは蛍光強度の変化はノイズレベルでありゼロに等しいので、それらを増幅産物ゼロのサンプルブランクと見なし、それらの標準偏差SDを算出しその10を乗じた蛍光値をスレッショード値とし、そのスレッショード値を最初に上回るPCRサイクル数をサイクルスレッショード値(Ct値)という。したがって、PCR反応溶液に初期のDNA鋳型量が多い程、Ct値は小さな値となり、鋳型DNA量が少ない程、Ct値は大きな値となる。また、鋳型DNA量が同じでも、その鋳型内のPCRの特定遺伝子に切断が生じている割合が多くなる程、同領域のPCR反応のCt値は大きな値となる。 また、複数種の微生物に共通するプライマーDNAを用いると、被検試料中の複数種の微生物の生菌を検出することができる。また、特定の微生物に特異的なプライマーDNAを用いると、被検試料中の特定の菌種を検出することができる。 PCRの条件は、PCRの原理にのっとった特異的な増幅が起こる限り特に制限されず、適宜設定することができる。 <各用語> 本発明においては、「ウイルス」という用語は、たとえば、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、手足口病ウイルス、フラビウイルス(黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス)、トガウイルス(アルファウイルス、ルビウイルス、アルテリウイルス、ルベラウイルス)、ペスチウイルス(ブタコレラウイルス、ウシ下痢ウイルス)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス1,2,3,4、イヌジステムパ−ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、RSウイルス、リンダペストウイルス、サルパラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス)、オルソクソウイルス(ヒトインフルエンザウイルス、トリインフルエンザウイルス、ウマインフルエンザウイルス、ブタインフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(狂犬病ウイルス、水泡性口内炎ウイルス)、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ウシエンテロウイルス、ブタエンテロウイルス、サルエンテロウイルス、マウス脳脊髄炎ウイルス、ヒトライノウイルス、ウシライノウイルス、ウマライノウイルス、口蹄疫ウイルス、A型肝炎ウイルス)、コロナウイルス(ヒトコロナウイルス、ニワトリ伝染性気管支炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、豚伝染性胃腸炎ウイルス)、アレナウイルス(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ラサウイルス、韓国型出血熱ウイルス)、レトロウイルス(HTLV:ヒト成人白血病ウイルス、HIV:エイズウイルス、ネコ白血病肉腫ウイルス、牛白血病ウイルス、ラウス肉腫ウイルス)、レオウイルス(ロタウイルス)、カリシウイルス(ノーウオークウイルス)、ノロウイルス、ブンヤウイルス(腎症候性出血熱ウイルス)、フィロウイルス(エボラウイルス、マールブルグウイルス)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポックスウイルス(ワクシニアウイルス、アラストリウムウイルス、牛痘ウイルス、天然痘ウイルス)、パルボウイルス(ヒトパルボウイルス、豚パルボウイルス、牛パルボウイルス、犬パルボウイルス、ネコ白血球減少症ウイルス、ミンクアリューシャン病ウイルス)、パポーバウイルス(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス)、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、馬ヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルス、マレック病ウイルス)およびアフリカ豚コレラウイルスよりなる群から選択される。 本発明においては、「微生物」という用語は、原核生物、細菌、真菌、寄生生物、または原生動物を意味するのに使用する。「微生物」としては、グラム陽性菌およびグラム陰性菌のいずれもが含まれ、ブドウ球菌(スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis))のスタフィロコッカス属細菌、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)等のストレプトコッカス属細菌、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)等のリステリア属細菌、バチラス・セレウス(Bacillus cereus)等のバチラス属細菌、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、マイコバクテリウム属細菌、大腸菌(Escherichia coli)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、エンテロコッカスフェカリス(Enterococcus faecalis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)等のエンテロバクター属細菌、シトロバクター・コーセリ(Citrobacter koseri)等のシトロバクター属細菌、クレブシェラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)等のクレブシェラ属細菌に代表される腸内細菌群、サルモネラ属細菌、ビブリオ属細菌、シュードモナス属細菌等ミュータンス連鎖球菌(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカスゴルドニイ(Streptococcus gordonii)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、エンテロコッカスデュランス(Enterococcus durans)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカスアガラクティエ(Streptococcus agalacticae)、クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)およびエンテロコッカスフェシウム(Enterococcus faecium)などが挙げられる。 また、検出対象の微生物が病原性微生物である場合には、特定遺伝子としては病原遺伝子が挙げられる。病原遺伝子としては、リステリア属細菌のリステリオリシンO(hlyA)遺伝子、サルモネラ属細菌のエンテロトキシン遺伝子やinvA遺伝子、病原性大腸菌O−157のベロ毒素遺伝子、エンテロバクター属細菌のMMS遺伝子(エンテロバクター・サカザキ菌)、黄色ブドウ球菌エンテロトキシン遺伝子、バチルス・セレウス菌のセレウリド(嘔吐毒素)遺伝子やエンテロトキシン遺伝子、ボツリヌス菌の各種毒素遺伝子等が挙げられる。 [応用] 本発明の特定遺伝子の検出方法を用いることによって、ヒトの30億塩基対あるゲノム遺伝子配列上の一塩基多型(SNP)を検出することが可能であり、SNPタイピングから遺伝的背景を調べることができる他、原因遺伝子のわかっている遺伝病については、将来的な危険率も診断することができる。例えば、アルコール脱水素酵素遺伝子(ADH2)およびアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2)をSNPタイピングすることにより、アルコールに対する強さなどの遺伝的な要因を調べることができる。 また、上述の人の体質を診断する一塩基多型(SNP)以外に、動植物(肉、米、生薬など)の種別判別、加工食品中のアレルゲン物質(そば、小麦、落花生、えび、かになど)および遺伝子操作作物(略;GMO、大豆、とうもろこしなど)の有無、血液・糞便など生体試料中の細菌・ウイルスなどの微生物検査などに応用することができる。 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 <実施例1> 図1は、本実施例の各工程を示す模式図である。以下、図1に基づいて説明する。 ≪固形被検試料を採取する工程≫ まず、毛根2を含む頭髪1を注意深く2本引き抜き、固形被検試料として採取した。つまり、本実施例においては、毛根2を直接固形被検試料とした。なお、毛根1は、後述するADH2およびALDH2共にヘテロ型([G]/[A])の遺伝子を有することをあらかじめDNAシーケンス法で確認したサンプルを用いた。 ≪特定遺伝子を増幅する工程≫ チューブ状の担体3の内部に表1および表2に示すPCR反応液4を投入した。そして、2つの担体3にそれぞれ頭髪1を1本ずつ投入した。PCR反応液は、東洋紡績(株)製PCRキットKOD FXを使用して、添付のプロトコールに従って以下の試薬を含む25μL反応液を2種類(PCR反応液[G]およびPCR反応液[A])調整した。なお、以下[G]は野生型、[A]は変異型を示すものとする。 本実施例においては、特定遺伝子としてヒトゲノム配列のアルコール脱水素酵素遺伝子(ADH2、47 G→A)およびアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2、487 G→A)として知られている配列部分を選択した。 したがって、プライマーDNA−1〜3はADH2遺伝子の47番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドであり、プライマーDNA−4〜6はALDH2遺伝子の487番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドとなるように設計した。・配列番号10:5’−GGTAGAGAAGGGCTTTAGACTGA−3’(プライマーDNA−1)・配列番号11:5’−AACCACGTGGTCATCTGTACG−3’(プライマーDNA−2)・配列番号12:5’−AACCACGTGGTCATCTGTTTG−3’(プライマーDNA−3)・配列番号13:5’−TCAAATTACAGGGTCAACTGCT−3’(プライマーDNA−4)・配列番号14:5’−CACACTCACAGTTTTCACTGCA−3’(プライマーDNA−5)・配列番号15:5’−CCCACACTCACAGTTTTCACTATA−3’(プライマーDNA−6) プライマーDNA−2および5は野生型[G]を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に野生型[G]のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有し、プライマーDNA−3と6は変異型[A]を検出するためのオリゴヌクレオチドで3’末端から2番目に変異型[A]のヌクレオチド配列、および3番目に人為的ミスマッチを有するものとした。プライマーDNA−2、3がアンチセンス鎖であり、プライマーDNA−1と組み合わせてアルコール脱水素酵素遺伝子(ADH2、47 G→A)の増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用されるものとした。 本PCRの増幅反応産物(増幅される特定遺伝子)の大きさは、Allele1[G]/Allele2[A]=228bp/228bpとなるよう設計した。プローブDNA−5、6がアンチセンス鎖であり、プローブDNA−4と組み合わせてアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2、487G→A)の増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。本PCRの増幅反応産物の大きさは、Allele1[G]/Allele2[A]=135bp/137bpとなるよう設計した。以上のようにしてチューブ状の担体上で、固形被検試料をバッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液、および特定遺伝子を増幅するためのプライマーDNAに直接接触させた状態とした。 そして、チューブ状の担体3に蓋5をして、表3に示す増幅条件で、PCR反応をし、アルコール脱水素酵素遺伝子(ADH2、47 G→A)およびアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2、487 G→A)の増幅を行った。 また、比較用にPCR反応液[G]およびPCR反応液[A]それぞれに対して、(1)毛髪を投入しない(2)毛髪の代わりにADH2[G](東洋紡績(株)製ポジティブコントロールセットSTK−161Pに含まれる)を投入(3)毛髪の代わりにADH2[A](東洋紡績(株)製ポジティブコントロールセットSTK−161Pに含まれる)を投入(4)毛髪の代わりにALDH2[G](東洋紡績(株)製ポジティブコントロールセットSTK−162Pに含まれる)を投入(5)毛髪の代わりにALDH2[A](東洋紡績(株)製ポジティブコントロールセットSTK−162Pに含まれる)を投入(6)PCR反応液の代わりに滅菌水のみを投入の6種類のサンプルも準備して、同様に表3に示す増幅条件で、アルコール脱水素酵素遺伝子(ADH2、47 G→A)およびアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2、487 G→A)が増幅するかどうか検討した。 ≪特定遺伝子の増幅量を検出する工程≫ PCR反応後のPCR反応液[G]およびPCR反応液[A]5μLをアガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。 図2は、PCR反応液[G]に対して毛根を接触させてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。なお、PCR反応液[G]に対する前記(1)〜(6)のサンプルのPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した結果も示される。 図3は、PCR反応液[A]に対して毛根を接触させてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。なお、PCR反応液[A]に対する前記(1)〜(6)のサンプルのPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した結果も示される。 以下、図2および3に基づいて説明する。 図2において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;ヒト毛髪・レーン2;サンプル(1)(ネガティブコントロール)・レーン3;サンプル(2)(ポジティブコントロール)・レーン4;サンプル(3)・レーン5;サンプル(4)(ポジティブコントロール)・レーン6;サンプル(5)・レーン7;サンプル(6)(ネガティブコントロール) また図3において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;ヒト毛髪・レーン2;サンプル(1)(ネガティブコントロール)・レーン3;サンプル(2)・レーン4;サンプル(3)(ポジティブコントロール)・レーン5;サンプル(4)・レーン6;サンプル(5)(ポジティブコントロール)・レーン7;サンプル(6)(ネガティブコントロール) [考察] ADH2およびALDH2共にヘテロ型([G]/[A])の遺伝子を有するヒトの毛髪を使用したレーン1では、図2および図3双方で明確なバンドが確認された。また、PCR反応液にポジティブならびにネガティブコントロールサンプルを添加したレーン2〜7においても矛盾無くその増幅された特定遺伝子が所定の分子サイズで検出された。 <実施例2:毛髪の保存安定性および乾燥ろ紙血の比較> ≪固形被検試料を採取する工程≫ 採血針を用いて親指から採血した血液(全血)をろ紙(アドバンテック定性ろ紙No.2)にしみこませ、自然乾燥させて、固形被検試料としたの乾燥ろ紙血を採取した。 また、固形被検試料として脱毛直後の毛根と、脱毛してから室温(20℃)で1週間保存した毛根と2種類採取した。 ≪特定遺伝子を増幅する工程≫ 実施例1における表1および表2に記載したPCR反応液に乾燥ろ紙血の直径1mmのパンチ片を添加して実施例1と同様にPCR反応を行った。 実施例1における表1および表2に記載したPCR反応液に脱毛直後の毛根と、1週間保存した毛根とをそれぞれ添加して実施例1と同様にPCR反応を行った。 ≪特定遺伝子の増幅量を検出する工程≫ 実施例1における表3に記載した条件と同様にしてPCR反応後のPCR反応液[G]5μLをアガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。 図4は、PCR反応液[G]およびPCR[A]に対して、乾燥ろ紙血および毛根を接触させてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図4において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;乾燥ろ紙血をPCR反応液[G]に投入してPCR反応・レーン2;脱毛直後の毛根をPCR反応液[G]に投入してPCR反応・レーン3;1週間室温保存後の毛根をPCR反応液[G]に投入してPCR反応・レーン4;乾燥ろ紙血をPCR反応液[A]に投入してPCR反応・レーン5;脱毛直後の毛根をPCR反応液[A]に投入してPCR反応・レーン6;1週間室温保存後の毛根をPCR反応液[A]に投入してPCR反応・レーン7;毛根をPCR反応液[A]に投入せずにPCR反応(ネガティブコントロール) [考察] 乾燥ろ紙血を使用したと毛根の場合の差は全く見られなく、脱毛後、1週間室温にて保存した毛根サンプルとの有意差も観察されなかった。したがって、サンプルから核酸を精製するという作業を備えずに毛根をダイレクトに使用したPCR反応の有用性が証明された。 <実施例3> ≪固形被検試料を採取する工程≫ 毛根部分を含む約5mmの頭髪を固形被検試料として採取した。 ≪特定遺伝子を増幅する工程≫ 本実施例において、担体は、ホスホリルコリン基を有する第一単位とカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質で被覆されたプレート状の不溶性材料を選択した。プレート状の担体は10mm×10mm×深さ0.5mmのウェルを2個有するものとした。そして、その表面に特定遺伝子の少なくとも一部と相補的な配列からなるプローブDNAを固定化されてなるものを用いた。 具体的に担体の製造方法について説明する。まず、アルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2、487 G→A)のAllele1[G]/Allele2[A]を検出する5’末端がアミノ基修飾した合成プローブDNA−1および2を5M K2HPO4(pH 9.0)に溶解し、0.1μMのオリゴDNA溶液を調製した。プローブDNA溶液1μLを特許文献3および4に記載の表面処理された10mm×10mm×深さ0.5mmウェル成型したプレート状の担体(S−BIO PrimeSurface;住友ベークライト(株)製)の表面にスポットし、室温で1時間静置してプローブDNAを固定化させた。その後、担体を0.1N NaOHでブロッキング処理を施し、RNase フリー水で2回洗浄したものを以下の実験に使用した。 このときのプローブDNAの配列は、・配列番号16:5’−AACCACGTGGTCATCTGTACG−3’(プローブDNA−1(野生型[G]検出用プローブDNA))・配列番号17:5’−AACCACGTGGTCATCTGTTTG−3’(プローブDNA−2(野生型[A]検出用プローブDNA))・配列番号18:5’−CCCGACATCTTGTAGCCACC−3’(プローブDNA−3:ポジティブスポット)・配列番号19:3’−CCACCGATGTTCTACAGCCC−5’(プローブDNA−4:ネガティブスポット)とし、配列番号16〜18においては、5’側をNH2−C6(アルキル基)−で修飾し、配列番号19においては、3’側をNH2−C6(アルキル基)−で修飾した。 本実施例は、東洋紡績(株)製PCRキットKOD FXを使用して、添付のプロトコールに従って以下の試薬を含む75μLのPCR反応液を調整した。プライマーDNA−7および8は、アルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2)の特異的配列の増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。本PCRの増幅反応産物の大きさは、770bpとして設計した。・配列番号20:5’−GGCAGGAGGATCACTGAAGA−3’(プライマーDNA−7)・配列番号21:5’−GGCTGGGTCTTTACCCTCTC−3’(プライマーDNA−8) 下記のPCR反応液をプレート状担体のウェル内に装填し、毛根部分を含む約5mmの頭髪を反応液に直接添加してプレートシールで密封後、住友ベークライト(株)製のPCR装置に装着して、下記条件によりALDH2遺伝子多型を解析した。 ≪特定遺伝子の増幅量を検出する工程≫ 前記反応条件にて、ビオチン(biotin)化した核酸(biotin−11−dUTP)を使用してプローブDNAを伸張反応終了後、界面活性剤(0.05%Tween20など)を含んだトリス緩衝生理食塩水(TBS)で十分に洗浄した。ストレプトアビジンを標識したアルカリフォスファターゼ溶液を担体表面に供給し、37℃で30分放置後、アルカリフォスファターゼ溶液を除去後、基板の洗浄を行い、続いてニトロブルーテトラゾリウム(NBT)と5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)溶液を供給し、37℃で30分放置後、基板を洗浄した。担体のプローブDNAの点着部分の着色は肉眼で観察できた。 図5は、担体のプローブDNAの点着部分をCCDカメラで取り込んだ写真であり、図6は、図5における各スポットをイラスト化したものである。図6における符号10は、プローブDNA−1(野生型[G]検出用プローブDNA)が固定されていた部分であり、符号15は、プローブDNA−2(変異型[A]検出用プローブDNA)が固定されていた部分であり、符号20はポジティブコントロール(配列番号18に記載の配列を固定)、符号25はネガティブコントロール(配列番号19に記載の配列を固定)の位置を示す。 [考察] プローブDNAで表面処理した担体においては、担体上でのPCR反応によって特定遺伝子が増幅され、同時に、担体に固定したプローブDNA−1およびプローブDNA−2がDNAポリメラーゼにより鎖伸長し、事前に予測されたヘテロ型のスポットシグナル([G]/[A]のシグナル)が検出された。以上の結果から、担体に複数種のプローブDNAを固定し、毛根、乾燥ろ紙血など固形被検試料をウェル内に配置して、複数種の特定遺伝子を同時に増幅するマルプレックスPCR反応を行えば、網羅的に特異的配列を検出できることが証明された。 <実施例4> 糞便の中にはDNA分解酵素が存在しDNAの分解が徐々に進行するため、従来は採取後速やかに液体窒素による凍結保存を要した。本発明においてはDNA分解酵素の活性が乾燥状態では極めて低下することに着目した。 ≪固形被検試料を採取する工程≫ まず、市販の綿棒を糞便に接触させ、綿棒に付着した糞便を、植物繊維体であるろ紙に塗布し水分の除去を促し、一昼夜自然乾燥した。そして、そのまま該ろ紙を乾燥剤(シリカゲル)入りのプラスチック袋に封入して1時間以上保持した後の該ろ紙を固形被検試料として用いた。本工程は、糞便中のDNAの安定化を図るとともに、糞便の取扱いおよび輸送、保管を簡便かつ衛生的に行うことができる。また、シリカゲルと該ろ紙とをともに密閉して保存することで、該ろ紙の臭いを軽減することができる。 ≪特定遺伝子を増幅する工程≫ 固形被検試料としての該ろ紙を約5mm角に切り取り、担体としての500μLチューブに投入し、さらに、該チューブに溶解バッファー(100mM Tris−HCl(pH9.5),1M KCl,10mM EDTA)100μLを添加し、ボルテックスで良く攪拌後、チューブを95℃10分間加熱した。上清3μLを使用して、以下のPCR反応による細菌由来の16S rRNA遺伝子の増幅実験を実施した。 本実施例は、東洋紡績(株)製PCRキットKOD FXを使用して、添付のプロトコールに従って以下の試薬を含む25μLのPCR反応液を調整した。配列番号4および5は、細菌由来の16S rRNA遺伝子(特定遺伝子)のPCRプライマーDNAとして使用される。本PCRによって増幅される特定遺伝子の大きさは、約530bpとなるよう設計した。 ≪特定遺伝子の増幅量を検出する工程≫ PCR反応後のPCR反応液3μLをアガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子を確認した。 図7は、実施例4においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図7において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;大腸菌をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン2;滅菌水をPCR反応(ネガティブコントロール)・レーン3;実施例4における糞便をPCR反応液に投入してPCR反応 [考察] 図7の電気泳動から、乾燥(糞便)ろ紙からの抽出液を使用して増幅反応を行ったレーン3では、約530bp付近に明確なバンドが確認された。また、反応液に大腸菌液を添加したレーン1においても矛盾無く所定の分子サイズの増幅産物が検出された。 この結果から、実施例3と同様に担体に細菌またはウイルス特異的な配列を固定して、配列番号1〜9のプライマーDNAを用いて、担体上でPCR反応をすることにより、網羅的な遺伝子分類につなげることができることが分かった。 <実施例5> 毛根、湿性耳垢、鼻腔ぬぐい液、唾液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、膣腔ぬぐい液、糞便、喀痰について、特定遺伝子の検出を行った。毛根については、毛根部分を含む約5mmの頭髪1本を固形被検試料として、実施例1と同様にして直接PCR反応に供した。液性の粘液状物である湿性耳垢、鼻腔ぬぐい液、唾液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、膣腔ぬぐい液については、綿棒、歯間ブラシまたは紙縒りなどを使用して採取し、ろ紙上に塗布し、室温にて自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて乾燥ろ紙サンプルから打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLのチューブ状の担体に入れ、PCR反応に供した。 糞便は、肛門より直接または便器にティッシュを敷き採便した糞便より、綿棒を用いて採取した一部糞便をろ紙上に塗布し、室温にて約2時間自然乾燥した後、シリカゲル入りのプラスチック袋に内装して保存した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、前記乾燥ろ紙糞便から打ち抜いたパンチ片2個を0.2mLのチューブ状の担体に取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を20μL入れ、95℃、10分間加熱処理を行った。得られた溶解液0.5μL、1.0μLをそれぞれPCR反応に供した。溶解液を簡易遠心機で分離した上清10μLを未使用のろ紙上に滴下後、室温にて自然乾燥した。前記前処理を行ったろ紙から2箇所、ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLのチューブ状の担体に入れ、PCR反応に供した。 喀痰については、PCR反応を阻害する生体成分を多く含み、ろ紙上に展開し、乾燥したサンプルを直接遺伝子増幅することは困難であるため、糞便の場合と同様の前処理を行った。まず、採取した喀痰を未使用のろ紙上に塗布し、自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、前記乾燥ろ紙サンプルから打ち抜いたパンチ片2個を0.2mLのチューブ状の担体に取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を20μL入れ、95℃、10分間加熱処理を行った。溶解液を簡易遠心機で分離した上清10μLを未使用のろ紙上に滴下後、室温にて自然乾燥した。前記前処理を行ったろ紙からハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLのチューブ状の担体に入れ、PCR反応に供した(図9のレーン2)。また、喀痰を直接PCR反応に供した場合も行った(図10のレーン1)。 表8に示す組成のPCR反応液を用い、表9に示す条件でPCR反応を行った。プライマーとしては、上述したプライマー16S−9F(配列番号4)およびプライマー16S−536R(配列番号5)を用いた。PCR反応後のPCR反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子を確認した。 図8、9は、実施例5においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図8において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;毛根1本をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン2;乾燥ろ紙湿性耳垢をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン3;乾燥ろ紙鼻腔ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン4;乾燥ろ紙唾液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン5;乾燥ろ紙口腔ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン6;乾燥ろ紙歯間ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン7;乾燥ろ紙糞便溶解液0.5μLをPCR反応液に投入してPCR反応・レーン8;乾燥ろ紙糞便溶解液1μLをPCR反応液に投入してPCR反応・レーン9;乾燥ろ紙糞便溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン10;乾燥ろ紙糞便溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン11;乾燥ろ紙膣腔ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン12;大腸菌をPCR反応液に投入してPCR反応 また図9において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;乾燥ろ紙喀痰をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン2;乾燥ろ紙喀痰溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン3;大腸菌をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン4;蒸留水(DW)をPCR反応液に投入してPCR反応 <実施例6> 毛根、皮膚、血液、唾液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、膣腔ぬぐい液、糞便、喀痰、精液について、特定遺伝子の検出を行った。毛根、皮膚片については、実施例1と同様にして直接PCR反応に供した。また、毛根1本を0.2mLPCRチューブに取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を20μL入れ、95℃、10分間の加熱処理を行った。得られた毛根溶解液を1μL、PCR反応に供した。また、溶解液を簡易遠心機で分離した上清を未使用のろ紙上に滴下後、室温にて自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて前記前処理を行った乾燥ろ紙から打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLPCRチューブに入れ、PCR反応を実施した。 液性の粘液状物である血液、唾液、口腔ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、膣腔ぬぐい液については、綿棒、歯間ブラシまたは紙縒りなどを使用して採取し、ろ紙上に塗布し、室温にて自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて乾燥ろ紙サンプルから打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLのチューブ状の担体に入れ、PCR反応に供した。 糞便は、肛門より直接または便器にティッシュを敷き採便した糞便より、綿棒を用いて採取した一部糞便をろ紙上に塗布し、室温にて約2時間自然乾燥した後、シリカゲル入りのプラスチック袋に内装して保存した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、前記乾燥ろ紙糞便から打ち抜いたパンチ片2個を0.2mLのチューブ状の担体に取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を20μL入れ、95℃、10分間加熱処理を行った。溶解液を簡易遠心機で分離した上清を未使用のろ紙上に滴下後、室温にて自然乾燥した。前記前処理を行ったろ紙からハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLのチューブ状の担体に入れ、PCR反応に供した。 喀痰および精液については、PCR反応を阻害する生体成分を多く含むため、ろ紙上に展開し、乾燥したサンプルを直接遺伝子増幅することは困難であるため、糞便の場合と同様の前処理を行った。まず、採取した喀痰、精液を未使用のろ紙上に塗布し、自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、前記乾燥ろ紙サンプルから打ち抜いたパンチ片2個を0.2mLのチューブ状の担体に取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を20μL入れ、95℃、10分間加熱処理を行った。溶解液を簡易遠心機で分離した上清20μLを未使用のろ紙上に滴下後、室温にて自然乾燥した。前記前処理を行ったろ紙からハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLのチューブ状の担体に入れ、PCR反応に供した(図11のレーン2、4)。また、喀痰、精液を直接PCR反応に供した場合も行った(図11のレーン1、3)。 PCR反応液、PCR反応の条件は、実施例5と同様にした。プライマーとしては、上述したアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2)の特異的配列の増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用されるプライマーDNA−7、8(配列番号20、21)を用いた。PCR反応後のPCR反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子を確認した。 図10、11は、実施例6においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図10において、各レーンは以下を示している。・レーン1;毛根1本をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン2;乾燥ろ紙毛根溶解液1mLをPCR反応液に投入してPCR反応・レーン3;乾燥ろ紙毛根溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン4;皮膚片をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン5;乾燥ろ紙毛根溶解液1mLをPCR反応液に投入してPCR反応・レーン6;乾燥ろ紙毛根溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン7;乾燥ろ紙血液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン8;乾燥ろ紙唾液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン9;乾燥ろ紙口腔ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン10;乾燥ろ紙鼻腔ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン11;乾燥ろ紙歯間ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン12;乾燥ろ紙膣腔ぬぐい液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン13;乾燥ろ紙糞便溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン14;蒸留水(DW)をPCR反応液に投入してPCR反応 また図11において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;乾燥ろ紙喀痰をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン2;乾燥ろ紙喀痰溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン3;乾燥ろ紙精液をPCR反応液をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン4;乾燥ろ紙精液溶解液再乾燥ろ紙をPCR反応液に投入してPCR反応・レーン5;蒸留水(DW)をPCR反応液に投入してPCR反応 <実施例7> サクラの葉、タマネギの葉、アサガオの葉、アボガドの葉、クローバの葉、楮(コウゾ)の葉、バナナの果実、キウイの果実、アボガドの果実、スイカの果実、イネの果実(米)、ブロッコリーの茎について、特定遺伝子の検出を行った。サクラの葉、タマネギの葉、アサガオの葉、アボガドの葉、クローバの葉、楮(コウゾ)の葉、ブロッコリーの茎については、二つ折りにしたろ紙(アドバンテック定性ろ紙No.2)で挟み、ペンチで挟み(プレス)、葉の細胞組織をろ紙に固定し、室温にて自然乾燥した。その後、ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mLのチューブ状の担体に入れ、PCR反応に供した。 また、サクラの葉、アボガドの葉。サクラの葉、クローバの葉、楮の葉については、次のように抽出したものもPCR反応に供した。葉片(4mm角)を0.5mL PCRチューブに取り、溶解バッファ(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を50μL入れ、95℃、10分間加熱処理を行った。溶解液を簡易遠心機で分離した上清を未使用のろ紙上に滴下後、室温にて自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて前記前処理を行ったろ紙から打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mL PCRチューブに入れ、PCR反応を行った。 バナナの果実、キウイの果実、アボガドの果実、スイカの果実については、ろ紙上に置き、薬用さじまたはヘラなどを使用して押しつぶし、果実の細胞組織をろ紙に固定し、室温にて自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径1.2mm)を用いて乾燥ろ紙サンプルから打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mL PCRチューブに入れ、PCR反応を行った。 米については、炊飯した米1粒をろ紙上に置き、薬用さじまたはヘラなどを使用して押しつぶし、果実の細胞組織をろ紙に固定し、室温にて自然乾燥した。ハリスユニコアパンチ(直径1.2mm)を用いて乾燥ろ紙サンプルから打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mL PCRチューブに入れ、PCR反応を行った。 表10に示す組成のPCR反応液を用い、表11に示す条件でPCR反応を行った。プライマーとしては、厚生労働省からの通知法(アレルギー物質を含む食品の検査方法について:食安発第1011002号)で用いられている下記の塩基配列の植物検出用プライマー対(CP03−5’、CP03−3’)を用いて確認した。PCR反応後のPCR反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。・配列番号22:5’−CGGACGAGAATAAAGATAGAGT−3’(プライマーCP03−5’)・配列番号23:5’−TTTTGGGGATAGAGGGACTTGA−3’(プライマーCP03−3’) 図12〜14は、実施例7においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図12において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;サクラ葉(プレス)・レーン2;サクラ葉(抽出)・レーン3;バナナ果実・レーン4;ブロッコリー茎・レーン5;キウイ果実 ・レーン6;アボガド果実・レーン7;タマネギ葉・レーン8;蒸留水(DW) また図13において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;アサガオ葉・レーン2;アボガド葉・レーン3;クローバ葉・レーン4;楮葉 ・レーン5;サクラ葉・レーン6;サクラ葉+アボガド葉・レーン7;スイカ果実・レーン8;米 また図14において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;アボガド果実・レーン2;アボガド葉・レーン3;アボガド葉(抽出)・レーン4;サクラ葉・レーン5;サクラ葉(抽出)・レーン6;クローバ葉(抽出)・レーン7;楮葉(抽出)・レーン8;蒸留水(DW) <実施例8> サクラの葉、さくらんぼについて、特定遺伝子の検出を行った。サクラの葉は、実施例7と同様に、プレス、抽出の2通り行った。さくらんぼについては、ろ紙上に置き、薬用さじまたはヘラなどを使用して押しつぶし、果実の細胞組織をろ紙に固定し、室温にて自然乾燥した後、ハリスユニコアパンチ(直径1.2mm)を用いて乾燥ろ紙サンプルから打ち抜いたパンチ片1個を直接0.2mL PCRチューブに入れ、PCR反応を行った。また、比較のために、サクラの葉より常法により抽出・精製したDNAを標品として用いた。 実施例7と同じ組成のPCR反応液、プライマーを用い、同じ条件でPCR反応を行った。PCR反応後のPCR反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。 図15は、実施例8においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図15において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;サクラ葉(プレス)・レーン2;サクラ葉(抽出)・レーン3;さくらんぼ・レーン4;サクラDNA(標品) <実施例9> 排便後、肛門より直接または便器にティッシュを敷き採便した糞便より、綿棒を用いて採取した一部糞便をろ紙上に塗布し、室温にて約2時間自然乾燥した後、シリカゲル入りのプラスチック袋に内装して保存した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、上記の乾燥ろ紙糞便から打ち抜いたパンチ片1個を0.2mL PCRチューブに取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を25mL入れ、90℃、10分間加熱処理を行った。得られた溶解液を試料として、103コピー、104コピー、105コピーまたは106コピーの合成ノロウイルスGII RNAを添加し、RT−PCR反応およびRT−LAMP法を実施した。コントロールとして、乾燥ろ紙血を上記溶解バッファーで処理した溶解液、または、RNaseフリー水(DW)を試料の代わりに用い、103コピー、104コピー、105コピーまたは106コピーの合成ノロウイルスGII RNAを添加して、RT−PCR反応ならびにRT−LAMP法を実施した。 RT−PCRキットとしては以下のものを用いた。・One−step qPCR Kit(QRT−201、QRT−201T、東洋紡績(株)製)・RNA−direct(商標)SYBR(登録商標)Green Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)(SYBR(登録商標)Greenアッセイ用) またRT−LAMPキットとしては以下のものを用いた。・LoopampノロウイルスGII検出試薬キット(栄研化学(株)製) 合成ノロウイルスGII RNAは、国立感染症研究所 感染症情報センター第六室より、下記塩基配列のノロウイルスGII cDNAの分与を受け、そのプラスミドDNAを利用してプラスミドDNAをリコンストラクトし、インビトロで合成した。・配列番号24:5’−GCATGCTCGAGCGGCCGCCAGTGTGATGGATATCTGCAGAATTCGCCCTTCAGGAAGCTATGTTCAGGTGGATGAGGTTCTCAGATCTAAGCACATGGGAGGGCGATCGCAATCTGGCTCCCAGTTTTGTGAATGAAGATGGCGTCGAATGACGCTGCTCCATCTAATGATGGTGCCGCCGGCCTCGTCCCAGAGATCAACAATGAGGCAATGGCGCTAGACCCAGTGGCGGGTGCAGCGATAGCAGCACCCCTCACTGGTCAGCAAAACATAATTGATCCCTGGATTATGAATAATTTTGTGCAAGCACCTGGTGGTGAGTTTACAGTGTCCCCTAGGAATTCCCCTGGTGAAGTGCTTCTTAATTTGGAATTGGGCCCAGAAATAAACCCTTATTTGGCCCATCTTGCTAGAATGTACAATGGTCATGCAGGTGGAANGGCGAATTCCAGCACACTGGCGGCCGTTACTAGTGGATCCGAGCTCNGTACCAAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCCGTGTGAAATTGTTATCCGCTCACAATTCCACA−3’(ノロウイルスGII cDNA) 表12に示す組成の反応液を用い、表13に示す条件で反応を行った。プライマーとしては、下記の塩基配列のプライマーCOG2F、G2SKRを用いた。PCR反応後のPCR反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。・配列番号25:5’−CARGARBCNATGTTYAGRTGGATGAG−3’(プライマーCOG2F)・配列番号26:5’−CCRCCNGCATRHCCRTTRTACAT−3’(プライマーG2SKR) 図16は、実施例9においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図16において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;糞便、合成ノロウイルスGII RNA106コピー・レーン2;糞便、合成ノロウイルスGII RNA105コピー・レーン3;糞便、合成ノロウイルスGII RNA104コピー・レーン4;糞便、合成ノロウイルスGII RNA103コピー・レーン5;血液、合成ノロウイルスGII RNA106コピー・レーン6;血液、合成ノロウイルスGII RNA105コピー・レーン7;血液、合成ノロウイルスGII RNA104コピー・レーン8;血液、合成ノロウイルスGII RNA103コピー・レーン9;DW、合成ノロウイルスGII RNA106コピー・レーン10;DW、合成ノロウイルスGII RNA105コピー・レーン11;DW、合成ノロウイルスGII RNA104コピー・レーン12;DW、合成ノロウイルスGII RNA103コピー [考察] RNA−direct(商標)SYBR(登録商標)Green Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)にMasterAmp(登録商標)Enhancer(登録商標)(with betaine)(ME81201、Epicentre社製)を添加し、糞便中に添加した105コピーの合成ノロウイルスRNAを検出できた。また、乾燥ろ紙血パンチ片から上記溶解液を使用して得た溶液に添加したノロウイルスRNAの検出が可能であることが実証できたので、血液感染症のエイズウイルスなどの検出も可能であること推察された。 <実施例10> 表14に示す組成の反応液を用い、実施例9と同様にして調製した乾燥ろ紙糞便溶解液(試料)またはDW(コントロール)について、102コピー、103コピー、104コピー、105コピーまたは106コピーの合成ノロウイルスGII RNAを添加し、TaqMan RT−PCRを行った。102コピー、103コピー、104コピー、105コピーまたは106コピーの合成ノロウイルスGII RNAを用い、試料、DWそれぞれについて2通り実施した。 RT−PCRキットとしては以下のものを用いた。・RNA−direct(商標)Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)(TaqMan(登録商標)アッセイ・プローブアッセイ用) プライマーとしては上述したプライマーCOG2F(配列番号25)と下記塩基配列のプライマーCOG2Rを組み合わせて用い、また、プローブとして下記塩基配列のプローブRING2−TPを用いた。・配列番号27:5'−TCGACGCCATCTTCATTCACA−3'(プライマーCOG2R)・配列番号28:5'−TGGGAGGGCGATCGCAATCT−3'(プローブRING2−TP) 反応は、Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社製)を用い、リアルタイムRt−PCRプログラム(90℃、30秒→55℃、20分→95℃、1分→〔94℃、15秒→56℃、1分〕(40サイクル)という条件で行った。反応後、Ct(増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle))、Average Ct(Ct値の平均)、StdDev Ct(複数回RT−PCRを行って測定したときのCt値の平均)の数値をそれぞれ測定した。結果を表15に示す。 [考察] RNA−direct(商標)Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)(TaqMan(登録商標)アッセイ・プローブアッセイ用)にMasterAmp(登録商標)Enhancer(登録商標)(with betaine)(ME81201、Epicerntre社製)を添加し、糞便中に添加した102コピーの合成ノロウイルスRNAを検出できた。 <実施例11> 表16に示す組成の反応液を用い、実施例9と同様にして調製した乾燥ろ紙糞便溶解液(試料)102コピー、103コピー、104コピーの合成ノロウイルスGI RNAまたは102コピー、103コピー、104コピー、105コピーまたは106コピーの合成ノロウイルスGII RNAを添加し、表17に示す条件でRT−LAMP法を実施した。また、合成ノロウイルスRNAを添加していないDWをコントロールとした。 またRT−LAMPキットとしては、それぞれ以下のものを用いた。・LoopampノロウイルスGI検出試薬キット(栄研化学(株)製)・LoopampノロウイルスGII検出試薬キット(栄研化学(株)製) 合成ノロウイルスGI RNAは、国立感染症研究所 感染症情報センター第六室より、下記塩基配列のノロウイルスGI cDNAの分与を受け、そのプラスミドDNAを利用してプラスミドDNAをリコンストラクトし、インビトロで合成した。また合成ノロウイルスGII RNAは、実施例9、10と同様のものを用いた。・配列番号29:5’−CCGGCTCGTATGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGCTATGACCATGATTACGCCAAGCTTGGTACCGAGCTCGGATCCACTAGTAACGGCCGCCAGTGTGCTGGAATTCGCCCTTCGTTGGATGCGGTTCCATGATCTGAGCATGTGGACAGGGGATCGCGATCTCCTGCCCGATTATGTAAATGATGATGGCGTCTAAGGACGCCCCAACAAACATGGATGGCACCAGTGGTGCCGGCCAGCTGGTACCAGAGGCAAACACAGCTGAGCCTATTGCTATGGATCCAGTAGTTGGTGCTGCTACGGCAGTTGCCACTGCTGGTCAAGTAAATATGATTGACCCATATTTTGTTTGATTTACAATTAGGACCTCAATTAAACCCCTTTTTGTCTCATTTAGCACAAATGTACAATGGCTGGGTTGGAAGGGCGAATTCTGCAGATATCCATCACACTGGCGGCTGGATTATGAGTAATTTTGTTCAAGCACCCCAAGGAGAGTTTACAATTTCACCCAATAACACACCTGGTGC−3’(ノロウイルスGI cDNA) 合成ノロウイルスGI RNA検出用のプライマー、合成ノロウイルスGII RNA検出用のプライマーとしては、上述したキットに予め含まれているものを用いた。 反応後の反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。 なお、表16中、2×Reaction Mixは、以下の組成を有するものである。(2×Reaction Mix組成)・Tris−HCl(pH8.8):40mM・KCl:20mM・MgSO4:16mM・(NH4)2SO4:20mM・Tween20:0.2%・ベタイン:1.6M・dNTPs:各2.8mM また、表16中、Enzyme Mixは、Bst DNAポリメラーゼとAMV reverse transcriptaseをミックスしたものである。 図17は、実施例11において合成ノロウイルスGI RNAを添加したものについてRT−LAMPを行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図17において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;DW・レーン2;糞便、合成ノロウイルスGI RNA102コピー・レーン3;糞便、合成ノロウイルスGI RNA103コピー・レーン4;糞便、合成ノロウイルスGI RNA104コピー また図18は、実施例11において合成ノロウイルスGII RNAを添加したものについてRT−LAMPを行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 また図18において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;DW・レーン2;糞便、合成ノロウイルスGII RNA102コピー・レーン3;糞便、合成ノロウイルスGII RNA103コピー・レーン4;糞便、合成ノロウイルスGII RNA104コピー・レーン5;糞便、合成ノロウイルスGII RNA105コピー・レーン6;糞便、合成ノロウイルスGII RNA106コピー [考察] 本実施例では、LoopampノロウイルスGIまたはGII検出試薬キット(栄研化学(株)製)を使用してノロウイルスの検出を行った。上述したように、当該キットは0.8Mのベタインを含有する試薬であり、MasterAmp(登録商標)Enhancer(登録商標)(with betaine)(ME81201、Epicentre社製)など生体試料中の阻害物を緩和する試薬は使用していない。本実施例では、糞便中に添加した103コピーレベルの合成ノロウイルスRNAを検出できた。 <実施例12> 末梢血採集用のランセットを用いて採取した血液をろ紙上に塗布し、室温にて約2時間自然乾燥した後、シリカゲル入りのプラスチック袋に内装して保存した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、上記の乾燥ろ紙血から打ち抜いたパンチ片1個を0.2mL PCRチューブに取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を25mL入れ、90℃、10分間の加熱処理を行った。溶解液(試料)に10コピー、103コピーまたは105コピーの合成エイズウイルスRNAを添加し、表18に示す組成の反応液を用い、表19に示す条件でRT−PCR反応を実施した。コントロールとして、DWに10コピー、103コピーまたは105コピーの合成エイズウイルスRNAを添加して、RT−PCR反応を行った。また、試料、DWに合成エイズウイルスを添加しなかった場合もコントロールとした。 RT−PCRキットとしては以下のものを用いた。・RNA−direct(商標)Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)(TaqMan(登録商標)アッセイ・プローブアッセイ用) 合成ウイルスRNAは、コントロールHIV LAI株から抽出したRNAを用いて、定法により合成RNAを調整した。合成エイズウイルスRNAのcDNAの塩基配列は以下のとおりである。・配列番号30:5’−CTGNNGANGCGTTACGTATCGGATCCNGAATTCGTGATTGCTGACACAGGAAACAGCAACCAGGTCAGCCAAAATTACCCTATAGTGCAGAACCTCCAGGGGCAAATGGTACATCAGGCCATATCACCTAGAACTTTAAATGCATGGGTAAAAGTAGTAGAAGAGAAGGCTTTCAGCCCAGAAGTAATACCCATGTTTTCAGCATTATCAGAAGGAGCCACCCCACAAGATTTAAATACCATGCTAAACACAGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAATGTTAAAAGAGACCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGATAGATTGCATCCAGTGCATGCAGGGCCTATTGCACCAGGCCAGATGAGAGAACCAAGGGGAAGTGACATAGCAGGAACTACTAGTACCCTTCAGGAACAAATAGGATGGATGACACATAATCCACCTATCCCAGTAGGAGAAATCTATAAAAGATGGATAATCCTGGGATTAAATAAAATAGTAAGAATGTATAGCCCTACCAGCATTCTGGACATAAGACAAGGACCAAAGGAACCCTTTAGAGACTATGTAGACCGATTCTATAAAACTCTAAGAGCCGAGCAAGCTTCAATCTGAATTCGTCGACAAGCTTCTCGAGCCTAGGCTAGCTCTAGACCACACGTGTGGGGGCCCGAGCTCGCGGCCGCTGTATTCTATAGTGTCACCTAAATGGCCGCACAATTCACTGGCCGTCGTTTTACAACGTCGTGACTGGGAAAACCCTGGCGTTACCCAACTTAATCGCCTTGCAGCACATCCCCCTTTCGCCAGCTGGCGTAATAGCGAAGAGGCCCGCACCGATCGCCCTTCCCAACAGTTGCGCAGCCTGAATGGNGAA−3’(合成エイズウイルス cDNA) プライマーとして下記塩基配列のプライマーSK145、SKCC1Bを用い、また、プローブとして下記塩基配列のプローブSK102を用いた。・配列番号31:5'−AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAAT−3'(プライマーSK145)・配列番号32:5'−TACTAGTAGTTCCTGCTATGTCACTTCC−3'(プライマーSKCC1B)・配列番号33:5'−GAGACCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGAT−3'(プローブSK102) 反応後、Ct、Average Ct、StdDev Ctの数値をそれぞれ測定した。結果を表20に示す。 [考察] RNA−direct(商標)Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)(TaqMan(登録商標)アッセイ・プローブアッセイ用)にMasterAmp(登録商標)Enhancer(登録商標)(with betaine)(ME81201、Epicentre社製)を添加し、血液中に添加した103コピーレベルの合成エイズウイルスRNAを検出できた。 <実施例13> 飲用茶「伊右衛門」(登録商標)(サントリー(株)製)をろ紙上に塗布し、室温にて約2時間自然乾燥した後、シリカゲル入りのプラスチック袋に内装して保存した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、上記飲用茶の成分を固定した乾燥ろ紙茶から打ち抜いたパンチ片1個を0.2mL PCRチューブに取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を100mL入れ、90℃、10分間加熱処理を行った。溶解液(5倍希釈)(試料)に0.01ng/mL、0.1ng/mLまたは1ng/mLの16S rRNAを添加して、表21に示す反応液を用いて、表22に示す条件でRT−PCRを実施した。RT−PCR後の反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。 RT−PCRキットとしては以下のものを用いた。・RNA−direct(商標)SYBR(登録商標)Green Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)(SYBR(登録商標)Greenアッセイ用) 16S rRNAとしては、市販品であるE.coli MRE600由来 16S ribosomal RNA(16S rRNA)(ロシュ社製)を用いた。またプライマーとしては、プライマーMicroSeq 500(16S−9F9)(配列番号4)、プライマーMicroSeq 500(16S−536R)(配列番号5)を用いた。 図19は、実施例13においてRT−PCRを行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図19において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;溶解液、1ng/μL 16S rRNA・レーン2;溶解液、0.1ng/μL 16S rRNA・レーン3;溶解液、0.01ng/μL 16S rRNA・レーン4;DW [考察] RNA−direct(商標)SYBR(登録商標)Green Realtime PCR Master Mix(東洋紡績(株)製)にMasterAmp(登録商標)Enhancer(登録商標)(with betaine)(ME81201、Epicentre社製)を添加し、ポリフェノールなどPCR反応を阻害する夾雑物を多く含む飲用茶をろ紙に固定・乾燥した試料を作成した。そのサンプルを弱アルカリ性のバッファーで加熱処理した溶液に16S rRNAを添加したところ、0.01ngレベルまで検出できた。 <実施例14> 排便後、肛門より直接または便器にティッシュを敷き採便した糞便より、綿棒を用いて採取した一部糞便をろ紙上に塗布し、室温にて約2時間自然乾燥した後、シリカゲル入りのプラスチック袋に内装して保存した。ハリスユニコアパンチ(直径2mm)を用いて、上記の乾燥ろ紙糞便から打ち抜いたパンチ片1個を0.2mL PCRチューブに取り、溶解バッファー(100mM Tris−HCl、1M KCl、10mM EDTA、pH9.5)を25mL入れ、90℃、10分間加熱処理を行った。得られた溶解液を試料として、106コピーの合成ノロウイルスGII RNAを添加し、RT−PCR反応を実施した。 表23または表24に示す組成の反応液を用い、表25に示す条件で反応を行った。 なお、表23および表24中、AMVは市販の逆転写酵素(New England BioLabs社製)であり、KOD FX、rTthは、共に市販のDNAポリメラーゼ(どちらも東洋紡績(株)製)である。また、表23および表24中、2×Reaction Mixは、以下の組成を有するものである。(2×Reaction Mix組成)・Tris−HCl(pH8.8):40mM・KCl:20mM・MgSO4:16mM・(NH4)2SO4:20mM・Tween20:0.2%・ベタイン:1.6M・dNTPs:各2.8mM プライマーとしては、上述したプライマーCOG2F(配列番号25)、G2SKR(配列番号26)を用いた。PCR反応後のPCR反応液10μLを3%アガロースゲルにアプライし、電気泳動にて増幅された特定遺伝子の確認した。・配列番号25:5’−CARGARBCNATGTTYAGRTGGATGAG−3’(プライマーCOG2F)・配列番号26:5’−CCRCCNGCATRHCCRTTRTACAT−3’(プライマーG2SKR) 図20は、実施例14においてPCR反応を行った後の増幅された特定遺伝子を確認した電気泳動の写真である。 図20において、各レーンは以下を示している。・M;DNAサイズマーカー・レーン1;AMVおよびKOD FXの組み合わせ・レーン2;AMVおよびrTthの組み合わせ [考察] 発明者が作製したReaction Mixに、市販の逆転写酵素AMV(New England BioLabs社製)と、市販のDNAポリメラーゼKOD FX(東洋紡績(株)製)またはrTth(東洋紡績(株)製)とを組み合わせて用いることで、定法のRT−PCR条件下、糞便中に添加した106コピーの合成ノロウイルスRNAを検出できた。 今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。 1 頭髪、2 毛根、3 担体、4 PCR反応液、5 蓋、10 プローブDNA−1を固定した位置、15 プローブDNA−2を固定した位置、20 ポジティブコントロールの位置、25 ネガティブコントロールの位置。 特定遺伝子の検出を目的とする固形被検試料を採取する工程と、 プレート状またはチューブ状の担体上で、前記固形被検試料をバッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液、および前記特定遺伝子を増幅するためのプライマーDNAに直接接触させて、PCR法、LAMP法、SDA法、RT−SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法から選ばれる方法を施して、前記特定遺伝子を増幅する工程と、 前記特定遺伝子の増幅量を検出する工程と、 を備える特定遺伝子を検出する方法。 前記固形被検試料を採取する工程では、 毛根、口腔粘膜、細胞組織、皮膚、乾性耳垢および固形食品から選ばれる固形物から直接前記固形被検試料を採取する、 または、 鼻汁、鼻腔ぬぐい液、眼結膜ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、喀痰、糞便、血液、血清、血漿、髄液、唾液、尿、汗、乳、精液、口腔ぬぐい液、歯間ぬぐい液、湿性耳垢、膣腔ぬぐい液、食品および細胞組織から選ばれる液状物を乾燥させることで前記固形被検試料を採取する請求項1に記載の方法。 前記固形被検試料を採取する工程では、糞便を植物繊維体に塗布し、前記植物繊維体を自然乾燥した後にシリカゲルとともに密閉して1時間以上保持することで前記固形被検試料を採取する請求項1に記載の方法。 前記固形被検試料を採取する工程では、植物の葉、茎、根、果実から選ばれる固形物から直接前記固形被検試料を採取する、または、植物の葉、茎、根、果実から選ばれる固形物を溶解させた後乾燥させることで前記固形被検試料を採取する請求項1に記載の方法。 前記担体は、ホスホリルコリン基を有する第一単位とカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質で被覆された不溶性担体であり、かつ、表面に前記特定遺伝子の少なくとも一部と相補的な配列からなるプローブDNAを固定化されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 前記担体は、複数種の前記プローブDNAを固定化されてなる請求項5に記載の方法。 前記特定遺伝子の増幅量を検出する工程では、DNAシーケンス法、ゲル電気泳動法、平板状のDNAチップまたはビーズによるハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR法、および前記プローブDNAを利用した伸張反応またはハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法のいずれかの方法で前記特定遺伝子の増幅量を検出する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 前記特定遺伝子を増幅する工程では、前記プローブDNAで、前記固形被検試料の前記特定遺伝子としてのRNAをハイブリダイゼーションで捕捉し、RT−PCR法にて特定遺伝子を増幅する請求項5に記載の方法。 前記特定遺伝子を増幅する工程では、前記担体上の液相で前記特定遺伝子を増幅し、 前記特定遺伝子の増幅量を検出する工程では、同時に複数種の前記プローブDNAで前記特定遺伝子を捕捉する請求項6に記載の方法。 前記固形被検試料が細胞、真菌、細菌およびウイルスから選ばれるRNAを包含する試料を含むものであり、検出する特定遺伝子がRNAである、請求項1に記載の方法。 バッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液が、融解温度調整剤をさらに含む、請求項10に記載の方法。 【課題】被検試料における核酸の分離および精製などの前処理を必要とせず、簡易に高感度で検出し得る特定遺伝子の検出方法を提供する。また特定遺伝子がRNAである場合、核酸合成に対する阻害物質の作用を抑制して、生体試料中のRNAを効率よく増幅させ得る特定遺伝子の検出方法を提供する。【解決手段】特定遺伝子の検出を目的とする固形被検試料を採取する工程と、プレート状またはチューブ状の担体上で、前記固形被検試料をバッファーとDNAポリメラーゼとを含む溶液、および前記特定遺伝子を増幅するためのプライマーDNAに直接接触させて、PCR法、LAMP法、SDA法、RT−SDA法、RT−PCR法、RT−LAMP法、NASBA法、TMA法、RCA法、ICAN法、UCAN法、LCR法、LDR法、SMAP法、SMAP2法から選ばれる方法を施して、前記特定遺伝子を増幅する工程と、前記特定遺伝子の増幅量を検出する工程と、を備える特定遺伝子を検出する方法。【選択図】図1配列表


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