生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_T型剥離試験用治具
出願番号:2009215484
年次:2011
IPC分類:G01N 19/04


特許情報キャッシュ

嶋▲崎▼ 優絵 JP 2011064570 公開特許公報(A) 20110331 2009215484 20090917 T型剥離試験用治具 凸版印刷株式会社 000003193 嶋▲崎▼ 優絵 G01N 19/04 20060101AFI20110304BHJP JPG01N19/04 D 2 2 OL 8 本発明は2層以上の構成の積層フィルムのT型剥離強度試験に関するものであり、特に剥離強度を正確に安定して計測できる剥離試験装置に用いる治具に関するものである。 積層フィルムは粘着剤によって貼り合わされた2層もしくは3層以上の層構成からなっており、その層間の密着力を評価する試験として、剥離試験が知られている。剥離接着強さの試験方法には、T型剥離、90度剥離、180度剥離などがあり、適宜選択して測定を行う。具体的な方法は日本工業規格(JIS)に規定されている(非特許文献1)。 本発明に関するT型剥離について説明する。この剥離試験方法は、まず粘着剤によって貼り合わされた積層フィルムの貼着部材と被貼着部材の間にカッターなどで切り込んで層間を剥離する。 引き剥がしたことによって2層に剥離した積層フィルムの一方を試験機の把持部でしっかりと掴み、もう一方を試験機のもう一方の把持部でしっかりと掴み一直線上(相互になす角度が180度)に引っ張ることができるようにする。積層フィルムの未剥離部は、それらと垂直に固定し、T型状にする。その後、T型状を保持したまま、試験機の把持部を所定の剥離速度で引き剥がす方向に移動させて、把持部が剥離する方向に移動した距離に対して、剥離するのに加えられた力を記録するというものである。JIS K6854 このようなT型剥離において、T型状の試料を作っている未剥離部分を人の手で固定して剥離する場合、剥離試験中、積層フィルムが剥離し2つのフィルムに分かれて行くときに、それら2つのフィルムがなす角度が測定中に一定にならないという状況になる。また測定毎に変ってしまうという状況になる。このように、T型剥離では、測定中に角度がばらつくという現象が生じるため、正確な剥離強度を測定できないという問題があった。 そこで、本発明は上述した実情を考慮してなされたもので、積層フィルムをT型剥離する場合に、剥離試験中いつも一定の角度になるようにし、剥離強度を正確に安定して計測することができるT型剥離試験用治具を提供することを目的とする。上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、少なくとも2層以上の積層フィルム部材から成る試験片の端部を2層に剥離し、剥離した端部のそれぞれを把持して互いに逆方向に移動させて未剥離部を剥離することにより、剥離強度を測定するT型剥離試験に使用する治具であって、 2つの試験片固定具と歯車とを備えて構成され、 この2つの試験片固定具のうち、一方の試験片固定具は、試験片の剥離端部を把持して固定する固定部であり、他方の試験片固定具は、試験片の剥離端部を把持して上方に移動する移動部であり、 歯車は移動部にワイヤーで吊るされており、未剥離部と剥離部との境界あるいはその近傍の位置で、移動部側から試験片を押さえる機能を有するものである、 ことを特徴とするT型剥離試験用治具である。また、請求項2に記載の発明は、前記積層フィルムの未剥離部と、2つのフィルムに剥離し2方向に分離して直線状になった前記剥離部とが常に垂直になるように、前記歯車の移動方向と移動距離を制御する方法において、 前記歯車の移動方向が前記試験片固定部の前記移動部と同じ方向であり、 前記歯車の移動距離が前記移動部の移動距離の1/2である、 ことを特徴とする請求項1に記載のT型剥離試験用治具である。 以上説明したように、本発明のT型剥離試験用治具によれば、T型剥離試験の際、測定者によらず試験中、安定して剥離角度を一定にすることができ、剥離強度を安定して正確に計測することが可能となる。本発明の積層フィルムの例を示す断面図で、(a)は剥離試験前、(b)はT型剥離後。本発明のT型剥離試験用治具を市販の万能試験機に取り付けた状態の例を示す正面図。本発明のT型剥離試験用治具を用いた剥離試験方法による荷重曲線のグラフの例。 本発明のT型剥離試験用治具について説明する。図1に剥離試験前と後の試料の断面図を示した。図2に、本発明のT型剥離試験用治具が市販の万能試験機に取り付けられた状態の正面図を示した。 まず、図1から図面を用い、さらに詳しく説明する。図1は試験片の上層部1と下層部2の2層構成の試料の断面図を示している。(a)が剥離試験前、(b)が剥離試験後で、各層が180度方向に剥離している様子を示している。また、図1は試験片が上層部と下層部の2層構成品であるが、3層以上でも構わない。剥離強度を測定したい界面で剥離すれば良い。 次に図2について説明する。 試験片固定具の移動部4、試験片固定具の固定部6は、試験片を2層に一部剥離させた剥離片の保持治具である。試験片把持部5への試料の固定はエアー駆動機構10による駆動力を使用している。 歯車8はワイヤー9により試験片固定具の移動部4に取り付けられており、試験片固定具の移動部4と共に上昇するようになっている。その際、歯車8は試験片の未剥離部分の上に載せる。T型剥離のガイドの役割を果たす歯車8は、下からも押さえると押さえる力が強すぎて剥離の際の荷重値に影響するため試験片の上からのみ接触するようにする。 このように歯車8を、試験片がT型になるように固定することで、T型剥離のガイドの役割を担わせることになり、試験片の未剥離部分が剥離開始された上層1及び下層2に対して常に一定の角度を保持するようにすることができる。 また、歯車8は試験片固定具の移動部4の上昇距離の半分の距離だけ上昇させることにより、常に剥離中心点に歯車8が配置される機構となる。 このように試験片が所定の角度を保持すると、測定者によるT型角度のばらつき現象が抑えられ、試験片の剥離強度を安定して正確に計測することが可能になる。 測定時は試験片固定具の固定部6に対して試験片固定具の移動部4が荷重検出器と共に、この例ではモータ駆動によって図2の矢印方向へ移動(この例では上昇)する。これにより、試験片の上層1が試験片の下層2から剥がされるときの荷重を荷重計測器が計測し、試験片の剥離強度が得られる。 試験片固定具の移動部4、試験片固定具の固定部6は剥離試験器として一般的に使用されているテンシロン(株式会社エー・アンド・デイ社製の万能試験機)等に取り付けるのが簡単であり、望ましい。 本発明の試験片固定具の固定部は、エアー駆動機構により駆動し圧着させる試験片把持部を設けたものを用い、試験片固定具の移動部は試験片固定具の固定部と同じ構造で上下が逆であるものを用いた。試験片固定具(固定部と移動部)は剥離試験器として一般的に使用されている万能試験機などに取り付けることができるものが簡単で望ましく、具体的には、テンシロン万能試験機、型式RTC−1250(株式会社エー・アンド・デイ社製)に取り付けることができるようにした。 試料としては高分子フィルムなど薄膜状の試料が挙げられるが、今回はPET120μm上に2液混合・温度硬化型のウレタン系樹脂を20μm塗布した2層の積層フィルムを用いた。 手順としては、まずPETフィルムとウレタン樹脂フィルムが接着している2層フィルムにおいて、カッターを用いて層間を剥離させる。その際、テープを補助的に用いると簡単に剥離のきっかけが生じるので望ましい。試料の大きさは幅15mm、長さ150mmに切断した。 次に、カッターによって剥離したウレタン樹脂フィルムを試験片固定具の移動部、もう一方の剥離したPETフィルムは試験片固定具の固定部の試験片把持部にそれぞれ取り付けた。つまり、未剥離部分はX方向に置いておき、剥離したウレタン樹脂フィルムとPETフィルムはZ方向にそれぞれ180度に向け、T型になるように固定した。その際、PETフィルムとウレタン樹脂フィルムを逆に固定しても構わない。常に試験を行う際、いつも同じ側で揃えて実施すれば再現性もあり問題ない。試験片の試験片把持部への固定は、エアー駆動機構により試験片把持部を駆動することにより実施した。 次にワイヤーを試験片固定具の移動部の底部に固定し、垂れ下がったワイヤーの下端に歯車をつけ、吊るした状態にした。その際、歯車を試験片の未剥離部分に設置させた。この際、できるだけ剥離箇所に近い部分に設置することが望ましい。また、歯車の上昇移動距離は試験片固定具の移動部の半分の距離となる機構を使用している。 また、試験片を剥離させた時、剥離した各フィルムを比べ、剛性の強い側を下の試験片固定具の固定部に固定した方が、歯車を上から設置させる都合上、安定したT型になる。また、下からT型の試験片を固定する場合は剛性の強い側を上の試験片固定具の移動部に固定した方が安定する。 最後に、試験片固定具の移動部を速度300mm/分で上昇させ(+Z方向へ移動)、剥離試験を実施した。ロードセルにより剥離中の荷重値を測定した(図3参照)。剥離中の荷重値が一定になったところから(図3において時間が3s〜20sの間の荷重値)平均値を算出し、その値を密着力とした。 本発明のT型剥離試験用治具によれば、T型剥離試験の際、測定者によらず試験中安定して剥離角度を一定にすることができ、剥離強度を安定して正確に計測することができる。1・・・試験片の上層部2・・・試験片の下層部3・・・ロードセル4・・・試験片固定具の移動部5・・・試験片把持部6・・・試験片固定具の固定部7・・・エアー供給源8・・・歯車9・・・ワイヤー10・・・エアー駆動機構 少なくとも2層以上の積層フィルム部材から成る試験片の端部を2層に剥離し、剥離した端部のそれぞれを把持して互いに逆方向に移動させて未剥離部を剥離することにより、剥離強度を測定するT型剥離試験に使用する治具であって、 2つの試験片固定具と歯車とを備えて構成され、 この2つの試験片固定具のうち、一方の試験片固定具は、試験片の剥離端部を把持して固定する固定部であり、他方の試験片固定具は、試験片の剥離端部を把持して上方に移動する移動部であり、 歯車は移動部にワイヤーで吊るされており、未剥離部と剥離部との境界あるいはその近傍の位置で、移動部側から試験片を押さえる機能を有するものである、 ことを特徴とするT型剥離試験用治具。 前記積層フィルムの未剥離部と、2つのフィルムに剥離し2方向に分離して直線状になった前記剥離部とが常に一定角度になるように、前記歯車の移動方向と移動距離を制御する方法において、 前記歯車の移動方向が前記試験片固定部の前記移動部と同じ方向であり、 前記歯車の移動距離が前記移動部の移動距離の1/2である、 ことを特徴とする請求項1に記載のT型剥離試験用治具。 【課題】 T型剥離では測定者に依存し、測定中に角度がばらつくという現象が生じるため、正確な剥離強度を測定できないという問題がある。【解決手段】少なくとも2層以上の積層フィルム部材から成る試験片の端部を2層に剥離し、剥離した端部のそれぞれを把持して互いに逆方向に移動させて未剥離部を剥離することにより、剥離強度を測定するT型剥離試験に使用する治具であって、 2つの試験片固定具と歯車とを備えて構成され、 この2つの試験片固定具のうち、一方の試験片固定具は、試験片の剥離端部を把持して固定する固定部であり、他方の試験片固定具は、試験片の剥離端部を把持して上方に移動する移動部であり、 歯車は移動部にワイヤーで吊るされており、未剥離部と剥離部との境界あるいはその近傍の位置で、移動部側から試験片を押さえる機能を有するものである、 ことを特徴とするT型剥離試験用治具。【選択図】図2


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