生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アセチレンを供給するための方法およびシステム
出願番号:2009214740
年次:2010
IPC分類:C07C 7/00,C07C 11/24,C07C 7/04


特許情報キャッシュ

ティモシー ジョン メイカット スハース ナラヤン ケトカール ベンジャミン ジェイムズ アーサー インマン ジョン アーベン ユージン ジョセフ カーワッキ,ジュニア ニール アレクサンダー ダウニー JP 2010070554 公開特許公報(A) 20100402 2009214740 20090916 アセチレンを供給するための方法およびシステム エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド 591035368 AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 小林 良博 100102990 出野 知 100128495 鈴木 康義 100154391 ティモシー ジョン メイカット スハース ナラヤン ケトカール ベンジャミン ジェイムズ アーサー インマン ジョン アーベン ユージン ジョセフ カーワッキ,ジュニア ニール アレクサンダー ダウニー US 61/097,352 20080916 US 12/554,052 20090904 C07C 7/00 20060101AFI20100305BHJP C07C 11/24 20060101ALI20100305BHJP C07C 7/04 20060101ALI20100305BHJP JPC07C7/00C07C11/24C07C7/04 11 1 OL 13 4H006 4H006AA02 4H006AD10 4H006AD11 4H006BB16 4H006BB20 4H006BB24 4H006BC51 4H006BD84(関連出願の相互参照) 本願は、2008年9月16日に出願された米国仮特許出願第61/097,352号の利益を主張するものである。 好ましくは、高純度レベル(たとえば、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む)のアセチレンを使用ポイントに供給するためのシステムおよび方法が本明細書に記載されている。半導体製造で使用するための実質的に溶媒のない(たとえば、100ppm以下の溶媒を含む)アセチレンの連続的な流れを供給する供給システムが本明細書に特に記載されている。 半導体製造業者は、たとえば、ハ−ド(カ−ボンリッチ)マスクコ−ティングプロセスなどのある用途のためにアセチレン(C2H2)を使用している。アセチレンは、製造業者に届けて、その後取り外して再び充填することができるシリンダーで、使用ポイントに一般に供給される。しかし、アセチレンには、取り扱う際や供給する際に多くの問題が存在する。アセチレンは、熱力学的に最も不安定な一般的なガスであり、非常に燃えやすく、非常に広い爆発範囲(空気中で2%から80%)を有し、そして、圧力およびある条件下で爆発力を伴って分解する可能性がある。後者に関しては、6psigしかない圧力下で純粋なアセチレンは、ある条件下で激しく分解する可能性がある。アセチレンシリンダーは、アセチレンが溶け込むアセトンもしくは別の好適な溶媒で浸された多孔質材料を備えることにより、分解および引火性に関する前記問題を回避するように設計される。多孔質体と溶媒との組み合わせにより、約250psigの圧力のシリンダー内でアセチレンを安全に貯蔵することができる。しかし、アセトン溶媒は、製造プロセス、最終製品もしくは両方を汚染する可能性のあるアセトン蒸気を10%まで持ち込む可能性がある。 それゆえに、当該技術分野において、アセチレンの安全な取り扱いと、特に半導体製造プロセスのためにアセチレンが高純度レベルで供給される使用ポイントへの供給とのためのシステムおよび方法を提供する必要性が存在する。 好ましくは高純度レベル(たとえば、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む)で、使用ポイントにアセチレンを供給するための方法およびシステムが本明細書に記載されている。一態様では、100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するための方法であって、20℃から−50℃の範囲の温度でアセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を供給するステップと、その中に含まれている溶媒の少なくとも一部を除去して高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の範囲の温度の精製器にアセチレン供給流を導入するステップとを含む方法を提供する。ある態様では、供給流が室温(たとえば、約25℃)の精製器に入る。 別の態様では、ジメチルホルムアミドを含む溶媒を100ppm以下含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するための方法であって、高純度アセチレンを供給するために、20℃から−50℃の範囲にアセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流の温度を下げるステップと、高純度アセチレンを使用ポイントに導入するステップとを含む方法を提供する。 さらに別の態様では、精製したアセチレン流体の使用ポイント、たとえば、半導体製造場所への流れを供給するシステムを提供する。一態様では、100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するためのシステムであって、アセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を収容する貯蔵容器と、20℃から−50℃の範囲の温度で、貯蔵容器を維持し、アセチレン供給流を供給する冷却システムと、貯蔵容器と流体連通する精製器とを含み、それらに含まれる溶媒の少なくとも一部を除去して高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の範囲の温度の精製器にアセチレン供給流を導入するシステム。図1は、本明細書に記載された高純度アセチレンを供給するためのシステムの態様の一例を示す。図2は、3つの異なる温度条件(たとえば、−20℃、0℃、および20℃)における9つの例示的なアセチレン含有シリンダーに関する、アセトンの濃度対シリンダー圧の比較を示す。図3は、熱力学的モデルに関して、20℃の温度および10標準リットル/分(SPLM)の流量における3つの例示的なアセチレン含有シリンダーについて、アセトンの濃度とアセチレンの圧力との間の関係を説明する。図4は、熱力学的モデルに関して、0℃の温度および10標準リットル/分(SPLM)の流量における3つの例示的なアセチレン含有シリンダーについて、アセトンの濃度とアセチレンの圧力との間の関係を説明する。図5は、熱力学的モデルに関して、−20℃および10標準リットル/分(SPLM)の流量における3つの例示的なアセチレン含有シリンダーについて、アセトンの濃度とアセチレンの圧力との間の関係を説明する。図6は、20℃の温度におけるアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の、同じ温度におけるジメチルホルムアミド(DMF)を含むアセチレン含有シリンダーの熱力学的モデルに対する、ppm単位の溶媒の濃度の比較を示す。図7は、0℃の温度におけるアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の、同じ温度におけるジメチルホルムアミド(DMF)を含むアセチレン含有シリンダーの熱力学的モデルに対する、ppm単位の溶媒の濃度の比較を示す。図8は、−20℃の温度におけるアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の、同じ温度におけるジメチルホルムアミド(DMF)を含むアセチレン含有シリンダーの熱力学的モデルに対する、ppm単位の溶媒の濃度の比較を示す。図9は、−20℃の温度に冷却され、精製器を通過もしくは通過しないアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の部分濃度を比較する。 高純度レベル(たとえば、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む)のアセチレン(C2H2)を、たとえば、イオン注入機、エッチングチャンバ、化学蒸着反応装置もしくは原子層蒸着反応装置などの(これらに限定されないが)半導体製造機器などの使用ポイントに供給するシステムおよび方法が本明細書に記載されている。 前に言及したように、アセチレン貯蔵シリンダーもしくは容器は、アセチレンが溶け込むアセトンおよび/または別の好適な溶媒で浸された多孔質材料を備えることによって、分解および引火性に関する問題を回避するように設計される。アセチレン貯蔵シリンダーもしくは容器の中で使用される溶媒の例には、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−ピロリドンおよびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、チラーシステムの使用もしくは他の方法を経て貯蔵源で20℃から−50℃の範囲の温度に貯蔵容器もしくはシリンダーを冷却することにより、20℃から−50℃の範囲の温度のアセチレン供給流を供給することによって、当該技術分野に関連する問題を回避する。アセチレン供給流が供給される20℃から−50℃の温度範囲には、以下の端点のうちの1つもしくは2つ以上のいずれかを挙げることができる。すなわち、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、−5℃、−10℃、−15℃、−20℃、−25℃、−30℃、−35℃、−40℃、−45℃もしくは−50℃。アセチレン貯蔵容器についてのある温度範囲の例には、0℃〜−35℃、20℃〜−5℃もしくは10℃〜−15℃があるが、これらに限定されない。アセチレン供給流が供給される特定の温度範囲は、それらに含有する1種もしくは2種以上の溶媒の蒸気圧に基づいて変わり得る。下げられた温度では、溶媒の蒸気圧は、アセチレン供給流に持ち越される溶媒が最小になるほど低くなる。たとえば、アセチレンがアセトン溶媒の中に溶ける態様では、アセチレン供給流が−20℃の温度の貯蔵容器から供給されている場合、その蒸気圧が0.02654バールであるので、より多くのアセトン溶媒が貯蔵容器の中に残る。アセチレンがDMF溶媒の中に溶ける他の態様では、−20℃の温度の貯蔵容器からアセチレン供給流が供給される場合、その蒸気圧が0.00019バールであるので、より多くのDMF溶媒が貯蔵容器の中に残る。後者の態様では、DMF溶媒を含むアセチレン供給流は、−20℃などの温度に下げられた後、使用ポイントに供給するのに十分な純度となり得る。その結果、1つもしくは2つ以上の精製器を通過する必要がない。下記の表1は、DMFを含む貯蔵容器からアセチレンを分配する温度と、その温度範囲内のある分配温度におけるバール単位の蒸気圧とを示す。 アセトンを除去するためのガス相冷却方法と違って、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、また、液体アセチレンを生成させる可能性を減少させることができ、また、顧客がアセチレン貯蔵容器内に収容された溶媒を取り扱う必要性を除くことができる。 また、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、精製したアセチレン流体流を使用ポイントに供給する前に使用される1つもしくは2つ以上の精製器を提供する。本明細書で使用されているように、用語「流体」は、物質における液体ならびに気体状の昇華した固体およびそれらの変形物を意味する。本システムおよび方法の中で使用できる精製器の例には、活性炭素、モリキュラーシーブ、シリカゲル、ゼオライトおよびそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない。1つもしくは2つ以上の精製器は、アセチレン供給流に存在するかもしれない、残っている残余の溶媒を除去するように作用する。精製器に入っているアセチレン供給流の温度はより低いので、精製器における「処理量」は少なくなる。なぜならば、精製器に入ったときのアセチレン供給流内に存在する溶媒がより少なく、それゆえ、アセチレン供給流から除去することが必要な溶媒がより少なくなるからである。これにより所有のための全体のコストを減少させることができる。なぜならば、持ち越される溶媒がより少なく、それにより、精製器の大きさおよび能力を減少させるからである。さらに、本明細書に記載された本システムおよび方法の精製器(複数可)は、約−50℃から30℃の範囲の温度で作動することができる。アセチレン供給流が精製器に入る−50℃〜30℃の温度範囲には、以下の端点のうちの1つもしくは2つ以上のいずれかを挙げることができる。すなわち、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、−5℃、−10℃、−15℃、−20℃、−25℃、−30℃、−35℃、−40℃、−45℃もしくは−50℃。アセチレン貯蔵容器についてのある温度範囲の例には、0℃〜−15℃、20℃〜−5℃もしくは10℃〜30℃があるが、これらに限定されない。一態様では、アセチレン供給流は、室温(たとえば、25℃)における精製器に入る。別の態様では、たとえば、アセチレン供給流がDMF溶媒を含む場合、アセチレン供給流は、ある温度まで低下させたとき、1つもしくは2つ以上の精製器に入る必要がないことがあり得る。 図1は、高純度アセチレン流体を使用ポイントに供給するための、本明細書に記載されたシステムの一態様の例を示す。この態様では、本システムおよび方法は、十分重複性があるように設計された少なくとも2つのシリンダー10,20を含ませることによって、半導体製造プロセスへの、一貫した、止まることのない溶媒除去のアセチレンの供給を提供する。アセチレン供給流は、第1の、もしくは1番目のシリンダーもしくは貯蔵容器10からダウンストリームプロセスに供給される。一方、第2の、もしくは2番目のシリンダーもしくは貯蔵容器20が予備もしくは代替シリンダーとして備えられている。たとえば、もし、アセチレン供給流が第1のシリンダーの近くで、たとえば、量の減少、機器の故障などで流れなくなった場合、アセチレン供給流は自動的に第2のシリンダーに切り替わる(自動クロスオーバー)。別の態様では、アセチレン供給流の止まることのない流れを供給するために、複数のアセチレン貯蔵容器を使用することができる。本システムは、種々の圧力制御バルブ(「PCV」)、レベルセンサー、熱センサー、安全バルブ、冷却システムなどの1つもしくは2つ以上のシステム構成要素と電子通信する中央処理装置(「CPU」)100をさらに含む。また、CPU100は、第1および第2のシリンダー10,20の温度を制御し、供給圧力、シリンダー圧力およびシリンダー重量を監視することができる。たとえば、第1のシリンダー10のシリンダー重量およびシリンダー圧力が小さくなることは、CPU100によって監視されている既定の設定点で、予備すなわち2番目のシリンダー20に対する自動クロスオーバーのトリガーになることができる。この態様では、操作者は、流れが第2のシリンダー20から製造プロセスに供給されるのと同時に、すぐに空の第1のシリンダー10を変えることができるので、半導体プロセスへのプロセスガスの流れは止まらない。 シリンダー10,20は、アセチレンと、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−ピロリドン、およびそれらの混合物(しかし、これらに限定されないが)から選択される少なくとも1種の溶媒とを含むアセチレン供給流を含む。アセチレンは溶媒に溶け込む。また、ある態様では、シリンダーは、ケイ酸カルシウム(しかしこれに限定されないが)などの多孔質媒質を含むことができる。その多孔質媒質は、アセチレン供給流に含まれている溶媒を吸収するために使用される。シリンダーは、250ポンド/平方インチ(psi)までの圧力で貯蔵する。安全の理由のため、供給圧力は15psigを越えない。また、シリンダー10,20は、フラッシュアレスター130を備えている。フラッシュアレスター130は、もし、たとえば、シリンダー10,20が突然機能しなくなったり、破損したりした場合に、急に圧力が開放されるのを防止するように設計される。また、ある態様では、シリンダー10,20は、本出願の譲受人に譲渡された係属中の欧州特許出願第916891号明細書に描かれているような圧力調節器140を備えている。図1に示す態様では、シリンダー10,20は、0℃から−20℃の範囲の温度に再循環チラー30で冷却される。1つの特定の態様では、シリンダー冷却ジャケット15を使用してシリンダー10,20は冷却される。シリンダー冷却ジャケット15は、ライン110を通ってチラーと接続する。しかし、シリンダー10,20もしくは両方を所望の温度範囲に維持するために他の方法を採用することができることは想像される。図1に描かれたシステムは、前記温度範囲および前記圧力範囲でアセチレン含有流体を安全に貯蔵し取り扱える調節器、流量計、バルブ、ホースおよびパイプラインを含む。また、図1に描かれたシステムは、高純度運転のため、自動的に精製し放出するように設計される。パージライン80がV4(90)を通って接続され、ベントがV5(40)およびV6(50)を通って接続される。自動パージサイクルは、正圧パージガス流出時間と真空ベンチュリ菅を経る負圧への真空排気時間との間を切り替えるために、CPU(100)コントローラーによって開始され、監視される。図1に描かれたシステム内の圧力変換器および過剰流量スイッチは、システムが作動しない状態の間、警報を発したり停止したりするために、処理状態を監視する。 図1に描かれたシステムでは、シリンダー10およびシリンダー20のどちらかからのアセチレン供給流は、精製したアセチレン流体流を供給するために、約−50℃から30℃の範囲の温度もしくはだいたい25℃までの温度、ならびに15psiまでの圧力の精製器60を通って移動する。図1に描かれたシステムの態様では、アセチレン含有供給流は、精製器に到達する時間までに室温になる。なぜならば、本システムから使用ポイントまでの配管が断熱されていないからである。さらに、図1に描かれたシステムの態様では、供給されるアセチレンの温度は、最終使用プロセスに対して決定的に重要ではない。しかし、精製器に入る前もしくは入るときに、配管の断熱もしくはアセチレン供給流の温度を制御する他の方法を使用できることが想像される。図1に示す態様には、1つの精製器の使用が描かれているが、複数の精製器(たとえば、2つもしくは3つ以上の精製器)を使用するように本システムを変形できることが理解される。さらにまた、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、精製器内に残っている溶媒を除去する再生ステップを許容することができる。本システムおよび方法の中で使用することができる精製器の例には、活性炭素、モリキュラーシーブ、シリカゲル、ゼオライト、およびそれらの組み合わせがあるが、それらに限定されない。本明細書に記載されたシステムおよび方法で使用可能な精製器の1つの特定の例には、カルフォルニア州サンルイスオビスポのSAES Pure Gas, Inc.によって供給されるMICROTOOR(登録商標)MC4500がある。アセチレン含有供給流は、アセチレン含有供給材料内に含まれている残留溶媒のいずれをも除去するために、約−50℃から30℃の範囲の温度、もしくはその代わりに約25℃までの温度、もしくは室温、ならびに15psigまでの圧力の精製器60を通過する。精製したアセチレン流体流は、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む。精製器60を通過した後は、精製したアセチレン流体流は、外に出て使用ポイントの中へ流れる。 本明細書に記載されている方法およびシステムの別の態様では、アセチレンおよび溶媒を含んでいる貯蔵容器は、溶媒の低蒸気圧のために溶媒が貯蔵容器内に残るのに十分な温度に冷やされ、それにより、高純度アセチレン流体流をその容器から直接分配することができ、そして1つもしくは2つ以上の精製器の中に流体流を導入する必要性を回避する。 本明細書に記載されているシステムおよび方法は、少なくとも1つの以下の有利な点を提供する。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、アセチレンシリンダー体積のより大きな使用率を提供することができる。室温(たとえば、25℃)で、アセチレンの使用率は、そのシリンダー内の全アセチレン体積のだいたい50%である。室温で使用率が50%より大きくなると、溶媒の持ち越しが半導体製造プロセスで使用できない程高くなる。シリンダー温度が下がると、その溶媒が非実用的なレベルに達するまでのアセチレンシリンダー体積の使用率がより大きくなるようなレベルまで、溶媒の蒸気圧が下がり得ると信じられている。また、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、シリンダーから出てくる溶媒の総量を減少させることができ、それにより、そのシリンダーにアセトンをより多く加えなければならなくなるまでにシリンダーを詰め替えることができる回数を増加させる。顧客は購入したガスをより多く使用するので、これにより、所有のための全体のコストを減少させる。さらに、使用率が高くなると、シリンダー交換が少なくなり、アセチレンの供給に関する労働コストも減少する。 本明細書に開示された本システムおよび方法をさらに説明するために次の例を示すが、これは、本システムおよび方法を何ら限定することを意図したものではない。例 本明細書に記載されている例は、5kgの公称アセチレン充填を有し、アセチレンが溶ける溶媒としてアセトンを使用する市販のアセチレンシリンダーから供給されるアセチレン供給流を使用する。5〜15標準リットル/分(SPLM)の範囲の供給量で、しかし10SPLMの平均流量で、アセチレン供給流を連続的に供給した。温度状態に基づいて、シリンダーに、シリンダージャケットを備え付け、ThermoScientific Neslabで製造されたチラーを使用して冷却した。各シリンダーからのアセチレン供給流を、イタリアのSAES Gettersで製造されたメガトール(MegaTorr)精製器を通して流した。精製器に入る前および入った後のアセチレン供給流の試料を取り出し、ドレーゲルチューブ(Draeger Tube)(リューベックのDraeger Safety,Inc.製)、非分散赤外(NDIR)(イングランド、ホッデスドンのADC Gas Analysis Ltd.製)、もしくは熱伝導検出器(TCD)付きのガスクロマトグラフィー(GC)(カルフォルニア州、サンタクララのAgilent Technologies製)のいずれかを使用してアセトンの含有量について分析した。10SLPMの平均流量を維持できなくなるほど、シリンダー内のアセチレンを全て使い果たすまで本実験を行った。 それぞれ同じ貯蔵体積を有する3つの異なる温度条件(たとえば、20℃、0℃および−20℃)の3つの異なるシリンダーで実験を行った。異なるシリンダーの挙動におけるばらつきを調査するために、3つの温度のそれぞれで3つの異なるシリンダーで実験を行った。その実験の結果を図2に示す。図2は、同じ温度に保たれた異なるシリンダーの結果にいくらかばらつきがあることを示す。そのばらつきは、シリンダーの中に存在するアセトンの総量のばらつきに起因する。一般に、アセトンは、4回もしくは5回アセチレンを充填した毎にその後、アセチレンシリンダーに加えられる。アセトンの再充填の間で、アセチレンシリンダー内のアセトンの総量は変化する。アセトンはシリンダーから分配されるので、シリンダー内の圧力は減少し、アセチレン中のアセトンの部分濃度(fractional concentration)は増加する。また、図2のデータは、シリンダーの温度が減少しているので、分配されるアセチレンにおけるアセトンの部分濃度も減少しているということを示す。 分配されるアセチレン中のアセトンの部分濃度を予測するために、アセトン中のアセチレンに関する溶解度係数の温度依存性を使用して、熱力学的模擬実験を行い、異なるシリンダー温度(たとえば、−20℃、0℃および20℃)で得られた実験データと比較した。この分析結果を図3,4,5に示す。アセトンおよびDMFにおけるアセチレンの溶解度パラメーターを文献のレビューから取得し、部分濃度を計算するために内部のCAPPコンピューターモデリングプログラムを使用した。図3,4,5は、モデル予測が得られた実験データと一致することを示す。 また、アセトンではなく、溶媒としてのジメチルホルマイド(DMF)に関する温度依存性を使用して、熱力学的模擬実験を行った。アセトンおよびDMF中のアセチレンの溶解度パラメーターを文献のレビューから取得し、部分濃度を計算するために、内部CAPPコンピューターモデリングプログラムを使用した。20℃、0℃および−20℃のシリンダー温度に関する熱力学モデルの結果を図6,7,8に示し、アセトンに関するモデル予測と比較する。そのモデル予測は、アセトン溶媒を使用した場合に比べて、分配されるアセチレン中のDMFの蒸気圧もしくはDMF溶媒の部分濃度が低くなるであろうことを示す。 精製器の使用により、アセチレン中の溶媒の部分濃度がさらに減少する。図9は、−20℃まで冷却したアセチレンシリンダーの中で精製した、または精製しない溶媒としてアセトンを使用して行った実験結果の比較を示す。図9が説明しているように、精製器を通した後の分配されるアセチレン中のアセトンの部分濃度は10ppm以下である。また、図9は、精製器がない場合、シリンダーからアセチレンが使用されるにしたがってアセトン濃度の増加が大きくなることを示す。したがって、精製器は、プロセスのばらつきを取り除き、アセトンの部分濃度をより低い値に保持する。 100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するための方法であって、 20℃から−50℃の範囲の温度で、アセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を供給するステップと、 その中に含まれる前記溶媒の少なくとも一部を除去して前記高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の範囲の温度で、精製器に前記アセチレン供給流を導入するステップとを含む方法。 前記溶媒の少なくとも一部を除去するために、前記精製器を再生するステップをさらに含む請求項1の方法。 前記溶媒が、アセトン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1の方法。 前記導入ステップを室温で行う請求項1の方法。 ジメチルホルムアミドを含む溶媒を100ppm以下含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給する方法であって、 高純度アセチレンを供給するために、アセチレンおよび前記溶媒を含むアセチレン供給流の温度を20℃から−50℃の範囲に下げるステップと、 前記高純度アセチレンを前記使用ポイントに導入するステップとを含む方法。 前記導入ステップの前に、前記アセチレン供給流を精製器に通過させるステップをさらに含む請求項5の方法。 100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するシステムであって、 アセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を収容する貯蔵容器と、 20℃から−50℃の範囲の温度で、前記貯蔵容器を維持し、前記アセチレン供給流を供給する冷却システムと、 前記貯蔵容器と流体連通する精製器とを含み、 その中に含まれる前記溶媒の少なくとも一部を除去して前記高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の範囲の温度の前記精製器に前記アセチレン供給流を導入するシステム。 追加の貯蔵容器をさらに含む請求項7のシステム。 前記システムが、前記冷却システムと電子通信する中央処理装置をさらに含む請求項7のシステム。 前記貯蔵容器が、調節器およびフラッシュアレスターをさらに含む請求項7のシステム。 前記システムが、複数の精製器をさらに含む請求項7のシステム。 【課題】好ましくは高純度レベル(たとえば、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む)のアセチレンを、半導体製造プロセスなどの使用ポイントに供給するためのシステムおよび方法を提供する。【解決手段】一態様では、100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するための方法であって、20℃から−50℃の温度範囲でアセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を供給するステップと、その中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去して高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の温度範囲の精製器にアセチレン供給流を導入するステップとを含む方法を提供する。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_アセチレンを供給するための方法およびシステム

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アセチレンを供給するための方法およびシステム
出願番号:2009214740
年次:2015
IPC分類:C07C 7/00,C07C 7/04,C07C 11/24


特許情報キャッシュ

ティモシー ジョン メイカット スハース ナラヤン ケトカール ベンジャミン ジェイムズ アーサー インマン ジョン アーベン ユージン ジョセフ カーワッキ,ジュニア ニール アレクサンダー ダウニー JP 5755834 特許公報(B2) 20150605 2009214740 20090916 アセチレンを供給するための方法およびシステム エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド 591035368 AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 永坂 友康 100111903 小林 良博 100102990 出野 知 100128495 ティモシー ジョン メイカット スハース ナラヤン ケトカール ベンジャミン ジェイムズ アーサー インマン ジョン アーベン ユージン ジョセフ カーワッキ,ジュニア ニール アレクサンダー ダウニー US 61/097,352 20080916 US 12/554,052 20090904 20150729 C07C 7/00 20060101AFI20150709BHJP C07C 7/04 20060101ALI20150709BHJP C07C 11/24 20060101ALI20150709BHJP JPC07C7/00C07C7/04C07C11/24 C07C7/00,7/04,11/24,C07B61/00,63/00,H01L21/00 特表2006−522079(JP,A) 特開昭63−295518(JP,A) 特開昭62−19539(JP,A) 特開平11−218297(JP,A) 特開昭54−47119(JP,A) 特開2004−148257(JP,A) 特開昭63−13999(JP,A) 4 2010070554 20100402 11 20091030 2013024377 20131211 井上 雅博 瀬良 聡機 木村 敏康(関連出願の相互参照) 本願は、2008年9月16日に出願された米国仮特許出願第61/097,352号の利益を主張するものである。 好ましくは、高純度レベル(たとえば、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む)のアセチレンを使用ポイントに供給するためのシステムおよび方法が本明細書に記載されている。半導体製造で使用するための実質的に溶媒のない(たとえば、100ppm以下の溶媒を含む)アセチレンの連続的な流れを供給する供給システムが本明細書に特に記載されている。 半導体製造業者は、たとえば、ハ−ド(カ−ボンリッチ)マスクコ−ティングプロセスなどのある用途のためにアセチレン(C2H2)を使用している。アセチレンは、製造業者に届けて、その後取り外して再び充填することができるシリンダーで、使用ポイントに一般に供給される。しかし、アセチレンには、取り扱う際や供給する際に多くの問題が存在する。アセチレンは、熱力学的に最も不安定な一般的なガスであり、非常に燃えやすく、非常に広い爆発範囲(空気中で2%から80%)を有し、そして、圧力およびある条件下で爆発力を伴って分解する可能性がある。後者に関しては、6psigしかない圧力下で純粋なアセチレンは、ある条件下で激しく分解する可能性がある。アセチレンシリンダーは、アセチレンが溶け込むアセトンもしくは別の好適な溶媒で浸された多孔質材料を備えることにより、分解および引火性に関する前記問題を回避するように設計される。多孔質体と溶媒との組み合わせにより、約250psigの圧力のシリンダー内でアセチレンを安全に貯蔵することができる。しかし、アセトン溶媒は、製造プロセス、最終製品もしくは両方を汚染する可能性のあるアセトン蒸気を10%まで持ち込む可能性がある。 それゆえに、当該技術分野において、アセチレンの安全な取り扱いと、特に半導体製造プロセスのためにアセチレンが高純度レベルで供給される使用ポイントへの供給とのためのシステムおよび方法を提供する必要性が存在する。 好ましくは高純度レベル(たとえば、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む)で、使用ポイントにアセチレンを供給するための方法およびシステムが本明細書に記載されている。一態様では、100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するための方法であって、20℃から−50℃の範囲の温度でアセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を供給するステップと、その中に含まれている溶媒の少なくとも一部を除去して高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の範囲の温度の精製器にアセチレン供給流を導入するステップとを含む方法を提供する。ある態様では、供給流が室温(たとえば、約25℃)の精製器に入る。 別の態様では、ジメチルホルムアミドを含む溶媒を100ppm以下含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するための方法であって、高純度アセチレンを供給するために、20℃から−50℃の範囲にアセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流の温度を下げるステップと、高純度アセチレンを使用ポイントに導入するステップとを含む方法を提供する。 さらに別の態様では、精製したアセチレン流体の使用ポイント、たとえば、半導体製造場所への流れを供給するシステムを提供する。一態様では、100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するためのシステムであって、アセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を収容する貯蔵容器と、20℃から−50℃の範囲の温度で、貯蔵容器を維持し、アセチレン供給流を供給する冷却システムと、貯蔵容器と流体連通する精製器とを含み、それらに含まれる溶媒の少なくとも一部を除去して高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の範囲の温度の精製器にアセチレン供給流を導入するシステム。図1は、本明細書に記載された高純度アセチレンを供給するためのシステムの態様の一例を示す。図2は、3つの異なる温度条件(たとえば、−20℃、0℃、および20℃)における9つの例示的なアセチレン含有シリンダーに関する、アセトンの濃度対シリンダー圧の比較を示す。図3は、熱力学的モデルに関して、20℃の温度および10標準リットル/分(SLPM)の流量における3つの例示的なアセチレン含有シリンダーについて、アセトンの濃度とアセチレンの圧力との間の関係を説明する。図4は、熱力学的モデルに関して、0℃の温度および10標準リットル/分(SLPM)の流量における3つの例示的なアセチレン含有シリンダーについて、アセトンの濃度とアセチレンの圧力との間の関係を説明する。図5は、熱力学的モデルに関して、−20℃および10標準リットル/分(SLPM)の流量における3つの例示的なアセチレン含有シリンダーについて、アセトンの濃度とアセチレンの圧力との間の関係を説明する。図6は、20℃の温度におけるアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の、同じ温度におけるジメチルホルムアミド(DMF)を含むアセチレン含有シリンダーの熱力学的モデルに対する、ppm単位の溶媒の濃度の比較を示す。図7は、0℃の温度におけるアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の、同じ温度におけるジメチルホルムアミド(DMF)を含むアセチレン含有シリンダーの熱力学的モデルに対する、ppm単位の溶媒の濃度の比較を示す。図8は、−20℃の温度におけるアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の、同じ温度におけるジメチルホルムアミド(DMF)を含むアセチレン含有シリンダーの熱力学的モデルに対する、ppm単位の溶媒の濃度の比較を示す。図9は、−20℃の温度に冷却され、精製器を通過もしくは通過しないアセチレン含有シリンダー内のアセトン溶媒の部分濃度を比較する。 高純度レベル(たとえば、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む)のアセチレン(C2H2)を、たとえば、イオン注入機、エッチングチャンバ、化学蒸着反応装置もしくは原子層蒸着反応装置などの(これらに限定されないが)半導体製造機器などの使用ポイントに供給するシステムおよび方法が本明細書に記載されている。 前に言及したように、アセチレン貯蔵シリンダーもしくは容器は、アセチレンが溶け込むアセトンおよび/または別の好適な溶媒で浸された多孔質材料を備えることによって、分解および引火性に関する問題を回避するように設計される。アセチレン貯蔵シリンダーもしくは容器の中で使用される溶媒の例には、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−ピロリドンおよびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、チラーシステムの使用もしくは他の方法を経て貯蔵源で20℃から−50℃の範囲の温度に貯蔵容器もしくはシリンダーを冷却することにより、20℃から−50℃の範囲の温度のアセチレン供給流を供給することによって、当該技術分野に関連する問題を回避する。アセチレン供給流が供給される20℃から−50℃の温度範囲には、以下の端点のうちの1つもしくは2つ以上のいずれかを挙げることができる。すなわち、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、−5℃、−10℃、−15℃、−20℃、−25℃、−30℃、−35℃、−40℃、−45℃もしくは−50℃。アセチレン貯蔵容器についてのある温度範囲の例には、0℃〜−35℃、20℃〜−5℃もしくは10℃〜−15℃があるが、これらに限定されない。アセチレン供給流が供給される特定の温度範囲は、それらに含有する1種もしくは2種以上の溶媒の蒸気圧に基づいて変わり得る。下げられた温度では、溶媒の蒸気圧は、アセチレン供給流に持ち越される溶媒が最小になるほど低くなる。たとえば、アセチレンがアセトン溶媒の中に溶ける態様では、アセチレン供給流が−20℃の温度の貯蔵容器から供給されている場合、その蒸気圧が0.02654バールであるので、より多くのアセトン溶媒が貯蔵容器の中に残る。アセチレンがDMF溶媒の中に溶ける他の態様では、−20℃の温度の貯蔵容器からアセチレン供給流が供給される場合、その蒸気圧が0.00019バールであるので、より多くのDMF溶媒が貯蔵容器の中に残る。後者の態様では、DMF溶媒を含むアセチレン供給流は、−20℃などの温度に下げられた後、使用ポイントに供給するのに十分な純度となり得る。その結果、1つもしくは2つ以上の精製器を通過する必要がない。下記の表1は、DMFを含む貯蔵容器からアセチレンを分配する温度と、その温度範囲内のある分配温度におけるバール単位の蒸気圧とを示す。 アセトンを除去するためのガス相冷却方法と違って、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、また、液体アセチレンを生成させる可能性を減少させることができ、また、顧客がアセチレン貯蔵容器内に収容された溶媒を取り扱う必要性を除くことができる。 また、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、精製したアセチレン流体流を使用ポイントに供給する前に使用される1つもしくは2つ以上の精製器を提供する。本明細書で使用されているように、用語「流体」は、物質における液体ならびに気体状の昇華した固体およびそれらの変形物を意味する。本システムおよび方法の中で使用できる精製器の例には、活性炭素、モリキュラーシーブ、シリカゲル、ゼオライトおよびそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない。1つもしくは2つ以上の精製器は、アセチレン供給流に存在するかもしれない、残っている残余の溶媒を除去するように作用する。精製器に入っているアセチレン供給流の温度はより低いので、精製器における「処理量」は少なくなる。なぜならば、精製器に入ったときのアセチレン供給流内に存在する溶媒がより少なく、それゆえ、アセチレン供給流から除去することが必要な溶媒がより少なくなるからである。これにより所有のための全体のコストを減少させることができる。なぜならば、持ち越される溶媒がより少なく、それにより、精製器の大きさおよび能力を減少させるからである。さらに、本明細書に記載された本システムおよび方法の精製器(複数可)は、約−50℃から30℃の範囲の温度で作動することができる。アセチレン供給流が精製器に入る−50℃〜30℃の温度範囲には、以下の端点のうちの1つもしくは2つ以上のいずれかを挙げることができる。すなわち、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、−5℃、−10℃、−15℃、−20℃、−25℃、−30℃、−35℃、−40℃、−45℃もしくは−50℃。アセチレン貯蔵容器についてのある温度範囲の例には、0℃〜−15℃、20℃〜−5℃もしくは10℃〜30℃があるが、これらに限定されない。一態様では、アセチレン供給流は、室温(たとえば、25℃)における精製器に入る。別の態様では、たとえば、アセチレン供給流がDMF溶媒を含む場合、アセチレン供給流は、ある温度まで低下させたとき、1つもしくは2つ以上の精製器に入る必要がないことがあり得る。 図1は、高純度アセチレン流体を使用ポイントに供給するための、本明細書に記載されたシステムの一態様の例を示す。この態様では、本システムおよび方法は、十分重複性があるように設計された少なくとも2つのシリンダー10,20を含ませることによって、半導体製造プロセスへの、一貫した、止まることのない溶媒除去のアセチレンの供給を提供する。アセチレン供給流は、第1の、もしくは1番目のシリンダーもしくは貯蔵容器10からダウンストリームプロセスに供給される。一方、第2の、もしくは2番目のシリンダーもしくは貯蔵容器20が予備もしくは代替シリンダーとして備えられている。たとえば、もし、アセチレン供給流が第1のシリンダーの近くで、たとえば、量の減少、機器の故障などで流れなくなった場合、アセチレン供給流は自動的に第2のシリンダーに切り替わる(自動クロスオーバー)。別の態様では、アセチレン供給流の止まることのない流れを供給するために、複数のアセチレン貯蔵容器を使用することができる。本システムは、種々の圧力制御バルブ(「PCV」)、レベルセンサー、熱センサー、安全バルブ、冷却システムなどの1つもしくは2つ以上のシステム構成要素と電子通信する中央処理装置(「CPU」)100をさらに含む。また、CPU100は、第1および第2のシリンダー10,20の温度を制御し、供給圧力、シリンダー圧力およびシリンダー重量を監視することができる。たとえば、第1のシリンダー10のシリンダー重量およびシリンダー圧力が小さくなることは、CPU100によって監視されている既定の設定点で、予備すなわち2番目のシリンダー20に対する自動クロスオーバーのトリガーになることができる。この態様では、操作者は、流れが第2のシリンダー20から製造プロセスに供給されるのと同時に、すぐに空の第1のシリンダー10を変えることができるので、半導体プロセスへのプロセスガスの流れは止まらない。 シリンダー10,20は、アセチレンと、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−ピロリドン、およびそれらの混合物(しかし、これらに限定されないが)から選択される少なくとも1種の溶媒とを含むアセチレン供給流を含む。アセチレンは溶媒に溶け込む。また、ある態様では、シリンダーは、ケイ酸カルシウム(しかしこれに限定されないが)などの多孔質媒質を含むことができる。その多孔質媒質は、アセチレン供給流に含まれている溶媒を吸収するために使用される。シリンダーは、250ポンド/平方インチ(psi)までの圧力で貯蔵する。安全の理由のため、供給圧力は15psigを越えない。また、シリンダー10,20は、フラッシュアレスター130を備えている。フラッシュアレスター130は、もし、たとえば、シリンダー10,20が突然機能しなくなったり、破損したりした場合に、急に圧力が開放されるのを防止するように設計される。また、ある態様では、シリンダー10,20は、本出願の譲受人に譲渡された係属中の欧州特許出願第916891号明細書に描かれているような圧力調節器140を備えている。図1に示す態様では、シリンダー10,20は、0℃から−20℃の範囲の温度に再循環チラー30で冷却される。1つの特定の態様では、シリンダー冷却ジャケット15を使用してシリンダー10,20は冷却される。シリンダー冷却ジャケット15は、ライン110を通ってチラーと接続する。しかし、シリンダー10,20もしくは両方を所望の温度範囲に維持するために他の方法を採用することができることは想像される。図1に描かれたシステムは、前記温度範囲および前記圧力範囲でアセチレン含有流体を安全に貯蔵し取り扱える調節器、流量計、バルブ、ホースおよびパイプラインを含む。また、図1に描かれたシステムは、高純度運転のため、自動的に精製し放出するように設計される。パージライン80がV4(90)を通って接続され、ベントがV5(40)およびV6(50)を通って接続される。自動パージサイクルは、正圧パージガス流出時間と真空ベンチュリ菅を経る負圧への真空排気時間との間を切り替えるために、CPU(100)コントローラーによって開始され、監視される。図1に描かれたシステム内の圧力変換器および過剰流量スイッチは、システムが作動しない状態の間、警報を発したり停止したりするために、処理状態を監視する。 図1に描かれたシステムでは、シリンダー10およびシリンダー20のどちらかからのアセチレン供給流は、精製したアセチレン流体流を供給するために、約−50℃から30℃の範囲の温度もしくはだいたい25℃までの温度、ならびに15psiまでの圧力の精製器60を通って移動する。図1に描かれたシステムの態様では、アセチレン含有供給流は、精製器に到達する時間までに室温になる。なぜならば、本システムから使用ポイントまでの配管が断熱されていないからである。さらに、図1に描かれたシステムの態様では、供給されるアセチレンの温度は、最終使用プロセスに対して決定的に重要ではない。しかし、精製器に入る前もしくは入るときに、配管の断熱もしくはアセチレン供給流の温度を制御する他の方法を使用できることが想像される。図1に示す態様には、1つの精製器の使用が描かれているが、複数の精製器(たとえば、2つもしくは3つ以上の精製器)を使用するように本システムを変形できることが理解される。さらにまた、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、精製器内に残っている溶媒を除去する再生ステップを許容することができる。本システムおよび方法の中で使用することができる精製器の例には、活性炭素、モリキュラーシーブ、シリカゲル、ゼオライト、およびそれらの組み合わせがあるが、それらに限定されない。本明細書に記載されたシステムおよび方法で使用可能な精製器の1つの特定の例には、カルフォルニア州サンルイスオビスポのSAES Pure Gas, Inc.によって供給されるMICROTOOR(登録商標)MC4500がある。アセチレン含有供給流は、アセチレン含有供給材料内に含まれている残留溶媒のいずれをも除去するために、約−50℃から30℃の範囲の温度、もしくはその代わりに約25℃までの温度、もしくは室温、ならびに15psigまでの圧力の精製器60を通過する。精製したアセチレン流体流は、百万当たり100部(ppm)もしくは10ppmもしくは1ppm、または10億当たり100部(ppb)もしくは10ppbもしくは1ppbもしくはそれ未満の溶媒を含む。精製器60を通過した後は、精製したアセチレン流体流は、外に出て使用ポイントの中へ流れる。 本明細書に記載されている方法およびシステムの別の態様では、アセチレンおよび溶媒を含んでいる貯蔵容器は、溶媒の低蒸気圧のために溶媒が貯蔵容器内に残るのに十分な温度に冷やされ、それにより、高純度アセチレン流体流をその容器から直接分配することができ、そして1つもしくは2つ以上の精製器の中に流体流を導入する必要性を回避する。 本明細書に記載されているシステムおよび方法は、少なくとも1つの以下の有利な点を提供する。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、アセチレンシリンダー体積のより大きな使用率を提供することができる。室温(たとえば、25℃)で、アセチレンの使用率は、そのシリンダー内の全アセチレン体積のだいたい50%である。室温で使用率が50%より大きくなると、溶媒の持ち越しが半導体製造プロセスで使用できない程高くなる。シリンダー温度が下がると、その溶媒が非実用的なレベルに達するまでのアセチレンシリンダー体積の使用率がより大きくなるようなレベルまで、溶媒の蒸気圧が下がり得ると信じられている。また、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、シリンダーから出てくる溶媒の総量を減少させることができ、それにより、そのシリンダーにアセトンをより多く加えなければならなくなるまでにシリンダーを詰め替えることができる回数を増加させる。顧客は購入したガスをより多く使用するので、これにより、所有のための全体のコストを減少させる。さらに、使用率が高くなると、シリンダー交換が少なくなり、アセチレンの供給に関する労働コストも減少する。 本明細書に開示された本システムおよび方法をさらに説明するために次の例を示すが、これは、本システムおよび方法を何ら限定することを意図したものではない。例 本明細書に記載されている例は、5kgの公称アセチレン充填を有し、アセチレンが溶ける溶媒としてアセトンを使用する市販のアセチレンシリンダーから供給されるアセチレン供給流を使用する。5〜15標準リットル/分(SLPM)の範囲の供給量で、しかし10SLPMの平均流量で、アセチレン供給流を連続的に供給した。温度状態に基づいて、シリンダーに、シリンダージャケットを備え付け、ThermoScientific Neslabで製造されたチラーを使用して冷却した。各シリンダーからのアセチレン供給流を、イタリアのSAES Gettersで製造されたメガトール(MegaTorr)精製器を通して流した。精製器に入る前および入った後のアセチレン供給流の試料を取り出し、ドレーゲルチューブ(Draeger Tube)(リューベックのDraeger Safety,Inc.製)、非分散赤外(NDIR)(イングランド、ホッデスドンのADC Gas Analysis Ltd.製)、もしくは熱伝導検出器(TCD)付きのガスクロマトグラフィー(GC)(カルフォルニア州、サンタクララのAgilent Technologies製)のいずれかを使用してアセトンの含有量について分析した。10SLPMの平均流量を維持できなくなるほど、シリンダー内のアセチレンを全て使い果たすまで本実験を行った。 それぞれ同じ貯蔵体積を有する3つの異なる温度条件(たとえば、20℃、0℃および−20℃)の3つの異なるシリンダーで実験を行った。異なるシリンダーの挙動におけるばらつきを調査するために、3つの温度のそれぞれで3つの異なるシリンダーで実験を行った。その実験の結果を図2に示す。図2は、同じ温度に保たれた異なるシリンダーの結果にいくらかばらつきがあることを示す。そのばらつきは、シリンダーの中に存在するアセトンの総量のばらつきに起因する。一般に、アセトンは、4回もしくは5回アセチレンを充填した毎にその後、アセチレンシリンダーに加えられる。アセトンの再充填の間で、アセチレンシリンダー内のアセトンの総量は変化する。アセトンはシリンダーから分配されるので、シリンダー内の圧力は減少し、アセチレン中のアセトンの部分濃度(fractional concentration)は増加する。また、図2のデータは、シリンダーの温度が減少しているので、分配されるアセチレンにおけるアセトンの部分濃度も減少しているということを示す。 分配されるアセチレン中のアセトンの部分濃度を予測するために、アセトン中のアセチレンに関する溶解度係数の温度依存性を使用して、熱力学的模擬実験を行い、異なるシリンダー温度(たとえば、−20℃、0℃および20℃)で得られた実験データと比較した。この分析結果を図3,4,5に示す。アセトンおよびDMFにおけるアセチレンの溶解度パラメーターを文献のレビューから取得し、部分濃度を計算するために内部のCAPPコンピューターモデリングプログラムを使用した。図3,4,5は、モデル予測が得られた実験データと一致することを示す。 また、アセトンではなく、溶媒としてのジメチルホルマイド(DMF)に関する温度依存性を使用して、熱力学的模擬実験を行った。アセトンおよびDMF中のアセチレンの溶解度パラメーターを文献のレビューから取得し、部分濃度を計算するために、内部CAPPコンピューターモデリングプログラムを使用した。20℃、0℃および−20℃のシリンダー温度に関する熱力学モデルの結果を図6,7,8に示し、アセトンに関するモデル予測と比較する。そのモデル予測は、アセトン溶媒を使用した場合に比べて、分配されるアセチレン中のDMFの蒸気圧もしくはDMF溶媒の部分濃度が低くなるであろうことを示す。 精製器の使用により、アセチレン中の溶媒の部分濃度がさらに減少する。図9は、−20℃まで冷却したアセチレンシリンダーの中で精製した、または精製しない溶媒としてアセトンを使用して行った実験結果の比較を示す。図9が説明しているように、精製器を通した後の分配されるアセチレン中のアセトンの部分濃度は10ppm以下である。また、図9は、精製器がない場合、シリンダーからアセチレンが使用されるにしたがってアセトン濃度の増加が大きくなることを示す。したがって、精製器は、プロセスのばらつきを取り除き、アセトンの部分濃度をより低い値に保持する。 100ppm以下の溶媒を含む高純度アセチレンを使用ポイントに供給するシステムであって、 アセチレンおよび溶媒を含むアセチレン供給流を収容する2個の貯蔵容器と、 −15℃から−25℃の範囲の温度で前記貯蔵容器を維持し、−15℃から−25℃の範囲の温度で前記アセチレン供給流を供給する冷却システムと、 前記貯蔵容器と流体連通する精製器とを含み、 その中に含まれる前記溶媒の少なくとも一部を除去して前記高純度アセチレンを供給するために、−50℃から30℃の範囲の温度の前記精製器に前記2個の貯蔵容器のどちらかから前記アセチレン供給流を導入するシステム。 前記システムが、前記冷却システムと電子通信する中央処理装置をさらに含む請求項1のシステム。 前記貯蔵容器が、調節器およびフラッシュアレスターをさらに含む請求項1のシステム。 前記システムが、複数の精製器をさらに含む請求項1のシステム。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る