タイトル: | 公開特許公報(A)_リサイクル製品の品質保証方法及びリサイクル製品の履歴証明方法 |
出願番号: | 2009214039 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01N 33/44,B29B 17/00,G01N 30/88 |
金子 正彦 JP 2011064524 公開特許公報(A) 20110331 2009214039 20090916 リサイクル製品の品質保証方法及びリサイクル製品の履歴証明方法 株式会社ディプロマット 392013501 幸田 全弘 100069903 金子 正彦 G01N 33/44 20060101AFI20110304BHJP B29B 17/00 20060101ALI20110304BHJP G01N 30/88 20060101ALN20110304BHJP JPG01N33/44B29B17/00G01N30/88 P 7 OL 9 4F401 4F401AA22 4F401AC11 4F401BB09 4F401DB01 4F401FA07X この発明は、回収されたペットボトルを原材料とする、再生されたPET樹脂からなるリサイクル製品、特に繊維製のリサイクル製品についての品質保証方法と、前記繊維製のリサイクル製品に使用されたPET樹脂の履歴の証明方法に関するもので、樹脂のリサイクル技術に属するものである。 ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET又はPET樹脂ともいう。)を原材料とするペットボトルは、スポーツドリンク、ミネラルウォータ、お茶などの清涼飲料水の使い捨て容器として、大量使用されている。 特に、清涼飲料水などの入ったペットボトルは、コンビニやスーパーはもちろん、駅や街頭に設置されている自動販売機でも販売されているため、結果的に大量の空のPET樹脂容器が使い捨てにされ、廃棄されてきていた。 この役目の終わったペットボトルの大量の廃棄は、地球環境面からも、資源エネルギー面からも大きな社会問題となったため、容器包装リサイクル法などが施行され、回収されたペットボトルを原材料として、ユニフォーム、衣類、エプロン、モップなどの繊維製品、卵ケースなどのシート製品、さらにはスーパー用バスケットや化粧品容器などが製造され、販売されている。 しかしながら、前記リサイクル製品は、回収したペットボトルを洗浄して得た樹脂ペレットなどを原材料としているので、高品質のものを得るのが難しいという問題がある。 そのため、回収したペットボトルを化学的に分解して原料物質に戻し、それから再びPET樹脂を作る方法が提案され、既に実用化されている。 この方法で得られたPET樹脂は、石油から新たに製造したPET樹脂と同等の品質を有するとされている。 そのための技術として、例えば、選別の技術として、重いプラスチック片(PET)と軽いプラスチック片を分離する技術が、特開2002−254430号公報(特許文献1)に開示されている。 また、特開2002−320932号公報(特許文献2)においては、回収されたPETのフレークの汚染を除去するための、PETフレークの洗浄方法や洗浄装置が開示されている。 一方、高分子の特性を知る重要な手段で、他の高分子や樹脂において幅広く採用されている、分子量分布を測定する方法としての、ゲルパーミエイションクロマトグラフを、PET樹脂の特性を測定する方法として適用することが、特開平09−281097号公報(特許文献3)に開示され、その方法で、ポリマー成分とオリゴマー成分が測定できることが示されている。 さらに、上記オリゴマー成分を、それによる悪影響については不明であるが、予防的に除去した方がよいとして、特開2002−88644号公報(特許文献4)には、溶媒を用いて除去する方法が提案されている。特開2002−254430号公報(特許請求の範囲)特開2002−320932号公報(特許請求の範囲)特開平09−281097号公報(特許請求の範囲,図4)特開2002−88644号公報(特許請求の範囲,段落0003) 前記回収されたペットボトルを原材料とするリサイクル製品、特に繊維製のリサイクル製品は、循環型社会の構築という観点からは評価されるものである。 しかしながら、回収されたペットボトルを再利用のために使用するには、ペットボトルの丁寧な洗浄などが求められる。 また、リサイクル製品の製造には多くの労力とコストを要するので、石油を原材料とする新しいPET樹脂から製造される新規製品との間にコストメリットがなく、かつ品質についても問題が生じるおそれがある。 そのため、回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品の製造に際しては、石油を原材料とする新しい安価なPET樹脂を添加して、リサイクル製品に非リサイクル原料を混合したものをエコプロダクトと称するなどの偽装問題が発生し、消費者を混乱させている。 一方、前記した回収したペットボトルを化学的に分解して原料物質に戻し、それから再びPET樹脂を作る方法は、化学分解に際し、メチルアルコールやエチレングリコール、水などを使用するため、費用対効果の観点では問題がある。 他方、リサイクル製品の加工業者としては、リサイクル事業者から購入する原材料としてのペレット又はフレーク、さらには、これらペレットやフレークなどから得られたフィラメントや原反などの布が、具体的にどのような特性を有するものかを知ることは、リサイクル製品開発の上で非常に重要なことになる。 しかしながら、リサイクル製品であるということ、また、業者間でのペレットやフレークの融通、さらには近隣諸国との輸出入もあって、ペレットの由来又は出所を明らかにすること、あるいはペレットの品質を明らかにすることは、不可能とは言い得ないが、非常に困難なことで、その解析には、非常に多くの時間と費用を要するものである。 この発明はかかる現状に鑑み、回収されたペットボトルを原材料とする再生されたリサイクル製品、特に繊維製のリサイクル製品が、本当に回収されたペットボトルのみを原材料とするリサイクル製品であるか否かを証明するための手段を種々検討した。 その結果、PET樹脂は、その製法、具体的には、固相重合によって得られたものか、液相重合によって得られたものか、によって特性に顕著な差異を有することに着目し、再利用されるPET樹脂の製法、すなわち、固相重合で得られたものか、液相重合で得られたものかを明らかにすることで、リサイクル製品、特に繊維製のリサイクル製品の品質を保証する方法を完成させた。 また、繊維製のリサイクル製品を構成するPET樹脂中に含まれるオリゴマー、特に三量体オリゴマーの含有量を測定することによって、当該リサイクル製品を構成するPET樹脂が固相重合品か、液相重合品か、あるいは両者の混合品であるかを判断し、その履歴を証明する方法を完成させたものである。 すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、 回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品、前記リサイクル製品の原材料又は中間製品に含まれる、ポリエチレンテレフタレート樹脂のオリゴマー含有量を測定することによって、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合方法を判別し、もって繊維製のリサイクル製品が、回収されたペットボトルのみを原材料とするか否かを判定することを特徴とするリサイクル製品の品質保証方法である。 また、この発明の請求項2に記載の発明は、 請求項1に記載のリサイクル製品の品質保証方法において、 前記オリゴマー含有量の測定は、 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶媒に溶解したのち、ポリマーに対する非溶媒を添加して、ポリマーを析出分離し、溶液中に残留するオリゴマー量を測定することにより行われることを特徴とするものである。 また、この発明の請求項3に記載の発明は、 請求項1又は2に記載のリサイクル製品の品質保証方法において、 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂のオリゴマーは、 三量体であることを特徴とするものである。 さらに、この発明の請求項4に記載の発明は、 請求項2に記載のリサイクル製品の品質保証方法において、 前記重合方法の判別は、 前記三量体オリゴマー含有量が0.40〜0.50wt%以上のものを、固相重合法で得られたものとして判断することを特徴とするものである。 さらに、この発明の請求項5に記載の発明は、 回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品、前記繊維製のリサイクル製品の原材料又はその中間製品および前記ペットボトルの原材料、ならびに繊維製品もしくはフィルム製品の成形などペットボトル成形用以外の成形に用いられる、各ポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれるオリゴマー含有量をそれぞれ測定し、比較することによって、前記リサイクル製品、その原材料又は中間製品の履歴を明らかにすることを特徴とするリサイクル製品の履歴証明方法である。 さらにまた、この発明の請求項6に記載の発明は、 請求項5に記載のリサイクル製品の履歴証明方法において、 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶媒に溶解したのち、ポリマーに対する非溶媒を添加して、ポリマーを析出分離し、溶液中に残留するオリゴマー量を測定することにより行われることを特徴とするものである。 さらにまた、この発明の請求項7に記載の発明は、 請求項5に記載のリサイクル製品の履歴証明方法において、 前記比較は、 前記三量体オリゴマー含有量が、0.40〜0.50wt%以上のものを固相重合法で得られたもの、三量体オリゴマー含有量が、0.90wt%以上のものを液相重合法で得られたものとして行うことを特徴とするものである。 この発明のリサイクル製品の品質保証方法によれば、回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品、前記リサイクル製品用の原材料又は中間製品に含まれるポリエチレンテレフタレート樹脂のオリゴマー含有量を測定するという簡便な手段によって、簡単かつ容易に、対象のリサイクル製品が、回収されたペットボトルのみを原材料とするか否かを判定することができる。 また、この発明におけるリサイクル製品の履歴証明方法は、回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品、前記リサイクル製品用の原材料又は中間製品に含まれるポリエチレンテレフタレート樹脂のオリゴマー含有量を測定し、比較するという簡便な手段によって、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂が、固相重合品あるいは液相重合品であるか否か、もしくは固相重合品と液相重合品との混合品のいずれかであることを簡単かつ容易に判定し、当該リサイクル製品、その原材料又は中間製品の履歴を明らかにすることが可能となった。 以下、この発明にかかるリサイクル製品の品質保証方法、およびリサイクル製品の履歴証明方法を具体的に説明する。 この発明における回収された飲料用のペットボトルは、石油を原材料として固相重合法で得られたPET樹脂を成形したものであるのに対し、繊維製品は、通常液相重合で得られたPET樹脂が使用されている。 したがって、両者の間には特性上大きな差異がある。 また、同じ固相重合で得られたPET樹脂であっても、生産国によって、あるいは製造工場の差異によって微妙に異なるため、リサイクル製品の加工に際して、それらの差異、延いては履歴を明らかにすることは、成形条件の決定あるいは品質の均一化のために重要なことである。 また、出所が明らかなバージンなPET樹脂を使用するものでない、リサイクル製品の品質検査の一環としても、原料PET樹脂の履歴を知ることは重要なことである。 この発明はかかる状況を踏まえ、固相重合で得られたPET樹脂を使用して成形されたペットボトルを回収し、再生されたPET樹脂で成形された繊維製のリサイクル製品の樹脂中に含まれる三量体や四量体などのオリゴマー、特に、三量体オリゴマーの含有量を測定することを要旨とするものである。 具体的には、測定された三量体オリゴマーの含有量と、一般的な繊維製品のPET樹脂に含まれる三量体オリゴマーの含有量とを比較して重合方法を検証することによって、当該繊維製のリサイクル製品が、固相重合で得られたPET樹脂のみを使用したものであるか、あるいは液相重合で得られた繊維製品用のPET樹脂が含有されているのかを判定することができる。 一方、ペットボトルの原材料となるPET樹脂は、分子結合が極めて強固であるので、再商品化工程において、溶解などの熱処理工程においても、通常、PET樹脂中のオリゴマーは殆ど変化することがない。 したがって、回収対象であるペットボトルの最初のPET樹脂、回収されたペットボトルからなる繊維製の再商品化工程に供されるフレークやペレットなどの原材料、あるいはフィラメント、布(原反)などの中間製品、さらにはユニフォーム、作業服などの衣類、モップ、カーペット、カーテン、毛布など繊維製のリサイクル終製品のサンプル、ならびに繊維製品もしくはフィルム製品の成形に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれるオリゴマー含有量を測定し、その数値をデータとして保管し、必要に応じて繊維製のリサイクル製品、その原材料又は中間製品中のオリゴマーの含有量とを比較対照することによって、その履歴を明らかにすることができる。 すなわち、市場に供された繊維製のリサイクル製品を分析し、当該リサイクル製品を構成するPET樹脂中のオリゴマーを測定すれば、当該リサイクル製品が固相重合で得られたPET樹脂を原材料とするものか、あるいは固相重合で得られたPET樹脂に繊維製品の原材料となる液相重合で得られたPET樹脂が混合されたものであるか判別することができる。 また、固相重合で得られたPET樹脂である場合には、中間製品の分析で得られたオリゴマー及び/又は回収対象であるペットボトルのPET樹脂の分析で得られたオリゴマーの数値と、あらかじめ保存したデータとを比較対照することによって、その履歴を証明することができる。 したがって、性質の異なるPET樹脂の混合品か、リサイクル製品と称しながら、安価に得られる液相重合によるPET樹脂(例えば、安価なポリエステル繊維用PET樹脂)を使用したすり替え品であるかも判別できる。 また、日本製ペットボトル及び/又は外国製ペットボトル中のオリゴマーの数値をあらかじめ確認しておき、再商品化工程に供される原材料、あるいは中間製品、さらには最終製品に含まれるオリゴマーの数値を比較対照することによって、履歴を証明することも可能なものである。 なお、前記PET樹脂中に含まれるオリゴマーは、通常、固相重合を1とすると、液相重合は約2倍の値を示すと言われている。 かかるPET樹脂中に含まれるオリゴマーの測定は、前記した特許文献3に示されている、ゲルパーミエイションクロマトグラフを用いて分子量分布を測定し、そこから計量する方法、あるいは前記特許文献4に示されているように、溶媒を用いて抽出する方法などが挙げられるが、オリゴマーの測定が可能であれば、その手段に特段の制限はない。 しかしながら、測定方法として、この発明にとり好ましい方法は、溶媒−非溶媒の組み合わせにより、ポリマーとオリゴマーを分離し、分離されたオリゴマーの量を測定する方法である。この方法は、簡便かつ正確な方法である。 前記溶媒−非溶媒の組み合わせによるポリマーとオリゴマーの分離は、ポリマーを溶解、当然オリゴマーをも溶解する溶媒、例えば、ヘキサフロロイソプロパノールに測定試料であるPET樹脂サンプルを溶解し、サンプルが完全に溶解した後、ポリマーにとり非溶媒であるが、オリゴマーは溶解する溶媒、例えば、アセトニトリルを加えてポリマーを析出沈殿させることにより行なわれる。 なお、溶液中に残存するオリゴマーの量は、例えば、液体クロマトグラフィーを用いて測定することができる。 以下の実施例においては、オリゴマーの含有量の測定は、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに依頼した。同所の測定方法の概略は、以下の通りであった。 <測定方法の概略> サンプルを秤量した後、ヘキサフロロイソプロパノールに5時間以上浸漬し、PET成分を溶解した。 得られた溶液をクロロホルムで2〜3倍量に希釈した後、アセトニトリル中に投じてポリマー成分を析出し、アセトニトリルを加えて所定容量に調整した。 容量を調整した溶液の上澄み分をろ過し、高速液体クロマトグラフィーを用い、下記条件で、オリゴマー(3〜8量体)を分離し、ジメチルテレフタル酸検量線によってサンプル中における3量体含有量を算出した。 (高速液体クロマトグラフィー測定条件) カラム:Shim−Pack HRC−ODS 溶離液:アセトニトリル/水=70/30 流 速:1.5mL/min 検出器:SPD−10AV(島津製作所製UV検出器)、検出波長:242nm 市販されている各種ペットボトル6種、ポリエステル繊維用チップ1種、ポリエステル繊維1種、ポリエステル生地4種、リサイクルで得たペレット2種、リサイクルで得たポリエステル繊維4種を入手し、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに、三量体オリゴマーの含有量の測定を依頼した。 得られた結果を表1にまとめた。 前記表1において、左欄のPETボトルとは、いずれも最終製品として得る繊維製のリサイクル製品を得るために使用する原材料としてのPETボトルを意味する。 中央の「繊維チップ」「繊維」「生地」は、いずれも液相重合で得られたPET樹脂を原材料とするものである。 右欄の「リサイクルペレット」「リサイクル繊維」とは、左欄のペットボトルを原料として得られたPET樹脂を原材料とする中間品を意味するものである。 この表から明らかなように、固相重合で製造されたPET樹脂を原材料としたペットボトル中の三量体オリゴマーの含有量は、0.41〜0.48wt%とほぼ0.4wt%台にあることが分かる。 一方、液相重合で製造されたPET樹脂を原材料とするポリエステル繊維中の三量体オリゴマーの含有量は、0.90〜1.03wt%の範囲にある。 他方、回収されたペットボトルを原材料とするペレット中の三量体オリゴマーの含有量は、0.53〜0.55wt%であることが、また、このペレットを使用して得たリサイクル繊維(中間製品)中の含有量0.6〜0.68wt%と、いずれも0.6wt%台にあることが分かる。 なお、前記表1において、中間製品中のオリゴマーの含有量が0.6〜0.68wt%と、原材料のペットボトルのオリゴマー含有量より上昇している理由は定かではないが、繊維化するために使用される酸化チタン、さらには加熱処理が影響して増加したのではないかと推測される。 したがって、回収されたペットボトルを原材料として製造されたとする繊維製のリサイクル製品、その中間製品のオリゴマー含有量が、前記数値より大きいものであれば、それらには液相重合で得られた繊維成形用のポリエチレンテレフタレート樹脂が混入されたものと判定される。 したがって、これら回収されたペットボトルから得られるPET樹脂、さらには前記PET樹脂を使用して製造された繊維製のリサイクル製品中に含まれる三量体オリゴマーの含有量を比較対照し、使用されたPET樹脂の重合方法を特定することによって、得られた繊維製のリサイクル製品が、回収されたペットボトルを原材料としたものであるのか否か、回収されたペットボトルを原材料とするとともに、他のPET樹脂を混合したものであるのか否か、さらには液相重合で得られた安価なポリエステル繊維などのPET樹脂を使用したものであるかを判別することができ、その品質を保証することができる。 さらに、ペットボトル自体の原材料となるPET樹脂、回収されたペットボトルからなる再商品化工程に供される原材料、中間製品、さらには繊維製のリサイクル製品のサンプル、さらには繊維製品もしくはフィルム製品の成形など、ペットボトル成形用以外の成形に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂、に含まれるオリゴマー含有量をそれぞれ個別に採取・保管し、それぞれのPET樹脂に含まれる三量体や四量体などのオリゴマーのデータを保管し、検査対象の繊維製のリサイクル製品、その原材料又は中間製品に含まれるオリゴマーとを比較対照することによって、その履歴を明らかにすることができる。 この発明によれば、ペットボトルの原材料となるPET樹脂、回収されたペットボトルから得られた再商品化工程に供される原材料、中間製品、さらには繊維製のリサイクル製品中に含まれる三量体や四量体などのオリゴマーのデータを比較対照することによって、繊維製のリサイクル製品の品質及び/又は履歴を明らかにすることができるので、PET樹脂を使用したリサイクル製品、特に繊維製のリサイクル製品の虚偽表示を防ぐことができ、リサイクル業界において幅広く活用されるものである。 なお、この発明においては、固相重合で得たPET樹脂を原材料とするペットボトルを回収し、これをリサイクルして得た繊維製品についての品質保証ならびに履歴の証明をしているが、PET樹脂中に含まれる三量体や四量体などのオリゴマーのデータを比較対照することによって、液相重合品のリサイクルにも応用することができる。 回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品、前記リサイクル製品の原材料又は中間製品に含まれる、ポリエチレンテレフタレート樹脂のオリゴマー含有量を測定することによって、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂の重合方法を判別し、もって繊維製のリサイクル製品が、回収されたペットボトルのみを原材料とするか否かを判定することを特徴とするリサイクル製品の品質保証方法。 前記オリゴマー含有量の測定は、 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶媒に溶解したのち、ポリマーに対する非溶媒を添加して、ポリマーを析出分離し、溶液中に残留するオリゴマー量を測定することにより行われることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル製品の品質保証方法。 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂のオリゴマーは、 三量体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリサイクル製品の品質保証方法。 前記重合方法の判別は、 前記三量体オリゴマー含有量が0.40〜0.50wt%以上のものを、固相重合法で得られたものとして判断することを特徴とする請求項2に記載のリサイクル製品の品質保証方法。 回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品、前記繊維製のリサイクル製品の原材料又はその中間製品および前記ペットボトルの原材料、ならびに繊維製品もしくはフィルム製品の成形などペットボトル成形用以外の成形に用いられる、各ポリエチレンテレフタレート樹脂に含まれるオリゴマー含有量をそれぞれ測定し、比較することによって、前記リサイクル製品、その原材料又は中間製品の履歴を明らかにすることを特徴とするリサイクル製品の履歴証明方法。 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶媒に溶解したのち、ポリマーに対する非溶媒を添加して、ポリマーを析出分離し、溶液中に残留するオリゴマー量を測定することにより行われることを特徴とする請求項5に記載のリサイクル製品の履歴証明方法。 前記比較は、 前記三量体オリゴマー含有量が、0.40〜0.50wt%以上のものを固相重合法で得られたもの、三量体オリゴマー含有量が、0.90wt%以上のものを液相重合法で得られたものとして行うことを特徴とする請求項5に記載のリサイクル製品の履歴証明方法。 【課題】 回収されたペットボトルを原材料として得られる、繊維製のリサイクル製品の品質を保証し、前記リサイクル製品の履歴を証明する。【解決手段】 回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品用原料又は中間製品、もしくは繊維製のリサイクル製品中の、ポリエチレンテレフタレート樹脂中のオリゴマーの含有量を測定し、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂が固相重合で得られたものか否かを判別し、もって繊維製のリサイクル製品が、回収されたペットボトルのみを原材料とするか否かを判定して品質保証する。 また、回収されたペットボトルを原材料とする繊維製のリサイクル製品用原料又は中間製品、もしくは繊維製のリサイクル製品、あるいは前記ペットボトルの成形に使用されたPET樹脂のオリゴマー含有量を測定し比較することによって、当該リサイクル製品等の履歴を明らかにする。【選択図】 なし