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タイトル:公開特許公報(A)_チオカルボン酸類の製造方法
出願番号:2009204827
年次:2011
IPC分類:C07C 327/06,C07C 327/14,C07B 61/00


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谷口 裕樹 牧岡 良和 新井 雄己 JP 2011051959 公開特許公報(A) 20110317 2009204827 20090904 チオカルボン酸類の製造方法 三協化成株式会社 000175618 国立大学法人東京工業大学 304021417 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 谷口 裕樹 牧岡 良和 新井 雄己 C07C 327/06 20060101AFI20110218BHJP C07C 327/14 20060101ALI20110218BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110218BHJP JPC07C327/06C07C327/14C07B61/00 300 9 OL 15 特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼ 発行所名 社団法人日本化学会 発行者名 太田 暉人 刊行物名 日本化学会第89春季年会−講演予稿集II 発行年月日 平成21年3月13日 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC60 4H006BA66 4H006BA67 4H006BA72 4H006BB22 4H039CA80 4H039CD30 本発明は、医薬、農薬、香料、化粧品、機能性ポリマー、電子材料、光材料等の各種分野において、製品、合成中間体、原料等の出発原料として有用なチオカルボン酸類を簡便に製造する方法に関する。 従来、チオカルボン酸類は、下式のように、アンチモン触媒 (例えば、Ph3SbO)の存在下、目的とするチオカルボン酸類に対応するカルボン酸と硫化リンとの反応で製造する方法が知られている。しかしながら、この方法は、触媒として使用するアンチモンの毒性が高く、さらに、硫化リンは可燃性で取扱いが困難なため、工業的な製造方法ではなかった(非特許文献1参照)。 また、下式のように、硫化剤として、安価な硫化水素を用いる反応も知られている(非特許文献2)。しかしながら、この方法は平衡反応であるため、毒性が強く、悪臭のある硫化水素を過剰量必要とする。さらに、高温、高圧という厳しい反応条件で行わなければならないという欠点があった。 また、下式のように、対応するカルボン酸を酸ハロゲン化物に変換した後、硫化水素の金属塩 (ナトリウム塩又はカリウム塩) と反応させる方法も知られている。しかしながら、この方法は、生成する酸が硫化水素の金属塩と反応して硫化水素が発生し、その排ガス対策が必要である。また、反応率を上げるためには、硫化水素の金属塩を2当量以上用いるため、余剰の硫化水素の金属塩を含む廃水処理も必要であった。さらに、硫化水素の金属塩が一般に含水塩であり、硫化水素の金属塩を溶解し反応を円滑に進行させるために、溶媒として水又は含水エタノールを用いる。すると、反応において加水分解、加溶媒分解を併発し、チオカルボン酸の収率は必ずしも高くなかった(非特許文献3、非特許文献4)。 さらに、下式のように、対応する酸ハロゲン化物に、硫化剤として、N,N-ジメチルホルムチオアミドやチオアセトアミドを用いる方法も報告されている(非特許文献5)。しかしながら、この方法は、原料のチオアミドが高価であり、チオカルボン酸類を安価に製造できない方法であった。 下式のように、クロロ炭酸エステルと対応するカルボン酸との反応により、混合酸無水物に変換後、硫化水素と反応させることでチオカルボン酸類を合成する方法も知られている(非特許文献6)。しかしながら、この方法は、小規模な実験室で実施されることが多く、工業的に見ると、製造法がより煩雑となり、コストアップの要因があることから工業的には実施されていない。 以上のように、従来、チオカルボン酸を得るためには、硫化リン、酸ハロゲン化物、酸無水物、硫化水素といった取り扱いに注意を要する原料を使用する必要があり、また、多岐にわたるチオカルボン酸類を工業的に容易に製造し得る方法は知られていない。このような状況において、多岐にわたるチオカルボン酸類を簡便に製造する方法の開発が求められていた。Chem. Ber, 123, 2081-2082 (1990).J. Org. Chem., 25, 180-182 (1960).Org. Synth., 4, 924 (1963).Synthesis., 998-1004 (2005).Phosphorus, Sulfur, and Silicon., 178, 1661-1665 (2003).Chem. Pharm. Bull., 34, 999-1014 (1986). 本発明は、チオカルボン酸類の簡便な製造方法を提供することを主な課題とする。 上記のような従来技術の問題を解決すべく鋭意検討した結果、取り扱いが容易であるチオ酢酸とカルボキシル基を有する化合物とを反応させると、驚くべきことに、カルボキシル基がチオカルボキシル基に容易に変換されることを見出した。本発明は、この様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。本発明は、下記項1〜9に示す方法を提供する。 項1. カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、該カルボキシル基をチオカルボキシル基に変換する方法。項2. 前記反応が、酸触媒の存在下に行われることを特徴とする、項1に記載の方法。項3. カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させることを特徴とするチオカルボン酸化合物の製造方法。項4. 前記カルボキシル基を有する化合物が、下記一般式(1):[式中、Rは置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、又はポリマー残基を示し、nは1以上の整数を示す]で表される化合物あり、前記チオカルボン酸化合物が、下記一般式(2):[式中、aは0〜n−b、bは1〜n、a+bは前記一般式(1)のnと同じ値であり、Rは前記一般式(1)と同じである。]で表される化合物である項3に記載の製造方法。項5. 前記一般式(1)において、nは1又は2であり、前記一般式(2)において、aは0又は1、bは1又は2、a+bはnである項4に記載の製造方法。項6. 前記反応が、酸触媒の存在下に行われる請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。項7. 前記酸触媒が、ブレンステッド酸及びルイス酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である項6に記載の製造方法。項8. 前記酸触媒が、スルホ基又はカルボキシル基を有する酸性イオン交換樹脂である項6に記載の製造方法。項9. チオ酢酸を反応溶媒として用いる項3〜8のいずれかに記載の製造方法。 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明の方法は、カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、該カルボキシル基をチオカルボキシル基に変換することを特徴とする。前記の通り、従来、チオカルボン酸化合物を製造するためには、硫化リン、酸ハロゲン化物、酸無水物、硫化水素といった取り扱いに注意を要する原料を使用する必要があったが、本発明によれば、チオ酢酸を用いることにより、分子中のカルボキシル基をチオカルボキシル基に容易に変換することが可能となる。 本発明において、チオ酢酸と反応させるカルボキシル基を有する化合物は、分子中にカルボキシル基を有していれば、特に限定されず、種々の化合物を反応に供することができる。 カルボキシル基を有する化合物としては、下記一般式(1):で表される化合物を例示することができる。 一般式(1)において、Rは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、又はポリマー残基を示す。nは1以上の整数を示す。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基の「直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基」は、チオ酢酸との反応に悪影響を与えなければ特に限定されない。例えば、直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基、シクロアルキレン基が挙げられる。 好ましい脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のシクロアルキレン基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のシクロアルキレン基が挙げられる。 また、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基」としては、直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましい。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(アリール基)の「芳香族炭化水素基」としては、例えば、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基が挙げられる。 また、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」としては、炭素数1〜3のアルキル基を有するフェニル基又はフェニル基が特に好ましい。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基の「直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基」は、チオ酢酸との反応に悪影響を与えなければ特に限定されない。例えば、直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基としては、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基が挙げられる。 好ましいテロ原子含有脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のヘテロ原子含有アルキル基、炭素数1〜20のヘテロ原子含有シクロアルキル基、炭素数1〜20のヘテロ原子含有アルキレン基、炭素数1〜20のヘテロ原子含有シクロアルキレン基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキル基、炭素数1〜10のヘテロ原子含有シクロアルキル基、炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキレン基、炭素数1〜10のヘテロ原子含有シクロアルキレン基が挙げられる。 ヘテロ原子は、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されず、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。 置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基」としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキル基、環状の炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキル基が特に好ましい。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基(ヘテロ原子含有アリール基)の「ヘテロ原子含有芳香族炭化水素基」としては、例えば、炭素数5〜20のヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、好ましくは炭素数5〜12のヘテロ原子含有芳香族炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子は、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されず、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。 また、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基」としては、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリミジニル基、ジオキサニル基、チアゾリジニル基、イミダゾリジニル基、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル基、ベンゾチアゾリル基、キナゾリン基、ヘキサヒドロ−2−アゼピノン−3−イル基、モルホリノ基、チアモルホリノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、ペルヒドロ等が挙げられる。 一般式(1)のRにおいて、ポリマー残基とは、ポリマーからn個のカルボキシル基を除いた基である。ポリマー残基としては、例えば、ポリエチレン残基、ポリプロピレン残基、ポリスチレン残基、ポリビニルアルコール残基、ポリアクリル残基、ポリメタクリル残基、ポリエチレンテレフタレート残基及びこれらのコポリマー残基が挙げられる。一般式(1)においてRがポリマー残基、すなわち一般式(1)で表される化合物が、カルボキシル基を有するポリマーである場合、該ポリマーの分子量に特に制限はなく幅広い範囲のポリマーが使用できる。 一般式(1)において、nは1以上の整数である。Rがポリマー残基以外の場合、nは好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1又は2、特に好ましくは1である。Rがポリマー残基の場合、nは1以上の整数であれば、nの上限に特に制限はない。 本発明において、チオ酢酸の使用量は、原料化合物であるカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基1molに対して、通常1〜10mol程度、好ましくは1〜3mol程度とすればよい。 本発明においては、カルボキシル基とチオ酢酸との反応を酸触媒の存在下に行ってもよい。酸触媒の存在下で行うことにより、カルボキシル基とチオ酢酸との反応を促進することができる。 酸触媒としては、酸触媒として一般に使用される酸性物質が使用でき、例えば、種々のブレンステッド酸、ルイス酸、固体酸等が使用できる。 酸触媒の具体例としては、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸;トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;塩化アルミニウム、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)塩、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)塩、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス(III)塩等のルイス酸;β型ゼオライト (H−βゼオライト等)、Y型ゼオライト(H−USYゼオライト等)、モルデナイト、チタノシリケート及びMCM−22等のゼオライト類並びにこれらの修飾物;酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の酸化物類;SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2等の複合酸化物;カオリン、ベントナイト、活性白土等の粘土鉱物類;アンバーリスト(Amberlyst(登録商標)、ローム&ハース社製;スチレンとジビニルベンゼン共重合体にスルホ基を導入したもの)、ダウエックス(DOWEX(登録商標)、ザ・ダウ・ケミカルカンパニー社製:スチレンとジビニルベンゼン共重合体にスルホ基を導入したもの)、ナフィオン(Nafion(登録商標)、デュポン社製:パーフルオロスルホン酸とテトラフルオロエチレンの共重合体である強酸性イオン交換樹脂)、ムロマック(Muromac(登録商標)、ムロマチテクノス社製:カルボキシル基を持つアクリル系の弱酸性イオン交換樹脂)等のイオン交換樹脂類及びそれらをシリカゲル等に担持させた成形体;リン酸カルシウム等のリン酸塩類;硫酸化ジルコニア、硫酸銅等の硫酸塩類;ヘテロポリ酸類等の固体でありながらブレンステッド酸又はルイス酸の特性を示す固体酸等が挙げられる。 これらの酸触媒の中でも、特にナフィオンSAC−13、ナフィオンNR50、ダウエックス50WX8、アンバーリスト15、ムロマックC601、トリフルオロ酢酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)塩、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)塩が好ましい。酸触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。 酸触媒を使用する場合、その使用量は、カルボキシル基を有する化合物の種類、反応温度、反応時間等を考慮して定めることができる。酸触媒の使用量は、反応に供するカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基1molに対して、通常0〜0.1mol程度、好ましくは0〜0.05mol程度とすればよい。なお、Nafion(登録商標)等の酸性イオン交換樹脂を使用する場合、その使用量は、イオン交換樹脂中に含まれるイオン交換基(スルホ基等)の数が、反応に供するカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基1molに対して上記範囲内になる程度の量を使用すればよい。この使用量は、イオン交換樹脂のイオン交換容量から算出することができる。 本発明においては、溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジクロロベンゼン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が使用できる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。 溶媒を使用する場合、溶媒の使用量に特に制限はないが、反応に供する各成分の混合が十分に行われ、かつ、原料化合物であるカルボキシル基を有する化合物や生成したチオカルボン酸化合物が析出して不均一にならない程度の量が好ましい。経済性の面からは、溶媒を除く各成分の合計重量の10倍以下程度が好ましい。 また、溶媒として、チオ酢酸を使用することもできる。溶媒としてチオ酢酸を使用すれば、反応の後処理において、溶媒との分離が必要なく、リサイクルが容易になる。また、希釈率も少なくなり、生産性が向上する。 また、本発明は、空気下で反応を行ってもよいが、好ましくは、窒素、アルゴン等の不活性ガスの存在下に反応を行ったほうがよい。 反応温度は、特に限定されないが、通常、常圧下で、−10℃から使用する溶媒の沸点温度以下の範囲内とすればよく、好ましくは20〜120℃程度、さらに好ましくは60〜100℃程度付近とすればよい。また、反応時間は、原料化合物の種類及びその使用量、反応温度等の反応条件によって異なるが、通常1分〜72時間程度、好ましくは1〜24時間程度である。 反応に供する各成分の混合の方法としては、例えば、攪拌、振とう、向流接触等が用いられる。固体酸触媒を充填したカラムを使用することもできる。 かくして得られるチオカルボン酸化合物は、通常の単離、精製手段、例えば、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等により反応混合物から容易に単離し、精製することができる。 以上のように、カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、チオカルボン酸化合物を製造することができる。 本発明においては、原料化合物である前記カルボキシル基を有する化合物中にカルボキシル基が2個以上存在する場合、カルボキシル基を有する化合物の少なくとも1つのカルボキシル基がチオカルボキシル基に変換される。 例えば、前記一般式(1)で表される化合物をチオカルボン酸と反応させて得られるチオカルボン酸化合物は、下記一般式(2):で表すことができる。 一般式(2)において、aは0〜n−bであり、bは1〜nである。すなわち、本発明によって、分子中のカルボキシル基がチオカルボキシル基に変換された数がbであり、反応せずにカルボキシル基のまま残った数がaである。a+bは前記一般式(1)のnと同じ値であり、原料化合物であるカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基の数に対応する。また、Rは前記一般式(1)で表される化合物のRと同じである。一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物において、カルボキシル基の一部又は全部がチオカルボキシル基に変換された化合物に対応する。 本発明によれば、カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させることにより、容易にカルボキシル基をチオカルボキシル基に変換することができる。本発明において、硫化剤として使用されるチオ酢酸は、取り扱いが容易である。よって、本発明は、カルボキシル基を有する化合物からチオカルボン酸化合物を製造する方法として極めて有効である。図1は、実施例4の実験操作の模式図である。 以下の実施例を示し、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されない。 実施例1(酸触媒によるチオオクタン酸の製造) 三方コックを取り付けた25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) SAC-13 (143 mg, H+ : 157 μmol イオン交換容量から算出)、n-オクタン酸(723 mg, 5.01 mmol)、チオ酢酸(1.14 g, 15.0 mmol)を加え、アルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。この反応溶液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてチオオクタン酸を主生成物とする混合物510 mgを分取した。得られた混合物を蒸留し、チオオクタン酸(338 mg)を淡黄色液体として得た(単離収率 42 %)。得られたチオオクタン酸の各物性値は以下の通りである。沸点(b.p.) 110-120℃/90 Pa1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz), 1.25-1.35 (8H, m), 1.65 (2H,quin, J= 7.2Hz), 2.60 (2H, t, 7.2 Hz), 4.52 (1H, s).13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d = 14.0, 22.6, 25.5, 28.8, 28.9, 31.6, 45.8,197.6.IR (neat) 1710 (νCO), 2563 (νSH) cm-1。 実施例2(酸触媒によるチオオクタン酸の製造) 三方コックを取り付けた25mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標)SAC-13(143mg, H+ :157 μmol)、n-オクタン酸(723 mg, 5.01 mmol)、チオ酢酸(1.14 g, 15.0 mmol)、トルエン1mlを加え、アルゴン中、80 ℃で2時間攪拌した。得られた反応液について、ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が95%で得られていることが確認された。 実施例3(触媒の繰り返し使用によるチオオクタン酸の製造) 三方コックを取り付けた25mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) NR50(40.4 mg, H+ :32.4 μmol)、オクタン酸(157.2 mg, 1.09 mmol)、チオ酢酸(312.0 mg, 4.1 mmol)、トルエン230 mgを加え、アルゴン中、80℃で2時間攪拌した。得られた反応溶液のGLC分析により、オクタン酸の転化率は57%であることが確認された。 さらに、この反応溶液からNafion NR-50を取り除いたのち、低沸点化合物を全て減圧留去した。その後、一旦取り除いた触媒を試験管内に戻し、新たにチオ酢酸(246.8 mg, 3.23 mmol)及びトルエン(230 mg)を加え、80℃で2時間攪拌した。この時点のオクタン酸の転化率は87%となった。再び、この操作を繰り返すことで、オクタン酸の転化率は98%に達し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物を単離精製したところ、チオオクタン酸を76%収率で得た。 実施例4(流通系反応器を用いるチオオクタン酸の製造) オクタン酸(3.05 g, 20 mmol)、チオ酢酸(3.02 g, 40 mmol)、トルエン4.0 mLの混合溶液を調製した。ディスポーザブルシリンジにこの混合溶液を充填し、シリンジポンプにセットした。その後、針先を内径2.0mm,長さ90mmのステンレス管にNafion(登録商標) SAC-13、168mgを充填したカラムに接続し、反応温度60℃にて、流速10.8 ml / 3.3 hで触媒相を通過させた(図1参照)。触媒相を通過した留出液のGLC分析によりオクタン酸転化率は80 %と算出された。この溶液を減圧下、低沸点成分を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。n-ヘキサン留出液からn-チオオクタン酸が淡黄色液体として1.83g得られた(収率57%)。 実施例5(酸触媒条件下におけるp−トルイルチオカルボン酸の製造) 三方コックを取り付けた25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標)SAC-13 (143 mg, H+ : 157 μmol)、p−トルイル酸(681 mg, 5.00 mmol)、トルエン(1.0 mL)、アルゴン置換した後、チオ酢酸(1.14 g, 15.0 mmol)を加え、密閉系で60 ℃の油浴にて2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、p−トルイルチオカルボン酸が40%で得られた。 実施例6(酸触媒によるシクロヘキサンチオカルボン酸の製造) 25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) SAC-13 (30.0 mg, H+ : 33.0 μmol)、シクロヘキサンカルボン酸(129 mg, 1.00 mmol)、トルエン(0.20 mL)、チオ酢酸(206 mg, 2.71 mmol) を加え、80 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、シクロヘキサンチオカルボン酸が67%で得られた。 実施例7(酸触媒によるアダマンタンチオカルボン酸の製造) 25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) SAC-13 (30.0 mg, H+ : 33.0 μmol)、アダマンタンカルボン酸(180 mg, 1.00 mmol)、トルエン(0.20 mL)、チオ酢酸(206 mg, 2.71 mmol) を加え、80 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、アダマンタンチオカルボン酸が56%で得られた。 実施例8 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からNafion(登録商標) NR50に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が88%で得られた。 実施例9 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からAmberlyst(登録商標) 15に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が86%で得られた。 実施例10 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からDOWEX(登録商標)50WX8に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が67%で得られた。 実施例11 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からMuromac(登録商標) C601に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が23%で得られた。 実施例12 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からトリフルオロ酢酸に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が68%で得られた。 実施例13 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からリン酸に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が73%で得られた。 実施例14 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)塩に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が61%で得られた。 実施例15 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からトリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)塩に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が53%で得られた。 実施例16(無触媒条件下におけるチオオクタン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、n-オクタン酸(2.88 g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。n−ヘキサン留出液から、n-チオオクタン酸を淡黄色液体として1.98g(収率62%)得るとともに、10%t-ブチルメチルエーテル/ヘキサン留出液から、n-オクタン酸を0.90g(31%)回収した。 実施例17(無触媒条件下におけるチオ安息香酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、安息香酸(2.44 g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)、乾燥トルエン(5mL)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。5%t-ブチルメチルエーテル/n−ヘキサン留出液から、チオ安息香酸を黄色液体として0.88g(収率32%)得るとともに、20%t-ブチルメチルエーテル/ヘキサン留出液から、安息香酸を1.41 g(56%)回収した。得られた黄色液体のスペクトルデータは、市販のチオ安息香酸と完全に一致した。 実施例18(無触媒条件下におけるシクロヘキサンチオカルボン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、シクロヘキサンカルボン酸(2.58g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。n−ヘキサン留出液から、シクロヘキサンチオカルボン酸を淡黄色液体として2.66g(収率92%)得るとともに、10%t-ブチルメチルエーテル/ヘキサン留出液から、シクロヘキサンカルボン酸を0.22g(8%)回収した。得られたシクロヘキサンチオカルボン酸の物性値は以下の通りであった。1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 1.10-2.00 (10H, m), 2.40-2.50 (1H, m), 4.5-5.0 (1H, brs)13C-NMR (100MHz, CDCl3) d = 25.4, 28.8, 29.4, 53.7, 201.4。 実施例19(無触媒条件下における1,4-シクロヘキサンジチオカルボン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(3.45g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(9.16 g, 120.0 mmol)、乾燥トルエン(10mL)を入れて密栓し、油浴上で100℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲル(50g)カラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。トルエン留出液から、1,4−シクロヘキサンジチオカルボン酸を淡黄色固体として2.26g(収率55%)得た。得られた1,4−シクロヘキサンジチオカルボン酸の物性値は以下の通りであった。mp 40-48℃1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 1.30-2.7 (10H, m), 4.0-4.7 (2H, brs)13C-NMR (100MHz, CDCl3) d = 26.1, 28.1, 50.4, 52.4, 200.0, 200.1。 実施例20(無触媒条件下におけるアダマンタンチオカルボン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、アダマンタンカルボン酸(3.61 g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)、乾燥トルエン(5mL)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。5%t-ブチルメチルエーテル/n−ヘキサン留出液から、アダマンタンチオカルボン酸を淡黄色液体として2.24g(収率57%)得た。得られたアダマンタンチオカルボン酸の物性値は以下の通りであった。1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 1.60-1.75 (6H, m), 1.80-1.90 (3H, m), 1.95-2.10 (6H, m), 4.5-5.0 (1H, brs).13C-NMR (100MHz, CDCl3) d = 28.1, 36.3, 39.1, 49.3, 204.9。 実施例21 三方コックを取り付けた25mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標)SAC-13(30mg, H+ :30μmol)、n-オクタン酸(142 mg, 1.0 mmol)、内部標準物質としてn-テトラデカン50 mg、チオ酢酸(228mg, 3.0 mmol)、トルエン1mlを加え、アルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。得られた反応液について、ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が31%で得られていることが確認された。 実施例22 温度を60℃から70℃に代えた以外は、実施例21と同様にして、各成分をアルゴン中、70℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が41%で得られた。 実施例23 触媒を用いない以外は、実施例21と同様にして、各成分をアルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が6%で得られた。 実施例24 温度を60℃から70℃に代えた以外は、実施例23と同様にして、各成分をアルゴン中、70℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が59%で得られた。 実施例21〜24の結果から、本反応では、酸触媒の存在により、反応は加速されることが分かる。一方、酸触媒を用いない場合には、酸触媒を使用する場合に比べて、高温を必要とするが、ジオクタノイルスルフィドの生成量を抑制し、チオオクタン酸の収率、選択性共に良好な結果を与えることが分かる。カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、該カルボキシル基をチオカルボキシル基に変換する方法。前記反応が、酸触媒の存在下に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させることを特徴とするチオカルボン酸化合物の製造方法。前記カルボキシル基を有する化合物が、下記一般式(1):[式中、Rは置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、又はポリマー残基を示し、nは1以上の整数を示す]で表される化合物あり、前記チオカルボン酸化合物が、下記一般式(2):[式中、aは0〜n−b、bは1〜n、a+bは前記一般式(1)のnと同じ値であり、Rは前記一般式(1)と同じである。]で表される化合物である請求項3に記載の製造方法。前記一般式(1)において、nは1又は2であり、前記一般式(2)において、aは0又は1、bは1又は2、a+bはnである請求項4に記載の製造方法。前記反応が、酸触媒の存在下に行われる請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。前記酸触媒が、ブレンステッド酸及びルイス酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の製造方法。前記酸触媒が、スルホ基又はカルボキシル基を有する酸性イオン交換樹脂である請求項6に記載の製造方法。チオ酢酸を反応溶媒として用いる請求項3〜8のいずれかに記載の製造方法。 【課題】チオカルボン酸化合物の簡便な製造方法を提供する【解決手段】カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させることを特徴とするチオカルボン酸化合物の製造方法【選択図】なし


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特許公報(B2)_チオカルボン酸類の製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_チオカルボン酸類の製造方法
出願番号:2009204827
年次:2014
IPC分類:C07C 327/06,C07C 327/16,C07C 327/14,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

谷口 裕樹 牧岡 良和 新井 雄己 JP 5553559 特許公報(B2) 20140606 2009204827 20090904 チオカルボン酸類の製造方法 三協化成株式会社 000175618 国立大学法人東京工業大学 304021417 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 谷口 裕樹 牧岡 良和 新井 雄己 20140716 C07C 327/06 20060101AFI20140626BHJP C07C 327/16 20060101ALI20140626BHJP C07C 327/14 20060101ALI20140626BHJP C07B 61/00 20060101ALN20140626BHJP JPC07C327/06C07C327/16C07C327/14C07B61/00 300 C07C 327/02 CASREACT(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特表2009−507115(JP,A) 特開平11−189583(JP,A) 特公昭43−010609(JP,B1) 9 2011051959 20110317 15 20120824 特許法第30条第1項適用 平成21年3月13日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第89春季年会−講演予稿集II(第1225頁)」に発表 砂原 一公 本発明は、医薬、農薬、香料、化粧品、機能性ポリマー、電子材料、光材料等の各種分野において、製品、合成中間体、原料等の出発原料として有用なチオカルボン酸類を簡便に製造する方法に関する。 従来、チオカルボン酸類は、下式のように、アンチモン触媒 (例えば、Ph3SbO)の存在下、目的とするチオカルボン酸類に対応するカルボン酸と硫化リンとの反応で製造する方法が知られている。しかしながら、この方法は、触媒として使用するアンチモンの毒性が高く、さらに、硫化リンは可燃性で取扱いが困難なため、工業的な製造方法ではなかった(非特許文献1参照)。 また、下式のように、硫化剤として、安価な硫化水素を用いる反応も知られている(非特許文献2)。しかしながら、この方法は平衡反応であるため、毒性が強く、悪臭のある硫化水素を過剰量必要とする。さらに、高温、高圧という厳しい反応条件で行わなければならないという欠点があった。 また、下式のように、対応するカルボン酸を酸ハロゲン化物に変換した後、硫化水素の金属塩 (ナトリウム塩又はカリウム塩) と反応させる方法も知られている。しかしながら、この方法は、生成する酸が硫化水素の金属塩と反応して硫化水素が発生し、その排ガス対策が必要である。また、反応率を上げるためには、硫化水素の金属塩を2当量以上用いるため、余剰の硫化水素の金属塩を含む廃水処理も必要であった。さらに、硫化水素の金属塩が一般に含水塩であり、硫化水素の金属塩を溶解し反応を円滑に進行させるために、溶媒として水又は含水エタノールを用いる。すると、反応において加水分解、加溶媒分解を併発し、チオカルボン酸の収率は必ずしも高くなかった(非特許文献3、非特許文献4)。 さらに、下式のように、対応する酸ハロゲン化物に、硫化剤として、N,N-ジメチルホルムチオアミドやチオアセトアミドを用いる方法も報告されている(非特許文献5)。しかしながら、この方法は、原料のチオアミドが高価であり、チオカルボン酸類を安価に製造できない方法であった。 下式のように、クロロ炭酸エステルと対応するカルボン酸との反応により、混合酸無水物に変換後、硫化水素と反応させることでチオカルボン酸類を合成する方法も知られている(非特許文献6)。しかしながら、この方法は、小規模な実験室で実施されることが多く、工業的に見ると、製造法がより煩雑となり、コストアップの要因があることから工業的には実施されていない。 以上のように、従来、チオカルボン酸を得るためには、硫化リン、酸ハロゲン化物、酸無水物、硫化水素といった取り扱いに注意を要する原料を使用する必要があり、また、多岐にわたるチオカルボン酸類を工業的に容易に製造し得る方法は知られていない。このような状況において、多岐にわたるチオカルボン酸類を簡便に製造する方法の開発が求められていた。Chem. Ber, 123, 2081-2082 (1990).J. Org. Chem., 25, 180-182 (1960).Org. Synth., 4, 924 (1963).Synthesis., 998-1004 (2005).Phosphorus, Sulfur, and Silicon., 178, 1661-1665 (2003).Chem. Pharm. Bull., 34, 999-1014 (1986). 本発明は、チオカルボン酸類の簡便な製造方法を提供することを主な課題とする。 上記のような従来技術の問題を解決すべく鋭意検討した結果、取り扱いが容易であるチオ酢酸とカルボキシル基を有する化合物とを反応させると、驚くべきことに、カルボキシル基がチオカルボキシル基に容易に変換されることを見出した。本発明は、この様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。本発明は、下記項1〜9に示す方法を提供する。 項1. カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、該カルボキシル基をチオカルボキシル基に変換する方法。項2. 前記反応が、酸触媒の存在下に行われることを特徴とする、項1に記載の方法。項3. カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させることを特徴とするチオカルボン酸化合物の製造方法。項4. 前記カルボキシル基を有する化合物が、下記一般式(1):[式中、Rは置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、又はポリマー残基を示し、nは1以上の整数を示す]で表される化合物あり、前記チオカルボン酸化合物が、下記一般式(2):[式中、aは0〜n−b、bは1〜n、a+bは前記一般式(1)のnと同じ値であり、Rは前記一般式(1)と同じである。]で表される化合物である項3に記載の製造方法。項5. 前記一般式(1)において、nは1又は2であり、前記一般式(2)において、aは0又は1、bは1又は2、a+bはnである項4に記載の製造方法。項6. 前記反応が、酸触媒の存在下に行われる請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。項7. 前記酸触媒が、ブレンステッド酸及びルイス酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である項6に記載の製造方法。項8. 前記酸触媒が、スルホ基又はカルボキシル基を有する酸性イオン交換樹脂である項6に記載の製造方法。項9. チオ酢酸を反応溶媒として用いる項3〜8のいずれかに記載の製造方法。 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明の方法は、カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、該カルボキシル基をチオカルボキシル基に変換することを特徴とする。前記の通り、従来、チオカルボン酸化合物を製造するためには、硫化リン、酸ハロゲン化物、酸無水物、硫化水素といった取り扱いに注意を要する原料を使用する必要があったが、本発明によれば、チオ酢酸を用いることにより、分子中のカルボキシル基をチオカルボキシル基に容易に変換することが可能となる。 本発明において、チオ酢酸と反応させるカルボキシル基を有する化合物は、分子中にカルボキシル基を有していれば、特に限定されず、種々の化合物を反応に供することができる。 カルボキシル基を有する化合物としては、下記一般式(1):で表される化合物を例示することができる。 一般式(1)において、Rは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、又はポリマー残基を示す。nは1以上の整数を示す。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基の「直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基」は、チオ酢酸との反応に悪影響を与えなければ特に限定されない。例えば、直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基、シクロアルキレン基が挙げられる。 好ましい脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のシクロアルキレン基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のシクロアルキレン基が挙げられる。 また、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基」としては、直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましい。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(アリール基)の「芳香族炭化水素基」としては、例えば、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基が挙げられる。 また、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」としては、炭素数1〜3のアルキル基を有するフェニル基又はフェニル基が特に好ましい。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基の「直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基」は、チオ酢酸との反応に悪影響を与えなければ特に限定されない。例えば、直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基としては、ヘテロ原子含有アルキル基、ヘテロ原子含有シクロアルキル基が挙げられる。 好ましいテロ原子含有脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のヘテロ原子含有アルキル基、炭素数1〜20のヘテロ原子含有シクロアルキル基、炭素数1〜20のヘテロ原子含有アルキレン基、炭素数1〜20のヘテロ原子含有シクロアルキレン基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキル基、炭素数1〜10のヘテロ原子含有シクロアルキル基、炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキレン基、炭素数1〜10のヘテロ原子含有シクロアルキレン基が挙げられる。 ヘテロ原子は、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されず、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。 置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基」としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキル基、環状の炭素数1〜10のヘテロ原子含有アルキル基が特に好ましい。 一般式(1)のRにおいて、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基(ヘテロ原子含有アリール基)の「ヘテロ原子含有芳香族炭化水素基」としては、例えば、炭素数5〜20のヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、好ましくは炭素数5〜12のヘテロ原子含有芳香族炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子は、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されず、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。 また、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基の「置換基」としては、本発明の反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されない。例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基(例えば、式:−NH2、−NHR’、−NR’R’’で表される基であり、式中、R’、R’’はそれぞれアルキル基である。)、スルフィド基、スルホ基等が挙げられる。 「置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基」としては、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジル基、ピリミジニル基、ジオキサニル基、チアゾリジニル基、イミダゾリジニル基、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル基、ベンゾチアゾリル基、キナゾリン基、ヘキサヒドロ−2−アゼピノン−3−イル基、モルホリノ基、チアモルホリノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、ペルヒドロ等が挙げられる。 一般式(1)のRにおいて、ポリマー残基とは、ポリマーからn個のカルボキシル基を除いた基である。ポリマー残基としては、例えば、ポリエチレン残基、ポリプロピレン残基、ポリスチレン残基、ポリビニルアルコール残基、ポリアクリル残基、ポリメタクリル残基、ポリエチレンテレフタレート残基及びこれらのコポリマー残基が挙げられる。一般式(1)においてRがポリマー残基、すなわち一般式(1)で表される化合物が、カルボキシル基を有するポリマーである場合、該ポリマーの分子量に特に制限はなく幅広い範囲のポリマーが使用できる。 一般式(1)において、nは1以上の整数である。Rがポリマー残基以外の場合、nは好ましくは1〜4の整数、さらに好ましくは1又は2、特に好ましくは1である。Rがポリマー残基の場合、nは1以上の整数であれば、nの上限に特に制限はない。 本発明において、チオ酢酸の使用量は、原料化合物であるカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基1molに対して、通常1〜10mol程度、好ましくは1〜3mol程度とすればよい。 本発明においては、カルボキシル基とチオ酢酸との反応を酸触媒の存在下に行ってもよい。酸触媒の存在下で行うことにより、カルボキシル基とチオ酢酸との反応を促進することができる。 酸触媒としては、酸触媒として一般に使用される酸性物質が使用でき、例えば、種々のブレンステッド酸、ルイス酸、固体酸等が使用できる。 酸触媒の具体例としては、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸;トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;塩化アルミニウム、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)塩、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)塩、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス(III)塩等のルイス酸;β型ゼオライト (H−βゼオライト等)、Y型ゼオライト(H−USYゼオライト等)、モルデナイト、チタノシリケート及びMCM−22等のゼオライト類並びにこれらの修飾物;酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の酸化物類;SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2等の複合酸化物;カオリン、ベントナイト、活性白土等の粘土鉱物類;アンバーリスト(Amberlyst(登録商標)、ローム&ハース社製;スチレンとジビニルベンゼン共重合体にスルホ基を導入したもの)、ダウエックス(DOWEX(登録商標)、ザ・ダウ・ケミカルカンパニー社製:スチレンとジビニルベンゼン共重合体にスルホ基を導入したもの)、ナフィオン(Nafion(登録商標)、デュポン社製:パーフルオロスルホン酸とテトラフルオロエチレンの共重合体である強酸性イオン交換樹脂)、ムロマック(Muromac(登録商標)、ムロマチテクノス社製:カルボキシル基を持つアクリル系の弱酸性イオン交換樹脂)等のイオン交換樹脂類及びそれらをシリカゲル等に担持させた成形体;リン酸カルシウム等のリン酸塩類;硫酸化ジルコニア、硫酸銅等の硫酸塩類;ヘテロポリ酸類等の固体でありながらブレンステッド酸又はルイス酸の特性を示す固体酸等が挙げられる。 これらの酸触媒の中でも、特にナフィオンSAC−13、ナフィオンNR50、ダウエックス50WX8、アンバーリスト15、ムロマックC601、トリフルオロ酢酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)塩、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)塩が好ましい。酸触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。 酸触媒を使用する場合、その使用量は、カルボキシル基を有する化合物の種類、反応温度、反応時間等を考慮して定めることができる。酸触媒の使用量は、反応に供するカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基1molに対して、通常0〜0.1mol程度、好ましくは0〜0.05mol程度とすればよい。なお、Nafion(登録商標)等の酸性イオン交換樹脂を使用する場合、その使用量は、イオン交換樹脂中に含まれるイオン交換基(スルホ基等)の数が、反応に供するカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基1molに対して上記範囲内になる程度の量を使用すればよい。この使用量は、イオン交換樹脂のイオン交換容量から算出することができる。 本発明においては、溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジクロロベンゼン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が使用できる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。 溶媒を使用する場合、溶媒の使用量に特に制限はないが、反応に供する各成分の混合が十分に行われ、かつ、原料化合物であるカルボキシル基を有する化合物や生成したチオカルボン酸化合物が析出して不均一にならない程度の量が好ましい。経済性の面からは、溶媒を除く各成分の合計重量の10倍以下程度が好ましい。 また、溶媒として、チオ酢酸を使用することもできる。溶媒としてチオ酢酸を使用すれば、反応の後処理において、溶媒との分離が必要なく、リサイクルが容易になる。また、希釈率も少なくなり、生産性が向上する。 また、本発明は、空気下で反応を行ってもよいが、好ましくは、窒素、アルゴン等の不活性ガスの存在下に反応を行ったほうがよい。 反応温度は、特に限定されないが、通常、常圧下で、−10℃から使用する溶媒の沸点温度以下の範囲内とすればよく、好ましくは20〜120℃程度、さらに好ましくは60〜100℃程度付近とすればよい。また、反応時間は、原料化合物の種類及びその使用量、反応温度等の反応条件によって異なるが、通常1分〜72時間程度、好ましくは1〜24時間程度である。 反応に供する各成分の混合の方法としては、例えば、攪拌、振とう、向流接触等が用いられる。固体酸触媒を充填したカラムを使用することもできる。 かくして得られるチオカルボン酸化合物は、通常の単離、精製手段、例えば、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等により反応混合物から容易に単離し、精製することができる。 以上のように、カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、チオカルボン酸化合物を製造することができる。 本発明においては、原料化合物である前記カルボキシル基を有する化合物中にカルボキシル基が2個以上存在する場合、カルボキシル基を有する化合物の少なくとも1つのカルボキシル基がチオカルボキシル基に変換される。 例えば、前記一般式(1)で表される化合物をチオカルボン酸と反応させて得られるチオカルボン酸化合物は、下記一般式(2):で表すことができる。 一般式(2)において、aは0〜n−bであり、bは1〜nである。すなわち、本発明によって、分子中のカルボキシル基がチオカルボキシル基に変換された数がbであり、反応せずにカルボキシル基のまま残った数がaである。a+bは前記一般式(1)のnと同じ値であり、原料化合物であるカルボキシル基を有する化合物中に含まれるカルボキシル基の数に対応する。また、Rは前記一般式(1)で表される化合物のRと同じである。一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物において、カルボキシル基の一部又は全部がチオカルボキシル基に変換された化合物に対応する。 本発明によれば、カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させることにより、容易にカルボキシル基をチオカルボキシル基に変換することができる。本発明において、硫化剤として使用されるチオ酢酸は、取り扱いが容易である。よって、本発明は、カルボキシル基を有する化合物からチオカルボン酸化合物を製造する方法として極めて有効である。図1は、実施例4の実験操作の模式図である。 以下の実施例を示し、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されない。 実施例1(酸触媒によるチオオクタン酸の製造) 三方コックを取り付けた25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) SAC-13 (143 mg, H+ : 157 μmol イオン交換容量から算出)、n-オクタン酸(723 mg, 5.01 mmol)、チオ酢酸(1.14 g, 15.0 mmol)を加え、アルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。この反応溶液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてチオオクタン酸を主生成物とする混合物510 mgを分取した。得られた混合物を蒸留し、チオオクタン酸(338 mg)を淡黄色液体として得た(単離収率 42 %)。得られたチオオクタン酸の各物性値は以下の通りである。沸点(b.p.) 110-120℃/90 Pa1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 0.88 (3H, t, J = 6.8 Hz), 1.25-1.35 (8H, m), 1.65 (2H,quin, J= 7.2Hz), 2.60 (2H, t, 7.2 Hz), 4.52 (1H, s).13C-NMR(100 MHz, CDCl3) d = 14.0, 22.6, 25.5, 28.8, 28.9, 31.6, 45.8,197.6.IR (neat) 1710 (νCO), 2563 (νSH) cm-1。 実施例2(酸触媒によるチオオクタン酸の製造) 三方コックを取り付けた25mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標)SAC-13(143mg, H+ :157 μmol)、n-オクタン酸(723 mg, 5.01 mmol)、チオ酢酸(1.14 g, 15.0 mmol)、トルエン1mlを加え、アルゴン中、80 ℃で2時間攪拌した。得られた反応液について、ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が95%で得られていることが確認された。 実施例3(触媒の繰り返し使用によるチオオクタン酸の製造) 三方コックを取り付けた25mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) NR50(40.4 mg, H+ :32.4 μmol)、オクタン酸(157.2 mg, 1.09 mmol)、チオ酢酸(312.0 mg, 4.1 mmol)、トルエン230 mgを加え、アルゴン中、80℃で2時間攪拌した。得られた反応溶液のGLC分析により、オクタン酸の転化率は57%であることが確認された。 さらに、この反応溶液からNafion NR-50を取り除いたのち、低沸点化合物を全て減圧留去した。その後、一旦取り除いた触媒を試験管内に戻し、新たにチオ酢酸(246.8 mg, 3.23 mmol)及びトルエン(230 mg)を加え、80℃で2時間攪拌した。この時点のオクタン酸の転化率は87%となった。再び、この操作を繰り返すことで、オクタン酸の転化率は98%に達し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物を単離精製したところ、チオオクタン酸を76%収率で得た。 実施例4(流通系反応器を用いるチオオクタン酸の製造) オクタン酸(3.05 g, 20 mmol)、チオ酢酸(3.02 g, 40 mmol)、トルエン4.0 mLの混合溶液を調製した。ディスポーザブルシリンジにこの混合溶液を充填し、シリンジポンプにセットした。その後、針先を内径2.0mm,長さ90mmのステンレス管にNafion(登録商標) SAC-13、168mgを充填したカラムに接続し、反応温度60℃にて、流速10.8 ml / 3.3 hで触媒相を通過させた(図1参照)。触媒相を通過した留出液のGLC分析によりオクタン酸転化率は80 %と算出された。この溶液を減圧下、低沸点成分を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。n-ヘキサン留出液からn-チオオクタン酸が淡黄色液体として1.83g得られた(収率57%)。 実施例5(酸触媒条件下におけるp−トルイルチオカルボン酸の製造) 三方コックを取り付けた25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標)SAC-13 (143 mg, H+ : 157 μmol)、p−トルイル酸(681 mg, 5.00 mmol)、トルエン(1.0 mL)、アルゴン置換した後、チオ酢酸(1.14 g, 15.0 mmol)を加え、密閉系で60 ℃の油浴にて2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、p−トルイルチオカルボン酸が40%で得られた。 実施例6(酸触媒によるシクロヘキサンチオカルボン酸の製造) 25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) SAC-13 (30.0 mg, H+ : 33.0 μmol)、シクロヘキサンカルボン酸(129 mg, 1.00 mmol)、トルエン(0.20 mL)、チオ酢酸(206 mg, 2.71 mmol) を加え、80 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、シクロヘキサンチオカルボン酸が67%で得られた。 実施例7(酸触媒によるアダマンタンチオカルボン酸の製造) 25 mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標) SAC-13 (30.0 mg, H+ : 33.0 μmol)、アダマンタンカルボン酸(180 mg, 1.00 mmol)、トルエン(0.20 mL)、チオ酢酸(206 mg, 2.71 mmol) を加え、80 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、アダマンタンチオカルボン酸が56%で得られた。 実施例8 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からNafion(登録商標) NR50に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が88%で得られた。 実施例9 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からAmberlyst(登録商標) 15に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が86%で得られた。 実施例10 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からDOWEX(登録商標)50WX8に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が67%で得られた。 実施例11 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からMuromac(登録商標) C601に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が23%で得られた。 実施例12 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からトリフルオロ酢酸に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が68%で得られた。 実施例13 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からリン酸に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が73%で得られた。 実施例14 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)塩に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が61%で得られた。 実施例15 触媒をNafion(登録商標) SAC-13からトリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム(IV)塩に代えた以外は、実施例2と同様にして、各成分をアルゴン中、100 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が53%で得られた。 実施例16(無触媒条件下におけるチオオクタン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、n-オクタン酸(2.88 g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。n−ヘキサン留出液から、n-チオオクタン酸を淡黄色液体として1.98g(収率62%)得るとともに、10%t-ブチルメチルエーテル/ヘキサン留出液から、n-オクタン酸を0.90g(31%)回収した。 実施例17(無触媒条件下におけるチオ安息香酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、安息香酸(2.44 g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)、乾燥トルエン(5mL)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。5%t-ブチルメチルエーテル/n−ヘキサン留出液から、チオ安息香酸を黄色液体として0.88g(収率32%)得るとともに、20%t-ブチルメチルエーテル/ヘキサン留出液から、安息香酸を1.41 g(56%)回収した。得られた黄色液体のスペクトルデータは、市販のチオ安息香酸と完全に一致した。 実施例18(無触媒条件下におけるシクロヘキサンチオカルボン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、シクロヘキサンカルボン酸(2.58g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。n−ヘキサン留出液から、シクロヘキサンチオカルボン酸を淡黄色液体として2.66g(収率92%)得るとともに、10%t-ブチルメチルエーテル/ヘキサン留出液から、シクロヘキサンカルボン酸を0.22g(8%)回収した。得られたシクロヘキサンチオカルボン酸の物性値は以下の通りであった。1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 1.10-2.00 (10H, m), 2.40-2.50 (1H, m), 4.5-5.0 (1H, brs)13C-NMR (100MHz, CDCl3) d = 25.4, 28.8, 29.4, 53.7, 201.4。 実施例19(無触媒条件下における1,4-シクロヘキサンジチオカルボン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(3.45g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(9.16 g, 120.0 mmol)、乾燥トルエン(10mL)を入れて密栓し、油浴上で100℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲル(50g)カラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。トルエン留出液から、1,4−シクロヘキサンジチオカルボン酸を淡黄色固体として2.26g(収率55%)得た。得られた1,4−シクロヘキサンジチオカルボン酸の物性値は以下の通りであった。mp 40-48℃1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 1.30-2.7 (10H, m), 4.0-4.7 (2H, brs)13C-NMR (100MHz, CDCl3) d = 26.1, 28.1, 50.4, 52.4, 200.0, 200.1。 実施例20(無触媒条件下におけるアダマンタンチオカルボン酸の製造) 30mLのナス型フラスコに、アダマンタンカルボン酸(3.61 g, 20.0 mmol)、チオ酢酸(4.57 g, 60.0 mmol)、乾燥トルエン(5mL)を入れて密栓し、油浴上で90℃、24時間、加熱撹拌を行った。室温まで冷却後、減圧下、低沸点成分を留去し,シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を単離精製した。5%t-ブチルメチルエーテル/n−ヘキサン留出液から、アダマンタンチオカルボン酸を淡黄色液体として2.24g(収率57%)得た。得られたアダマンタンチオカルボン酸の物性値は以下の通りであった。1H-NMR (400MHz, CDCl3) d = 1.60-1.75 (6H, m), 1.80-1.90 (3H, m), 1.95-2.10 (6H, m), 4.5-5.0 (1H, brs).13C-NMR (100MHz, CDCl3) d = 28.1, 36.3, 39.1, 49.3, 204.9。 実施例21 三方コックを取り付けた25mlスリ付き試験管(内径 16mmφ)に磁気撹拌子(10 mm、4 mmφ)、Nafion(登録商標)SAC-13(30mg, H+ :30μmol)、n-オクタン酸(142 mg, 1.0 mmol)、内部標準物質としてn-テトラデカン50 mg、チオ酢酸(228mg, 3.0 mmol)、トルエン1mlを加え、アルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。得られた反応液について、ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が31%で得られていることが確認された。 実施例22 温度を60℃から70℃に代えた以外は、実施例21と同様にして、各成分をアルゴン中、70℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が41%で得られた。 実施例23 触媒を用いない以外は、実施例21と同様にして、各成分をアルゴン中、60 ℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が6%で得られた。 実施例24 温度を60℃から70℃に代えた以外は、実施例23と同様にして、各成分をアルゴン中、70℃で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて収率を求めると、チオオクタン酸が59%で得られた。 実施例21〜24の結果から、本反応では、酸触媒の存在により、反応は加速されることが分かる。一方、酸触媒を用いない場合には、酸触媒を使用する場合に比べて、高温を必要とするが、ジオクタノイルスルフィドの生成量を抑制し、チオオクタン酸の収率、選択性共に良好な結果を与えることが分かる。カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させて、該カルボキシル基をチオカルボキシル基に変換する方法。前記反応が、酸触媒の存在下に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。カルボキシル基を有する化合物とチオ酢酸とを反応させることを特徴とするチオカルボン酸化合物の製造方法。前記カルボキシル基を有する化合物が、下記一般式(1):[式中、Rは置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい直鎖、分岐鎖又は環状のヘテロ原子含有脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ原子含有芳香族炭化水素基、又はポリマー残基を示し、nは1以上の整数を示す]で表される化合物あり、前記チオカルボン酸化合物が、下記一般式(2):[式中、aは0〜n−b、bは1〜n、a+bは前記一般式(1)のnと同じ値であり、Rは前記一般式(1)と同じである。]で表される化合物である請求項3に記載の製造方法。前記一般式(1)において、nは1又は2であり、前記一般式(2)において、aは0又は1、bは1又は2、a+bはnである請求項4に記載の製造方法。前記反応が、酸触媒の存在下に行われる請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。前記酸触媒が、ブレンステッド酸及びルイス酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の製造方法。前記酸触媒が、スルホ基又はカルボキシル基を有する酸性イオン交換樹脂である請求項6に記載の製造方法。チオ酢酸を反応溶媒として用いる請求項3〜8のいずれかに記載の製造方法。


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