生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_液体の誘電率測定装置及び測定方法
出願番号:2009197928
年次:2011
IPC分類:G01R 27/26,G01N 22/00


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春日 貴志 JP 2011047856 公開特許公報(A) 20110310 2009197928 20090828 液体の誘電率測定装置及び測定方法 独立行政法人国立高等専門学校機構 504237050 三枝 弘明 100100055 春日 貴志 G01R 27/26 20060101AFI20110210BHJP G01N 22/00 20060101ALI20110210BHJP JPG01R27/26 HG01N22/00 Y 7 1 OL 11 2G028 2G028AA01 2G028BC04 2G028CG07 2G028CG09 2G028CG15 2G028DH04 2G028DH10 2G028DH15 2G028FK01 2G028HN09 2G028MS02 本発明は液体の誘電率測定装置と測定方法に係り、特に、本発明は、集中定数容量法により誘電率を測定する技術に関する。 一般に、液体の比誘電率測定法としては、集中定数容量法、同軸プローブ法、伝送ライン法、自由空間反射法、空洞共振器法がある。比誘電率は測定する周波数によって測定法が異なる。 集中定数容量法は2つの電極間に試料を充填し、電極間の静電容量を測定する方法である。集中定数として扱える周波数である必要があるため、試料の大きさから通常kHz帯からMHz帯で用いられる。集中定数容量法により複素誘電率の測定法は、測定誤差を解析的に求めることで測定精度を向上させた手法がある(特許文献1)。 同軸プローブ法は、同軸プローブの先端における反射係数から、複素比誘電率を測定する手法であり、MHz帯からGHz帯で用いられる測定法である(特許文献2、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。 伝送ライン法、自由空間法、空洞共振法はGHz帯で用いられる(非特許文献4)。GHz帯における誘電率測定は、電波吸収体や生体組織の誘電率測定に用いられる。特開2007−263625号公報特開2008−111816号公報宮川道夫,"微小同軸プローブによる組織誘電特性の測定法",電子情報通信学会論文誌D Vol.J71-D,No.11, pp.2450-2456,(1988-11).J. R. Mosig, et.al., "Reflection of an Open-Ended Coaxial Line and Application to Nondestructive Measurement of Materials", IEEE trans on IM, vol.IM-30, no.1, (1981-03).M. A. Struchly, et. al., "Coaxial Line Reflection Methods for Measuring Dielectric Properties of Biological Substances at Radio and Microwave frequencies - A Review", IEEE trans on. IM, vol.IM-29, no.3, (1980-09).K. Shibata, et.al., "Measurement of Complex Permittivity for Liquid Phantom by Transmission Line Method Using Coaxial Line", IEICE trans Electron., vol.E87-C, no.5, (2005-05). しかしながら、従来の集中定数容量法による測定法は、比誘電率や誘電正接、導電率の測定が行える反面、測定装置の価格が高価であり、解析方法が非常に複雑である。また、測定周波数の上限が100MHz程度であるなど、数MHzを連続的に測定できる測定法が確立されていない。 そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、従来行われてきている集中定数容量法の測定に基づき開発された測定手法と測定装置によって、安価で測定が簡易であり、解析的ではなく、実験的な手法によって測定精度の向上を図ることにある。 斯かる実情に鑑み、本発明の液体の誘電率測定装置は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間の開口面上で前記第2の電極が開放された開放端を備えてなる開放型、該開放端が短絡されてなる短絡型、及び、前記開放端が負荷で接続されてなる負荷型の3種の校正用フタをさらに具備することを特徴とする。 本発明の第2の液体の誘電率測定装置は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間の開口面上に開放端を有する前記第2の電極を備えた開放型の校正用フタをさらに具備することを特徴とする。 上記各発明において、前記収容空間は前記開口面と直交する軸線を備えた円筒空間であり、前記第2の電極は該円筒空間内において前記軸線上を突出する軸状に構成されることが好ましい。 上記各発明において、前記容器における前記収容空間の開口及びその周囲の縁面と、前記フタにおける前記第2の電極が露出する端面が凹凸状に嵌合するとともに前記縁面と前記端面が密着するように構成されていることが好ましい。 また、液体の誘電率測定方法は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、前記測定部を測定機器に接続し、該測定機器の測定面の校正を行うために、前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放、短絡、負荷された構造を有する校正用フタを用いて前記測定機器を校正する過程と、前記測定機器の測定値から前記測定部の静電容量を導出し、前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする。 さらに、本発明の第2の液体の誘電率測定方法は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放された構造を有する校正用フタをさらに用意し、前記測定部に前記フタを用いた場合の値から、前記測定部に前記校正用フタを用いた場合の値を減算して静電容量を求める過程と、前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする。 従来行われてきている集中定数容量法の測定に基づき開発された測定手法と測定装置によって、安価で測定が簡易であり、解析的ではなく、実験的な手法によって測定精度の向上を図ることができる、という優れた効果を奏し得る。液体の比誘電率測定装置の詳細説明図(容器の断面図及び右側面図、フタの断面図及び右側面図、コネクタ部の側面図及び外面図)である。液体の比誘電率測定装置の組立状態を示す説明断面図である。比誘電率測定システムの構成図である。校正キットの説明図である。静電容量の理論図である。測定装置内の分布容量の説明図である。測定結果を示すグラフである。 次に、添付図面を参照して本発明に係る液体の誘電率測定装置及び方法の実施形態について詳細に説明する。 1.測定装置 図1に、液体の比誘電率の測定用装置についての説明図を示す。本実施形態は、液体の誘電率を測定するための、液体を収容するための容器1と、液体を保持するためのフタ2からなる。 容器1は非磁性金属などの導電体で構成され、測定時の一方の電極(第1の電極)として機能する。また、容器1は、液体の比誘電率を集中定数容量法により求めるため、測定する周波数帯域の電気信号の波長よりも十分小さい寸法(直径や深さ)を有する空間となるよう、例えば、直径5mm、深さ10mmの円筒状の収容空間11を備えている。液体はこの収容空間11に収容する。収容空間11には開口11aが設けられ、この開口11aの周囲には開口面上に続く例えば平坦な縁面11bが設けられている。収容空間11は上記開口面と直交する軸線を有する円筒空間とされている。容器1とフタ2を密着させるため、容器1にはフタ2とかみ合わせるための上記開口11a及びその周囲の縁面11bを内底面とする凹部12が設けられている。また、縁面11bには、液体を収容空間11に収容してフタ2を装着したとき、収容空間11からあふれ出した液体を収容する液溜13が開口11aから離間した位置に形成されている。このため、液体が収容空間11を完全に満たすように収容できる。 フタ2は非磁性金属などの導電体で構成され、容器1の上記凹部12と嵌合可能な凸部22を有する。凸部22は、上記凹部12の上記縁面11bと密着可能な例えば平坦な端面22aを備え、凸部22の突出量は5.5mmであり、凹部12の深さである5mmより大きいため、容器1にフタ2を装着したとき、端面22aを縁面11bに完全に密着させることができ、これによって収容空間11の開口11aを完全に閉鎖することができ、液体を収容空間11内に満たしつつ保持することができる。なお、容器1とフタ2において凹部12と凸部22の凹凸関係を逆に構成しても構わない。 フタ2の中央には他方の電極(第2の電極)として機能する芯線部25が絶縁材24を介して貫通している。第1の電極は、絶縁材24により第2の電極と絶縁されることで静電容量の測定を可能としている。この芯線部25と容器1の電極部分は液溜13よりも内側の部分14(開口11aと、これから離間した位置に設けられた液溜13との間の部分)で密着するため、収容空間11がフタ2により完全に閉鎖されたとき、液体で完全に満たされた閉空間を作ることができる。なお、上記液溜13はフタ2の端面22aに設けてもよい。 フタには同軸コネクタであるSMAコネクタ(特性インピーダンス50Ω)23を半田付けする。SMAコネクタは例えば全長27.1mmであり、例えば長さ15mmのテフロン(登録商標)等からなる円筒状の絶縁材24と、その中を貫通する芯線部25とを有し、絶縁材24はフタ2の貫通穴21に挿入され、絶縁材24の端部が端面22aと一致するように収容されている。フタ2にSMAコネクタ23を装着すると、芯線部25が端面22aから突出し、第2の電極として使用できる状態となる。第2の電極を構成する芯線部25の突出部分は、前記収容空間11の円筒形状の軸線上を突出する軸状に構成されている。これによって、第2の電極の全周囲に亘って第1の電極を構成する収容空間11の内周面が等距離に配置されることとなるため、第1の電極と第2の電極の間隔と静電容量との関係を明確に規定できる。 図2は、液体の比誘電率の測定用装置についての詳細説明図である。容器1とフタ2はネジ止めされ、上記凹部12に上記凸部22が嵌合することで、縁面11bと端面22aが隙間無く密着固定される。このとき、液体の収容空間11に収容された液体と芯線部25ならびに絶縁材24の接合面26は密着している。このとき、SMAコネクタ23のシールド電位が取り付けられたフタ2に導通し、フタ2と容器1が導通することで、SMAコネクタ23を介して測定される静電容量は、芯線部25と収容空間11の周囲の金属部の間の容量となる。 2.測定システム 図3は、本実施の形態に関する測定システムの構成図である。この測定システムは、反射係数を測定するネットワークアナライザ31、接続用の同軸ケーブル32、SMAコネクタ33、図1に示した比誘電率測定用の測定装置10、図4に示したネットワークアナライザ31の校正を行う開放41、短絡42、負荷43の3種の校正キット(校正用フタ)、データ解析用の汎用コンピュータを含む。液体を挿入した容器にフタをネジで固定する。フタ2に設けられたSMAコネクタ23にはSMAコネクタ33が接続され、同軸ケーブル32によってネットワークアナライザ31と接続される。ネットワークアナライザ31により測定した反射係数は、ネットワークアナライザ31の記憶部に保存される。汎用コンピュータは、入力部より反射係数の数値データを読み込み、各種処理を実行し、出力部により比誘電率を出力する。 ネットワークアナライザ31は、一般的には二つのポートPort1、Port2を有するが、そのうちの一方のPort1の端子面からの反射係数を測定する。測定面は校正を行うことで決定することができる。通常は、同軸ケーブルの先端コネクタ部において、開放、短絡、負荷条件を与えられるネットワークアナライザ専用の校正キットを利用するのが一般的である。しかし、専用の校正キットを利用すると、SMAコネクタ33において測定面となるため、図1に示す測定装置10のSMAコネクタ部23における反射係数が測定される。測定結果には、フタの同軸線路部24の容量も含まれるため、正確に測定することはできない。 そこで、液体に接するフタ2の電極面26(開口11aの開口面と端面22aとの接合面)での校正が行えるように、フタ2と同様な形状の校正キットを作製し、校正を行う。図4に作製した校正キットである校正用フタ41、42、43を示す。校正キットは開放41、短絡42、負荷43の3種類である。校正キットのうち開放型の校正用フタ41は、上記フタ2において芯線部25の先端の端面22aから突出した部分を切り落とした開放端411を備えたものである。短絡型の校正用フタ42は、開放型の校正用フタ41の線路の先端の開放端411(開放端に相当する位置)に銅板421を接続してフタ2の本体導体部を介して容器1の第1の電極に短絡させたもの、負荷型の校正用フタ43は、開放端411(開放端に相当する位置)に50Ωの抵抗431を接続して第1の電極との間に負荷を設けたものである。 3.比誘電率の測定理論 集中定数容量法の基本的な理論は以下の通りである。比誘電率の測定法の一つとして集中定数容量法がある。集中定数容量法は、2つの電極間に被測定試料を挿入し、電極間の静電容量を測定することで、比誘電率を換算する方法である。測定試料の物理的は大きさに対して、測定する周波数が高周波であると自己共振を起こすため、集中定数として扱うことはできない。このため、試料の挿入空間の大きさは測定周波数の波長よりも十分小さい領域である必要がある。 図5は2枚の平行平板間の静電容量を求める理論的な図である。静電容量は2枚の電極間の容量を測定することで求めることができる。平行平板電極の場合、静電容量は式(1)となる。 静電容量は、2つの電極間の距離dと、電極の面積S、電極間に挟む試料の比誘電率εrよって決定する。面積Sと比誘電率εrが大きくなるほど静電容量も大きく、電極間距離が狭くなるほど容量が大きくなる。 電極間が空気の場合、空気の比誘電率はほぼ1であることから、式(2)となる。同一構造の電極で静電容量を測定しているため、式(1)と式(2)の容量比から比誘電率を求めることができる。 式(1)は理論的な静電容量の式であるが、実際には浮遊容量により測定結果とは異なる。浮遊容量の大きな原因は、電極の端部に発生する電界が、x×dの断面よりも外側に発生するフリンジ容量である。比誘電率を求める場合、この端部におけるフリンジ容量が誤差要因として大きい影響を与える。このため、液体を保持する目的と、電極の端部におけるフリンジ容量の誤差を抑えるため、図1の通りフタの中心電極(第2の電極、すなわち、芯線部25のうち収容空間11内の液体中に突出する部分)を容器の第1の電極により取り囲む構造とした。 校正したネットワークアナライザ31に、測定装置10を接続する。測定装置10に液体が入っていない場合と液体が入った場合の反射係数をネットワークアナライザ31によって測定する。測定された液面における反射係数は、実部Γrと虚部Γiが保存される。反射係数と同軸線路の特性インピーダンスZ0から、汎用コンピュータにより式(4)〜(7)により各周波数における静電容量を計算する。 図6は測定装置内に発生する容量の分布を示した説明図である。フタ2側の第2の電極と容器1側の第1の電極の間には図6に示すような静電容量が分布していると考えられる。ネットワークアナライザ31では、分布容量を集中容量CTとしてまとめて測定する。しかし実際には、フタ2の芯線部25の根元の部分とフタ2の導体部の間にもフリンジ容量Cfが発生し、この値が浮遊容量として測定結果に含まれると考えられる。比誘電率を求めるためには、液体に接触している芯線部25と容器1の間の静電容量から求める必要があり、フタ2の液体と接する端部におけるフリンジ容量は測定誤差の要因となる。 フリンジ容量を測定するため、フタ2の第2の電極の芯線部25を切り落とした開放端411を備えた電極によりフリンジ容量Cfを測定する。この場合、液体が入った場合のフリンジ容量はCf、空の容器のフリンジ容量はCf0とする。 液体が入った電極間の静電容量CTからフリンジ容量Cfを減算し、芯線と容器間の静電容量Ceを求める。また、空の容器の静電容量CT0からフリンジ容量Cf0を減算し、芯線と容器間の静電容量Ce0を求める。式(8)より、比誘電率εrを求める。 図7に比誘電率の測定結果の例を示す。液体の測定用の試料としては、水道水とアセトン、エタノールを用いた。測定周波数は30MHzから500MHzとした。 まず、液体を挿入していない場合における容器の容量を測定した。上記開放型の校正用フタ41を用いて芯線部25の突出部が無い場合について測定すると静電容量は約630fF、上記フタ2を用いて芯線部25の突出部がある場合について測定すると静電容量は約650fFであった。液体を挿入していない場合の容量は非常に小さく、ノイズによる影響を受けるため、測定回数を増やして平均値をとり、誤差を軽減した。 それぞれの試料は、マイクロシリンジ(容量:50μl)により容器1の収容空間11の体積分の液体を測定し挿入した。マイクロシリンジの分解能は1μlであり、液体の体積を1μlの精度で測定することができる。測定した反射係数から、上記方法により比誘電率を算出した。 水の比誘電率の理論値は78.5であるのに対して、100MHzにおける比誘電率の測定値は78.1であった。また、アセトンの比誘電率の理論値が20.7に対して、100MHzにおける測定値は18.9であり、100MHz以上で比誘電率が測定できていると考えられる。100MHz未満では比誘電率に大きなばらつきが生じた。静電容量の値が非常に小さく、低周波ではインピーダンスが非常に大きくなる。このため、ネットワークアナライザにおける測定限界を超えたと考えられる。したがって、インピーダンスアナライザを用いるなど、インピーダンスそのものが測定可能であれば、上記測定装置10を用いて100MHz未満の領域でも比誘電率の測定は十分可能である。 尚、本発明の低周波帯における液体の比誘電率測定法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。1 (測定用)容器(第1の電極)2 (液体保持用)フタ11 (液体保持)収容空間11a(液体保持)開口部11b(液体保持)縁面12 (容器)凹部13 (試料)液溜14 (フタ)電極との接触部21 貫通穴(電極挿入部)22 (フタ)凸部22a(フタ)縁面との接触部23 SMAコネクタ24 SMA同軸線路部25 芯線部(第2の電極)26 液面接触面31 ネットワークアナライザ32 同軸線路(同軸ケーブル)33 SMAコネクタ41 校正キット(開放型の校正用フタ)42 校正キット(短絡型の校正用フタ)43 校正キット(負荷型の校正用フタ)411 開放端421 短絡板431 50Ω抵抗 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに、前記収容空間の開口面上で前記第2の電極が開放された開放端を備えてなる開放型、該開放端が短絡されてなる短絡型、及び、前記開放端が負荷で接続されてなる負荷型の3種の校正用フタをさらに具備することを特徴とする液体の誘電率測定装置。 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間の開口面上に開放端を有する前記第2の電極を備えた開放型の校正用フタをさらに具備することを特徴とする液体の誘電率測定装置。 前記収容空間は前記開口面に直交する軸線を備えた円筒空間であり、前記第2の電極は該円筒空間内において前記軸線上を突出する軸状に構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体の誘電率測定装置。 前記容器における前記収容空間の開口及びその周囲の縁面と、前記フタにおける前記第2の電極が露出する端面が凹凸状に嵌合するとともに前記縁面と前記端面が密着するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体の誘電率測定装置。 前記収容空間の開口から離間した位置で前記縁面と前記端面の少なくともいずれか一方に液溜が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液体の誘電率測定装置。 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 前記測定部を測定機器に接続し、該測定機器の測定面の校正を行うために、前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放、短絡、負荷された構造を有する校正用フタを用いて前記測定機器を校正する過程と、前記測定機器の測定値から前記測定部の静電容量を導出し、前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする液体の誘電率測定方法。 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放された構造を有する校正用フタをさらに用意し、 前記測定部に前記フタを用いた場合の値から、前記測定部に前記校正用フタを用いた場合の値を減算して静電容量を求める過程と、 前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする液体の誘電率測定方法。 【課題】液体の誘電率を簡易に測定するとともに測定精度を向上させる。【解決手段】本発明の液体の比誘電率測定装置では、導電性の容器1に液体を挿入する収容空間11を設け、この容器が第1の電極となる。もう一方の第2の電極である芯線部25が突出したフタ2により収容空間11の開口11aを密閉する。測定では、フタ2と同様な形状をした開放型、短絡型、負荷型の校正用フタ41、42、43により測定系の校正を行う。また、校正用フタ41を用いて測定誤差となるフリンジ容量をあらかじめ測定し、実際の測定結果からフリンジ容量による誤差を引くことで誘電率測定の精度の向上を図る。【選択図】図1


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特許公報(B2)_液体の誘電率測定装置及び測定方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_液体の誘電率測定装置及び測定方法
出願番号:2009197928
年次:2014
IPC分類:G01R 27/26,G01N 22/00


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春日 貴志 JP 5499379 特許公報(B2) 20140320 2009197928 20090828 液体の誘電率測定装置及び測定方法 独立行政法人国立高等専門学校機構 504237050 三枝 弘明 100100055 春日 貴志 20140521 G01R 27/26 20060101AFI20140424BHJP G01N 22/00 20060101ALI20140424BHJP JPG01R27/26 HG01N22/00 Y G01R 27/26 G01N 22/00 特開昭57−136171(JP,A) 特開2007−263625(JP,A) 実開昭59−154648(JP,U) 特開平08−094685(JP,A) 特開2002−196026(JP,A) 7 2011047856 20110310 12 20120828 吉岡 一也 本発明は液体の誘電率測定装置と測定方法に係り、特に、本発明は、集中定数容量法により誘電率を測定する技術に関する。 一般に、液体の比誘電率測定法としては、集中定数容量法、同軸プローブ法、伝送ライン法、自由空間反射法、空洞共振器法がある。比誘電率は測定する周波数によって測定法が異なる。 集中定数容量法は2つの電極間に試料を充填し、電極間の静電容量を測定する方法である。集中定数として扱える周波数である必要があるため、試料の大きさから通常kHz帯からMHz帯で用いられる。集中定数容量法により複素誘電率の測定法は、測定誤差を解析的に求めることで測定精度を向上させた手法がある(特許文献1)。 同軸プローブ法は、同軸プローブの先端における反射係数から、複素比誘電率を測定する手法であり、MHz帯からGHz帯で用いられる測定法である(特許文献2、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。 伝送ライン法、自由空間法、空洞共振法はGHz帯で用いられる(非特許文献4)。GHz帯における誘電率測定は、電波吸収体や生体組織の誘電率測定に用いられる。特開2007−263625号公報特開2008−111816号公報宮川道夫,"微小同軸プローブによる組織誘電特性の測定法",電子情報通信学会論文誌D Vol.J71-D,No.11, pp.2450-2456,(1988-11).J. R. Mosig, et.al., "Reflection of an Open-Ended Coaxial Line and Application to Nondestructive Measurement of Materials", IEEE trans on IM, vol.IM-30, no.1, (1981-03).M. A. Struchly, et. al., "Coaxial Line Reflection Methods for Measuring Dielectric Properties of Biological Substances at Radio and Microwave frequencies - A Review", IEEE trans on. IM, vol.IM-29, no.3, (1980-09).K. Shibata, et.al., "Measurement of Complex Permittivity for Liquid Phantom by Transmission Line Method Using Coaxial Line", IEICE trans Electron., vol.E87-C, no.5, (2005-05). しかしながら、従来の集中定数容量法による測定法は、比誘電率や誘電正接、導電率の測定が行える反面、測定装置の価格が高価であり、解析方法が非常に複雑である。また、測定周波数の上限が100MHz程度であるなど、数MHzを連続的に測定できる測定法が確立されていない。 そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、従来行われてきている集中定数容量法の測定に基づき開発された測定手法と測定装置によって、安価で測定が簡易であり、解析的ではなく、実験的な手法によって測定精度の向上を図ることにある。 斯かる実情に鑑み、本発明の液体の誘電率測定装置は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間の開口面上で前記第2の電極が開放された開放端を備えてなる開放型、該開放端が短絡されてなる短絡型、及び、前記開放端が負荷で接続されてなる負荷型の3種の校正用フタをさらに具備することを特徴とする。 本発明の第2の液体の誘電率測定装置は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間の開口面上に開放端を有する前記第2の電極を備えた開放型の校正用フタをさらに具備することを特徴とする。 上記各発明において、前記収容空間は前記開口面と直交する軸線を備えた円筒空間であり、前記第2の電極は該円筒空間内において前記軸線上を突出する軸状に構成されることが好ましい。 上記各発明において、前記容器における前記収容空間の開口及びその周囲の縁面と、前記フタにおける前記第2の電極が露出する端面が凹凸状に嵌合するとともに前記縁面と前記端面が密着するように構成されていることが好ましい。 また、液体の誘電率測定方法は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、前記測定部を測定機器に接続し、該測定機器の測定面の校正を行うために、前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放された開放端を備えてなる開放型、該開放端が短絡されてなる短絡型、及び、前記開放端が負荷で接続されてなる負荷型の3種の校正用フタを全て用いて前記測定機器を校正する過程と、前記測定機器の測定値から前記測定部の静電容量を導出し、前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする。 さらに、本発明の第2の液体の誘電率測定方法は、液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放された構造を有する校正用フタをさらに用意し、前記測定部に前記フタを用いた場合の値から、前記測定部に前記校正用フタを用いた場合の値を減算して静電容量を求める過程と、前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする。 従来行われてきている集中定数容量法の測定に基づき開発された測定手法と測定装置によって、安価で測定が簡易であり、解析的ではなく、実験的な手法によって測定精度の向上を図ることができる、という優れた効果を奏し得る。液体の比誘電率測定装置の詳細説明図(容器の断面図及び右側面図、フタの断面図及び右側面図、コネクタ部の側面図及び外面図)である。液体の比誘電率測定装置の組立状態を示す説明断面図である。比誘電率測定システムの構成図である。校正キットの説明図である。静電容量の理論図である。測定装置内の分布容量の説明図である。測定結果を示すグラフである。 次に、添付図面を参照して本発明に係る液体の誘電率測定装置及び方法の実施形態について詳細に説明する。 1.測定装置 図1に、液体の比誘電率の測定用装置についての説明図を示す。本実施形態は、液体の誘電率を測定するための、液体を収容するための容器1と、液体を保持するためのフタ2からなる。 容器1は非磁性金属などの導電体で構成され、測定時の一方の電極(第1の電極)として機能する。また、容器1は、液体の比誘電率を集中定数容量法により求めるため、測定する周波数帯域の電気信号の波長よりも十分小さい寸法(直径や深さ)を有する空間となるよう、例えば、直径5mm、深さ10mmの円筒状の収容空間11を備えている。液体はこの収容空間11に収容する。収容空間11には開口11aが設けられ、この開口11aの周囲には開口面上に続く例えば平坦な縁面11bが設けられている。収容空間11は上記開口面と直交する軸線を有する円筒空間とされている。容器1とフタ2を密着させるため、容器1にはフタ2とかみ合わせるための上記開口11a及びその周囲の縁面11bを内底面とする凹部12が設けられている。また、縁面11bには、液体を収容空間11に収容してフタ2を装着したとき、収容空間11からあふれ出した液体を収容する液溜13が開口11aから離間した位置に形成されている。このため、液体が収容空間11を完全に満たすように収容できる。 フタ2は非磁性金属などの導電体で構成され、容器1の上記凹部12と嵌合可能な凸部22を有する。凸部22は、上記凹部12の上記縁面11bと密着可能な例えば平坦な端面22aを備え、凸部22の突出量は5.5mmであり、凹部12の深さである5mmより大きいため、容器1にフタ2を装着したとき、端面22aを縁面11bに完全に密着させることができ、これによって収容空間11の開口11aを完全に閉鎖することができ、液体を収容空間11内に満たしつつ保持することができる。なお、容器1とフタ2において凹部12と凸部22の凹凸関係を逆に構成しても構わない。 フタ2の中央には他方の電極(第2の電極)として機能する芯線部25が絶縁材24を介して貫通している。第1の電極は、絶縁材24により第2の電極と絶縁されることで静電容量の測定を可能としている。この芯線部25と容器1の電極部分は液溜13よりも内側の部分14(開口11aと、これから離間した位置に設けられた液溜13との間の部分)で密着するため、収容空間11がフタ2により完全に閉鎖されたとき、液体で完全に満たされた閉空間を作ることができる。なお、上記液溜13はフタ2の端面22aに設けてもよい。 フタには同軸コネクタであるSMAコネクタ(特性インピーダンス50Ω)23を半田付けする。SMAコネクタは例えば全長27.1mmであり、例えば長さ15mmのテフロン(登録商標)等からなる円筒状の絶縁材24と、その中を貫通する芯線部25とを有し、絶縁材24はフタ2の貫通穴21に挿入され、絶縁材24の端部が端面22aと一致するように収容されている。フタ2にSMAコネクタ23を装着すると、芯線部25が端面22aから突出し、第2の電極として使用できる状態となる。第2の電極を構成する芯線部25の突出部分は、前記収容空間11の円筒形状の軸線上を突出する軸状に構成されている。これによって、第2の電極の全周囲に亘って第1の電極を構成する収容空間11の内周面が等距離に配置されることとなるため、第1の電極と第2の電極の間隔と静電容量との関係を明確に規定できる。 図2は、液体の比誘電率の測定用装置についての詳細説明図である。容器1とフタ2はネジ止めされ、上記凹部12に上記凸部22が嵌合することで、縁面11bと端面22aが隙間無く密着固定される。このとき、液体の収容空間11に収容された液体と芯線部25ならびに絶縁材24の接合面26は密着している。このとき、SMAコネクタ23のシールド電位が取り付けられたフタ2に導通し、フタ2と容器1が導通することで、SMAコネクタ23を介して測定される静電容量は、芯線部25と収容空間11の周囲の金属部の間の容量となる。 2.測定システム 図3は、本実施の形態に関する測定システムの構成図である。この測定システムは、反射係数を測定するネットワークアナライザ31、接続用の同軸ケーブル32、SMAコネクタ33、図1に示した比誘電率測定用の測定装置10、図4に示したネットワークアナライザ31の校正を行う開放41、短絡42、負荷43の3種の校正キット(校正用フタ)、データ解析用の汎用コンピュータを含む。液体を挿入した容器にフタをネジで固定する。フタ2に設けられたSMAコネクタ23にはSMAコネクタ33が接続され、同軸ケーブル32によってネットワークアナライザ31と接続される。ネットワークアナライザ31により測定した反射係数は、ネットワークアナライザ31の記憶部に保存される。汎用コンピュータは、入力部より反射係数の数値データを読み込み、各種処理を実行し、出力部により比誘電率を出力する。 ネットワークアナライザ31は、一般的には二つのポートPort1、Port2を有するが、そのうちの一方のPort1の端子面からの反射係数を測定する。測定面は校正を行うことで決定することができる。通常は、同軸ケーブルの先端コネクタ部において、開放、短絡、負荷条件を与えられるネットワークアナライザ専用の校正キットを利用するのが一般的である。しかし、専用の校正キットを利用すると、SMAコネクタ33において測定面となるため、図1に示す測定装置10のSMAコネクタ部23における反射係数が測定される。測定結果には、フタの同軸線路部24の容量も含まれるため、正確に測定することはできない。 そこで、液体に接するフタ2の電極面26(開口11aの開口面と端面22aとの接合面)での校正が行えるように、フタ2と同様な形状の校正キットを作製し、校正を行う。図4に作製した校正キットである校正用フタ41、42、43を示す。校正キットは開放41、短絡42、負荷43の3種類である。校正キットのうち開放型の校正用フタ41は、上記フタ2において芯線部25の先端の端面22aから突出した部分を切り落とした開放端411を備えたものである。短絡型の校正用フタ42は、開放型の校正用フタ41の線路の先端の開放端411(開放端に相当する位置)に銅板421を接続してフタ2の本体導体部を介して容器1の第1の電極に短絡させたもの、負荷型の校正用フタ43は、開放端411(開放端に相当する位置)に50Ωの抵抗431を接続して第1の電極との間に負荷を設けたものである。 3.比誘電率の測定理論 集中定数容量法の基本的な理論は以下の通りである。比誘電率の測定法の一つとして集中定数容量法がある。集中定数容量法は、2つの電極間に被測定試料を挿入し、電極間の静電容量を測定することで、比誘電率を換算する方法である。測定試料の物理的は大きさに対して、測定する周波数が高周波であると自己共振を起こすため、集中定数として扱うことはできない。このため、試料の挿入空間の大きさは測定周波数の波長よりも十分小さい領域である必要がある。 図5は2枚の平行平板間の静電容量を求める理論的な図である。静電容量は2枚の電極間の容量を測定することで求めることができる。平行平板電極の場合、静電容量は式(1)となる。 静電容量は、2つの電極間の距離dと、電極の面積S、電極間に挟む試料の比誘電率εrよって決定する。面積Sと比誘電率εrが大きくなるほど静電容量も大きく、電極間距離が狭くなるほど容量が大きくなる。 電極間が空気の場合、空気の比誘電率はほぼ1であることから、式(2)となる。同一構造の電極で静電容量を測定しているため、式(1)と式(2)の容量比から比誘電率を求めることができる。 式(1)は理論的な静電容量の式であるが、実際には浮遊容量により測定結果とは異なる。浮遊容量の大きな原因は、電極の端部に発生する電界が、x×dの断面よりも外側に発生するフリンジ容量である。比誘電率を求める場合、この端部におけるフリンジ容量が誤差要因として大きい影響を与える。このため、液体を保持する目的と、電極の端部におけるフリンジ容量の誤差を抑えるため、図1の通りフタの中心電極(第2の電極、すなわち、芯線部25のうち収容空間11内の液体中に突出する部分)を容器の第1の電極により取り囲む構造とした。 校正したネットワークアナライザ31に、測定装置10を接続する。測定装置10に液体が入っていない場合と液体が入った場合の反射係数をネットワークアナライザ31によって測定する。測定された液面における反射係数は、実部Γrと虚部Γiが保存される。反射係数と同軸線路の特性インピーダンスZ0から、汎用コンピュータにより式(4)〜(7)により各周波数における静電容量を計算する。 図6は測定装置内に発生する容量の分布を示した説明図である。フタ2側の第2の電極と容器1側の第1の電極の間には図6に示すような静電容量が分布していると考えられる。ネットワークアナライザ31では、分布容量を集中容量CTとしてまとめて測定する。しかし実際には、フタ2の芯線部25の根元の部分とフタ2の導体部の間にもフリンジ容量Cfが発生し、この値が浮遊容量として測定結果に含まれると考えられる。比誘電率を求めるためには、液体に接触している芯線部25と容器1の間の静電容量から求める必要があり、フタ2の液体と接する端部におけるフリンジ容量は測定誤差の要因となる。 フリンジ容量を測定するため、フタ2の第2の電極の芯線部25を切り落とした開放端411を備えた電極によりフリンジ容量Cfを測定する。この場合、液体が入った場合のフリンジ容量はCf、空の容器のフリンジ容量はCf0とする。 液体が入った電極間の静電容量CTからフリンジ容量Cfを減算し、芯線と容器間の静電容量Ceを求める。また、空の容器の静電容量CT0からフリンジ容量Cf0を減算し、芯線と容器間の静電容量Ce0を求める。式(8)より、比誘電率εrを求める。 図7に比誘電率の測定結果の例を示す。液体の測定用の試料としては、水道水とアセトン、エタノールを用いた。測定周波数は30MHzから500MHzとした。 まず、液体を挿入していない場合における容器の容量を測定した。上記開放型の校正用フタ41を用いて芯線部25の突出部が無い場合について測定すると静電容量は約630fF、上記フタ2を用いて芯線部25の突出部がある場合について測定すると静電容量は約650fFであった。液体を挿入していない場合の容量は非常に小さく、ノイズによる影響を受けるため、測定回数を増やして平均値をとり、誤差を軽減した。 それぞれの試料は、マイクロシリンジ(容量:50μl)により容器1の収容空間11の体積分の液体を測定し挿入した。マイクロシリンジの分解能は1μlであり、液体の体積を1μlの精度で測定することができる。測定した反射係数から、上記方法により比誘電率を算出した。 水の比誘電率の理論値は78.5であるのに対して、100MHzにおける比誘電率の測定値は78.1であった。また、アセトンの比誘電率の理論値が20.7に対して、100MHzにおける測定値は18.9であり、100MHz以上で比誘電率が測定できていると考えられる。100MHz未満では比誘電率に大きなばらつきが生じた。静電容量の値が非常に小さく、低周波ではインピーダンスが非常に大きくなる。このため、ネットワークアナライザにおける測定限界を超えたと考えられる。したがって、インピーダンスアナライザを用いるなど、インピーダンスそのものが測定可能であれば、上記測定装置10を用いて100MHz未満の領域でも比誘電率の測定は十分可能である。 尚、本発明の低周波帯における液体の比誘電率測定法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。1 (測定用)容器(第1の電極)2 (液体保持用)フタ11 (液体保持)収容空間11a(液体保持)開口部11b(液体保持)縁面12 (容器)凹部13 (試料)液溜14 (フタ)電極との接触部21 貫通穴(電極挿入部)22 (フタ)凸部22a(フタ)縁面との接触部23 SMAコネクタ24 SMA同軸線路部25 芯線部(第2の電極)26 液面接触面31 ネットワークアナライザ32 同軸線路(同軸ケーブル)33 SMAコネクタ41 校正キット(開放型の校正用フタ)42 校正キット(短絡型の校正用フタ)43 校正キット(負荷型の校正用フタ)411 開放端421 短絡板431 50Ω抵抗 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに、前記収容空間の開口面上で前記第2の電極が開放された開放端を備えてなる開放型、該開放端が短絡されてなる短絡型、及び、前記開放端が負荷で接続されてなる負荷型の3種の校正用フタをさらに具備することを特徴とする液体の誘電率測定装置。 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する装置であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該容器の前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 該フタと同様に前記収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間の開口面上に開放端を有する前記第2の電極を備えた開放型の校正用フタをさらに具備することを特徴とする液体の誘電率測定装置。 前記収容空間は前記開口面に直交する軸線を備えた円筒空間であり、前記第2の電極は該円筒空間内において前記軸線上を突出する軸状に構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体の誘電率測定装置。 前記容器における前記収容空間の開口及びその周囲の縁面と、前記フタにおける前記第2の電極が露出する端面が凹凸状に嵌合するとともに前記縁面と前記端面が密着するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体の誘電率測定装置。 前記収容空間の開口から離間した位置で前記縁面と前記端面の少なくともいずれか一方に液溜が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液体の誘電率測定装置。 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 前記測定部を測定機器に接続し、該測定機器の測定面の校正を行うために、前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放された開放端を備えてなる開放型、該開放端が短絡されてなる短絡型、及び、前記開放端が負荷で接続されてなる負荷型の3種の校正用フタを全て用いて前記測定機器を校正する過程と、前記測定機器の測定値から前記測定部の静電容量を導出し、前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする液体の誘電率測定方法。 液体を第1の電極と第2の電極の間に配置してなる測定部の静電容量を測定することで液体の誘電率を測定する方法であって、 前記測定部は、前記第1の電極を構成する、液体の収容空間を備えた導電性の容器と、該収容空間の開口を閉鎖する形状を有するとともに前記収容空間内に突出する前記第2の電極を備えたフタとを有し、 前記収容空間の開口面上において前記第2の電極が開放された構造を有する校正用フタをさらに用意し、 前記測定部に前記フタを用いた場合の値から、前記測定部に前記校正用フタを用いた場合の値を減算して静電容量を求める過程と、 前記測定部に液体を挿入していない場合の静電容量と、液体を挿入した場合の静電容量の比から比誘電率を算出する過程と、を具備することを特徴とする液体の誘電率測定方法。


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