タイトル: | 特許公報(B2)_エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 |
出願番号: | 2009196195 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C08G 59/24,C07D 303/04,C07D 303/20 |
櫻井 陽子 福島 剛 JP 5260447 特許公報(B2) 20130502 2009196195 20090827 エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 三洋化成工業株式会社 000002288 櫻井 陽子 福島 剛 20130814 C08G 59/24 20060101AFI20130725BHJP C07D 303/04 20060101ALI20130725BHJP C07D 303/20 20060101ALI20130725BHJP JPC08G59/24C07D303/04C07D303/20 C08G 59/24 C07D 303/04 C07D 303/20 CA/REGISTRY(STN) 特開2010−235821(JP,A) 特表2008−528715(JP,A) 特開2004−182783(JP,A) 7 2011046823 20110310 25 20120316 岩田 行剛 本発明は、新規なエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。さらに詳細には、特定の脂環式構造を有するエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、その硬化物に関するものである。 従来、エポキシ樹脂は、注型、封止および積層板等の電気・電子分野、さらには粘接着剤、塗料および複合材料等の分野に広く使用されている。特に液状のエポキシ樹脂は、常温での作業性に優れるため、建築物の防食塗料材料や注型用材料や液状封止材料として好適に使用されている。 中でも、耐光性に優れる透明なエポキシ樹脂は、光半導体用の封止材料、光学材料、コーティング材料、光学部品用接着剤等への用途が期待されている。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で無色透明の液状であり、硬化剤や添加剤等との混合が容易であることから広く使用されている(特許文献1)。しかし、近年の小型化または薄型の電子部品に使用するには粘度が高く、部品間の微細な隙間に樹脂が完全に充填しなかったり気泡を巻き込んだりする成形不良を起こし、絶縁不良や耐湿性の劣化を起こすという問題点がある。また、芳香族(ビスフェノール型)エポキシ樹脂は、紫外線により変色する等、耐光性に関して低いレベルにあり、光学素子用封止剤等の光学樹脂としての使用や屋外での使用には制限がある。 そのため、芳香族エポキシ樹脂を核水素化して得られる水素化エポキシ樹脂を用いて、耐光性が改良されている(特許文献2)。 しかし、水素化エポキシ樹脂は耐熱性が低く、粘度に関しても不十分である。さらに、ビスフェノール型および水素化エポキシ樹脂は、エピクロルヒドリンを用いてグリシジル化反応することにより得られるため、このとき副生する塩素系不純物が、硬化物の透過率の耐熱性や耐光性を劣化させる原因となっている。また、これらのエポキシ樹脂は、酸無水物硬化剤やカチオン硬化反応における酸との反応性が低いという問題がある。 一方、低粘度で高い耐熱性を有し、耐光性レベルが高いエポキシ樹脂として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート構造をもった脂環式エポキシ樹脂が知られている(非特許文献1)。 しかし、上記文献に記載の脂環式エポキシ樹脂は、耐クラック性が充分ではない。 また、これらの脂環式エポキシ樹脂は、アミン系硬化剤やフェノール系硬化剤との反応が遅く、使用できないものが多い。 すなわち、従来のエポキシ樹脂は、低粘度、耐熱性、耐光性、耐クラック性および高反応性のすべての要求性能を満足するものはなく、これらを満足する液状の新規エポキシ樹脂が望まれていた。特開平06−041395号公報特開2005−120357号公報「エポキシ樹脂ハンドブック」(新保正樹著、日刊工業新聞社 昭和62年発行)77〜87頁 本発明の課題は、低粘度で、着色が少なく、反応性に優れたエポキシ樹脂;並びに耐熱性、光透過性、耐光性、耐クラック性のいずれにも優れたエポキシ樹脂硬化物を提供することである。本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。 すなわち、本発明は、一般式(1)または(2)で表されるエポキシ樹脂;これらのエポキシ樹脂にさらに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有するエポキシ樹脂組成物;並びにこのエポキシ樹脂組成物より得られる硬化物である。[式(1)中、OR1はオキシアルキレン基であってR1は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基;nは1〜10の整数を表す。][式(2)中、R2は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。] 本発明のエポキシ樹脂は、低粘度であり、着色が少なく、かつ反応性に優れる。さらに、本発明のエポキシ樹脂を用いた場合、耐熱性、光透過性、耐光性および耐クラック性のいずれにも優れるエポキシ樹脂硬化物が得られる。 本発明のエポキシ樹脂は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)、および後述の一般式(2)で表されるエポキシ樹脂(B)の2種である。 本発明の第1発明のエポキシ樹脂(A)は下記一般式(1)で表される。[式(1)中、OR1はオキシアルキレン基であってR1は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基;nは1〜10の整数を表す。] 本発明のエポキシ樹脂(A)を表す一般式(1)において、OR1はオキシアルキレン基であって、R1は炭素数1〜20のアルキレン基であり、直鎖状でも分岐でも差しつかえない。 また、nは1〜10の整数を表す。 一般式(1)においてnが1の場合、2つのシクロヘキサン環を結合する2価の基は、−OR1O−と表される。この−OR1O−中のR1は、炭素数1〜20の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜20の分岐状のアルキレン基、炭素数(環に結合したアルキル置換基の炭素数も含む)4〜20のシクロアルキレン基である。 炭素数1〜20の直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、エイコシレン基等が挙げられる。 炭素数2〜20の分岐状のアルキレン基としては、メチルメチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2,3−ジメチルブチレン基、2−シクロヘキシルヘプチレン基、2,4−6−トリエチルノニレン基、2-エチルヘキシレン基等が挙げられる。 炭素数4〜20のシクロアルキレン基としては、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、2−メチルシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、1,3−ジメチルシクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、1−エチルシクロペンチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、シクロトリデレン基、シクロテトラデシレン基、シクロペンタデシレン基、シクロヘキサデシレン基、シクロヘプタデシレン基、シクロオクタデシレン基、シクロノナデシレン基、シクロエイコシレン基、ノルボルニレン基、ジシクロペンチレン基、イソプロピリデンジシクロヘキシレン基、シクロヘキサンジメチレン基等を表す。 nが1の場合、−OR1O−中のR1の好ましい例としては、炭素数2〜10の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜10の分岐状のアルキレン基または炭素数6〜15のシクロアルキレン基である。 さらに好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2,2−ジメチル−プロピレン基、ブチレン基、1,3−ジメチル−プロピレン基、3,3−ジメチル−ペンチレン基、2−エチル−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、イソプロピリデンジシクロヘキシレン、シクロヘキサンジメチレン基である。 一般式(1)においてnが2〜10の場合、2つのシクロヘキサン環を結合する2価の基は、−(OR1)nO−と表される。 −(OR1)nO−中のR1は、炭素数1〜6の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜8の分岐状のアルキレン基、炭素数4〜10(環に結合したアルキル置換基の炭素数も含む)のシクロアルキレン基である。R1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。 炭素数1〜6の直鎖状のアルキレン基としてはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。 炭素数3〜8の分岐状のアルキレン基としては、メチルメチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2,3−ジメチルブチレン基等が挙げられる。 炭素数4〜10のシクロアルキレン基としては、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、2−メチルシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、1,3−ジメチルシクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、1−エチルシクロペンチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。 −(OR1)nO−中のR1の好ましい例としては、炭素数2〜5の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜8の分岐状のアルキレン基および炭素数6〜8のシクロアルキレン基である。 エポキシ樹脂(A)の具体例としては、ビス(4−エポキシ−1(2)シクロヘキシル)エーテル、1,2−エチレングリコールビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,2−プロピレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,4−ブチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,5−ペンチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、2−エチルヘキシレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコールビス(4−エポキシ−(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,6−シクロヘキサンジオールビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、4,4’−ヒドロキシ−イソプロピリデンジシクロヘキシル−ビス(4−エポキシ−1(2)シクロヘキシル)エーテル、ジエチレングリコール−(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、ジプロピレングリコール−(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、シクロヘキサンジメタノール−(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、ポリプロピレングリコール−(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル等が挙げられる。 耐熱性の観点から、ビス(4−エポキシ−1(2)シクロヘキシル)エーテル、1,2−エチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,3−プロピレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,4−ブチレングリコール−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコールビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,6−シクロヘキサンジオール(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、ジプロピレングリコール(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテルおよび1,6−シクロヘキサンジオールビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、4,4’−ヒドロキシ−イソプロピリデンジシクロヘキシル−ビス(4−エポキシ−1(2)シクロヘキシル)エーテル、シクロヘキサンジメタノール−(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)エーテルが好ましい。 本発明のエポキシ樹脂(A)の代表的な製造法としては、以下の製法(1)〜製法(3)の3種の方法等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。 製法(1):金属触媒の存在下で、下記一般式(3)で表される不飽和化合物(C)、またはこれを含む溶液を、過酸化水素、有機過酸化物、無機過酸化物などの酸化剤で酸化反応させる方法。 [式中、OR1はオキシアルキレン基であってR1は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基である。nは1〜10の整数を表す。] 製法(2):前記の不飽和化合物(C)を、触媒を存在させずに、前記の過酸化水素、有機過酸化物、無機過酸化物などの酸化剤のみで酸化反応させる方法。 製法(3):金属触媒と分子状酸素を用いて不飽和化合物(C)を酸化反応させる方法。 これらのうち好ましいのは製法(1)および製法(2)の方法であり、さらに好ましいのは製法(1)である。 製法(1)のうち、好ましいのは、酸化剤として過酸化水素を使用した場合である。最も好ましい組合せは、酸化剤として安価で取り扱いの容易な過酸化水素を使用し、金属触媒としてヘテロポリ酸系触媒またはシリカチタニア系触媒を使用した場合であり、不飽和基を高選択的に酸化し、かつ副生物が少なく、しかも得られたエポキシ樹脂は色相が良好である。 以下において、製法(1)について詳述する。 製法(1)において原料となる上述の一般式(3)で表される不飽和化合物(C)は、エポキシ樹脂(A)を表す前記の一般式(1)中のエポキシ基がビニル基に置き換えられた化学構造の化合物である。原料としての不飽和化合物(C)としては、例えば、1,2−エチレングリコールビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,3−プロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,4−ブチレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコールビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、1,6−シクロヘキサンジオール(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、4,4’−ヒドロキシ−イソプロピリデンジシクロヘキシル−ビス(4−ビニル−1(2)シクロヘキシル)エーテルジプロピレングリコール(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル、シクロヘキサンジメタノール−(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテルなどが挙げられる。 不飽和化合物(C)の製造法としては、4−ビニル−1−シクロヘキセンのシクロヘキセン環の二重結合に、酸触媒下でアルキレングリコールのプロトンを付加させてエーテル化する方法、4−ビニル−1−シクロヘキサノールとアルキレングリコールを酸触媒下で減圧脱水し、エーテル化する方法並びに4−ビニル−1−シクロヘキサノールとジハロアルカンから脱ハロゲン化水素してエーテル化する方法などが挙げられる。 これらのエーテル化反応の反応条件は、例えば特開平5−263188号公報などに記載されているが、酸触媒としては、三フッ化ホウ素・THF錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三塩化アルミ等のルイス酸、ヘテロポリ酸、ベンゼンスルホン酸等の強プロトン酸やメタロシリケート、強酸性陽イオン交換樹脂等の固体酸などが使用でき、反応温度は、前者のルイス酸や強プロトン酸を使用する場合は40〜160℃が好ましく、後者の固体酸を使用する場合は100〜180℃が好ましい。 製法(1)において使用される金属触媒としては、ヘテロポリ酸触媒、金属酸化物触媒、金属錯体触媒が挙げられる。 ヘテロポリ酸触媒としては、 Qm+[XM10O35]m−で表されるヘテロポリ酸触媒またはQm+[XM10O35]m−で表されるニ欠損構造を有するヘテロポリ酸触媒が挙げられる。ただし、Qは、プロトンまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、銅、金、ガリウム、アンモニウム、イミダゾリウムおよびホスホニウムである。XはP、Si、Geより選ばれる1元素であり、MはW、Mo、Vより選ばれる1元素である。mは正の整数である。 ニ欠損構造を有するヘテロポリ酸触媒は、その欠損部に周期律表の4族、5族、6族、7族、9、10族の遷移金属元素または希土類元素より選ばれた1種類または2種類の金属元素が配置される。 金属酸化物触媒としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化セシウム、酸化銀、チタンシリカライトおよびモンモリロナイト等が挙げられる。 金属錯体触媒としては、バナジルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、硫酸マンガンおよびメチルトリオキソレニウム等が挙げられる。 製法(1)において使用される金属触媒のうち、好ましいのはヘテロポリ酸触媒であり、さらに好ましいのはMがタングステンであるタングステン酸およびタングステン酸塩である。特に好ましくはタングステン酸(H2WO4)、ケイタングステン酸(H4[SiW12O40].xH2O)、リンタングステン酸(H3[PW12O40].xH2O)および前記の「特に好ましいタングステン酸」のナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、セシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム等が挙げられる。 これら金属触媒の使用量は、二重結合に対して金属原子の当量が0.001当量〜0.1当量であり、好ましくは0.01当量〜0.05当量である。 金属触媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、これらを併用してもよい。 製法(1)で必須の酸化剤は、過酸化水素、有機過酸化物、無機過酸化物である。過酸化水素は、1重量%〜60重量%の過酸化水素水として使用されるのが好ましい。有機過酸化物としては、例えば過安息香酸、過ギ酸、過フタル酸、過プロピオン酸、過酢酸あるいはトリフルオロ過酢酸などが挙げられる。 無機過酸化物としては、過酸化リチウム、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム等が挙げられる。これらの酸化剤のうち、安全面および環境面から、過酸化水素が好ましい。 製法(1)では、金属触媒と酸化剤以外に、さらに反応収率を向上させるために、相間移動触媒を併用してもよい。 相間移動触媒としては、第四級アンモニウム塩および第四級ホスホニウム塩などが挙げられる。 第四級アンモニウム塩としては、アルキル基の炭素数が1〜18の、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化ベンジルトリアルキルアンモニウム、リン酸水素化テトラアルキルアンモニウム、リン酸水素化ベンジルトリアルキルアンモニウム、硫酸水素化テトラアルキルアンモニウムおよび硫酸水素化ベンジルトリアルキルアンモニウムなどが挙げられる。 第四級ホスホニウム塩としては、例えばアルキル基の炭素数が1〜18の、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、リン酸水素化テトラアルキルホスホニウム、リン酸水素化テトラフェニルホスホニウム、硫酸水素化テトラアルキルホスホニウムおよび硫酸水素化テトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。 これらの相間移動触媒のうち、好ましいのは、反応速度の観点から、硫酸水素化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジラウリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルトリメチルアンモニウム、硫酸水素化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、硫酸水素化ステアリルジメチルアンモニウム、硫酸水素化トリカプリルメチルアンモニウム、硫酸水素化ジデシルジメチルアンモニウム、硫酸水素化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素化ベンジルトリメチルアンモニウムおよび硫酸水素化ベンジルトリエチルアンモニウムである。 製法(1)における各原料の投入方法は、全ての原料を一括して系内に投入してもよいし、任意の2つ以上を混合し、その混合物を系内に投入してもよいし、それらを滴下してもよい。 酸化反応は、溶媒の存在下または非存在下のいずれで行ってもよい。 溶媒は、有機基質及び目的生成物の種類、その溶解性、沸点等により適宜選択できる。溶媒としては、通常の化学反応に使用される芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、アミド、ニトリル、および鎖状もしくは環状エーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は一種で、又は二種以上混合して用いられる。 酸化反応温度は、反応基質や反応の種類などに応じ、反応速度及び反応選択性を考慮して適宜選択できるが、例えば、0〜100℃、好ましくは50〜80℃程度である。反応は常圧で行ってもよく、加圧下に行ってもよい。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式などの何れの方法で行ってもよい。 酸化反応によって得られた化合物は、抽出、分液、ろ過、遠心分離および/または蒸留などの通常の方法によって精製分離される。製法(1)における酸化反応用触媒は、水に対する溶解性が高く、疎水性の有機溶媒への溶解性が低いため、抽出、分液、吸着およびろ過などによる方法が好ましい。特に好ましいのは、アルカリ水溶液で水洗した後、分液し、有機相の不純物を吸着剤で吸着してろ過する方法である。アルカリ水溶液としては、5〜50重量%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が使用できる。吸着剤としては、アルミナおよびシリカなどが挙げられる。 製法(1)により、無色透明なエポキシ樹脂(A)を比較的容易な工程で高収率に製造することが可能である。 本発明の第2発明のエポキシ樹脂(B)は下記一般式(2)で表される。 [式(2)中、R2は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。] 本発明のエポキシ樹脂(B)を表す一般式(2)において、R2は炭素数1〜20アルキレン基であり、直鎖状でも分岐でも差しつかえない。 R2としては、前述の一般式(1)中のR1の説明で例示したのと同じアルキレン基が挙げられる。 R2の好ましい例としては、炭素数2〜10の直鎖状のアルキレン基、炭素数3〜10の分岐状のアルキレン基および炭素数6〜15のシクロアルキレン基である。 エポキシ樹脂(B)の具体例としては、エチレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、プロピレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、ブチレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、ペンチレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、2−エチルヘキシレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンビス(4−エポキシ−(2)−シクロヘキシル)、シクロヘキシレンビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)等が挙げられる。 耐熱性の観点から、エチレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、プロピレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、ブチレン−ビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンビス(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、シクロヘキシレン(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)、2−エチル−ヘキシレン(4−エポキシ−1(2)−シクロヘキシル)が好ましい。 本発明のエポキシ樹脂(B)の製造法としては、前記のエポキシ樹脂(A)の製法(1)〜製法(3)の説明において、前述の不飽和化合物(C)の代わりに下記一般式(4)で表される不飽和化合物(D)を原料として、そのビニル基を酸化反応する方法が挙げられる。 [式(4)中、R2は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。] 製法(1)において原料となる一般式(4)で表される不飽和化合物(D)は、エポキシ樹脂(B)を表す前記の一般式(2)中のエポキシ基がビニル基に置き換えられた化学構造の化合物である。原料としての不飽和化合物(D)としては、例えば、エチレン−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)、プロピレン−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)、ブチレン−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)、シクロヘキシレン(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)、2−エチル−ヘキシレン(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)などが挙げられる。 不飽和化合物(D)の製造法としては、有機ハロゲン化合物と有機金属化合物とのクロスカップリング反応があり、例えば、4−ビニルシクロヘキセンのシクロ環の二重結合を臭素化し、マグネシウムを用いて有機金属化合物であるグリニャール化合物とした後、ジハロアルカンと反応させる方法が挙げられる。 これらのアルキル化反応の反応条件は、例えば特開2003−26612号公報などに記載されているが、有機金属化合物としては、金属としてリチウム、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、亜鉛、ジルコニウム、ホウ素、珪素、スズ、ビスマスなどが使用できる。有機金属化合物との反応温度は−20〜100℃が好ましく、ジハロアルカンとの反応温度は0〜100℃が好ましい。 本発明のエポキシ樹脂は、低粘度で着色が少なく、さまざまな硬化剤との反応性および硬化触媒による単独重合性に優れる。 本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂(A)または(B)、並びに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有するエポキシ樹脂組成物である。 すなわち、エポキシ樹脂組成物は、(1)前記エポキシ樹脂(A)または(B)と硬化剤(H1)および硬化触媒(H2)を含有する場合、(2)前記エポキシ樹脂(A)または(B)と硬化剤(H1)を含有する場合、(3)前記エポキシ樹脂(A)または(B)と硬化触媒(H2)を含有する場合が挙げられる。(1)の場合は、通常のエポキシ樹脂用硬化剤と硬化促進剤の組み合わせなどが挙げられる。(2)の場合は、硬化剤(H1)として触媒効果を有するアミン系硬化剤やイミダゾール類を用いた場合が挙げられる。(3)の場合は、硬化触媒(H2)として、光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤を用いた場合が挙げられる。 硬化剤(H1)としては通常のエポキシ樹脂用硬化剤が挙げられ、例えば、アミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂および潜在性硬化剤などが挙げられる。 アミン系硬化剤としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびテトラエチレンペンタミンなどのポリメチレンジアミン;メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジンおよびジアミノジシクロヘキシルメタンなどの脂環式ポリアミン;メタキシリレンジアミンなどの芳香環を含む脂肪族ポリアミン;芳香族ポリアミン;アミンアダクト(ポリアミンエポキシ樹脂アダクト);およびケチミン;などが挙げられる。 カルボン酸系硬化剤としては、アジピン酸などのポリカルボン酸系硬化剤;並びに、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸および無水トリメリット酸などの酸無水物系硬化剤が挙げられる。 塩基性活性水素化合物としては、ジシアンジアミドおよび有機酸ジヒドラジドなどが挙げられる。イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾールなどが挙げられる。ポリメルカプタン系硬化剤、多価フェノール類および潜在性硬化剤としては、例えば特開2007−262204号公報記載のものが挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物には、これら硬化剤(H1)の1種または2種以上を混合して用いることができる。 硬化剤(H1)のうち、透明性の観点から、酸無水物系硬化剤が好ましく、さらにはテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。 本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤(H1)はエポキシ基に対して通常0.5〜3当量部の配合比率である。 硬化触媒(H2)としては、通常のエポキシ樹脂に使用される、硬化促進剤、光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤などが挙げられる。 硬化促進剤としては、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類およびルイス酸などが挙げられる。光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤としては、炭化水素基を有するオニウム塩、アレン−イオン錯体、シラノールまたはフェノール類/キレート化合物触媒、スルホン酸エステルおよびイミドスルホネートなどが挙げられ、その他、国際公開パンフレットWO2005−090325号記載のものが挙げられる。 また、硬化触媒(H2)は、エポキシ樹脂100重量部に対して通常0.2〜5重量部の配合比率である。 本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらにその他の添加物を含有してもよい。その他の添加物としては無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、流動性向上剤、離型剤(カルナバワックスおよびOPワックスなど)、カップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど)、着色剤(カーボンブラックなど)、難燃剤(三酸化アンチモンなど)、低応力化剤(シリコンオイルなど)および滑剤(ステアリン酸カルシウムなど)などを使用できる。 また、エポキシ樹脂組成物には、本発明のエポキシ樹脂以外に、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂を併用してもよい。 例を挙げれば;2価フェノール類のジグリシジルエーテル、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノンおよびレゾルシンなどのジグリシジルエーテル;3価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル、例えば、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラックおよびo−クレゾールノボラックなどのポリグリシジルエーテル;並びに、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化ビスフェノール類のグルシジルエーテル;がある。これらの通常のエポキシ樹脂は1種または2種以上を混合して用いることができる。 本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)の配合量はエポキシ樹脂全体中、50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%の範囲である。 本発明のエポキシ樹脂硬化物は、硬化剤(H1)や硬化触媒(H2)を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物である。 硬化反応のエネルギー源としては加熱または光照射が挙げられる。 硬化物を得るための方法としてはトランスファー成形、圧縮成形、注型等、塗布およびディッピングなどの方法が用いられ、加熱硬化の際の温度としては、通常50〜230℃の範囲である。 本発明のエポキシ樹脂硬化物は光透過性に優れており、全光線透過率が通常80%以上であり、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。 全光線透過率の優れた硬化物を作るには、色数の低い硬化剤である酸無水物硬化剤や脂環式アミンを使用すると好ましい。さらに硬化反応中の着色を抑制するため、窒素雰囲気下で硬化させたり、硬化温度をできるだけ下げ、酸化防止剤を添加してもかまわない。 本発明のエポキシ樹脂を硬化した硬化物は、耐熱性、光透過性、耐光性、耐クラック性に優れるため、熱環境の厳しい車載用の電子、電気周辺材料や屋外用成形体および発光素子用の封止剤として好適に使用される。 後述の実施例、比較例における全光線透過率の測定方法は以下の通りである。<全光線透過率の測定方法> 2枚のガラス板(大きさ:40mm×20mm)の間にスペーサーを用いて、1mmの隙間を形成し、成形型とした。 これにエポキシ樹脂配合物を注型して120℃×3時間、さらに160℃×5時間かけて硬化させた。成形型より硬化物を取り出し、試験片とした。 この硬化物片を用いて、JISK7361(1997)に準拠し、全光線透過率を測定した。以上詳述した本発明によれば、低粘度であり、着色が少なく、かつ反応性に優れるエポキシ樹脂を得ることができる。さらに本発明のエポキシ樹脂を含有する組成物、およびそのエポキシ樹脂を硬化して得られる、耐熱性、光透過性、耐光性、耐クラック性に優れる硬化物を得ることができる。 以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。[製造例1]<原料の不飽和化合物(C−1)の製造> 撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、「VCH」(4−ビニルシクロヘキセン;サンペトロケミカル社製)540部(5モル部)と酢酸450部(7.5モル部)を加え、100℃に加熱した。8時間熟成した後、60℃に冷却し、水300部を添加後、1時間静置後分液することで、過剰の酢酸を除去した。さらに、40℃130Paに加熱減圧し、未反応のVCHを除去し、4−ビニルシクロヘキシル酢酸エステルが438部(2.6モル部)得られた。 さらに35%水酸化ナトリウム水溶液を205部加え、6時間還流させた。静置分液後、4−ビニルシクロヘキサノールを189部を得た。 トルエン200部を仕込み、金属ナトリウム100部を加えた後、60℃に昇温し、2,2、2−ジメチル−1,3−ジブロモプロパン345部(1.5モル部)を2時間かけて滴下した。水100部を加えて残存する塩を除去した。水洗を2回繰り返した後、分離した有機相を150℃に加熱し、130Paで蒸留精製し、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリコールビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル(C−1)を384部得た。[製造例2]<原料の不飽和化合物(C−2)の製造> 2,2−ジメチル−1,3−ジブロモプロパンの代わりに、1,4−ジブロモブタンを324部(1.5モル部)とした以外は製造例1と同様にして1,4−ブチレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル(C−2)を367部得た。[製造例3]<原料の不飽和化合物(C−3)の製造> 2,2−ジメチル−1,3−ジブロモプロパンの代わりに、ジ(2−メチル−3−ブロモプロピル)エーテルを390部(1.5モル部)とした以外は製造例1と同様にしてジプロピレングリコール−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)エーテル(C−3)を350部得た。[製造例4]<原料の不飽和化合物(D−1)の製造> 撹拌装置、温度制御装置及びコンデンサーを設置した反応槽に、「VCH」(4−ビニルシクロヘキセン;サンペトロケミカル社製)540部(5モル部)と47.5%臭化水素酸920部(5.4モル部)を加え、100℃に加熱した。4時間熟成した後、水200部を添加後、1時間静置後分液することで、過剰の臭化水素酸を除去した。 さらに、40℃130Paに加熱減圧し、未反応のVCHを除去し、4−ビニル−1(2)−ブロモシクロヘキシルが774部(4.1モル部)得られた。 そこにジエチルエーテル200部、マグネシウム粉末を102部(4.2モル部)加え、40℃に加熱後、6時間反応させた。2−エチル−1,6−ジクロロヘキサン267部(1.5モル部)を3時間かけて滴下した。トルエン200部を加えて生成物をトルエン相に抽出し、静置後トルエン相を分離した。分離したトルエン相を150℃に加熱し、130Paで蒸留精製し、目的化合物である2−エチレン−1,6−ヘキシレン−ビス(4−ビニル−1(2)−シクロヘキシル)(D−1)を389部得た。<エポキシ樹脂の製造>[実施例1] 本発明のエポキシ樹脂の製造法として例示した製法(1)〜(3)のうちの製法(1)に従い、下記の方法でエポキシ樹脂(A−1)を製造した。 攪拌装置、温度制御装置及び還流冷却器を設置した反応槽に、表1に記載した種類と量(重量部)のタングステン化合物、30%過酸化水素水およびリン酸アンモニウムをこの順で仕込み、300rpmで撹拌しながら、80℃に温調した。 表1に記載した種類および量(重量部)の溶媒、製造例1で得られた不飽和化合物(C−1)および相間移動触媒の混合溶液を上記の80℃の温調液に2時間かけて滴下した。 滴下終了後、温度を80℃に保ちながら、4時間反応させた。室温まで冷却し、静置後、2相に分離した反応混合物から生成物を含む上層(有機相)を分液した。得られた有機相は2回水洗後、有機相に対して約10重量%の30%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を、アルミナを敷いたフィルターに通した後、100℃260Paで脱溶剤を行い、それぞれ無色透明の生成物を得た。実施例1で得られた生成物を元素分析した結果、C71.6%、H10.2%、O18.2%であり、エポキシ当量が176g/eqであった。これらの結果より、実施例1で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−1)であることを確認した。<元素分析> 元素分析は、パーキンエルマー社の全自動元素分析装置を用いた。炭素(C)および水素(H)は、試料を1800℃の純酸素中で完全燃焼し、クロマトグラフィーで定量した。酸素(O)は、熱分解して発生した酸素を、炭素触媒を用いて一酸化炭素に変換し、測定した。<エポキシ当量の測定方法> エポキシ当量は、JIS K−7236に従って測定した。[実施例2] 製造例2で得られた不飽和化合物(C−2)に対して、タングステン化合物、過酸化水素水、溶剤の種類と量を変える以外は実施例1と同様に製造して、無色透明の生成物を得た。 得られた生成物を同様に分析した結果、C71.0%、H10.0%、O18.9%であり、エポキシ当量が169g/eqであった。これらの結果より、実施例2で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−2)であることを確認した。[実施例3] 同様に、エポキシ樹脂の製造法として例示した製法(2)に従い、下記の方法でエポキシ樹脂(A−3)を製造した。 表1に記載した種類および量の溶媒に過安息香酸を仕込み、製造例3で得られた不飽和化合物(C−3)を3時間かけ、滴下した。50℃で6時間熟成し、反応終了した。析出した安息香酸を除去した後、さらに15℃で398部の炭酸ナトリウムを加え、半中和した後、10%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、約30分撹拌した。 静置後、上層(有機相)を取り出した。得られた有機相を1000部の脱イオン水で洗浄し、洗浄後の粗液を60℃130Paで減圧し、低沸分の除去を行い、さらにこの蒸留残渣を90℃40Paでカラム蒸留を行った。 得られた留分250部に対して、還元剤としてチオ硫酸ナトリウムを20部加えて40℃で1時間攪拌して還元処理し、さらに活性炭素10部を加え、60℃で1時間攪拌した後、セライト545(昭和化学社製)を敷きつめた濾紙を通してろ過した。酸化剤の還元−活性炭吸着−ろ過処理を5回繰り返して行い、無色透明の生成物を得た。 得られた生成物を同様に分析した結果、C69.1%、H9.9%、O20.9%であり、エポキシ当量が191g/eqであった。これらの結果より、実施例3で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(A−3)であることを確認した。[実施例4] 製造例4で得られた不飽和化合物(D−1)に対して、実施例3と同様に製造して、無色透明の生成物を得た。 得られた生成物を同様に分析した結果、C80.8%、H10.9%、O8.3%であり、エポキシ当量が193g/eqであった。これらの結果より、実施例4で得られた生成物は、目的のエポキシ樹脂(B−1)であることを確認した。 比較例1〜4に用いたエポキシ樹脂は以下の通りである。 [比較例1]「リカレジンHBE−100」:水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ(株)製:エポキシ当量204g/eq) [比較例2]「セロキサイド2021」:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量130g/eq)[比較例3]「セロキサイド2081」:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとε−カプロラクトンの付加物;可とう性脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製:エポキシ当量200g/eq)[比較例4] 上記「HBE−100」とセロキサイド2021Pを重量比80:20で混合したもの 実施例1〜4および比較例1〜4のエポキシ樹脂の分析結果、および反応性(各種硬化剤との硬化性および硬化触媒による単独重合性)を表2に示す。 なお、実施例および比較例における物性の測定は下記方法でおこなった。<全塩素含量の測定方法> 全塩素含量は、JIS K7243−3に従って測定した。<粘度の測定方法> JISK7117−2に従い、エポキシ樹脂を25℃に保持した後、B型回転粘度計を用いて粘度を測定した。<反応性の評価方法> 反応性は、硬化剤または硬化触媒の種類と硬化条件を変えて、加熱乾燥後の表面タックで評価した。 下記の3種類の酸無水物硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤を、それぞれ当量のエポキシ樹脂と配合した後、合計10g秤量し、その中に硬化促進剤として「2E4MZ−CN」(イミダゾール系触媒;四国化成社製)を1g加え、混合後、直径3cmのシリコン製カップに入れ、それぞれ下記条件で乾燥器に静置した。 硬化触媒としては、酸発生剤を、エポキシ樹脂に対して3重量部配合したものを10g秤量し、混合後、硬化剤を使用したときと同様に硬化させた。 指蝕により表面にタックがないものは○、一部でもタックがあるものは×とし、結果を表2に記載した。(1)酸無水物硬化剤 「リカシッドMH」(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、新日本理化(株)製:酸無水物当量168g/eq)を用い、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。(2)アミン硬化剤 「ラロミンC260」(BASF社製:活性水素当量57g/eq)、110℃×4時間、150℃×4時間。(3)フェノール硬化剤 「レヂトップPSM−4324」(群栄化学工業(株)製;水酸基当量105g/eq)、160℃×1時間。(4)酸発生剤 「サンエイドSI−100」(三新化学工業(株)製)を用い、90℃×3時間、160℃×3時間で硬化させる。 <硬化物の調製方法> 実施例5〜8および比較例5〜8 表3記載の配合成分と部数(重量部)で配合し、遠心混練が可能な脱泡機を用いて混練、脱泡し、エポキシ樹脂組成物を得た。 得られたエポキシ樹脂組成物は、それぞれ表4記載の評価試験に必要な大きさの試験片が得られるように注型した。 厚みを均一にしたシート状の試験片は、2枚のガラス板とそれに挟まれたスペーサーから構成される成形型に注型した。120℃×3時間、さらに160℃×5時間かけて加熱硬化させ、エポキシ樹脂硬化物からなる試験片を得た。 表3中の硬化剤と硬化促進剤は以下の通りである。<硬化剤>リカシッドMH :表2中の酸無水物系硬化剤と同じ<硬化促進剤>U−CAT 18X:アミン系硬化促進剤(サンアプロ社製) <硬化物の物性および性能> 硬化物の物性の測定および性能評価は下記方法でおこなった。得られた硬化物の物性および試験結果を表4に示す。<ガラス転移点(Tg)の測定方法> ガラス転移温度の測定方法は、熱機械分析装置(TMA)を用いた。 測定サンプルは、25℃において(長さ)18mm×(巾)2mm×(厚さ)0.2mmの大きさの硬化樹脂を使用した。その硬化物の長さと幅はノギスにて測定し、厚さは膜厚計にて測定し、それぞれ0.001mmの桁まで測定した。 SII社製のTMA/SS6000を使用して、測定サンプルに10mNの荷重をかけ、測定セル内を30℃で30分間保持した後、測定セル温度を30℃から200℃まで10℃/minで昇温した。得られたTMA曲線の変曲点前後に接線を引き、この接線の交点をTgとした。<耐ハンダリフロー性の評価方法>(1)シリコーン製の直径30mmの円筒形の型に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れる。(2)実施例および比較例記載のエポキシ樹脂組成物を、深さ3mmになるように上記のシリコーン型に流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。硬化後シリコーン型から硬化物を取り出し、これをワッシャー入りの試験片とした。(3)10個の試験片を高温恒湿器中に、30℃、70%RHで168時間静置する。(4)試験片を高温恒湿機から取り出し、100℃に余熱しておいた はんだリフロー試験機(日本アントム社製UNI−6116G)に入れ、50℃/分で230℃まで昇温し、230℃で1分加熱する。(5)上記の熱サイクルを2回繰り返す。(6)10サンプル中、剥がれやクラックが入っているサンプル数で評価した。 すべての10サンプルで剥がれもクラックが入っていないものを○、10サンプル中1サンプルでも剥がれかクラックが入ったものを×とした。<耐熱性の評価方法> 20mm×40mm×1mmの試験片を用いて全光線透過率(%)をJIS K7361(1997)に準拠して測定した。 試験片をステンレス製のバットにのせて、120℃の乾燥機に100時間静置した後、乾燥機から取り出し、室温まで放熱した。 加熱後の透過率保持率を初期の全光線透過率と比較することで耐熱性を評価した。 下記の数式で算出する。 透過率保持率(%)=加熱後の全光線透過率×100/初期の全光線透過率(%)<耐光性の評価方法> 20mm×40mm×1mmの試験片を、ピーク波長が340nmの紫外蛍光ランプを光源とする岩崎製の促進耐光試験機に入れる前後の耐光性を評価した。 まず、促進照射前の全光線透過率(%)をJIS K7361(1997)に準拠して測定した後、促進試験のため、55℃においてエポキシ樹脂試験片に紫外線を300時間照射する。照射後、全光線透過率を測定した。 紫外線照射後の透過率保持率を初期の全光線透過率と比較することで耐光性の評価を行った。 透過率保持率(%)=紫外線照射後の全光線透過率×100/初期の全光線透過率(%)<耐クラック性の評価方法>(1)直径30mmの円筒形のシリコーン製の型に、内径3mm、外径10mm、厚さ1mmの真鍮製のワッシャーを入れる。(2)実施例および比較例記載のエポキシ樹脂組成物を、深さ3mmになるように上記のシリコーン製の型に流し入れ、120℃×3時間、150℃×3時間で硬化させる。硬化後シリコーン型から硬化物を取り出し、これをワッシャー入りの試験片とした。(3)10個の試験片を気相式熱衝撃試験機WINTECH(エタック社製)に入れ、−40℃×15分に冷却後、150℃×15分に昇温する。(4)上記の熱サイクルを50回繰り返す。(5)10サンプル中、剥がれやクラックが入っているサンプル数で評価した。 すべての10サンプルで剥がれもクラックが入っていないものを○、10サンプル中1サンプルでも剥がれかクラックが入ったものを×とした。 実施例1〜4の本発明のエポキシ樹脂は、表2のように、不純物となる全塩素含量が0ppmである。一方、比較例1および4のエポキシ樹脂は全塩素含量が高い。 なお、実施例1〜4のうち、実施例1と実施例2のエポキシ樹脂は、着色が少ない。また、実施例1〜4のエポキシ樹脂は、比較例1のエポキシ樹脂に比べ、色数および粘度が低い。また、比較例2と3はアミン硬化剤とフェノール硬化剤に対してはタックが残る問題点があるのに対して、実施例1〜4のエポキシ樹脂は代表的な硬化剤系すべてにおいて反応できる点において硬化性が優れている。 さらに、表4からわかるように、実施例5〜8の硬化物は全ての評価項目において優れている。一方、例えば、比較例5はガラス転移点、耐熱性、耐光性と耐クラック性で劣り、比較例6は耐ハンダリフロー性および耐クラック性で劣り、比較例7は耐熱性、耐ハンダリフロー性および耐クラック性で劣り、比較例8はガラス転移点、耐熱性、耐光性および耐クラック性等で劣っている。 本発明のエポキシ樹脂は、低粘度で、着色が少なく、反応性に優れたエポキシ樹脂であり、耐熱性、光透過性、耐光性、耐クラック性が優れていることから、光学素子用封止剤、クリヤー塗料、光学部品接着剤、半導体封止剤、アンダーフィル剤、電子、電気部品用接着剤、液晶用シール剤、光ファイバー、コーティング剤および光造形用などの樹脂原料などに有用である。 下記一般式(1)で表されることを特徴とするエポキシ樹脂(A)。[式(1)中、OR1はオキシアルキレン基であってR1は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基;nは1〜10の整数を表す。] 下記一般式(2)で表されることを特徴とするエポキシ樹脂(B)。[式(2)中、R2は炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレン基を表す。] 下記一般式(3)で表される不飽和化合物(C)を過酸化水素で酸化反応させて得られる請求項1記載のエポキシ樹脂。[式(3)中、OR1は炭素数1〜20のオキシアルキレン基、nは1〜10の整数を表す。] 下記一般式(4)で表される不飽和化合物(D)を過酸化水素で酸化反応させて得られる請求項2記載のエポキシ樹脂。[式(4)中、R2は炭素数1〜20のアルキレン基を表す。] 請求項1〜4のいずれか記載のエポキシ樹脂、並びに硬化剤(H1)および/または硬化触媒(H2)を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 請求項5記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物。 全光線透過率が80%以上である請求項6記載のエポキシ樹脂硬化物。