タイトル: | 公開特許公報(A)_粉末化粧料及びその製造方法 |
出願番号: | 2009168768 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 8/60,A61Q 1/12,A61K 8/19 |
福田 夏 森 俊樹 JP 2010222337 公開特許公報(A) 20101007 2009168768 20090717 粉末化粧料及びその製造方法 第一工業製薬株式会社 000003506 蔦田 璋子 100059225 蔦田 正人 100076314 中村 哲士 100112612 富田 克幸 100112623 夫 世進 100124707 福田 夏 森 俊樹 JP 2009044437 20090226 A61K 8/60 20060101AFI20100910BHJP A61Q 1/12 20060101ALI20100910BHJP A61K 8/19 20060101ALI20100910BHJP JPA61K8/60A61Q1/12A61K8/19 5 OL 19 4C083 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB432 4C083AC012 4C083AC022 4C083AD152 4C083AD221 4C083AD222 4C083BB21 4C083BB23 4C083CC12 4C083DD17 4C083DD21 4C083EE03 4C083EE07 4C083FF05 4C083FF06 本発明は、粉末化粧料及びその製造方法に関するものである。詳細には、プレスドファンデーション等の固形粉末化粧料だけでなく、ルースパウダー等の非固形粉末化粧料をも包含する粉末化粧料に関するものである。 従来、プレスドファンデーション等の固形粉末化粧料は、油剤をある程度配合するか、粘着性の物質を配合したり、粉体の凝集力により粉と粉を付着させる方法、圧縮する圧力を高める等の機械的方法等の技術により、固形状に成型されている。 しかしながら、固形粉末化粧料に油剤や粘着性物質を多量に配合すると、使用時にスポンジやマット等の小道具へのトレが悪くなったり、肌へのベタツキ、伸び広がりの悪さ、肌への負担感、化粧持続性の悪さ等の官能的な問題がある。一方、小道具へのトレや官能の面で満足が得られる量に制限して油剤を配合した固形粉末化粧料では、耐衝撃性が弱く、輸送時や持ち運び時に割れるという強度不足の問題がある。 また、粉体の凝集力を利用する方法では、使用できる粉体が限定されることによる感触の悪さが生じ、機械的に高圧で圧縮する方法においても、使用できる粉体の限定や充填容器の限定があり、更には耐衝撃性は増すが、スポンジやマット等の小道具へのトレが悪くなるという問題がある。 そのため、これらの問題点を解決した固形粉末化粧料の開発が望まれており、下記特許文献1には、板状粉体を50質量%以上と、ポリテトラフルオロエチレン粉体と、球状粉体を含有し、更に油剤の配合量を規定した固形粉末化粧料が提案されている。 ところで、この種の固形粉末化粧料において、下記特許文献2には、ショ糖脂肪酸エステルをバインダーベース中に配合することが提案されている。しかしながら、この文献において、ショ糖脂肪酸エステルは、油剤とともに80℃で加熱溶解することで均一なバインダーベースとした上で粉体成分に混合されており、ショ糖脂肪酸エステルを粉末状のまま粉末化粧料に含有させることは開示されていない。また、この文献において、ショ糖脂肪酸エステルは、乳化目的で配合されており、すなわち、ショ糖脂肪酸エステルを含有するバインダーベース(乳化脂)が汗や皮脂と接触したときに、それらを乳化又はゲル化することによって、化粧料中に部分的に安定な乳化脂として吸収あるいは吸着させ、これによって肌への密着性と持続性を向上させたものにすぎない。 また、粉末化粧料としては、プレスしないルースパウダーのような非固形粉末化粧料もあるが、これについても、小道具へのトレ性や、肌への伸び広がりやすさ、経時によるくずれの防止が求められる。 化粧品用途の粉末化粧料において使用される着色剤としては、顔料や染料が用いられる。染料は溶媒に溶解し、顔料は溶解せず分散し、その機構は異なる。メイキャップ化粧料において染料単色のみを用いることは少なく、他の顔料と併用されることが多い。かかる顔料に関し、有機顔料は彩度が高いが、人体への有害性と耐溶出性や耐光性の点から使用できる色素が限られる。一方、無機系有色顔料では、色相が限られることと彩度が低いという難点を持つ(下記特許文献3,4、非特許文献1参照)。そこで、無機系有色顔料に対し、表面処理するなどの方法で、高彩度・高発色とすることが試みられていた(特許文献4)。特開2002−275033号公報特開平8−81331号公報特開2003−277646号公報特開2000−302625号公報中村治郎著「口紅の有用性と製品化技術」、J.Soc.Cosmet.Chem.Japan,VOL.36,No.3,2002,p184-191 本発明は、上記に鑑み、使用性や成型性等に優れた粉末化粧料を提供することを目的とする。 本発明に係る粉末化粧料は、粉体成分と、粉末状のショ糖脂肪酸エステルとを含有するものである。また、本発明に係る粉末化粧料の製造方法は、粉体成分に対し、粉末状のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに添加混合することを特徴とするものである。 本発明によれば、ショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに粉末のまま配合することにより、小道具へのトレ性が良好で、肌への伸び広がりやすさ等の使用感にも優れる。また、化粧くずれしにくく、固形粉末化粧料とするときの成型性を向上したり、耐衝撃性を高めたりできるなどの効果が得られる。実施例1と比較例2のパウダーファンデーションの塗布後の色差を示すグラフである。比較例1に対する実施例1及び15の色差を示すグラフである。比較例7に対する実施例16及び17の色差を示すグラフである。実施例18〜21の各比較例に対する色差を示すグラフである。比較例11に対する実施例21及び22の色差を示すグラフである。比較例12に対する実施例23〜25の色差を示すグラフである。パウダーファンデーションのプレス表面と塗布したときの各比較例に対する色差を示すグラフである。 以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。 本発明で用いられる上記粉体成分は、粉末化粧料において主剤となるものであり、通常、化粧料に用いられる各種の無機粉体、有機粉体が挙げられ、球状、板状、針状などの形状も含め特に限定されず、また体質顔料であるか着色顔料であるかも問わない。 具体的には、無機粉体としては、タルク、シリカ、カオリン、セリサイト、マイカ、ベントナイト、クレー、バーミキュライト、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、チタン酸鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、窒化ホウ素などが挙げられる。 これらの無機粉体のうち、無機系有色顔料、即ち、白色以外の着色を行う有色顔料としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、低次酸化チタン、群青、紺青、マンガンバイトレット、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、エローオーカー、タロックスレモン、テツグロ、キロムグリーン、ギネグリーン、含水酸化クロム、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、アルミン酸コバルト、ウルトラマリン青、緑青、マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどが挙げられる。このような無機系有色顔料の発色の悪さを改良するため、従来は該無機系有色顔料に特殊な表面処理などが施されていたが、処方内にショ糖脂肪酸エステルを併用するという非常に簡便な方法により、発色を向上させることができる。そのため、無機系有色顔料を使用した場合であっても、発色に優れる粉末化粧料を提供することができる。 有機粉体としては、ナイロンパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリエチレンメタクリレートパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、セルロースパウダー、シリコーンパウダー(例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー)などが挙げられる。 これらの粉体は、いずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、通常は、複数種の粉体を組み合わせて用いる。 また、これらの粉体としては疎水性粉体であることが化粧持ちの点から好ましく、表面が本来疎水性であるものや、表面を疎水化処理したものが好ましく用いられる。疎水化処理は、シリコーン類やフッ素化合物、脂肪酸金属塩などの公知の疎水化処理剤を用いて行うことができ、特に限定されるものではない。 粉体成分の配合量は、粉末化粧料全体に占める比率として、60〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜95質量%である。また、無機系有色顔料を配合する場合、その配合量は、粉末化粧料全体に占める比率して、0.5〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。 本発明に係る粉末化粧料には、粉末状のショ糖脂肪酸エステルが配合される。従来一般に、ショ糖脂肪酸エステルを化粧料等に配合する場合、加熱溶解させるか、あるいは水または油に溶かして用いられているが、本発明では、これを粉末のまま含有させる点に特徴がある。すなわち、ショ糖脂肪酸エステルを粉末のまま配合することにより、例えば、プレスドファンデーション等の固形粉末化粧料の場合、使用時にスポンジやマット等の小道具へのトレが良好で、肌への伸び広がりが良くベタツキがない等の使用感にも優れる。また、粉体成分に対するバインディング効果により成型性が向上して弱いプレス圧で成型可能となり、また成型性が良くなることで耐衝撃性が高くなる。また、ショ糖脂肪酸エステルの配合により、経時のくすみ(色差の変化)が軽減され、皮脂によるよれやくずれも生じにくくなる。プレスしないルースパウダーのような非固形粉末化粧料の場合においても、肌への伸び広がりや付着性などの使用感が良好で、小道具へのトレ性もよく、また、皮脂による色差の変化も少なく、化粧くずれも軽減できる。 このような本発明の効果は、上記特許文献2のようにショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解して配合する場合には得られないものである。加熱溶解した場合、ショ糖脂肪酸エステルは油剤とともに粉体成分の表面にコーティングされたように付着するので、小道具へのトレ性や使用感の向上効果は得られない。また、バインディング効果が不十分であり、成型性や耐衝撃性にも劣る。 ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖(スクロース)の8個の水酸基のうちの1個以上に脂肪酸がエステル結合してなるものであり、一般にエステル化度の異なるエステルの混合物として製造され、粉末状のショ糖脂肪酸エステルとして市販されているので、それらを使用することができる。ショ糖脂肪酸エステル粉末の粒径は特に限定されるものではなく、例えば上記粉体成分と同程度の平均粒径を持つものを用いることができるが、粉末状である限り上記粉体成分よりも十分に小さいものや大きいものでも用いることができる。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、特に限定するものではないが、炭素数8〜22の飽和または不飽和の、直鎖または分岐を持つものが挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いられる。好ましくは炭素数12〜22の飽和脂肪酸である。ショ糖脂肪酸エステルのHLB(親水親油バランス)も特に限定されるものではないが、好ましくは1〜6の親油性のものを用いることである。 上記粉末状のショ糖脂肪酸エステルの配合量は、粉末化粧料全体に占める比率として、1.0〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは3.0〜20質量%である。ショ糖脂肪酸エステルの配合量が少なすぎると、上記小道具へのトレ性や使用感の改良効果が不十分となる。逆に該配合量が多すぎると、他の粉体量が減るため、粉末化粧料としてのカバー力や着色効果が失われてしまう。 本発明に係る粉末化粧料には、油剤を配合することができる。油剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば、固体油、半固体油、液体油など特に限定されない。例えば、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、ポリエチレン、パラフィンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類;オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、ヤシ油、パーム油などの油脂類;ミツロウ、キャンデリラロウ、カルバナロウ、ラノリン、モクロウなどのロウ類;オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、トリイソステアリン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル類;ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸、リノール酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの脂肪族アルコール類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシリコーン油類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタンなどのフッ素系油類などが挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。 これらの油剤は、ルースパウダーなどの非固形化粧料の場合には必ずしも要しないが、固形粉末化粧料の場合には、粉体同士を結合させることで成型性及び耐衝撃性を向上させる上で配合することが好ましい。油剤の配合量は、特に限定するものではないが、粉末化粧料全体に占める比率として、0〜20質量%であることが好ましい。特に固形粉末化粧料の場合には、油剤の配合量は、1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。 本発明の粉末化粧料には、上記成分の他に、通常の化粧料に配合される各種成分、例えば、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、多価アルコール、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、制汗剤、冷感剤、皮膚賦活剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。 本発明に係る粉末化粧料の製造方法は、上記粉体成分に対し、上記粉末状のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに添加混合するものである。ショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに混合分散させることにより、粉末化粧料中にショ糖脂肪酸エステルを粉末のまま含有させることができる。 詳細には、次の工程を含むことが好ましい。すなわち、(1)粉体成分を構成する複数種の粉体を均一に混合する工程、及び、(2)上記工程(1)で得られた混合粉体に、粉末状のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに添加混合する工程。 上記工程(1)では、ヘンシェルミキサーもしくはボールミルなどの粉体用混合機を用いて、複数種の粉体を均一に混合する。この工程では、粉体として複数の着色顔料を体質顔料とともに均一に混合することが好ましい。工程(1)で主剤となる粉体成分の全てを混合してもよいが、マイカなどのように混合により割れやすいものは、工程(2)においてショ糖脂肪酸エステルとともに添加混合してもよい。 上記工程(2)では、ヘンシェルミキサーなどの粉体用混合機を用いて、工程(1)で混合された粉体に、粉末状のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに添加し、均一に混合する。このように予め粉体成分を均一に混合してからショ糖脂肪酸エステル粉末を添加混合することにより、ショ糖脂肪酸エステルの粉末形態を維持しやすく、また粉体混合時の熱によりショ糖脂肪酸エステルが溶解するのを効果的に防ぐことができる。 固形粉末化粧料の場合、次いで、(3)上記工程(2)で得られた混合物に対して油剤を添加し、粉体用混合機で混合分散させ、(4)その後、得られた混合物をプレス成型などにより所定形状に成型することにより製造することができる。なお、上述したその他の成分は、上記工程(1)〜(3)のいずれか、又は工程(3)と(4)の間において、必要に応じて適宜添加することができる。また、上記工程(3)において、油剤とともに一部の粉体(例えば、油剤に予め粉体が添加混合されたもの)を添加してもよい。 上記工程(3)において、油剤を添加する際、油剤に固体油や半固体油が含まれる場合には、予め加熱溶融してから添加してもよいが、高温の油剤が添加されることでショ糖脂肪酸エステルが溶解してしまうおそれがあるため、油剤は加熱溶融せずに添加することが好ましい。 非固形粉末化粧料の場合、上記工程(2)までで調製することができるが、更に必要に応じて油剤を添加してもよく、また、上述したその他の成分を必要に応じて適宜のタイミングで添加してもよい。 以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。[評価方法](成型性) プレス後の型からの製品全体の離れやすさ(脱型性)と、型表面への部分的な付着性を、下記評価基準でn=5の平均をとり4段階の判定基準で判定した。プレス条件は、条件1:50kgf/cm2×5秒、条件2:40kgf/cm2×5秒、条件3:20kgf/cm2×5秒、の3段階で評価した。 ・評価基準: (評点) 型に付着せず、はずれやすい :4点 型に付着するが、はずれやすい :3点 型に付着しないが、はずれにくい:2点 型に付着し、はずれにくい :1点・判定基準:(評点の平均点) (判定) 4 :◎ 4.0未満3.5以上:○ 3.5未満3.0以上:△ 3.0未満 :×(耐衝撃性) プレス成型したパウダーファンデーションを50cmの高さから厚さ1cmのアクリル板上に自由落下させ、下記評価基準でn=5の平均をとり4段階の判定基準で判定した。 ・評価基準: (評点) 4回落下させても変化なし :4点 落下4回目で割れる :3点 落下3回目で割れる :2点 落下2回目で割れる :1点 落下1回目で割れる :0点・判定基準:(評点の平均点) (判定) 3.0以上 :◎ 3.0未満2.5以上:○ 2.5未満2.0以上:△ 2.0未満 :×(肌への伸び広がりやすさ、小道具へのトレ性、塗布時のさらさら感) 肌への伸び広がりやすさ、小道具へのトレ性、塗布時のさらさら感は、官能評価により、下記評価基準でn=5の平均をとり4段階の判定基準で判定した。 ・評価基準: (評点) 非常に良好 :4点 良好 :3点 普通 :2点 やや不良 :1点 不良 :0点・判定基準:(評点の平均点) (判定) 3.0以上 :◎ 3.0未満2.5以上:○ 2.5未満2.0以上:△ 2.0未満 :×(ケーキングの無さ) プレス成型したパウダーファンデーションをパフを用いてケーキ表面を20回擦ったときの状態を下記評価基準で評価し、n=5の平均を下記判定基準で判定した。 ・評価基準: (評点) 変化なし :4点 僅かに硬くなるが使用性に問題なし :3点 表面が部分的に固まる :2点 表面が全体的に固まるがパフでとれる:1点 パフでとれない :0点・判定基準:(評点の平均点) (判定) 3.0以上 :◎ 3.0未満2.5以上 :○ 2.5未満2.0以上 :△ 2.0未満 :×(塗布後の分光反射率の変化) 下腕部4cm四方に市販リキッドファンデーション15mgを塗布し、その上にルースパウダーを7mg指で伸ばしてなじませた。コニカミノルタ製分光測色計「CM−2600d」にて、塗布部分の肌の分光反射率を塗布直後と4時間後に測定した。分光反射率は、波長360〜740nmの範囲で測定し、10nm毎の分光反射率を積算した積算値について、塗布直後と4時間後の積算値の差を下記判定基準で判定した。なお、波長400〜700nm程度の分光反射率は美しい肌の指標となるものであり(フレグランスジャーナル2006年2月号p67−73参照)、この範囲の波長の分光反射率の変化が小さいことは、皮脂による経時のくすみが抑えられることを意味する。 ・判定基準:(積算値の差) (判定) 100未満 :◎ 100以上250未満 :○ 250以上500未満 :△ 500以上 :×[配合成分の詳細] 下記表1〜5中の配合成分の詳細は以下の通りである。・疎水化処理タルク:三好化成(株)製「SA−タルク JA−68R」・疎水化処理TiO2:三好化成(株)製「SA−チタン CR−50」・疎水化処理ベンガラ:三好化成(株)製「SA−ベンガラ七宝」・疎水化処理黄酸化鉄:三好化成(株)製「SA−イエロー LLXLO」・疎水化処理黒酸化鉄:三好化成(株)製「SA−ブラック BL−100」・紺青:大東化成工業(株)製「コンジョウNo.671」・マイカ:トピー工業(株)製「PDM−15NR」・ショ糖脂肪酸エステル1:第一工業製薬(株)製「コスメライクS−10」(HLB=1)・ショ糖脂肪酸エステル2:第一工業製薬(株)製「DKエステルF−20W」(HLB=2)・ショ糖脂肪酸エステル3:第一工業製薬(株)製「コスメライクS−50」(HLB=6)・ショ糖脂肪酸エステル4:第一工業製薬(株)製「コスメライクS−160」(HLB=15)・ショ糖脂肪酸エステル5:第一工業製薬(株)製「コスメライクB−30」(HLB=3)・ショ糖脂肪酸エステル6:第一工業製薬(株)製「コスメライクSA−10」・ワセリン:ナカライテスク(株)製「ワセリン(白色)」・流動パラフィン:新日本石油(株)製「ハイホワイト350」・シリコーン類:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとジメチコンの混合物、信越化学工業(株)製「KSG−16」。[パウダーファンデーション] 下記表1に示す配合処方のパウダーファンデーション(プレスドファンデーション)を以下に示す製造方法により調製し、成型性、耐衝撃性、ケーキングの無さ、伸び広がりやすさ、小道具へのトレ性を評価し、結果を表1に示した。なお、成型性を除く各評価では、上記プレス条件1で作製したパウダーファンデーションを用いて行った。(製造方法)・実施例1〜7: 1.A−1の粉体をはかりとり、ミキサーで混合分散させ、次いで、これにA−2の粉体とともに、A−3のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに粉末のまま添加し混合分散させた。 2.上記1.で得られた混合物に対し、Bの油剤を加熱せずにそのまま添加し、ミキサーで混合分散させた。 3.上記2.で得られた混合物をふるいでこして金皿に秤りとり、上記条件1〜3のプレス条件でプレス成型して、パウダーファンデーションを得た。・比較例1,2: 上記1.でA−3のショ糖脂肪酸エステルを添加しない点を除いて、実施例1〜7と同様にしてパウダーファンデーションを作製した。・比較例3〜5: 上記1.でA−3のショ糖脂肪酸エステルを添加せず、かつ、上記2.でBの油剤とA−3のショ糖脂肪酸エステルを予め80℃で加熱溶解したものを1.で得られた混合物に添加した(但し、比較例3ではBの油剤のみを加熱溶解)。その他は、実施例1〜7と同様にしてパウダーファンデーションを作製した。 表1に示すように、比較例1では、従来どおり油剤を添加することで成型性、耐衝撃性は良好であったが、使用感や小道具へのトレ性の面で不良であった。比較例2では、油剤の検討をすることにより使用感の良いものが得られたが、成型性、耐衝撃性に乏しかった。なお、比較例2では、プレス圧の高いプレス条件1でも成型性に劣っていたため、プレス条件2,3は実施しなかった。 比較例3では油剤を、比較例4及び5では油剤とショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解したことにより、油で固めたような感触になり、プレス成型性は高くなったが、表面が硬くなってしまい小道具へのトレ性が悪かった。また、耐衝撃性も弱く、ケーキングもしやすくなっており、更には肌への伸び広がりやすさにも劣っていた。また、加熱により粉体の濡れ性が高まり、外観と塗布色が著しく異なってしまった。 これに対し、実施例1〜7であると、比較例2で不十分であった成型性および耐衝撃性を粉末状のショ糖脂肪酸エステルを配合することで解決できた。また、ショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解して添加した比較例4,5に比べて、小道具へのトレ性、肌への伸び広がりやすさが大幅に改善されており、ケーキングも起こりにくいものであった。[パウダーファンデーションの塗布後の色差] 上記実施例1と比較例2のパウダーファンデーション(プレス条件1で成型したもの)について、塗布後の経時による色差を評価した。評価は、下腕部4cm四方にパウダーファンデーションを10mgパフを用いて塗布し、コニカミノルタ製分光測色計「CM−2600d」にて、塗布部分の色を塗布直後と4時間後に測定して、色差ΔEを求めた。 結果は、図1に示す通りであり、比較例2では経時による色差ΔEが大きいのに対し、実施例1では経時による変化が少なく、褪色が少ないことがわかる。[パウダーファンデーションの皮脂によるくずれの比較] 上記実施例1と比較例2のパウダーファンデーション(プレス条件1で成型したもの)について、皮脂による化粧くずれを想定した評価試験を実施した。評価は、人口皮革に対し、その4cm四方にパウダーファンデーション10mgを、パフを用いて塗布し、塗布部分の右半分に1%トリオクタノインエタノール溶液をスプレーし、褪色具合を目視にて比較した。 その結果、比較例2では、トリオクタノインをスプレーした右半分ではファンデーションがとれてきているのに対し、実施例1では、トリオクタノインのスプレー部分と非スプレー部分との間で色差に差が殆どみられなかった。[ルースパウダー] 下記表2に示す配合処方のルースパウダーを以下に示す製造方法により調製し、伸び広がりやすさ、塗布後の分光反射率の変化、塗布時のさらさら感、小道具へのトレ性を評価し、結果を表2に示した。(製造方法)・実施例8〜14:A−1の粉体をはかりとり、ミキサーで混合分散させ、次いで、これにA−2の粉体とともに、A−3のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに粉末のまま添加し混合分散させた。・比較例6:A−3のショ糖脂肪酸エステルを添加しなかった点を除いて、実施例8〜14と同様にルースパウダーを作製した。 表2に示すように、粉末状のショ糖脂肪酸エステルを配合していない比較例6では、分光反射率の差が増大し経時で反射率が低下したのに対し、実施例8〜14では経時で変化がなく化粧くずれが低減されているのがわかる。また、粉末状のショ糖脂肪酸エステルを配合することにより、肌への伸び広がりやすさ、塗布時のさらさら感が大幅に向上しており、小道具へのトレ性についても改良効果が認められた。[発色性評価(1)] 下記表3に示す配合処方のパウダーファンデーション(プレスドファンデーション)を上記実施例1と同じ方法で調製した(プレス条件1で成型)。得られた実施例15のパウダーファンデーションにつき、上記実施例1及び比較例2のパウダーファンデーション(プレス条件1で成型)とともに、コニカミノルタ製分光測色計「CM−2600d」を用いてプレス表面の色を測定し、比較例2に対する実施例1及び15の色差をそれぞれ求めた。 比較例2に対する実施例1,15のL値の差(ΔL)、a値の差(Δa)、b値の差(Δb)、及び色差(ΔE)を、それぞれ表3及び図2に示す。その結果、ショ糖脂肪酸エステルの配合量が多くなるほど、L値が下がり黒くなり、a値及びb値が高くなり赤味と黄味が増して、発色が良くなっていることが分かる。[発色性評価(2)] 下記表4に示す配合処方のパウダーファンデーション(プレスドファンデーション)を上記実施例1と同じ方法で調製した(但し、油剤は無し。プレス条件1で成型。比較例7はショ糖脂肪酸エステルを未添加)。得られた実施例16,17及び比較例7のパウダーファンデーションにつき、上記と同様にプレス表面の色を測定し、比較例7に対する実施例16及び17の色差(ΔL、Δa、Δb、ΔE)をそれぞれ求めた。 結果は、表4及び図3に示す通りであり、油剤が無い場合でも、ショ糖脂肪酸エステルの配合量が多くなるほど、L値が下がり黒くなり、またa値及びb値が高くなり赤味と黄味が増して、発色が良くなっていることが分かる。[発色性評価(3)] 下記表5に示す配合処方のパウダーファンデーション(プレスドファンデーション)を上記実施例1と同じ方法で調製した(プレス条件1で成型。比較例8〜11はショ糖脂肪酸エステルを未添加)。得られた実施例18〜22及び比較例8〜11のパウダーファンデーションにつき、上記と同様にプレス表面の色を測定し、各比較例に対する実施例の色差(ΔE)を求めた。 結果は、表5及び図4に示す通りであり、単色の場合でも、ショ糖脂肪酸エステルを配合することで、発色が良くなっていることが分かる。また、図5に示されるように、ショ糖脂肪酸エステルの種類を代えた実施例22でも、実施例21と同様に発色が良くなっていた。[発色性評価(4)] 下記表6に示す配合処方のパウダーファンデーション(プレスドファンデーション)を上記実施例1と同じ方法で調製した(但し、油剤は無し。プレス条件1で成型。比較例12はショ糖脂肪酸エステルを未添加)。得られた実施例23〜25及び比較例12のパウダーファンデーションにつき、上記と同様にプレス表面の色を測定し、比較例12に対する実施例の色差(ΔL、Δa、Δb、ΔE)をそれぞれ求めた。 結果は、表6及び図6に示す通りであり、単色で油剤が無い場合でも、ショ糖脂肪酸エステルの配合量が多くなるほど、発色が良くなることが分かる。[発色性評価(5)] 上記実施例1,16,21,23,24の各パウダーファンデーション(プレス条件1で成型)につき、それぞれ対応する比較例(比較例2,7,11,12,12)のパウダーファンデーションとともに、プレス表面と、皮膚への塗布後の色とを上記分光測色計で測定し、各比較例に対する色差(ΔE)を求めた。皮膚への塗布は、下腕部4cm四方にパウダーファンデーション10mgを、パフを用いて塗布することにより行った。 結果は、表7及び図7に示す通りであり、プレス表面だけでなく、塗布したときに、より顕著に発色が向上した。 本発明は、固形又は非固形を問わず種々の粉末化粧料に用いることができ、例えば、パウダーファンデーション、ルースパウダー、チーク、フェイスカラー、ボディーパウダー、アイカラー、白粉、コンシーラー、制汗剤、アイブロウなどとして好適である。 粉体成分と、粉末状のショ糖脂肪酸エステルとを含有する粉末化粧料。 前記粉末状のショ糖脂肪酸エステルを3.0〜40質量%含有する請求項1記載の粉末化粧料。 前記粉体成分が無機系有色顔料を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉末化粧料。 粉体成分に対し、粉末状のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに添加混合することを特徴とする粉末化粧料の製造方法。 前記粉体成分を構成する複数種の粉体を均一に混合し、混合した粉体に前記粉末状のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに添加混合することを特徴とする請求項4記載の粉末化粧料の製造方法。 【課題】小道具へのトレ性が良好で、肌への伸び広がりやすさ等の使用感に優れるとともに、化粧くずれしにくく、成型性、耐衝撃性に優れる粉末化粧料を提供する。【解決手段】主剤となる粉体成分と、粉末状のショ糖脂肪酸エステルとを含有する粉末化粧料である。粉体成分に対し、粉末状のショ糖脂肪酸エステルを加熱溶解せずに添加混合することで製造することができる。【選択図】なし