生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_サイトカイン産生誘導能を有する細菌をスクリーニングする方法
出願番号:2009164645
年次:2011
IPC分類:C12Q 1/02


特許情報キャッシュ

藤木 崇 廣▲瀬▼ 義隆 室▲崎▼ 伸二 山本 佳弘 JP 2011019404 公開特許公報(A) 20110203 2009164645 20090713 サイトカイン産生誘導能を有する細菌をスクリーニングする方法 ハウスウェルネスフーズ株式会社 306019030 岩谷 龍 100077012 藤木 崇 廣▲瀬▼ 義隆 室▲崎▼ 伸二 山本 佳弘 C12Q 1/02 20060101AFI20110107BHJP JPC12Q1/02 6 1 OL 9 4B063 4B063QA01 4B063QA18 4B063QQ06 4B063QR48 4B063QR56 4B063QS33 4B063QX02 本発明は、サイトカイン産生誘導能を有する細菌をスクリーニングする方法に関する。 サイトカインは、生体内の細胞が分泌するタンパク質で、特に免疫系に重要な役割を果たしている。中でも、インターロイキン12(以下、IL−12と称する)は、静止期のT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞からのインターフェロンγ産生の誘導、NK細胞活性の亢進、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞活性の誘導、静止期T細胞のレクチン刺激による細胞増殖能の亢進、ナイーブT細胞からTH−1細胞への分化の促進などの作用を有することが知られており、生体の免疫機能の調節に深く関与している。 IL−12の産生を誘導する物質として、多糖類、結核菌や連鎖球菌などのグラム陽性細菌が知られている。例えば、βグルカンなどの多糖類はレンチナン(味の素株式会社)やシゾフィラン(科研製薬株式会社)などが医薬品として市販されており、結核菌弱毒株であるBCGはワクチンとして、ペニシリン処理した溶連菌製剤であるピシバニール(中外製薬株式会社)は抗悪性腫瘍剤として応用されている。また、グラム陽性細菌の一種である乳酸菌にもIL−12の産生を促進するものがあることも知られている(特許文献1)。 サイトカイン産生誘導能の高い細菌をスクリーニングする方法は、個々の細菌を動物細胞に添加して培養した後、IL−12産生誘導能を測定する方法が一般的である。しかしながら、この方法は、動物細胞の調製、培養、サイトカイン産生誘導能の測定などの手間を要し、動物個体間、培養間のばらつきを補正する必要があった。また、結果を取得するまでに多大な時間と費用を必要とするため、多くの検体から目的の細菌をスクリーニングする方法として不都合であった。したがって、IL−12産生誘導能の高い細菌を簡便に、効率よくスクリーニングできる方法の開発が望まれている。特許第4064481号公報 本発明は、サイトカイン産生誘導能を有する細菌を効率よくスクリーニングできる方法を提供することを課題とする。 本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。即ち、グラム陽性細菌のサイトカイン産生誘導能は、グラム陽性細菌と抗テイコ酸抗体との反応性に正相関する。したがって、抗テイコ酸抗体とグラム陽性細菌との反応性を指標にグラム陽性細菌をスクリーニングすることにより、サイトカイン産生誘導能を有する細菌を簡便かつ効率的に選択することができる。 本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記のサイトカイン産生誘導を有する細菌をスクリーニングする方法を提供する。項1. (1)テイコ酸に対して反応するプローブとグラム陽性細菌との反応性を検出する工程と、 (2)上記プローブと反応したグラム陽性細菌を選択する工程と を含む、サイトカイン産生誘導能を有する細菌をスクリーニングする方法。項2. プローブが抗体である、項1記載の方法。項3. グラム陽性細菌がファーミキューテス門、又はアクチノバクテリア門に属する細菌である、項1又は2記載の方法。項4. ファーミキューテス門、又はアクチノバクテリア門に属する細菌がラクトバチルス(Lactobacillus)属細菌である、項3記載の方法。項5. サイトカインがIL−12である、項1〜4のいずれかに記載の方法。項6. 上記プローブとグラム陽性細菌との反応性をフローサイトメトリーにより検出する、項1〜5のいずれかに記載の方法。 本発明のスクリーニング方法は、細菌を動物細胞に添加して培養する必要がないため、手間、時間などを抑えることができる。具体的には、マウス脾臓細胞を用いた従来のスクリーニング方法の場合、マウスの購入、維持管理に加え、脾臓の採取、細胞の調製、細胞懸濁液への細菌の添加および培養、培養液の回収、ELISA法によるサイトカイン濃度の測定などの手間を要する。ヒトの細胞を使用する場合は、採血が必要であり、動物由来の株化細胞を使用する場合は、維持管理に加え細胞の形質変化に注意する必要がある。また、結果を取得するまでに、長時間(実施例記載:通常2日間以上)を要する。しかしながら、本発明のスクリーニング法を用いた場合は、上述した過程を全く必要とせず、プローブと細菌との反応性を検出するだけでよいため、短時間(例えば、実施例記載:3時間程度)で結果を取得することができる。 また、従来の方法では、動物の個体差および株化細胞の形質変化によるバラツキに加え、動物細胞あるいは株化細胞を培養ごとに調製する必要があるため、細胞の調製の精度に依存したバラツキが生じる。また、細胞の培養に使用した培地の組成が異なる場合は、その都度結果を補正し、解析しなければならない。しかしながら、本発明のスクリーニング法を用いた場合は、プローブと細菌との反応性を検出するだけでよいため、ばらつきの心配が極めて少ない。 本発明で、グラム陽性細菌の菌体表面に存在するテイコ酸と抗テイコ酸抗体との反応性がIL−12産生誘導能に正相関することを見出したことにより、グラム陽性細菌よりテイコ酸を単離精製することなく、簡便にIL−12高産生誘導能を有する細菌をスクリーニングすることが可能となった。 また、本発明のスクリーニングに用いることが可能なプローブとグラム陽性細菌との反応性の検出方法、例えば抗テイコ酸抗体とグラム陽性細菌との反応性の検出方法を自動化することにより、簡便で、多くの検体を短時間で分析することが可能となり、ハイスループットなスクリーニングが実現できる。各種乳酸桿菌の抗リポテイコ酸抗体との反応性を示す図である。L.plantarum L−137株の未標識菌体及び標識菌体の菌数(粒子数)とFITC蛍光強度との関係を示す図である。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明のサイトカイン産生誘導能を有する細菌をスクリーニングする方法は、(1)テイコ酸に対して反応するプローブとグラム陽性細菌との反応性を検出する工程と、(2)上記プローブと反応したグラム陽性細菌を選択する工程とを含む方法である。テイコ酸 テイコ酸としては、グラム陽性細菌の細胞壁にlipidアンカーで結合しているリポテイコ酸、及びグラム陽性細菌の細胞壁にlipidアンカーなしで直接結合している壁テイコ酸が挙げられる。全てのグラム陽性細菌がリポテイコ酸を有すると考えられることから、リポテイコ酸が好ましい。プローブ テイコ酸に対して反応するプローブとしては、テイコ酸に特異的な抗体、テイコ酸結合タンパク質、テイコ酸結合アプタマーなどが挙げられる。 抗体は、ポリクローナル抗体、又はモノクローナル抗体の何れであってもよいが、特異性が高い点から、モノクローナル抗体が好ましい。 これらの抗体は、周知の製造方法(例えばCurrent protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al.(1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.12〜11.13)に従って製造することができる。 具体的には、本発明で用いるポリクローナル抗体を得る場合、テイコ酸を用いて家兎等の非ヒト動物を免疫し、この免疫動物の血清から常法に従って得ることができる。また本発明で用いるモノクローナル抗体を得る場合、例えば、テイコ酸、又はその糖リン酸鎖の部分断片等を用いてマウス等の非ヒト動物を免疫し、この免疫動物の脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させることにより得られたハイブリドーマから得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al.(1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4〜11.11)。グラム陽性細菌 グラム陽性細菌としては、ファーミキューテス(Firmicutes)門、又はアクチノバクテリア(Actinobacteridae)門に分類される細菌が挙げられ約390属が知られている。身近なものとして、具体的には、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、テトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属、カルノバクテリウム(Carnobacterium)属、オエノコッカス(Oenococcus)属、メリスコッカス(Melisscoccus)属、バゴコッカス(Vagococcus)属、アトポビウム(Atopobium)属、ワイセラ(Weissella)属、ラクトスファエラ(Lactosphaera)属、アビオトロフィラ(Abiotrophia)属、パララクトバチルス(Paralactobacillus)属、グラニュリカテラ(Granulicatella)属、アトポバクター(Atopobactor)属、アルカリバクテリウム(Alkalibacterium)属、オルセネラ(Olsenella)属などの乳酸菌;ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌(ビフィズス菌);スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属菌;バチルス(Bacillus)属菌(枯草菌、納豆菌、有胞子性乳酸菌など);スタフィロコッカス(Staphylococcus)属菌(S.carnosus、S.xylosusなど);プロピオン酸菌などのプロピオニバクテリウム (Propionibacterium)属菌、酪酸菌などのクロストリジウム(Clostridium)属菌;グルタミン酸生産菌などのコリネバクテリウム(Corynebacterium)属菌;典型的な放線菌として知られるアクチノマイセス(Actinomyces)属菌、ストレプトマイセス(Streptomyces)属菌などが挙げられる。中でも、食品、整腸剤等に用いられることがある乳酸菌、ビフィズス菌、スポロラクトバチルス属菌、バチルス属菌、スタフィロコッカス属菌、プロピオン酸菌、酪酸菌のうち毒性、病原性が無い菌種が好ましく、乳酸菌及びビフィズス菌がより好ましい。 乳酸菌及びビフィズス菌として、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラプランタラム(Lactobacillus paraplantarum)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ガゼリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici) 、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus) 、ワイセラ・コンフューザ(Weissella confusa) 、エンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans) 、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フィーシウム(Enterococcus faecium)、テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ロイコノストック・メセンテロイズ(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、オエノコッカス・オエニ(Oenococcus oeni)、カルノバクテリウム・ディバージェンス(Carnobacterium divergens)、カルノバクテリウム・ピシコーラ(Carnobacterium piscicola)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)などが挙げられる。 中でも、IL−12産生誘導能を有する株が知られている点から、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ガゼリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus) 、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フィーシウム(Enterococcus faecium)、テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ロイコノストック・メセンテロイズ(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)などの乳酸菌が好ましい。 グラム陽性細菌は、生菌、又は死菌体の状態で使用できるが、テイコ酸との反応性及び反応安定性が良い点から、死菌体を使用するのが好ましい。反応性の検出 プローブとグラム陽性細菌との反応性の検出は、例えば、被験グラム陽性細菌と蛍光標識したプローブとを反応させ、未反応のプローブを除去した後、プローブの蛍光を検出することにより行える。あるいは、被験グラム陽性細菌と未標識のプローブを反応させ、さらに被験グラム陽性細菌に対して結合した未標識プローブに特異的な蛍光標識プローブと反応させる。その後に、未反応のプローブを除去し、蛍光を検出することによりプローブと被験グラム陽性細菌との反応性の検出を行うことができる。蛍光標識に用いる蛍光物質としては、Fluorescein、SNAFL、carboxyfluorescein、carboxyfluorescein diacetate、Eosin、Tokyo green、Oregon Green(登録商標)、Texas Red(登録商標)、Marina Blue(登録商標)、Cascade Blue(登録商標)、Cascade YellowTM、Pacific BlueTM、ピレニル化合物、ABQ、AMCA、TRITC、RD1、ECD、PE、PerCP、Cy3、Cy5、Cy5.5、PC5、PC5.5、PC7、PE−Texas RedTM、APC、APC7、SPRD、種々のQdot(登録商標)色素、種々のAlexaFluor(登録商標)色素、種々のDyLightTM色素、GFP、RFP、YFP、BFP、CFPなどが挙げられる。 中でも、最も広く使用されているアルゴンレーザー(488nm)によって励起されるFluorescein、PE、PerCP、PC5、PC5.5、PC7、PE−Texas RedTM、Qdot(登録商標)605、AlexaFluor(登録商標)488、DyLightTM 488、GFP、RFP、YFPなどが好ましい。蛍光は、フローサイトメトリー、マイクロプレートリーダー、顕微鏡観察などによって検出できる。プローブとしては代表的には抗体を用いることができる。 また、ラジオイムノアッセイによって、プローブとグラム陽性細菌との反応性を検出することもできる。ラジオイムノアッセイとしては、放射標識したテイコ酸と、非標識被験細菌との抗体に対する競合反応を行う競合イムノアッセイや、固相に結合させた抗体に被験細菌をトラップし、これに放射標識抗体を反応させて放射能を検出する非競合イムノアッセイなどが挙げられる。標識には、例えば125I、3H、14C、32P、35Sなどを使用できる。 また、エンザイムイムノアッセイによって、プローブとグラム陽性細菌との反応性を検出することもできる。エンザイムイムノアッセイとしては、固相に結合した抗体に被験細菌をトラップし、これに酵素標識した抗体を反応させて、酵素の活性を検出するサンドイッチ法、あるいは、被験細菌を孔径0.45μm以下のフィルター膜上にトラップし、これに酵素標識した抗体を反応させて、酵素の活性を検出するメンブレンアッセイ法などが挙げられる。標識に用いる酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等が挙げられる。選択工程 プローブとグラム陽性細菌との反応は、標識を検出できれば、反応性ありと判定でき、好ましくは、標識強度が強い細菌を選択すればよい。より好ましくは、標識強度を定量的に検出することにより選択すればよい。例えば、陰性対照に対して2倍以上、好ましくは5倍以上の標識強度を示す細菌を選択すればよい。また、蛍光標識したプローブを用い、プローブと被験グラム陽性細菌との反応性をフローサイトメトリーで検出する場合は、プローブと反応させた各々の被験グラム陽性細菌のうち陰性対照以上の標識強度を示す集団の割合(陽性率)が30%以上、好ましくは60%以上の細菌を選択すればよい。陰性対照としては、菌体外にテイコ酸を有さないことが分かっている、例えばグラム陰性細菌、あるいはプローブと反応させていないグラム陽性細菌を用いればよい。サイトカイン 上記の方法によりサイトカイン産生誘導能を有するグラム陽性細菌を選択することができる。特に、IL−12産生誘導能を有するグラム陽性細菌を選択することができる。 以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(1)マウス由来脾臓細胞培養系を用いたIL−12誘導活性の測定 マウス(BALB/c、雌性、16週齢)から脾臓を摘出し、RPMI1640培地中で押しつぶし、#200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液中の細胞数は自動血球計測装置(CDA-500, Sysmex社製)を用いて測定した。マウス由来脾臓細胞(終濃度2.5x106/mL)と、各種乳酸桿菌の加熱死菌体サンプル(終濃度500ng/mL)とを混合し、5%炭酸ガス培養器内で37℃、24時間培養した。培養後、上清中に分泌されたIL−12濃度をサンドイッチELISA法によって定量した。具体的には、捕捉抗体としてラット抗マウスIL−12モノクローナル抗体(Purified anti−mouse IL−12/23 p40 (monomer, dimmer, heterodimer), BioLegend社製)を、検出抗体としてビオチン標識ヤギ抗マウスIL−12ポリクローナル抗体(Biotinylated Anti−mouse IL−12 Antibody, R&D Systems社製)を使用し、Avidin−HRP(Avidin−Horseradish Peroxidase (Av-HRP) Conjugate, BD Pharmingen社製)を添加後、オルトフェニレンジアミン/H2O2を用いて発色した。結果を図1の(A)に示す。(2)抗リポテイコ酸抗体に対する反応性の評価 一次抗体としてマウス抗リポテイコ酸モノクローナル抗体(clone 55, MONOCLONAL ANTIBODY TO LIPOTEICHOIC ACID(LTA), HyCult biotechnology b.v.社製)を、二次抗体としてFITC標識ヤギ抗マウスIgG抗体(goat anti-mouse IgG-FITC, Santa Cruz Biotechnology社製)を用いて各種乳酸桿菌を蛍光標識し、フローサイトメーター(EPICS XL, BECKMAN COULTER社製)、データ測定ソフトウェア(EXPO32ADC XL4Color, BECKMAN COULTER社製)、データ解析ソフトウェア(EXPO32ADC Analysis, BECKMAN COULTER社製)を用いて抗体の反応性を評価した。具体的には、乳酸菌の死菌体を濃度5μg/mLになるように500μLの2%FBS含有リン酸緩衝生理食塩液(PBS)にけん濁し、2μLの抗リポテイコ酸抗体を添加した。27℃で1時間静置した後、FITC標識した二次抗体を添加しさらに27℃で1時間静置した。4℃、19,000×g、10min遠心し上清を除去した後、沈殿を1mLの2%FBS含有PBSに再懸濁し、標識菌体懸濁液を得た。また、抗体と反応させない未標識菌体のけん濁液を同時に調製した。未標識菌体のFITC蛍光強度が0.1〜1になり、なおかつ検出感度が最大になるように感度を調節し、標識菌体、及び未標識菌体をそれぞれフローサイトメーターで検出した。菌体懸濁液中の菌数(粒子数)とFITC蛍光強度の関係をヒストグラムプロットとして表示させ、FITC蛍光強度が1以上の粒子を抗リポテイコ酸抗体陽性とし、標識菌体に占める抗リポテイコ酸抗体陽性粒子の割合を抗リポテイコ酸抗体の陽性率(%)とした。L.plantarum L−137株を被験菌体とし得られたヒストグラムプロットの例を図2に示す。また、本方法を種々の乳酸菌に適応し、抗リポテイコ酸抗体に対する反応陽性率(%)を求めた。結果を図1の(B)に示す。 図1の(A)と(B)との対比より、グラム陽性細菌のIL−12産生誘導能とテイコ酸抗体との反応性の間に正相関がみられることが分かる。 本発明の方法により、簡便かつ短時間でサイトカイン産生誘導を有する細菌をスクリーニングすることができる。 (1)テイコ酸に対して反応するプローブとグラム陽性細菌との反応性を検出する工程と、 (2)上記プローブと反応したグラム陽性細菌を選択する工程と を含む、サイトカイン産生誘導能を有する細菌をスクリーニングする方法。 プローブが抗体である、請求項1記載の方法。 グラム陽性細菌がファーミキューテス門、又はアクチノバクテリア門に属する細菌である、請求項1又は2記載の方法。 ファーミキューテス門、又はアクチノバクテリア門に属する細菌がラクトバチルス(Lactobacillus)属細菌である、請求項3記載の方法。 サイトカインがIL−12である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 上記プローブとグラム陽性細菌との反応性をフローサイトメトリーにより検出する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 【課題】サイトカイン産生誘導能を有する細菌を効率的にスクリーニングできる方法を提供する。【解決手段】(1)テイコ酸に対して反応するプローブとグラム陽性細菌との反応性を検出する工程と、 (2)上記プローブと反応したグラム陽性細菌を選択する工程と を含む、サイトカイン産生誘導能を有する細菌をスクリーニングする方法。【選択図】図1


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