生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法
出願番号:2009155445
年次:2011
IPC分類:G01N 1/28


特許情報キャッシュ

森園 慶書 榛原 照男 JP 2011013008 公開特許公報(A) 20110120 2009155445 20090630 窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法 ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト 599119503 Siltronic AG 矢野 敏雄 100061815 山崎 利臣 100094798 久野 琢也 100099483 杉本 博司 100110593 高橋 佳大 100112793 星 公弘 100128679 二宮 浩康 100135633 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 森園 慶書 榛原 照男 G01N 1/28 20060101AFI20101217BHJP JPG01N1/28 X 3 1 OL 7 2G052 2G052AA13 2G052AB01 2G052AC13 2G052AD12 2G052AD26 2G052AD52 2G052EB01 2G052EB06 本発明は、窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法に関する。 シリコン半導体デバイスで用いられる絶縁膜としての窒化膜は酸化膜と同様に非晶質でありながら、酸化膜に比べて高い比誘電率、高い密度、そしてフッ酸エッチングに対する高い耐性を有することから、DRAMや不揮発性メモリのキャパシタ容量膜、LOCOS酸化膜形成における酸化マスク材、パッシベーション膜、フッ酸エッチングのマスク材などとして幅広く用いられている。それらの窒化膜には、意図的に又は不純物として種々の経路を通じて含まれる他の元素が存在し、窒化膜の特性・品質に大きく影響することが知られている。 しかしこれまで一般的に知られている窒化ケイ素含有物中の不純物金属を湿式法で分析する際の分析試料調製方法を用いても、アルミニウムに関しては検出感度や再現性が十分でないという問題があった。 本発明は、窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法を提供する。さらにその方法を用いたアルミニウムの湿式分析方法を提供する。 本発明者はかかる問題のない分析試料調製方法を鋭意研究開発した結果、従来の湿式分析のための試料調製方法では、調製途中で難溶性の固体残渣を生じてしまうことから、もはや十分定量的かつ再現性のある試料溶液を調製することができないという知見を得た。本発明者はかかる知見に基づき、調製途中の固体残渣を可溶性とする方法を見いだし本発明を完成するに至った。 すなわち本発明に係る窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法は、窒化ケイ素含有物をフッ化水素酸で溶解し、さらに硝酸を添加して得られる溶液を蒸発乾燥させて固体残渣とし、固体残渣を硝酸で再溶解することを特徴とする。 また本発明に係る窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法は、前記窒化ケイ素含有物が、シリコンウェハ表面に堆積された窒化ケイ素膜であることを特徴とする。 また本発明に係る窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法は、前記窒化ケイ素含有物が、粉末窒化ケイ素であることを特徴とする。 さらに本発明は、本発明の調製方法を用いて、アルミニウムを湿式分析する方法を含む。ここで湿式分析には、フレームレス原子吸光分析(FLAAS)、誘導結合プラズマ質量分析(ICPMS)が含まれる。 本発明の調製方法により、調製途中で得られる固体残渣が可溶性となり、従って分析試料溶液を再現性良くかつ定量的に調製することが可能となる。また従来の湿式分析方法であってAAS、ICPMS等に容易に適用可能となり、装置の有する感度で再現性よく検出可能となる。図1は、本発明における調製方法のフローを示す図である。 以下本発明にかかる調製方法を図1に基づいて説明する。本発明に係る窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法は、窒化ケイ素含有物をフッ化水素酸で溶解し、さらに硝酸を添加して得られる溶液を蒸発乾燥させて固体残渣とし、固体残渣を硝酸で再溶解することを特徴とする。さらに本発明は係る調製方法により調製された分析試料溶液を通常公知の湿式元素分析装置を用いてアルミニウムを分析する方法も含まれる。以下本発明を実施するための形態を説明する。(窒化ケイ素含有物) 本発明により適用される窒化ケイ素含有物は、窒化ケイ素を含む物であれば適用可能であり、その含有量・含有の状態・形状・他の含有成分に制限されるものではない。特に含有の状態には、化学量論的窒化ケイ素のみならず、窒素及びケイ素の種々の組み合わせから成る化合物・組成物が含まれる。また含有物の一部にのみ、または不均一に窒化ケイ素が含有されている場合も含まれる。含有物の形状についても特に制限はなく、ウェハ状、棒状、破片状、粉状、特定形状(容器、半導体デバイス等)の全てについて適用可能である。さらに他の含有成分についても限定されるものではなく、有機物、無機物のいずれを含んでいてもよい。(窒化ケイ素含有物中のアルミニウム) 本発明の調製方法が適用可能な窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの由来、量、含有状態については特に制限されない。種々の工程において意図的に添加される場合や又は不純物として意図せず混入している場合のいずれにも適用可能である。また含有量についても特に限定はなく、必要ならば湿式分析溶液調製時に適宜濃縮・希釈可能である。本発明においてはアルミニウムが痕跡量の場合でも通常の湿式元素分析方法で分析可能であり、アルミニウムが1〜2000pg(ピコグラム)の範囲であれば適用可能である。(フッ化水素酸で溶解) 本発明においては、窒化ケイ素含有物をまずフッ化水素酸で溶解する工程を有する。当該工程は従来公知でありそれらの方法を好ましく適用できる。特に、フッ化水素酸はシリコンを溶解しないので、シリコンウェハ表面の窒化ケイ素膜だけを溶解することができる。個々で使用可能なフッ化水素の濃度及び溶解する方法・装置については特に制限はなく、当業者であれば分析対象の窒化ケイ素含有物中の窒化ケイ素を十分溶解可能な濃度・方法・装置を容易に選択することができる。特にシリコンウェハ表面の窒化ケイ素膜であれば、濃度5〜50重量%の範囲のフッ化水素酸の使用が好ましい。濃度が低すぎると窒化ケイ素を溶解する速度が遅くなり、また、50重量%以上のフッ化水素酸は市販品が入手しにくい。さらにフッ化水素酸に溶解する方法も特に制限はない。特にシリコンウェハ表面の窒化ケイ素膜であれば、フッ化水素酸の液に浸漬する方法の適用が好ましい。シリコンウェハ表面の窒化ケイ素膜をフッ化水素酸の蒸気に曝して窒化ケイ素を分解することも可能である。この場合は、処理後のシリコンウェハ表面に不溶性の残渣が析出するので、これを硝酸で溶解採取すればよい。(硝酸添加) 本発明においては従来公知の調製方法で採用される蒸発乾固の工程の前に、硝酸を添加する工程を必須とする。この硝酸の添加の作用は詳細には理解されていないが、硝酸を添加しない場合に乾固して得られる難溶性のケイフッ化アンモニウムの形成を阻害し、易溶性の塩を形成するからと考えられる。添加する硝酸の濃度は、高いほどケイフッ化アンモニウムの形成を阻害すると考えられるが、高感度分析に使用できる不純物金属の十分少ない硝酸は70%以下のものしか入手しにくい。10%〜70%が好ましく、より好ましくは50%〜70%である。濃度が低すぎると不溶性のケイフッ化アンモニウムの形成を十分に阻害できない。 本発明において硝酸添加の工程は、硝酸のみならず、その他の酸であって易溶性の塩を形成する酸若しくはそれらの酸と硝酸の混合物が含まれる。その他の酸もしくは硝酸との混合物を作る酸としては具体的には硫酸、塩酸が挙げられる。(蒸発乾固) 本発明はさらに上で得られた溶液を通常公知の工程で使用される蒸発乾固により濃縮する工程を含む。蒸発乾固の装置・条件については特に制限はない。装置については使用するフッ化水素酸や硝酸に対する耐薬品性、金属汚染等を避けるための清浄度を満足する材料としてテフロン(登録商標)系材料、たとえば、PFAやPTFE、形状として皿型やカップ型の使用が好ましく、さらに一般的に蒸発皿と呼ばれる形状のものが好ましい。乾固の程度は特に制限はないが、目視で水分が十分なくなる時点で終点とすることができる。乾固の際は、不純物の混入や発生するガスを避けるための通常の換気装置を使用することが好ましい。分析精度を高めるためにはクリーンルーム内で処理することが好ましい。(分析溶液調製) 本発明においては、乾固して得られた固形物は水溶性である。従って好ましい容量の溶液に容易に調製することが可能である。(湿式元素分析) 具体的には、従来公知の湿式元素分析方法が制限なく使用することが可能である。具体的には従来公知の湿式元素分析方法としてFLAAS又はICPMSが挙げられる。 次に本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。ただし本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例1) シリコンウェハ表面の窒化ケイ素膜分析 (1)以下の方法・条件で窒化膜付きシリコンウェハを作製した。 方法: 減圧化学気相成長(LPCVD: Low Pressure Chemical Vapor Deposition) 原料: NH3/SiH2Cl2比 = 50/1 温度: 700〜800℃ 窒化膜厚: 4000Å(400nm)狙い (2)以下の方法・条件で窒化膜のみ溶解した。 方法:浸漬法 溶解用容器:テフロン(PTFE)容器、内寸直径205mm、深さ3mm 薬液:超高純度38wt%−フッ化水素酸(HF)16ml(多摩化学製) 浸漬時間:60分 手順: ・容器にHF16mlを入れた。 ・窒化膜付ウェハをテフロンピンセットで掴み、窒化膜の付いた面を下向きにしてHF中に浸した。完全に浸すようにピンセットでウェハを押し付けた。 ・60分浸漬後、ピンセットでウェハを反転させる。窒化膜の付いていた面が疎水性になっていることを確認して窒化膜溶解完了した。 (3)硝酸添加、故意汚染及び蒸発乾固を次の方法・条件で行った。 蒸発乾固用容器:テフロン(PFA)製蒸発皿 温度:220℃ 手順: ・溶解用容器から5mlを測り取り、テフロンPFA製蒸発皿に入れた。 ・故意汚染のためにアルミニウム標準溶液(SPEX製)をアルミニウム濃度が2ppbになるように添加した。 ・硝酸(濃度68%)5mlを添加した。 ・ホットプレートを220℃に設定し、完全に蒸発乾固させた(目視確認)。 ・室温になるまで放置した。 (4)再溶解、定容 ・蒸発皿に残った残渣に硝酸(濃度68%)330μlを添加した。 ・蒸発皿の両端を持ち、静かに揺動させながら残渣を完全に溶解した。 ・残渣溶解液に超純水を2ml添加した。 ・蒸発皿の液をピペットですべて回収し、定容用の容器に移した。 ・蒸発皿に超純水2mlを添加し容器内側を洗浄し、液全量を定容用の容器に移した。 ・定容用の容器に5mlの標線まで超純水を加え、ふたをして良く撹拌した。 (5)アルミニウムの湿式分析をフレームレス原子吸光分析を用いて次の装置・手順で行った。 装置:パーキンエルマー社製 SIMAA6000 測定条件:サンプルをフレームレス原子吸光分析装置(パーキンエルマー社製、型番:SIMAA6000)の原子化炉に20μl注入した後、200ppmの硝酸マグネシウム標準液(関東化学製、原子吸光分析用標準液)を5μl注入して、乾燥、灰化、原子化してアルミニウムの分析を行った。なお、分析する際の吸収強度は、波長309.3nmで行った。(実施例2):上の(3)と(4)の間に硝酸添加と蒸発乾固をもう一度実施した。手順は、上の(3)と同様であるが2回目はアルミニウムの故意汚染をしなかった。(比較例1):上の(3)で硝酸を添加なしで蒸発乾固させた以外は実施例と同じ実験を行った。 フレームレス原子吸光分析による結果を表にまとめた。(結果) 比較例1では、実際に添加した濃度の1.3%しか検出されなかったのに対し、硝酸を添加して蒸発乾固させた実施例1では55.3%、硝酸添加して蒸発乾固を2回行った実施例2では98.2%の検出率となった。 窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法において、窒化ケイ素含有物をフッ化水素酸で溶解し、さらに硝酸を添加して得られる溶液を蒸発乾燥させて固体残渣とし、固体残渣を再溶解することを特徴とする、調製方法。 前記窒化ケイ素含有物が、シリコンウェハ表面に堆積された窒化ケイ素膜である、請求項1記載の調製方法。 前記窒化ケイ素含有物が、粉末窒化ケイ素である、請求項1記載の調製方法。 【課題】窒化ケイ素含有物中のアルミニウムの湿式分析試料の調製方法に関する。【解決手段】窒化ケイ素含有物をフッ化水素酸で溶解し、さらに硝酸を添加して得られる溶液を蒸発乾燥させて固体残渣とし、固体残渣を硝酸で再溶解することを特徴とする。【効果】分析試料溶液を再現性良くかつ定量的に調製することが可能となる。また従来の湿式分析方法であってAAS、ICPMS等に容易に適用可能となり、装置の有する感度で再現性よく検出可能となる。【選択図】図1


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