タイトル: | 公開特許公報(A)_1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの製造方法 |
出願番号: | 2009149566 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 17/358,C07C 17/12,C07C 25/13,C07B 61/00 |
大久保 公敬 森崎 一男 佐々木 政直 佐藤 四郎 JP 2009209162 公開特許公報(A) 20090917 2009149566 20090624 1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの製造方法 関東電化工業株式会社 000157119 古谷 聡 100087642 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 義経 和昌 100098408 大久保 公敬 森崎 一男 佐々木 政直 佐藤 四郎 C07C 17/358 20060101AFI20090821BHJP C07C 17/12 20060101ALI20090821BHJP C07C 25/13 20060101ALI20090821BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090821BHJP JPC07C17/358C07C17/12C07C25/13C07B61/00 300 1 1999042114 19990219 OL 6 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC27 4H006AC30 4H006BA09 4H006BA19 4H006BA37 4H006BC10 4H006BC19 4H006BD20 4H006BE53 4H006EA21 4H039CA50 4H039CD10 4H039CJ10 本発明は、本発明は、医農薬および液晶等の中間体として有用な1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの製造法に関するものである。 下記一般式(I)で示される1−ブロモ−3−フルオロベンゼンは、医農薬および液晶等の中間体として有用な物質である。 これまでに提案されている1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの製法としては、例えば、(1) フルオロベンゼンを臭素化する方法(米国特許第2095275号明細書、(特許文献1)、特開昭63−14742号(特許文献2)等)(2) ブロモベンゼンを直接フッ素でフッ素化する方法(J.Am.Chem.Soc., 102,3511, 1980 (非特許文献1)等)(3) 3−ブロモ−ベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレートを分解する方法(J.Org. Chem., 3, 347, 1938(非特許文献2)等)等が知られている。 しかしながら、上記(1)および(2)の方法では、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンを主生成物とする三種類のブロモフルオロベンゼン異性体混合物が生成する。このうち、わずかに生成する1−ブロモ−3−フルオロベンゼンは他の二種類の異性体と沸点差がほとんど無いため、分離精製が極めて困難であり、単離収率が非常に低い。(3)の方法では3−ブロモ−ベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレートの入手および分解反応の制御が困難であるため大量合成には不向きである。 以上のように、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの実用的な合成法については、満足のいく方法が見当たらないのが実情である。米国特許第2095275号明細書特開昭63−14742号J.Am.Chem.Soc., 102,3511, 1980J.Org. Chem., 3,347, 1938 従って本発明の目的は、上記(1)〜(3)の方法による問題点を解決した1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの簡便且つ効率的な製法を提供するものである。 即ち本発明は、アルミニウム、鉄、ハロゲン化アルミニウム、及びハロゲン化鉄から選択される触媒の存在下で、フルオロベンゼンと臭素とを反応させた後、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、及び1,2 −ジメトキシベンゼンから選択されるベンゼン誘導体と10〜100℃の温度にて12〜24時間反応させて、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンを得ることを特徴とする1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの製造方法である。 本発明によれば、分離精製が困難な二種類の異性体である1−ブロモ−2−フルオロベンゼンおよび1−ブロモ−4−フルオロベンゼンをほとんど含まない高純度の1−ブロモ−3−フルオロベンゼンを製造することができる。 以下、本発明を詳細に説明する。本発明方法におけるフルオロベンゼンの臭素化反応は、無溶媒あるいは溶媒中、ルイス酸及び/又は臭素とルイス酸を形成する金属を触媒として行う。この内、特に好ましい触媒としては、アルミニウムあるいはハロゲン化アルミニウムである。 反応温度は、−10〜20℃、好ましくは0〜10℃である。 本反応に用いる溶媒としては、反応工程で原料、触媒、生成物と反応しない不活性溶媒が好ましく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン類が好適なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。 臭素の使用量は、フルオロベンゼンに対し1〜1.2当量が好ましい。臭素は反応剤であることは勿論、同時に反応溶媒としても使用できる。臭素は、液を滴下してもよいし、気化したものを吹き込んでもよい。 ルイス酸及び/又は臭素とルイス酸を形成する金属の使用量は、フルオロベンゼンに対し0.01〜1当量が適当であるが、工業的には0.01〜0.1 当量が好ましい。使用量の増加は反応を促進するので好ましいものの、過度の使用は副生成物の増加、コスト面で不利となる。 ルイス酸としては、例えば臭化アルミニウム、塩化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、臭化鉄、塩化鉄等のハロゲン化鉄、フッ化アンチモン、塩化チタン、フッ化ホウ素、塩化スズ、塩化亜鉛等が好適なものとして挙げられるが、特に好ましくはハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化鉄である。臭素とルイス酸を形成する金属としては、例えばアルミニウム、鉄、スズ、チタン、亜鉛等が好適なものとして挙げられるが、特に好ましくはアルミニウム、鉄である。 本発明方法におけるブロモフルオロベンゼンの異性化反応は、無溶媒あるいは溶媒中、ハロゲン化アルミニウムを触媒として行うのが好ましい。反応温度は、10〜150 ℃、好ましくは10〜80℃である。反応温度は高い方が反応速度の点で有利であるものの、副生成物の増加の面で不利である。 反応時間は、3〜24時間、好ましくは3〜5時間である。異性体の平衡組成即ち、オルト体:メタ体:パラ体が5〜6%:60〜65%:30〜34%に達する時間が特に好ましい。反応時間が極端に長い場合には、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの不均化反応が進行するため好ましくない。 ハロゲン化アルミニウムの使用量は、フルオロベンゼンに対し0.01〜1当量が適当であるが、工業的には0.01〜0.1 当量が好ましい。ハロゲン化アルミニウムとしては、例えば、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム等が好適なものとして挙げられる。また、ハロゲン化アルミニウムは、アルミニウムとハロゲンを加えることにより同一系内で調製してもよい。 本反応に用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン類が好適なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明における還元反応に用いるベンゼン誘導体の使用量は、フルオロベンゼン、またはブロモフルオロベンゼンに対し1〜5当量が適当であるが、工業的には1.4 〜2当量が好適である。 反応温度は10〜100 ℃、好ましくは10〜50℃である。 反応時間は12〜24時間、好ましくは15〜20時間である。長時間におよぶ反応は、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの還元が進行するため好ましくない。 上記反応において用いられる臭素受容体としては、電子供与基を有するベンゼン類が好ましく、例えば、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、1,2 −ジメトキシベンゼン等が好適なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。 本発明では、触媒としてアルミニウムまたはハロゲン化アルミニウム、臭素化剤として臭素を用いることにより、反応系内で容易に臭化アルミニウムを調製し、(1)臭素化、異性化、還元あるいは(2)異性化、還元というような一連の反応を逐次あるいは同一反応器内で行えることを特徴とする。反応により得られる1−ブロモ−3−フルオロベンゼンは通常の後処理および蒸留を行うことにより容易に高純度品を単離することができる。また、反応により副生するフルオロベンゼン、未反応のベンゼン誘導体は蒸留により回収され、再利用が可能である。 以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、かかる実施例に限定されるものではない。実施例1 コンデンサー、滴下ロートおよび排気口を付した2L四つ口フラスコ中に、フルオロベンゼン576 g、アルミニウム粉16gを入れ、系内を10℃まで冷却した後、1.0 当量の臭素959gを4時間で滴下した。滴下終了後、室温で4時間攪拌した。この時の平衡組成は、オルト体:メタ体:パラ体が5.3 %:63.5%:31.2%であった。 引き続き、トルエン773 gを加え室温で15時間反応を行った。反応終了後、水を加え残存する臭化アルミニウムを分解した後、有機層を分離した。得られた粗生成物を常圧下蒸留することによりフルオロベンゼンおよびトルエンを回収した後、減圧下蒸留を行うことにより、GC純度99%以上の1−ブロモ−3−フルオロベンゼン495 gが得られた。このものについては、GCおよびGC−MSにより1−ブロモ−3−フルオロベンゼンであることの確認を行った。 回収されたフルオロベンゼンは臭素化工程に再使用できるので、本実施例は68%の収率で得られたことを示している(フルオロベンゼン基準)。実施例2 コンデンサー、滴下ロートおよび排気口を付した2L四つ口フラスコ中に、フルオロベンゼン576 g、塩化鉄10gを入れ、系内を10℃まで冷却した後、1.0 当量の臭素959 gを4時間で滴下した。滴下終了後、室温で4時間攪拌した。この時の組成は、オルト体:メタ体:パラ体が0.9 %:0.4 %:98.7%であった。 引き続き、塩化アルミニウム80gを加え、80℃で4時間反応を行った。系内を40℃まで冷却した後、キシレン954 gを加え室温で20時間反応を行った。その後、実施例1と同様の処理を行うことにより、GC純度99%以上の1−ブロモ−3−フルオロベンゼン500 gが得られた。このものについては、GCおよびGC−MSにより1−ブロモ−3−フルオロベンゼンであることの確認を行った。本実施例は70%の収率で得られたことを示している(フルオロベンゼン基準)。参考例1 コンデンサー、滴下ロートおよび排気口を付した2L四つ口フラスコ中に、1−ブロモ−4−フルオロベンゼン875 g、塩化アルミニウム67gを入れ、80℃で3時間反応を行った。系内を30℃まで冷却した後、トルエン644 gを加え、15時間反応を行った。 その後、水を加え残存する塩化アルミニウムを分解した後、有機層を分離した。得られた粗生成物を常圧下蒸留することによりフルオロベンゼンおよびトルエンを回収した後、減圧下蒸留を行うことにより、GC純度99%以上の1−ブロモ−3−フルオロベンゼン458 gが得られた。このものについては、GCおよびGC−MSにより1−ブロモ−3−フルオロベンゼンであることの確認を行った。本例は52%の収率で得られたことを示している(1−ブロモ−4−フルオロベンゼン基準)。参考例2 コンデンサー、滴下ロートおよび排気口を付した2L四つ口フラスコ中に、1−ブロモ−2−フルオロベンゼン875 g、塩化アルミニウム67gを入れ、80℃で5時間反応を行った。系内を30℃まで冷却した後、エチルベンゼン742 gを加え、20時間反応を行った。 その後、参考例1と同様の処理を行うことにより、GC純度99%以上の1−ブロモ−3−フルオロベンゼン420 gが得られた。このものについては、GCおよびGC−MSにより1−ブロモ−3−フルオロベンゼンであることの確認を行った。本例は48%の収率で得られたことを示している(1−ブロモ−2−フルオロベンゼン基準)。比較例1 コンデンサー、滴下ロートおよび排気口を付した200ml四つ口フラスコ中に、フルオロベンゼン48g、アルミニウム粉0.2gを入れ、系内を10℃まで冷却した後、臭素80gを0.5 時間で滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌した。 反応終了後、水を加え残存する臭化アルミニウムを分解した後、有機層を分離した。粗生成物を常圧下蒸留することによりフルオロベンゼンを回収した。得られた生成物の組成は、オルト体:メタ体:パラ体が4.0 %:0.6 %:81.5%であった。比較例2 コンデンサー、滴下ロートおよび排気口を付した200ml四つ口フラスコ中に、フルオロベンゼン40g、鉄粉0.2 gを入れ、系内を10℃まで冷却した後、臭素25gを0.5時間で滴下した。滴下終了後、40℃に昇温し2時間攪拌した。 反応終了後、水を加え残存する臭化鉄を分解した後、有機層を分離した。粗生成物を常圧下蒸留することによりフルオロベンゼンを回収した。得られた生成物の組成は、オルト体:メタ体:パラ体が1.0 %:0.5 %:98.5%であった。アルミニウム、鉄、ハロゲン化アルミニウム、及びハロゲン化鉄から選択される触媒の存在下で、フルオロベンゼンと臭素とを反応させた後、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、及び1,2 −ジメトキシベンゼンから選択されるベンゼン誘導体と10〜100℃の温度にて12〜24時間反応させて、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンを得ることを特徴とする1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの製造方法。 【課題】1−ブロモ−3−フルオロベンゼンの簡便且つ効率的な製法を提供する。【解決手段】アルミニウム、鉄、ハロゲン化アルミニウム、及びハロゲン化鉄から選択される触媒の存在下で、フルオロベンゼンと臭素とを反応させた後、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、及び1,2 −ジメトキシベンゼンから選択されるベンゼン誘導体と10〜100℃の温度にて12〜24時間反応させて、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンを得る。【選択図】なし