タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法 |
出願番号: | 2009141871 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C08G 81/00,A61K 8/894 |
庄司 博昭 JP 2010285570 公開特許公報(A) 20101224 2009141871 20090615 ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法 東レ・ダウコーニング株式会社 000110077 庄司 博昭 C08G 81/00 20060101AFI20101126BHJP A61K 8/894 20060101ALI20101126BHJP JPC08G81/00A61K8/894 4 OL 12 4C083 4J031 4C083AD161 4C083FF01 4J031AA53 4J031AA59 4J031AB04 4J031AC13 4J031AD01 4J031AE15 4J031AF03本発明は、化粧料原料、界面活性剤として有用な、ポリエーテル基がSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法に関する。従来、ポリエーテル基がSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを製造する方法として、アルコール性水酸基を有するポリエーテル化合物と、メチルハイドロジェンポリシロキサン等をアルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属水酸化物を触媒として脱水素反応させる方法が知られている(特許文献1および特許文献2)。しかしながら、これらの反応においては、強アルカリを触媒として使用するため、反応過程でシロキサン鎖が切断され、化粧品原料として有用な高重合度のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得ることが困難であるという問題があった。また、特許文献3には、オルガノハイドロジエンポリシロキサンと脂肪族アルコールとを脱水素触媒としての白金系触媒と反応助剤としての有機酸の存在下で反応させることにより、アルコキシ変性シリコーンを製造する方法が記載されている。しかし、当該特許文献中には、側鎖または分子鎖末端にSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリオキシアルキレン基またはポリグリセリン基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンは開示されていない。一方、オルガノハイドロジエンポリシロキサン中の珪素結合水素をアリルクロライドや臭素ガスにより脱水素化およびハロゲン化した後、末端ヒドロキシ基を有するポリエーテル類と反応させることによりSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するオルガノポリシロキサンを得ることができる。しかし、臭素またはハロゲン化水素ガスの発生を伴う反応であり、毒性の問題に加えて、反応過程でシロキサン分子鎖間に架橋反応が起こり、部分架橋物が副生するという問題があった。特公昭48−19941号公報特開昭62−36424号公報特開平4−126723号公報(特登録2580379)本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するオルガノポリシロキサンを、安全かつ簡便な方法を用い、高純度かつ効率良く製造する方法を提供することを目的とする。上記目的は、(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(b)ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンとを、(c)白金系触媒および(d)有機酸の存在下で反応させることを特徴とするポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法により達成される。すなわち、上記目的は、「[1] ポリエーテル基が、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法であって、(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(b)ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンとを、(c)白金系触媒および(d)有機酸の存在下で反応させることを特徴とするポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法。[2] (a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、下記一般式(1)で表される直鎖状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする[1]に記載のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法。一般式(1):(式中、R1は炭素原子数1〜5の一価炭化水素基であり、R2は、アミノ基含有基、カルボキシル基含有基、炭素原子数6〜20の置換もしくは非置換の一価炭化水素基、−O−Si(R3)3 (R3は炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基)または−O−Si(R4)2−X1で表される官能基(R4は、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、X1はi=1のときの下記一般式(2)で示されるシリルアルキル基である。m,n,pは各々0以上の数であり、かつ(m+n+p)は1〜1000の範囲の数である。Yは各々独立に、水素原子、R1またはR2から選ばれる基であるが、m=0のとき、Yのうち少なくとも一方は水素原子である。)一般式(2):(式中、R5はCrH2rで表される直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、rは2〜20の整数である。R6は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、R7及びR8は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかである。iはXiで示されるシリルアルキル基の階層を示し、階層数がcのとき1〜cの整数であり、階層数cは1〜10の整数であり、aiはiが1のときは0〜2の整数であり、iが2以上のときは3未満の数であり、Xi+1はiがc未満のときは該シリルアルキル基であり、i=cのときはメチル基(−CH3)である。)[3] d)有機酸が、分子中にカルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する有機酸であることを特徴とする、[1]に記載のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法。[4] [1]〜[3]に記載の製造方法により得られたポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを含有する化粧料。」により達成される。本発明のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法により、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するオルガノポリシロキサンを、安全かつ簡便な方法により、高純度かつ効率良く製造する方法を提供することができる。本発明はSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するオルガノポリシロキサンを製造する方法に関するものであり、(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(b)ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンとを、(c)白金系触媒および(d)有機酸の存在下で反応させることを特徴とする。以下、原料成分(a)〜(d)及び反応について詳細に説明する。(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中に珪素原子に結合した水素原子を有する直鎖状、環状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、所望によりポリシロキサンからなる主鎖の一部に炭素数1〜20の二価炭化水素基または二価のポリエーテル鎖を含む珪素系共重合体であってもよい。また、珪素原子に結合した水素原子は、分子鎖末端、側鎖または主鎖から分岐したシロキサン鎖の末端もしくは側鎖のいずれの位置でもよく、特にその結合位置は制限されない。また、(a)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重合度も特に制限されるものではなく、揮発性を有するような低重合度のオルガノハイドロジェンポリシロキサンから、室温でガム状を呈するような高重合度のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであっても使用することができる。(a)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、メチル基または珪素原子に結合した水素原子を除く一価の有機基を有するものであっても良い。かかる有機基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを(a)成分として用いることにより、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基に加えて、予め導入した有機基を有する共変性型のオルガノポリシロキサンを容易に製造することができる利点がある。ポリシロキサン主鎖に予め上記有機基を導入する方法として、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンとアリル基(CH2=CH−)等の炭素―炭素二重結合を有する有機化合物を、ヒドロシリル化反応触媒下で付加反応させることにより得ることができる。かかる有機基の種類は、メチル基、珪素原子に結合した水素原子および本発明の製造方法により導入されるSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基以外の公知の有機基であって、化粧品原料等に使用される変性シリコーンに導入される官能基であれば、特に限定されるものではなく、フェニル基、炭素原子数6〜20の長鎖アルキル基、フルオロアルキル基、フルオロポリエーテル基、アルコキシ基、アミノ基含有基、カルボキシル基含有基、糖残基含有基、カルビノール基、アクリロキシ基含有基、トリメチルシロキシ基または特開2001−213885等に開示されたカルボシロキサンデンドリマー等が例示される。また、Si−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを(a)成分として用いることもできる。かかるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アリル基を分子鎖末端に有するポリオキシアルキレンまたはポリグリセリンを、所望のメチルハイドロジェンポリシロキサンと付加反応させることにより、容易に調製することができる。本発明において、かかる(a)成分を用いることで、Si−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基と、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基という珪素に結合する連結基の種類が異なるニ種類のポリエーテル変性基を有するようなポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを製造することができる。さらに、本発明のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法により、反応中に前駆体を形成する際に導入されるアシロキシ基もしくはフェノキシ基を、部分的に残したポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。これらのアシロキシ基もしくはフェノキシ基は、後述する(d)有機酸(特に、分子中にカルボキシル基(−COOH)またはフェノール性水酸基(−C6H4(OH))を有する有機酸)が(c)白金系触媒の存在下、上記(a)成分と脱水素反応を起して、反応前駆体であるアシロキシシロキサンもしくはフェノキシシロキサンを形成することによりシロキサン鎖に導入される。このため、導入されたアシロキシ基もしくはフェノキシ基に対して、物質量比で少ない量の(b)成分を反応させることにより、未反応のアシロキシ基もしくはフェノキシ基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。特に好適には、(a)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記一般式(1)で表される直鎖状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。一般式(1):一般式(1)において、R1は炭素原子数1〜5の一価炭化水素基であり、水酸基またはメチル基であることが好ましい。R2は、アミノ基含有基;カルボキシル基含有基;フェニル基、トリル基、シクロヘキシル基、C6〜C20の鎖状アルキル基等の炭素原子数6〜20の置換もしくは非置換の一価炭化水素基;−O−Si(R3)3または−O−Si(R4)2−X1で表される官能基である。m,n,pは各々0以上の数であり、かつ(m+n+p)は1〜1000の範囲の数である。Yは各々独立に、水素原子、R1またはR2から選ばれる基であるが、m=0のとき、Yのうち少なくとも一方は水素原子である。R3は炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基であり、メチル基またはフェニル基であることが好ましい。また、R4は、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、X1はi=1のときの下記一般式(2)で示されるシリルアルキル基である。一般式(2):一般式(2)において、R5はCrH2rで表される直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、rは2〜20の整数である。R6は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、R7及びR8は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかである。iはXiで示されるシリルアルキル基の階層を示し、階層数がcのとき1〜cの整数であり、階層数cは1〜10の整数であり、aiはiが1のときは0〜2の整数であり、iが2以上のときは3未満の数であり、Xi+1はiがc未満のときは該シリルアルキル基であり、i=cのときはメチル基(−CH3)である。最も好適には、(a)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記一般式(1´)で表される直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。一般式(1´):一般式(1)において、R1は前期同様の基であり、m,pは各々0以上の数であり、かつ(m+p)は1〜1000の範囲の数である。Yは各々独立に、水素原子またはR1から選ばれる基であるが、m=0のとき、Yのうち少なくとも一方は水素原子である。より好適には、mが0〜200の範囲の数であり、pは10〜500の範囲の数である。最も好適には、mが1〜20の範囲の数であり、pは15〜50の範囲の数である。(b)成分は、ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンであり、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を形成する成分である。ここで、ヒドロキシ末端とは、ポリエーテル連鎖構造に含まれる水酸基ではなく、上記のポリエーテル化合物の分子鎖の末端にヒドロキシ基(−OH)を有することを意味する。かかるポリエーテル化合物は直鎖状であっても分岐状であってもよく、三価の連結基を介して樹状の分岐を有するポリエーテル化合物であってもよい。また、同一分子内に、ポリグリセリン鎖部分とポリオキシアルキレン鎖部分がブロック状またはランダムな配列で結合したポリエーテル化合物であってもよい。入手が容易で、好適な(b)成分として、下記構造式(3)、(4)または(5)で表される、直鎖状のヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンが例示される。構造式(3):R9−(O−R10)r−R11−OH構造式(4):R9−(OCH(CH2OH)CH2)s−R11−OH構造式(5):R9−(OCH2CH(OH)CH2)s−R11−OH式中、R9は水素原子または炭素原子数1〜30の一価炭化水素基であり、水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基であることが好ましい。R10は各々同一にまたは異なって、炭素原子数1〜10のアルキレン基または炭素原子数6〜10のアリーレン基である。得られるポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを界面活性剤または化粧品原料として使用する場合、特にエチレン基、プロピレン基、ブチレン基から選ばれるアルキレン基であることが好ましい。R11は任意で選択されるポリエーテル鎖と末端ヒドロキシ基の連結基であり、任意の二価の有機基である。好適には、R11の連結基が存在しなくてもよく、R11が炭素原子数1〜20のオキシアルキレン基(−OCnH2n−、nは1〜20の範囲の数)、炭素原子数1〜20の二価炭化水素基である炭素原子数1〜20のアルキレン基または炭素原子数6〜20のアリーレン基であってもよい。rは1〜50の数であり、特に3〜30であることが好ましく、5〜20であることが最も好ましい。sは1〜50の数であり、特に1〜20であることが好ましく、1〜10であることが最も好ましい。(c)白金系触媒は、後述する(d)有機酸の存在下、オルガノハイドロジエンポリシロキサンと有機酸が脱水素反応を起してアシロキシシロキサンもしくはフェノキシシロキサンを形成し、次いで、このアシロキシシロキサンもしくはフェノキシシロキサンとヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンとの交換反応によって、オルガノポリシロキサンにSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基が導入される反応の触媒として機能する。使用される白金系触媒としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル等の遷移金属錯体化合物が挙げられる。本発明において、好ましい(c)白金系触媒は、ロジウム化合物、パラジウム化合物、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸,塩化白金酸のオレフィン錯体,塩化白金酸とケトン類との錯体,塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体、四塩化白金、白金微粉末、アルミナまたはシリカの担体に固体状白金を担持させたもの、白金黒、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末が例示される。かかる(c)白金系触媒の使用量は、いわゆる触媒量である。具体的には、成分(a)に対して、白金族金属量(重量)で1〜1,000ppmであり、5〜200ppmの範囲にあることが好ましい。(d)有機酸は、成分(c)の存在下、オルガノハイドロジエンポリシロキサンと有機酸が脱水素反応を起して、反応前駆体であるアシロキシシロキサンもしくはフェノキシシロキサンを形成するのに必要な成分である。かかる有機酸は、脱水素反応後に反応性のアシロキシ基もしくはフェノキシ基を形成しうる有機酸であれば、特に制限されるものではないが、分子中にカルボキシル基(−COOH)またはフェノール性水酸基(−C6H4(OH))を有する有機酸であることが好ましい。より具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、フェノールなどが例示される。入手の容易さや、化粧品原料として使用する場合の配合容易性を鑑みて、酢酸が特に好ましい。本発明のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法において、溶媒の使用は任意であるが、溶媒を使用する場合には活性水素を有しないものとすることがよく、したがってこれにはヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、ジブチルエーテルなどのエステルならびにエーテル化合物、トリクロロエチレン、トリクロロエタンなどの塩素系溶媒、α―オレフィン等の分岐状炭化水素などから選択される1種類または2種類以上の溶媒を特に制限なく使用することができる。本発明のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法は、(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンに(d)有機酸を添加し、(c)白金系触媒の存在下で脱水素反応を行った後、(b)ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンを添加して交換反応によりSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。なお、製造を簡易化する目的で、[1]上記成分(c)〜(d)および溶媒の混合物を作り、該混合物に(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンを滴下して反応させる方法、または[2]上記成分(a)〜成分(c)および溶媒の混合物を作り、該混合物に(d)有機酸を滴下して反応させる方法を選択しても良い。本発明の製造方法において、(b)ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンの反応量は、変性率に応じて任意に調整することができるが、特に、(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の珪素原子に結合した水素原子に対し、物質量比で1.0等量〜2.0等量使用することが好適であり、1.0等量〜1.3等量の使用が最も好適である。(d)有機酸の添加量は、成分(a)中の珪素原子に結合した水素原子を脱水素反応によりアシロキシ化するのに十分な量であればよく、上記成分(b)との交換反応後は(d)有機酸として再生されるので、必ずしも等量添加する必要はない。しかしながら、反応の促進の観点から、(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の珪素原子に結合した水素原子に対し、物質量比で1.0等量以上の添加量であることが好ましく、特に、(d)有機酸の添加量は成分(a)中の珪素原子に結合した水素原子に対し、物質量比で1.1〜1.5等量の範囲であることが、交換反応の促進の点で好ましい。上記(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの脱水素反応および交換反応は、室温〜200℃の範囲内で進行する。しかし、50℃以下では反応速度が遅いため、成分(a)の脱水素反応および(d)有機酸との反応については、70〜120℃、特に80℃〜110℃で行うことが好適である。また、上記有機酸との反応後、成分(b)との交換反応においては、120〜180℃、特に130〜170℃で行うことが好適である。反応時間は、(d)有機酸の使用量および原料の仕込み量によって変化するが、上記の反応温度を選択する場合、1時間から20時間反応させることにより、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。なお、成分(a)の脱水素反応および(d)有機酸との反応の終点および成分(b)との交換反応の終点については、赤外吸収スペクトル(IR)、13C−または29Si−NMRによって容易に確認することができる。反応終了後、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを含む反応物は水洗して有機酸を除去したのち、必要に応じ溶媒を減圧留去すれば目的とするSi−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。なお、水洗せずに反応生成物を減圧留去して有機酸および溶媒を除去してもよいが、過剰量に添加した成分(b)が高沸点である場合、減圧条件では除去できない場合があるが、当該混合物を界面活性剤または化粧品原料として使用することができる。以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記の例において、部はいずれも質量部であり、Meはメチル基を表す。粘度は25℃において測定した値である。実施例および比較例の化合物は以下の装置・方法により、赤外吸収スペクトル(IR)、13C−および29Si−NMRを用いて同定した。[赤外吸収スペクトル]各実施例中の珪素結合水素原子は、FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)FT/IR-4100(日本分光製)を用いて、珪素結合水素原子に帰属される吸収波長2180cm−1の特性吸収ピークの吸収強度に基づいて定量した。[NMR分析]各実施例中の化学構造は、下記の13C−および29Si−NMR分析により同定した。NMR装置:Fourier Transform Nuclear Magnetic Resonance Spectrometer JEOL JNM-EX400(日本電子製)同定方法:以下の各シロキサン単位中の29Siおよび13Cに由来するシグナルについて、そのピーク分析値を算出した。各シロキサン単位および各カーボン単位についてこれらの積分値の比を求めることにより、各シロキサン単位および各カーボン単位の構成比を求め、その平均構造式を同定した。シロキサン単位:29Siに由来するシグナルの位置Me3SiO1/2:7.5 ppm 付近Me2SiO2/2:-21 〜 -22 ppm 付近MeSiO2/2:-59.4 ppm 付近 OCHMeSiO2/2:-59.9 ppm 付近 OC(O)CH3MeHSiO2/2:-37.1 ppm 付近MeClSiO2/2:-45.6 ppm 付近カーボン単位:13Cに由来するシグナルの位置SiCH3:2.0 〜 -2.6 付近OCH:76 〜 70 ppm 付近CCH2:32 〜 13 ppm 付近OC(O):169 ppm 付近OC(O)CH3:22.6 ppm 付近[実施例1]〔1〕 温度計、冷却管および攪拌機を備えたセパラブルフラスコに、下記原料を仕込み、昇温しながら30分攪拌した。(a)下記構造式で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 66.3g構造式: Me3SiO(Me2SiO)23(MeHSiO)2SiMe3(c)白金系触媒(白金のジビニルテトラジシロキサン錯体) 0.0003g(d)酢酸 5.0g〔2〕 90℃まで昇温後、10g抜き出し、4時間攪拌後に反応溶液の赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ、珪素結合水素原子に由来するピークは消失していた。(下記反応式参照) 反応式:Me3SiO(Me2SiO)23(MeHSiO)2SiMe3 + CH3COOH → Me3SiO(Me2SiO)23(Me(CH3COO)SiO)2SiMe3 + H2↑〔3〕 さらに、下記原料を仕込み、144℃まで昇温した後、2時間攪拌した。(b)下記構造式で表されるヒドロキシ末端ポリオキシアルキレン 55.9g構造式: CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12H〔4〕 減圧条件下、ストリッピングしながら148℃でさらに8時間、攪拌しながら交換反応を継続することにより、下記構造式で表される、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得た。また、13C−および29Si−NMRの測定結果から、反応溶液中には、他の架橋物等の副生物の存在は確認できなかった。構造式:Me3SiO(Me2SiO)23[Me{CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12}SiO]2SiMe3[比較例1]〔1〕 温度計、冷却管および攪拌機を備えたセパラブルフラスコに、下記原料を仕込み、144℃まで昇温した後、2時間攪拌した。さらに、減圧条件下、ストリッピングしながら148℃でさらに8時間、攪拌しながら交換反応を継続することにより、反応物を得た。(a)下記構造式で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 54.6g構造式: Me3SiO(Me2SiO)23(MeHSiO)2SiMe3(b)下記構造式で表されるヒドロキシ末端ポリオキシアルキレン 54.5g構造式: CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12H(c)白金系触媒(白金のジビニルテトラジシロキサン錯体) 0.01g〔2〕 反応溶液の赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ、珪素結合水素原子に由来するピークは50%以上残っており、交換反応が完結していないことが確認できた。すなわち、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンと、原料としたメチルハイドロジェンポリシロキサンの混合物を得ることしかできなかった。[比較例2](d)酢酸 5.0gの代わりに、(d´)CHCl3で表されるクロロホルム 9.5gを用いるほかは実施例1と同様にして、下記構造式で表される、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを含む反応溶液を得た。また、反応過程で、CH2Cl2で表されるジクロロメタンが副生した。構造式:Me3SiO(Me2SiO)23[Me{CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12}SiO]2SiMe3上記反応溶液の赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ、珪素結合水素原子に由来するピークは30%以上残っており、交換反応が完結していないことが確認できた。また、13C−および29Si−NMRの測定結果から、反応溶液中には、分子間に架橋構造を有する下記構造式で表される副生成物が含まれていた。構造式:Me3SiO(Me2SiO)23(MeHSiO)0.6[Me{CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12}SiO]1。0SiMe3(MeSiO3/2)0.4[比較例3](d)酢酸 5.0gの代わりに、(d´´)CH2=CHCH2Brで表されるアリルブロマイド 9.3gを用いるほかは実施例1と同様にして、下記構造式で表される、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを含む反応溶液を得た。構造式:Me3SiO(Me2SiO)23[Me{CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12}SiO]2SiMe3上記反応溶液の赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ、珪素結合水素原子に由来するピークは85%以上残っており、交換反応が完結していないことが確認できた。すなわち、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンと、原料としたメチルハイドロジェンポリシロキサンの混合物を得ることしかできなかった。[比較例4](d)酢酸 5.0gの代わりに、(d´´´)Br2で表される臭素11.2gを滴下しながら、10℃以下で脱水素反応および珪素結合水素原子部分の臭素化反応を行うほかは実施例1と同様にして、下記構造式で表される、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを含む反応溶液を得た。また、反応過程で、有害な臭化水素ガスが副生した。構造式:Me3SiO(Me2SiO)23[Me{CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12}SiO]2SiMe3一方、反応溶液の赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ、珪素結合水素原子に由来するピークはほとんどが消失していた。しかしながら、13C−および29Si−NMRの測定結果から、反応溶液中には、上記構造式で表される直鎖状のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンだけでなく、分子間に架橋構造を有する下記構造式で表される副生成物が含まれていた。構造式:Me3SiO(Me2SiO)23(MeHSiO)0.2[Me{CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12}SiO]1.0[Me2{CH3CH2CH2CH2O(C3H6O)12}SiO3/2]0.1SiMe3(MeSiO3/2)0.7上記実施例1、比較例1〜4についてまとめた結果を表1に示す。本願発明の製造方法(実施例1)を用いることにより、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを安全かつ簡便に製造することができ、かつ得られるポリエーテル変性オルガノポリシロキサン中には、架橋物等の副生成物を含有せず、高純度かつ効率良く製造することができる。本発明の製造方法により、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを容易に得ることができ、また、該ポリエーテル変性基を他の有機基と共に導入した2以上の変性基を有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを得ることができる。かかるポリエーテル変性オルガノポリシロキサンは、高純度であり、界面活性剤(乳化剤、分散剤を含む)および化粧料原料としてきわめて有用である。同様に、該ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンは、整泡剤、消泡剤、繊維処理剤、化粧品成分、皮膚外用薬剤成分等として有用であり、従来公知のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの各用途に特に制限なく使用し、また、工業用および化粧品用エマルジョン等に配合して使用する事ができる。ポリエーテル基が、Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法であって、(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(b)ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンとを、(c)白金系触媒および(d)有機酸の存在下で反応させることを特徴とするポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法。(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、下記一般式(1)で表される直鎖状または分岐鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法。一般式(1):(式中、R1は炭素原子数1〜5の一価炭化水素基であり、R2は、アミノ基含有基、カルボキシル基含有基、炭素原子数6〜20の置換もしくは非置換の一価炭化水素基、−O−Si(R3)3 (R3は炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基)または−O−Si(R4)2−X1で表される官能基(R4は、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、X1はi=1のときの下記一般式(2)で示されるシリルアルキル基である。m,n,pは各々0以上の数であり、かつ(m+n+p)は1〜1000の範囲の数である。Yは各々独立に、水素原子、R1またはR2から選ばれる基であるが、m=0のとき、Yのうち少なくとも一方は水素原子である。)一般式(2):(式中、R5はCrH2rで表される直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、rは2〜20の整数である。R6は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、R7及びR8は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基のいずれかである。iはXiで示されるシリルアルキル基の階層を示し、階層数がcのとき1〜cの整数であり、階層数cは1〜10の整数であり、aiはiが1のときは0〜2の整数であり、iが2以上のときは3未満の数であり、Xi+1はiがc未満のときは該シリルアルキル基であり、i=cのときはメチル基(−CH3)である。)(d)有機酸が、分子中にカルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する有機酸であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法。請求項1〜3に記載の製造方法により得られたポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを含有する化粧料。 【課題】Si−O−C結合を介して珪素原子に結合したポリエーテル変性基を有するオルガノポリシロキサンを、安全かつ簡便な方法を用い、高純度かつ効率良く製造する方法を提供する。【解決手段】(a)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(b)ヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンまたはヒドロキシ末端ポリグリセリンとを、(c)白金系触媒および(d)有機酸の存在下で反応させることを特徴とするポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの製造方法。【選択図】なし