タイトル: | 公開特許公報(A)_抗疲労剤 |
出願番号: | 2009124925 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61P 3/00 |
山田 さおり JP 2009185068 公開特許公報(A) 20090820 2009124925 20090525 抗疲労剤 辻堂化学株式会社 707000691 山田 さおり A61K 36/18 20060101AFI20090724BHJP A61P 3/00 20060101ALI20090724BHJP JPA61K35/78 CA61P3/00 2 OL 6 4C088 4C088AB12 4C088AC03 4C088AC05 4C088AC13 4C088BA08 4C088NA14 4C088ZC21 本発明は、抗疲労剤に関する。 セイヨウニワトコの抽出物には、グルタチオン増強作用、トリプシン阻害作用、白髪防止作用が存在することが知られている(例えば特許文献1〜3参照。) また、セイヨウイラクサの抽出物には、NF−kB活性化抑制作用、ニキビまたはフケ防止作用、炎症抑制作用が存在することが知られている(例えば特許文献4〜6参照。) しかしながら、上記植物が抗疲労作用を有することは知られていない。特開2006−348053号公報特開2006−182732号公報特開2005−68159号公報特開2007−176878号公報特開2002−47194号公報特表2008−530116号公報 本発明の目的は、優れた抗疲労作用を有する抗疲労剤を提供することにある。 本発明は、ニワトコ属に属する植物の抽出物を含有してなる抗疲労剤を提供する。 また本発明は、イラクサ属に属する植物の抽出物を含有してなる抗疲労剤を提供する。 本発明によれば、優れた抗疲労作用を有する抗疲労剤を提供することできる。なお、本発明における疲労とは、生体がある機能を発揮した結果、その機能が低下する現象をいう。例えば、「水泳をした後の肉体疲労」「長時間にわたり、知的労働をした後の精神疲労」「毎日の通常生活においても蓄積する肉体的および精神的な複合的疲労」等を挙げることができる。 本発明でいう抗疲労効果とは、上記のような疲労状態を軽減させる作用、疲労状態を回復させる作用、あるいは疲労状態を予防する作用などがある。 以下、本発明をさらに詳しく説明する。 本発明で用いられるスイカズラ科ニワトコ属に属する植物は、アメリカニワトコ、エゾニワトコ、オオニワトコ、オオバニワトコ、キミノエゾニワトコ、キミノニワトコ、ケオオニワトコ、ケナシエゾニワトコ、ケナシニワトコ、サケバニワトコ、セイヨウニワトコ、ソクズ、タイワンソクズ、ダイダイミノニワトコ、ニワトコ、ヒロハエゾニワトコ、ビロードニワトコ、ホソバエゾニワトコ、マルバニワトコ等が挙げられ、本発明の効果の点から好ましくはセイヨウニワトコ(Sambucus nigra L.)である。 また本発明で用いられるイラクサ科イラクサ属に属する植物は、イラクサ、エゾイラクサ、コバノイラクサ、セイヨウイラクサ、ナガバイラクサ、ヒメイラクサ、ホソバイラクサ、ミヤマイラクサ、ムカゴイラクサ等が挙げられ、本発明の効果の点から好ましくはセイヨウイラクサ(Urtica dioica L.)である。 ニワトコ属に属する植物およびイラクサ属に属する植物(以下、本発明の植物という)は、植物体全体または一部(例えば、葉、葉柄、茎、根茎、花弁など)を利用できるが、好ましくは花弁である。 本発明の植物から抽出物を調製する方法について説明する。 本発明の植物から抽出物を調製する前段階として、抽出物を得るために供される植物の部位(以下、サンプルという)は、好ましくは、乾燥し、粉砕するのがよい。 調製されたサンプルは、抽出溶媒との接触に施される。 使用可能な溶媒としては、例えば、水、熱水;メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜4の低級アルコール類を含有する水性溶媒;酢酸エチル等の低級アルキルエステル;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類;アセトン、酢酸等の極性溶媒;炭化水素類;非極性溶媒等の公知の抽出溶媒が挙げられるが、好ましくは水性溶媒、さらに好ましくは水または熱水(一般的に50−100℃)である。これら溶媒は、2種以上を組み合わせてもよい。 抽出は、サンプルから十分に可溶性成分が抽出される時間において、静置下または攪拌下で行なうことができる。抽出時間は、抽出溶媒の種類または温度により適宜決定されるが、典型的には30分〜48時間である。 具体的には、好ましい形態において、乾燥したサンプルを粉砕し、10〜20倍容の水または熱水により抽出し、遠心分離することにより抽出物が得られる。その後、濾過を行い、ろ液を減圧濃縮し、抽出物が得られる。抽出物は公知の方法に従い、精製操作を施してもよい。 抽出物の投与量は、患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば、凍結乾燥粉末として、成人1日1〜数回、1日あたり約1mg〜50g、好ましくは100mg〜10g、さらに好ましくは300mg〜5g程度投与するのがよい。 本発明の抗疲労剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤等の固形または溶液の形態(以下、製剤ともいう)に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明に有用な固形製剤または液状製剤は、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。添加剤としては、例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などが挙げられる。 また本発明の抗疲労剤は、各種健康食品および機能性食品として摂取可能である。これらの例としては、各種のものをあげることができるが、健康食品および機能性食品の製造に関しては、通常用いられる、食品素材、食品添加物に加え、賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、分散剤、保存剤、湿潤化剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化材、カプセル基剤等の補助剤を用いた飲食品製剤形態で利用することができる。該補助剤の具体的な例示をすれば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはその塩、アラビアガム、ポリエチレングルコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム、プルラン、カラギーナン、デキストリン、還元パラチノース、ソルビトール、キシリトール、ステビア、合成甘味料、クエン酸、アスコルビン酸、酸味料、重曹、ショ糖エステル、植物硬化油脂、塩化カリウム、サフラワー油、ミツロウ、大豆レシチン、香料等が配合できる。このような健康食品、機能性食品の製造に関しては、医薬品製剤の参考書、例えば「日本薬局方解説書(製剤総則)」(廣川書店)等を参考にすることができる。 上記以外にも本発明の抗疲労剤は飲食品として摂取することができる。具体的には、納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、餃子、シューマイ、サラダ等の各種総菜や、各種粉末(ビーフ、ポーク、チキン等畜産物、海老、帆立、蜆、昆布等水産物、野菜・果実類、植物、酵母、藻類等)や、プリン、クッキー、クラッカー、パン、ケーキ、チョコレート、ポテトチップス、ビスケット、ドーナツ、ゼリーなどの洋菓子、煎餅、羊羹、大福、おはぎ、その他の饅頭、カステラなどの和菓子、冷菓(飴等)、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば、きしめん等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品や、塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料、辛味料等の調味類や、明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品や、チーズ、ハードタイプのヨーグルト等の乳製品や、油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したものや、粉末飲食品(インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、味噌汁等)や、滋養強壮または疲労回復用のドリンク等の各種製品が挙げることができるが、これらに特に制限されない。 さらに本発明においては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体等)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)、セレン、レシチン、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン等)、サポニン(ギムネマ酸、大豆サポニン、人参サポニン等)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチン等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖等)、リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド等)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、糖アルコール、リグナン類(セサミン等)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガ等)、などを併用することもできる。 以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 セイヨウニワトコの花弁を乾燥処理し、粉砕した。該粉砕物50gに対し、1.5Lの水を加え、120分間振とう抽出を行った後、遠心分離操作を行った。得られた上清を減圧濃縮した後、凍結乾燥を行なった。以下、これを抽出物1という。 STD DDY 雄性マウス(5週齢:各群n=3〜4)に対し、上記抽出物1を経口摂取させた。摂取量は、50mg/kg体重である。摂取は、純水に抽出物1を溶解させた溶液を用いて行なった。なお、コントロール群のマウスには、純水のみを摂取させて試験を行った。 摂取から30分後に、マウスを深さ80センチの水槽に入れて、無動に至るまでの時間を計測した。各試験群のマウス(各群n=3〜4)の無動に至るまでの時間の平均値として、コントロール群は約100秒であったのに対し、抽出物1投与群は、約380秒であった。 以上から、抽出物1に高い抗疲労効果が確認された。実施例2 ボランティア男性12名(年齢34〜37歳)を、試験食群(実施例)とプラセボ群(比較例)に群分けした。試験食群(実施例)は、抽出物1をオリーブ油を基剤としたソフトカプセルに加工し、毎日該抽出物1を1g摂取する群である。プラセボ群(比較例)は抽出物1を含まないオリーブ油が入ったソフトカプセルを毎日摂取する群である。 摂取を開始してから5週間後と9週間後に、自転車エルゴメータを用いる運動をボランティア男性に課した。該運動は、最大心拍数の80%負荷の運動強度で30分間継続するというものである。 ボランティア男性の運動直前及び運動直後の血中乳酸値を、市販の簡易血中乳酸測定器 で測定し、血中乳酸値の上昇量を調べた。 その結果、摂取を開始してから5週間後の該上昇量の平均値は、比較例が約6ミリモル/lであったのに対し、実施例では約5.12ミリモル/lであった。 摂取を開始してから9週間後の該上昇量の平均値は、比較例が約6ミリモル/lであったのに対し、実施例では約4.85ミリモル/lであった。 以上から、抽出物1の抗疲労作用が明らかとなった。 実施例3 セイヨウイラクサの花弁を乾燥処理し、粉砕した。該粉砕物50gに対し、1.5Lの水を加え、120分間振とう抽出を行った後、遠心分離操作を行った。得られた上清を減圧濃縮した後、凍結乾燥を行なった。以下、これを抽出物2という。 続いて、抽出物2を用いて実施例1と同様のマウスを用いた抗疲労試験を行なった。その結果、抽出物2投与群は、約360秒であった。実施例4 抽出物1の替わりに抽出物2を用いて、実施例2を繰り返した。その結果、5週間後の血中乳酸値の上昇量の平均値は、約5.20ミリモル/lであった。 摂取を開始してから9週間後の該上昇量の平均値は、約4.95ミリモル/lであった。 なお、抽出物1および2の抽出溶剤として、40%エタノール水溶液を用いても上記と同様の結果を得た。 以下に本発明の抗疲労用剤の配合例を示す。キャンディー砂糖 50.0wt%水飴 33.0水 14.4有機酸 2.0香料 0.2本発明の抗疲労剤 残量合計100.0wt%ヨーグルト牛乳 41.5wt%脱脂粉乳 5.8砂糖 8.0寒天 0.15ゼラチン 0.1乳酸菌 0.005本発明の抗疲労剤 1.0 香料 微量水 残余 合計100.0wt%清涼飲料果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%乳化剤 0.5本発明の抗疲労剤 1.0香料 適量水 残余 合計100.0wt% ニワトコ属に属する植物の抽出物を含有してなる抗疲労剤。 イラクサ属に属する植物の抽出物を含有してなる抗疲労剤。 【課題】 セイヨウニワトコの抽出物には、グルタチオン増強作用、トリプシン阻害作用、白髪防止作用が存在することが知られている。また、セイヨウイラクサの抽出物には、NF−kB活性化抑制作用、ニキビまたはフケ防止作用、炎症抑制作用が存在することが知られている。本発明の課題は、疲労軽減に有効である抗疲労剤の提供にある。【解決手段】 スイカズラ科ニワトコ属に属する植物の抽出物を含有してなる抗疲労剤またはイラクサ科イラクサ属に属する植物の抽出物を含有してなる抗疲労剤。なお本発明における疲労とは、生体がある機能を発揮した結果、その機能が低下する現象をいう。本発明でいう抗疲労効果とは、上記のような疲労状態を軽減させる作用、疲労状態を回復させる作用、あるいは疲労状態を予防する作用などがある。【選択図】 なし