生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_バイオエタノールの製造方法
出願番号:2009117361
年次:2010
IPC分類:C12P 7/10


特許情報キャッシュ

福谷 泰雄 大島 惇 國分 秀博 沖田 保司 廣原 美照 増井 昌光 JP 2010088421 公開特許公報(A) 20100422 2009117361 20090514 バイオエタノールの製造方法 福谷 泰雄 597150865 摩周工有限会社 504185500 楠本 高義 100094248 中越 貴宣 100129207 福谷 泰雄 大島 惇 國分 秀博 沖田 保司 廣原 美照 増井 昌光 JP 2008232904 20080911 C12P 7/10 20060101AFI20100326BHJP JPC12P7/10 2 OL 6 4B064 4B064AC03 4B064CA06 4B064CC03 4B064CD09 4B064CD22 4B064DA16 本発明は、バイオエタノールの製造方法に関する。 バイオエタノールの製造方法としては、例えば、バイオマスの水スラリーを圧力4〜40MPaに加圧し、加圧された水スラリーを火力発電装置のボイラから供給される蒸気と反応器内で熱交換させることにより前記圧力での飽和温度以下かつ250〜400℃の範囲の温度に加熱して前記バイオマスに含有されるヘミセルロースおよびセルロースを加水分解して糖を生成し、生成された糖を発酵させるバイオエタノールの製造方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)また、セルロースを酵素糖化させて得た糖を発酵させてエタノールを得る方法が知られている。(例えば、特許文献2参照) これらはバイオマスから直接エタノールを得るものではなく、複数の工程を要する。 [特許文献1]特開2008−182925号公報 [特許文献2]特開2008−161125号公報 本発明の目的は、バイオマスから直接エタノールを効率よく得る方法を提供しようとすることである。 本発明の要旨とするところは、水と発酵用基質としての1または複数種の植物体とを含む分散液を発酵させるエタノールの製造方法であって、前記植物体が葛の茎を含み、前記分散液をセルラーゼとアミラーゼにより生命体を用いず発酵させたのち、糖をエタノールに転化させる発酵により発酵させるバイオエタノールの製造方法であることにある。 また、本発明の要旨とするところは、水と、発酵用基質としての葛の茎とグルコースとを含む混合物を発酵させることを特徴とするバイオエタノールの製造方法であることにある。 本発明によると、バイオマスから直接エタノールを効率よく得る方法が提供される。 本発明は、バイオマスとして葛を用い発酵させるバイオエタノールの製造方法である。 本発明の代表的な態様にあっては、バイオマスとして葛の茎(蔓)を用い、この発酵用基質としての葛の茎とグルコースと麹とからなる混合物を発酵させてエタノールを得る、バイオエタノールの製造方法である。混合物はスラリー状であることが好ましい。麹に代えて麹に含まれる発酵菌や酵素が用いられてもよい。 この混合物は水200〜600重量部、葛の茎10〜50乾燥重量部、グルコース3〜10重量部、麹3〜10重量部からなることが好ましい。 本発明のバイオエタノールの製造方法においては、水と葛の茎とグルコースとからなる原料スラリーを、殺菌のため80〜100℃に加熱したのち35℃以下に冷却し、麹を加えて好ましくは30〜35℃で3日間以上発酵させることが好ましい。 本発明により、バイオエタノールを効率よく製造できる。例えば、発酵後のスラリーから採取される液のアルコール濃度として6.5wt%を達成することができる。 原料スラリーは例えば葛の葉付きの茎を0.5〜5mmに粉砕してグルコースと水を加えて得ることができる。 本発明においては、麹に代えてビールの絞りかすや葡萄酒の絞りかすや焼酎の絞りかす、あるいはこれらに含まれる発酵菌や酵素を用いることができる。この場合、上記混合物は水200〜600重量部、葛の茎10〜50乾燥重量部、グルコース3〜10重量部、ビール等の絞りかす3〜10重量部からなることが好ましい。 本発明の他の代表的な態様にあっては、水と発酵用基質としての植物体とを含む分散液にセルラーゼとアミラーゼを添加して微生物などの生命体を用いず1次発酵させ、植物体に含まれる繊維質を分解させて糖を生成させたのち、この糖をエタノールに転化させる発酵により2次発酵させる。セルラーゼとアミラーゼは水と複数種の植物体とを含む分散液に投入して添加してもよい。水と植物体とアミラーゼとを混合して発酵させたのちセルラーゼを添加して発酵させてもよい。 植物体は葛の茎を含む。葛の茎は繊維質と澱粉を成分として含有する。葛の茎とともに用いられる植物体としては、米糠、米のとぎ汁に含まれるもの、おから、砂糖大根、砂糖キビ、砂糖大根や砂糖キビの搾りかす、コーヒーの搾りかす、葛の根、おがくず、草、とうもろこし、とうもろこしの茎、じゃがいも、さつまいも、さつまいもの茎、かぼちゃの茎、タピオカ、稲藁、木材チップなどが例示されるが、植物活動により産生されるものを原料とし、セルロースやでんぷんや糖類のうちの少なくとも一種を含むものであればこれらに限定されない。 複数種の植物体を用いる場合、葛の茎の比率は20〜100重量%(乾燥重量)であることが好ましい。この場合、葛の茎の存在により、葛の茎以外の植物体の発酵が促進され、複数種の植物体全体としての発酵効率が向上する。 水と複数種の植物体との比率は水100重量部に対して植物体5〜50重量部(乾燥重量)であることが好ましい。セルラーゼ、アミラーゼの添加量は例えば植物体に対する重量比で0.1〜1重量%であることができるが、発酵の速度などを考慮してこの範囲に限定されず適宜設定される。 セルラーゼとしては市販の酵素が好適に用いられる。例えば、天野エンザイム(株)のセルラーゼA「アマノ」3(登録商標)、セルラーゼT「アマノ」4(登録商標)、ヤクルト薬品工業(株)のセルラーゼY−NC(登録商標)、セルラーゼ”オノズカ”3S(登録商標)、エイチビィアイ(株)のセルロシンT2(登録商標)、セルロシンAL(登録商標)、セルロシンAC40(登録商標)などが挙げられるが、セルロースを分解するセルラーゼであれば特に上記に限定されるものではない。 アミラーゼとしては市販の酵素が好適に用いられる。例えば、大和化成(株)製のクライスターゼT10S(登録商標)、クライスターゼL1(登録商標)、クライスターゼP8(登録商標)、コクゲンSD−A(登録商標)、コクゲンL(登録商標)、コクゲンSD−T(登録商標)、コクゲンSD−TC3(登録商標)、天野エンザイム(株)のアミラーゼAD「アマノ」1(登録商標)、ビオザイムA(登録商標)、ビオザイムF10SD(登録商標)、ナガセケムテックス(株)のスピターゼPN4(登録商標)、ヤクルト薬品工業(株)のユニアーゼBM−8(登録商標)などが挙げられるが、デンプン分解酵素として用いられるアミラーゼであれば特に上記に限定されるものではない 糖をエタノールに転化させる発酵には公知の麹、酵母、酵素が用いられる。麹、酵母、酵素の使用量は例えば植物体に対する重量比で1〜30重量%であることができるが、発酵の速度などを考慮してこの範囲に限定されず適宜設定される。実施例1 葉付きの葛の茎を自然乾燥後5mmほどに粉砕した粉砕物30g、グルコース5gを450ccの水に投入し攪拌し原料スラリーを得た。この原料スラリーを90℃に加熱後33℃まで自然冷却したのち、酒粕5gをこの原料スラリーに加えスラリーとしたのち、33℃で3日間発酵させた。発酵後のスラリーから汲み上げて採取した液のアルコール濃度をATAGO社製のアルコール濃度測定器(PET−109)で測定したところ6.5wt%であった。実施例2 葉付きの葛の茎を自然乾燥後5mmほどに粉砕した粉砕物20g、米糠10g、米のとぎ汁(1回目のとぎ汁)400ccの分散液に、アミラーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製)15cc、セルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼY−NC)0.06g、セルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼ”オノズカ”12S)0.03gを添加し、90℃20分の加熱下で発酵させた。発酵後の液の屈折計で測定した糖度は8.5%(重量%)であった。実施例3 葉付きの葛の茎を自然乾燥後5mmほどに粉砕した粉砕物10g、水300ccの分散液に、アミラーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製)5ccを添加し、92〜95℃20分の加熱後50℃になったところでセルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼY−NC)5g、セルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼ”オノズカ”12S)2gを添加し、50〜58℃で15分発酵処理した。発酵後の液の糖度は4.0%(重量%)であった。実施例4 葉付きの葛の茎を自然乾燥後5mmほどに粉砕した粉砕物10g、水350ccの分散液に、アミラーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製)15ccを添加し、92〜95℃20分の加熱後50℃になったところでセルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼY−NC)5g、セルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼ”オノズカ”12S)2gを添加し、50〜58℃で15分発酵処理した。発酵後の液の糖度は4.6%(重量%)であった。実施例5 葉付きの葛の茎を自然乾燥後5mmほどに粉砕した粉砕物20g、水200ccの分散液に、アミラーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製)15ccを添加し、92〜95℃20分の加熱後50℃になったところでセルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼY−NC)5g、セルラーゼ(ヤクルト薬品工業(株):セルラーゼ”オノズカ”12S)2gを添加し、50〜58℃で15分発酵処理した。発酵後の液の糖度は7.1%(重量%)であった。実施例6 水200cc、米糠5g、葛の茎10g、アミラーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製)7ccからなる分散液を150ccになるまで沸騰させたのち、6時間放置した。この放置後の液の糖度は5%であった。この液にワイン酵母3gを加え27〜28℃で120時間発酵させた後の液を100cc採取し蒸留し13ccの蒸留液を得た。この蒸留液のアルコール度数は41.3度であった。実施例7 米のとぎ汁(1回目のとぎ汁)550cc、葛の茎20g、アミラーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製)20ccからなる分散液を400ccになるまで沸騰させたのち、6時間放置した。この放置後の液の糖度は4.9%であった。比較例1 米のとぎ汁(1回目のとぎ汁)150ccにアミラーゼ(ノボザイムズ ジャパン株式会社製)5ccを加え液が100ccになるまで沸騰させたのち、6時間放置した。この放置後の液の糖度は3.2%であった。比較例2 米糠5gと水150ccとアミラーゼ(ノボザイムズ ジャパン株式会社製)5ccを混合した分散液を100ccになるまで沸騰させたのち、6時間放置した。この放置後の液の糖度は3.9%であった。比較例4 水100ccを3分間沸騰させたのちグルコース8gを添加して3分間沸騰させた。この液を6時間放置した後の糖度は6.3%であった。 本発明のバイオエタノールの製造方法により、バイオマスからエタノールを得ることができ、化石燃料に代わりCO2負荷の少ないエネルギー源として利用できる。水と発酵用基質としての1または複数種の植物体とを含む分散液を発酵させるエタノールの製造方法であって、前記植物体が葛の茎を含み、前記分散液をセルラーゼとアミラーゼにより生命体を用いず発酵させたのち、糖をエタノールに転化させる発酵により発酵させるバイオエタノールの製造方法。水と発酵用基質としての葛の茎とグルコースとを含む混合物を発酵させることを特徴とするバイオエタノールの製造方法。 【課題】バイオマスから直接エタノールを効率よく得る方法を提供する。【解決手段】水と1または複数種の植物体とを含む分散液を発酵させるエタノールの製造方法であって、前記植物体が葛の茎を含み、前記分散液をセルラーゼとアミラーゼにより生命体を用いず発酵させたのち、糖をエタノールに転化させる発酵により発酵させるバイオエタノールの製造方法であり、水と、葛の茎と、グルコースとを含む混合物を発酵させることを特徴とするバイオエタノールの製造方法。【選択図】なし


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