生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_メタノールの製造方法
出願番号:2009101492
年次:2009
IPC分類:C07C 29/128,C07C 31/04,H01M 8/06,C07B 61/00


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加納 浩 JP 2009280572 公開特許公報(A) 20091203 2009101492 20090419 メタノールの製造方法 加納 浩 507237495 藤野 清規 100076244 加納 浩 JP 2008133633 20080422 C07C 29/128 20060101AFI20091106BHJP C07C 31/04 20060101ALI20091106BHJP H01M 8/06 20060101ALI20091106BHJP C07B 61/00 20060101ALN20091106BHJP JPC07C29/128C07C31/04H01M8/06 ZC07B61/00 300 4 OL 8 4H006 4H039 5H027 4H006AA02 4H006AC41 4H006AC45 4H006AC46 4H006BA22 4H006BA66 4H006FE11 4H039CA60 4H039CE90 5H027AA08 5H027BA11 本発明はメタノールの製造方法に関する。詳しくは、エタノールからメタノールを製造する方法に関する。 現在、エタノールは、天然ガスや石油などの化石燃料から作られる合成エタノールの他に、サトウキビやトウモロコシやイモ類などの植物性原料を発酵させて作るバイオエタノールが知られている。バイオエタノールを用いると、原油の消費量を減らすことができ、また、炭酸ガス削減の手段となるため、バイオエタノールは、バイオガソリン(エタノール混合ガソリン)やETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)などの新しいエネルギー源として期待されている。しかし、燃料電池の燃料として使用する場合、エタノールは、メタノールに比べて出力が弱く、また、バイオガソリンとしても、排ガス中に窒素化合物(Nox)が増加するという問題があり、エタノールは、第2世代・第3世代の石油代替燃料として実用的に満足できる域には至っていない。 一方、メタノールは、従来から炭素を含む原料(メタン、ナフサ、コークスなど)を水蒸気と反応させて製造しているが、最近では、サトウキビの搾り滓や食品廃棄物などの生ゴミやし尿などの有機性廃棄物(バイオマス)からも製造できるようになった。有機性廃棄物を原料として作ったメタノールはバイオ(マス)メタノールと称され、環境に優しい原料として注目されている。しかし、バイオメタノールを製造するには、大規模な設備を必要とし、製造コストが嵩むという問題がある。また、メタノールは毒性が強いため、取り扱いがむずかしく、燃料電池の燃料として有用であっても市場流通に適さない。なお、バイオメタノールの生産には、エタノールと同様の原料の他、特に材木などが多く用いられるが、これは森林伐採などにつながり、地球環境保護と逆行するおそれがあるので、有用なエネルギー再生手段とは言いがたい。 このような事情に鑑み、本発明は、簡単な方法によって、市場に流通しやすくて安全なエタノールを出力が大きいメタノールに変換し、例えば燃料電池などの燃料として使用しやすくするものである。 従来の一般通念として、エタノールからメタノールを作ることは不可能とされていた。そもそも従来は、エタノールをメタノールに変換する必要がなかったためか、エタノールを原料としてメタノールを製造する方法は開発されていない。本発明者は、エタノールを原料としてメタノールを製造する方法について特許文献や技術文献を調査したが、適当なものは見出されなかった。しかし、文献調査の過程で、エタノールから酢酸を製造し得ることを知った。また、メタノールのカルボニル化、すなわち、メタノールと一酸化炭素を反応させることによってメタノールから酢酸が製造できることを知った。これらの製法を参考にして、本発明者は、種々の試験を繰り返した結果、ようやく酢酸からメタノールを製造する方法を完成することができた。すなわち、本発明は、まずエタノールから酢酸を作り、次いでその酢酸を用いてメタノールを製造するという2段階に分けて検討した結果、完成された方法である。以下、本発明を完成させるに当たって、参考となった文献を説明する。 非特許文献1には、メタノールと一酸化炭素から酢酸を合成する方法について開示されている。この方法では、触媒としてヨウ化水素と共に貴金属化合物であるロジウムを使用する。すなわち、メタノールがヨウ化水素と反応して生成されるヨウ化メチルは、ロジウムの働きによってヨウ化アセチルとなり、これが水と反応して酢酸となり、ヨウ化水素が再生される。その結果、結局は、メタノールと一酸化炭素から酢酸が生成できたことになる旨が記載されている。しかし、非特許文献1には、酢酸からメタノールを製造する方法については何らの説明も記載されていない。 非特許文献2は、燃料電池に関する基本書であるが、燃料電池では、メタノール以外の燃料への置き換えとして、メタノールの代わりにエタノールやボロハイドライト(水素化ホウ素化合物)などの利用が研究されている旨が記載されている。しかし、非特許文献2には、どのような方法でエタノールをメタノールの代わりに使用できるようにするのか、その具体的な方法については何らの説明も記載されていない。 特許文献1には、ロジウム含有固体触媒体及びヨウ化アルキルの存在下、反応溶媒中でメタノールと一酸化炭素を反応させて酢酸を生成させる方法が開示されている。しかしながら、特許文献1には、酢酸からメタノールを製造する方法については何らの説明も記載されていない。 特許文献2には、イリジウム触媒の存在下、メタノール又はその反応性誘導体をカルボニル化反応器内で液体反応組成物にて一酸化炭素と接触させることからなるメタノール又はその反応性誘導体のカルボニル化による酢酸の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献2には、酢酸からメタノールを製造する方法については何らの説明も記載されていない。特許第3035642号公報特開2008−110990号公報2007年2月28日日刊工業新聞社発行『とことんやさしい触媒の話』の100〜101頁所載「有毒ガスを有用物質に変える」の記事2007年3月30日株式会社工業調査会発行『燃料電池・実用化への挑戦』の178〜179頁の記事 上記の状況に鑑み、本発明は、エタノールを原料としてメタノールを製造する容易な方法を提供することを課題とする。 上記の課題を解決するための本発明のうち、特許請求の範囲・請求項1に記載する発明は、エタノールを酸化して酢酸を製造し、その酢酸に触媒としてヨウ化水素とイリジウムを添加して加熱し、一酸化炭素ガスを発生させて分離し、メタノールを製造する方法である。 また、同請求項2に記載する発明は、エタノールから酢酸を製造する方法として、エタノールを電気分解するか又はエタノールに酸化剤を作用させるか若しくはエタノールに脱水素反応を施すかのいずれかの方法を用いてエタノールをアセトアルデヒドに変換し、そのアセトアルデヒドを酸化して酢酸を製造する方法を採る請求項1に記載のメタノールの製造方法である。 さらに、同請求項3に記載する発明は、燃料電池用のメタノールを得るための方法である請求項1又は2に記載のメタノールの製造方法である。 さらに、同請求項4に記載する発明は、原料としてバイオエタノールを用いる請求項1から3のいずれかに記載のメタノールの製造方法である。 本発明に係るメタノールの製造方法のうち請求項1及び請求項2に記載する発明は、きわめて簡単な方法であるため、大規模な製造設備を必要とせず、ダレでも容易に実施できる。また、メタノールの製造コストを低く抑えることができる。その上、安全性が高くて流通させやすいエタノールを原料として用いるので、メタノールの毒性による被害を抑制できる。そのため、本発明に係るメタノールの製造方法を応用することによってエタノールのメタノール化が促進され、メタノールの用途が拡大する。具体的には、本発明によって、メタノール混合ガソリンの実用化やメタノール燃料電池の開発・普及を促進することができる。 特に、本発明に係るメタノールの製造方法のうち請求項3に記載する発明は、エタノールからメタノールへ変換する装置をメタノール燃料電池に併設することによって、毒性の強いメタノールではなく、安全なエタノールを燃料として使用できることになるので、メタノール燃料電池の開発・普及に大きく貢献できる。 また、本発明に係るメタノールの製造方法のうち請求項4に記載する発明は、バイオエタノールの生産量の増加を促進できる。バイオエタノールであれば、植物の栽培増によってエネルギーの再生が可能であるため、植物の作付面積を増やすことによって、光合成などによる大気の浄化効果も期待できる。 まず、エタノールを原料として酢酸を製造する方法について説明する。一般に、エタノールを電気分解するか又はエタノールに適当な酸化剤を作用させるか若しくはエタノールに脱水素反応を施すと、エタノールが酸化されてアセトアルデヒドに変わり、さらに酸化を続けると酢酸に変換できることが知られている。この酸化の過程は、以下の化学式(化1)に示すとおりである。《化1》 C2H5OH+(O) → CH3CHO+H2O CH3CHO+(O) → CH3COOH エタノールを原料として酢酸を製造する具体的な方法として、以下の3通りの方法を挙げることができる。すなわち、(1)エタノールを電気分解によって酢酸水溶液に酸化する。この方法では、メタノール燃料電池をエタノール電気分解装置として使用できる。その原理を説明すると、例えば、メタノール燃料電池にエタノールを注入し、4〜5V程度の乾電池によってエタノールのアノード側(電子授受側)の白金電極に負の電位差を生じさせる。そうすると、エタノールから水素イオンが遊離して脱電子金属である白金に放つので、エタノールは酸化されてアセトアルデヒドを経て酢酸に変換される。一方、カソード側(電子供与側)には正の電位差が生じていてアノード側で遊離した水素イオンがアノード白金電極とカソード白金電極の間に設けてある水素イオン透過膜を透過して伝わり、大気と接触しているカソード白金電極で電子を受け取って大気中の酸素と化合して水が生成される。(2)エタノールに酸化剤として2クロム酸カリウムと硫酸を加えて加熱する。そうすると、エタノールは酸化されてアセトアルデヒドとなり、引き続いて酸化されて酢酸が生成する。(3)エタノールにアルコール脱水素酵素(アルコールデヒドロゲナーゼ)を添加してアセトアルデヒドを作り、これに触媒としてアセトバクタを添加して空気酸化を行ない、酢酸を生成させる。 次に、酢酸からメタノールを製造する方法について説明する。酢酸又はその溶液に触媒としてヨウ化水素を混合すると共にイリジウムを加えて加熱する。酢酸とヨウ化水素の混合比は液状の体積比で1〜2対5とするのが好ましい。また、イリジウムは、酢酸1mLにつき0.1〜0.3g添加するとメタノールの生産効率を最も高めることができる。なお、加熱は20〜70℃前後で50分間程度とするのが好ましい。 加熱を続けると、酢酸はヨウ化水素によって脱水され、酢酸のOH基がヨウ素原子と置換される。また、イリジウムの働きによってヨウ素が離脱し、ヨウ化メチルを経て水素と結合し、メチル基はOH基と結合してメタノールと一酸化炭素ガスが生成する。この反応の過程は以下の化学式(化2)又は(化3)で示すことができる。《化2》 CH3COOH+HI+Ir → CH3CO-I+H-OH+Ir → CH3CO-Ir-I+H2O → CH3-Ir-CO-I+H2O → CH3-I+Ir-CO+H-OH → CH3OH+HI+Ir+CO↑《化3》 CH3COOH → CH3OH+CO↑ メタノールのカルボニル化には、好適な触媒としてイリジウム、ロジウム、コバルトなどの貴金属が使用されるが、本発明における酢酸からメタノールを製造する工程では、イリジウムのみが好適な触媒として使用できる。その理由は定かではないが、イリジウムは常圧・低温下で反応が起きるのに対して、ロジウムは加圧下で温度は100℃以上でないと反応が起きず、また、コバルトについても高圧・高温下でのみ反応するという反応条件の相違によるのではないかと推定される。なお、イリジウムは、白金族元素に属する貴金属で、耐熱性・耐磨耗性に優れていて、酸やアルカリには不溶である。 本発明者の試験(実施例1参照)によれば、電気分解法を採った場合、エタノール1mL(濃度79%)から約0.5mLの酢酸(濃度34%)を作ることができた。また、酢酸1mL(濃度34%)を原料として、0.042mLのメタノール(濃度4.2%)を得ることができた。また、本発明者の別の試験(実施例2参照)では、電気分解法を採った場合、エタノール1mL(濃度60%)から0.58mLの酢酸(濃度27%)を作ることができた。また、酢酸1mL(濃度27%)を原料として、0.036mLのメタノール(濃度3.6%)を得ることができた。これらの試験結果を総合すると、本発明によって、エタノール1mL(濃度80%程度)から濃度3.6〜4.2%のメタノール0.018〜0.021mLを製造することができる。 上記の試験結果のように、電気分解法の場合は、原料として濃度の濃いエタノールを用いる方が、モル濃度も高いため、分子どうしの反応がラジカルになり、エタノールの分解量が多くなって、濃度の濃い酢酸を得ることができる。しかし、エタノールの分解が進むと、水素などが発生するので酢酸の収量は少なくなる。 なお、エタノールを電気分解して酢酸を製造する場合、エタノールと酢酸のモル比は4対1であることが以下の化学式(化4)などから推定されるが、本発明者の試験によっても確認されている。また、酢酸からメタノールを製造するとき(酢酸とヨウ化水素の体積比は1対5とし、イリジウム添加量は酢酸1mLにつき0.1〜0.3gとする。)、濃度60〜80重量%のエタノールから得た酢酸を用いて作ったメタノールの製造モル比は「酢酸対メタノール=5.5対1(平均値)」という結果を得ている。この結果から、エタノールからメタノールを製造するときの製造モル比は22対1であると推定される。《化4》 C2H5OH+H2O → CH3COOH+4H++4e- 以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明の全説明において「%」の表示は重量割合(重量%)を示す。《電気分解法によって酢酸を作り、続けてメタノールを製造する方法A》 濃度79%のエタノ−ル2mLをメタノール燃料電池に注入して通電し、電気分解によって酢酸水溶液(濃度34%)に変換した。得られた酢酸水溶液1mLを燃料電池から取り出し、別の反応容器に入れてヨウ化水素酸(ヨウ化水素水溶液)を体積比で1対5となるように加えてよく混合した。さらに、イリジウムを0.1〜0.3g加えて混合し、この混合液を20〜70℃で45分間加熱した。加熱後の混合液は、メタノール、ヨウ化水素、残酢酸の混合液である。このうち酸性のものはヨウ化水素と残酢酸であるから、この混合液を水酸化ナトリウムで滴定すれば、得られたメタノールのモル数を算定できる。また、メタノールの生成中に発生する気体は一酸化炭素ガスであるから、これを水上捕集して、その体積から発生気体のモル数を算定することができる。本実施例では、メタノール0.042mLと一酸化炭素ガス25ccを得ることができた。《電気分解法によって酢酸を作り、続けてメタノールを製造する方法B》 エタノ−ル2mL(濃度60%)をメタノール燃料電池に入れて通電し、電気分解によって酢酸水溶液(濃度27%)に変換した。得られた酢酸水溶液1mLをヨウ化水素酸5mLと混合し、イリジウムを0.1〜0.3g加え、この混合液を15〜70℃で45分間加熱してメタノールを製造した。本実施例では、メタノール0.036mLと一酸化炭素ガス24ccを得ることができた。 実施例1及び実施例2では、電気分解装置としてメタノール燃料電池を使用したが、その具体的な使用方法を例示すると、以下のとおりである。 卓上メタノール燃料電池に単一乾電池ボックスを直列に3列につないで、電池ボックスの端子と卓上メタノール燃料電池の端子はワニグチクリップ付き電線で接続する。なお、乾電池の(−)側はアノード電極(電子授受電極)につなぎ、乾電池の(+)側はカソード電極(電子供与電極)につなぐ。この燃料電池にエタノール(濃度79重量%)を約2mL注入し、通電して電気分解した。通電の途中、スポイトで試料を少し採り、酸度を測定したところ、pH6であった。pH4になるまで通電を続けた。《エタノールに酸化剤を作用させて酢酸を製造する方法》 濃度16%のエタノール2mLと濃度3%の過酸化水素水0.5mLを混合して混合液2.5mLを作り、この混合液2mLを取り出してメタノール燃料電池に注入した。そうすると、酸化剤である過酸化水素の働きによって約50mVの起電力を有するエタノール燃料電池となり、10〜20分後にはエタノールが酸化されてアセトアルデヒドに変換され、さらに酸化を続けたところ、約10分後には酢酸(濃度0.07%)1.6mLが生成した。《酢酸からメタノールを製造する方法C》 濃度30%の酢酸溶液20mLに濃度30%のヨウ化水素酸8mLとイリジウム0.1〜0.3gを加え、63℃前後の温度で加熱した。加熱を開始してから約20分後に発生した気体を捕集した。気体の体積は12mLであった。 この化学反応によって、酢酸とヨウ化水素の混合液にはメタノールが生成されており、また、発生した気体は一酸化炭素ガスであると推定される。そこで、以下の方法によって捕集した気体と混合液の定性試験を行なった。 ケイモリブデン酸2mLと水酸化ナトリウム(濃度1%)1mLを入れた口径18mmの試験管を混合液中に挿入して発生した気体を導入し、その試験管を加熱した。最初に捕集されるのは10mL程度の空気であるから、これを捨てた後、捕集した気体に通気しながら試験管を沸騰状態まで加熱し続けた。そうすると、加熱前は透明な濃黄色であったケイモリブデン酸が30〜40分間加熱した時点で緑色に変色し、次いで、モリブデンブルーと言われる青色に変色した。この呈色は、ケイモリブデン酸が一酸化炭素ガスによってケイ酸ナトリウムとモリブデン酸に還元されたことを示すものである。 捕集した気体がモリブデンブルーを呈したことによって、酢酸からメタノールを製造する際に一酸化炭素ガスが発生していることが確認された。これは、前記の化学式「化3」のとおり、メタノールが製造されたことを示すものである。 加熱後の混合液1mLを急冷し、0.1N水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した。混合液のpHが7に至るまでに水酸化ナトリウム0.053gを費やした。その中性化した混合液を卓上メタノール燃料電池(アノード側とカソード側にそれぞれ白金電極を使用してある)に注入し、乾電池に通電して負の電位差をつけることにより混合液を酸化した。混合液にメタノールが含まれている場合は、酸化されてホルムアルデヒドとなり、フェノールフタレインによって呈色反応を示す筈である。そこで、酸化後の混合液にフェノールフタレインを数滴滴下したところ、直ちに赤色反応を呈した。よって、上記の実施例によって得られた混合液にはメタノールが含まれていることが確認された。 なお、本発明は、エタノールを酸化して酢酸とし、その酢酸に触媒を加えて加熱することによってメタノールを生成する2段階式の製造方法であるが、エタノールに直接ヨウ化水素とイリジウムを添加してメタノールが製造できないものか、試験してみた。 すなわち、まず、エタノール(濃度30%)1mLとヨウ化水素(濃度30%)5mLを(1対5の割合で)よく混合し、これにイリジウム0.3gを加え、その混合液を口径30mmの試験管に入れて、少量の水を入れたビーカーに浸して加熱・湯煎し、発生する気体を観察した。 試験開始直後から無色の気体が発生し始め、その後も気体は快調に発生し続けた。10分後に液温が54℃に至った時点で酸化剤として過酸化水素水(濃度3%)を0.5mL加え、加熱を続けた。イリジウムは、試験管の内壁に付着したままで、混合液に混和する様子や反応する様子は示さなかった。しばらくすると、試験管から薄い紫色の蒸気が発生するようになった。検討の結果、この紫色の蒸気はヨウ素が気化したものであり、試験管内にはヨウ化エチルが生成していることが判明した。すなわち、この試験結果から、エタノールに直接ヨウ化水素とイリジウムを添加して加熱しても、ヨウ化エチルが生成するだけで、メタノールを製造できないことが確認できた。 以上、詳しく説明したとおり、本発明に係るメタノールの製造方法は、簡単な方法であるが、メタノール混合ガソリン(第2世代燃料)の実用化につながると共に、メタノール燃料電池(第3世代燃料)の開発や普及にも貢献できるので、その技術的価値はすこぶる大きい。 エタノールを酸化して酢酸を製造し、その酢酸に触媒としてヨウ化水素とイリジウムを添加して加熱し、一酸化炭素ガスを発生させて分離し、メタノールを製造する方法。 エタノールから酢酸を製造する方法として、エタノールを電気分解するか又はエタノールに酸化剤を作用させるか若しくはエタノールに脱水素反応を施すかのいずれかの方法を用いてエタノールをアセトアルデヒドに変換し、そのアセトアルデヒドを酸化して酢酸を製造する方法を採る請求項1に記載のメタノールの製造方法。 燃料電池用のメタノールを得るための方法である請求項1又は2に記載のメタノールの製造方法。 原料としてバイオエタノールを用いる請求項1から3のいずれかに記載のメタノールの製造方法。 【課題】 エタノールを原料としてメタノールを製造する容易な方法を提供する。【解決手段】 エタノールに酸化剤を作用させるか又は脱水素反応を施すか若しくは電気分解法によって、エタノールから酢酸を製造し、その酢酸に触媒としてヨウ化水素とイリジウムを添加して加熱し、一酸化炭素ガスを発生させて分離し、メタノールを製造する方法。本発明によって、メタノール混合ガソリンの実用化やメタノール燃料電池の開発・普及の促進を図ることができる。【選択図】 なし


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