生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_エラスチン含有可溶性ペプチド及びその製造方法
出願番号:2009090139
年次:2010
IPC分類:C07K 14/78,C12P 21/06,A61K 8/64,A61Q 19/00


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伊東 芳則 JP 2010241708 公開特許公報(A) 20101028 2009090139 20090402 エラスチン含有可溶性ペプチド及びその製造方法 八洲商事株式会社 505380108 竹本 松司 100082304 杉山 秀雄 100088351 湯田 浩一 100093425 魚住 高博 100102495 手島 直彦 100112302 白石 光男 100152124 伊東 芳則 C07K 14/78 20060101AFI20101001BHJP C12P 21/06 20060101ALI20101001BHJP A61K 8/64 20060101ALI20101001BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20101001BHJP JPC07K14/78C12P21/06A61K8/64A61Q19/00 5 OL 8 4B064 4C083 4H045 4B064AG01 4B064CA21 4B064CE09 4B064DA20 4C083AD411 4C083AD412 4C083CC02 4C083EE12 4H045AA10 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA10 4H045CA52 4H045EA15 4H045FA70 本発明は、魚類の動脈球を原料としたエラスチン含有可溶性ペプチド及びその製造方法に関する。 エラスチンは、細胞外マトリックスとして、コラーゲンなどの結合組織成分と共に存在するたんぱく質であって、名前の由来のエラスチンの通りしなやかで弾力性を有し、肌の弾性の保持やコラーゲン線維の構造蛋白としての機能のサポート役として知られてきた。 動脈や動脈球等、血液の流れを円滑に保つ血管の柔軟性と強さの源は、エラスチンによって保持されており、今後研究が進めば、抗動脈硬化剤等の健康保持の最も重要な成分となる可能性がある。 既に、エラスチン及びその分解ペプチドは、化粧品、食品、医療の分野で広く利用されており、特に化粧品分野では無くてはならない基礎成分として利用されている。 その原料としては牛項靭帯、豚の心臓や大動脈、魚類の皮膚や動脈球が使用されてきた。しかし、狂牛病発生以後、牛由来原料は敬遠され、特に化粧品業界では殆ど使用されていない。豚もまた、四つ足であるとのことで、イメージを重要視する業界では魚由来原料を使用している。 ところで、エラスチンに関する定義は明確になっていないため、例えばコラーゲンならヒドロキシプロリンの含有量を測定し係数を掛ければ、コラーゲンの含有量が判るのに対し、エラスチンにはその含有量に関する資料が乏しいが、一応、デスモシン・イソデスモシンと呼ばれるエラスチン特有のアミノ酸がエラスチン成分存在の証となっている。 しかるに魚皮由来の市販エラスチン健康食品には、殆どの成分がコラーゲンであり、デスモシン・イソデスモシンの含有量が全くないものが多い。 これは、主に魚の場合、エラスチン含有量の多い動脈球の入手が困難であり、魚類の皮膚では含有量が少なく大半の成分がコラーゲンである為と考えられる。 マグロ等の心臓部の動脈球はエラスチンを豊富に含んでいるが、今迄珍味として一部の好事家や漁師しか賞味できず、捨てられてきた。しかし、例えば、マグロの場合、一船買いと言う船ごと全量買い入れる方式で購入すると、冷凍チェーンによりマイナス70℃で保管している為、鮮度抜群であるばかりか、完全なるトレーサビリティ可能な高品質の動脈球を入手できる。 従来、エラスチンに富む魚類の動脈球を原料とするエラスチン含有可溶性ペプチド及びその製法が公知である(特許文献1及び特許文献2参照)。 しかし、上記従来の製法は、原料となる動脈球からコラーゲンを除去するために、アルカリ溶液を用いて浸漬処理を行ない、さらに、酸等で処理してこれを中和している。 このように酸・アルカリによる処理を行なうと、工程数が多くなって処理時間が長くなるだけでなく、特殊な設備も必要で製造コストが高くつき、しかも、臭いが拡散したり、廃水が周囲を汚染する心配があって、環境に与える負荷が増大する。 また、酸・アルカリは危険物であって、取り扱いを誤ると爆発したり、作業員が火傷する虞があるため、作業の危険性が増す。特開2005−343851号公報特開2007−151453号公報 本発明が解決しようとする課題は、廃棄されていた魚類の動脈球を利用した、安価で質の良いエラスチン含有可溶性ペプチドを提供すること、及び、工程数が少なく、処理時間が短縮され、コストが低廉で作業の安全性が高いエラスチン含有可溶性ペプチドの製造方法を提供することにある。 本発明のエラスチン含有可溶性ペプチドは、洗浄後の魚類の動脈球の細片を、そのまま、即ち、酸又はアルカリによる処理を行なわずに、蛋白質分解酵素により可溶化処理して成る。 本発明のエラスチン含有可溶性ペプチドの製造方法は、魚類の動脈球を切断して洗浄し、得られた細片に同量の水と0.1重量%〜10重量%の蛋白質分解酵素とを加えて攪拌してから室温で放置し、次いで、攪拌しながら40℃〜80℃に昇温させ、酵素分解が終了した時点で、吸着剤及びろ過助剤を投入して攪拌し、その後昇温させて酵素を失活させ、これをろ過して、エラスチン含有可溶性ペプチドを含む液体を得る。 また、エラスチン含有可溶性ペプチドを含む液体を乾燥し、粉末状としても良い。 ここで、魚類の動脈球は、マグロ、カツオ、カジキ、ハマチ又はサケ由来のものである。 なお、魚類の動脈球に加える水は、純水とするのが望ましく、用途が化粧品であれば、洗浄に用いる水も純水とするのが望ましい。 また、蛋白質分解酵素としては、プロテアーゼ、エラスターゼ等がある。吸着剤としては活性炭等を用い、ろ過助剤としては白土、珪藻土等を用いることができる。 本発明によれば、コラーゲンを除去するために酸やアルカリによる処理が不要なので、工程数が削減されると共に、処理時間が短縮され、しかも、特殊な設備を必要としないため、製造コストを大幅に削減することができる。 また、爆発や火傷の危険性もある酸・アルカリを取り扱う必要がないので、作業の安全性が高まり、臭いや廃水による環境への負荷も軽減される。 エラスチン含有可溶性ペプチドは、洗浄後の魚類の動脈球の細片を、そのまま、蛋白質分解酵素により可溶化処理して成る。 エラスチン含有可溶性ペプチドを製造するには、魚類の動脈球部分を分離して裁割し、十分な水洗いをし、血抜きをする。血抜きが十分行われたのを確認し、更に包丁や裁断機で更に細切れにする。得られた細片に純水と蛋白質分解酵素を添加し、酵素処理を行って、肉片が全部溶けるまで消化させる。この消化液に、吸着剤及びろ過助剤を組み合わせて投入し、温度管理を行い、酵素を失活させた後、濾過を行い、エラスチン特有の琥珀色をし、かすかに特有な匂いを有する清澄な液体を得る。 本鮪の心臓部4729.2gから動脈球部分を切り離し999.2gを得た。この動脈球を裁断して水洗いを繰り返し、充分血抜きをして水切りを行った。 得られた細片に、同量999.2gの純水と、蛋白質分解酵素(パパインW−40;天野エンザイム株式会社)を10g添加し、70℃で4時間攪拌を行ってから、室温で15時間放置した。 攪拌しながら70℃迄昇温させ、酵素分解が終了近くまで進んだ時点で、活性白土(ミズカライフ;水澤化学工業株式会社)10g、活性炭(太閤活性炭Ca;フタムラ化学株式会社)1g及び活性炭(太閤活性炭S;フタムラ化学株式会社)1gを投入し、1時間攪拌した後95℃迄昇温させ、酵素を失活させた。 真空吸引濾過にて、ろ紙、珪藻土(ラジオライト900番;昭和化学工業株式会社)、及び珪藻土(ラジオライト200番;昭和化学工業株式会社)を併用し、琥珀色の清澄な液体になるまで濾過し、特異臭を持つ淡黄色透明の液体を1640g得た。ろ過に要した時間は1〜2時間であった。 この液体にエラスチン確認試験(1)、(2)を行なった。 試験(1):実施例1で得た液体2mlに水酸化ナトリウム溶液(1−100)5mlを加え、次に硫酸銅溶液(1−20)1滴を加えた結果、この液体は赤紫色を呈した。 試験(2):実施例1で得た液体に紫外線(主波長365nm)を照射した結果、この液体は青色の蛍光を発した。 上記エラスチン確認試験(1)、(2)により、実施例1で得た液体中にエラスチンが含まれていることが確認された。 実施例1で得られた液体をスプレードライにて粉末とし、水分含有量3.5%のエラスチンペプチド含有粉末129gを得た。 実施例2で得られた粉末のアミノ酸組成を表1に示す。[参考例] 本鮪の動脈球部分91.1gを純水182.2gに投入し、2NのNAOHをpH12.60になるまで添加し、2日間室温で攪拌し続けた。しかし、動脈球の形態は崩れなかった。 次いで、2NのHCLを添加してpH6.4とし、析出したコラーゲン分を除去し、72.0gの動脈球を得た。この動脈球を純水で洗浄し、純水中にて15時間冷蔵保管し、吸水した99.7gの動脈球を得た。 これに900ccの純水を加えて約1000ccとし、蛋白質分解酵素(アマノNG;天野エンザイム株式会社)0.2gを添加し、55℃560rpmで1時間攪拌しながら反応させた。その後、90℃迄加熱して酵素を失活させ、試験原液とした。 この原液を500cc取り出し、活性白土(ガレオンアース;水澤化学工業株式会社)5g、活性炭(太閤活性炭Ca;フタムラ化学株式会社)0.5g及び活性炭(太閤活性炭S;フタムラ化学株式会社)0.5gを添加し、1時間70℃で攪拌反応させ、ろ過後濃縮して250ccとした。 別に原液300ccを取り出し、活性白土(ガレオンアース;水澤化学工業株式会社)3g、活性炭(太閤活性炭Ca;フタムラ化学株式会社)0.3g、活性炭(太閤活性炭S;フタムラ化学株式会社)0.3gを添加し、70℃で1時間反応させた後ろ過して、清澄な液を取得した。 これを、先にろ過後濃縮した250ccの液とあわせて、真空濃縮を行い340ccの液体を得た。 この液体にエラスチン確認試験(1)、(2)を行なったところ、赤紫色を呈し、青色の蛍光を発してエラスチンの存在が確認された。また、液体の色もエラスチン特有の淡黄色透明で、特異臭を有していた。 さらに、この液体のアミノ酸組成を財団法人食品分析センターにおいて分析した。その結果を表2に示す。 参考例で得た液体からは、発色試験によればエラスチンの存在が確認されたにも関わらず、デスモシン・イソデスモシンを検出することができなかった。これは、アルカリと酸で処理した後の動脈球に純水を多く加えすぎたため、デスモシン及びイソデスモシンの含有比率が検出限界より低くなったためであると考えられる。 また、表1の分析結果と表2の分析結果とを比較すると、実施例2で得られたものは参考例で得られたものよりも総アミノ酸量に対するヒドロキシプロリンの比率が少なく、酸やアルカリで処理を行なわなくても、原料からコラーゲンが除去されていることがわかった。 なお、処理時間を短くするために、実施例1に記載した例よりも蛋白質分解酵素の添加量を増量することもできる。 また、実施例1で得た液体を所定の規格濃度に調整し、保存料を添加すれば、化粧品用医薬部外品規格に適合する製品となる。 さらに、化粧品用原料までにろ過を繰り返し進めずに、回数を減らしてろ過を行い、コラーゲンを取り除いた液体をスプレードライや凍結乾燥すれば、臭いが少なくてエラスチン含有量が多く、コラーゲン含有量の少ない他用途の粉末が得られる。 洗浄後の魚類の動脈球の細片を、そのまま、蛋白質分解酵素により可溶化処理して成るエラスチン含有可溶性ペプチド。 魚類の動脈球が、マグロ、カツオ、カジキ、ハマチ又はサケ由来である請求項1に記載のエラスチン含有可溶性ペプチド。 魚類の動脈球を切断して洗浄し、得られた細片に同量の水と0.1重量%〜10重量%の蛋白質分解酵素とを加え、酵素分解が終了した時点で、吸着剤及びろ過助剤を添加し、その後昇温させて酵素を失活させ、これをろ過して、エラスチン含有可溶性ペプチドを含む液体を得ることを特徴とするエラスチン含有可溶性ペプチドの製造方法。 請求項3に記載のエラスチン含有可溶性ペプチドの製造方法で得られた液体を乾燥し、粉末状とするエラスチン含有可溶性ペプチドの製造方法。 魚類の動脈球が、マグロ、カツオ、カジキ、ハマチ又はサケ由来である請求項3又は4に記載のエラスチン含有可溶性ペプチドの製造方法。 【課題】廃棄されていた魚類の動脈球を利用した、安価で質の良いエラスチン含有可溶性ペプチドを提供すること、及び、工程数が少なく、処理時間が短縮され、コストが低廉で作業の安全性が高いエラスチン含有可溶性ペプチドの製造方法を提供すること。【解決手段】エラスチン含有可溶性ペプチドは、洗浄後の魚類の動脈球の細片を、そのまま、蛋白質分解酵素により可溶化処理して成る。その製造方法は、魚類の動脈球を切断して洗浄し、得られた細片に同量の水と0.1重量%〜10重量%の蛋白質分解酵素とを加え、酵素分解が終了した時点で、吸着剤及びろ過助剤を添加し、その後昇温させて酵素を失活させ、これをろ過する。【選択図】なし


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