生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_メタクリル樹脂連続重合の一時停止方法
出願番号:2009079088
年次:2013
IPC分類:C08F 20/14,C08F 2/38,C07C 69/54


特許情報キャッシュ

前田 香織 三宅 克二 田中 正二 JP 5160491 特許公報(B2) 20121221 2009079088 20090327 メタクリル樹脂連続重合の一時停止方法 株式会社クラレ 000001085 前田 香織 三宅 克二 田中 正二 20130313 C08F 20/14 20060101AFI20130221BHJP C08F 2/38 20060101ALI20130221BHJP C07C 69/54 20060101ALI20130221BHJP JPC08F20/14C08F2/38C07C69/54 C08F 20/00 − 20/70 C08F 2/00 − 2/60 特開平3−111408(JP,A) 特開平7−48495(JP,A) 特開平11−255828(JP,A) 特開2003−128707(JP,A) 特開2006−131847(JP,A) 3 2010229318 20101014 7 20110530 藤井 勲 本発明は、メタクリル酸メチルを主成分とするモノマー混合物を完全混合型反応槽により連続的に塊状重合する反応において、重合を一時停止し再開する場合に、該反応槽や脱揮押出機内の滞留物発生を抑制し、有色異物の発生を防止する方法に関する。 メタクリル樹脂の代表的な製造方式の一つとして、重合槽にメタクリル酸メチル系単量体を連続的に注入し、一定の重合率まで重合したポリマーが未重合の単量体に溶解している溶液を脱揮押出機へ連続的に送り、未重合モノマーを減圧下に回収して製品ポリマーを分離する、所謂連続塊状重合法が知られている(特許文献1参照)。この方式では、連続運転中に例えば清掃や部品の交換のために後工程の脱揮押出機を停止させた場合、正常に運転されている前工程の重合槽も温度を下げたり反応液を抜出したりせねばならず、原料や熱が無駄になり、運転再開迄に手間と時間を要していた。また、停止時間中に重合槽内で温度を下げずに反応液を滞留させた場合、運転再開後の製品のメタクリル樹脂中に、樹脂の酸化物、劣化物(黄色、茶色や黒に変色したゲル・ブツ)などの有色異物が混入する問題があった。 そこで、運転停止が一時的である場合に、原料の無駄をなくし、運転再開にあたっての所要時間を最小に、かつ操作を単純にする方法、および運転再開後のメタクリル樹脂への有色異物の混入を最小にする方法が求められていた。特開平11−255828号公報 本発明は、メタクリル樹脂の連続重合において、一時的な運転停止に際し、無駄になる原料および運転再開までの所要時間を最小にし、有色異物の発生を防止し円滑に運転を再開できる方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記した課題を検討の結果、メタクリル酸メチル系単量体の連続重合において運転を一時的に停止させる際に、運転再開後の製品メタクリル樹脂のメルトフローレート(MFR)が特定の高い範囲内になるような状態で重合槽内の温度を下げることなく重合槽内に反応液を滞留させれば、円滑に運転を再開できることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち本発明は;メタクリル酸メチル系単量体を、140℃での半減期が0.5〜20秒であるラジカル重合開始剤を用い、130〜160℃で、重合率を40〜65質量%に維持しつつ、完全混合型反応槽内で連続的に重合して、メルトフローレートが9g/10分未満のメタクリル樹脂を製造する反応において;単量体および開始剤の供給を停止して、完全混合型反応槽内の、反応液量、温度および重合率を維持したまま、反応を一時的に停止させる方法であって;メタクリル酸メチル系単量体およびラジカル重合開始剤の供給を止める前に、重合体のメルトフローレートが9〜25g/10分となるように連鎖移動剤を加える、連続重合の一時停止方法である。 本発明は、メタクリル酸メチル系単量体を完全混合型反応槽により連続的に重合する工程において重合を一時停止し、再開する場合に、該反応槽や脱揮押出機内の滞留物発生を抑制し、有色異物の発生を防止することに適している。また、本発明の方法により、停止後の運転再開を迅速、容易にすることができる。 以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。 本発明におけるメタクリル酸メチル系単量体とは、メタクリル酸メチル単独、またはメタクリル酸メチルを80質量%以上およびメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体20質量%以下からなる、単量体または単量体混合物を指す。メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体とは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸アルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物等を挙げることができる。メタクリル酸メチル系単量体は、後工程の脱揮押出機で減圧下に回収した回収モノマーが含まれていてもよい。 本発明に用いる重合開始剤は、140℃における半減期が0.5〜20秒、好ましくは1〜15秒のラジカル重合開始剤である。半減期が20秒を超える開始剤を用いると、モノマー転化率の変動幅が大きくなり安定運転の確保が困難になる。また、半減期が0.5秒未満であると、重合開始剤の使用量が多くなり過ぎて製品ポリマーの無色透明性に問題が生じる。このような短寿命の重合開始剤を用いることで、本発明では、運転停止操作や、重合度低下操作(すなわちメルトフローレートを上げる操作)を円滑に行うことができる。また該重合開始剤は反応槽内温度で極めて短時間のうちに開裂して消滅するため、本発明における重合反応の停止とは、反応槽への重合開始剤を溶解させた単量体の連続供給を止めた時点以降の状態をいう。 本発明で使用する重合開始剤としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾヒス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ化合物、ならびに1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物が好ましい。 本発明における連続重合法の一例を具体的に説明する。まずa)メタクリル酸メチル、b)共重合単量体、c)所望により回収モノマーを、流量調節計によって所定の組成になるように混合し、d)その混合液(メタクリル酸メチル系単量体)に対して連鎖移動剤を定量ポンプで0.1〜0.4質量%連続添加して、フィードモノマー溶液を連続的に自動調節する。次に該フィードモノマー溶液を、その流量に対してガス容積流量の値で2倍以上の窒素と共にスタティックミキサーを介して20℃以下に冷却された気液分離槽に入れ、そこで窒素に同伴させて酸素を分離することによって溶存酸素が1ppm以下のモノマー溶液を連続的に調合する。この調合液中の溶存酸素が1ppm以上になると重合速度がその影響を受けて安定な重合反応を維持することができない。この調合液は冷却器で5℃以下の一定温度に冷却したあと、ポンプによって完全混合型反応槽(重合反応器)に連続フィードする。本発明における連続重合法は、槽内の温度や粘度の調節のために、メタクリル酸メチル系単量体およびその重合体の双方を溶解する溶媒を共存させてもよいが、生産性に優れる点から溶媒を用いない塊状重合であることが好ましい。完全混合型反応槽は、必要に応じて前重合槽と後重合槽のように複数の反応槽に分かれていてもよいが、この場合、本発明はその内の少なくとも1基の反応槽に適用される。 ここで用いる連鎖移動剤としては、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類がよく、該アルキル基の炭素数としては4〜18が好ましい。 一方、重合開始剤は50ppm以上の溶存酸素を含むモノマー中に溶解し、0.5〜5%のモノマー溶液として、定量ポンプで前記のモノマー溶液に連続添加する。重合開始剤が添加されたフィードモノマー溶液は0.5μm以下のフィルターで濾過した後、重合反応器に連続的に仕込む。このフィルターによってフィード液中のゴミが除去されて微小異物の少ないメタクリル酸メチル共重合体を得ることができる。重合開始剤は、メタクリル酸メチル系単量体100gに対して2×10−5〜5×10−5モルの割合で用いるのが好ましい。 本発明の連続重合の一時停止方法は、130〜160℃、好ましくは130〜150℃で、重合率を40〜65質量%に維持しつつ、連続重合によりメルトフローレートが9(g/10分)未満、好ましくは0.4(g/10分)以上9(g/10分)未満であるメタクリル樹脂の製造工程に適用される。メルトフローレートが9(g/10分)以上であるメタクリル樹脂の製造工程では、反応液の粘度が低いために、反応槽内の反応液量、温度および重合体濃度(または重合率)を維持したままでの重合反応停止時間が24時間以内であれば、単量体および開始剤の供給を停止する際に加える連鎖移動剤を増加させなくても、滞留による有色異物の発生が認められない。 本発明におけるメタクリル樹脂のメルトフローレートは、JIS K7210に準拠して230℃、3.8kgの荷重、10分の条件で測定する値をいう。 運転停止には、該反応槽内部の反応液に溶解しているメタクリル樹脂のMFRを9〜25(g/10分)、さらに好ましくは9〜20(g/10分)となるように連鎖移動剤の供給量を調節する。MFRが9(g/10分)以下では、粘度が高いため滞留物が多く、時間がたつにつれ炭化し有色異物となるため好ましくなく、MFRが25(g/10分)以上では、粘度が低すぎるため再立ち上げ時に脱揮押出機からストランドが引けないため好ましくない。 連鎖移動剤は、完全混合型反応槽へのモノマー溶液の供給を止める時点に先立って、添加量を増加させる。添加量を増加させる時期は、反応液の滞留時間にもよるが、反応槽の内容積が例えば0.2〜30m3程度、反応液の滞留時間が0.5〜5時間である場合、2〜0.1時間前からであるのが好ましく、1.5〜0.2時間前からであるのがより好ましい。 連鎖移動剤の添加量は、MFRが9(g/10分)未満であるメタクリル樹脂の連続重合中の添加量に対し例えば1.5〜5倍とすることにより、メルトフローレートを9〜25(g/10分)の範囲内とすることができる。 停止中の反応槽内では、重合反応熱の発熱が無くなる。槽内の温度維持のため、攪拌を遅くして単量体の蒸発量を減らし、蒸発による熱損失を減少させ、反応槽内の温度を維持できる程度に加熱する。 本発明の運転停止方法において、完全混合型反応槽内のメタクリル酸メチル系単量体の重合率が40〜65質量%の範囲内である限りにおいて、重合開始剤不存在下でのわずかな熱重合による重合率上昇を相殺する等のために、反応液をメタクリル酸メチル系単量体で希釈することができる。希釈量は、反応液の10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。本発明の方法を適用して連続重合の運転操作を一時停止する時間は、24時間以内であるのが好ましい。 以下に本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例及び比較例における物性値の測定または評価は、以下の方法により行なった。(1)MFR測定 MFRはJIS K7210に準拠して230℃ 3.8kgの荷重、10分の条件で測定した。(2)ペレット中の異物測定 ペレット・パウダ異物検査装置(ヒューブレイン社製)より、メタクリル樹脂ペレット300g中の有色異物を測定した。<実施例1> メタクリル酸メチル96質量%とアクリル酸メチル4質量%とを混合し、その混合液に対して連鎖移動剤のn−オクチルメルカプタンを定量ポンプで0.15質量%、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル(140℃での半減期:8.4秒)0.0008質量%を、完全混合型反応槽内に連続添加している状態で、140℃、重合率52質量%で連続的に塊状重合した。連続重合中に生成したメタクリル樹脂のメルトフローレートは1(g/10分)であった。 n−オクチルメルカプタンを0.5質量%に増加させ、1時間後に開始剤の供給を止め、続いて単量体の供給と反応液の抜き出しを止め、重合槽は140℃に保ち、完全混合型反応器および脱揮押出機内の反応液を抜き出さずに低速攪拌で3時間放置した。放置中の反応液に含まれるメタクリル樹脂のMFRは、10(g/10分)であった。 3時間後、再立上げを行ない連続的に重合を行った。こうして得られた樹脂を5、10、20時間後にサンプリングし、メタクリル樹脂ペレット300g中の有色異物の数を測定した結果、表1に示す通りであった。<実施例2> 連続重合中のn−オクチルメルカプタンを0.26質量%、重合率を50質量%として、メルトフローレートが2(g/10分)であるメタクリル樹脂を製造する以外は、実施例1と同様に連続的な重合反応を行なった。 n−オクチルメルカプタンを0.4質量%に増加させ、1時間後に開始剤の供給を止め、続いて単量体の供給と反応液の抜き出しを止め、重合槽は140℃に保ち、完全混合型反応器および脱揮押出機内の反応液を抜き出さずに3時間放置した。放置中の反応液に含まれるメタクリル樹脂のMFRは、10(g/10分)であった。実施例1と同様に再立上げを行ない、有色異物の数を測定した結果、表1に示す通りであった。<比較例1> 実施例1において、n−オクチルメルカプタンを連続重合中から増加させずに放置した結果、表1示す有色異物数であった。<比較例2> 実施例1において、メタクリル樹脂のメルトフローレートが35(g/10分)になるまでn−オクチルメルカプタンを増加させ、反応液を放置した結果、再立上げ後にストランドの引取りが困難でありペレット化できなかった。 メタクリル酸メチル系単量体を、140℃での半減期が0.5〜20秒であるラジカル重合開始剤を用い、130〜160℃で、重合率を40〜65質量%に維持しつつ、完全混合型反応槽内で連続的に重合して、メルトフローレートが9g/10分未満のメタクリル樹脂を製造する反応において;単量体および開始剤の供給を停止して、完全混合型反応槽内の、反応液量、温度および重合率を維持したまま、反応を一時的に停止させる方法であって;メタクリル酸メチル系単量体およびラジカル重合開始剤の供給を止める前に、重合体のメルトフローレートが9〜25g/10分となるように連鎖移動剤を加える、連続重合の一時停止方法。 重合反応が塊状重合反応である請求項1に記載の一時停止方法。 停止時間が24時間以内である請求項1に記載の一時停止方法。


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