タイトル: | 特許公報(B2)_マイケル付加反応生成物及びこの反応生成物を用いた水性樹脂組成物 |
出願番号: | 2009073051 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C07C 237/06,C08G 59/14 |
対馬 伸司 JP 5498042 特許公報(B2) 20140314 2009073051 20090325 マイケル付加反応生成物及びこの反応生成物を用いた水性樹脂組成物 関西ペイント株式会社 000001409 対馬 伸司 20140521 C07C 237/06 20060101AFI20140424BHJP C08G 59/14 20060101ALI20140424BHJP JPC07C237/06C08G59/14 C07C 237/00−237/52 C08G 59/00− 59/72 C09D CAplus/REGISTRY(STN) 特開2005−187757(JP,A) 特開平02−006572(JP,A) 特表2008−518061(JP,A) 特開平10−195202(JP,A) 5 2010222511 20101007 15 20111207 井上 千弥子本発明は、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂組成物にカルボニル基を導入可能な反応生成物、該反応生成物とエポキシ樹脂を反応して得られるカルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体及び該カルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体を含む水性樹脂組成物に関する。常温乾燥塗料の分野においては、主剤と硬化剤を混合して使用する2液型から、作業性に優れる1液型に移行する動きが強まっている。一方、近年、大気中への有機物質の揮発による環境への悪影響が問題となっており、有機溶剤の使用を削減する必要に迫られている。 1液型の有機溶剤を含まない常温乾燥型の水性塗料に使用可能な樹脂組成物としては、特許文献1に開示されているカルボニル基含有アクリル樹脂エマルションとジヒドラジド化合物の組み合わせを挙げることができる。しかし、常温乾燥性の塗料に使用した場合に、優れた耐候性を示すが、防食塗料として適用するためには耐水性が不十分である。 耐水性に優れるエポキシ樹脂を1液型塗料に適用できる技術として、特許文献2には、エポキシ樹脂と、アミノ化合物とアクリルアミド化合物とのマイケル付加物との反応によるアミドエポキシ樹脂が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示の技術は、熱硬化型塗料に適用可能なものであるが、低温硬化性の点から常温乾燥性の塗料に適用できるものではない。特開平8−157775号公報特開平7−48435号公報本発明の目的は、低温硬化性に優れる水性塗料に適用可能な水性樹脂組成物を提供することである。本発明は、1.ダイアセトンアクリルアミドに対して、窒素原子と結合した活性水素を2個又は3個有するアミノ化合物をマイケル付加反応せしめて得られる、該アミノ化合物由来の窒素原子と結合した活性水素を1分子中に1個又は2個含有し且つカルボニル基を含有するマイケル付加反応生成物に、エポキシ樹脂を反応させて得られたカルボニル基含有変性エポキシ樹脂を水を含む媒体中に分散されてなる変性エポキシ樹脂水分散体と、ヒドラジン誘導体とを含む一液型の水性樹脂組成物、2.上記カルボニル基含有変性エポキシ樹脂が、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基から選択された1以上の官能基を付与したものである1項に記載の水性樹脂組成物、3.上記官能基がポリオキシアルキレン基を含む2項に記載の水性樹脂組成物、4.上記カルボニル基含有変性エポキシ樹脂のカルボニル基濃度が、樹脂固形分に基づいて、0.1〜3.5mol/kgの範囲内であることを特徴とする2項又は3項に記載の水性樹脂組成物、5.カルボニル基含有変性エポキシ樹脂のカルボニル基1モルに対して、ヒドラジン誘導体に含まれるヒドラジド基、セミカルバジド基及びヒドラゾン基の合計が0.01〜2モルの範囲内であることを特徴とする1項ないし4項のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物、に関する。本発明のダイアセトンアクリルアミドとアミノ化合物のマイケル付加反応による反応生成物は、エポキシ樹脂と反応せしめることにより、カルボニル基を有する変性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。得られた変性エポキシ樹脂の水分散体を含む水性樹脂組成物は、エポキシ骨格による優れた耐水性を示し、含まれるカルボニル基によって、素材との付着性や、架橋剤を配合せしめたときには該架橋剤との反応により、低温硬化性に優れる。本発明のマイケル付加反応生成物は、窒素原子と結合した活性水素を2個又は3個有するアミノ化合物と、ダイアセトンアクリルアミドをマイケル付加反応せしめて得られる。 本発明において、マイケル反応せしめる窒素原子と結合した活性水素を2個又は3個有するアミノ化合物は、特に制限されるものではないが、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−メチルチオプロピルアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、アリルアミン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する脂肪族化合物;シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、4−メチルシクロヘキシルアミン、1−シクロヘキシルエチルアミン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアミン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する脂環式化合物;ベンジルアミン、フェネチルアミン、4−メチルベンジルアミン、N−アミノプロピルアニリン、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、9−アミノフルオレン、ベンズヒドリルアミン、N−ベンジルエチレンジアミン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する芳香族化合物;ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノプロピルピペリジン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、フルフリルアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、3アミノピロリジン、3−(メチルアミノ)ピロリジン、5−メチルフルフリルアミン、2−(フルフリルチオ)エチルアミン、2−ピコリルアミン、3−ピコリルアミン、4−ピコリルアミン等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいても良いC1〜C16の炭素数を有する複素環式化合物等を挙げることができる。 例えば、アミノ化合物として脂肪族化合物であるN−エチルエチレンジアミンを選択した場合の反応は、次の反応式で示される。 本発明におけるマイケル付加反応は、通常、0〜200℃の範囲内、好ましくは、50〜120℃の範囲内で行なうことが、短時間で所望の反応生成物を得られること及び意図しない副反応を抑制可能な点から好ましい。 本発明においては、ダイアセトンアクリルアミドとアミノ化合物とのモル比を1/1.05〜10の範囲内、より好ましくは1/1.8〜2.2の範囲内となるように混合せしめてマイケル付加反応を行なうことが、未反応のダイアセトンアクリルアミドを残存させない点、エポキシ基と反応する活性水素を持たない化合物の生成を抑制する点から好ましい。反応は、水や有機溶剤の存在下で行なうことができるが、特に用いなくても良い。有機溶剤を使用する場合、その種類は特に限定しないが、アルコール系、エーテル系等の公知の溶剤を使用できる。水や有機溶剤を使用する場合の溶液濃度は好ましくは20%以上さらに好ましくは50%以上である。これより希薄な場合には反応が進行しにくいため好ましくない。また、反応時間としては、使用するアミノ化合物の種類により異なるが、通常30分〜5時間で終了する。 マイケル付加反応を行う際、触媒を用いることもできる。触媒としては、特に制限はないが、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、マグネシウムエトキシド等の金属アルコキシド;ナトリウムフェノキシド等の金属フェノキシド;安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム等の金属カルボキレート;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザービシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の三級アミン;臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ドデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩;塩化テトラフェニルホスホニウム、塩化トリフェニルメチルホスホニウム、臭化テトラメチルホスホニウム等の四級ホスホニウム塩;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−メチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アジン−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等の塩基性化合物が挙げられる。触媒は1種類に限定されることなく、複数種を用いることができる。触媒を使用する場合、その使用量はアミノ化合物の使用量に対して10モル%以下が好ましく、必要に応じて複数種を使用することもできる。 前記マイケル付加反応によって得られた反応生成物を含む混合物は、未反応のアミノ化合物や、マイケル付加反応生成物中のカルボニル基がアミノ化合物によってケチミン化された化合物が含まれている場合がある。 未反応のアミノ化合物が多く含まれていると、後述するマイケル付加反応生成物とエポキシ樹脂との反応において、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂の極端な高分子化やそれによるゲル化が生じる場合があるので、除去することが好ましい。除去は、常圧又は減圧条件下で蒸留や、水及び/又は有機溶剤との共沸により行なうことができる。有機溶剤としては、マイケル付加反応を行なう際に用いた溶媒を用いることができるが、マイケル付加反応を行なった後にさらにアルコール系、エーテル系等の公知の溶剤を添加してもよい。 また、ケチミン化された化合物が含まれている場合には、次に挙げる問題等が生じる可能性がある。1)マイケル付加反応生成物とエポキシ樹脂との反応において、ゲル化の原因となる、2)得られたカルボニル基含有変性エポキシ樹脂を酸により中和して水分散するときに多量の酸が必要になる、3)カルボニル基含有変性エポキシ樹脂の水分散体においてケチミン化された部分が加水分解して揮発性有機化合物になる。そこで、マイケル付加反応によって得られた混合物に過剰の水を加えて、ケチミン化された化合物のケチミン化された部分を加水分解せしめ、カルボニル基を含有するマイケル付加反応生成物を得ることによって、上記の問題を解決することが好ましい。この加水分解によって生じたアミノ化合物は、前記未反応のアミノ化合物と同様にして除去することができる。 ここで示した未反応のアミノ化合物の除去及びケチミン化された化合物を加水分解して生成したアミノ化合物の除去は、前記マイケル付加反応と同時に行なうことができるし、又はマイケル付加反応の終了後に行なってもよい。 ダイアセトンアクリルアミドは、重クロロホルム溶媒を用いた1H−NMRの測定において6.19〜6.23ppmにCH2=CHの二重結合に由来するピークが観察される。反応生成物の重クロロホルム溶媒を用いた1H−NMRの測定においては、6.19〜6.23ppmにピークが観察されないため、本発明においては、該NMRの測定によって、マイケル付加反応を管理することができる。 本発明においては、前記製造方法で得られたマイケル付加反応生成物とエポキシ樹脂とを反応させて得られたカルボニル基含有変性エポキシ樹脂を水を含む媒体中に分散されてなる変性エポキシ樹脂水分散体を得る。 本発明のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限されるものではない。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール類と、エピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリンとを反応させてグリシジル基を導入してなる樹脂;又はこのグリシジル基導入反応生成物にさらにポリフェノール類を反応させて分子量を増大させてなる芳香族エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;エポキシ基含有重合性不飽和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合させてなるエポキシ基含有アクリル系共重合体;エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂;エポキシ基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、エポキシ当量が、140〜5,000の範囲内、好ましくは170〜2,000の範囲内及び数平均分子量が200〜50,000の範囲内、好ましくは250〜10,000の範囲内のものを使用することが変性エポキシ樹脂水分散体の安定性や粘性の点から好ましい。 エポキシ樹脂と前記マイケル付加反応生成物との配合比は、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂中のカルボニル基濃度が樹脂固形分に基づいて、0.1〜3.5mol/kgの範囲とするように決定することが、変性エポキシ樹脂水分散体と後述する架橋剤を組み合わせたときの反応性や安定性の点から好ましく、より好ましくは0.5〜3mol/kgの範囲内である。 本発明において前記マイケル付加反応生成物とエポキシ樹脂との反応は、親水性の有機溶剤の存在下で行なうことができる。親水性の有機溶剤としては、特に限定しないが、アルコール系、エーテル系等の公知の溶剤を使用できる。溶液濃度は好ましくは50〜90質量%の範囲内とすることが反応速度や得られた樹脂を水で分散せしめたときに残存する溶剤を少なくすることができる点から好ましく、より好ましくは55〜80質量%の範囲内である。また、反応温度は、反応速度や粘度の点から40〜120℃の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは60〜100℃の範囲内である。 カルボニル基含有変性エポキシ樹脂は、重量平均分子量が、2,000〜50,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、5,000〜20,000の範囲内である。この範囲よりも重量平均分子量が大きい場合には、粘度が高くなり、製造が難しく、塗料化した際の仕上がり性にも不安がある。また、小さい場合には、十分な耐水性が得られない可能性があり好ましくない。本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel Super−H4000」、「TSKgel Super−H3000」、「TSKgel Super−H2500」、「TSKgel Super−H2000」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン(トリエタノールアミンを1重量%含む)、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で測定した数値を意味する。 前記分子量の調整は、前述したエポキシ樹脂と前記マイケル付加反応生成物との配合比及びエポキシ基と反応する活性水素を2個以上有するイソホロンジアミン、2−エチルヘキシルアミン及びシクロヘキシルアミン等のアミノ化合物、フェノール性水酸基を有する化合物及びテレフタル酸、アジピン酸等の二塩基酸をエポキシ樹脂と反応せしめることによって行なうことができる。 本発明のカルボニル基含有変性エポキシ樹脂のアミン価は、10〜150mg−KOH/gの範囲内とすることが、中和したときの水分散性と耐水性を両立する点から好ましく、より好ましくは20〜130mg−KOH/gの範囲内である。本明細書中におけるアミン価は、JIS K 7237に定められた滴定法による測定値を意味する。 本発明の水性樹脂組成物は、上記カルボニル基含有変性エポキシ樹脂を水を含む媒体中で分散した変性エポキシ樹脂水分散体を含む。 カルボニル基含有変性エポキシ樹脂を水を含む媒体中で分散する方法としては、例えば、該カルボニル基含有変性エポキシ樹脂を、乳化剤の存在下においてせん断力を加えて、水を含む媒体中で微粒子化して得ることができる。 乳化剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両イオン性乳化剤、反応性乳化剤等を用いることができる。 例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤;ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤;カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤;エレミノールJS−2(三洋化成工業製)、エレミノールRS−30(三洋化成工業製)、ラテムルS−180A(花王製)、アクアロンHS−05(第一工業製薬製)、アクアロンRN−10(第一工業製薬製)、アデカリアソープSE−10N(旭電化製)等の反応性乳化剤等が挙げられる。 本発明では、乳化剤の使用量は、水分散体の安定性や、塗料組成物の塗膜形成成分として使用した場合の耐水性の点からカルボニル基含有変性エポキシ樹脂の固形分100質量部に対して、1〜20質量部の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは5〜15質量部の範囲内である。 また、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂を水を含む媒体中で微粒子化する場合、その濃度は、安定性や粘度の点から固形分として15〜50質量%の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは25〜45質量%の範囲内である。 本発明においては、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂に、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基から選択された1以上の官能基を付与した後に、水を含む媒体中で分散してもよい。 アニオン性基を付与する例としては、例えば、次に示す方法でカルボキシル基を付与する方法を挙げることができる。カルボニル基含有変性エポキシ樹脂をジオキサン等の環状エーテル類、グライム、ジグライム等のオキシエチレン鎖のジアルキルエーテル類、アセトン等の非プロトン系有機溶剤に溶解させた後に、無水カルボン酸を添加し、約90℃まで昇温して反応せしめることによって、側鎖にカルボキシル基を有するカルボニル基含有変性エポキシ樹脂が得られる。さらに塩基性化合物を用いて、カルボキシル基と当量付近以上で中和する。さらに、水で転相すれば、安定したカルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体を得ることができる。 無水カルボン酸としては、一分子中にカルボキシル基が2個以上有する化合物の無水物であればよく、例えば、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等を用いることができる。また、塩基性化合物としては、アミン類、アルカリ土類金属の水酸化物及び又はアルカリ金属の水酸化物等を使用することができる。 カチオン性基を付与する例としては、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂のエポキシ基に塩基性アミノ基を導入し、酸で中和後に水を含む媒体中で分散する方法を挙げることができる。具体的には、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂とアミノ基含有化合物を反応せしめて、アミノ基を付与した後にカルボン酸等を使用して中和することができる。アミノ基含有化合物としては、エポキシ基と反応する活性水素を少なくとも1個含有し、該エポキシ樹脂をカチオン化することができるものであればその種類を問わないが、例えば1級アミノ基含有化合物を使用することができる。1級アミノ基含有化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、プロパノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエチレンテトラミン等を挙げることができる。1級アミノ基含有化合物に、さらにアミノ基含有化合物と併用することができる。具体的には、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエタノールアミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノール等の2級アミンを挙げることができる。 ノニオン性基を付与する方法としては例えば、エポキシ基と反応し得るアミノ基を有し、さらにポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレンアミン化合物を反応せしめる方法をあげることができる。ポリオキシアルキレンアミン化合物としては、例えば次式で表わされる化合物を挙げることができる。(式中、nは2〜100の範囲内の整数であり、R1は水素原子又はメチル基であり、R2はメチル基、エチル基、プロピル基から選択されたアルキル基である。) ここで、繰り返し単位数nは2〜100であるが、10〜70がより好ましく、また、ポリオキシアルキレンアミン化合物の数平均分子量としては通常、250〜10,000であり、250〜6,600であることが好ましく、特に500〜4,000の範囲であることが好ましい。 本発明において、エポキシ樹脂と前記製造方法で得られたマイケル付加反応生成物とを反応せしめてカルボニル基含有変性エポキシ樹脂を得た後に、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基から選択された1以上の官能基を付与してもよいが、該官能基の付与と、エポキシ樹脂と前記製造方法で得られた反応生成物との反応は、同時に行なうこともできる。 本発明の水性樹脂組成物は、架橋剤として、前記カルボニル基含有変性エポキシ樹脂が含有するカルボニル基と反応するカルバジド基等を有するヒドラジン誘導体を含んでいても良い。具体的には例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの2〜18個の炭素原子を有する飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドまたはイソフタル酸ジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させることにより得られるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジドなどのヒドラジド基含有化合物;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート又はそれから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジンなどのN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド、該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルとポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物等のセミカルバジド基を有する化合物;ビスアセチルジヒドラゾンなどのヒドラゾン基を有する化合物等が挙げられる。 上記ヒドラジン誘導体は、カルボニル基含有変性エポキシ樹脂のカルボニル基1モルに対して、一般にヒドラジン誘導体に含まれるヒドラジド基、セミカルバジド基及びヒドラゾン基の合計が0.01〜2モルの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.5モルの範囲内であることが低温硬化性の点から好ましい。 本発明の水性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、着色顔料、防錆顔料、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合し、混合分散せしめたものであっても良い。次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。 (実施例1)マイケル付加反応生成物1の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド338.4g、脱イオン水180.2g、N−エチルエチレンジアミン352.6gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で3時間保持した。次に約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で2時間保持し、水と未反応のN−エチルエチレンジアミンの混合物を約240g共沸除去した。その後、水200g加えて80℃で1時間保持した後、約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、水とN−エチルエチレンジアミンの混合物を約200g共沸除去する操作を2回繰り返した。その後、約10mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、残存する水とN−エチルエチレンジアミンを除去することで窒素原子と結合した活性水素を1分子中に2個有しさらにカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物1を得た。 100mL三角フラスコに得られたマイケル付加反応生成物1を0.1g秤量し、酢酸30mLを加え溶解させた後、指示薬(アルファズリンG0.3gを氷酢酸100mLに溶解させた溶液とチモールブルー1.5gをメタノールに溶解させた溶液の混合液)0.2mLを加え、0.1N過塩素酸(酢酸溶液)で溶液が緑色から赤色へ変化するまで滴定した。その結果、マイケル付加反応生成物1のアミン価(1級アミン価、2級アミン価及び3級アミン価の合計)は426mg−KOH/gであった。 (実施例2)マイケル付加反応生成物2の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド507.7g、水270.3g、ブチルアミン438.8gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で2時間保持した。次に約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、水と未反応のブチルアミンの混合物を約430g共沸除去した。その後、フラスコに水分定量受器を取り付け、水270g加えて105℃まで昇温し、常圧下103〜105℃で1時間保持し、水とブチルアミンの混合物を約200g共沸除去する操作を2回繰り返した。次に約10mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、残存する水とブチルアミンを除去することで窒素原子と結合した活性水素を1分子中に1個有しカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物2を得た。得られたマイケル付加反応生成物2のアミン価は230mg−KOH/gであった。 (実施例3)カルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体A−1の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「jER828」(商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)160.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテル181.5gを加え撹拌し、60℃まで昇温し溶解させた。その後、2−エチルヘキシルアミン34.8g、「サーフォナミンL−207」(商品名、ハンツマンコーポレーション製、ポリオキシアルキレンアミン化合物)26.8gの混合物を加え、80℃に昇温して80℃で3時間保持した後、実施例1で得られたマイケル付加反応生成物1を26.2g加え、80℃で7時間保持した。次に実施例2で得られたマイケル付加反応生成物2を23.7g加え、80℃で10時間保持した。その後、水1400gを加えた後、減圧しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルと水を共沸させながら約1100g除去し、さらに加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.70mol/Kgである樹脂が乳化分散した溶液を得た。この樹脂のアミン価は116mg−KOH/g、重量平均分子量は約13,000であった。 (実施例4)カルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体A−2の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「jER828」163.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテル162.1gを加え撹拌し、60℃まで昇温し溶解させた。その後、2−エチルヘキシルアミン31.7g、「サーフォナミンL−207」27.2gの混合物を加え、80℃に昇温して80℃で3時間保持した後、実施例1で得られたマイケル付加反応生成物1を41.9g加え、80℃で7時間保持した。次に実施例2で得られたマイケル付加反応生成物2を10.9g加え、80℃で10時間保持した。その後、水1400gを加えた後、減圧しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルと水を共沸させながら約1100g除去し、さらに加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.70mol/Kgである樹脂が乳化分散した溶液を得た。この樹脂のアミン価は123mg−KOH/g、重量平均分子量は約28,000であった。 (実施例5)カルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体A−3の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「jER828」157.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテル180.0gを加え撹拌し、60℃まで昇温し溶解させた。その後、2−エチルヘキシルアミン30.9g、「サーフォナミンL−207」27.8g、イソホロンジアミン2.0gの混合物を加え、80℃に昇温して80℃で3時間保持した後、実施例1で得られたマイケル付加反応生成物1を26.3g加え、80℃で7時間保持した。次に実施例2で得られたマイケル付加反応生成物2を24.2g加え、80℃で10時間保持した。その後、水1400gを加えた後、減圧しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルと水を共沸させながら約1100g除去し、さらに加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.71mol/Kgである樹脂が乳化分散した溶液を得た。この樹脂のアミン価は118mg−KOH/g、重量平均分子量は約17,000であった。 (実施例6)カルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体A−4の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「jER154」(商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂)133.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテル152.3gを加え撹拌し、60℃まで昇温し溶解させた。その後、2−エチルヘキシルアミン17.4g、「サーフォナミンL−207」32.0gの混合物を加え、80℃に昇温して80℃で3時間保持した後、実施例2で得られたマイケル付加反応生成物2を111.7g加え、80℃で7時間保持した。次に、水1400gを加えた後、減圧しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルと水を共沸させながら約1100g除去し、さらに加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が1.68mol/Kgである樹脂が乳化分散した溶液を得た。この樹脂のアミン価は114mg−KOH/g、重量平均分子量は約7,500であった。 (実施例7)カルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体A−5の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「jER828」160.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテル176.1gを加え撹拌し、60℃まで昇温し溶解させた。その後、シクロヘキシルアミン26.7g、「サーフォナミンL−207」26.8gの混合物を加え、80℃に昇温して80℃で3時間保持した後、実施例1で得られたマイケル付加反応生成物1を26.2g加え、80℃で7時間保持した。次に実施例2で得られたマイケル付加反応生成物2を23.7g加え、80℃で10時間保持した。その後、水1400gを加えた後、減圧しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルと水を共沸させながら約1100g除去し、さらに加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.71mol/Kgである樹脂が乳化分散した溶液を得た。この樹脂のアミン価は120mg−KOH/g、重量平均分子量は約12,000であった。 (実施例8)カルボニル基含有変性エポキシ樹脂水分散体A−6の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「jER828」178.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテル180.7gを加え撹拌し、60℃まで昇温し溶解させた。その後、2−エチルヘキシルアミン42.5gを加え、80℃に昇温して80℃で3時間保持した後、実施例1で得られたマイケル付加反応生成物1を26.2g加え、80℃で7時間保持した。次に実施例2で得られたマイケル付加反応生成物2を23.7g加え、80℃で10時間保持した。その後、酢酸7.4g、水1400gを加えた後、減圧しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルと水を共沸させながら約1100g除去し、さらに加熱残分が約30%になるように水で希釈して、樹脂固形分中のカルボニル基濃度が0.69mol/Kgである樹脂が乳化分散した溶液を得た。この樹脂のアミン価は127mg−KOH/g、重量平均分子量は約13,000であった。 (比較製造例1)変性エポキシ樹脂水分散体B−1の製造撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、「jER828」182.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテル183.3gを加え撹拌し、60℃まで昇温し溶解させた。その後、2−エチルヘキシルアミン54.1g、「サーフォナミンL−207」28.4gの混合物を加え、80℃に昇温して80℃で10時間保持した。次にジエタノールアミンを10.1g加え、80℃で10時間保持した。その後、水1400gを加えた後、減圧しながらプロピレングリコールモノメチルエーテルと水を共沸させながら約1100g除去し、さらに加熱残分が約30%になるように水で希釈して、カルボニル基を有さない樹脂B−1が乳化分散した溶液を得た。この樹脂のアミン価は118mg−KOH/g、重量平均分子量は約13,000であった。 (実施例9)水性樹脂組成物C−1の製造実施例3で得た変性エポキシ樹脂水分散体樹脂A−1を100部(固形分30部)にリン酸0.2部、ハードナーSC(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製、セミカルバジド基を有する硬化剤、固形分50%、固形分中のセミカルバジド基の濃度4.6mol/Kg)9.1部(固形分4.55部)を加え、回転翼式撹拌機で充分に撹拌し固形分32%の水性樹脂組成物を得た。 (実施例10〜17、比較例)水性樹脂組成物C−2〜C−10の製造表2に示す配合にて、実施例9と同様にして、水性樹脂組成物C−2〜C−10を得た。(注1)架橋官能基の配合比樹脂官能基(カルボニル基)/硬化剤官能基(セミカルバジド基、ヒドラジド基)の比(注2)加熱残分(%)溶液状態又は分散液状態の試料をブリキ皿に秤量し、110℃の乾燥炉中で3時間加熱乾燥させ、残渣の質量を秤量し、次式により算出した。加熱残分(%)=(a/b)×100但し、aは乾燥後の残渣の質量、bは溶液状態又は分散液状態の試料の初期質量を示す。(注3)貯蔵安定性硬化剤及び硬化触媒を加えた水性樹脂組成物(C−1〜10)60mLを容量100mLのガラス容器に入れ、20℃で7日間密閉静置し、7日後の塗料性状を観察して、貯蔵安定性を以下の基準により評価した。◎:塗料の分離、ゲル化等がなく、見かけの性状に変化がなかった。〇:塗料にわずかな分離又は増粘が見られたが撹拌により再分散が可能であった。×:塗料全体が分離又はゲル化して、強く撹拌を行なっても再分散不可能であった。(注4)硬化性硬化剤及び硬化触媒を加えた水性樹脂組成物(C−1〜10)を硬化膜厚が約25μmになるようにブリキ板上に塗装し、表2に記載の硬化条件で硬化塗膜を得た。次に、各塗膜をブリキ板から剥離して単離塗膜とし試験サンプルとした。試験サンプルを150メッシュの金網で包みプロピレングリコールモノメチルエーテルに24時間浸漬したのち取り出して、プロピレングリコールモノメチルエーテルでよくすすぎ洗いした後130℃で1時間乾燥させて、プロピレングリコールモノメチルエーテル不溶分率(%)を測定した。不溶分率(%)=(サンプルの乾燥後の質量/サンプルの初期質量)×100下記基準により、硬化性を評価した。◎:不溶分率(%)が90%以上、硬化性に優れる。〇:不溶分率(%)が70%以上、90%未満、実用可能である。×:不溶分率(%)が70%未満、硬化性不良である。(注5)室温×7日:室温18〜20℃の実験室中に7日間静置80℃×30分:雰囲気温度80℃の電気式温風乾燥炉中に30分静置100℃×30分:雰囲気温度100℃の電気式温風乾燥炉中に30分静置120℃×30分:雰囲気温度120℃の電気式温風乾燥炉中に30分静置(注6)耐水性各水性樹脂組成物(C−1〜10)を溶剤脱脂した軟鋼板にドクターブレードにて乾燥膜厚として25μmとなるように塗装し、120℃で30分乾燥させて、各試験板を作成した。得られた試験板を室温20℃の恒温水槽に7日間浸漬後、塗膜状態を目視で観察した。◎:異常なし。〇:細かなフクレが僅かに見られる。△:フクレが著しい。×:ほぼ全面にフクレ。本発明のマイケル付加反応生成物を用いた水性樹脂組成物は、水性塗料組成物のビヒクル形成成分として、建築物外装及び鋼構造物に適用できる。ダイアセトンアクリルアミドに対して、窒素原子と結合した活性水素を2個又は3個有するアミノ化合物をマイケル付加反応せしめて得られる、該アミノ化合物由来の窒素原子と結合した活性水素を1分子中に1個又は2個含有し且つカルボニル基を含有するマイケル付加反応生成物に、エポキシ樹脂を反応させて得られたカルボニル基含有変性エポキシ樹脂を水を含む媒体中に分散されてなる変性エポキシ樹脂水分散体と、ヒドラジン誘導体とを含む一液型の水性樹脂組成物。上記カルボニル基含有変性エポキシ樹脂が、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基から選択された1以上の官能基を付与したものである請求項1に記載の水性樹脂組成物。上記官能基がポリオキシアルキレン基を含む請求項2に記載の水性樹脂組成物。上記カルボニル基含有変性エポキシ樹脂のカルボニル基濃度が、樹脂固形分に基づいて、0.1〜3.5mol/kgの範囲内であることを特徴とする請求項2又は3に記載の水性樹脂組成物。カルボニル基含有変性エポキシ樹脂のカルボニル基1モルに対して、ヒドラジン誘導体に含まれるヒドラジド基、セミカルバジド基及びヒドラゾン基の合計が0.01〜2モルの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物。