生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_刺激性免疫応答用の核酸組成物
出願番号:2009063632
年次:2009
IPC分類:A61K 48/00,C12Q 1/68,A61K 31/7088,A61K 39/00,A61K 39/02,A61K 39/35,A61K 39/12,A61K 39/002,A61K 39/39,A61K 38/22,A61P 37/04,A61P 31/04,A61P 35/00,A61P 37/08,A61P 11/06,A61P 31/10,A61P 33/00,A61K 45/00,A61P 31/18,A61P 31/14,A61P 31/22,A61P 31/20,A61P 1/16,A61P 35/02,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

アーサー エム. クレッグ JP 2009132737 公開特許公報(A) 20090618 2009063632 20090316 刺激性免疫応答用の核酸組成物 コーリー ファーマシューティカル グループ,インコーポレイテッド 508147669 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 アーサー エム. クレッグ US 60/393,880 20020703 US 60/394,090 20020703 US 60/394,091 20020703 US 60/394,164 20020703 US 60/394,193 20020703 A61K 48/00 20060101AFI20090522BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20090522BHJP A61K 31/7088 20060101ALI20090522BHJP A61K 39/00 20060101ALI20090522BHJP A61K 39/02 20060101ALI20090522BHJP A61K 39/35 20060101ALI20090522BHJP A61K 39/12 20060101ALI20090522BHJP A61K 39/002 20060101ALI20090522BHJP A61K 39/39 20060101ALI20090522BHJP A61K 38/22 20060101ALI20090522BHJP A61P 37/04 20060101ALI20090522BHJP A61P 31/04 20060101ALI20090522BHJP A61P 35/00 20060101ALI20090522BHJP A61P 37/08 20060101ALI20090522BHJP A61P 11/06 20060101ALI20090522BHJP A61P 31/10 20060101ALI20090522BHJP A61P 33/00 20060101ALI20090522BHJP A61K 45/00 20060101ALI20090522BHJP A61P 31/18 20060101ALI20090522BHJP A61P 31/14 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York,NY,pp.431−448の総説)。現在、細菌DNAのこれらの免疫刺激効果は、メチル化されていないCpGジヌクレオチド、特に細菌DNAでは共通の塩基対含有量(CpGモチーフ)が存在するが、脊椎動物DNAではメチル化され、かつ不十分なCpGジヌクレオチドが存在することが理解されている(非特許文献1;非特許文献2)。 これらのCpGモチーフを含む合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)によって、細菌DNAの免疫刺激効果を模倣することができる。そのようなCpG−ODNは、ヒトおよびマウスの白血球に対して、高い刺激効果を及ぼすもので、該効果としてB細胞の増殖、サイトカインおよび免疫グロブリンの分泌、ナチュラルキラー(NK)細胞溶解活性およびIFN−γ分泌、ならびに樹状細胞(DCs)の活性化および他の抗原提示細胞が挙げられ、同時刺激分子を発現し、サイトカイン(特にThl様細胞応答の発現を促進する際に重要であるThl様サイトカイン)を分泌する。 天然リン酸ジエステル骨格CpG−ODNの免疫刺激効果は、CpGモチーフのメチル化、GpCへの変化、さもなけば該CpGモチーフの除去または改変をおこなう場合、該効果が本質的に除去される点で、CpG特異性が高い(Kriegら、1995 Nature 374:546−549;Hartmannら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305−10)。リン酸ジエステルCpG−ODNは、免疫効果を高めるために貯留特性または改善された細胞取り込みを持つ脂質、ミョウバン、または他のビヒクルで処方され得る(Yamamotoら、1994 Microbiol.Immunol.38:831−836;Gramzinskiら、1998 Mol.Med.4:109−118)。 初期の研究では、免疫刺激性CpGモチーフが式;プリン−プリン−CpG−ピリミジン−ピリミジンに従うと考えられた(Kriegら、1995 Nature 374:546−549;Pisetsky,1996 J.Immunol.156:421−423;Hackerら、1998 EMBO J.17:6230−6240;Lipfordら、1998 Trends in Microbiol.6:496−500)。しかし、マウス・リンパ球がこの「式」に従わないリン酸ジエステルCpGに対して、かなり良好に反応すること(Yiら、1998 J.Inununol.160:5898−5906)、また同じことがヒトのB細胞および樹状細胞にも当てはまること(Hartmannら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305−10;Liang,1996 J.Clin.Invest.98:1119−1129)が現在明らかにされている。 幾人かの過去の研究者は、ODNのヌクレオチド含有量が該ODNの配列とは無関係な効果を有するかどうかを調べた。面白いことに、アンチセンスODNが、通常、GG、CCC、CC、CAC、およびCG配列の含有量が高く、その一方で、塩基の使用がランダムであると予想されるものと比較した場合に、TTまたはTCCヌクレオチド配列の頻度が低下しているという知見が得られている(Smetsersら、1996 Antisense Nuclecic Acid Drug Develop.6:63−67)。このことは、過剰に表された配列が、アンチセンス・オリゴヌクレオチドに対する好ましい標的要素を含むものであってもよく、またその逆であってもよい。アンチセンス実験に対するチミジン・リッチのODNの使用を避ける1つの理由は、細胞に存在するヌクレアーゼによってODNが分解し、細胞の増殖を評価する実験にしばしば用いられる3H−チミジンと競争する遊離のチミジンを放出することである((Matsonら、1992 Antisense Research and Development 2:325−330).)。Kriegら、1995 Nature 374:546−549Krieg,1999 Biochim.Biophys.Acta 93321:1−10 (発明の要約) 本発明は、既知の核酸よりも高いレベルの免疫刺激を誘導する核酸の新たなファミリーの驚くべき発見に、部分的にもとづいている。この知見は、本明細書に開示した核酸配列の発見以前に100を上回る数の核酸配列がスクリーニングされたことも理由の一つとして、驚くべきことである。 本発明の一態様は、配列番号1(ODN 10102)、配列番号19(ODN 10103)、配列番号45(ODN 10104)、配列番号118(ODN 10105)、または配列番号141(ODN 10106)のヌクレオチド配列を持つ免疫刺激性核酸分子を含む組成物を提供する。 本発明の別の態様は、免疫応答を必要とする被験体での該免疫応答を刺激する方法であって、免疫応答を刺激するのに有効な量の配列番号1(ODN 10102)、配列番号19(ODN 10103)、配列番号45(ODN 10104)、配列番号118(ODN 10105)、または配列番号141(ODN 10106)のヌクレオチド配列を含む免疫活性化核酸分子を、被験体に対して投与することを含む方法を提供する。 本発明の種々の実施形態は、本明細書に記載された態様に等しくあてはまるものであり、そのいくつかを以下に述べる。 一実施形態では、免疫活性化核酸分子は、配列番号1(ODN10102)、配列番号19(ODN 10103)、配列番号45(ODN 10104)、配列番号118(ODN 10105)、または配列番号141(ODN 10106)のヌクレオチド配列からなる。 別の実施形態では、上記組成物は、さらに抗原を含む。あるいは、処置すべき被験体は、さらに抗原が投与される。この抗原は、微生物抗原、自己抗原、癌抗原、およびアレルゲンからなる群から選択することができる。しかし、それに限定されるものではない。一実施形態では、微生物抗原は、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、および寄生虫抗原からなる群から選択される。別の実施形態では、抗原は核酸ベクターによってコードされる。関連した実施形態では、核酸ベクターは免疫活性化核酸とは別である。抗原はペプチド抗原であってもよい。 別の実施形態では、組成物がさらにアジュバンドを含み、または被験体がさらにアジュバンドを投与される。アジュバンドは、粘膜アジュバンドであってもよいが、それに限定されるものではない。 別の実施形態では、組成物はさらにサイトカインを含むか、または被験体がさらにサイトカインを投与される。 さらに別の実施形態では、組成物はさらに、抗細菌剤、抗癌剤、アレルギー/喘息薬からなる群から選択される治療薬を含むか、または被験体はさらに同一の群から選択される治療薬が投与される。関連した実施形態では、抗菌剤は、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗寄生虫剤からなる群から選択される。別の実施形態では、抗癌剤は、化学療法薬、癌ワクチン、および免疫療法薬からなる群から選択される。さらに別の関連した実施形態では、アレルギー/喘息薬は、PDE−4インヒビター、気管支拡張薬(bronchodilator)/β2アゴニスト、K+チャネルオープナー(channel opener)、VLA−4アンタゴニスト、ニューロキン(neurolcin)アンタゴニスト、TXA2合成インヒビター、キサンタニン(xanthanine)、アラキドン酸アンタゴニスト、5リポキシゲナーゼインヒビター、トロンボキシン(thromboxin)A2レセプターアンタゴニスト、トロンボキサン(thromboxane)A2アンタゴニスト、5−リポックス活性化タンパク質(5−lipox activation protein)のインヒビター、およびプロテアーゼインヒビターからなる群から選択される。 いくつかの実施形態では、免疫活性化核酸は、少なくとも1つの骨格修飾を含むヌクレオチド骨格を持つことができる。一実施形態では、骨格修飾はホスホロチオエート修飾である。別の実施形態では、ヌクレオチド骨格はキメラである。1つの実施形態において、ヌクレオチド骨格は、完全に修飾される。 一実施形態では、上記組成物は、さらに薬学的に許容される担体を含む。 一実施形態では、免疫活性化核酸はメチル化CpG ジヌクレオチドを含まない。別の実施形態では、免疫活性化核酸は少なくとも4つのCpGのモティーフを含む。さらに別の実施例では、免疫活性化核酸はTが豊富である。関連した実施形態では、免疫活性化核酸はポリT配列を含む。別の実施形態では、免疫活性化核酸はポリG配列を含む。 ある種の実施形態では、免疫活性化核酸はさまざまな方法で処方される。一実施形態では、免疫活性化核酸を経口投与用に処方する。免疫活性化核酸は、栄養補給剤として処方してもよい。関連した実施形態では、栄養補給剤はカプセル、錠剤(pill)、または舌下錠(sublingual tablet)として処方される。別の実施形態では、免疫活性化剤を局所投与用に処方する。免疫活性化核酸を非経口投与用に処方したり、あるいは徐放性デバイス(sustained release device)内に処方してもよい。徐放性デバイスを微小粒子とすることができるが、これに限定されるものではない。別の実施形態では、免疫活性化核酸を粘膜表面への送達用に処方する。粘膜表面は、口腔面、鼻腔面、膣面、および眼球面からなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。 一実施形態では、免疫活性化核酸は、粘膜免疫応答を刺激する。他の実施形態では、免疫活性化核酸は全身免疫応答を刺激する。重要な実施形態では、免疫活性化核酸は粘膜免疫応答と全身免疫応答との両方を刺激する。いくつかの実施形態では、免疫応答は抗原特異性免疫応答である。関連した実施形態では、粘膜免疫応答を刺激するのに有効な量で免疫活性化核酸が与えられる。他の実施形態では、全身免疫応答を刺激するのに有効な量で免疫活性化核酸が与えられる。さらに他の実施形態では、生来の免疫応答を刺激するために有効な量で免疫活性化核酸が与えられる。 多くの実施形態において、免疫活性化核酸は、種々の疾患の処置または予防を目的とする。したがって、一実施形態では、免疫活性化核酸は、感染症を処置または予防するのに有効な量で与えられる。別の実施形態では、免疫活性化核酸はアレルギーを処置または予防するのに有効な量で与えられる。さらに別の実施例では、免疫活性化核酸は喘息を処置または予防するために有効な量で与えられる。さらに別の実施形態では、免疫活性化核酸は癌を処置または予防するのに有効な量で与えられる。 関連した実施形態では、感染症は単純ヘルペスウイルス感染症である。別の実施形態では、免疫活性化核酸は、感染症に罹っている被験体または感染症を発症する危険性のある被験体に対して投与することを目的とする。感染症は、細菌感染、ウィルス感染、真菌感染、および寄生虫感染からなる群から選択することができる。1つの実施形態において、ウィルス感染はヒト免疫不全ウイルス(HIV−1およびHIV−2)、ヒトI型Tリンパ増殖性ウイルス(HTLV−I)、ヒトII型Tリンパ増殖性ウイルス(HTLV−II)、I型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)、2型単純ヘルペスウイルス(HSV−2)、ヒト・パピローマ・ウイルス(マルチプル型)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびD型肝炎ウイルス、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス、ならびにMolluscum伝染性ウイルスからなる群から選択される。重要な実施形態では、ウイルス感染は、単純ヘルペスウイルス感染である。 別の実施形態では、感染症は、ヘルペスウイルス科、レトロウイルス科、オルトミクソウイルス科、トキソプラズマ、ヘモフィルス、カンピロバクター、クロストリジウム、大腸菌(E.coli)、およびブドウ球菌からなる群から選択される微生物種による感染症である。関連した実施形態において、被験体に投与される抗原または組成物中に含まれる抗原は、前述の種のうちの1種に由来する。 ある種の実施形態では、感染症はSARS感染症またはサルポックス感染症である。 別の実施形態では、免疫刺激性核酸は、アレルギーを呈するか、またはアレルギーを発症する危険性がある被験体、喘息を呈するか、または喘息を発症する危険性がある被験体、または癌に罹っているか、または癌になる危険性がある被験体に対する投与を目的とする。 被験体に対する処置に関連する実施形態では、上記方法は、さらに、該被験体から免疫細胞を単離し、該免疫細胞を活性化させるのに有効な量の免疫活性化核酸とその免疫細胞とを接触させ、該活性化免疫細胞を被験体に再び投与することを、さらに含むものであってもよい。一実施形態では、免疫細胞は白血球である。別の実施形態では、免疫細胞は樹状細胞である。別の実施形態では、上記方法は、免疫細胞と抗原とを接触させることを、さらに含む。 重要な実施形態では、被験体はヒトである。別の実施形態では、被験体はイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、トリ、サル、および魚類からなる群から選択される。 したがって、本明細書に提供される方法は、感染症に罹っている被験体または感染症を発症する危険性がある被験体に対して用いることができ、該方法は被験体における感染症を処置または予防するための方法である。また、この方法は喘息に罹っている被験体または喘息を発症する危険性がある被験体に対して用いることができ、該方法は喘息を処置または予防するための方法である。この方法はアレルギーに罹っている被験体またはアレルギーを発症する危険性がある被験体に対して用いることができ、該方法はアレルギーを処置または予防するための方法である。さらに、この方法は癌に罹っている被験体または癌を発症する危険性がある被験体に対して用いることができ、該方法は癌を処置または予防するための方法である。一実施形態では、癌は、胆道癌、骨癌、脳および中枢神経系(CNS)癌、乳癌、子宮頸癌、絨毛膜癌、大腸癌、結合組織癌、子宮内膜癌、食道癌、目癌、胃癌、ホジキンリンパ腫、上皮内癌新生物、喉頭癌、リンパ腫、肝癌、肺癌(例えば小細胞および非小細胞)、黒色腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、および腎臓癌からなる群から選択される。 本明細書で提供される治療または予防のための方法のさらに別の実施形態では、この方法は、細胞表面抗原に対して特異的な抗体を投与することをさらに含み、免疫応答が抗原依存型細胞障害活性(ADCC)をもたらす。 本発明の別の態様では、被験体での疾患予防の方法は、定期的に被験体に対して免疫活性化核酸を投与することで、該被験体の疾患を防ぐことが含まれ、この免疫活性化核酸は、配列番号1(ODN 10102)、配列番号19(ODN 10103)、配列番号45(ODN 10104)、配列番号118(ODN 10105)または配列番号141(ODN 10106)を含むヌクレオチド配列を有する。 さらに別の態様では、本発明は、先天性免疫応答を誘導する方法を提供するもので、該方法は、先天性免疫応答を活性化するのに有効な量の免疫活性化核酸を、被験体に投与することを含み、該免疫活性化核酸は、配列番号1(ODN 10102)、配列番号19(ODN 10103)、配列番号45(ODN 10104)、配列番号118(ODN 10105)または配列番号141(ODN 10106)を含むヌクレオチド配列を有する。 さらに別の態様では、本発明は免疫活性化核酸を同定する方法を提供するもので、該方法は、配列番号1(ODN 10102)、配列番号19(ODN 10103)、配列番号45(ODN 10104)、配列番号118(ODN 10105)または配列番号141(ODN 10106)のヌクレオチド配列を含む免疫活性化核酸と接触させた免疫細胞集団の活性化対照水準を測定するステップと、試験核酸と接触させた免疫細胞集団の活性化試験水準を測定するステップと、活性化対照水準と活性化試験水準とを比較するステップとを有し、上記対照水準と等しいか、またはそれを上回る試験水準が、免疫活性化核酸を示す。本発明は、さらに、以下の項目を提供する。(項目1) 配列番号1、配列番号19、配列番号45、配列番号118または配列番号141のヌクレオチド配列を含む免疫刺激性(immunostimulatory)核酸分子を含む、組成物。(項目2) 前記免疫刺激性核酸分子が、配列番号1、配列番号19、配列番号45、配列番号118または配列番号141のヌクレオチド配列からなる、項目1に記載の組成物。(項目3) 抗原をさらに含む、項目1に記載の組成物。(項目4) 前記抗原が、微生物抗原、癌抗原、およびアレルゲンからなる群より選択される、項目3に記載の組成物。(項目5) 前記微生物抗原が、微生物抗原、ウイルス抗原、真菌抗原および寄生虫抗原からなる群より選択される、項目4に記載の組成物。(項目6) 前記抗原が、核酸ベクターによってコードされる、項目3に記載の組成物。(項目7) 前記核酸ベクターが、前記免疫刺激性核酸とは別である、項目3に記載の組成物。(項目8) 前記抗原が、ペプチド抗原である、項目3に記載の組成物。(項目9) さらにアジュバントを含む、項目1に記載の組成物。(項目10) 前記アジュバントが、粘膜アジュバントである、項目9に記載の組成物。(項目11) サイトカインをさらに含む、項目1に記載の組成物。(項目12) 抗菌剤(anti−microbial agent)、抗癌剤、アレルギー/喘息医薬(allergy/asthma medicament)からなる群より選択される治療剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。(項目13) 前記抗菌剤が、抗細菌剤(anti−bacterial agent)、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗寄生虫剤からなる群より選択される、項目12に記載の組成物。(項目14) 前記抗癌剤が、化学療法剤、癌ワクチン、および免疫治療剤からなる群より選択される、項目12に記載の組成物。(項目15) 前記アレルギー/喘息医薬が、PDE−4インヒビター、気管支拡張薬(bronchodilator)/β−2アゴニスト、K+チャネルオープナー(channel opener)、VLA−4アンタゴニスト、ニューロシン(neurolcin)アンタゴニスト、TXA2合成インヒビター、キサンタニン(xanthanine)、アラキドン酸アンタゴニスト、5リポキシゲナーゼインヒビター、トロンボキシン(thromboxin)A2レセプターアンタゴニスト、トロンボキサン(thromboxane)A2アンタゴニスト、5−リポックス活性化タンパク質(5−lipox activation protein)のインヒビター、およびプロテアーゼインヒビターからなる群より選択される、項目12に記載の組成物。(項目17) 前記免疫刺激性核酸が、少なくとも1つの骨格修飾(modification)を含むヌクレオチド骨格を有する、項目1に記載の組成物。(項目18) 前記骨格修飾が、ホスホロチオエート修飾である、項目17に記載の組成物。(項目19) 前記ヌクレオチド骨格が、キメラである、項目17に記載の組成物。(項目20) 前記ヌクレオチド骨格が、完全に修飾されている、項目17に記載の組成物。(項目21) 薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、項目1に記載の組成物。(項目22) 前記免疫刺激性核酸が、メチル化CpGジヌクレオチドを含まない、項目1に記載の組成物。(項目23) 前記免疫刺激性核酸が、少なくとも4つのCpG部分を含む、項目1に記載の組成物。(項目24) 前記免疫刺激性核酸が、Tリッチである、項目1に記載の組成物。(項目25) 前記免疫刺激性核酸が、ポリT配列を含む、項目1に記載の組成物。(項目26) 前記免疫刺激性核酸が、ポリG配列を含む、項目1に記載の組成物。(項目27) 前記免疫刺激性核酸が、経口投与用に処方される、項目1に記載の組成物。(項目28) 前記免疫刺激性核酸が、栄養補助剤(nutritional supplement)として処方される、項目1に記載の組成物。(項目29) 前記免疫補助剤が、カプセル、錠剤、または舌下錠として処方される、項目28に記載の組成物。(項目30) 前記免疫刺激性核酸が、局所投与用に処方される、項目1に記載の組成物。(項目31) 前記免疫刺激性核酸が、非経口投与用に処方される、項目1に記載の組成物。(項目32) 前記免疫刺激性核酸が、徐放性デバイス(sustained release device)において放出される、項目1に記載の組成物。(項目33) 前記免疫刺激性核酸が、粘膜表面に送達されるように処方される、項目1に記載の組成物。(項目34) 前記粘膜表面が、口腔、鼻、直腸、膣、および眼の表面からなる群より選択される、項目1に記載の組成物。(項目35) 前記免疫刺激性核酸が、粘膜免疫応答を刺激する、項目1に記載の組成物。(項目36) 前記免疫刺激性核酸が、全身性免疫応答を刺激する、項目1に記載の組成物。(項目37) 前記免疫刺激性核酸が、粘膜免疫応答を刺激するのに有効な量で提供される、項目1に記載の組成物。(項目38) 前記免疫刺激性核酸が、全身性免疫応答を刺激するのに有効な量で提供される、項目1に記載の組成物。(項目39) 前記免疫刺激性核酸が、先天性免疫応答(innate immune response)を刺激するのに有効な量で提供される、項目1に記載の組成物。(項目40) 前記免疫刺激性核酸が、感染性疾患を処置または予防するのに有効な量で提供される、項目1に記載の組成物。(項目41) 前記免疫刺激性核酸が、アレルギーを処置または予防するのに有効な量で提供される、項目1に記載の組成物。(項目42) 前記免疫刺激性核酸が、喘息を処置または予防するのに有効な量で提供される、項目1に記載の組成物。(項目43) 前記免疫刺激性核酸が、癌を処置または予防するのに有効な量で提供される、項目1に記載の組成物。(項目44) 前記徐放性デバイスが、微粒子である、項目32に記載の組成物。(項目45) 前記感染性疾患が、単純ヘルペスウイルス感染症である、項目40に記載の組成物。(項目46) 免疫応答を刺激することを必要とする被験体において、免疫応答を刺激する方法であって、該方法は、免疫応答を刺激するのに有効な量で、配列番号1、配列番号19、配列番号45、配列番号118または配列番号141のヌクレオチド配列を含む免疫刺激性核酸分子を被験体に投与する工程を包含する、方法。(項目47) 前記被験体が、感染を有するか、または感染を発症する危険性を有する、項目46に記載の方法。(項目48) 前記感染が、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および寄生虫感染からなる群より選択される、項目47に記載の方法。(項目49) 前記ウイルス感染が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1およびHIV−2)、I型ヒトTリンパ栄養ウイルス(HTLV−I)、II型ヒトTリンパ栄養ウイルス(HTLV−II)、I型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)、II型単純ヘルペスウイルス(HSV−2)、ヒトパピローマウイルス(多重型)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびD型肝炎ウイルス、EBウイルス(EBV)、サイトメガロウイルスおよび伝染性軟属腫ウイルスからなる群より選択される、項目48に記載の方法。(項目50) 前記ウイルス感染が、単純ヘルペスウイルス感染である、項目49に記載の方法。(項目51) 前記被験体が、アレルギーを有するか、アレルギーを発症する危険性を有する、項目46に記載の方法。(項目52) 前記被験体が、喘息を有するか、喘息を発症する危険性を有する、項目46に記載の方法。(項目53) 前記被験体が、癌を有するか、癌を発症する危険性を有する、項目46に記載の方法。(項目54) 前記被験体に抗原を投与する工程をさらに包含する、項目46に記載の方法。(項目55) 前記抗原が、微生物抗原、癌抗原、自己抗原およびアレルゲンからなる群より選択される、項目53に記載の方法。(項目56) 前記微生物抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原および寄生虫抗原からなる群より選択される、項目54に記載の方法。(項目57) 前記抗原が、ヘルペスウイルス科、レトロウイルス科、オルトミクソ科、トキソプラズマ科、ヘモフィルス属、カンピロバクター、クロストリジウム属、E.coliおよびブドウ球菌からなる群より選択される微生物から誘導される、項目55に記載の方法。(項目58) 前記免疫応答が、抗原特異的免疫応答である、項目46に記載の方法。(項目59) 前記抗原が、核酸ベクターによってコードされる、項目53に記載の方法。(項目60) 前記核酸ベクターが、免疫刺激性核酸とは別である、項目59に記載の方法。(項目61) 前記抗原が、ペプチド抗原である、項目54に記載の方法。(項目62) 前記被験体に、アジュバントを投与する工程をさらに包含する、項目46に記載の方法。(項目63) 前記アジュバントが、粘膜アジュバントである、項目62に記載の方法。(項目64) 前記被験体に、第二の治療剤を投与する工程をさらに包含する、項目46に記載の方法。(項目65) 前記第二の治療剤が、抗菌剤である、項目64に記載の方法。(項目66) 前記抗菌剤が、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗寄生虫剤からなる群より選択される、項目65に記載の方法。(項目67)前記第二の治療剤が、抗癌剤である、項目64に記載の方法。(項目68) 前記抗癌剤が、化学療法剤、癌ワクチン、および免疫治療剤からなる群より選択される、項目67に記載の方法。(項目69)前記第二の治療剤が、アレルギー/喘息医薬である、項目64に記載の方法。(項目70) 前記アレルギー/喘息医薬が、PDE−4インヒビター、気管支拡張薬/β−2アゴニスト、K+チャネルオープナー、VLA−4アンタゴニスト、ニューロシンアンタゴニスト、TXA2合成インヒビター、ザンサニン、アラキドン酸アンタゴニスト、5リポキシゲナーゼインヒビター、トロンボシンA2レセプターアンタゴニスト、トロンボキサンA2アンタゴニスト、5−リポックス活性化タンパク質のインヒビター、およびプロテアーゼインヒビターからなる群より選択される、項目69に記載の方法。(項目71) 前記免疫刺激性核酸が、少なくとも1つの骨格修飾を含むヌクレオチド骨格を有する、項目46に記載の方法。(項目72) 前記骨格修飾が、ホスホロチオエート修飾である、項目71に記載の方法。(項目73) 前記ヌクレオチド骨格が、キメラである、項目71に記載の方法。(項目74) 前記ヌクレオチド骨格が、完全に修飾されている、項目71に記載の方法。(項目75) 前記免疫刺激性核酸が、メチル化CpGジヌクレオチドを含まない、項目46に記載の方法。(項目76) 前記免疫刺激性核酸が、ポリG配列を含む、項目46に記載の方法。(項目77) 前記免疫刺激性核酸が、経口投与される、項目46に記載の方法。(項目78) 前記免疫刺激性核酸が、局所投与される、項目46に記載の方法。(項目79) 前記免疫刺激性核酸が、非経口投与される、項目46に記載の方法。(項目80) 前記免疫刺激性核酸が、徐放性デバイスにおいて投与される、項目46に記載の方法。(項目81) 前記免疫刺激性核酸が、粘膜表面に投与される、項目46に記載の方法。(項目82) 前記免疫応答が、粘膜免疫応答である、項目46に記載の方法。(項目83) 前記免疫応答が、全身性免疫応答である、項目46に記載の方法。(項目84) 前記粘膜表面が、口腔、鼻、直腸、膣、および眼の表面からなる群より選択される、項目81に記載の方法。(項目85) 項目46に記載の方法であって、該方法は、以下: 前記被験体から免疫細胞を単利する工程、 該免疫細胞を活性化するのに有効な量の前記免疫刺激性核酸と、該免疫細胞とを接触させる工程、および 該被験体に、該活性化された免疫細胞を再投与する工程、を包含する、方法。(項目86) 前記免疫細胞が、白血球である、項目85に記載の方法。(項目87) 前記免疫細胞が、樹状細胞である、項目85に記載の方法。(項目88) 前記免疫細胞と、前記抗原とを接触させる工程をさらに包含する、項目85に記載の方法。(項目89) 前記被験体が、ヒトである、項目46に記載の方法。(項目90) 前記被験体が、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、トリ、サル、および魚類からなる群より選択される、項目46に記載の方法。(項目91) 前記被験体が、感染性疾患を有するか、または感染性疾患を発症する危険性を有し、ここで、該方法が、該感染性疾患を処置または予防する方法である、項目46に記載の方法。(項目92) 前記被験体が、喘息を有するか、喘息を発症する危険性を有し、ここで、該方法が、前記被験体における該喘息を処置または予防する方法である、項目46に記載の方法。(項目93) 前記被験体が、アレルギーを有するか、アレルギーを発症する危険性を有し、ここで、該方法が、該アレルギーを処置または予防する方法である、項目46に記載の方法。(項目94) 前記被験体が、癌を有するか、癌を発症する危険性を有し、ここで、該方法が、該癌を処置または予防する方法である、項目46に記載の方法。(項目95) 項目94に記載の方法であって、前記癌が、胆道癌;骨癌;脳および中枢神経系(CNS)の癌;乳癌;子宮頸部癌;絨毛癌;結腸癌;結合組織癌;子宮内膜癌;食道癌;眼の癌;胃癌;ホジキンリンパ腫;上皮内新生物;喉頭癌;リンパ腫;肝癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌および非小細胞肺癌);黒色腫;神経芽腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;および腎臓癌からなる群より選択される、方法。(項目96) 細胞表面抗原に対して特異的な抗体を投与する工程をさらに包含する、項目46に記載の方法であって、ここで、前記免疫応答が、抗原依存性細胞障害(antigen dependent cellular cytotoxicity(ADCC))を引き起こす、方法。(項目97) 被験体における疾患を予防する方法であって、該方法は、該被験体における疾患を予防するための標準量(regular basis)で、免疫刺激性核酸を、該被験体に投与する工程を包含し、ここで、該免疫刺激性核酸は、配列番号1、配列番号19、配列番号45、配列番号118または配列番号141のヌクレオチド配列を有する、方法。(項目98) 先天性免疫応答を誘導する方法であって、該方法は、先天性免疫応答を刺激するのに有効な量で、免疫刺激性核酸を、該被験体に投与する工程を包含し、ここで、該免疫刺激性核酸は、配列番号1、配列番号19、配列番号45、配列番号118または配列番号141のヌクレオチド配列を有する、方法。(項目99) 免疫刺激性核酸を同定する方法であって、該方法は、免疫刺激性核酸と接触させた免疫細胞集団の活性化のコントロールレベルを測定する工程であって、該免疫刺激性核酸が、配列番号1、配列番号19、配列番号45、配列番号118または配列番号141のヌクレオチド配列を含む、工程、 試験核酸と接触させた接触させた免疫細胞集団の活性化の試験レベルを測定する工程、および 活性化のコントロールレベルと活性化の試験レベルとを比較する工程、を包含し、ここで、該コントロールレベル以上である試験レベルが、免疫刺激性核酸の指標である、方法。 本発明のこれらの態様および他の態様ならびに実施形態を、本明細書でさらに詳細に説明する。ODN7909および10102によるTLR9エンゲージメント。実施例1に記載通りに、TLR9発現培養細胞株を指示濃度のODNとインキュベートした。培地対照上の平均刺激インデックスが図示されている。IL−1を、レポーター遺伝子の陽性対照として用いた。CpG ODNとのPBMCのインキュベーションで活性マーカーCD86を、B細胞が上流制御する。指示濃度で48時間、ヒトPBMCをODN7909および10102とインキュベートした。3通りの異なるドナーのCD86発現CD19陽性B細胞の平均割合(フローサイトメトリーで測定)が図示されている。CpG ODN 7909および10102によって誘発されるB細胞の増殖。染料CFSEとともにプレ・インキュベートされたPBMCを、指示ODN濃度の存在下または非存在下で、5日間培養した。細胞を回収し、増殖CD19陽性B細胞に対するCFSE株の減少を、3通りの異なるドナーに対するフロー・サイトメトリーで測定した(実施例1も参照)。ODN 7909および10102によって誘発されるINFα分泌。3通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IFN−αをELISA(実施例1参照)によって測定した。各濃度について、3通りの異なるドナーから得られたINFαの平均、最小、および最大量を図示する。ODN 7909および10102によって誘発されるIP−10分泌。3通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IP−10をELISA(実施例1参照)によって測定した。各濃度について、3通りの異なるドナーから得られたIP−10の平均、最小、および最大量を図示する。ODN 7909および10102によって誘発されるIL−10分泌。3通りの異なる血液ドナーのPBMCを、指示濃度のODN7907、10102または対照ODNとともに、インキュベーションした。上清を回収し、IL−10をELISAによって測定した。各濃度について、3通りの異なるドナーから得られたI−10の平均、最小、および最大量を図示する。ODN 7909および10102への応答におけるTNFα分泌。3通りの異なる血液ドナーのPBMCを、指示濃度のODN7907、10102または対照ODNとともに、24時間インキュベーションした。上清を回収し、TNFαをELISAによって測定した。各濃度について、3通りの異なるドナーからの平均、最小、および最大量を図示する。未処理BALB/cマウス脾細胞(5×106/mlまたは2.5×106/m1)を培地(負の対照)または異なる量のCpG−ODN 10102とインキュベートした。細胞を、インキュベーション96時間後に、16時間にわたって3Hチミジン(20μCi/ml)によりパルスし、回収し、放射活性を測定した。各バーは、刺激インデックス(インキュベートした細胞のカウント/分(CPM)/培地でインキュベートした細胞のCMP)を示す。未処理BALB/cマウス脾細胞(5×106/ml)を培地(負の対照)または異なる量のCpG ODN 7909、10102、または対照ODN2137とインキュベートした。上清の回収を、6時間(TNFα、パネルD)、24時間(IL−12、パネルB)、または48時間(IL−6、パネルC、およびIL−10、パネルA)で、おこなった。未処理BALB/cマウス脾細胞(30×106/ml)を培地(負の対照)または異なる量のCpG ODN 7909、10102とインキュベートした。NK活性を51Cr放出アッセイを用いて測定した。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1μgHBsAg単独、またはCpG−ODN(10μg)10102、7909、もしくは対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対する全IgGレベル(抗HBs)について血漿をアッセイした。各バーは、群全体(n=10)に対するELISA終点希釈力価の幾何学的平均値(±SEM)を示す。力価は、区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度が得られる最高希釈として規定した。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1μgHBsAg単独、またはCpG−ODN(10μg)7909、10102または対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対するIgG1およびIgG2aレベル(抗体HBs)ついて血漿をアッセイした。各バーは、ELISA週末点希釈の群全体(n=10)に対するELISA終点希釈力価の幾何学的平均値(±SEM)を示す。力価は、区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度が得られる最高希釈として規定した。ODN7909および10103によるTLR9エンゲージメント。TLR−9発現細胞株を、実施例2に記載したように指示濃度のODNとインキュベートした。4つの独立した実験について、培地対照上の平均刺激インデックスが図示されている。IL−1は、レポーター遺伝子の陽性対照として用いた。CpG ODNとのPBMCのインキュベーションで活性マーカーCD86を、B細胞が上流制御する。指示濃度で48時間、ヒトPBMCをODN7909および10103ならびに対照ODNとインキュベートした。3通りの異なるドナーのCD86発現CD19陽性B細胞の平均割合(フローサイトメトリーで測定)が図示されている。CpG ODN 7909および10103によって誘発されるB細胞の増殖。染料CFSEとともにプレ・インキュベートされたPBMCを、指示ODN濃度の存在下または非存在下で、5日間培養した。細胞を回収し、増殖CD19陽性B細胞に対するCFSE株の減少を、フロー・サイトメトリーで測定した(実施例2も参照)。ODN 7909および10103によって誘発されるINF−α分泌。6通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IFN−αをELISA(実施例2参照)によって測定した。各濃度について、6通りの異なるドナーから得られたINFαの量を図示する。ODN 7909および10103によって誘発されるIP−10分泌。3通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IP−10をELISA(実施例2参照)によって測定した。各濃度について、3通りの異なるドナーから得られたIP−10の平均量を図示する。7909、10103、および対照ODNの異なる濃度によるインキュベーションに対するIL−10分泌。48時間にわたるインキュベーションによって得た3通りの異なるドナーからの手段を図示する。TNF−α分泌:3通りの異なる血液ドナーのPBMCを、48時間にわたって、指示濃度のODN 7909、10103、または対照とインキュベートした。上清を回収し、ELISAによって、TNF−αを測定した。3通りのドナーに対する平均値を示す。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106/mlまたは2.5×106/m1)を培地(負の対照)または異なる量のCpG ODN7909(白色のバー)、10103(黒色のバー)とインキュベートした。細胞を、インキュベーションの96時間後、16時間にわたって3Hチミジン(20μCi/ml)によりパルスし、回収し、放射活性を測定した。各バーは、刺激インデックス(インキュベートした細胞のカウント/分(CPM)/培地でインキュベートした細胞のCMP)を示す。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106/ml)を培地(負の対照)または異なる量のCpG ODN 7909、10103、または対照ODN2137とインキュベートした。上清の回収を、6時間(TNF−α、パネルD)、24時間(IL−12、パネルB)、または48時間(IL−6、パネルC、およびIL−10、パネルA)で、おこなった。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(30×106/ml)を培地(負の対照)または異なる量のCpG−ODN 7909および10103とインキュベートした。NK活性を51Cr放出アッセイを用いて測定した。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1μgHBsAg単独、またはCpG−ODN(10μg)10103、7909、もしくは対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対する全IgGレベル(抗HBs)ついて血漿をアッセイした。各バーは、群全体(n=5)に対するELISA終点希釈力価の幾何学的平均値(±SEM)を示す。力価は、区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度を生じる最大希釈として規定された。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1mgHBsAg単独と、または10mgのCpGODN7909、10103、または対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対するIgG1およびIgG2aレベル(抗体HBs)ついて血漿をアッセイした。各バーは、ELISA終末点希釈力価の群全体(n=5)に対する幾何学的平均値(±SEM)を示す。力価は、区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度を生じる最大希釈として規定された。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、CpG−ODN(10μg)7909または10103のいずれかと組み合わせて1mgのHBsAgで、免疫化した。免疫後4週目で、脾臓を取り、脾細胞を51Cr放出アッセイによるCTL活性の測定に用いた。CTL活性を、異なるエフェクター:標的比で、動物の群(n=5)に対する平均%特異的細胞溶解(±SEM)として、示した。HSV−2による抗原投与を受け、かつ核酸10104を投与されたマウスでの感染後の日数の関数として、平均病理学的スコアを示すグラフである。HSV−2による抗原投与を受け、かつ核酸10104を投与されたマウスにおける感染後の日数の関数として、生存率を示すグラフである。核酸10104または対照による48時間後のヒトPBMCにおけるヒトIFN−α誘導を示す棒グラフである。IFN−αをELISAで測定し、その結果を3通りの血液ドナーからの平均値±SEMとして示す。核酸10104または対照による48時間後のヒトPBMCにおけるヒトIL−10誘導を示す棒グラフである。IL−10をELISAで測定し、その結果を3通りの血液ドナーからの平均値±SEMとして示す。核酸10104または対照に16時間さらした後のヒトTLR9媒介NFkB刺激を示す棒グラフである。刺激は、レポーター遺伝子上流アッセイを用いて測定した。ODN7909および10105によるTLR9エンゲージメント。TLR9発現細胞株を、実施例4に記載した指示濃度のODNとインキュベートした。4つの独立した実験について、培地対照上の平均刺激インデックスが図示されている。IL−1は、レポーター遺伝子の陽性対照として用いた。CpG−ODNとのPBMCのインキュベーションの際、活性マーカーCD86を、B細胞が上流制御する。指示濃度で48時間、対照ODNと同様に、ヒトPBMCをODN7909および10105とインキュベートした。図に示すものは、3通りの異なるドナーのCD86発現CD19陽性B細胞の平均割合(フローサイトメトリーで測定)が図示されている。CpG ODN 7909および10105によって誘発されるB細胞の増殖。染料CFSEとともにプレインキュベートされたPBMCを、指示ODN濃度の存在下または非存在下で、5日間培養した。細胞を回収し、増殖CD19陽性B細胞に対するCFSE株の減少を、フローサイトメトリーで測定した(実施例4もまた参照のこと)。ODN 7909および10105によって誘発されるIFN−α分泌。3通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IFN−αをELISAによって測定した(実施例4参照)。各濃度での3通りの異なるドナーについて、得られたIFN−αの平均量を図示する。ODN 7909および10105によって誘発されるIP−10分泌。3通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IP−10をELISAによって測定した(実施例4参照)。各濃度での3通りの異なるドナーについて、得られたIP−10の平均量を図示する。IFN−α分泌の時間カイネティックス。2通りの異なる血液ドナーのPBMCを、指示濃度のODN7909、10105または対照ODNとともに、8時間または24時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、ELISAによってIFN−αを測定した。2通りのドナーについて、異なる時間で得た個々のIFN−α量を示す。IFN−α分泌の時間カイネティックス。異なる2通りの血液ドナーのPBMCを、指示濃度のODN 7909、10105、または対照と、36時間または48時間にわたって、インキュベートした。上清を回収し、ELISAによって、IFN−αを測定した。2つのドナーに対して、異なる時間点で得た個々のIFN−α量を示す。IL−10分泌の時間カイネティックス。3通りの異なる血液ドナーのPBMCを、指示濃度のODN7909、10105または対照ODNとともに、8時間、24時間、または48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、ELISAによって、IL−10を測定した。3通りのドナーについて、異なる時間点で得た個々のIL−10量を示す。IL−10分泌の時間カイネティックス。実施例8と同一の実験が示される。3通りのドナー間での各濃度および時間点でのIL−10の平均量を計算した。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106/mlまたは2.5×106/m1)を培地(負の対照)または異なる量のCpG−ODN7909および10105とインキュベートした。細胞を、インキュベーションの96時間後、16時間にわたって3Hチミジン(20μCi/ml)によりパルス化し、回収し、放射活性を測定した。各バーは、刺激インデックス(インキュベートした細胞のカウント/分(CMP)/培地でインキュベートした細胞のCMP)を示す。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106/ml)を培地(負の対照)または異なる量のCpG−ODN 7909、10105、または対照ODN2137とインキュベートした。上清の回収を、6時間(TNF−α、パネルD)、24時間(IL−12、パネルB)、または48時間(IL−6、パネルC、およびIL−10、パネルA)で、おこなった。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(30×106/ml)を培地(負の対照) または異なる量のCpG−ODN 7909および10105とインキュベートした。NK活性は51Cr放出アッセイを用いて測定した。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1μgHBsAg単独、またはCpG−ODN(10μg)10105、7909、もしくは対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対する全IgGレベル(抗HBs)ついて血漿をアッセイした。各バーは、群全体(n=10)に対するELISA終点希釈力価の幾何学的平均値(±SEM)を示す。区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度をもたらす最大希釈として、力価を定義した。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1μgHBsAg単独と、または10μgのCpGODN7909、10105、または対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対するIgG1およびIgG2aレベル(抗体HBs)ついて血漿をアッセイした。各バーは、ELISA終末点希釈力価の群全体(n=10)に対する幾何学的平均値(±SEM)を示す。区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度をあたえる最大希釈として、力価を定義した。CpGODNによって誘導されたB細胞の増殖。正常かつ健康的な被験体(n=10)または0.5×106/mlの濃度でHCV(n=10)に慢性的に感染した被験体由来のPBMCを、培地(負の対照)または6μg/mLで増加量のCpGODN7909および10106または4010とインキュベートした。細胞をインキュベーションの5日目後に、3H−チミジン(1μCi/ウェル)で16〜18時間パルスし、回収し、そして放射活性を測定した。各バーは、平均刺激インデックス(ODNでインキュベートした細胞のカウント/分(CPM)/培地でインキュベートした細胞のCPM)を示す。CpGODNによって誘導されたIFN−αの分泌。正常かつ健康的な被験体およびHCVに慢性的に感染した被験体由来のヒトPBMCを、1〜6μg/mLの範囲内の濃度で、対照ODN4010、7909、または10106とインキュベートした。上清を回収し、IFN−αをELISAによって測定した(実施例5参照)。このアッセイの検出限界は、31.2pg/mLであり、検出限界を下回るIFN−αの結果を持つ被験体は、グラフ上では表されない。直線で示した平均値は、これらの被験体について、検出可能なIFN−αによって決定された。CpGODNによって誘導されたIP−10分泌。10人の正常かつ健康な被験体および10人のHCV慢性罹患被験体に由来するヒトPBMCを、濃度範囲1〜6μg/mLで対照ODN4010、7909、または10106でインキュベートした。上清を回収し、IP−10をELISAで測定した(検出限界15.6pg/mL)(実施例5参照)。CpGODNによって誘導されるIL−10分泌。10人の正常かつ健康な被験体および10人のHCV慢性罹患被験体に由来するヒトPBMCを、濃度範囲1〜6μg/mLで対照ODN4010、7909、または10106でインキュベートした。上清を回収し、IL−10をELISA(実施例5参照)で測定した。ELISAアッセイための検出限界は、23.4pg/mLである。処置グループが検出不可能なIL−10濃度の被験体を有する場合、検出可能なIL−10を持つ被験体の数は、評価した患者の総数に占める比率として、グラフ上に示される。決定された平均値および標準偏差は、検出可能なIL−10を持つ患者のためにある。ODN7909および10106によるTLR9エンゲージメント。TLR9発現細胞株を、実施例5に記載した指示濃度のODNとインキュベートした。培地対照上の平均刺激インデックスが図示されている。IL−1は、レポーター遺伝子の陽性対照として用いた。CpG−ODNとのPBMCのインキュベーションの際に活性マーカーCD86を、B細胞が上流制御する。指示濃度で48時間、ヒトPBMCをODN7909および10106とインキュベートした。3通りの異なるドナーのCD86発現CD19陽性B細胞の平均割合(フローサイトメトリーで測定)が図示されている。CpG−ODN 7909および10106によって誘発されるB細胞の増殖。染料CFSEとともにプレインキュベートされたPBMCを、指示ODN濃度の存在下または非存在下で、5日間培養した。細胞を回収し、増殖CD19陽性B細胞に対するCFSE株の減少を、3通りの異なるドナーについてフロー・サイトメトリーで測定した(実施例5も参照)。ODN 7909および10106によって誘発されるINF−α分泌。3通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IFN−αをELISA(実施例5参照)によって測定した。各濃度での3通りの異なるドナーについて、得られたIFN−αの平均、最小、および最大量を図示する。ODN 7909および10106によって誘発されるIP−10分泌。3通りの異なるドナーのヒトPBMCを、指示濃度のODNとともに、48時間にわたってインキュベーションした。上清を回収し、IP−10をELISA(材料と方法参照)によって測定した。各濃度での3通りの異なるドナーについて、得られたIP−10の平均、最小、および最大量を図示する。IL−10分泌。3通りの異なる血液ドナーのPBMCを、指示濃度のODN7909、10106または対照とともにインキュベーションした。上清を回収し、IL−10をELISAによって測定した。3人のドナーから得たIL−10の平均、最小、および最大量を図示する。TNF−α分泌:3通りの異なる血液ドナーのPBMCを指示濃度のODN7909、10106または対照と16時間インキュベートした。上清を回収し、TNF−αをELISAによって測定した。3通りのドナーの平均、最小、および最大量を図示する。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106/mlまたは2.5×106/m1)を培地(負の対照)または異なる量のCpG−ODN7909および10106とインキュベートした。細胞を、インキュベーションの96時間後、16時間にわたって3Hチミジン(20μCi/ml)によりパルス化し、回収し、放射活性を測定した。各バーは、刺激インデックス(インキュベートした細胞のカウント/分(CPM)/培地でインキュベートした細胞のCPM)を示す。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106/ml)を培地(負の対照)または異なる量のCpG−ODN 7909、10106、または対照ODN2137とインキュベートした。上清の回収を、6時間(TNF−α、パネルD)、24時間(IL−12、パネルB)、または48時間(IL−6、パネルC、およびIL−10、パネルA)で、おこなった。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(30×106/ml)を培地(負の対照)または異なる量のCpG ODN 7909および10106とインキュベートした。NK活性を51Cr放出アッセイを用いて測定した。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1μgHBsAg単独、またはCpG−ODN(10μg)10106、7909、もしくは対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対する全IgGレベル(抗HBs)ついて血漿をアッセイした。各バーは、群全体(n=10)に対するELISA終点希釈力価の幾何学的平均値(±SEM)を示す。区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度をもたらす最大希釈として、力価を定義した。成体(6〜8週)BALB/cマウスを、1μgHBsAg単独と、または 10μgのCpGODN7909、10106、または対照ODN(10μg)2137と組み合わせて免疫化した。動物を免疫後4週目で採血し、HBsAgに対するIgG1およびIgG2aレベル(抗体HBs)ついて血漿をアッセイした。各バーは、ELISA終点希釈力価の群全体(n=10)に対する幾何学的平均値(±SEM)を示す。区分値0.05で非免疫血漿の吸光度の2倍の吸光度をあたえる最大希釈として、力価を定義した。図61Aは、HSV−2による膣内抗原投与(intravaginal challenge)後にマウスの局所病理学上に対するBEMAディスクを用いた局所CpG送達の効果を示す。図61Bは、HSV−2による膣内抗原投与後にマウスの局所病理学上に対する生理食塩液での局所CpG送達の効果を示す。図62Aは、HSV−2による膣内抗原投与後にマウスの生存に対するBEMAディスクを用いた局所CpG送達の効果を示す。図62Bは、HSV−2による膣内抗原投与後にマウスの生存に対する生理食塩液での局所CpG送達の効果を示す。マウス血漿中IP−10レベルに対する非経口CpG10104送達の効果を示す。マウス血漿中IFN−gレベルに対する非経口CpG10104送達の効果を示す。マウス血漿中IP−10レベルに対する膣内CpG10104送達の効果を示す。HSV−2による膣内抗原投与後にマウス局所病理学に対する局所CpG送達の効果を示す。HSV−2による膣内抗原投与後にマウスの生存に対する局所CpG送達の効果を示す。マウス膣洗浄のIP−10レベルに対する膣内CpG10104送達の効果を示す。図69A:HSV−2による膣内抗原投与後にマウス局所病理学に対する局所CpG送達の効果を示す。図69B:HSV−2による膣内抗原投与後にマウスの生存に対する局所CpG送達の効果を示す。図70Aは、ミョウバン非存在下でのBALB/CマウスのHBsAgに対する液性応答の増大にとってCpG7909と同様にCpG10104が良好であることを示す。図70Bは、ミョウバン存在下でのBALB/CマウスのHBsAgに対する液性応答の増大にとってCpG7909と同様にCpG10104が良好であることを示す。図71Aは、ミョウバンの非存在下で、BALB/CマウスのHBsAgに対するTh1介在免疫応答の促進(IgG1力価と比較した高IgG2aによる測定)でCpG7909と同様にCpG10104が良好であることを示す。図71Bは、ミョウバンの存在下で、BALB/CマウスのHBsAgに対するTh1介在免疫応答の促進(IgG1力価と比較した高IgG2aによる測定)でCpG7909と同様にCpG10104が良好であることを示す。 (発明の詳細な説明) CpG含有核酸が免疫系を刺激し、それによって、癌、感染症、アレルギー、喘息、および他の障害の処理および癌化学療法の後に易感染症に対する保護を助けるために使用することができることが、先行分野で知られていた。CpG刺激から生ずる強力でありながらバランスのとれた細胞性免疫応答および液性免疫応答は、侵入病原微生物およびガン細胞に対する身体自体の自然防御系を反映する。ヒトDNAでは相対的にまれなCpG配列は、細菌等の感染性微生物のDNAに共通して見いだされる。ヒト免疫系は、明らかにCpG配列を感染の初期警告兆候として認識するように、また他の免疫刺激剤でたびたび見られる副作用を生ずることなく侵入病原微生物に対して迅速かつ強力な免疫応答を起こすように、進化した。したがって、この不活性免疫防御機構に依存したCpG含有核酸は、免疫治療のためにユニークかつ自然な経路を利用することができる。 免疫修飾に対するCpG核酸の効果は、本特許出願の発明者らによって発見され、同時係属特許出願の中で広範囲に説明されている。このような同時係属出願として、米国特許出願番号第08/386,063号(出願日 02/07/95)(および関連PCT US95/01570)、第08/738,652号(出願日10/30/96)、第08/960,774号(出願日10/30/97)(および関連PCT出願/米国97/19791、WO 98/18810)、第09/191,170号(出願日11/13/98)、第09/030,701号(出願日02/25/98)(および関連PC/US98/03678、第09/082,649号(出願日05/20/98)(および関連PC/US98/10408)、第09/325,193号(出願日06/03/99)(および関連PC/US98/04703)、第09/286,098号(出願日04/02/99)(および関連PC/US99/07335)、第09/306,281号(出願日05/06/99)(および関連PCT/US99/09863)が挙げられる。これらの特許および特許出願の各々の内容全体を、本明細書で参考として援用する。 本発明は、部分的に、既に報告されたCpG核酸よりも免疫刺激性が高い核酸のいくつかのファミリーの思いがけない発見にもとづいている。各ファミリーは、特に免疫刺激性のある核酸によって表される。これらの核酸ファミリーとそれらの代表的なメンバーは、下で更に詳細に記載される。ODN10102ファミリー この核酸ファミリーは、5’X1X2X3X4X5X6X7 TT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号3)の式を持つヌクレオチド配列から構成され、ここで、X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7は、それぞれ独立して選択された残基であり、該残基をアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。そのような核酸は、5’TT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号4)のヌクレオチド配列を含む。 他の実施形態では、核酸は、X1;X1とX2;X1、X2、とX3;X1、X2、X3とX4;もしくはX1、X2、X3、X4とX5を欠如し得るか、またはX1からX6までを欠如し得るか、またはX1からX7までが欠如し得る。 一実施形態では、X1はチミジン、および/またはX2はシトシン、および/またはX3はグアノシン、および/またはX4はチミジン、および/またはX5はシトシン、および/またはX6はグアノシン、および/またはX1はチミジンである。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸配列を決定することができる。 このファミリーの核酸は、一般に、少なくとも17ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、この核酸は、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、および少なくとも24ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、核酸は24ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は、24ヌクレオチド長を超える。例としては、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれ以上である核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は17〜100、より好ましくは24〜100ヌクレオチド長である。 この第1のファミリーの核酸すべてが、少なくとも3つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、4または5つ以上のCpGモチーフを含むものであってもよい。CpGモチーフは、互いに隣接、または交互に、それらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、互いに離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸は、チミジンヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、60%を上回る、または60%を下回り、あるいは55%を下回るチミジンを含むものであってもよい。 本発明は、一つには、以前報告されたCpG核酸よりも免疫刺激性が高い別の核酸ファミリーを予想外にも発見したことを、さらに前提とする。この核酸ファミリーは、式5’TCG TCG TTT CGT CGT TTC X1X2X3X4X5X63’(配列番号5)の式を有するヌクレオチド配列から構成され、該式中、X1、X2、X3、X4、X5、およびX6は、独立して選択された残基であり、該残基をアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。そのような核酸は、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTC3’(配列番号6)のヌクレオチド配列を含む。 他の実施形態では、核酸は、X6の欠如、X6およびX5の欠如、またはX6、X5、およびX4の欠如、X6からX3までの欠如、X6からX2までの欠如、もしくはX6からX1までの欠如が生じたものであってもよい。。 一実施形態では、X1はシトシンである。別の実施形態では、X2はグアノシンである。別の実施形態では、X3はチミジンである。別の実施形態では、X4はチミジンである。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸配列を決定することができる。 この後者のファミリーの核酸は、一般に、少なくとも18ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、この核酸は、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも23、および少なくとも24ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、核酸は24ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は、24ヌクレオチド長を超える。例としては、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれより長い核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は18〜100、より好ましくは24〜100ヌクレオチド長である。 この第2のファミリーの核酸すべてが、少なくとも4つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、実施形態に依存して、5つ以上のCpGモチーフを含むものであってもよい。CpGモチーフは、互いに隣接、または交互に、それらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、互いに離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸は、チミジンヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、60%を上回る、または60%を下回り、あるいは55%を下回るチミジンを含むものであってもよい。 別の局面では、本発明は、TCG TCG TTT CGT CGT TTC GTC GTT(配列番号1)(ODN 10102)のヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。実施例にさらに詳しく記載したように、この核酸は、既に同定された免疫刺激性核酸と類似またはそれを上回る免疫刺激活性を有する核酸について多数の核酸をスクリーニングした後のみに、同定された。より具体的には、この核酸を、免疫刺激性であることが既に示されているTCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT(配列番号2)のヌクレオチド配列を有する核酸と比較した。配列番号1を含む核酸を、配列番号2を含む核酸のものよりも大きい免疫刺激能を有するものについて、約165核酸をスクリーニングした後のみに同定した。活性の違いは驚くべきことである。なぜなら、配列暗号1と配列番号2とのあいだに最小限の違い(すなわち、2つのヌクレオチド間の違い)しかないからである。そのような配列内の最小の変化によって、統計学的に有意な免疫刺激の上昇をもたらすことは、予期されなかった。 本発明のさらに他の局面では、以下のヌクレオチド配列を有する核酸が提供される。すなわち、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTC GTC GT3’(配列番号7)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTC GTC G3’(配列番号8)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTC GTC3’(配列番号9)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTC GT3’(配列番号10)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTC G3’(配列番号11)、5’CG TCG TTT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号l2)、5’G TCG TTT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号13)、5’TCG TTT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号14)、5’CG TTT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号15)、5’G TTT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号16)、5’TTT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号17)、および5’TT CGT CGT TTC GTC GTT3’(配列番号18)である。 本発明の核酸は、配列番号4および配列番号6のコア配列が存在するという条件で、ポリTモチーフ、ポリGモチーフ、TGモチーフ、ポリAモチーフ、ポリCモチーフ等の他の免疫刺激性モチーフをさらに含むことができる。これらの免疫刺激性モチーフは、後述の記載または米国本出願第09/669,187号(2000年9月25日出願)および公開PCT特許出願PCT/US00/26383(公開番号WO01/22972)に、より詳細に記載されている。 (ODN10103ファミリー) この核酸ファミリーは、5’X1X2X3 X4X5X6 X7X8X9 X10X11X12 GGT CGT TTT3’(配列番号20)の式を有するヌクレオチド配列から構成され、該式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、およびX12は、独立して選択された残基であり、該残基をアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。このような核酸は、5’GGT CGT TTT 3’(配列番号21)のヌクレオチド配列を含む。 他の実施形態では、核酸は、X1の欠如、X1およびX2の欠如、X1、X2、およびX3の欠如、X1、X2、X3、およびX4の欠如、または、X1、X2、X3、X4、およびX5の欠如、X1からX6までの欠如、X1からX7までの欠如、X1からX8までの欠如、X1からX9までの欠如、X1からX10までの欠如、X1からX11までの欠如、ならびにX1からX12までの欠如をともなうものであってもよい。 種々の実施形態では、X1はチミジン、および/またはX2はシトシン、および/またはX3はグアノシン、および/またはX4はチミジン、および/またはX5はシトシン、および/またはX6はグアノシン、および/またはX7はチミジン、および/またはX8はチミジン、および/またはX9はチミジン、および/またはX10はチミジン、および/またはX11はチミジン、および/またはX12はシトシンである。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸配列を決定することができる。 このファミリーの核酸は、一般に、少なくとも9ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、この核酸は、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも18、少なくとも20、および少なくとも21ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、核酸は21ヌクレオチド長である。さらに別の実施形態では、核酸は、21ヌクレオチド長を超える。例として、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれより長い核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は9〜100、より好ましくは21〜100ヌクレオチド長である。 この第1のファミリーの核酸すべてが、少なくとも1つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、2、3、4、またはそれより多いCpGモチーフを含むものであってもよい。CpGモチーフは、互いに隣接していてもよく、あるいは、それらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸は、チミジンヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、少なくとも60%、少なくとも55%、または少なくとも50%のチミジンを含むことができる。 本発明は、一つには、以前報告されたCpG核酸と同等の免疫刺激性である別の核酸ファミリーを予想外にも発見したことを、さらに前提とする。この核酸ファミリーは、5’TCG TCG TTT TTC X1X2X3 X4X5X6 X7X8X93’(配列番号22)の式を有するヌクレオチド配列から構成され、該式中、X1からX9は、それぞれ独立して選択された残基であり、該残基をアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。例としては、この核酸は、5’TCG TCG TTT TTC3’(配列番号23)のヌクレオチド配列を含み得る。 他の実施形態では、核酸は、X9の欠如、X9およびX8の欠如、X9、X8、およびX7の欠如、X9からX6までの欠如、X9からX5での欠如、X9からX4までの欠如、X9からX3までの欠如、X9からX2までの欠如、およびX9からX1までの欠如をともなうものであってもよい。 種々の実施形態では、X1はグアノシン、および/またはX2はグアノシン、および/またはX3はチミジン、および/またはX4はシトシン、および/またはX5はグアノシン、および/またはX6はチミジン、および/またはX7はチミジン、および/またはX8はチミジン、および/またはX9はチミジンである。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸配列を決定することができる。 このファミリーの核酸は、一般的に、少なくとも12ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、その核酸は少なくとも15、少なくとも18、少なくとも21ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、核酸は、21ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は21ヌクレオチド長を上回る。例として、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれ以上である核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は12〜100、より好ましくは21〜100ヌクレオチド長である。 この第2のファミリーの核酸すべてが、少なくとも2つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、3もしくは4、またはそれより多いCpGモチーフを含み得るが、これは、実施形態に依存する。CpGモチーフは、互いに隣接していてもよく、あるいは、それらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、互いに離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸は、チミジンヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、少なくとも60%、少なくとも55%、または少なくとも50%のチミジンを含むことができる。 別の局面では、本発明は、TCG TCG TTT TTC GGT CGT TTT(配列番号19)(ODN 10103)のヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。実施例にさらに詳しく記載したように、この核酸は、以前に同定された免疫刺激性核酸と類似またはそれを上回る免疫刺激性活性を有する核酸について多数の核酸をスクリーニングした後のみに、同定された。より具体的には、この核酸を、免疫刺激性であることが以前に示されているTCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT(配列番号2)のヌクレオチド配列を有する核酸と比較した。配列番号19を含む核酸を、配列番号2を含む核酸のものと類似、またはそれより大きい免疫刺激能を有するものについて、約165核酸をスクリーニングした後のみに同定した。活性の違いは驚くべきことである。なぜなら、配列暗号19と配列番号2との間は、最小限の違い(すなわち、配列番号2と比較して配列番号19は、3つのさらなる内部ヌクレオチド(すなわち、TCG)を含み、6個の3’ヌクレオチドを欠失する)のみだからである。このような配列内の変化が、免疫刺激の上昇をもたらすことは、予想外のことであった。 本発明のなお他の局面では、以下のヌクレオチド配列を有する核酸が提供される。すなわち、5’TCG TCG TTT TTC GGT CGT TT3’(配列番号24)、5’TCG TCG TTT TTC GGT CGT T3’(配列番号25)、5’TCG TCG TTT TTC GGT CGT3’(配列番号26)、5’TCG TCG TTT TTC GGT CG3’(配列番号27)、5’TCG TCG TTT TTC GGT C3’(配列番号28)、5’TCG TCG TTT TTC GGT3’(配列番号29)、5’TCG TCG TTT TTC GG3’(配列番号30)、5’TCG TCG TTT TTC G3’(配列番号44)、5’TCG TCG TTT TTC3’(配列番号31)、5’TCG TCG TTT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号32)、5’CG TCG TTT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号33)、5’G TCG TTT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号34)、5’TCG TTT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号35)、5’CG TTT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号36)5’G TTT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号37)、5’TTT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号38)、5’TT TTC GGT CGT TTT3’(配列番号39)、5’T TTC GGT CGT TTT 3’(配列番号40)、5’TTC GGT CGT TTT3’(配列番号41)、5’TC GGT CGT TTT3’(配列番号42)、5’C GGT CGT TTT3’(配列番号43)、5’GGT CGT TTT3’(配列番号21)である。 これらの免疫刺激性核酸は、先天性免疫系を活性化させる能力を有し、肝炎B表面抗原等の抗原が同時投与された場合に、液性および細胞性の両方の抗原特異的反応を増強させる能力を有する。本明細書で提供される例は、これらの核酸が、生体外(in vitro)でヒト免疫細胞を刺激することができ、また生体外(in vitro)および生体内(in vivo)でマウス細胞を刺激することができることを示す。強力なアジュバントであることを知られている配列と比較した場合、配列番号19の核酸は、ワクチンアジュバンドとして少なくとも10〜15%である。 本発明の核酸は、配列番号21および配列番号23のコア配列が存在するという条件で、ポリTモチーフ、ポリGモチーフ、TGモチーフ、ポリAモチーフ、ポリCモチーフ等の他の免疫刺激性モチーフをさらに含むことができる。これらの免疫刺激性モチーフは、後述の記載または米国本出願第09/669,187号(2000年9月25日出願)および公開PCT特許出願PCT/US00/26383(公開番号WO01/22972)により詳細に記載されている。 (ODN 10104 ファミリー) この核酸ファミリーは、5’X1X2X3X4X5X6 TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号46)の式を有するヌクレオチド配列から構成され、該式中、X1、X2、X3、X4、X5、およびX6は、独立して選択された残基であり、該残基をアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。このような核酸は、5’TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号47)のヌクレオチド配列を含む。 他の実施形態では、核酸は、X1の欠如、X1およびX2の欠如、X1、X2、およびX3の欠如、X1、X2、X3、およびX4の欠如、またはX1、X2、X3、X4、およびX5の欠如をともなうものであってもよい。したがって、本発明は以下のヌクレオチド配列を有する核酸を包含することを意図している。すなわち、5’X2X3X4X5X6 TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号48)、5’X3X4X5X6 TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号49)、5’X4X5X6 TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号50)、5’X5X6 TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号51)、5’X6 TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号52)である。 一実施形態では、X1はチミジンである。別の実施形態では、X2はシトシンである。別の実施形態では、X3はグアノシンである。別の実施形態では、X4はチミジンである。なお別の実施形態では、X5はシトシンである。さらに別の実施形態では、X6はグアノシンである。本発明は、以下のように複数のフランキング残基の組み合わせを、さらに包含する(空白のセルはN残基、すなわち、本明細書に記した、または当該分野で公知の、天然に存在するかまたは天然に存在しないヌクレオチドのいずれかであり得る)。 表1は、第1の核酸ファミリーのメンバーである、可能な核酸の一部のみを表している。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸の配列を決定することが可能である。 このファミリーの核酸は、一般的に、少なくとも18ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、その核酸は少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、および少なくとも24ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、この核酸は24ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は24ヌクレオチド長を上回る。例としては、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれより長い核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は18〜100、より好ましくは24〜100ヌクレオチド長である。 この第1のファミリーの核酸すべてが、少なくとも3つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、4もしくは5、またはそれより多いCpGモチーフを含むものであってもよい。CpGモチーフは、互いに隣接していてもよく、あるいは、それらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸は、チミジンヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、60%を上回るか60%未満であるか、または55%未満のチミジンを含むことができる。 本発明は、一つには、従来報告されたCpG核酸よりも免疫刺激性が高い別の核酸ファミリーを予想外にも発見したことを、さらに前提とする。この核酸ファミリーは、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GT X1X2X3X43’(配列番号95)の式を有するヌクレオチド配列から構成され、該式中、X1、X2、X3、およびX4は、独立して選択された残基であり、該残基はアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。例として、核酸は、5’TCG TCG TTT CGT、CGT、TTT GT3’(配列番号96)のヌクレオチド配列を含む。 他の実施形態では、核酸は、X4の欠如、X4およびX3の欠如、X4およびX3の欠如、またはX4、X3、およびX2の欠如が生じたものであってもよい。したがって、本発明は以下のヌクレオチド配列を有する核酸を包含することを意図している。すなわち、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GT X1X2X33’(配列番号97)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GT X1X23’(配列番号98)、および5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GT X13’(配列番号99)である。 一実施形態では、X1はシトシンである。別の実施形態では、X2はグアノシンである。別の実施形態では、X3はチミジンである。別の実施形態では、X4はチミジンである。本発明は、以下のように複数のフランキング残基の組み合わせを、さらに包含する(空白のセルはN残基、すなわち、本明細書に記した、または公知の、天然に存在するかまたは天然に存在しないヌクレオチドのいずれかであり得る)。 表2は、第2の核酸ファミリーのメンバーである、可能な核酸の一部のみを表している。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸の配列を決定することが可能である。 この後者のファミリーの核酸は、一般的に、少なくとも20ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、この核酸は少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、および少なくとも24ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、核酸は24ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は24ヌクレオチド長を上回る。例として、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれより長い核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は20〜100、より好ましくは24〜100ヌクレオチド長である。 この第2のファミリーの核酸すべてが、少なくとも4つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、5つ以上のCpGモチーフを含み得るが、これは、実施形態に依存する。CpGモチーフは、互いに隣接していてもよく、あるいは、それらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸は、チミジンヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、60%を上回るか60%未満、または55%未満のチミジンを含むことができる。 別の局面では、本発明は、TCG TCG TTT CGT CGT TTT GTC GTT(配列番号45)(ODN 10104)のヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。実施例にさらに詳しく記載したように、この核酸は、以前に同定された免疫刺激性核酸と類似またはそれを上回る免疫刺激活性を有する核酸について多数の核酸をスクリーニングした後のみに、同定された。より具体的には、この核酸を、免疫刺激性であることが以前に示されているTCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT(配列番号2)のヌクレオチド配列を有する核酸と比較した。配列番号45を含む核酸を、配列番号2を含む核酸の免疫刺激能よりも大きい免疫刺激能を有する核酸について、約165核酸をスクリーニングした後のみに同定した。活性の違いは驚くべきことである。なぜなら、配列番号45と配列番号2とのあいだに最小限の違い(すなわち、シトシン(配列番号45)によるチミジン(配列番号2)の置換)しかないからである。このような配列内の最小の変化によって、統計学的に有意な免疫刺激性の上昇をもたらすことは、予想外のことであった。 本発明のなお他の局面では、以下のヌクレオチド配列を有する核酸が提供される。すなわち、5’CG TCG TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号110)、5’G TCG TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号111)、5’TCG TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号112)、5’CG TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号113)、5’G TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号114)、5’TTT CGT CGT TTT GTC GTT3’(配列番号47)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GTC GT 3’(配列番号115)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GTC G3’(配列番号116)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GTC3’(配列番号117)、5’TCG TCG TTT CGT CGT TTT GT3’(配列番号96)である。 本発明の核酸は、配列番号47および配列番号96のコア配列が存在するという条件で、ポリTモチーフ、ポリGモチーフ、TGモチーフ、ポリAモチーフ、ポリCモチーフ等の他の免疫刺激性モチーフをさらに含むことができる。これらの免疫刺激性モチーフは、後述の記載または米国本出願第09/669,187号(2000年9月25日出願)および公開PCT特許出願PCT/US00/26383(公開番号WO01/22972)に、より詳細に記載されている。 (ODN 10105 ファミリー) この核酸ファミリーは、5’X1X2X3 X4X5X6 X7X8X9 X10X11X12 X13X14X15 TTT TTT CGA3’(配列番号119)の式を有するヌクレオチド配列から構成され、該式中、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、およびX15は、独立して選択された残基であり、該残基をアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。このような核酸は、5’TTT TTT CGA3’(配列番号120)のヌクレオチド配列を含む。 他の実施形態では、核酸は、X1の欠如、X1およびX2の欠如、X1、X2、およびX3の欠如、X1、X2、X3、およびX4の欠如、もしくはX1、X2、X3、X4、およびX5の欠如、X1からX6までの欠如、X1からX7までの欠如、X1からX8までの欠如、X1からX9までの欠如、X1からX10までの欠如、X1からX11までの欠如、X1からX12までの欠如、X1からX13までの欠如、X1からX14までの欠如、ならびにX1からX15までの欠如をともなうものであってもよい。 種々の実施形態では、X1はチミジン、および/またはX2はシトシン、および/またはX3はグアノシン、および/またはX4はチミジン、および/またはX5はシトシン、および/またはX6はグアノシン、および/またはX7はチミジン、および/またはX8はチミジン、および/またはX9はチミジン、および/またはX10はチミジン、および/またはX11はグアノシン、および/またはX12はチミジン、および/またはX13はシトシン、および/またはX14はグアノシン、および/またはX15はチミジンである。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸配列を決定することができる。 このファミリーの核酸は、一般に、少なくとも9ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、この核酸は、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、および少なくとも24ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、核酸は24ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は、24ヌクレオチド長を超える。例として、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれ以上の核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は9〜100、より好ましくは24〜100ヌクレオチド長である。 この第1のファミリーの核酸すべてが、少なくとも1つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、2、3、4またはそれ以上のCpGモチーフを含むものであってもよい。CpGモチーフは、互いに隣接するか、またはそれらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸はまた、チミジン・ヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、少なくとも60%、少なくとも55%、または少なくとも50%のチミジンを含むことができる。 本発明は、一つには、従来報告されたCpG核酸と同様に免疫刺激性である別の核酸ファミリーを予想外にも発見したことを、さらに前提とする。この核酸ファミリーは、5’ TCG TCG TTT TGT CGT TTT TX1X2 X3X4X5 3’(配列番号121)の式を持つヌクレオチド配列から構成され、該式中、X1ないしX9は、それぞれ独立して選択された残基であり、該残基をアデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択することができる。いくつかの実施形態では、フランキング残基が存在しなくてもよい。例として、そのような核酸は、5’ TCG TCG TTT TGT CGT TTT T 3’ (配列番号122)のヌクレオチド配列を含む。 他の実施形態では、核酸は、X5の欠如、X5およびX4の欠如、X5、X4、およびX3の欠如、X5からX2までの欠如、およびX5からX1までの欠如が生じたものであってもよい。 種々の実施形態では、X1はチミジンであり、および/またはX2はチミジンであり、および/またはX3はシトシンであり、および/またはX4はグアノシンであり、および/またはX5はアデニンである。当業者は、このファミリーに属する残りの核酸配列を決定することができる。 このファミリーの核酸は、一般に、少なくとも19ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、この核酸は、少なくとも20、少なくとも22、および少なくとも24ヌクレオチド長である。好ましい実施形態では、核酸は24ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は、24ヌクレオチド長を超える。例として、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれ以上の核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は19〜100、より好ましくは24〜100ヌクレオチド長である。 この第2のファミリーの核酸すべてが、少なくとも3つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、実施形態に依存して、4以上のCpGモチーフを含むものであってもよい。CpGモチーフは、互いに隣接するか、またはそれらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸はまた、チミジン・ヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、少なくとも60%、少なくとも55%、または少なくとも50%のチミジンを含むことができる。 別の態様では、本発明は、TCG TCG TTT TGT CGT TTT TTT CGA(配列番号118)(ODN 10105)の式を持つヌクレオチド配列から構成される核酸を提供する。実施例でより詳細に説明するように、この核酸は、既に同定された免疫刺激性核酸と類似またはそれを上回る免疫刺激活性を持つ核酸について多数の核酸をスクリーニングした後のみに、同定された。より具体的には、この核酸を、免疫刺激性であることが既に示されているTCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT(配列番号2)のヌクレオチド配列を持つ核酸と比較した。配列番号118を含む核酸を、配列番号2を含む核酸のものと類似またはそれよりも大きい免疫刺激能を有するものについて、約165核酸をスクリーニングした後のみに同定された。活性の違いは驚くべきことである。なぜなら、配列暗号118と配列番号2とのあいだに79%同一性(すなわち、3’側の5つのヌクレオチドが配列番号118と配列番号2とのあいだで異なる)があるからである。配列内の変化によって、免疫刺激の上昇がもたらせられるとは予想外であった。 本発明のさらに別の態様では、以下のヌクレオチド配列を持つ核酸が得られる。すなわち、5’ TCG TCG TTT TGT CGT TTT TTT CG 3’(配列番号123)、5’ TCG TCG TTT TGT CGT TTT TTT C 3’(配列番号124)、5’ TCG TCG TTT TGT CGT TTT TTT 3’(配列番号125)、5’ TCG TCG TTT TGT CGT TTT TT 3’(配列番号126)、5’ CG TCG TTT TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号127)、5’ G TCG TTT TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号128)、5’ TCG TTT TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号129)、5’ CG TTT TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号130)、5’ G TTT TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号131)、5’ TTT TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号132)、5’ TT TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号133)、5’ T TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号134)、5’ TGT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号135)、5’ GT CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号136)、5’ T CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号137)、5’ CGT TTT TTT CGA 3’(配列番号138)、5’ GT TTT TTT CGA 3’(配列番号139)、および5’ T TTT TTT CGA 3’(配列番号140)である。 これらの免疫刺激性核酸は、先天性免疫系を活性化させ、肝炎B表面抗原等の抗原が同時投与された場合に、液性および細胞性の両方の抗原特異的反応を増強させる能力を有する。本明細書で提供される例は、これらの核酸は、生体外(in vitro)でヒト免疫細胞を刺激することができ、また生体外(in vitro)および生体内(in vivo)でマウス細胞を刺激することができることを実証する。強力なアジュバントであることを知られている配列と比較した場合、配列番号118の核酸が、ワクチン・アジュバンドとして同等またはそれ以上に作用するということがわかる。 本発明の核酸は、配列番号120および配列番号122のコア配列が存在するという条件で、ポリTモチーフ、ポリGモチーフ、TGモチーフ、ポリAモチーフ、ポリCモチーフ等の別の免疫刺激性モチーフをさらに含むことができる。これらの免疫刺激性モチーフは、後述の記載または米国本出願第09/669,187号(2000年9月25日出願)および公開PCT特許出願PCT/US00/26383(公開番号WO01/22972)により詳細に記載されている。 (ODN 10106 ファミリー) この核酸は、TCG TCG TTT TTC GTG CGT TTT T(配列番号141)(ODN 10106)の式を有する核酸配列を含む。 上記配列を、アデノシン、グアノシン、チミジン、およびシトシンからなるヌクレオチド群から選択され得る、別個に選択された多数のヌクレオチド残基によってフランキングすることができる。 このファミリーの核酸は、少なくとも22核酸長である。好ましい実施形態では、核酸は22ヌクレオチド長である。なおさらなる実施形態では、核酸は22ヌクレオチド長を上回る。例として、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1,000ヌクレオチド長、またはそれ以上の核酸が挙げられる。好ましくは、核酸は12〜100である。 この第1のファミリーの核酸すべてが、少なくとも4つのCpGモチーフを含む。これらの核酸は、5つ以上のCpGモチーフを含むものであってもよい。CpGモチーフは、互いに隣接するか、またはそれらが互いに一定の距離もしくは任意の距離で、離間したものであってもよい。 このファミリーの核酸はまた、チミジン・ヌクレオチドの過剰発現も含む。これらの核酸は、60%を上回るか、60%を下回るか、または55%未満のチミジンを含むことができる。 別の態様では、本発明はTCG TCG TTT TTC GTG CGT TTT T(配列番号141)のヌクレオチド配列からなる核酸を提供する。実施例でさらに詳細に説明するように、この核酸は、既に同定された免疫刺激性核酸と類似またはそれを上回る免疫刺激活性を持つ核酸について多数の核酸をスクリーニングした後のみに、同定された。より具体的には、この核酸を、免疫刺激性であることが既に示されているTCG TCG TTT TGT CGT TTT GTC GTT(配列番号2)のヌクレオチド配列を持つ核酸と比較した。配列番号141を含む核酸を、配列番号2を含む核酸のものよりも大きい免疫刺激能を有するものについて、約165核酸をスクリーニングした後のみに同定された。活性の違いは驚くべきことである。なぜなら、配列暗号141と配列番号2とのあいだに最小限の違いのみが存在するからである。そのような配列の最小の変化が統計学的に有意な免疫刺激の増加をもたらすことは予想外であった。 本発明の核酸は、配列番号141のコア配列が存在するという条件で、ポリTモチーフ、ポリGモチーフ、TGモチーフ、ポリAモチーフ、ポリCモチーフ等の別の免疫刺激性モチーフをさらに含むことができる。これらの免疫刺激性モチーフは、後述の記載または米国本出願第09/669,187号(2000年9月25日出願)および公開PCT特許出願PCT/US00/26383(公開番号WO01/22972)により詳細に記載されている。 本明細書中で詳述されるいかなるも実施形態でも等しく、本明細書中で提供される核酸に適用されると理解される。したがって、例えば、実施形態が配列番号1に言及する場合、それが等しく配列番号19、配列番号45、配列番号118、および配列番号141に適用されると理解される。 本明細書に記載した核酸のCpGモチーフは、好ましくはメチル化されていない。非メチル化CpGモチーフは、非メチル化シトシン−グアニン・ジヌクレオチド配列(すなわち、3’グアノシンが後に続き、リン酸結合によって結合された非メチル化5’シトシン)である。本明細書に記載した核酸のすべてが免疫刺激性である。本発明のいくつかの実施形態では、CpGモチーフがメチル化されている。メチル化CpGモチーフは、メチル化シトシン−グアニン・ジヌクレオチド配列(すなわち、3’グアノシンが後に続き、リン酸結合によって結合されたメチル化5’シトシン)である。 CpG核酸は、式:5’ X1X2CGX3X4 3’を含む核酸であり、式中、Cはメチル化されておらず、X1X2およびX3X4はヌクレオチドである。関連実施形態では、5’ X1X2CGX3X4 3’配列は、非パリンドローム配列である。ある種の実施形態では、X1X2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpT、およびTpGからなる群から選択されるヌクレオチドであり、ならびにX3X4はTpT、CpT、ApT、TpG、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、およびCpAからなる群から選択されるヌクレオチドである。より具体的な実施形態において、X1X2は、GpAおよびGpTからなる群から選択されるヌクレオチドであり、ならびにX3X4はTpTである。さらに別の実施形態では、X1X2は、共にプリンであり、またX3X4は共にピリミジンである。別の実施形態では、X2はTであり、X3はピリミジンである。CpG核酸の例は、米国本出願第09/669,187号(2000年9月25日出願)および公開PCT特許出願PCT/US00/26383(公開番号WO01/22972)に記載されている。 Tリッチ核酸は、少なくとも1つのポリT配列を含み、そして/あるいはTヌクレオチド残基が25%を上回るヌクレオチド組成を有する核酸である。ポリT配列を持つ核酸は、連続して少なくとも4つのTを含むもので、例えば5’TTTT3’である。好ましくは、Tリッチ核酸は、ポリT配列が1つ以上含まれる。好ましい実施形態では、Tリッチ核酸は、2つ、3つ、4つ、またはその他の数のポリT配列を有するものであってもよい。本発明にもとづく他のTリッチ核酸は、Tヌクレオチド残基が25%を上回るヌクレオチド組成を有するが、ポリT配列を含むことは必須ではない。これらのTリッチ核酸では、他の種類のヌクレオチド残基(すなわち、G、C、およびA)によって、Tヌクレオチド残基が互いに分離される。いくつかの実施形態では、Tリッチ核酸は、Tヌクレオチド残基が35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および99%、ならびに中間にあるあらゆる整数%を上回るヌクレオチド組成を有する。好ましくは、Tリッチ核酸は、少なくとも1つのポリT配列と、Tヌクレオチド残基が25%を上回るヌクレオチド組成とを有する。 ポリG核酸は、好ましくは以下の式を有する核酸である。すなわち、5’ X1X2GGGX3X4 3’式中、X1、X2、X3、およびX4は、ヌクレオチドである。好ましい実施形態では、X3およびX4の少なくとも1つは、Gである。他の実施形態では、X3、およびX4の両方は、Gである。さらに別の実施形態では、好ましい式は5’ GGGNGGG 3’、または5’ GGGNGGGNGGG 3’であり、Nは0と20との間のヌクレオチドを表す。 Cリッチ核酸は、少なくとも1つもしくは好ましくは少なくとも2つのポリC領域を持ち、あるいは少なくとも50%のCヌクレオチドから構成される核酸分子である。ポリC領域は、連続した少なくとも4つのC残基である。したがって、ポリC領域は、式5’CCCC3’に含まれる。いくつかの実施形態では、ポリC領域が式5’CCCCCC3’を有することが好ましい。本発明にもとづく他のCリッチ核酸は、Cヌクレオチド残基が50%を上回るヌクレオチド組成を有するが、ポリC配列を含むことは必須ではない。これらのCリッチ核酸では、他の種類のヌクレオチド残基(すなわち、G、T、およびA)によって、Cヌクレオチド残基は互いに分離され得る。いくつかの実施形態では、Cリッチ核酸は、Cヌクレオチド残基が60%、70%、80%、90%、および99%、ならびに中間にあるあらゆる整数%を上回るヌクレオチド組成を有する。好ましくは、Cリッチ核酸は、少なくとも1つのポリC配列と、Cヌクレオチド残基が50%を上回るヌクレオチド組成とを有し、いくつかの実施形態ではTリッチでもある。 免疫刺激性核酸は、二本鎖または一本鎖である。通常、二本鎖分子は生体内(in vivo)でよりいっそう安定である一方で、一本鎖分子は高い免疫活性を有する。したがって、本発明のいくつかの態様では、核酸が一本鎖であることが好ましく、また他の態様では核酸が二本鎖であることが好ましい。 用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書では互いに言い換え可能に用いられ、リン酸基に結合し、かつ置換ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)、またはウラシル(U))あるいは置換プリン(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))のいずれかである交換可能な有機塩基に結合する複数のヌクレオチド(すなわち、糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子)を意味する。本明細書で用いられるように、上記用語は、オリゴデオキシリボヌクレオチドのみならずオリゴリボヌクレオチドのことをいう。また、上記用語は、ポリヌクレオシド(例えば、リン酸塩が除かれたポリヌクレオチド)および他の有機塩基含有ポリマーも包含する。核酸分子は、既存の核酸源(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)から得ることができるが、好ましくは合成(例えば、核酸合成により生成)したものである。 本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、天然のRNAおよびDNAと比較して、種々の化学的修飾および置換を包含するもので、リン酸ジエステルによるヌクレオシド間架橋、β−D−リボース単位、および/または天然ヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)が含まれる。化学修飾の例は、当業者に知られており、例えばUhlmann Eら(1990)Chem Rev 90:543;「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques,S.Agrawal(編集)Humana Press,Totowa,USA 1993;Crooke STら(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107−129;およびHunziker Jら(1995)Mod Synth Methods 7:331−417に記載されている。本発明にもとづくオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾を有するものであってもよく、各修飾は、天然のDNAまたはRNAから構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のリン酸ジエステル・ヌクレオシド間架橋および/またはβ−D−リボース単位および/または特定の天然ヌクレオシド塩基位置に位置する。 例えば、上記オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾を含むものであってもよく、各々の修飾が独立して、 a) 修飾ヌクレオシド間架橋によるヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置したリン酸ジエステル・ヌクレオシド間架橋の置換、 b) 脱リン(dephospho)架橋によるヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置したリン酸ジエステル架橋の置換。 c)糖リン酸単位を別の単位によって糖リン酸骨格から置換、 d)修飾糖単位による特定のβ−D−リボース単位の置換、および e)修飾ヌクレオシド塩基による天然ヌクレオシド塩基の置換、から選択される。 オリゴヌクレオチドの化学修飾についてのより詳細な例は、以下の通りである。 核酸も、置換プリンおよびピリミジン(例えばC−5プロピン・ピリミジンおよび7−デアザ−7を置換プリン修飾塩基)を含む。Wagner RWら(1996)Nat Biotechnol 14:840−4。プリンおよびピリミジンとしては、限定されるものではないが、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、および他の天然および非天然に存在するヌクレオシド塩基(nucleobase)、置換および非置換芳香族部分が挙げられる。他のそのような修飾は当業者に周知である。上記実施形態のすべてにおいて、X残基もまた、本明細書に記載したような非天然由来のヌクレオシド、またはヌクレオチドアナログである。 修飾塩基は、T、C、G、A、およびU等、DNAおよびRNAで通常見いだされる天然由来の塩基とは化学的に異なる任意の塩基ではるが、それらの天然由来の塩基と塩基性化学構造を共有する。修飾ヌクレオシド塩基を、例えば、ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、疑ウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1−C6)−アルキルウラシル、5−(C2−C6)−アルケニルウラシル、5−(C2−C6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1−C6)−アルキルシトシン、5−(C2−C6)−アルケニルシトシン、5−(C2−C6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノプリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン、好ましくは7−デアザ−7−置換プリンおよび/または7−デアザ−8−置換プリン、5−ヒドロキシメチシトシン、N4−アルキルシトシン、例えばN4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシチジン、例えばN4−エチルデオキシチジン、6−チオデオキシグアノシン、およびニトロピロールのデオキシリボヌクレオシド、C5−プロピニルピリミジン、ならびにジアミノプリン(例えば、2,6−ジアミノプリン)、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、または天然ヌクレオシド塩基の他の修飾から選択することができる。このリストは典型的なものを意味しており、限定するものとして解釈されない。 本明細書に記載した特定の式では、一組の修飾塩基を定義する。例えば、文字Yはシトシンまたは修飾シトシンを含むヌクレオシドを言及するのに用いられる。本明細書で使用される修飾シトシンは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基と置換することができる天然由来または非天然由来のシトシンのピリミジン塩基アナログである。修飾シトシンとしては、限定されるものではないが、5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、擬イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ(例えば、N,N’−プロピレン・シトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)が挙げられる。好ましいシトシンのいくつかとして、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンが挙げられる。本発明の別の実施形態では、シトシン塩基は、一般的な塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香族環系(例えば、フルオロベンゼンまたはジフルオロベンゼン)または水素原子(dSpacer)によって、置換される。文字Zは、グアニンまたは修飾グアニン塩基を言及するために用いられる。本明細書で用いられる修飾グアニンは、天然由来または非天然由来のグアニンのプリン塩基アナログであり、該アナログはオリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基と置き換わることができる。修飾グアニンとして、限定されるものではないが、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(例えば、7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン)、7−デアザ−8−置換 グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、ならびに6−チオグアニンが挙げられる。本発明の別の実施形態では、グアニン塩基は、一般的な塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロインドール、およびK塩基)、芳香族環系(例えば、ベンズイミダゾールまたはジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボキシル酸アミド)または水素原子(dSpacer)によって、置換される。 オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド間結合、例えば上記(a)または(b)に記載したものが挙げられ得る。これらの修飾結合は、部分的に耐分解性である(例えば、安定化されている)。「安定化核酸分子」は、生体内(in vivo)分解(例えば、エクソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼ)に対して相対的に耐性である。安定化は、長さまたは二次構造の関数である。数十キロ塩基から数百キロ塩基の長さである核酸は、相対的に生体内(in vivo)分解に対して、相対的に耐性である。より短い核酸に対して、二次構造は該核酸の効果を安定化および増大させ得る。例えば、核酸の3’末端が上流領域に対して自己相補性を有するならば、折り畳まれて一種のステム・ループ構造を形成し、次いで核酸が安定化し始め、それによってより高い活性を示す。 核酸安定化は、リン酸塩骨格修飾を介して達成することもできる。ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、最大活性を与え、細胞内エクソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを保護することができる。 生体内(in vivo)で投与した際に、核酸骨格の修飾が核酸の活性を高めることが証明された。ホスホロチオエート結合を持つコンストラクトは、最大活性を持ち、核酸を細胞内エクソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解から保護する。他の修飾核酸として、リン酸ジエステル修飾核酸、リン酸ジエステルとホスホロチオエート核酸との組みあわせ、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオアート、p−エトキシ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせおよび免疫細胞に対する該組み合わせの特定の効果は、PCT公開特許出願PCT/US95/01570(WO96/022555)およびPCT/US97/19791(WO98/18810)ならびに米国特許第6、194,388B1(2001年2月27日発行)、ならびに米国特許第6,239,116号B1(2001年5月29日発行)で、CpG核酸に対して議論されている。本明細書ではこれらの文献の内容全体を援用する。 これらの修飾核酸が、ヌクレアーゼ耐性の強化、細胞内取り込みの増加、タンパク質結合の増加、タンパク質結合の増加、および/または細胞内局在化の変化によるより刺激性の活性を示すものであってもよいと考えられる。 他の安定化核酸として以下のものが挙げられる。すなわち、非イオン性DNAアナログ、例えばアルキルおよびアリール−リン酸塩(電荷を帯びたホスホナート酵素は、アルキルまたはアリール基によって置き換えられる)、ホスホジエステル、および帯電した酸素部分がアルキル化されるアルキルホスホトリエステル。ヌクレアーゼ消化に対して実質的に耐性を示す核酸として、一方の末端または他の末端で、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコール等のジオールを含む核酸も挙げられる。 オリゴヌクレオチドは、1つまたは2つのアクセス可能な5’末端を含むものであってもよい。例えば、3’−3’結合を介して、2つのオリゴヌクレオチドを結合させて、1つまたは2つのアクセス可能な5’末端を持つオリゴヌクレオチドを生成することで、そのような5’末端を2つ持つ修飾オリゴヌクレオチドを生成することが可能である。3’−3’結合は、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、または他のいかなる修飾ヌクレオシド間架橋であってもよい。そのような結合を達成する方法は、当該分野で公知である。例えば、そのような結合は、Seliger,H.et al.,Oligonucleotide analogs with terminal 3’−3’− and 5’−5’−internucleotidic linkages as antisence inhibotors of viral gene expression. Nucleosides&Nucleotides(1991),10(1−3),469−77 and Jiang,et al.,Pseudo−cyclic oligonucleotides:in vitro and in vivo properties,Bioorganic & Medicinal Chemistry(1999),7(12),2727−2735 に記載されている。 さらに、3’末端ヌクレオシド間の結合がホスホジエステル、ホスホロチオエート、または他の修飾架橋ではない3’−3’結合ODNを、追加のスペーサー(例えば、トリ−またはテトラ−エチレングリコール・ホスフェート部分)を用いることで調製することができる(Durand,M.et al,Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one(dA)12 and two(dT)12 sequences bridged by two hexaethylene glycol chains, Biochemistry(1992),31(38),9197−204、米国特許第5658738号、および米国特許第5668265号)。あるいは、非ヌクレオチド・リンカーは、標準的なホスホルアミダイト化学を用いて、エタンジオール、プロパンジオールから、または無塩基性デオキシリボース(dSpacer)単位(Fontanel,Marie Laurence et al.,Sterical recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 5’−attached to oligonucleotides;Nucleic Acids Research(1994),22(11),2022−7)から、誘導される。非ヌクレオチド・リンカーの取り込みは、1回または複数回にわたって、または互いに組み合わせておこなうことができ、結合すべき2つのODN3’末端間の任意の所望の距離が可能となる。 ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置したホスホジエステル・ヌクレシチド間架橋を、修飾ヌクレオシド間架橋によって置換することができる。ここで、修飾ヌクレオシド間架橋は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR1R2−ホスホルアミダイト、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、ホスフェート−(C1−C21)−O−アルキルエステル、ホスフェート−[(C6−C12)アリール−(C1−C21)−O−アルキル]エステル、(C1−C8)アルキルホスホネート、および/または(C6−C12)アリールホスホネート架橋、(C7−C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO95/01363に開示)から選択され、(C6−C12)アリール、(C6−C20)アリール、および(C6−C14)アリールが、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノによって任意に置換され、R1およびR2は、互いに独立して、水素、(C1−C18)アルキル、(C6−C20)アリール、(C6−C14)アリール−(C1−C8)アルキル、好ましくは水素、(C1−C8)アルキル、好ましくは(C1−C4)アルキル、および/またはメトキシエチル、あるいはR1およびR2は、それらを有する窒素原子とともに、O、S、およびNの群からのさらなるヘテロ原子をさらに含み得る5−6員複素環を形成する。 デホスホ架橋(デホスホ架橋については、例えば、Uhlmann E and Peyman A in 「Methods in Molecular Biology」, Vol. 20, 「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」, S. Agrawal, Ed., Humana Press, Totowa 1993, Chapter 16, pp. 355 ffに記載)によるヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルの置換、デホスホ架橋は、例えば、デホスホ架橋ホルムアセタール(formacetal)、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチルヒドラゾ、ジメチレンスルホン、および/またはシリル基から選択される。 本発明の組成物は、キメラ骨格を任意に有するものであってもよい。本明細書で用いられるように、キメラ骨格は、二種類以上の結合を含む骨格である。一実施形態では、キメラ骨格を式:5’Y1N1ZN2Y23’によって表すことができる。Y1およびY2は、1〜10ヌクレオチドを有する核酸分子である。Y1および/またはY2は、それぞれ、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を含む。キメラ・オリゴヌクレオチドの少なくとも2ヌクレオチドが骨格修飾を含むことから、それらの核酸は、「安定化した免疫刺激性核酸」の一種類の一例である。 キメラ・オリゴヌクレオチドに関して、Y1およびY2は、互いに独立していると考えられる。このことは、Y1およびY2の各々が、同一分子内で互いに異なる配列および異なる骨格結合を持っていても持たなくてもよいことを意味する。いくつかの実施形態では、Y1およびY2は、3〜8ヌクレオチドを有する。N1およびN2は、N1ZN2が全体で少なくとも6ヌクレオチドを有する限り、0〜5ヌクレオチドを有する核酸分子である。N1ZN2のヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格を有し、修飾骨格を持つ核酸は含まれない。Zは、免疫刺激性核酸モチーフであり、好ましくは本明細書に示したものから選択される。 式Y1N1ZN2Y2の中央のヌクレオチド(N1ZN2)は、リン酸ジエステル・ヌクレオチド間結合を有し、Y1およびY2は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を有するが、1つより多くのまたは全て修飾ヌクレオチド間結合を有してもよい。好ましい実施形態では、Y1および/またはY2は、少なくとも2つの、または2つ〜5つの修飾ヌクレオチド間結合を有し、Y1は、2つの修飾ヌクレオチド間結合を有し、Y2は、5つの修飾ヌクレオチド間結合を有するか、あるいはY1は、5つの修飾ヌクレオチド間結合を有し、Y2は、2つの修飾ヌクレオチド間結合を有する。該修飾ヌクレオチド間結合は、いくつかの実施形態で、ホスホロチオエート修飾結合、ホスホロジチオエート修飾結合、またはp−エトキシ修飾結合である。 核酸は、骨格糖を有する核酸も含み、該骨格糖は、ヒドロキシル基以外の低分子量有機基に2’位で、リン酸基以外の低分子量有機基に5’位で共有結合する。したがって、修飾核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含んでよい。さらに、修飾核酸は、リボースの代わりに、アラビノースまたは2’−フルオロアラビノース等の糖を含んでよい。したがって、核酸は、骨格組成において異種であり得るため、ペプチド−核酸(核酸塩基とともにアミノ酸骨格を有する)等の互いに結合するポリマー・ユニットの任意の可能な組合せを含有する。いくつかの実施形態では、核酸は、骨格組成において同種である。他の例については、下記により詳細に記載する。 糖リン酸骨格(すなわち、糖リン酸骨格は、糖リン酸ユニットから構成される)由来の糖リン酸ユニット(すなわち、まとまって糖リン酸ユニットを形成するβ−D−リボースおよびリン酸ジエステル・ヌクレオシド間架橋)を別のユニットで置換することができ、この際、その他のユニットは、例えば、「モルホリノ誘導体(morpholino−derivative)」オリゴマーを構築する(例えば、Stirchak EP et al. (1989) Nucleic Acids Res 17:6129−41に記載されるように)こと(すなわち、例えば、モルホリノ誘導体ユニットでの置換)、またはポリアミド核酸(「PNA」)を構築する(例えば、Nielsen PE et al. (1994) Bioconjug Chem 5:3−7に記載されるように)こと、すなわち、例えば2−アミノエチルグリシンによる、例えばPNA骨格ユニットでの置換に適している。オリゴヌクレオチドは、他の糖質骨格修飾および置換(例えば、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、およびあるアルキル・リンカーまたはアミノ・リンカーを持つ骨格部分を有するオリゴヌクレオチド)を有してよい。該アルキル・リンカーは、分岐状または非分岐状でもよく、置換または非置換されていてもよく、かつキラル的に純粋であるかまたはラセミ混合物でもよい。 β−リボース・ユニットまたはβ−D−2’−デオキシリボース・ユニットを修飾糖ユニットで置換することができ、この際、該修飾糖ユニットは、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C1−C6)アルキル−リボース(好ましくは、2’−O−(C1−C6)アルキル−リボースは2’−O−メチルリボースである)、2’−O−(C2−C6)アルケニル−リボース、2’−[O−(C1−C6)アルキル−O−(C1−C6)アルキル]−リボース、2’−NH2−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、ならびに炭素環式糖アナログ(例えば、Froehler J (1992) Am Chemn Soc 114:8320に記載)および/または非環式糖アナログ(例えば、Vandendriessche et al. (1993) Tetrahedron 49:7223に記載)および/またはビシクロ糖アナログ(例えば、Tarkov M et al.(1993)Helv Chim Acta 76:481に記載)から選択される。 いくつかの実施形態では、糖は、2’−O−メチルリボースであり、特に、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオシド間結合によって結合された1個または両方のヌクレオチドに対するものである。 本発明で使用するためには、当該技術分野で周知の多数の方法のうち任意のものを用いて、本発明のオリゴヌクレオチドを新規に合成することができる。例えば、b−シアノエチルホスホルアミダイト法(Beaucage,S.L.,and Caruthers,M.H.,Tet.Let.22:1859,1981)、ヌクレオシドH−ホスホネート法(Garegg et al.,Tet.Let.27:4051−4054,1986;Froehler et al.,Nucl.Acid.Res.14:5399−5407,1986,;Garegg et al.,Tet.Let.27:4055−4058,1986,Gaffney et al.,Tet.Let.29:2619−2622,1988)である。市販されている種々の自動核酸合成機によって、これらの化学を実行することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと言及される。あるいは、T−リッチおよび/またはTGジヌクレオチドをプラスミド中で大量に生成し(Sambrook,T.,et al.,「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」, Cold Spring Harbor laboratory Press,New York,1989を参照せよ)、より小片に分離するか、または全体として投与することができる。制限酵素、エキソヌクレーアゼ、またはエンドヌクレアーゼを用いる技術等の既知の技術を用いて、既存の核酸配列(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)から核酸を調製することができる。 ホスホルアミダイトまたはH−ホスホネート化学のいずれかを利用した自動化技術を用いて、ホスホロチオエート等の修飾骨格を合成することができる。例えば、米国特許第4,469,863号に記載されるように、アリール−ホスホネートおよびアルキル−ホスホネートを生成することができる。市販の試薬を用いた自動化固相合成によって、アルキルホスホトリエステル(米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されるように、荷電酸素部分がアルキル化されている)を調製することができる。他のDNA骨格修飾および置換を生成する方法について記載されている(例えば、Uhlmann,E.and Peyman,A.,Chem.Rev.90:544,1990;Goodchild,J.,Bioconjugate Chem.1:165,1990)。 この方法で調製された核酸は、単離された核酸と言及される。一般に、「単離された核酸(isolated nucleic acid)」とは、天然で核酸が通常関連する成分から分離された核酸を指す。一例としては、単離された核酸は、細胞から、核から、ミトコンドリアから、またはクロマチンから分離されたものでありうる。 核酸ベクター中でコードされる抗原と組み合わせて核酸を投与する場合(本明細書に記載されるように)、該核酸の骨格は、リン酸ジエステルおよびホスホロチオエート(または他のリン酸エステル修飾)のキメラ的な組合せであるのが好ましい。細胞は、完全なホスホロチオエート核酸の存在下でプラスミド・ベクターを取り込む上で問題があるかもしれない。したがって、ベクターおよび核酸両方を被験体に送達する際は、該核酸は、キメラ骨格を有するか、またはホスホロチオエート骨格を有すことが好ましいが、プラスミドを直接細胞に送達する担体と該プラスミドを関連させることによって、細胞内取り込みの必要性を無くすことが好ましい。このような担体は、当該技術分野で公知であり、例えば、リポソームおよび遺伝子銃が挙げられる。 本発明は、上述のこれらの核酸の任意のものを本明細書で列挙した方法で用いることと、先に記載され、かつ既知であるように免疫刺激性核酸を用いることの全てとをさらに包括する。 該免疫刺激性核酸は免疫刺激効果を驚くほど増加させることが本発明により発見された。例えば、本明細書に記載される核酸は、恐らく免疫系を概ね刺激することによって、感染に対する保護を与えることができることが実証された。実施例では、配列番号1、配列番号19、配列番号45、配列番号118、または配列番号141のヌクレオチド配列を有する核酸の、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)に攻撃されたマウス被験体を保護する能力を例証する。ウイルス攻撃の前にまたはウイルス攻撃と同時に、該核酸を投与することができる。 免疫刺激を誘導すると実証されたこれらの核酸の能力は、該核酸が、ヒトおよび他の被験体で、ワクチン接種と、癌免疫療法と、喘息免疫療法と、免疫機能の全面的な増強と、放射線または化学療法後の造血回復の増強と、他の免疫調節処理とに効果的な治療薬であることの証拠である。 本発明の核酸を独立型の療法として用いることができる。独立型の療法は、単一の薬剤または組成物の投与から予防的または治療的に有用な結果を達成することができる療法である。したがって、感染症、癌、ならびに喘息およびアレルギーの予防または処置で、本明細書に記載される核酸を単独で用いることができる。この理由は、該核酸は、これらの疾患の治療成果に有用な免疫応答を誘導することができるためである。本明細書に記載される方法のいくつかは、独立型の療法としての核酸の使用に関し、一方で、他の方法は、他の治療薬と組み合わせた核酸の使用に関連する。 ワクチン中で使用される際、核酸は抗原とともに投与される。好ましくは、該抗原は、予防または処置を要する障害に特異的である。例えば、障害が感染症である場合、抗原は、好ましくは、感染性生物(例えば、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌類等)に由来する。障害が癌である場合、抗原は、好ましくは、癌抗原である。 免疫刺激性核酸は、感染(すなわち、感染症)、癌、アレルギー、または喘息の予防のための予防ワクチンとして本発明のいくつかの態様で有用である。好ましくは、これらの症状の1つに罹っていると診断されていない被験体に、より好ましくは、これらの症状の1つを発症する危険性があると考えられる被験体に、予防的ワクチン接種を用いる。例えば、被験体は、感染性生物による感染症を発症する危険性のあるものか、特異的な癌抗原が特定された癌を発症する危険性のあるものか、アレルゲンが既知であるアレルギーを発症する危険性のあるものか、喘息になりやすい素因が既知である喘息を発症する危険性のあるものかでありうる。 本明細書で使用するように、危険性のある被験体は、感染原因病原体、発癌物質、またはアレルゲンにさらされる何らかの危険性を有する被験体である。危険性のある被験体は、そのような障害を発症しやすい素因を有する被験体も含む。いくつかの素因は遺伝性でありうる(したがって、遺伝分析または家族歴のいずれかによって同定されうる)。いくつかの素因は、環境性である(例えば、発癌物質に事前にさらされること等)。感染症を発症する危険性のある被験体の例としては、特定種類の感染因子が検出される、もしくは検出された地域に住んでいるか、または旅行すると予期される被験体、あるいは感染性生物を含有する可能性のある体液と接触することによって、生活様式または医療処置を介して生物に直接的または間接的にさらされる被験体でありうる。感染症を発症する危険性のある被験体は、医療機関により特定の感染性生物に対するワクチン接種を推奨された一般集団も含む。 抗原がアレルゲンであり、かつ被験体がその特定の抗原にアレルギー応答を発症し、かつ被験体が抗原にさらされる可能性がある(すなわち、花粉の季節に)場合、その被験体は、抗原にさらされる危険性がある。喘息へのアレルギーを発症する危険性のある被験体としては、アレルギーまたは喘息に罹っていると特定されたが、免疫刺激性核酸処置中には活性疾患がない被験体と、遺伝的または環境的要因のためにこれらの疾患を発症する危険性があると考えられる被験体とが挙げられる。 免疫刺激性核酸は、感染症、アレルギー、または癌に対するより短期の保護のために、抗原またはアレルゲン無しで与えることもでき、この場合、繰り返される投与量によって、より長期の保護が可能になる。 癌を発症する危険性のある被験体は、癌を発症する可能性が高い(例えば、一般大衆内での可能性より高い可能性)ものである。これらの被験体としては、例えば、遺伝的異常を有する被験体(該遺伝的異常の存在は、一般大衆内での可能性より高い癌発症の可能性に相関関係を有すると実証されている)、タバコ、アスベスト、または他の化学的毒素等の癌原因因子(すなわち、発癌物質)にさらされた被験体、あるいは以前に癌を処置し、かつ表面上は寛解状態である被験体が挙げられる。癌を発症する危険性のある被験体が、該被験体が発症する危険性のある癌の種類に特異的な抗原と、免疫刺激性核酸とで処置される際、該被験体は、癌細胞が発達するにつれて該癌細胞を殺滅することができるかもしれない。腫瘍が被験体内で形成され始めると、該被験体は、腫瘍抗原に対して特異的な免疫応答を発生させる。 予防策として免疫刺激性核酸を用いることに加えて、本発明は、感染症、アレルギー、喘息、または癌に罹っている被験体の処置のために免疫刺激性核酸を用いることも包括する。 感染症に罹っている被験体は、感染性病原体にさらされ、かつ体内または排泄物中で、急性または慢性的に検出可能なレベルの病原体を有する被験体である。治療的に用いられる場合、免疫刺激性核酸を独立型として、または別の治療薬と組み合わせて用いることができる。例えば、感染性病原体のレベルを減少させるか、または感染性病原体を除去することができる抗原特異的全身性または粘膜性免疫応答を高める抗原とともに、免疫刺激性核酸を治療的に用いることができる。 本明細書で使用するように、感染症は、体内の外来微生物の存在によって生じる疾患である。効果的なワクチン戦略と、主な病原体侵入部位である体の粘膜表面を保護する処置とを展開することが特に重要である。 本明細書で使用するように、感染症に関して用いられる際の処置する(treat)、処置される(treated)、または処置している(treating)という用語は、病原体の感染への被験体(感染の危険性のある被験体)の耐性を増加させる予防的処置を指し、または別の言い方をすれば、被験体が病原体に感染する可能性を減少させる予防的処置と、感染と闘う(例えば、感染を低減もしくは除去するか、または悪化することを防ぐ)ための被験体(感染した被験体)が感染した後の処置とを指す。 アレルギーに罹っている被験体は、アレルゲンに応答したアレルギー反応を有するか、またはアレルギー反応を発症する危険性のある被験体である。アレルギーとは、物質(アレルゲン)への後天性の過敏症を指す。アレルギー症状としては、限定はされないが、湿疹、アレルギー性鼻炎またはコリーザ、枯草熱、結膜炎、気管支喘息、蕁麻疹(じんましん)および食物アレルギー、ならびに他のアトピー性症状が挙げられる。 現在、アレルギー性疾患は、一般に、少量の抗原の注射後に、続いて、抗原の投与量を増加させることによって処置される。この方法は、アレルゲンへの寛容化を誘導し、更なるアレルギー反応を防ぐと考えられている。しかし、これらの方法は、効果的になるまでに数年かかる可能性があり、アナフィラキシー・ショック等の副作用の危険性と関連する。本発明の方法は、これらの問題を回避する。 アレルギーは、一般に、無害なアレルゲンに対するIgE抗体生成によって引き起こされる。免疫刺激性核酸の全身または粘膜投与によって誘導されるサイトカインは、大部分は、Th1(例としては、IL−12およびIFN−γがある)と呼ばれるクラスのサイトカインであり、これらは、体液性および細胞性免疫応答両方を誘導する。Th1応答に関連する抗体の種類は、高中和能力およびオプソニン作用能力を有するため、一般に、より保護的である。免疫応答の他の主要な種類は、IL−4,IL−5、およびIL−10サイトカインの生成に関連しており、Th2免疫応答と称される。Th2応答は、大部分は、抗体を伴い、感染に対する保護的な効果は少なく、いくつかのTh2アイソタイプ(例えば、IgE)は、アレルギーに関連する。一般に、アレルギー性疾患は、Th2型免疫応答によって媒介され、一方で、過剰なTh1応答は自己免疫疾患に関連するが、Th1応答は、感染に対する最善の保護を与えるようである。Th2(IgE抗体およびアレルギーの生成に関連する)からTh1応答(アレルギー反応に対して保護的である)へ被験体の免疫応答を移行させる免疫刺激性核酸の能力にもとづいて、免疫刺激性核酸の免疫応答を誘導するのに有効な投与量を被験体に投与して、アレルギーを処置または予防することができる。 したがって、免疫刺激性核酸は、喘息等のアレルギー性および非アレルギー性症状の処置で有意な治療的有用性を有する。Th2サイトカイン、特にIL−4およびIL−5は、喘息被験体の気道で増加する。これらのサイトカインは、IgEアイソトープ・スイッチング、好中球遊走および活性化、ならびにマスト細胞増殖を含む喘息性炎症応答の重要な態様を促進する。Th1サイトカイン、特にIFN−γおよびIL−12は、Th2クローンの形成およびTh2サイトカインの生成を抑制することができる。喘息とは、炎症、気道の狭小化、および吸入した因子への気道の反応性の増加に特徴付けられる呼吸器系の障害を指す。喘息は、しばしば、限定はされないがアトピーまたはアレルギー症状と関連する。 癌に罹っている被験体は、検出可能な癌細胞を有する被験体である。癌は、悪性または非悪性癌でありうる。癌または腫瘍としては、限定はされないが、胆道癌、脳癌、乳癌、子宮頸癌、絨毛膜癌、結腸癌、子宮体癌、食道癌、胃癌、上皮内癌新生物、リンパ腫、肝癌、肺癌(例えば小細胞と非小細胞)、黒色腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、および腎癌と、他の癌腫および肉腫とが挙げられる。一実施形態では、癌は、毛様細胞性白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、有棘細胞癌、腎細胞癌腫、前立腺癌腫、膀胱細胞癌腫、または結腸癌腫である。 いくつかの癌細胞は、抗原性であるため、免疫系の標的となり得る。一局面では、免疫刺激性核酸と制癌剤、特に癌免疫療法として分類されるものとを組み合わせた投与は、癌抗原に対する特異的な免疫応答を刺激するために有用である。 免疫監視の理論は、免疫系の主要な機能が腫瘍形成前に新生物細胞を検出および除去するということである。この理論の基本原理は、癌細胞が正常細胞と抗原的に異なるので、免疫学的に不適合な同種移植片の拒絶を引き起こす免疫反応と類似の免疫反応を誘発するということである。研究によって、腫瘍細胞は、それらの抗原発現が、定性的または定量的に異なるということが確認された。そのような抗原は、交換可能に、腫瘍抗原または癌抗原と言及される。次いで、これらの抗原のうちいくつかは、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原であり得る。「腫瘍特異的抗原(tumor−specific antigen)」とは、腫瘍細胞に特異的に存在するが正常細胞には存在しない抗原である。主要特異的抗原の例は、DNAウイルスまたはRNAウイルスによって誘導される腫瘍中のウイルス抗原である。「腫瘍関連(tumor−associated)」抗原は、腫瘍細胞および正常細胞両方に存在するが、腫瘍細胞では異なる量または異なる形態で存在する。そのような抗原の例は、腫瘍胎児性抗原(例えば、癌胎児性抗原)、分化抗原(例えば、T抗原およびTn抗原)および癌遺伝子産物(例えば、HER/neu)である。 インビトロおよびインビボで腫瘍標的を殺滅することができる種々の種類の細胞が同定されている:ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、細胞溶解性Tリンパ球(CTL)、リンホカイン活性化キラー細胞(LAK)、および活性化マクロファージである。NK細胞は、予め特異的な抗原に感作されることなく腫瘍細胞を殺滅することができ、その活性は、標的細胞上の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によりコードされるクラスI抗原の存在を必要としない。NK細胞は、新生腫瘍の制御と、転移性増殖の制御とに関与すると考えられる。NK細胞と対照的に、CTLは、腫瘍抗原に感作された後で、かつ標的抗原が、MHCクラスIも発現する腫瘍細胞上で発現するときのみに、腫瘍細胞を殺滅することができる。CTLは、移植腫瘍およびDNAウイルスが原因の腫瘍の拒絶でのエフェクター細胞であると考えられる。LAK細胞は、NK集団およびCTL集団とは異なる、ヌルのリンパ球のサブセットである。活性化マクロファージは、一旦活性化されたら、抗原依存性でなく、MCHに限定的でもない様式で腫瘍細胞を殺滅することができる。活性化マクロファージは、それらが浸潤した腫瘍の増殖速度を減少させると考えられる。インビトロアッセイにより、抗体および補体によって、抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性反応および溶解等の他の免疫機構が同定された。しかし、これらの免疫エフェクター機構は、インビボでのNK、CTL、LAK、およびマクロファージの機能ほどにはインビボでは重要ではないと考えられる(概説については、Piessens,W.F.,およびDavid,J.,「Tumor Immunology」,Scientific American Medicine,第2巻,Scientific American Books,N.Y.,1−13頁,1996を参照のこと)。 免疫療法の目標は、樹立された腫瘍への患者の免疫応答を増大させることである。免疫療法の一方法としては、アジュバントの使用が挙げられる。カルメット−ゲラン杆菌等の微生物に由来するアジュバント物質は、動物内で、免疫応答を高め、腫瘍への耐性を増強する。 本明細書で使用する場合、「抗原(antigen)」とは、免疫応答を誘発することができる分子である。抗原としては、限定はされないが、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、多糖結合体、多糖および他の分子のペプチドおよび非ペプチド模倣体、低分子、脂質、糖脂質、糖質、ウイルスおよびウイルス抽出物、ならびに寄生虫およびアレルゲン等の多細胞生物が挙げられる。抗原という用語には、大まかに言って、宿主の免疫系に外来であると認識される任意の種類の分子が含まれる。抗原としては、限定はされないが、癌抗原、微生物抗原、およびアレルゲンが挙げられる。 本明細書で使用する場合、「微生物抗原(microbial antigen)」とは、微生物の抗原であり、限定はされないが、ウイルス、細菌、寄生虫、および真菌類が挙げられる。そのような抗原としては、インタクトな微生物と、その天然の単離物およびフラグメントまたは誘導体とが挙げられ、天然の微生物抗原と同一または類似であり、かつその微生物に特異的な免疫応答を誘導する合成化合物も挙げられる。化合物は、天然の微生物抗原への免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘導する場合、天然の微生物抗原に類似である。そのような抗原は、当該技術分野で慣用的に用いられており、当業者には周知である。 本明細書で使用する場合、「癌抗原(cancer antigen)」とは、腫瘍または癌細胞に存在するペプチドまたはタンパク質等の化合物であって、MHC分子に関連して抗原提示細胞の表面上に発現する際、免疫応答を誘発することができる化合物である。癌細胞の粗抽出物を調製する(例えば、Cohenら,1994,Cancer Research,54:1055に記載されるように)ことによってか、抗原を部分的に精製することによってか、組み換え技術によってか、または既知の抗原の新規合成によって癌細胞から癌抗原を調製することができる。癌抗原としては、限定はされないが、組み換え的に発現する抗原、腫瘍または癌の免疫原性部分、あるいは腫瘍または癌全体が挙げられる。組み換え的に、または当該技術分野で公知の他の手段の任意のものによって、そのような抗原を単離または調製することができる。 癌細胞によって癌または腫瘍抗原を差次的に発現させることによって、癌細胞をターゲティングするために該癌または腫瘍抗原を利用することができる。これらの抗原のうちいくつかは、必ずしも発現するわけではないが、正常細胞によってコードされる。正常細胞中で正常にはサイレント(すなわち、発現しない)なもの、分化の特定の段階のみで発現するもの、ならびに胚性および胎児性抗原等の一時的に発現するものとしてこれらの抗原を特徴づけることができる。他の癌抗原は、癌遺伝子(例えば、活性化ras癌遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば、変異p53)、内部欠失または染色体転座に起因する融合タンパク質等の変異細胞遺伝子にコードされる。さらに他の癌抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルス上で保持されるもの等のウイルス遺伝子によってコードされ得る。 本発明のいくつかの局面では、被験体は、抗原「にさらされる(exposed to)」。本明細書で使用する場合、用語「〜にさらされる(exposed to)」とは、抗原に被験体を接触させる能動的な工程か、またはインビボで抗原に被験体を受動的にさらすことのいずれかを指す。抗原に被験体を能動的にさらす方法は、当該技術分野で周知である。一般に、静脈内投与、筋肉内投与、経口投与、経皮投与、粘膜投与、鼻腔内投与、気管内投与または皮下投与等の任意の手段によって、抗原を被験体に直接投与する。抗原を全身的または局所的に投与することができる。抗原および免疫刺激性核酸を投与する方法については、下記により詳細に記載する。体内の免疫細胞への曝露に抗原が利用可能である場合は、被験体を抗原に受動的にさらす。例えば、体内へ外来病原体を侵入させることによってか、または細胞表面上に外来抗原を発現する腫瘍細胞を発生させることによって、被験体を抗原に受動的にさらし得る。 被験体を抗原に受動的にさらす方法は、免疫刺激性核酸の投与のタイミングに特に依存し得る。例えば、癌または感染症またはアレルギーもしくは喘息性応答を発症する危険性のある被験体では、危険性が最大のとき、すなわち、アレルギーの季節中または癌原因因子にさらされた後に、該被験体に免疫刺激性核酸を定期的に投与することができる。さらに、感染因子にさらされる危険性のある外国に旅行する前に、旅行者に免疫刺激性核酸を投与することができる。同様に、生物戦争にさらされる危険性のある兵士または市民に免疫刺激性核酸を投与し、被験体が生物戦争にさらされるとき、または仮にさらされるとすれば、抗原への全身性または粘膜性免疫応答を誘導することができる。 いくつかの好ましい実施形態では、投与が局所的であるが、核酸および他の治療剤を全身的に投与することができる。局所的投与は、口、膣、肛門、および陰茎の粘膜表面等の粘膜表面への局所的な塗布を含んでよい。投与が局所的、特に膣、肛門、および口の粘膜表面に対してである実施形態では、核酸は、CpG核酸以外のものであることが好ましい。 特定の実施形態では、本発明は、非メチル化CpG核酸の局所的粘膜投与を用いて、HIV−1、HIV−2、HIV−3、HTLV−I、HTLV−II、HTLV−III、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、単純疱疹ウイルス(HSV)1型および2型、パピローマウイルス、Neisseria gonorrhoeae、Treponema pallidum、Campylobacter sp.、サイトメガロウイルス(CMV)、Chlamydia trachomatis、ならびにCandida albicansが原因のヒト性感染病(STD)を予防または処置することを意図する。 本明細書で使用する場合、STDは、限定はされないが、性交を介して主に伝染する感染症である。感染した被験体との性的接触を介して伝染することに加えて、いくつかのSTDは、感染した被験体の体液との接触を介しても伝染し得る。本明細書で使用する場合、「体液(bodily fluid)」としては、血液、唾液、精液、膣液、尿、糞便、および涙が挙げられる。STDは、最も一般的には、血液、唾液、精液、および膣液を介して伝染する。一例としては、血液および血液製剤輸血は、HIVおよび肝炎ウイルスを含む多くの性病病原体に共通の伝染様式である。 性病病原体は、一般に、事実上、細菌性、ウイルス性、寄生虫性、または真菌性である。STDを引き起こす生物としては、Neisseria gonorrhoeae、Chlamydia trachomatis、Treponema pallidum、Haemophilus ducreyi、Condyloma acuminata、Calymmatobacterium granulomatis、およびUreaplasma urealyticum等の細菌と、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV−1およびHIV−2)、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型(HTLV−I)、単純疱疹ウイルス2型(HSV−2)、ヒトパピローマウイルス(複数型)、B型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、および伝染性軟属腫ウイルス等のウイルスと、Trichomonas vaginalisおよびPhthirus pubis等の寄生虫と、Candida albicans等の真菌類とが挙げられる。 他の感染症は、性的伝染がそれらの主要な伝染様式でないとしても性的に伝染することが知られている。この後者のカテゴリーとしては、Mycoplasma hominis、Gardnerella vaginalis、およびB群溶連菌等の細菌と、ヒトTリンパ球向性ウイルスII型(HTLV−II)、C型およびD型肝炎ウイルス、単純疱疹ウイルスI型(HSV−1)およびエプスタインバーウイルス(EBV)等のウイルスと、Sarcoptes scabiei等の寄生虫とが原因の感染症が挙げられる。 本発明は、経口および糞便曝露を含む性的接触によって伝染するSTDを包括することも意図する。これらのSTDは、Shigella spp.およびCampylobacter spp.等の細菌と、A型肝炎等のウイルスと、Giardia lambliaおよびEntamoeba histolytica等の寄生虫とが原因である。 「その必要がある被験体(subject in need thereof)」とは、STDを発症する危険性のある被験体またはSTDに罹っているもの(すなわち、STDに罹っている被験体)であり得る。 核酸は、STDを発症する危険性のある被験体のSTDを予防するための予防策としていくつかの局面で有用である。本明細書で使用する場合、「STDを発症する危険性のある被験体(subject at risk of developing an STD)」とは、感染した被験体との接触によってか、または感染した被験体由来の体液との接触によって、STDを発症する何らかの危険性を有する被験体である。例えば、危険性のある被験体は、STD原因病原体に感染した性交渉相手が現在いる、または将来いる予定であるものである。危険性のある被験体としてはまた、自身が、またはその相手が既存の感染症に気づいているかどうかに関わらず、コンドーム(すなわち、男性用または女性用コンドーム)を使わずに、口、肛門、または膣のいずれかでの性交を持つこと等の無防備な性的行為に関与したものが挙げられる。複数の性交渉の相手を持つ被験体(例えば、売春婦または頻繁に売春をしているもの)あるいは複数の性交渉相手がいる1人の性交渉相手を持つ被験体でさえも危険性にあると考えられる。STDを発症する危険性のある他の被験体は、皮下針の共有等の危険性の高い伝染行為の他の形態に関与した被験体である。血液製剤を受けている被験体も、特に血液供給システムの監視が厳しくない場合、危険性にあると考えられ得る。この後者のカテゴリーの被験体の例は、STD原因病原体(例えば、HIV)に部分的または完全に汚染された血液供給システムを有するサハラ以南のアフリカ諸国にいる被験体である。危険性のある被験体は、1つ以上のSTD原因病原体が一般的な地域への旅行を計画しているもの(特に、該地域の血液供給システムにそのような病原体が存在することが知られている場合)でもあり得る。危険性のある別の被験体は、他人の体液との潜在的な接触を含む職業を持つものである。この後者のカテゴリーの例としては、限定はされないが、看護士、医者、歯医者、および救急隊員(例えば、救急車の隊員、救急医療士、消防士、および警察官)が挙げられる。危険性のある被験体としては、STD原因病原体に感染した母親から生まれる胎児および新生児も挙げられる。 STD原因病原体の伝染に関連する前述の活動の全ては、「危険性の高い活動(high risk activity)」とも言及される。被験体の危険性の高い活動への関与時の前、関与時中、または関与時の後に、組み合わせて用いられる核酸および他の潜在的な予防または治療薬を投与することができる。性的行為に関与する前に核酸を投与される被験体は、例えば、性交を持つ前少なくとも1ヶ月、少なくとも1週間、少なくとも48時間、少なくとも24時間、少なくとも12時間、少なくとも6時間、少なくとも4時間、少なくとも2時間(または本明細書で時間を明確に列挙した時間の間の任意の時間)、核酸を受けることができる。好ましくは、危険性の高い活動に関与する前の投与の時間は、被験体の体内に感染因子が存在している間活性であるように免疫系を活性化するのに十分な時間である。危険性の高い活動に関与した後に核酸を投与される被験体は、危険性の高い活動に関与した後2時間以内、4時間以内、6時間以内、12時間以内、24時間以内、48時間以内、3、4、5、6、7、14、28日以内またはそれより長い日数以内(または本明細書で時間を明確に列挙した時間の間の任意の時間)に核酸を受けることができる。 好ましくは、被験体は、非げっ歯類被験体である。非げっ歯類被験体とは、限定はされないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、霊長類(例えば、サル)、魚(水産養殖種、例えばサーモン)を含み、かつ特にラットおよびマウス等のげっ歯類を除くヒトまたは脊椎動物を意味する。 抗原は、腫瘍、非腫瘍癌、アレルゲン、感染性病原体を含む種々のソースに由来することができる。本明細書に列挙したリストのそれぞれは限定することを意図するものではない。 ヒトで見出されるウイルスの例としては、限定はされないが、Retroviridae(例えば、HIV−1等のヒト免疫不全症ウイルス(HTLV−III、LAV、またはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも言及される)およびHIV−LP等の他の単離体と、Picornaviridae(例えば、ポリオ・ウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒト・コクサッキー・ウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス)と、Calciviridae(例えば、胃腸炎の原因となる株)と、Togaviridae(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス)と、Flaviridae(例えば、デング・ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス)と、Coronoviridae(例えば、コロナウイルス)、Rhabdoviradae(例えば、水疱性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス)と、Coronaviridae(例えば、コロナウイルス)と、Rhabdoviradae(例えば、水疱性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス)と、Filoviridae(例えば、エボラ・ウイルス)と、Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザ・ウイルス、ムンプス・ウイルス、はしかウイルス、呼吸系発疹ウイルス)と、Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザ・ウイルス)と、Bunyaviridae(例えば、ハンタン・ウイルス、ブンヤ・ウイルス、フレボウイルス、およびナイロ・ウイルス)と、Arena viridae(出血熱ウィルス)と、Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルス、およびロタウイルス)と、Birnaviridaeと、Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス)と、Parvovirida(パルボウイウルス)と、Papovaviridae(パピローマ・ウイルス、ポリオーマ・ウイルス)と、Adenoviridae(大部分のアデノウイルス)と、Herpesviridae(単純ヘルペス(HSV)1型および2型、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペス・ウイルス)と、Poxviridae(痘瘡ウイルス、ワクシニア・ウイルス、ポックス・ウイルス)と、Iridoviridae(例えば、アフリカ豚コレラウイルス)と、未分類ウイルス(例えば、海綿状脳障害の病因因子、デルタ型肝炎の因子(B型肝炎の欠損サテライトであると考えられる)、非A型および非B型肝炎の因子(クラス1は、内部伝染性、クラス2は、非経口的伝染性(すなわち、C型肝炎))、ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)とが挙げられる。 微生物抗原の多くについて、ヒト疾患と関連させて本明細書で記載したが、本発明は、他の非ヒト疾患を処置するためにも有用である。非ヒト脊椎動物も、本明細書に記載する免疫刺激性核酸で予防または処置できる感染症を発症しうる。例えば、感染性ヒト疾患の処置に加えて、本発明の方法は、動物の感染症を処置するために有用である。 グラム陰性およびグラム陽性細菌両方は、脊椎動物中で抗原として機能する。そのようなグラム陽性細菌としては、限定はされないが、Pasteurella種、Staphylococci種、およびStreptococcus種が挙げられる。グラム陰性細菌としては、限定はされないが、Escherichia coli、Pseudomonas種、およびSalmonella種が挙げられる。感染性細菌の特定の例としては、限定はされないが、Helicobacter pyloris、Borelia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria sps(例えば、M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaii、M.gordonae)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria ruonocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、Streptococcus(viridans群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(anaerobic種)、Streptococcus pneumoniae、病原性Campylobacter sp.、Enterococcus sp.、Haemophilus influenzae、Bacillus antracis、corynebacterium diphtheriae、corynebacterium sp.、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringers、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides sp.、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、Rickettsia、およびActinomyces israelliが挙げられる。 細菌病原体のポリペプチドとしては、限定はされないが、フルンケル症の原因となる鉄調節外膜タンパク質(IROMP)、外膜タンパク(OMP)、およびAeromonis salmonicidaのAタンパク質と、細菌性腎疾患(BKD)の原因となるRenibacteriumのp57タンパク質と、エルシニア症の主要表面関連抗原(major surface associated antigen(msa))と、表面発現細胞毒素(surface expressed cytotoxin(mpr))、表面発現溶血素(surface expressed hemolysin(ish))、および鞭毛抗原と、パツスレラ症の細胞外タンパク質(ECP)、鉄調節外膜タンパク質(IROMP)、および構造タンパク質と、Vibrosis anguillarumおよびV. ordaliiのOMPおよび鞭毛タンパク質と、Edwardsiellosis ictaluriおよびE.tardaの鞭毛タンパク質、OMPタンパク質、aroA、およびpurAと、Ichthyophthiriusの表面抗原と、Cytophaga columnariの構造および調節タンパク質と、Rickettsiaの構造および調節タンパク質とが挙げられる。 寄生虫性病原体のポリペプチドとしては、限定はされないが、Ichthyophthiriusの表面抗原が挙げられる。 真菌類の例としては、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、Chlamydia trachomatis、Candida albicansが挙げられる。他の感染性生物(すなわち、原生生物)としては、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium ovale、およびPlasmodium vivax等のPlasmodium種と、Toxoplasma gondiiとが挙げられる。血液由来および/または組織寄生虫としては、Plasmodium種、Babesia microti、Babesia divergens、Leishmania tropica、Leishmania種、Leishmania braziliensis、Leishmania donovani、Trypanosoma gambiense、およびTrypanosoma rhodesiense(アフリカ睡眠病)、Trypanosoma cruzi(シャガス病)、ならびにToxoplasma gondiiとが挙げられる。他の医学的に関連する微生物については、文献に広範に記載されている。例えば、C.G.A Thomas,Medical Microbiology,Bailliere Tindall,Great Britain 1983を参照し、該文献の全内容を本明細書で援用する。 非ヒト脊椎動物の処置用の多くのワクチンについては、Bennett,K.Compendium of Veterinary Products,3rd ed.North American Compendiums,Inc.,1995に記載されている。上述のように、抗原としては、天然のソースに由来するか、または合成されたウイルス、寄生虫、細菌、および真菌類等の微生物と、それらのフラグメントとが挙げられる。ヒトおよび非ヒト脊椎動物の感染性ウイルスとしては、レトロウイルス、RNAウイルス、およびDNAウイルスが挙げられる。この群のレトロウイルスとしては、単一レトロウイルスおよび複合ウイルス両方が挙げられる。単一レトロウイルスとしては、B型レトロウイルス、C型レトロウイルス、およびD型レトロウイルスのサブグループが挙げられる。B型レトロウイルスの例としては、マウス乳癌ウイルス(MMTV)がある。C型レトロウイルスとしては、C型A群(ラウス肉腫ウイルス(RSV)、トリ白血病ウイルス(ALV)、およびトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)を含む)と、C型B群(ネコ白血病ウイルス(FeLV)、テナガザル白血病(GALV)、脾臓壊死ウイルス(SNV)、細網内皮症ウイルス(RV)、およびサル肉腫ウイルス(SSV)を含む)とのサブグループが挙げられる。D型レトロウイルスとしては、メーソン−ファイザー・モンキー・ウイルス(MPMV)およびサル・レトロウイルス1型(SRV−1)が挙げられる。複合レトロウイルスとしては、レンチウイルス、T細胞白血病ウイルス、およびフォーミー・ウイルスのサブグループが挙げられる。レンチウイルスとしては、HIV−1が挙げられるが、HIV−2、SIV、ビスナウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)も挙げられる。T細胞白血病ウイルスとしては、HTLV− 1、HTLV−II、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、およびウシ白血病ウイルス(BLV)が挙げられる。フォーミー・ウイルスとしては、ヒト・フォーミー・ウイルス(HFV)、サル・フォーミー・ウイルス(SFV)、およびウシ・フォーミー・ウイルス(BFV)が挙げられる。 脊椎動物中の抗原である他のRNAウイルスの例としては、限定はされないが、Orthoreovirus属(哺乳類および鳥類両方のレトロウイルスの複数の血清型)、Orbivirus属(ブルータング・ウイルス、Eugenangeeウイルス、ケメロヴォ・ウイルス、アフリカウマ病ウイルス、およびコロラド・ダニ熱ウイルス)、Rotavirus属(ヒト・ロタウイルス、ネブラスカ仔牛下痢ウイルス、サル・ロタウイルス、ウシまたはヒツジ・ロタウイルス、トリ・ロタウイルス)を含むReoviridaeファミリーのメンバーと、Enterovirus属(ポリオウイルス、コクサッキー・ウイルスA型およびB型、腸細胞壊死性ヒト孤児(ECHO)ウイルス、A型肝炎ウイルス、サル・エンテロウイルス、マウス脳脊髄炎(ME)ウイルス、ポリオウイルス・ムリス(Poliovirus muris)、ウシ・エンテロウイルス、ブタ・エンテロウイルス)、Cardiovirus属(脳心筋炎ウイルス(EMC)、メンゴウイルス)、Rhinovirus属(少なくとも113個のサブタイプを含むヒト・ライノウイルス、他のライノウイルス)、Apthovirus属(口蹄疫(FMDV))を含むPicornaviridaeファミリーと、ブタ小水疱性発疹ウイルス、サンミグエルアザラシ・ウイルス、ネコ・ピコルナウイルス、およびノーウォーク・ウイルスを含むCalciviridaeと、Alphavirus属(東部ウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビス・ウイルス、チクングニア・ウイルス、オニョンニョン・ウイルス、ロス・リバー・ウイルス、ベネズエラ・ウマ脳炎ウイルス、西洋ウマ脳炎ウイルス)、Flavirius属(蚊媒介黄熱ウイルス、デング・ウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレー・バレー脳炎ウイルス、西ナイル・ウイルス、クンジン・ウイルス、中欧ダニ媒介ウイルス、極東ダニ媒介ウイルス、キィアサヌア・フォレスト・ウイルス、跳躍病ウイルス、ポーワッサン・ウイルス、オムスク出血熱ウイルス)、Rubivirus属(風疹ウイルス)、Pestivirus属(粘膜病ウイルス、ブタ・コレラ・ウイルス、ボーダー病ウイルス)を含むTogaviridaeファミリーと、Bunyavirus属(ブニヤンベラおよび関連ウイルス、カリフォルニア脳炎群ウイルス)、Phlebovirus属(シシリア・サシチョウバエ・ウイルス、リフト・バレー熱ウイルス)、Nairovirus属(クリミア‐コンゴ出血熱ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス)、およびUukuvirus属(ウウクニエミ(Uulcuniemi)および関連ウイルス)を含むBunyaviridaeファミリーと、Influenzaウイルス属(インフルエンザ・ウイルスA型、多くのヒト・サブタイプ)、ブタ・インフルエンザ・ウイルス、トリ・インフルエンザ・ウイルス、およびウマ・インフルエンザ・ウイルス、インフルエンザB型(多くのヒト・サブタイプ)、およびインフルエンザC型(恐らく別の属)を含むOrthomyxoviridaeファミリーと、Paramyxovirus属(パラインフルエンザ・ウイルス1型、センダイ・ウイルス、赤血球吸着ウイルス、パラインフルエンザ・ウイルス2型ないし5型、ニューカッスル病ウイルス、おたふくかぜウイルス)、Morbillivirus属(はしかウイルス、亜急性硬化性全脳炎ウイルス、ジステンパーウイルス、牛疫ウイルス)、Pneumovirus属(呼吸器系合胞体ウイルス(RSV)、ウシ呼吸器系合胞体ウイルス、および肺炎ウイルス)を含むparamyxoviridaeファミリーと、Vesiculovirus属(VSV)(ウイルス性脳炎(Chandipura)ウイルス、フランダース・ハート・パーク(Flanders−Hart Park)ウイルス)、Lyssavirus属(狂犬病ウイルス)、魚Rhabdovirus、および2種類の可能なRhabdovirus(マールブルグ・ウィルスとエボラ・ウイルス)を含むRhabdoviridaeファミリーと、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)、タカリベ・ウイルス複合体、およびラッサ熱ウイルスを含むArenaviridaeファミリーと、感染性気管支炎ウイルス(IBV)、肝炎ウイルス、ヒト腸コロナ・ウイルス、およびネコ伝染性腹膜炎(ネコ・コロナウイルス)を含むCoronoaviridaeファミリーとが挙げられる。脊椎動物中の抗原である例証的なDNAウイルスとしては、限定はされないが、Orthopoxvirus属(大痘瘡、小痘瘡、サル痘瘡ワクシニア、牛痘、バッファロー痘、ウサギ痘、エクトロメリア)、Leporipoxvirus属(粘液腫、線維腫)、Avipoxvirus属(鶏痘、他のトリ・ポックスウイルス)、Capripoxvirus属(ヒツジ痘、ヤギ痘)、Suipoxvirus属(豚痘)、Parapoxvirus属(伝染膿疱性皮膚炎ウイルス、偽牛痘、ウシ丘疹性口炎ウイルス)を含むPoxviridaeファミリーと、Iridoviridaeファミリー(アフリカ豚コレラウイルス、カエル・ウイルス2型および3型、魚のリンパ嚢腫ウイルス)と、alpha−Ierpesviruses(単純ヘルペス1型および2型、水痘帯状疱疹、ウマ流産ウイルス、ウマ・ヘルペス・ウイルス2型および3型、仮性狂犬病ウイルス、ウシ伝染性角結膜炎ウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ネコ鼻気管炎ウイルス、伝染性喉頭気管炎ウイルス)、Beta−herpesviruses(ヒト・サイトメガロウイルスならびにブタおよびサルのサイトメガロウイルス)、gamma−herpesviruses(エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、マレック病ウイルス、リスザル・ヘルペス、クモザル・ヘルペスウイルス、ワタオウサギ・ヘルペスウイルス、モルモット・ヘルペスウイルス、リューケ癌ウイルス)を含むHerpesviridaeファミリーと、Mastadenovirus属(ヒトのサブグループA、B、C、D、E、および未分類、サル・アデノウイルス(少なくとも23の血清型)、伝染性イヌ肝炎、ならびにウシ、ブタ、ヒツジ、カエルおよび多くの他の種のアデノウイルス)、Aviadenovirus属(トリ・アデノウイルス)、および非培養可能アデノウイルスを含むAdenoviridaeファミリーと、Papillomavirus属(ヒト・パピローマ・ウイルス、ウシ・パピローマ・ウイルス、ウサギ・ショープ・パピローマ・ウイルス、他の種の種々の病原性パピローマ・ウイルス)、Polyomavirus属(ポリオーマウイルス、サル空胞化病原体(SV−40)、ラビット空胞化病原体(RKV)、Kウイルス、BKウイルス、JCウイルス、およびリンパ増殖性パピローマ・ウイルス等の他の霊長類ポリオーマ・ウイルス)を含むPapoviridaeファミリーと、Adeno−associated viruses属、Parvovirus属(ネコ汎白血球減少症ウイルス、ウシ・パルボウィルス、イヌ・パルボウィルス、アリューシャンミンク病ウイルス等)を含むParvoviridaeファミリーとが挙げられる。最後に、DNAウイルスは、クールーおよびクロイツフェルトヤコブ病ウイルス、ならびに慢性の伝染性の神経障害性因子(CHINAウイルス)等の上記のファミリーに適合しないウイルスを含んでよい。 免疫刺激性核酸を用いて、雌鶏、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガチョウ、ウズラ、およびキジ等の鳥類の抗原特異的免疫応答等の免疫応答を誘導することもできる。鳥類は、感染症の多くの種類に対する主要な標的である。 孵化した鳥は、出生の直後に病原性微生物にさらされる。これらの鳥は、最初は、母親由来の抗体によって病原体に対して保護されるが、この保護は一時的であり、鳥自体の免疫系が病原体に対して該鳥を保護し始めなければならない。最も感染しやすい時期の若年の鳥で感染を保護することが望ましい。鳥が閉鎖された地区に居住しており疾患が急速に広まる際は、より年齢の大きい鳥でも感染を予防することが望ましい。したがって、本発明の免疫刺激性核酸および非核酸アジュバントを鳥に投与して、抗原が存在する際は抗原特異的免疫応答を増強することが望ましい。 ニワトリで共通の感染症の例には、ニワトリ感染性貧血ウイルス(CIAV)がある。CIAVは、マレック病ワクチン接種調査の中断中に1979年に日本で始めて単離された(Yuasa et al.,1979, Avian Dis.23:366−385)。その時以来、CIAVは、家禽を生産している主な国の全てで、商業的家禽中で検出されてきた(van Bulow et al.,1991,pp.690−699)、Diseases of Poultry,9th edition,Iowa State University Press)。 CIAV感染によって、若年の感染しやすいニワトリで、貧血症、出血、および免疫抑制によって特徴づけられる臨床的疾患を生じる。胸腺および骨髄の萎縮と、CIAV感染ニワトリの一貫した病変もCIAV感染の特徴である。胸腺内およびしばしばファブリキウス嚢内のリンパ球涸渇によって、免疫抑制が生じ、2次的なウイルス、細菌、または真菌感染への感染しやすさが増加し、その後、このことによって疾患の経過が悪化する。免疫抑制は、マレック病ウイルス(MDV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、細網内皮症ウイルス、アデノウイルス、またはレオウイルスのうちの1種類以上への感染後に疾患の悪化を引き起こすかもしれない。MDVの病因は、CIAVによって増強されることが報告されている(DeBoer et al.,1989,p.28 In Proceedings of the 38th Western Poultry Diseases Conference,Tempe,Ariz.)。さらに、CIAVは、感染性ブルザ病の徴候を悪化させることが報告されている(Rosenberger et al.,1989,Avian Dis.33:707−713)。ニワトリは、CAAによって実験的に誘導された疾患への経年耐性を発展させる。このことは、2週齢までに本質的に完全なものになるが、より年齢の大きい鳥は、依然として感染しやすい(Yuasa, N. et al., 1979(上掲);Yuasa,N.et al.,Arian Diseases 24,202−209,1980)。しかし、ニワトリがCAAおよび免疫抑制剤(IBDV,MDV等)に二重に感染している場合、疾患に対する経年耐性は遅くなる(Yuasa,N.et al.,1979および1980(上掲);Bulow von V.et al.,J.Veterinary Medicine 33,93−116,1986)。疾患伝染を強めうるCIAVの特性としては、環境的な不活性化およびいくつかの共通の殺菌剤への高耐性が挙げられる。家禽業に対するCIAV感染の経済的影響は、感染した鳥の10%ないし30%が疾患発症で死亡するという事実から明らかである。 他の脊椎動物と同様に、鳥のワクチン接種もまた、、任意の年齢で、をおこなうことができる。通常、生存微生物に対しては12週齢までに、不活性化微生物または他の種類のワクチンに対しては14ないし18週齢に、ワクチン接種をおこなう。卵内(in ovo)ワクチン接種については、胚成長の最後の四半期でワクチン接種をおこなう。皮下的に、スプレーで、経口的に、眼内で、気管内で、経鼻的に、または本明細書に記載される他の粘膜送達方法によってワクチンを投与することができる。したがって、通常のワクチン接種スケジュールを用いて、鳥および他の非ヒト脊椎動物に本発明の免疫刺激性核酸を投与することができ、適当な期間の後に、本明細書に記載されるように抗原を投与することができる。 ウシおよび家畜類も感染しやすい。これらの動物が発症する疾患は、特にウシで、重大な経済損失を生む。本発明の方法を用いて、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、およびヤギ等の家畜での感染を予防することができる。 ウシは、ウシ・ウイルスに感染されうる。ウシ・ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)は、エンベロープを持つ小さいプラス鎖RNAウイルスであり、ブタ・コレラ・ウイルス(HOCV)およびヒツジ・ボーダー病ウイルス(BDV)とともに、ぺスチウイルス属に分類される。ペスチウイルスは、以前はTogaviridaeファミリーに分類されていたが、いくつかの研究で、フラビウイルスおよびC型肝炎ウイルス(HCV)群とともに、Flaviviridaeファミリー内の再分類が示唆された(Francki, et al., 1991)。 細胞培養分析にもとづいて、ウシの重大な病原体であるBVDVを、細胞変性(CP)細胞型と非細胞変性(NCP)細胞型とに区別することができる。NCP細胞型は、より広範にわたるが、ウシでは両細胞型が見られる。妊娠中のウシがNCP株に感染した場合、該ウシは、持続的に感染し、かつ特異的に免疫寛容性の仔牛を生み、該仔牛は、その生涯でウイルスを広めるであろう。持続的に感染したウシは、粘膜病のために死亡し、その後、両生物型を該動物から単離することができる。臨床的徴候としては、流産、奇形形成、および呼吸系疾患、粘膜病、ならびに軽度の下痢を挙げることができる。さらに、動物の死亡に至る可能性のある、群れの伝染病発生に関連する血小板減少症について記載されており、この疾患に関連する株は、従来のBVDVよりビルレントであると思われる。 ウマ・ヘルペス・ウイルス(EHV)は、無症状性疾患から致死性疾患に範囲が及ぶウマの種々の感染症を引き起こす、抗原性に異なる生物学的因子の群を含む。これらには、ウマでの偏在性の病原体であるウマ・ヘルペス・ウイルス1型(EHV−1)が含まれる。EHV−1は、流産、呼吸器疾患、および中枢神経系障害の伝染病に関連する。若年のウマの上気道の初感染によって、8日ないし10日続く熱性の疾患を生じる。免疫学的に経験した雌ウマは、疾患が識別できないうちに、気道を介して再感染する可能性があるため、通常、前兆無しに流産が起こる。神経病学的症候群は、呼吸器疾患または流産に関連し、いずれの年齢ででも、いずれの性の動物も冒し、失調、虚弱、および臀部の麻痺に至る(Telford,E.A.R. et al.,Virology 189,304−316,1992)。他のEHVのものとしては、EHV−2、または以前はEHV−1のサブタイプ2として分類されていたウマ・サイトメガロウイルス、EHV−3、ウマ交疹ウイルス、およびEHV−4が挙げられる。 ヒツジおよびヤギは、マエディ・ビスナを含む種々の危険な微生物に感染されうる。 サル、類人猿、およびマカク等の霊長類は、サル免疫不全症ウイルスに感染されうる。不活性化細胞ウイルスおよび無細胞全サル免疫不全症ワクチンは、マカクでの保護を可能にすることが報告されている(Stott et al.(1990)Lancet 36:1538−1541;Desrosiers et al.PNAS USA(1989)86:6353−6357;Murphey−Corb et al.(1989)(1989)Science 246:1293−1297;およびCarlson et al.(1990)AIDS Res.Human Retroviruses 6:1239−1246)。組み換え型HIV gpl20ワクチンは、チンパンジーでの保護を可能にすることが報告されている(Berman et al.(1990)Nature 345:622−625)。 ネコ(ペット用ネコおよび野生ネコ両方)は、種々の微生物に感染しやすい。例えば、ネコ伝染性腹膜炎は、家畜ネコおよび野生ネコ(例えばライオン、ヒョウ、チータ、およびジャガー)両方で生じる疾患である。この種類および他の種類の病原性生物の感染をネコで予防することが所望される際、本発明の方法を用いて、ネコにワクチン接種し、感染から保護することができる。 家畜ネコは、限定はされないが、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ネコ肉腫ウイルス(FeSV)、内因性型Concornavirus(RD−114)、ネコ合胞体形成ウイルス(FeSFV)を含む複数のレトロウイルスに感染しうる。これらのうち、FeLVは、最も有意な病原体であり、リンパ網および骨髄新生物、貧血症、免疫性媒介障害、ならびにヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)と類似している免疫不全症を含む多様な症状を引き起こす。近年では、FeLV−AIDSと命名される特定の複製欠損FeLV変異体が免疫抑制特性に特に関連していた。 ネコTリンパ指向性レンチウイルス(ネコ免疫不全症とも称される)の発見は、最初に、Pedersen et al.(1987)Science 235:790−793に記載された。FIVの特性については、Yamamoto et al. (1988) Leukemia,December Supplement 2:2045−2155;Yamamoto et al.(1988) Am.J.Vet.Res.49:1246−1258;およびAckley et al.(1990)J.Virol.64:5652−5655に報告されている。FIVのクローニングおよび配列分析については、Olmsted et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2448−2452および86:4355−4360に報告されている。 ネコ伝染性腹膜炎(FIP)は、家畜および野生のネコ科で予測不可能に生じる散発性の疾患である。FIPは、主に、家畜ネコの疾患である一方で、ライオン、アメリカライオン、ヒョウ、チータ、およびジャガーで診断されている。FIPに罹患するより小型の野生ネコとしては、オオヤマネコおよびカラカル、スナネコ、ならびにマヌルネコが挙げられる。家畜ネコでは、該疾患は、主に若年の動物で生じるが、全ての年齢のネコが感染しやすい。ピークの発生率は、6ないし12月齢で起こる。5ないし13年齢で発生率の減少が示されており、その後14ないし15年齢のネコで発生率が増加する。 魚、甲殻類、または他の水生生物形態でのウイルス性、細菌性、および寄生虫性疾患は、水産養殖業に深刻な問題を呈する。孵化場タンクまたは囲われた海洋生物養殖領域での動物の高密度のために、感染症は、例えば、魚、甲殻類、または他の水生生物形態施設で大多数の貯蔵物を根絶する可能性がある。一旦疾患が発生したら、疾患の予防は、介入より望ましい対応策である。魚のワクチン接種は、免疫を介して長期の保護を与えうる唯一の予防法である。核酸ベースのワクチン接種については、Davisに発行されている米国特許第5,780,448号に記載されている。 魚免疫系は、B細胞、T細胞、リンホカイン、補体、および免疫グロブリンの存在等のほ乳類免疫系に類似の多くの特徴を有する。魚は、ほ乳類のB細胞およびT細胞の役割と多くの点で類似するとみられる役割を持つリンパ球サブクラスを有する。液浸によって、または経口的にワクチンを投与することができる。 水産養殖種としては、限定はされないが、魚、甲殻類、および他の水生動物が挙げられる。魚としては、全ての脊椎魚が挙げられ、硬骨魚類または軟骨魚類(例えばサケ科、コイ、ナマズ、イエローテール、タイ科、およびハタ科)でありうる。サケ科は、マス(ニジマスを含む)、サーモン、およびアルプスイワナを含む魚のファミリーである。甲殻類の例としては、限定はされないが、ハマグリ、ロブスター、エビ、カニ、およびカキが挙げられる。他の養殖水性動物としては、限定はされないが、ウナギ、イカ、およびタコが挙げられる。 ウイルス性水産養殖病原体のポリペプチドとしては、限定はされないが、ウイルス出血性敗血症ウイルス(VHSV)の糖タンパク質(G)または核タンパク質(N)と、伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)のGまたはNタンパク質と、伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV)のVP1、VP2、VP3、またはN構造タンパク質と、コイの春ウイルス血症(SVC)のGタンパク質と、ブチナマズウイルス(CCV)の膜関連タンパク質、テグミン(tegumin)またはカプシドタンパク質または糖タンパク質とが挙げられる。 ウマに感染する典型的な寄生虫は、Gasterophilus種と、Eimeria leuckarti、Giardia種と、Tritrichomonas equiと、Babesia種(RBC)、Theileria equiと、Trypanosoma種と、Klossiella equiと、Sarcocystis種とである。 ブタに感染する典型的な寄生虫としては、Eimeria bebliecki、Eimeria scabra、Isospora suis、Giardia種と、Balantidium coli、Entamoeba histolyticaと、Toxoplasma gondiiおよびSarcocystis種、ならびにTrichinella spiralisとが挙げられる。 乳牛および肉牛の主な寄生虫としては、Eimeria種、Cryptosporidium sp.、Giardia種と、Toxoplasma gondiiと、Babesia bovis(RBC)、Babesia bigemina(RBC)、Trypanosoma種(血漿)、Theileria種(RBC)と、Theileria parva(リンパ球)と、Tritrichomonas foetusと、Sarcocystis種とが挙げられる。 猛禽類の主な寄生虫としては、Trichomonas gallinaeと、Coccidia(Eimeria種)と、Plasmodium relictum、Leucocytozoon danilewskyi(フクロウ)、Haemoproteus種、Trypanosoma種と、Histomonasと、Cryptosporidium meleagridis、Cryptosporidium baileyi、Giardia、Eimeriaと、Toxoplasmaとが挙げられる。 ヒツジおよびヤギに感染する典型的な寄生虫としては、Eimeria種、Cryptosporidium sp.、Giardia sp.と、Toxoplasma gondiiと、Babesia種(RBC)、Trypanosoma種(血漿)、Theileria種(RBC)と、Sarcocystis種とが挙げられる。 家禽での典型的な寄生虫性感染症としては、Eimeria acervulina、E.necatrix、E.tenella、Isospora種、およびEimeria truncataが原因のコクシジウム症と、Histomonas meleagridisおよびHistomonas gallinarumが原因のヒストモナス症と、Trichomonas gallinaeが原因のトリコモナス症と、Hexamita meleagridisが原因のヘキサミタ症とが挙げられる。家禽は、Emeria maxima、Emeria meleagridis、Eimeria adenoeides、Eimeria meleagrimitis、Cryptosporidium、Eimeria brunetti、Emeria adenoeides、Leucocytozoon種、Plasmodium種、Hemoproteus meleagridis、Toxoplasma gondii、およびSarcocystisにも感染しうる。 本発明の方法は、イヌ、ネコ、トリ、魚、およびフェレットでの寄生虫性感染の処置および/または予防に適用することもできる。トリの典型的な寄生虫としては、Trichomonas gallinaeと、Eimeria種、Isospora種、Giardiaと、Cryptosporidiumと、Sarcocystis種、Toxoplasma gondii、Haemoproteus/Parahaemoproteus、Plasmodium種、Leucocytozoon/Akiba、Atoxoplasma、Trypanosoma種とが挙げられる。イヌに感染する典型的な寄生虫としては、Trichinella spiralisと、Isopora種、Sarcocystis種、Cryptosporidium種、Hammondia種、Giardia duodenalis(イヌ属)と、Balantidium coli、Entamoeba histolyticaと、Hepatozoon canisと、Toxoplasma gondii、Trypanosoma cruziと、Babesia canisと、Leishmania amastigotesと、Neospora caninumとが挙げられる。 ネコ種に感染する典型的な寄生虫としては、Isospora種、Toxoplasma gondii、Sarcocystis種、Hammondia hammondi、Besnoitia種、Giardia種と、Entamoeba histolyticaと、Hepatozoon canis、Cytauxzoon sp.、Cytauxzoon sp.、Cytauxzoon sp.(赤血球、RE細胞)とが挙げられる。 魚に感染する典型的な寄生虫としては、Hexamita種、Eimeria種と、Cryptobia種、Nosema種、Myxosoma種、Chilodonella種、Trichodina種と、Plistophora種、Myxosoma Henneguyaと、Costia種、Ichthyophithirius種、Oodinium種とが挙げられる。 野生ほ乳類の典型的な寄生虫としては、Giardia種(肉食動物、草食動物)、Isospora種(肉食動物)、Eimeria 種(肉食動物、草食動物)と、Theileria種(草食動物)、Babesia種(肉食動物、草食動物)、Trypanosoma種(肉食動物、草食動物)と、Schistosoma種(草食動物)と、Fasciola hepatica(草食動物)、Fascioloides magna(草食動物)、Fasciola gigantica(草食動物)、Trichinella spiralis(肉食動物、草食動物)とが挙げられる。 動物園での寄生虫性感染症も深刻な問題を呈する。ウシ科ファミリー(ブレスボック、アンテロープ、バンテン、エランド、ガウア、インパラ、クリップスプリンガー、クーズー、ガゼル)の典型的な寄生虫としては、Eimeria種が挙げられる。鰭脚亜目ファミリー(アザラシ、アシカ)の典型的な寄生虫としては、Eimeria phocaeが挙げられる。ラクダ科ファミリー(ラクダ、ラマ)の典型的な寄生虫としては、Eimeria種が挙げられる。キリン科ファミリー(キリン)の典型的な寄生虫としては、Eimeria種が挙げられる。ゾウ科(アフリカゾウおよびアジアゾウ)の典型的な寄生虫としては、Fasciola種が挙げられる。下等霊長類(チンパンジー、オランウータン、類人猿、ヒヒ、マカク、サル)の典型的な寄生虫としては、Giardia sp.と、Balantidium coli、Entamoeba histolytica、Sarcocystis種、Toxoplasma gondiiと、Plasmodim種(RBC)、Babesia種(RBC)、Trypanosoma種(血漿)、Leishmania種(マクロファージ)とが挙げられる。 癌は、コンパニオンアニマル(すなわち、ネコおよびイヌ)の主な死亡原因のうちの1つである。癌は、通常、家庭用ペットの場合より年齢の大きい動物を襲い、そのファミリー中に組み込まれる。10歳より上の年齢のイヌのうち45%が該疾患のために死ぬと考えられる。最も一般的な処置選択肢としては、外科手術、化学療法、および放射線療法が挙げられる。何らかの成果を挙げる、用いられる他の処置モダリティーは、レーザー療法、寒冷療法、温熱療法、および免疫療法である。処置の選択は、癌の種類と転移の度合いに依存する。悪性腫瘍が体内の孤立した領域に限定されない限り、正常細胞に影響を及ぼさずに、悪性組織だけを除去することは困難である。 イヌおよびネコに共通で診断される悪性疾患は、限定はされないが、リンパ肉腫、骨肉腫、乳腺腫瘍、肥満細胞腫、脳腫瘍、黒色腫、腺扁平上皮癌、カルチノイド肺腫瘍、気管支腺腫瘍、細気管支腺癌、線維腫、粘液軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、乳頭腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、ウィルムの腫瘍、バーキットリンパ腫、小神経膠細胞腫、神経芽細胞腫、骨巨細胞腫、口腔新形成、線維肉腫、骨肉腫、および横紋筋肉腫が挙げられる。イヌでの他の新形成としては、生殖有棘細胞癌、トランスミス暗黒の性病の腫瘍、睾丸腫瘍、セミノーム、セルトーリ細胞腫、血管周囲細胞腫、組織球腫、緑色腫(顆粒球性肉腫)、角膜乳頭腫、角膜有棘細胞癌、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫、胸腺腫、胃腫瘍、副腎癌、口腔乳頭腫症、血管内皮腫、および嚢腺腫が挙げられる。ネコで診断される更なる悪性疾患としては、濾胞性リンパ腫、腸リンパ肉腫、線維肉腫、および肺有棘細胞癌が挙げられる。以前より人気の家庭用ペットであるフェレットは、膵島細胞腺腫、リンパ腫、肉腫、神経腫、膵臓ランゲルハンス島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫、および胃腺癌を発症することが知られている。 農業家畜を冒す新形成としては、白血病、血管周囲細胞腫、およびウシ眼新形成(ウシ)と、包皮線維肉腫、潰瘍性有棘細胞癌、包皮癌、結合組織新形成、および肥満細胞腫(ウマ)と、肝癌(ブタ)と、リンパ腫および肺腺腫症(ヒツジ)と、肺肉腫、リンパ腫、ラウス肉腫、網状内皮症、線維肉腫、腎芽腫、B細胞性リンパ腫、およびリンパ様白血症(鳥類種)と、網膜芽細胞腫、肝性新形成、リンパ肉腫(リンパ芽球性リンパ腫)、形質細胞様白血病、および鰾肉腫(魚)、乾酪性リンパ節炎(CLA)と、細菌ヒツジ偽結核菌が原因のヒツジおよびヤギの慢性、伝染性、接触感染性の疾患、ならびにヒツジ肺腺症が原因のヒツジの接触感染性の肺腫瘍とが挙げられる。 アレルゲンとは、罹患しやすい被験体中で、アレルギーまたは喘息応答を誘導しうる物質(抗原)を指す。アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物性鱗屑塵、真菌胞子、および薬剤(例えば、ペニシリン)を挙げることができる。天然の動物および植物アレルゲンの例としては、限定はされないが、以下の属に特異的なタンパク質が挙げられる。すなわち、Canine(Canis familiaris)、Dermatophagoides(例えば、Dermatophagoides farinae)、Felis(Felis domesticus)、Ambrosia(Ambrosia artemiisfolia)、Lolium(例えば、Lolium perenneまたはLolium multiflorum)、Cryptomeria(Cryptomeria japonica)、Alternaria(Alternaria alternata)、Alder、Alnus(Alnus gultinoasa)、Betula(Betula verrucosa)、Quercus(Quercus alba)、Olea(Olea europa)、Artemisia(Artemisia vulgaris)、Plantago(例えば、Plantago lanceolata)、Parietaria(例えば、Parietaria officinalisまたはParietaria judaica)、Blattella(例えば、Blattella germanica)、Apis(例えば、Apis multiflorum)、Cupressus(例えば、Cupressus sempervirens、Cupressus arizonica、およびCupressus macrocarpa)、Juniperus(例えば、Juniperus sabinoides、Juniperus virginiana、Juniperus communis、およびJuniperus ashei)、Thuya(例えば、Thuya orientalis)、Chamaecyparis(例えば、Chamaecyparis obtusa)、Periplaneta(例えば、Periplaneta americana)、Agropyron(例えば、Agropyron repens)、Secale(例えば、Secale cereale)、Triticum(例えば、Triticum aestivum)、Dactylis(例えば、Dactylis glomerata)、Festuca(例えば、Festuca elatior)、Poa(例えば、Poa pratensisまたはPoa compressa)、Avena(例えば、Avena sativa)、Holcus(例えば、Holcus lanatus)、Anthoxanthum(例えば、Anthoxanthum odoratum)、Arrhenatherum(例えば、Arrhenatherum elatius)、Agrostis(例えば、Agrostis alba)、Phleum(例えば、Phleum pratense)、Phalaris(例えば、Phalaris arundinacea)、Paspalum(例えば、Paspalum notatum)、Sorghum(例えば、Sorghum halepensis)、およびBromus(例えば、Bromus inermis)が挙げられる。 抗原は、核酸ベクターにコードされる核酸でもよく、核酸ベクター中でコードされなくてもよい。前者の場合は、核酸ベクターを被験体に投与して、抗原を生体内(in vivo)で発現させる。後者の場合は、抗原を被験体に直接投与することができる。本明細書で使用するように、核酸ベクター中でコードされていない抗原とは、核酸ではない任意の種類の抗原を指す。例えば、本発明のいくつかの態様では、核酸ベクター中でコードされていない抗原は、ポリペプチドである。ポリペプチド抗原の1次的なアミノ酸配列の微量の改変によって、非改変の相当ポリペプチドと比べて、実質的に等価な抗原活性を有するポリペプチドも生じうる。そのような改変は、部位指向的突然変異生成として計画的であるか、または自然発生的でありうる。これらの改変によって生成されるポリペプチドの全ては、抗原性が依然として存在する限り本明細書に包括される。該ポリペプチドは、例えば、ウイルスポリペプチドでありうる。 本明細書で使用するように、用語「実質的に精製された(substantially purified)」とは、ポリペプチドが天然に関連する他のタンパク質、脂質、糖質、または他の物質を実質的に持たないポリペプチドを指す。当業者は、タンパク質精製のための標準的技術を用いて、ウイルスまたは細菌ポリペプチドを精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、しばしば、非還元ポリアクリルアミドゲル上で単一の主要なバンドを生成するであろう。部分的にグリコシル化されたポリペプチドまたは複数の開始コドンを有するものの場合、非還元ポリアクリルアミドゲル上に複数のバンドがありうるが、これらは、ポリペプチドに特有なパターンを形成する。アミノ末端アミノ酸配列分析によって、ウイルスまたは細菌ポリペプチドの純度を測定することもできる。多糖、小分子、模倣体等の核酸ベクターにコードされない他の種類の抗原については、上記に記載されており、本発明内に包括される。 本発明は、抗原ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも用いる。抗原は、抗原が生体内(in vivo)で発現されるように抗原をコードする核酸分子内で、被験体に送達されうることが構想される。核酸ベクター中で被験体に送達されるそのような抗原は、核酸ベクターにコードされる抗原と言及される。真核細胞内で抗原核酸の発現を導く遺伝子発現配列に、抗原をコードする核酸を作用自在に結合させる。遺伝子発現配列は、プロモーター配列またはプロモーターエンハンサー組合せ等の任意の調節ヌクレオチド配列であり、該遺伝子発現配列が作用自在に結合する抗原核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする。遺伝子発現配列は、例えば、構成性または誘導性プロモーター等のほ乳類またはウイルスプロモーターでありうる。構成性ほ乳類プロモーターとしては、限定はされないが、以下の遺伝子に対するプロモーターが挙げられる。すなわち、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、b−アクチンプロモーター、および他の構成性プロモーターである。真核細胞で構成性に機能する好例のウイルスプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長い末端反復配列(LTR)、ならびに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター由来のプロモーターが挙げられる。他の構成性プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターは、誘導性プロモーターも含む。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現する。例えば、メタロチオネインプロモーターを誘導して、特定の金属イオンの存在下で、転写および翻訳を促進する。他の誘導性プロモーターは、当業者に公知である。 一般に、遺伝子発現配列は、必要に応じて、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列等の転写および翻訳の開始にそれぞれ関与する5’非転写および5’非翻訳配列を含む。特に、そのような5’非転写配列は、作用自在に結合した抗原核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。遺伝子発現配列は、任意で、所望されるように、エンハンサー配列または上流アクチベーター配列を含む。 抗原核酸は、遺伝子発現配列に作用自在に結合する。本明細書で使用するように、抗原コーディング配列の発現または転写および/もしくは翻訳を遺伝子発現配列の影響または制御下に置くように抗原核酸配列および遺伝子発現配列が共有結合する際に、該抗原核酸配列および遺伝子発現配列は、作用自在に結合すると言われる。5’遺伝子発現配列中のプロモーターによって抗原配列の転写が生じる場合、かつ2つのDNA配列間の結合の性質によって(1)フレームシフト突然変異の誘導を生じないか、(2)プロモーター領域の抗原配列の転写を導く能力に干渉しないか、または(3)対応するRNA転写物のタンパク質に翻訳される能力に干渉しない場合に、該2つのDNA配列は、作用自在に結合すると言われる。したがって、得られる転写産物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳されるように遺伝子発現配列が抗原核酸配列の転写をおこなうことができる場合、該遺伝子発現配列は、該抗原核酸配列に作用自在に結合する。 本発明の抗原核酸を単独で、またはベクターと組み合わせて免疫系に送達することができる。広義では、ベクターとは、抗原が免疫細胞表面上で発現および提示されうるように免疫系の細胞への抗原核酸の送達を容易にすることができる任意の担体である。ベクターは、一般に、ベクターの不在を生じる分解の程度を基準にして減少された分解を有する免疫細胞に核酸を輸送する。ベクターは、任意で、上述の遺伝子発現配列を含んで、免疫細胞中で抗原核酸の発現を増強する。一般に、本発明で有用なベクターとしては、限定はされないが、プラスミド、ファージミド、ウイルス、あるいは抗原核酸配列の挿入または組み込みによって操作されたウイルスまたは細菌ソース由来の他の担体が挙げられる。ウイルスベクターは、好ましい種類のベクターであり、限定はされないが、以下のウイルス由来の核酸配列を含む。すなわち、モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、およびラウス肉腫ウイルス等のレトロウイルスと、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスと、SV40型ウイルスと、ポリオーマウイルスと、エプスタインバーウイルスと、パピローマウイルスと、ヘルペスウイルスと、ワクシニアウイルスと、ポリオウイルスと、レトロウイルス等のRNAウイルスとである。記載されていないが当該技術分野で公知の他のベクターを容易に用いることができる。 好ましいウイルスベクターは、非細胞変性真核生物ウイルスであり、この際、可欠遺伝子が対象の遺伝子と置換されている。非細胞変性ウイルスとしては、レトロウイルスが挙げられ、その生活環は、DNAへのゲノムウイルスRNAの逆転写を伴い、その後、宿主の細胞DNAへのプロウイルス取り込みを伴う。レトロウイルスは、ヒト遺伝子療法での試用が認められた。最も有用なものは、複製欠損(すなわち、所望のタンパク質の合成を導くことができるが、感染性粒子の生産はできない)レトロウイウイルスである。そのような遺伝子組み換えレトロウイルス発現ベクターは、生体内(in vivo)での遺伝子の高効率形質導入に対して汎用性がある。複製欠損レトロウイルスを生産するための標準的プロトコール(プラスミドへ外因性遺伝物質を組み込むステップと、該プラスミドでパッケージング細胞系をトランスフェクションするステップと、該パッケージング細胞系によって組み換え型レトロウイルスを生産するステップと、組織培養培地からウイルス粒子を回収するステップと、標的細胞をウイルス粒子に感染させるステップとを含む)は、Kriegler,M.,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual W.H.Freeman C.O.,New York (1990)と、Molecular Biology,vol.7,Humana Press,Inc.,Clifflon,New Jersey (1991)内のMurry,E.J.Methodとに提供されている。 特定の適用に好ましいウイルスは、二本鎖DNAウイルスであるアデノ随伴ウイルスである。アデノ随伴ウイルスを操作して、複製欠損ウイルスにすることができ、該アデノ随伴ウイルスは、広範な細胞型および種に感染することができる。該アデノ随伴ウイルスは、さらに、熱および脂質溶媒安定性と、造血細胞を含む多様な系統の細胞での高い形質導入頻度と、重感染阻害を持たないために複数回の連続の形質導入を可能にすることとのような利点を持つ。伝えられるところによると、アデノ随伴ウイルスは、部位特異的な様式でヒト細胞DNAに組み込まれうるために、挿入突然変異の可能性およびレトロウイルス感染に特徴的な挿入遺伝子発現の可変性を最小限にする。さらに、野生型のアデノ随伴ウイルス感染は、選択圧の不在下で、組織培養で100より多い継代が続き、該アデノ随伴ウイルスゲノム組み込みが比較的安定な事象であることが示唆される。アデノ随伴ウイルスは、染色体外様式で機能することもできる。 他のベクターとしては、プラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクターについては、当該技術分野で広範に記載されており、当業者には周知である。例えば、Sambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989を参照せよ。最近の数年間で、プラスミドベクターは、それらの宿主ゲノム内で複製する能力および宿主ゲノムに組み込まれる能力のために、生体内(in vivo)で細胞に遺伝子を送達するために特に有利であることが判明した。しかし、宿主細胞に適合するプロモーターを有するこれらのプラスミドは、該プラスミド内で作用自在にコードされる遺伝子からペプチドを発現しうる。いくつかの一般的に用いられるプラスミドとしては、pBR322、pUC18、pUC19、pRC/CMV、SV40、およびpBlueScriptが挙げられる。他のプラスミドは、当業者に周知である。さらに、制限酵素およびライゲーション反応を用いて、DNAの特異的なフラグメントを除去および付加することによって、プラスミドをカスタム設計することができる。 細菌を用いて、遺伝子を保持するプラスミドを免疫系に送達することができることが近年発見された。サルモネラ(Salmonella)等の改変形態の細菌をプラスミドでトランスフェクションして、送達担体(vehicle)として用いることができる。経口的に、または他の投与手段によって、細菌送達担体を宿主被験体に投与することができる。細菌は、恐らく腸壁を通過することによって、プラスミドを免疫系(例えば、B細胞、樹状細胞)に送達する。この方法論を用いて、高レベルの免疫保護が確立された。そのような送達方法は、抗原、免疫刺激性核酸、および/または他の治療薬の全身的送達を用いる本発明の態様に有用である。 したがって、独立型の薬剤として適していることに加えて、免疫刺激性核酸は、特に、ワクチンアジュバントとして有用である。CpGオリゴヌクレオチドが優良なワクチンアジュバントであることが以前に確証された。ヒトおよび他の非げっ歯類動物でワクチンアジュバントとして用いるための最善の免疫刺激性核酸を同定するために、この目的のための異なる核酸の生体内(in vivo)スクリーニングをおこなった。複数の生体外(in vitro)アッセイを、生体内(in vivo)でのアジュバント活性のそれらの予測値についてマウスで評価した。この研究の経過中に、生体内(in vivo)での有効性の予測となる生体外(in vitro)試験を特定した。それどころか驚くべきことに、B細胞およびNK細胞両方の活性化が、免疫刺激性核酸の抗原に対する生体内(in vivo)免疫応答を増強する能力と特に相関することを発見した。 該核酸は、樹状細胞の生存、分化、活性化、および成熟を改良するためにも有用である。免疫刺激性核酸は、樹状細胞の細胞生存、分化、活性化、および成熟を促進する特有の能力を有する。免疫磁気細胞ソーティングによって血液から単離された樹状前駆細胞は、GM−CSFとの2日間のインキュベーション中に、樹状細胞の形態的および機能的特性を発生する。GM−CSF無しでは、これらの細胞はアポトーシスを受ける。免疫刺激性核酸は、樹状細胞の生存および分化を促進する上ではGM−CSFより優位である(MHC II発現、細胞の大きさ、粒度)。免疫刺激性核酸は、樹状細胞の成熟も誘導する。樹上細胞は、抗原を提示することによって、かつそれらの局所環境でLPS等の細菌分子を検出するパターン認識レセプターの発現を介して、先天性免疫系と後天的免疫系とのリンクを形成するので、免疫刺激性核酸で樹状細胞を活性化する能力は、癌およびアレルギー疾患または感染症等の障害に対する生体内(in vivo)および生体外(ex−vivo)免疫療法のためのこれらの免疫刺激性核酸ベースの戦略の使用をサポートする。免疫刺激性核酸は、樹状細胞の成熟を活性化および誘導するためにも有用である。 免疫刺激性核酸はまた、ナチュラルキラー細胞溶解活性および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増加する。ADCCは、免疫刺激性核酸を癌細胞のような細胞標的に特異的な抗体と組み合わせて用いて実施され得る。免疫刺激性核酸が、抗体とともに被験体に投与されるとき、被験体の免疫系が誘導されて腫瘍細胞を殺傷する。このADCC手順で有用な抗体は、身体中の細胞と相互作用する抗体を含む。多くのこのような細胞標的に特異的な抗体は、当該技術分野で記載され、そして多くは市販され入手可能である。これら抗体の例は、癌免疫治療のリストの中で以下に列挙される。 上記核酸はまた、Th2免疫応答からTh1免疫応答に免疫応答を再惹起するために有用である。Th2免疫応答からTh1免疫応答への免疫応答を再惹起は、この核酸に応答して生成されたサイトカインのレベルを測定することにより評価され得る(例えば、単球細胞およびその他の細胞を誘導することにより、IL−12、IFN−γおよびGM−CSFを含むTh1サイトカインを生成する)。Th2からTh1の応答への免疫応答の再惹起または再平衡化は、喘息の処置または予防に特に有用である。例えば、喘息を処置するための有効量は、喘息に関連しているTh2タイプの免疫応答をTh1タイプの応答に再惹起するために有効なその量であり得る。Th2サイトカイン、特にIL−4およびIL−5は、喘息被験体の気道で高められる。これらのサイトカインは、IgEアイソタイプスイッチング、好酸球走化性および活性化、および肥満細胞成長を含む、喘息炎症応答の重要な局面を促進する。Th1サイトカイン、特に、IFN−γおよびIL−12は、Th2クローンの形成およびTh2サイトカインの産生を抑制し得る。本発明の免疫刺激性核酸は、免疫系を再平衡化することを補助するTh1サイトカインにおける増加を引き起こし、主に、Th2免疫応答にともなう副作用を防ぐか、または減少する。 本発明はまた、免疫刺激性核酸を用いて、抗原非特異的で生得的な免疫活性化および感染性チャレンジへの広範なスペクトル耐性を誘導するための方法を含む。本明細書で用いるとき、用語抗原非特異的で生得的な免疫活性化は、B細胞以外の免疫細胞の活性化をいい、そして例えば、NK細胞、T細胞または抗原独立様式で応答し得るその他の免疫細胞またはこれらの細胞のいくらかの組み合わせの活性化を含み得る。感染性チャレンジへの広範なスペクトル耐性は、免疫細胞が活性形態にあり、そしてプライムされて任意の侵入化合物または微生物に応答するために誘導される。これら細胞は、特定の抗原に対して特異的にプライムされる必要はない。これは得に細菌戦、および旅行者のような上記に記載のその他の状況で有用である。 本発明の核酸は、抗菌剤、アジュバント、サイトカイン、抗癌治療、アレルギー医薬、喘息医薬などを含むその他の治療剤と組み合わせて用いられ得る。 本発明の核酸は、抗菌剤とともに被験体に投与され得る。本明細書で用いられるとき、抗菌剤は、感染性微生物を殺傷または阻害し得る天然に存在するか、または合成化合物をいう。本発明による有用な抗菌剤のタイプは、被験体が感染しているか、または感染されるようになるリスクにある微生物のタイプに依存する。抗菌剤は、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗寄生虫剤を含むがこれらに制限されるわけではない。「抗感染剤」、「抗細菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「抗寄生虫剤」および「殺寄生虫薬」のような語句は、当業者には良く確立された意味を有し、そして標準的な医療教科書で規定されている。要約すれば、抗細菌薬は、細菌を殺傷または阻害し、そして抗生物質および類似の機能を有するその他の合成または天然化合物を含む。 抗生物質は、微生物のような細胞により二次代謝物として産生される低分子量分子である。一般に、抗生物質は、微生物に特異的であり、そして宿主細胞に存在しない、1つ以上の細菌の機能または構造を妨害する。抗ウイルス剤は、天然供給源から単離されるか、または合成され得、そしてウイルスを殺傷または阻害するために有用である。抗真菌剤は、表在性の真菌感染および日和見性および原発性全身性真菌感染を処置するたに用いられる。抗寄生虫剤は、寄生虫を殺傷または阻害する。 抗細菌剤は、細菌殺傷または細菌の成長または機能を阻害する。抗細菌剤の大きなクラスは抗生物質である。広い範囲の細菌を殺傷または阻害するために有効である抗生物質は、広域スペクトル抗生物質と称される。その他のタイプの抗生物質は、グラム陽性またはグラム陰性のクラスの細菌に対して優先的に有効である。これらのタイプの抗生物質は、狭域スペクトル抗生物質と称される。 単一の微生物または疾患に対して有効であり、そしてその他のタイプの細菌には有効ででないその他の抗生物質は、限定スペクトル抗生物質と称される。抗細菌剤は、しばしば、それらの主要な作用モードを基に分類されている。一般に、抗細菌剤は、細胞壁合成インヒビター、細胞膜インヒビター、タンパク質合成インヒビター、核酸合成インヒビターまたは機能的インヒビター、および競争インヒビターである。 本発明で有用な抗細菌剤は、制限されないで以下を含む。天然ペニシリン、半合成ペニシリン、クラブラン酸、セファロスポリン、バシトラシン、アンピシリン、カルベニシリン、オキサシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、メチシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セファマンドール、セファクロール、セファゾリン、セフロキシン、セフォキシチン、セフォタキシム、セフスロジン、セフェタメット、セフィキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジン、モキサラクタム、カルバペネム、イミペネム、モノバクテム、オイズトレオナム、バンコマイシン、ポリミキシン、アンホテリシンB、ナイスタチン、イミダゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、リファムピン、エタムブトール、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、マクロライド、アミノグリコシド、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、クロロテトラサイクリン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、オレアンドロマイシン、アジスロマイシン、クロラムフェニコール、キノロン、コトリモキサゾール、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ナリジキシン酸、テマフロキサシン、スルホンアミド、ガントリシン、およびトリメトプリム;アセダプソン;ナトリウムアセトスルホン;アラメシン;アレキシジン;アムディノシリン;アムディノシリンピポキシル;アミサイクリン;アミフロキサシン;アミフロキサシンメシレート;アミカシン;アミカシンスルフェート;アミノサリチル酸;アミノサリチル酸ナトリウム;アモキシシリン;アムホマイシン;アンピシリン;アンピシリンナトリウム;アパルシリンナトリウム;アプラマイシン;アスパルトシン;アストロミシンスルフェート;アビラマシン;アボパルシン;アジスロマイシン;アズロシリン;アズロシリンナトリウム;バカムピシリン塩酸;バシトラシン;バシトラシンメチレンジサリチレート;バシトラシン亜鉛;バムベルマイシン;ベンゾイルパスカルシウム;ベリスロマイシン;ベンタミシンスルフェート;ビアペネム;ビニラマイシン;ビフェナミド塩酸;ビスピリチオンマグスルフェックス;ブチカシン;ブチロシンスルフェート;カプレオマイシンスルフェート;カルバドックス;カルベニシリン二ナトリウム;カルベニシリンインダニルナトリウム;カルベニシリンフェニルナトリウム;カルベニシリンカリウム;カルモナムナトリウム;セファクロール;セファドロキシル;セファマンドール;セファマンドールナフェート;セファマンドールナトリウム;セファパロール;セファトリジン;セファザフラールナトリウム;セファゾリン;セファゾリンナトリウム;セフブペラゾン;セフジニール;セフェパイム;セフェパイム塩酸;セフェテコール;セフィキシム;セメノキシム塩酸;セフメタゾール;セフメタゾール塩酸;セフォニシドモノナトリウム;セフォニシドナトリウム;セフォペラゾンナトリウム;セフォラニド;セフォタキシムナトリウム;セフォテタン;セフォテタン二ナトリウム;セフォチアム塩酸;セフォキシチン;セフォキシチンナトリウム;セフピミゾール;セフピミゾールナトリウム;セフピラミド;セフピラミドナトリウム;セフピロムスルフェート;セフポドキシムプロキセチル;セフプロジル;セフロキサジン;セフスロジンナトリウム;セフタジディム;セフチブテン;セフチゾキシムナトリウム;セフトリアキソンナトリウム;セフロキシム;セフロキシムアキセチル;セフロキシムピボキセチル;セフロキシムナトリウム;セファセトリルナトリウム;セファレキシン;セファレキシン塩酸;セファログリシン;セファロリジン;セファロチンナトリウム;セファピリンナトリウム;セファラジン;セトサイクリン塩酸;セトフェニコール;クロラムフェニコール;クロラムフェニコールパルミテート;クロラムフェニコールパントテネート複合体;クロラムフェニコールナトリウムスクシネート;クロルヘキシシジンホスファニレート;クロロキシレノール;クロルテトラサイクリンビスルフェート;クロルテトラサイクリン塩酸;シノキサシン;シプロフロキサシン;シプロフロキサシン塩酸;シロレマイシン;クラリスロマイシン;クリナフロキサシン塩酸;クリダマイシン;クリダマイシン塩酸;クリダマイシンパルミテート塩酸;クリンダマイシンリン酸;クロファジミン;クロキサシリンベンザチン;クロキサシリンナトリウム;クロキシキン;コリスチメテートナトリウム;コリスチンスルフェート;クーメルマイシン;クーメルマイシンナトリウム;シクラシリン;シクロセリン;ダルフォプリスチン;ダプソン;ダプトマイシン;デメクロサイクリン;デメクロサイクリン塩酸;デメサイクリン;デノファンギン;ダイアベリジン;ジクロキサシリン;ジクロキサシリンナトリウム;ジヒドロストレプトマイシンスルフェート;ジピリチオン;ジチスロマイシン;ドキシサイクリン;ドキシサイクリンカルシウム;ドキシサイクリンフォスファテックス;ドキシサイクリンハイクレート;ドロキサシンナトリウム;エノキサシン;エピシリン;エピテトラサイクリン塩酸;エリスロマイシン;エリスロマイシンアシストレート;エリスロマイシンエストレート;エリスロマシインエチルスクシネート;エリスロマイシングルセプテート;エリスロマイシンラクトビオネート;エリスロマイシンプロピオネート;エリスロマイシンステアレート;エタムブトール塩酸;エチオンアミド;フレロキサシン;フロキサシリン;フルダラニン;フルメキン;フォスフォマイシン;フォスフォマイシントロメタミン;フモキシシリン;フラゾリウムクロライド;フラゾリウムタートレート;フシデートナトリウム:フシジン酸;ゲンタマイシンスルフェート;グロキシモナム;グラミシジン;ハロプロギン;ヘタシリン;ヘタシリンカリウム;ヘキセジン;イバフロキサシン;イミペネム;イソコナゾール;イセパミシン;イソシアニジド;ジョサマイシン;カナマイシンスルフェート;キタサマイシン;レボフラルタドン;レボプロピルシリンカリウム;レキシスロマイシン;リンコマイシン;リンコマイシン塩酸;ロメフロキサシン;ロメフロキサシン塩酸;ロメフロキサシンメシレート;ロラカルベフ;マフェニド;メクロサイクリン;メクロサイクリンスルホサリチル酸;メガロマイシンカリウムリン酸;メキドックス;メロペネム;メタサイクリン;メタサイクリン塩酸;メテンアミン;メテンアミン馬尿酸;メテンアミンマンデル酸;メチシリンナトリウム;メチオプリム;メトメニダゾール塩酸;メトロニダゾールリン酸;メズロシリン;メズロシリンナトリウム;ミノサイクリン;ミノサイクリン塩酸;ミリノカマイシン塩酸;モネンシン;モネンシンナトリウム;ナフシリンナトリウム;ナリジキセートナトリウム;ナリジキシン酸;ナタマイシン;ネブラマイシン;ネオマシインパルミテート;ネオマイシンスルフェート;ネオマイシンウンデシレネート;ネチルミシンスルフェート;ノイトラマイシン;ニフラデン;ニフラルデゾン;ニフラテル;ニフラトロン;ニフルダジル;ニフリミド;ニフルピリノール;ニフルキナゾール;ニフルチアゾール;ニトロサイクリン;ニトロフラントイン;ニトロミド;ノルフロキサシン;ノボビオシンナトリウム;オフロキサシン;オルメトプリム;オキサシリンナトリウム;オキシモナム;オキシモナムナトリウム;オキソリン酸;オキシテトラサイクリン;オキシテトラサイクリンカルシウム;オキシテトラサイクリン塩酸;パルジマイシン;パラクロロフェノール;パウロマイシン;ペフロキサシン;ペフロキサシンメシレート;ペナメシリン;ペニシリンGベンザチン;ペニシリンGカリウム;ペニシリンGプロカイン;ペニシリンGナトリウム;ペニシリンV;ペニシリンVベンザチン;ペニシリンVヒドラバミン;ペニシリンVカリウム;ペンチジドンナトリウム;フェニルアミノサリチル酸;ピペラシリンナトリウム;ピルベニシリンナトリウム;ピリジシリンナトリウム;ピルリマイシン塩酸;ピバムピシリン塩酸;ピバムピシリンパモエート;ピバムピシリンプロベネート;ポリミキシンBスルフェート;ポルフィロマイシン;プロピカシン;ピラジンアミド;ピリチオン亜鉛;キンデカミン酢酸;キヌプリスチン;ラセフェニコール;ラモプラニン;ラニマイシン;レロマイシン;レプロミシン;リファブチン;リファメタン;リファメキシル;リファミド;リファムピシン;リファペンチン;リファキシミン;ロリテトラサイクリン;ロリテトラサイクリン硝酸;ロサラミシン;ロサラミシン酪酸;ロサラミシンプロピオン酸;ロサラミシンナトリウムリン酸;ロサラミシンステアリン酸;ロソキサシン;ロキサルソン;ロキシスロマイシン;サンサイクリン;サンフェトリネムナトリウム;サルモキシシリン;サルピシリン;スコパフンジン;シソミシン;シソミシンスルフェート;スパルフロキサシン;スペクチノマイシン塩酸;スピラマイシン;スタリノマイシン塩酸;ステフィノマイシン;ストレプトマイシンスルフェート;ストレプトニコジド;スルファベンズ;スルファベンズアミド;スルフアセトアミド;スルフアセトアミドナトリウム;スルファチシン;スルファジアゾン;スルファジアジンナトリウム;スルファドキシン;スルファレン;スルファメラジン;スルファメトール;スルファメタジン;スルファメチゾール;スルファメトキサゾール;スルファモノメトメトキシン;スルファモキソール;スルファニレート亜鉛;スルファニトラン;スルファサラジン;スルファソミゾール;スルファチアゾール;スルファザメット;スルフィソキサゾール;スルフィソキサゾールアセチル;スルフィソキサゾールジオールアミン;スルホミキシン;スロペネム;スルタミシリン;サンシリンナトリウム;タラムピシン塩酸;テイコプラニン;テマフロキサシン塩酸;テモシリン;テトラサイクリン;テトラサイクリン塩酸;テトラサイクリンリン酸複合体;テトロキソプリム;チアムフェニコール;チフェンシリンカリウム;チカルシリンクレシルナトリウム;チカルシリン二ナトリウム;チカルシリンモノナトリウム;チクラトン;チオドニウムクロライド;トブラマイシン;トブラマイシンスルフェート;トスフロキサシン;トリメトプリム;トリメトプリムスルフェート;トリスルファピリミジン;トロレアンドマイシン;トロスペクトマイシンスルフェート;チロスリシン;バンコマシイン;バンコマシイン塩酸;ビルギニアマイシン;およびゾルバマイシン。 抗ウイルス剤は、ウイルスによる細胞の感染または細胞内のウイルスの複製を防ぐ化合物である。多くの抗ウイルス薬剤があるが抗細菌剤よりは少ない。ウイルス複製のプロセスは、宿主細胞内のDNA複製に緊密に関係しており、非特異的な抗ウイルス剤は、しばしば宿主に毒性であるからである。抗ウイルス剤によりブロックまたは阻害され得るウイルス感染のプロセス内のいくつかのプロセスがある。これらのステージは、ウイルスの宿主細胞への付着(免疫グロブリンまたは結合性ペプチド)、ウイルスの脱コーティング(例えば、アマンタジン)、ウイルスmRNAの合成または翻訳(例えば、インターフェロン)、ウイルスRNAまたはDNAの複製(例えば、ヌクレオシドアナログ)、新規ウイルスタンパク質の成熟(例えば、プロテアーゼインヒビター)、およびウイルスの出芽および放出を含む。 ヌクレオチドアナログは、ヌクレオチドに類似している合成化合物であるが、不完全または異常なデオキシリボースまたはリボース基を有している。一旦、ヌクレオチドアナログが細胞内にあると、それらは、リン酸化され、ウイルスDNAまたはRNA中への取り込みについて正常ヌクレオチドと競争する、形成された三リン酸を生成する。一旦、ヌクレオチドアナログの三リン酸形態が伸長する核酸鎖中に取り込まれると、それは、ウイルスポリメラーゼとの不可逆的に会合し、そしてそれ故鎖停止を引き起こす。ヌクレオチドアナログは、制限されずに、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘‐帯状疱疹ウイルスの処置に用いられる)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの処置に有用である)、イドックスウリジン、リバビリン(RSウイルスの処置に有用)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、およびジドブジン(アジドチミジン)を含む。インターフェロンは、ウイルス感染細胞および免疫細胞により分泌されるサイトカインである。インターフェロンは、感染細胞に隣接する細胞上の特異的レセプターに結合することによって機能し、細胞においてそれをウイルス感染から保護する変化を引き起こす。α−インターフェロンおよびβ−インターフェロンはまた、感染細胞の表面上のクラスIおよびクラスII MHC分子の発現を誘導し、免疫細胞認識のための増加した抗原提示を引き起こす。α−インターフェロンおよびβ−インターフェロンは、組換え形態として入手可能であり、そして慢性B型およびC型肝炎感染の処置のために用いられている。抗ウイルス治療のために有効である投薬量で、インターフェロンは、発熱、倦怠感および体重減少のような重篤な副作用を有している。 免疫グロブリン治療が、ウイルス感染の防止のために用いられている。ウイルス感染に対する免疫グロブリン治療は、細菌感染とは異なる。なぜなら、抗原特異的であるよりはむしろ、この免疫グロブリン治療は、細胞外ビリオンに結合すること、および、それらを、ウイルス感染を受けやすい細胞に付着しそして侵入することから防ぐことにより機能する。この治療は、宿主中に抗体が存在する期間の間ウイルス感染を防ぐために有用である。一般に、2つのタイプの免疫グロブリン治療、正常免疫グロブリン治療およびハイパー免疫グロブリン治療がある。正常免疫グロブリン治療は、正常血液ドナーの血清から調製され、かつプールされた抗体産物を利用する。このプールされた産物は、A型肝炎、パルボウイルス、エンテロウイルス(特に、新生児において)のような広範な範囲のヒトウイルスに対する低力価の抗体を含む。ハイパー免疫グロブリン治療は、特定のウイルスに対する高力価の抗体を有する個体の血清から調製される抗体を利用する。これらの抗体は、次いで、特定のウイルスに対して用いられる。ハイパー免疫グロブリンの例は、帯状疱疹免疫グロブリン(免疫寛容幼児および新生児における水痘の予防に有用)、ヒト狂犬病免疫グロブリン(凶暴動物によって噛まれた被験体の曝露後の予防で有用)、B型肝炎免疫グロブリン(B型肝炎ウイルスの予防、特にこのウイルスに曝された被験体において有用)、およびRSV免疫グロブリン(RSウイスル感染の処置において有用)を含む。 別のタイプの免疫グロブリン治療は、能動的免疫化である。これは、ウイルス表面タンパク質への抗体または抗体フラグメントの投与を含む。B型肝炎の能動的免疫化に利用可能である2つのタイプのワクチンは、血清由来B型肝炎抗体および組換えB型肝炎抗体を含む。両者は、HBsAgから調製される。これら抗体は、ヘルスケア作業者、慢性キャリヤーの性的パートナー、および幼児のような、B型肝炎ウイルスの感染の高リスクにある被験体に3つの用量で投与される。 従って、本発明で有用な高ウイルス剤は、制限されずに、免疫グロブリン、アマンタジン、インターフェロン、ヌクレオシドアナログ、およびプロテアーゼインヒビターを含む。抗ウイルス剤の詳細な例は、制限されずに以下を含む:アセマンナン;アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデフォビル;アロブジン;アルビルセプトスドトックス;アナンタジン塩酸;アラノチン;アリルドン;アテビルジンメシレート;アブリジン;シドフォビル;シパムフィリン;シタラビン塩酸;デラビリジンメシレート;デスシクロビル;ジダノシン;ジソキサリル;エドックスウジン;エンビラデン;エンビロキシム;ファムシクロビル;ファモチン塩酸;フィアシタビン;フィアルリジン;フォサリレート;フォスカーネットナトリウム;フォスフォネットナトリウム;ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;アイドックスウリジン;ケトキサール;ラミブウジン;ロブカビル;メモチン塩酸;メチサゾン;ネビラピン;ペンシクロビル;ピロダビル;リバビリン;リマンタジン塩酸;サキナビルメシレート;ソマンタジン塩酸;ソリブウジン;スタトロン;スタブウジン;チロロン塩酸;トリフルリジン;バラシクロビル塩酸;ビダラビン;ビダラビンリン酸;ビダラビンナトリウムリン酸;ビロキサム;ザルシタビン;ジドブジン;およびジンビロキシム。 抗真菌剤は、感染性真菌の処置および予防に有用である。抗真菌剤は、時に、それらの作用機構によって分類される。いくつかの抗真菌剤は、グルコース合成を阻害することによって、細胞壁インヒビターとして機能する。これらとしては、バシウンギン/ECBが挙げられる(しかし、これに限定されない)。他の抗真菌剤は、膜の統合性を不安定化させることによって機能する。これらとしては、クロトリマゾール、セルタコンゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびボリコナゾールのようなイミダゾール、ならびにFK463、アンホテリシンB,BAY 38−9502、MK991、プラジミシン、UK292,ブテナフィン、およびテルビナフィンが挙げられる(しかし、これに限定されない)。他の抗真菌剤は、キチンを分解することによって(例えば、キチナーゼ)、もしくは免疫抑制によって(501クリーム)、機能する。市販の薬剤のいくつかの例は、表3に示される。 したがって、本発明において有用な抗真菌剤としては、イミダゾール、FK463、アンホテリシンB,BAY 38−9502、MK991、プラジミシン、UK292,ブテナフィン、キチナーゼ、501クリーム、アクリゾルシン;アンブルチシン;アモロルフィン、アンホテリシンB;アザコナゾール;アザセリン;バシフンギン;ビフォナゾール;塩酸ビフェナミン;ビスピリチオンマグスルフェクス;硝酸ブトコナゾール;ウンデシレン酸カルシウム;カンジシジン;石炭酸フクシン;クロルダントイン;シクロピロックス;シクロピロックスオラミン;シロフンギン;シスコナゾール;クロトリマゾール;クプリミキシン;デノフンギン;ジピリチオン;デコナゾール;エコナゾール;硝酸エコナゾール;エニルコナゾール;硝酸エトナム;硝酸フェンチコナゾール;フィリピン;フルコナゾール;フルシトシン;フンギマイシン;グリセオフルビン;ハマイシン;イソコナゾール;イトラコナゾール;カラフンギン;ケトコナゾール;ロモフンギン;リジマイシン;メパルトリシン;ミコナゾール;硝酸ミコナゾール;モネンシン;モネンシンナトリウム;塩酸ナフチフィン;ウンデシレン酸ネオマイシン;ニフラテル;ニフルメロン;塩酸ニトララミン;ニスタチン;オクタン酸;硝酸オルコナゾール;硝酸オキシコナゾール;塩酸オキシフンギン;塩酸パルコナゾール;パルトリシン;ヨウ化カリウム;プロクロノール;ピリチオン亜鉛;ピロルニトリン;ルタマイシン;塩化サンギナリウム;サペルコナゾール;スコパフンギン;硫化セレン;シネフンギン;硝酸スルコナゾール;テルビナフィン;テルコナゾール;チラム;チクラトン;チオコナゾール;トルシクレート;トリンデート;トルナフテート;トリアセチン;トリアフンギン;ウンデシレン酸;ビリドフルギン;ウンデシレン酸亜鉛;および塩酸ジノコナゾールが挙げられる(しかし、これに限定されない)。 ヒトへの投与に有用な殺寄生生物薬とも呼ばれる抗寄生虫剤の例としては、アルベンダゾール、アンホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、塩酸クロロキン、リン酸クロロキン、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、ジロキサニドフロエート(furoate)、エフロルニチン、フラゾリダオン、糖質コルチコイド、ハロファントリン、ヨードキノール、アイバメクチン、メベンダゾール、メフロキン、メグルミンアンチモニエート、メラルソプロール、メトリフォネート、メトロニダゾール、ニクロサミド、ニフルチモックス、オキサムニキン、パロモマイシン、ペンタミジンイセチオネート、ピペラジン、プラジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル、ピランテルパモエート、ピリメタミンスルホンアミド、ピリメタミンスルファドキシン、塩酸キナクリン、硫酸キニン、グルコン酸キニジン、スピラマイシン、スチボグルコネートナトリウム(グルコン酸アンチモンナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトプリム(trimethroprim)−スルファメトキサゾール,およびトリパルサミド(これらのいくつかは、単独で使用されるか、もしくは他と組み合わせて使用される)が挙げられる(しかし、これに限定されない)。 非ヒト被験体に使用される殺寄生生物薬としては、ピペラジン、ジエチルカルバマジンン、チアベンダゾール、フェンベンダゾール、アルベンダゾール、オキシフェンダゾール、オキシベンダゾール、フェバンテル、レバミソール、酒石酸ピランテル、ピランテルパモエート、ジクロルボス、アイバメクチン、ドラメクティク、ミルベマイシンオキシム、イプリノメクチン、モキシデクチン、塩化N−ブチル、トルエン、ハイグロマイシンBチアセタルセミドナトリウム、メラルソミン、プラジカンテル、エプシプランテル、ベンズイミダゾール(例えば、フェンベンダゾール、アルベンダゾール、オキシフェンダゾール、クロルスロン、アルベンダゾール、アンプロリウム)、デコキネート、ラサロシド、モネンシン、スルファジメトキシン、スルファメタジン、スルファキノキサリンン、メトロニダゾール、が挙げられる。 ウマに使用される殺寄生生物薬としては、メベンダゾール、オキシフェンダゾール、フェバンテル、ピランテル、ジクロルボス、トリクロルフォン、アイバメクチン、ピペラジン;S.westeriに対しては:アイバメクチン、ベンズイミダゾール(例えば、チアベンダゾール、カンベンダゾール、オキシベンダゾール、およびフェンベンダゾール)、が挙げられる。イヌに有用な殺寄生生物薬としては、ミルベマイシンオキシム(oxine)、アイバメクチン、ピランテルパモエート、およびアイバメクチンとピランテルとの組み合わせ、が挙げられる。ブタでの寄生生物の処置としては、レバミソール、ピペラジン、ピランテル、チアベンダゾール、ジクロルボス、およびフェンベンダゾールの使用が挙げられ得る。ヒツジおよびヤギにおいて、駆虫剤としては、レバミソールもしくはアイバメクチンが挙げられる。カパルソレートは、ネコのD.immitis(イヌ糸状虫)の処置においていくらかの効力を示している。 免疫刺激性核酸はまた、抗癌治療と組み合わせて投与され得る。抗癌治療としては、癌治療薬(cancer medicament)、放射線、および外科的手順が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「癌治療薬」とは、癌を処置する目的で被験体に投与される薬剤を指す。本明細書中で使用される場合、「癌の処置」とは、癌の発生を予防すること、癌の症状を減少させること、および/もしくは発生した癌の成長を阻害すること、を含む。他の局面において、癌治療薬は、癌を発生する危険を有する被験体に、その癌を発生する危険を減少させる目的で投与される。癌の処置のための種々の医薬が、本明細書中に記載される。本明細書の目的のため、癌治療薬は、化学療法剤、免疫治療剤、癌ワクチン、ホルモン治療、および生物学的反応修飾因子として分類される。 本明細書中で使用される場合、「癌治療薬」とは、癌を処置する目的で被験体に投与される薬剤を指す。明細書中で使用される場合、「癌の処置」とは、癌の発生を予防すること、癌の症状を減少させること、および/もしくは発生した癌の成長を阻害すること、を含む。他の局面において、癌治療薬は、癌を発生する危険を有する被験体に、その癌を発生する危険を減少させる目的で投与される。癌の処置のための種々の医薬が、本明細書中に記載される。本明細書の目的のため、癌治療薬は、化学療法剤、免疫治療剤、癌ワクチン、ホルモン治療、および生物学的反応修飾因子として分類される。加えて、本発明の方法は、免疫刺激性核酸とともに1種より多くの癌治療薬をの使用を含むことが意図される。一例として、適切な場合、免疫刺激性核酸は、化学療法剤および免疫治療剤の両方とともに投与され得る。あるいは癌治療薬は、癌を有するか、もしくは癌を発生する危険を有する被験体を処置する目的で一人の被験体に全て投与される、免疫治療剤および癌ワクチン、または化学療法剤および癌ワクチン、または化学療法剤、免疫治療剤、および癌ワクチンを含み得る。 癌治療薬は、種々の方法で機能し得る。いくつかの癌治療薬は、腫瘍細胞に特異的な生理学的機構を標的とすることよって作用する。例として、癌で変異される特定の遺伝子、およびそれらの遺伝子の産物(すなわち、主にタンパク質)を標的することが挙げられるこのような遺伝子としては、癌遺伝子(例えば、Ras、Her2、bcl−2)、腫瘍抑制遺伝子(例えば、EGF、p53、Rb)、および細胞周期標的(例えば、CDK4、p21、テロメラーゼ)、が挙げられる(しかし、これらに限定されない)。癌治療薬は、あるいは、シグナル伝達経路、および癌細胞で変化される分子機構を標的し得る。癌細胞を、それらの細胞表面に発現されるエピトープを介して標的とすることは、モノクローナル抗体の使用を通じて実現される。この後者のタイプの癌治療薬は、本明細書中において、一般に、免疫治療と呼ばれる。 他の癌治療薬は、癌細胞以外の細胞を標的する。例えば、いくつかの医薬は、腫瘍細胞を攻撃するように、免疫系を刺激する(すなわち、癌ワクチン)。さらに他の医薬は、血管新生インヒビターと呼ばれ、固形腫瘍の血液供給を攻撃することによって機能する。ほとんどの悪性の癌は転移し得る(すなわち、原発性腫瘍部位に存在し、かつ遠位の組織に播種して二次性腫瘍を形成する)ので、この転移を妨害する医薬もまた、癌の処置に有用である。血管新生媒介因子としては、塩基性FGF、VEGF、アンジオポイエチン、アンジオスタチン、エンドスタチン、TNFα、TNP−470、トロンボスポンジン−1、血小板第4因子、CAI、およびインテグリンファミリータンパク質の特定のメンバー、が挙げられる。このタイプの医薬の1つの部類は、メタロプロテアーゼインヒビターであり、これは、癌細胞によって使用される酵素が、原発腫瘍部位に存在し、かつ別の組織中に溢出するのを阻害する。 免疫治療剤とは、癌抗原に特異的に結合するかもしくは癌抗原を特異的に認識する、抗体または抗体フラグメントに由来する、医薬である。本明細書中で使用される場合、癌抗原は、癌細胞によって発現される抗原として、広範に定義される。好ましくは、この抗原は、癌細胞の細胞表面に発現される。さらにより好ましくは、この抗原は、正常細胞には発現されないか、または少なくとも癌細胞と同じレベルでは発現されない抗原である。抗体に基づく免疫治療は、癌細胞の細胞表面に結合し、それによって内在する免疫系を刺激して癌細胞を攻撃することによって機能し得る。抗体に基づく免疫治療が機能する他の方法は、癌細胞への有毒物質の特異的標的のための送達系としてである。抗体は、通常、リシン(例えば、ヒマの実に由来する)、カリケアミシン(calicheamicin)およびマイタンシノイド(maytansinoid)のような毒素、ヨウ素131およびイットリウム90のような放射性同位体、(本明細書中で記載されるような)化学療法剤、または生物学的反応修飾因子と結合体化される。このように、毒性物質は、癌領域で濃縮され得、そして正常細胞への非特異的毒性は、最小化され得る。癌抗原に対して特異的な抗体の使用に加えて、血管系に結合する抗体(例えば、内皮細胞に結合する抗体)もまた、本発明において有用である。これは、一般に、固形腫瘍が新たに形成される血管に依存して生存するからであり、そのためほとんどの腫瘍が、新しい血管の増殖を補強および刺激し得るからである。結果として、多くの癌機構の1つの戦略は、腫瘍に栄養供給する血管を攻撃すること、および/またはこのような血管を支持する結合組織(もしくは支質)を攻撃することである。 免疫治療剤(例えば、モノクローナル抗体)に組み合わせられた免疫刺激性核酸の使用は、ADCCの有意な増強を含む多くの機構(上記で議論される)、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、およびIFNαレベルの増加を通じて、長期生存を延長し得る。モノクローナル抗体と組み合わせて使用される核酸は、生物学的結果を達成するのに必要とされる抗体の用量を減少させるように作用する。 現在使用されているか、または開発中である癌免疫治療の例が、表4に記載される。 本発明に従って使用され得るなお他のタイプの化学療法剤としては、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロンブシル、塩酸シタラビン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フロオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イフォスファミド、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子アナログ)、ロムスチン(CCNU)、塩酸メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトーテン(o.p’−DDD)、塩酸ミトザントロン、オクトレオチド、プリカマイシン、塩酸プロカルバジン、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アンサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポイエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、および硫酸ビンデシン、が挙げられる。 癌ワクチンは、癌細胞に対する内因性の免疫応答を刺激するように意図される医薬である。現在生成されるワクチンは、体液性免疫系(すなわち、抗体依存性免疫応答)を主に活性化する。現在開発中の他のワクチンは、細胞媒介性免疫系(腫瘍細胞を殺し得る細胞傷害性T細胞を含む)の活性化に焦点がおかれる。癌ワクチンは、一般に、抗原提示細胞(例えば、マクロファージおよび樹状細胞)および/または他の免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、およびNK細胞)への癌抗原の提示を増強する。 癌ワクチンは、下記で議論されるように、複数の形態の1つを取り得るが、これらの目的は、APCによる、およびMHCクラスI分子に関連する細胞表面上の抗原提示の最終的提示による、このような抗原の内在プロセシングを促進するため、癌抗原および/もしくは癌関連抗原を抗原提示細胞(APC)へ送達することである。癌ワクチンの1つの形態は、全細胞ワクチンであり、これは被験体から取り出さされ、生体外で処理され、次いでこの被験体へ全細胞として再導入される、癌細胞の調製物である。腫瘍細胞の溶解物もまた、癌ワクチンとして使用され、免疫応答を誘発し得る。癌ワクチンの他の形態は、ペプチドワクチンであり、これは、癌特異的小タンパク質もしくは癌関連小タンパク質を用いて、T細胞を活性化させる。癌関連タンパク質は、癌細胞によって独占的に発現されないタンパク質である(すなわち、他の正常細胞も、やはりこれらの抗原を発現し得る)。しかし、癌関連抗原の発現は、一般的に、特定のタイプの癌によって、一貫してアップレギュレートされる。癌ワクチンのなお別の形態は、樹状細胞ワクチンであり、これは、インビボで癌抗原もしくは癌関連抗原に曝露された樹状細胞全体を含む。樹状細胞の溶解物もしくは膜画分もまた、癌ワクチンとして使用され得る。樹状細胞ワクチンは、抗原提示細胞を直接的に活性化し得る。他の癌ワクチンとしては、ガングリオシドワクチン、熱ショックタンパク質ワクチン、ウイルスワクチンおよび細菌ワクチン、および核酸ワクチン、が挙げられる。 癌ワクチンと組み合わせられる免疫刺激性核酸の使用は、NK細胞および内在性樹状細胞を活性化させること、およびIFNαレベルを増加させることに加えて、改善された、抗原特異的な体液性免疫応答および抗原特異的細胞媒介性免疫応答を提供する。この増強は、減少した抗原用量を含むワクチンを用いて、同じ有効な効果を実現することを可能にする。いくつかの場合において、癌ワクチンは、上記に記載されるようなアジュバントとともに使用され得る。 他のワクチンは、樹状細胞の形態を取る(これは、インビトロで癌抗原に曝露されて、その抗原を処理しており、その細胞表面に、他の免疫系細胞への有効な抗原提示のためにMHC分子に関連した癌抗原を発現し得る)。 免疫刺激性核酸は、樹状細胞を基にする癌ワクチンと組み合わせて、本発明の1つの局面で使用される。樹状細胞は、プロフェッショナル抗原提示細胞である。樹状細胞は、抗原を提示することによって、およびその局所環境においてLPSのような微生物分子を検出する、パターン認識レセプターの発現を通じて、先来性免疫系と後天性免疫系との間の関連を形成する。樹状細胞は、効率的に内部移行し、処理し、そしてそれが曝露される可溶性特異的抗原を提示する。内部移行および抗原提示のプロセスは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)および副刺激分子の発現の迅速なアップレギュレーション、サイトカインの生成、および、それらがT細胞の活性化に関与すると考えられる場所であるリンパ器官への移行、を引き起こす。 表5は、現在使用されているか、もしくは開発中である種々の癌ワクチンを記載する。 本明細書中で使用される場合、化学治療剤は、免疫治療剤および癌ワクチンの分類に入らない他の全ての形態の癌治療薬を含む。本明細書中で使用される場合、化学治療剤は、化学的薬剤および生物学的薬剤の両方を含む。これらの薬剤は、癌細胞が継続的な生存のために依存する細胞活性を阻害するように機能する。化学治療剤の分類としては、アルキル化剤、アルカロイド剤、代謝拮抗剤、ホルモンもしくはホルモンアナログ、および種々の抗腫瘍性薬物、が挙げられる。これらの薬剤の、全てではないとしてもほとんどは、癌細胞に対して直接的に有毒であり、そして免疫応答を必要としない。化学療法と免疫刺激性核酸投与との組み合わせは、化学療法の最大許容用量を増加させる。 現在開発中であるか、もしくは臨床現場で使用中である化学治療剤が、表6に示される。 1つの実施形態において、本発明の方法は、癌の処置において、IFNα治療の使用の代わりに免疫刺激性核酸を使用する。現在、いくつかの処置プロトコールは、IFNαの使用を必要とする。IFNαは、いくつかの免疫刺激性核酸の投与に続いて生成されるので、これらの核酸は、IFNαを内因的に生成するのに使用され得る。 別の実施形態において、喘息医薬/アレルギー医薬は、PDE−4インヒビター、気管支拡張剤/β−2アゴニスト、K+チャネルオープナー、VLA−4アンタゴニスト、ニューロキンアンタゴニスト、TXA2合成インヒビター、キサンサニン、アラキドン酸アンタゴニスト、5リポキシゲナーゼインヒビター、トロンボシンA2レセプターアンタゴニスト、トロンボキサンA2アンタゴニスト、5−lipox活性化タンパク質インヒビター、およびプロテアーゼインヒビター、からなる群から選択される(しかし、これらに限定されない)医薬である。いくつかの重要な実施形態において、喘息医薬/アレルギー医薬は、サルメテロール、サルブタモール、テルブタリン、D2522/フォルモテロール、フェノテロール、およびオルシプレナリンからなる群から選択される、気管支拡張剤/β−2アゴニストである。 別の実施形態において、喘息医薬/アレルギー医薬は、抗ヒスタミン剤およびプロスタグランジン誘導物質からなる群から選択される、医薬である。1つの実施形態において、抗ヒスタミン剤は、ロラチジン、セチリジン、ブクリジン、セテリジンアナログ、フェクソフェナジン、テルフェナジン、デスロラタジン、ノルアステミゾール、エピナスチン、エバスチン、エバスチン、アステミゾール、レボカバスチン、アゼラスチン、トラニラスト、テルフェナジン、ミゾラスチン、ベタタスチン、CS560、HSR609、からなる群から選択される。別の実施形態において、プロスタグランジン誘導物質は、S−5751である。 なお別の実施形態において、喘息医薬/アレルギー医薬は、ステロイドおよび免疫調節剤からなる群から選択される。免疫調節剤は、抗炎症剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、IL−4ムテイン、可溶性IL−4レセプター、免疫抑制剤、抗IL−4抗体、IL−4アンタゴニスト、抗IL−5抗体、可溶性IL−13レセプター−Fc融合タンパク質、抗IL−9抗体、CCR3アンタゴニスト、CCR5アンタゴニスト、VLA−4インヒビター、およびIgEのダウンレギュレーター、からなる群から選択され得る(しかし、これらに限定されない)。1つの実施形態において、IgEのダウンレギュレーターは、抗IgEである。 別の実施形態において、ステロイドは、ベクロメタゾン、フルチカゾン、トランキノロン、ブデゾニド、およびブデゾニドからなる群から選択される。なおさらなる実施形態において、免疫抑制剤は、寛容化されたペプチドワクチンである。 1つの実施形態において、免疫刺激性核酸は、喘息医薬/アレルギー医薬と同時に投与される。別の実施形態において、被験体は、免疫無防備状態にある被験体である。 免疫刺激性核酸は、さらに他の治療剤(例えば、アジュバント)と組み合わせられて、免疫応答を増強し得る。免疫刺激性核酸、および他の治療剤は、同時にもしくは逐次的に投与され得る。他の治療剤が同時に投与される場合、これらは、同じもしくは別個の処方物として投与され得るが、同時に投与される。他の治療剤および免疫刺激性核酸の投与が、時間的に分離される場合、他の治療剤は、互いに逐次的に、そして免疫刺激性核酸とともに投与される。これらの化合物の投与の間の時間の分離は、分単位であり得るか、またはより長いものであり得る。他の治療剤としては、アジュバント、サイトカイン、抗体、抗原、などが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。 本発明の組成物はまた、非核酸アジュバントを含み得る。非核酸アジュバントは、本明細書中に記載される免疫刺激性核酸以外の、体液性免疫応答および/もしくは細胞性免疫応答を刺激し得る、任意の分子もしくは化合物である。非核酸アジュバントとしては、例えば、貯留作用を引き起こすアジュバント、免疫刺激性アジュバント、および貯留作用を引き起こし、かつ免疫系を刺激するアジュバント、が挙げられる。 本明細書中で使用される場合、貯留作用を引き起こすアジュバントとは、抗原を体内にゆっくりと放出させ、それによって抗原への免疫細胞の曝露を延長させるアジュバントである。この分類のアジュバントとしては、ミョウバン(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム);もしくは乳剤を基礎とする処方物(ミネラルオイル、非ミネラルオイル、油中水型乳剤もしくは油中水中油型乳剤、MontanideアジュバントのSeppic ISAシリーズ(例えば、Montanide ISA720、AirLiquide、Paris、France)のような水中油型乳剤、が挙げられる);MF−59(Span85およびTween80で安定化された、水中スクワレン型乳剤;Chiron Corporation、Emeryville、CA);およびPROVAX(安定化界面活性剤およびミセル形成剤を含む水中油型乳剤;IDEC、Pharmaceuticals Corporation、San Diego、CA)、が挙げられる(しかし、これに限定されない)。 免疫刺激性アジュバントは、免疫系の細胞の活性化を引き起こすアジュバントである。これは、例えば、免疫細胞にサイトカインを生成および分泌させる。このクラスのアジュバントとしては、Q.saponariaの木の樹皮から精製されるサポニン(例えば、QS21(HPLC分画で21番目のピーク中に溶出する糖脂質;Aquila Biopharmaceuticals、Inc.、Worcester、MA));ポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン(PCPPポリマー;Virus Research Institute、USA);リポポリサッカライドの誘導体(例えば、モノホスホリルリピッドA(MPL;Ribi ImmunoChem Research、Inc.、Hamilton、MT)、ムラミルジペプチド(MDP;Ribi)、およびスレオニルムラミルジペプチド(t−MDP;Ribi));OM−174(脂質Aに関連するグルコサミンジサッカライド;OM Pharma SA、Meyrin、Switzerland);および、リューシュマニア伸長因子(精製Leishmaniaタンパク質;Corixa Corporation、Seattle、WA)、が挙げられる(しかし、これに限定されない)。 貯留作用を引き起こしかつ免疫系を刺激するアジュバントは、上記に同定された機能の両方を有する化合物である。この種類のアジュバントとしては、ISCOMS(混合されたサポニン、脂質を含み、そして抗原を保持し得る孔を有するウイルスサイズの粒子を形成する、免疫刺激性複合体;CSL、Melbourne、Australia);SB−AS2(SmithKline Beechamアジュバントシステム#2(MPLおよびQS21を含む水中油型乳剤である):SmithKline Beecham Biologicals[SBB]、Rixensart、Belgium);SB−AS4(SmithKline Beechemアジュバントシステム#4(ミョウバンおよびMPLを含む):SBB、Belgium);ミセルを形成する非イオン性ブロックコポリマー(例えば、CRL1005)、これは、ポリオキシエチレンの鎖に挟まれた疎水性ポリオキシプロピレンの直鎖を含む;Vaxcel、Inc.、Norcross、GA);および、Syntex Adjuvant Formulation(SAF、Tween80および非イオン性ブロックコポリマーを含む水中油型乳剤;Syntex Chemicals、Inc.、Boulder、CO)、が挙げられる(しかし、これに限定されない)。 免疫刺激性核酸は、それ自身で体液性免疫応答を誘導するアジュバントとして有用である。したがって、それらは、抗原に曝露された被験体へ送達され、抗原への免疫応答の増強を生じ得る。 免疫刺激性核酸は、粘膜アジュバントとして有用である。全身性免疫および粘膜免疫の両方がCpG核酸の粘膜送達によって誘導されることが、既に発見されている。このCpG核酸に応答して誘導される全身性免疫は、粘膜に単独で投与される場合に全身性免疫を誘導し得なかった特定抗原への体液性応答および細胞媒介性応答の両方を含んだ。さらに、CpG核酸およびコレラ毒(CT、Th2様応答を誘導する粘膜アジュバント)の両方は、CTLを誘導した。全身性免疫化によって、Th2様抗体の存在は、通常CTLの欠乏に関連する(Schirmbeckら、1995)ので、このことは驚くべきことであった。本明細書中で提示される結果に基づいて、免疫刺激性核酸が同様の様式で機能することが予測される。 加えて、免疫刺激性核酸は、局所的粘膜部位(例えば、肺)および遠隔の粘膜部位(例えば、消化管下部)の両方で、粘液応答を誘導する。有意なレベルのIgA抗体が、免疫刺激性核酸によって、離れた粘膜部位で誘導される。CTは、一般的に、非常に有効な粘膜アジュバントであると考えられる。既に報告されているように(Snider、1995)、CTは、IgG1アイソタイプの抗体を主に誘導し、これはTh2型応答を示す。反対に、免疫刺激性核酸は、主にIgG2抗体によって、特に、追加免疫後、もしくは2つのアジュバントが組み合わせられる場合に、よりTh1的である。TH1型抗体は、一般に、より高い中和能を有し、そしてさらに、肺でのTh2応答は、喘息と関連するので非常に望ましくない(Kay、1996、Hogg、1997)。したがって、粘膜アジュバントとしての免疫刺激性核酸の使用は、他の粘膜アジュバントが達成し得ない利点を有する。本発明の免疫刺激性核酸はまた、全身性免疫応答と粘膜免疫応答との両方を誘導する粘膜アジュバントとして有用である。 非核酸粘膜アジュバントと呼ばれる粘膜アジュバントはまた、免疫刺激性核酸とともに投与され得る。本明細書中で使用される場合、非核酸粘膜アジュバントとは、抗原と組み合わせて粘膜表面に投与される場合に被験体において粘膜免疫応答を誘導し得る、免疫刺激性核酸以外のアジュバントである。粘膜アジュバントとしては、細菌毒素(例えば、コレラ毒(CT)、CT誘導体(以下:CT Bサブユニット(CTB)(Wuら、1998、Tochikuboら、1998);CTD53(Val→Asp)(Fontanaら、1995);CTK97(Val→Lys)(Fontanaら、1995);CTK104(Try→Lys)(Fontanaら、1995);CTD53/K63(Val→Asp、Ser→Lys)(Fontanaら、1995);CTH54(Arg→His)(Fontanaら、1995);CTN107(His→Asn)(Fontanaら、1995);CTE114(Ser→Glu)(Fontanaら、1995);CTE112K(Glu→Lys)(Yamamotoら、1997a);CTS61F(Ser→Phe)(Yamamotoら、1997a、1997b);CTS106(Pro→Lys)(Douceら、1997、Fontanaら、1995);CTK63(Ser→Lys)(Douceら、1997、Fontanaら、1995)を含む(が、これに限定されない))、閉鎖帯毒素、zot、大腸菌易熱性エンテロトキシン、不安定毒(Labile Toxin)(LT)、LT誘導体(以下:LT Bサブユニット(LTB)(Verweijら、1998);LT7K(Arg→Lys)(Komaseら、1998、Douceら、1995);LT61F(Ser→Phe)(Komaseら、1998);LT112K(Glu→Lys)(Komaseら、1998);LT118E(Gly→Glu)(Komaseら、1998);LT146E(Arg→Glu)(Komaseら、1998);LT192G(Arg→Gly)(Komaseら、1998);LTK63(Ser→Lys)(Marchettiら、1998、Douceら、1997、1998、Di Tommasoら、1996);および、LTR72(Ala→Arg)(Giulianiら、1998)を含む(が、これに限定されない))、百日咳毒素(PT)(Lyckeら、1992、Spangler BD、1992、FreytagおよびClemments、1999、Robertsら、1995、Wilsonら、1995)(これはPT−9K/129G(Robertsら、1995、Cropleyら、1995)を含む);毒素誘導体(以下参照)(Holmgrenら、1993、Verweijら、1998、Rappuoliら、1995、FreytagおよびClements、1999);脂質A誘導体(例えば、モノホスホリルリピドA、MPL)(Sasakiら、1998、Vancottら、1998;ムラニルジペプチド(MDP)誘導体(Fukushimaら、1996、Ogawaら、1989、Michalekら、1983,Morisakiら、1983);細菌外膜タンパク質(例えば、Borrelia burgdorferiの外膜タンパク質A(OspA)リポタンパク質、髄膜炎菌の外膜タンパク質)(Marinaroら、1999、Van de Vergら、1996);水中油型乳剤(例えば、MF59)(Barchfieldら、1999、Verschoorら、1999、O’Hagan、1998);アルミニウム塩(Isakaら、1998、1999);およびサポニン(例えば、QS21)(Antigenics、Inc.、Woburn、MA)(Sasakiら、1998、MacNealら、1998)、ISCOMS、MF−59(Span85およびTween80で安定化された水中スクワレン型乳剤;Chiron Corporation、Emeryville、CA);MontanideアジュバントのSeppic ISAシリーズ(例えば、Montanide ISA720;AirLiquide、Paris、France);PROVAX(安定化界面活性剤およびミセル形成剤を含む水中油型乳剤;IDEC Pharmaceuticals Corporation、San Diego、CA);Syntex Adjuvant Formulation(SAF;Syntex Chemicals、Inc.、Boulder、CO);ポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン(PCPPポリマー;Virus Research Institute、USA)およびリューシュマニア伸長因子(Corixa Corporation、Seattle、WA)、が挙げられる(しかし、これに限定されない)。 免疫応答はまた、サイトカイン(Bueler & Mulligan,1996;Chowら,1997;Geisslerら,1997;Iwasakiら,1997;Kimら,1997)またはB−7同時刺激性分子(Iwasakiら;1997;Tsujiら,1997)と免疫刺激性核酸との同時投与または同一線形(colinear)発現によって誘導または増強され得る。サイトカインは、免疫刺激性核酸とともに直接的に投与され得るか、またはサイトカインをコードする核酸ベクターの形態で投与され得、その結果、このサイトカインは、インビボで発現され得る。1つの実施形態において、サイトカインは、プラスミド発現ベクターの形態で投与される。用語サイトカインは、ナノモル濃度またはピコモル濃度で体液性調節因子として作用し、そして通常の条件または生理学的条件のいずれかにおいて、個々の細胞および組織の機能的活性を調節する可溶性タンパク質およびペプチドの様々な群についての一般的な名称として使用される。これらのタンパク質はまた、直接的に細胞間の相互作用を媒介し、そして細胞外環境で行われるプロセスを調節する。 サイトカインの例としては、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン−γ(γ−IFN)、IFN−α、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−β、FLT−3リガンド、およびCD40リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。 サイトカインは、T細胞応答を方向付ける役割を果たす。ヘルパー(CD4+)T細胞は、他の免疫系細胞(他のT細胞を含む)に対して作用する可溶性因子の産生を介して、哺乳動物の免疫応答を調整する。大部分の成熟CD4+Tヘルパー細胞は、2つのサイトカインプロフィール(Th1またはTh2)のうちの1つを発現する。Th1サブセットは、遅延型過敏症、細胞媒介免疫、およびIgG2aへの免疫グロブリンクラススイッチを促進する。Th2サブセットは、B細胞を活性化し、抗体産生を促進し、そしてIgG1およびIgEへのクラススイッチを誘導することによって、体液性免疫を誘導する。いくつかの実施形態において、サイトカインはTh1サイトカインであることが好ましい。 免疫刺激性核酸は、被験体に直接的に投与され得るか、または核酸送達複合体とともに投与され得る。核酸送達複合体とは、標的化手段(例えば、標的細胞へのより高い結合親和性を生じる分子(例えば、B細胞表面および/または標的細胞による増加した細胞の取り込み))と関連する(例えば、イオン結合もしくは共有結合;または中にカプセル化される)核酸分子を意味する。核酸送達複合体の例としては、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質、ビロソームまたはリポソーム)、または標的細胞特異的結合剤(例えば、標的細胞特異的レセプターによって認識されるリガンド)が挙げられる。好ましい複合体は、標的細胞による内部移行の前に、有意な脱共役を妨げるのに十分にインビボで安定であり得る。しかし、この複合体は、核酸が機能性形態で放出されるように、細胞内で適切な条件下で切断可能であり得る。 抗原および核酸を表面に送達するための送達ビヒクルまたは送達デバイスが記載されている。免疫刺激性核酸および/または抗原および/または他の治療剤は、単独で(例えば、生理食塩水中でまたは緩衝液中で)、あるいは当該分野で公知の任意の送達ビヒクルを使用して投与され得る。例えば、以下の送達ビヒクルが記載されている:コキレート(Cochleates)(Gould−Fogeriteら,1994,1996);エマルソーム(Emulsomes)(Vancottら,1998,Lowellら,1997);ISCOMs(Mowatら,1993,Carlssonら,1991,Huら,1998,Moreinら,1999);リポソーム(Childersら,1999,Michalekら,1989,1992,de Haan 1995a,1995b);生きた細菌ベクター(例えば、Salmonella,Escherichia coli,Bacillus calmatte−guerin,Shigella,Lactobacillus)(Honeら,1996,Pouwelsら,1998,Chatfieldら,1993,Stoverら,1991,Nugentら,1998);生きたウイルスベクター(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、単純ヘルペス)(Gallichanら,1993,1995,Mossら,1996,Nugentら,1998,Flexnerら,1988,Morrowら,1999);ミクロスフェア(Guptaら,1998,Jonesら,1996,Maloyら,1994,Mooreら,1995,O’Haganら,1994,Eldridgeら,1989);核酸ワクチン(Fynanら,1993,Kuklinら,1997,Sasakiら,1998,Okadaら,1997,Ishiiら,1997);ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン)(Hamajimaら,1998,Jabbal−Gillら,1998);ポリマー環(Wyattら,1998);Proteosomes(Vancottら,1998,Lowellら、1988,1996,1997);フッ化ナトリウム(Hashiら,1998);トランスジェニック植物(Tacketら,1998,Masonら,1998,Haqら,1995);ビロソーム(Gluckら,1992, Mengiardiら,1995,Cryzら,1998);ウイルス様粒子(Jiangら,1999,Leiblら,1998)。他の送達ビヒクルは、当該分野で公知であり、いくつかのさらなる例が、ベクターについての考察において以下に提供される。 特定の免疫刺激性核酸の刺激指数は、種々の免疫細胞アッセイにおいて試験され得る。好ましくは、B細胞増殖に関して免疫刺激性核酸の刺激指数は、マウスB細胞培養物中での3Hウリジンの取り込みによって決定される場合、少なくとも約5、好ましくは、少なくとも約10、より好ましくは、少なくとも約15、最も好ましくは少なくとも約20である。このマウスB細胞培養物は、20時間、37℃で20μMの核酸と接触され、そして1μCiの3Hウリジンでパルスされており;そして4時間後に収集および計数される(これは、それぞれ、1995年2月7日および1997年10月30日に出願された、米国出願番号08/386,063および08/960,774,に対して優先権を主張する、PCT公開特許出願PCT/US95/01570(WO 96/02555)およびPCT/US97/l9791(WO 98/18810)に詳細に記載されている)。例えば、免疫刺激性核酸が、インビボでの使用のために、免疫応答(例えば、抗体産生)を効果的に誘導し得ることが重要である。 免疫刺激性核酸は、非齧歯類脊椎動物において有効である。異なる免疫刺激性核酸が、被験体のタイプおよび免疫刺激性核酸の配列に依存して、最適な免疫刺激を引き起こし得る。多くの脊椎動物が、同一のクラスの免疫刺激性核酸(ときどき、ヒト特異的免疫刺激性核酸と呼ばれる)に応答することが、本発明に従って見出されている。しかし、齧歯類は、異なる核酸に応答する。本明細書中で示されるように、ヒトにおいて最適な刺激を引き起こす免疫刺激性核酸は、一般的に、マウスにおいて最適な刺激を引き起こさず、その逆もまた同様である。しかし、ヒトにおいて最適な刺激を引き起こす免疫刺激性核酸は、他の動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジなど)において最適な刺激を引き起こす。当業者は、本明細書中に供給されるガイダンスを使用して、本明細書中に記載される慣習的なアッセイおよび/または当該分野で公知な慣習的なアッセイを使用して、目的の特定の種について有用な最適な核酸配列を同定し得る。 用語、免疫刺激性核酸の有効量とは、所望の生物学的効果を実現するのに必要なまたは十分な量をいう。例えば、粘液性免疫を誘導するための免疫刺激性核酸の有効量は、抗原に曝露した際に、抗原に応答してIgAの発生を引き起こすのに必要な量であるのに対して、全身性免疫を誘導するために必要とされる量は、抗原に曝露した際に、抗原に応答してIgGの発生を引き起こすのに必要な量である。本明細書中に提供される技術と組み合わせて、種々の活性化合物を選択し、そして因子(例えば、効力、相対的バイオアベイラビリティー、患者体重、有害な副作用の重篤度および投与の好ましい様式)を比較検討することによって、有効な処置レジメンまたは治療処置レジメン(実質的な毒性を引き起こさず、特定の被験体を処置するのに全体的に有効である)が計画され得る。任意の特定の適用についての有効量は、処置される疾患または状態、投与される特定の免疫刺激性核酸、抗原、被験体の大きさ、または疾患もしくは状態の重篤度のような因子に依存して変動し得る。当業者は、過度な実験を必要とすることなく、特定の免疫刺激性核酸および/または抗原および/または他の治療剤の有効量を経験的に決定し得る。 粘膜送達または局所送達のために本明細書中に記載される化合物の被験体用量は、代表的に、投与当たり約0.1μg〜10mgの範囲であり、これは、毎日、毎週、または毎月およびそれらの間の任意の他の時間の量で与えられ得る適用に依存する。より代表的には、粘膜用量または局所用量は、投与当たり10μg〜5mg、最も代表的には、約100μg〜1mgの範囲であり、2〜4回の投与が、日または週の間隔をおかれてなされる。より代表的には、免疫刺激用量は、投与当たり1μg〜10mg、最も代表的には、10μg〜1mgの範囲で、毎日または毎週の投与である。化合物の被験体用量が、抗原特異的免疫応答を誘導するための非経口送達について、本明細書中に記載され、ここで、この化合物が、抗原とともに送達されるが、別の治療剤が、代表的には、ワクチンアジュバントまたは免疫刺激性適用のために有効な粘膜用量よりも5〜10,000倍高く、より代表的には、10〜1,000倍高く、最も代表的には、20〜100倍高い。免疫刺激性核酸が他の治療剤と組み合わせてまたは特定の送達ビヒクルにおいて投与される場合、先天性免疫応答を誘導するため、またはADCCを増加させるため、または抗原特異的免疫応答を誘導するために、非経口的送達のための本明細書中に記載される化合物の用量は、代表的に、投与当たり約0.1μg〜10mgの範囲であり、これは、毎日、毎週、または毎月およびそれらの間の任意の他の時間の量で与えられ得る適用に依存する。より代表的には、これらの目的のための非経口用量は、投与当たり約10μg〜5mg、最も代表的には、約100μg〜1mgの範囲であり、2〜4回の投与が、日または週の間隔をおかれてなされる。しかし、ある実施形態において、これらの目的のための非経口用量は、上記の代表的な用量よりも5〜10,000倍高い範囲で使用され得る。 本明細書中に記載される任意の化合物について、治療有効量は、動物モデルから最初に決定され得る。治療有効用量はまた、ヒトにおいて試験されているCpGオリゴヌクレオチド(ヒト臨床試験が開始されている)について、および類似の薬理学的活性を示すことが公知である化合物(例えば、他の粘膜アジュバント(例えば、LTおよびワクチン接種目的の他の抗原)について、粘膜投与または局所投与について、ヒトデータから最初に決定され得る。より多い用量は、非経口投与のために必要とされる。適用される用量は、投与される化合物の相対的なバイオアベイラビリティーおよび効力に基づいて調節され得る。上記の方法および当該分野において周知の他の方法に基づいて、最大の効力を達成するための用量を調節することは、当業者の能力の十分に範囲内である。 本発明の処方物は、薬学的に受容可能な溶液で投与され、これは、慣用的には、薬学的に受容可能な濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性キャリア、アジュバント、および必要に応じて他の治療成分を含み得る。 治療において使用するために、有効量の免疫刺激性核酸が、核酸を消耗の表面(例えば、粘膜、全身)に送達する任意の様式によって、被験体に投与され得る。本発明の薬学的組成物を投与することは、当業者に公知の任意の手段によって達成され得る。好ましい投与経路としては、経口、非経口、筋肉内、鼻内、鞘内、吸入、眼、膣および直腸が挙げられるが、これらに限定されない。 経口投与のために、化合物(すなわち、免疫刺激性核酸、抗原および他の治療剤)は、活性化合物と当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアとを組み合わせることによって容易に処方され得る。このようなキャリアによって、本発明の化合物が、錠剤(tablet)、錠剤(pill)、糖剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして、処置される被験体による経口摂取のために、処方され得る。経口使用のための薬学的調製物は、必要に応じて、得られた混合物を粉砕し、そして錠剤または糖剤コアを得るために、所望の場合、適切な補助剤を添加した後に、顆粒の混合物を処理して、固体賦形剤として得られ得る。適切な賦形剤は、特に、充填剤(例えば、糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望の場合、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)が添加され得る。必要に応じて、経口処方物はまた、内部酸条件を中和するために生理食塩水または緩衝液で処方され得るか、あるいは、いかなるキャリアもなしで投与され得る。 糖剤コアは、適切なコーティングを与えられる。この目的のために、濃縮糖溶液が使用され得、これは、必要に応じて、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。染料または顔料は、同定するため、または活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤または糖剤コーティングに添加され得る。 経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチンから作製されたプッシュフィット(push−fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から作製された軟質密封カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または滑沢剤(例えば、滑石またはステアリン酸マグネシウム)および必要に応じて安定化剤と混合されて、活性成分を含み得る。軟質カプセルにおいて、活性化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定化剤が添加され得る。経口投与のために処方されるミクロスフェアもまた使用され得る。このようなミクロスフェアは、当該分野において十分に規定されている。経口投与のための全ての処方物は、このような投与のために適切な投薬量であるべきである。 口腔(buccal)投与のために、この組成物は、従来の様式で処方される錠剤またはロゼンジの形態を採り得る。 吸入による投与のために、本発明に従う使用のための化合物は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガス)を使用して、加圧パックまたはネブライザからのエアロゾルスプレー提示の形態で、従来のように送達され得る。加圧エアロゾルの場合、その投与単位は、測定した量を送達するためのバルブを提供することによって、決定され得る。吸入器または注入器において使用するための、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジが、上記化合物と適切な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)との粉末混合物を含んで、処方され得る。 上記化合物は、全身に送達することが望ましい場合には、注入によって(例えば、ボーラス注射または連続注入によって)、非経口投与のために処方され得る。注射用の処方物は、単位投与形態(例えば、アンプル中)または多回投与用器中で、保存剤を添加して、提示され得る。上記組成物は、油状ビヒクルもしくは水性ビヒクル中の、懸濁物、溶液または乳濁物のような形態を採り得る。上記組成物は、処方剤(例えば、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤)を含み得る。 非経口投与のための薬学的処方物は、水溶性形態で活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁物が、適切な油状注射懸濁物として、調製され得る。適切な親油性溶媒または親油性ビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド)、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁物は、その懸濁物の粘性を増加する物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン)を含み得る。必要に応じて、その懸濁物はまた、適切な安定化剤、または上記化合物の溶解度を増加して高濃縮溶液の調製を可能にする薬剤も含み得る。 あるいは、その活性化合物は、適切なビヒクル(例えば、発熱性物質を含まない滅菌水)を用いて使用前に構成するために、粉末形態であり得る。 上記化合物はまた、直腸組成物または膣組成物(例えば、坐剤または保持浣腸)の状態で、例えば、従来の坐剤基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド)を含んで、処方され得る。 上記の処方物に加えて、上記化合物はまた、デポー(depot)調製物として処方され得る。そのような長期作用性処方物は、適切なポリマー物質もしくは疎水性物質(例えば、受容可能な油中の乳濁物として)またはイオン交換樹脂を用いて、または発泡溶解性誘導体(例えば、発泡溶解性塩)として、処方され得る。 上記薬学的組成物はまた、適切な固体もしくはゲル相の、キャリアまたは賦形剤を含み得る。そのようなキャリアまたは賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)が挙げられるが、これらに限定されない。 適切な液体もしくは固体の薬学的調製物形態は、例えば、吸入用の水溶液もしくは生理食塩水溶液であるか、微小カプセル化されているか、渦巻き状になっているか、顕微的金粒子上にコーティングされている、リポソーム中に含まれるか、噴霧されるか、エアロゾルであるか、皮膚移植用のペレットであるか、または皮膚中に引っ掻くべき鋭利な物体上に乾燥されている。上記薬学的組成物はまた、顆粒、散剤、錠剤、コーティングされた状態、(微小)カプセル、坐剤、シロップ、乳濁物、顕濁物、クリーム、活性化合物を長期放出するドロップもしくは調製物を包含し、その調製賦形剤および添加剤および/または補助剤(例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、甘味剤または溶解剤)は、上記のように慣習的に使用される。上記薬学的組成物は、種々の薬物送達系において使用するために適切である。薬物送達のための方法の簡略な概説について、Langer,Science 249:1527〜1533、1990(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。 上記免疫刺激核酸と、必要に応じて、他の治療剤および/または薬剤とが、それ自体が(ニートで)投与され得るか、または薬学的に受容可能な塩の形態で投与され得る。医薬において使用される場合、それらの塩は、薬学的に受容可能であるべきであるが、薬学的に受容可能でない塩が、その薬学的に受容可能な塩を調製するために従来通り使用され得る。そのような塩としては、以下の酸から調製した塩が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、そのような塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩、もしくはカルシウム塩)として、調製され得る。 適切な緩衝剤としては、酢酸と塩(1〜2%w/v);クエン酸と塩(1〜3%w/v);ホウ酸と塩(0.5〜2.5%w/v);およびリン酸と塩(0.8〜2%w/v)が挙げられる。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)およびチメロサール(0.004〜0.02%w/v)が挙げられる。 本明細書中により詳細に記載されるように、本発明の薬学的組成物は、有効量の免疫刺激核酸と、必要に応じて抗原および/または他の治療剤とを、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリア中に含んで、含む。用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、ヒトまたは他の脊椎動物に投与するために適切な、1種以上の適合性の固体もしくは液体の、充填剤、希釈剤、またはカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」とは、適用を容易にするために活性成分が混合される、有機成分または無機成分(天然でも、または合成でも)を意味する。上記薬学的組成物の成分はまた、望ましい薬学的有効性を実質的に損なう相互作用が存在しない様式で、本発明の化合物と混合可能であり、そして互いに混合可能である。 本発明において有用な免疫刺激核酸は、さらなるアジュバント、他の治療剤、または抗原との混合物の状態で、送達され得る。混合物は、上記免疫刺激核酸またはいくつかの抗原もしくは他の治療剤に加えて、いくつかのアジュバントからなり得る。 種々の投与経路が、利用可能である。選択される特定の様式は、当然、選択される特定のアジュバントもしくは抗原、処置される特定の状態、および治療効力のために必要な投与量に依存する。本発明の方法は、一般的に言うと、医学的に受容可能な任意の投与様式を使用して実施され得る。この様式は、臨床的に受容可能でない有害な効果を引き起こすことなく、有効な免疫応答レベルを生じる任意の様式を意味する。好ましい投与様式は、上記で考察される。 上記組成物は、単位投与形態で従来通り提示され得、そして薬学の分野において周囲の方法のいずれかによって、調製され得る。全ての方法は、上記化合物を、1種以上の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。一般に、上記組成物は、上記化合物を、液体キャリア、微細分割された固体キャリア、またはその両方と均一かつ密接に会合させ、その後、必要な場合はその生成物を成形することによって、調製される。液体用量単位は、バイアルまたはアンプルである。適切な用量単位は、錠剤、カプセル剤、および坐剤である。患者の処置のために、上記化合物の活性に依存して、投与様式、免疫の目的(すなわち、予防的または治療的)、障害の性質および重篤度、患者の年齢および体重に依存して、種々の用量が、必要であり得る。所定の用量の投与は、個別の用量単位の単回投与、またはいくつかのより小さい用量単位の両方によって、実行され得る。 他の送達系は、時限放出送達系、遅延放出送達系、または徐放送達系を包含する。そのような系は、上記化合物の反復投与を回避し得、それによって、被験体および医師に対する簡便さを増加し得る。多くの型の放出送達系が、利用可能であり、そして当業者にとって公知である。それらとしては、ポリマーベースの系(例えば、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物)が挙げられる。 薬物を含む上記ポリマーの微小カプセルが、例えば、米国特許第5,075,109号に記載される。送達系としてはまた、非ポリマー系も挙げられ、これは、脂質(ステロール(例えば、コレステロール、コレステロールエステル)、および脂肪酸もしくは天然脂肪(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド)が挙げられる);ヒドロゲル放出系;シラスチック(silastic)系;ペプチドベースの系;ロウコーティング;従来の結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠剤;部分融合した移植物などである。具体例としては、(a)本発明の薬剤がマトリックス中にある形態で含まれる、侵食系(米国特許第4,452,775号、同第4,675,189号および同第5,736,152号に記載される系);ならびに(b)ポリマーから制御された速度で活性成分が浸透する、拡散系(米国特許第3,854,480号、同第5,133,974号および同第5,407,686号に記載される)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ポンプベースのハードウェア送達系が使用され得、そのうちのいくつかは、移植のために適合される。 本発明は、以下の実施例によってさらに例証される。以下の実施例は、さらなる限定としては決して解釈されるべきではない。本明細書全体を通して引用された参考文献(文献参照物、発行された特許、公開された特許出願、および同時係属中の特許出願)のすべての内容全体が、本明細書中に参考として明示的に援用される。 (実施例1(ODN 10102) (要旨) 本報告は、ヒト細胞を用いたインビトロデータを要約する。このデータは、ODN 10102(配列番号1)が、ODN 7909(配列番号2)と同様に、そしていくつかの局面ではより優れた様式で、挙動することを示す。マウスにおけるインビトロデータおよびインビボデータは、CpG ODN 10102は、先天性免疫系の活性化について、および上記抗原と同時投与した場合にマウスにおいてHBsAg特異的な体液性応答および細胞性応答を増強することについて、CpG ODN 7909と同様の特性を有し、そして時にはそれよりも良好な特性を有することを示す。 実施したアッセイは、レセプター結合(TLR9)、B細胞活性化(細胞表面活性化マーカーの発現およびB細胞増殖)およびサイトカイン分泌(IL−10、IP−10、IFN−αおよびTNF−α)であった。すべてのアッセイは、ODN 10102が、ODN 7909より良好ではないとしてもほぼ同一である特性を有することを、示した。 インビトロ研究(すなわち、B細胞増殖アッセイ、NK溶解活性、サイトカイン分泌プロフィール)を、未刺激BALB/cマウス脾細胞を使用して実行した。インビボ比較研究を、これらの2つのODNがB型肝炎抗原(HBsAg)に対する抗原特異的免疫応答を増強する能力を試験することによって、実行した。 (材料および方法) (ヒト研究) (オリゴデオキシヌクレオチド) すべてのODNは、Coley Pharmaceutical GmbH(Langenfeld,Germany)から提供された。コントロールODNは、刺激性CpGモチーフを何も含まなかった。ODNを、リン酸緩衝化生理食塩水中に希釈し、−20℃で保存した。すべての希釈を、発熱物質を含まない試薬を使用して実行した。 (TL9アッセイ) このアッセイのために使用した細胞は、ヒトTLR9レセプターを発現し、レポーター遺伝子構築物を含んだ。細胞を、ODNとともに16時間インキュベートした。各データ点は、3連で行った。細胞を溶解し、レポーター遺伝子活性についてアッセイした。刺激指数を、ODNを添加しない培地のレポーター遺伝子活性を参照して計算した。 (細胞純化) 健常ヒトドナー由来の末梢血軟膜調製物を、German Red Cross(Rathingen,Germany)から得、これらから、Ficoll−Hypaque(Sigma,Germany)に対する遠心分離によって、PBMCを精製した。この精製したPBMCを、新しいまま使用したか、または凍結媒体中に顕濁して−70℃で保存した。必要な場合、これらの細胞のアリコートを、融解し、洗浄し、そして10%(v/v)熱非働体化FCSと、1.5mM L−グルタミンと、100U/mlペニシリンと、100μg/mlストレプトマイシンとを補充したRPMI 1640培養培地中に再懸濁した。 (サイトカイン検出) 融解したPBMCまたは新しいPBMCを、濃度5×106/mlで再懸濁し、48ウェル平底プレート(1ml/ウェル)に添加した。このプレートには、その前に、何も添加していないか、または種々の濃度のODNを添加しておいた。この細胞を、37℃にて加湿インキュベーター中で培養した。培養上清を、指定時点の後に収集した。すぐ使用しなかった場合、上清を、必要になるまで−20℃で凍結した。上清中の一定のサイトカインを、市販のELISAキット(IL−10;Diaclone,USA)またはインハウス(in−house)ELISA(IP−19およびIFN−α)を使用して評価し、市販の抗体(Pharmingen,GermanyまたはPBL,USA)を使用して発色させた。 (B細胞活性化のフローサイトメトリー分析のための培養) CD19に対するモノクローナル抗体およびCD86に対するモノクローナル抗体を、Becton Dickinson(Germany)から購入した。PBMCを、種々の濃度のODNを添加してかまたは添加せずに、48時間インキュベートした。B細胞を、フローサイトメトリーによって、CD19の発現によって同定した。フローサイトメトリーのデータは、FACSCalibur(Becton Dickinson)にて得た。データを、コンピュータープログラムCellQuest(Becton Dickinson)を使用して分析した。増殖中のCD19陽性B細胞を、CFSE標識PBMC(CFSEは、すべての細胞表面に結合する蛍光色素である)を培養した後に、フローサイトメトリー方法(上記を参照のこと)を使用して、CFSE含量の減少によって同定した。 (マウスでのインビトロ研究/インビボ研究) (オリゴデオキシヌクレオチド) CpG ODN(GMP品質)は、Coley Pharmaceutical Inc.(Wellesley,MA)によって供給された。すべてのODNを、エンドトキシンを含まない滅菌したTE(pH8.0)(OmniPer(登録商標);EM Science,Gibbstown,NJ)中に再懸濁し、保存し、そして無菌条件下で取り扱って、微生物混入およびエンドトキシン混入を長方とも防止した。アッセイ用のODNの希釈を、エンドトキシンを含まない滅菌したPBS(pH7.2)(Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)において実行した。 (動物) 雌BALB/cマウス(6〜8週齢)を、すべての実験のために使用した。動物は、Charles River Canada(Quebec,Canada)から購入し、Ottawa Hospital Research Institute,Civic Siteの動物世話施設において、微小隔離飼育器中で飼育した。 (採集した脾細胞および培養物) 未刺激BALB/cマウスの脾細胞を、全てのインビトロアッセイのために使用した。動物に、イソフルランで麻酔し、そして頸部脱臼によって安楽死させた。脾臓を無菌条件下で取り出し、PBS+0.2%ウシ血清アルブミン(Sigma Chemical Company)中に配置した。その後、脾臓をホモジナイズし、脾細胞を、2%正常マウス血清(最終濃度100U/ml;Cedarlane Laboratories,Ontario,Canada)、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(最終濃度1mg/ml;Sigma Chemical Company)および5×10−5M β−メルカプトエタノール(Sigma Chemical Company)を補充した、RPMI 1640(Life Technologies,Grand Island,NY)組織培養培地中に再懸濁した。 B細胞増殖アッセイ:脾臓細胞懸濁液を、完全RPMI 1640中の1mlあたり最終濃度5×106細胞まで調製し、そして調節した。脾細胞懸濁液を、100μlの刺激薬と共に96ウェルU底部組織培養プレート(100μl/ウェル)に注ぎ、完全RPMI 1640中で適切な濃度まで希釈した。使用した刺激物は、CpG ODN(1、3、10μg/mlで)7909および10102、10103、10104、10105または10106であった。コンカナバリンA(10μg/ml、Sigma Chemical Company)およびLPS(10μg/ml、Sigma Chemical Company)を、ポジティブコントロールとして使用し、そして培地単独で培養した細胞を、ネガティブコントロールとして使用した。各脾細胞サンプルを、三つ組みでプレーティングし、そして細胞を、37℃にて96時間、加湿された5% CO2インキュベーター中でインキュベートした。インキュベーション期間の最後に、細胞を、インキュベーションの96時間後、3H−チミジン(20μCi/ml)で16時間パルスし、回収し、そして放射活性を測定した。 サイトカイン分泌プロファイル:脾臓細胞懸濁液を調製し、そしてB細胞増殖アッセイについて記載されるように、96ウェルU底部組織培養プレート中にプレーティングした。各脾細胞サンプルを、三つ組みでプレーティングし、そして細胞を、37℃にて6時間、12時間または48時間、加湿した5% CO2インキュベーターでインキュベートした。インキュベートの期間の最後に、96ウェルプレートを、1200rpmで5分間遠心分離し、そして培養懸濁液を回収し、アッセイまで−80℃で保存した。市販のアッセイキット(マウスOptEIAキット;PharMingen,Mississauga,ON)を製造者の指示書に従って使用し、6時間(TNF−α)、24時間(IL−12)および48時間(IL−6およびIL−10)で取り出した培養懸濁液のサイトカインレベルをアッセイした。 NKアッセイ:脾細胞懸濁液を上記のように調製し、そして完全RPMI 1640中1mlあたり3×106細胞の最終濃度まで調製した。脾細胞懸濁液(10ml;30×106細胞)を、CpG ODN(1、3、10μg/mlで)7909と10102、10103、10104、10105または10106のいずれかと共に、T−25組織培養フラスコ(Fisher Scientific,Ottawa,ON)中にプレーティングした。培地単独で培養された脾細胞を、ネガティブコントロールとして使用した。各脾細胞培養物を、37℃にて24時間、加湿した5% CO2インキュベーター中でインキュベートした。インキュベート期間の最後に、細胞を異なるエフェクターでプレーティングした:5×104細胞/mlで100μlの51Cr標識化標的細胞と共に96ウェルU底部組織培養プレート(100μl/ウェル)の標的比。NK感受性マウスリンパ球細胞株YAC−1(ATCC番号TIB−160、ATCC,Manassas,VA)を、標的細胞株として使用した。各サンプルを、三つ組みでプレーティングし、そして細胞を、37℃にて4時間、加湿した5% CO2インキュベーターでインキュベートした。標的細胞を、培地単独または2N HCLを含む培地でインキュベートし、それぞれ自発性放出および最大放出を決定した。インキュベーション期間の最後に、上清を回収し、そして放射活性レベルを、ガンマカウンターを使用して測定した。溶解%を、以下の式を使用して決定した; 特異的放出%=(実験的放出−自発性放出)/(最大放出−自発性放出)×100。 マウスの免疫化:BALA/cマウス(n=10/グループ)を、1μg HBsAg サブタイプad(International Enzymes,CA)単独または10μg CpG ODN 7909またはCpG ODN 10102、10103、10104、10105もしくは10106のいずれかと組み合わせて免疫化した。動物から採血し、そして一次免疫の4週間後に追加免疫した。追加免疫の1週間後に、各グループから5匹の動物を安楽死させ、そしてCTLアッセイのために脾臓を取り出した。 抗体応答の決定:HBsAg(抗−HBs)に対して特異的な抗体(IgG、IgG1およびIgG2aの全て)を検出し、終点希釈(endpoint dilution)ELISAアッセイによって定量化し、このアッセイを、個々の動物に由来するサンプルに対して三つ組みで行った。終点力価を、0.05のカットオフ値を有する非免疫血漿の吸光度よりも2倍大きい吸光度(OD 450)を生じる最も高い血漿希釈として規定した。これらを、グループ平均力価±SEMとして報告した。 統計学的分析:統計学的分析を、InStatプログラム(Graph PAD Software,San Diego)を使用して実行した。グループ間の統計学的差異を、生データもしくは変換したデータ(log10、異分散集団について)についてスチューデントt検定(2グループについて)またはTukey’s検定(3つ以上のグループについて)に次ぐ1−因子ANOVAによって検定した。 結果: TLR9結合:CpG配列の認識のためのレセプターを最近同定し、そしてToll様レセプター(TLR)ファミリー(Hemmiら、2000)のメンバーであることを示した。このレセプター、TLR9は、最適な免疫刺激CpG配列を含むODNによって容易に活性化される。発明者らは、異なる濃度のODN 7909および10102ならびにコントロールODNとヒトTLR9を安定に発現する細胞株をインキュベートした(図1)。 結果は、これらのODN 10102が、7909と同じかまたはそれ以上にTLR9を活性化したことを示す。両方のODNが、用量応答曲線を示し、そして同じ濃度で最大活性に達した。使用されたコントロールODNは、12μg/mlの最も高い濃度でさえTLR9活性を誘導しなかった。 ヒトB細胞:B型ODNの1つの特徴は、B細胞を非常に効率的に活性化するそれらの能力である(Kriegら、1995)。B細胞およびプラズマ細胞様(plasmacytoid)DCが、現在のところTLR9を発現することが公知である唯一の免疫細胞型である(Krugら、2001;Bauerら、2001)。従って、発明者らは、ODN 7909および10102によって誘導されるB細胞の直接的な活性を以下によって測定した:a.細胞表面マーカーCD86の上方制御(図2)およびb.B細胞の増殖の測定(図3)。ヒトB細胞のCD86発現について、健全な血液ドナーのPBMCを、材料および方法に記載されるように、異なるODNと共にインキュベートし、そしてB細胞活性化を測定した。 両方の結果は、10102ならびに7909が、ヒトB細胞の非常に重要な刺激剤(stimulator)であることを示す。図2は、これらのCpG ODNが、インビトロで0.4μg/mlの濃度でのみB細胞を刺激し得ることを示す。プラトーに、約1.6μg/mlで達した。同様の結果は、B細胞増殖のインキュベーションについて得られ(図3)、ここで、刺激指数は、約1.6μg/mlで最大に達した。 サイトカイン分泌:BクラスのODNは、インビボならびにインビトロでTh1優性免疫応答を導く。これらは、代表的にTh1サイトカイン(例えば、IFN−およびIFN−)ならびにTh1関連サイトカイン(例えば、MCP−1およびIP−10)を誘導し得ることが見出された。さらに、炎症促進性サイトカインIL−6およびTNF−の低い分泌ならびにネガティブ制御因子IL−10の分泌を観察し得る。従って、本発明者らは、Th1サイトカインIFN−、ケモカインIP−10の分泌ならびに制御因子サイトカインIL−10および炎症促進性サイトカインTNF−を測定した。図4は、インビトロでのIFN−分泌を測定するために、0.2、0.4、1.6および5μg/mlでの異なるドナーを用いて行われた実験についての結果を示す。 CpG ODN(7909ならびに10102)の両方は、0.4(7909)または1.6μg/ml(10102)で達した最大の高いレベルのIFN−αを誘導した。しかし、IFN−α分泌の最大の増加は、7909と比較して10102での刺激の後、より明白であった。対照的に、コントロールODNは、5.0μg/mlでのみ開始する低量のIFN−αを誘導した。さらに、コノトロールODNと対照的に、ODN7909および10102は、図5に示されるように高い量のケモカインIP−10を誘導した。 非常に類似する実験を、IL−10分泌について行った(図6)。再び、IFN−αについて上で示されるように、CpG ODN 7909および10102の両方が、ほぼ同一の特性を示し、10102が、これらのアッセイにおけるいくつかの場合において、より働く。比較すると、コントロールODNが、最も高い濃度でのみIL−10分泌を誘導する。 図7に示されるように、ODN 7909および10102の両方ならびにコントロールODNが、LPSと比較して炎症促進性サイトカインTNF−αの弱い分泌プロファイルを示した。再び、2つのODNが、このアッセイにおいてまた非常に類似する特性を有することが見出された。 実験の第1のセットにおいて、マウス脾臓細胞の増殖の誘導を調査した。図8において示されるデータによると、CpG ODN 10102は、試験された全ての濃度でマウスB細胞増殖の誘導に関してCpG ODNと等しく強力である。 実験の次のセットにおいて、101012、7909およびコントロール2137との脾臓細胞のインキュベーションの際、種々のサイトカインの分泌を試験した。図9に示されるデータによると、CpG ODN 7909および10102の両方は、マウス脾細胞によるサイトカイン分泌の増大に関して基本的に等しい作用強度を有する。 図10におけるデータによると、CpG ODN 7909および10102の両方は、マウス脾細胞培養物におけるNK細胞の溶解活性の増大に関して基本的に等しい作用強度を有する。 この研究の結果(図11)によると、CpG ODN 7909または10102のいずれかの使用は、抗原単独と比較して、HBsAgに対する抗体力価を有意に増大したが(p<0.001)、コントロールODNを、HBsAgと組み合わせて使用する場合、抗HBs応答は有意に増加しなかった(p=0.86)。 全IgGレベルの増加は、CpG ODN 10102が使用される場合と比較してCpG ODN 7909が使用される場合、僅かであるが有意に増加する(p=0.04)。 マウスIgGアイソタイプにおいて、分配は、高いIgG2a/IgG1比がTh1バイアス免疫応答を示す免疫応答の性質の指標として広範に使用される(ConstantおよびBottomly,1997)。本研究において、CpG ODNの使用は、抗原が単独またはコントロールODN 2137と組み合わせて使用された場合と比較して、IgG2a力価を有意に増大した(Ag対7909もしくは10102またはAg対Ag+2137についてp<0.001)。しかし、IgG2a応答のレベルは、CpG ODN 7909または10102のいずれかが、HBsAgと組み合わせて使用された場合に類似した(p>0.05)。従って、CpG ODN 7909および10102の両方は、IgG1を超えるIgG2aの増加レベルによって測定されるように、Th1バイアス免疫応答を誘導するそれらの能力に関して等しく強力である。 結論: ヒト細胞を用いるインビトロデータは、ODN 10102が、実行された種々のアッセイにおいて、以前に同定されたODN 7909と類似するかまたはまたはより良く行動することを示した。 マウスのインビボ研究およびインビトロ研究の結果に従って、CpG ODN 10102が、抗原と共に投与される場合、不活性な免疫応答に対するインビトロ効果ならびにインビボでの抗原特異的応答を増強する能力の両方について、ODN 7909と類似するかそれよりも良い免疫増強特性を有する。 (実施例2(ODN 10103)) 要約:ODN 10103(配列番号19)が、ヒトPBMCを刺激するインビトロでの能力を、ODN 7909(配列番号2)の能力と比較した。免疫刺激を、レセプター(すなわち、TLR9)結合、B細胞活性化(例えば、細胞表面活性化マーカーの発現およびB細胞増殖)およびサイトカイン分泌(例えば、IL−10、IP−10、IFN−αおよびTNF−αの分泌)の点で分析した。全てのアッセイは、ODN 10103が、ODN 7909の特性に類似するかまたはこれらより優れた特性を有することを示した。 ODN 10103がマウス免疫細胞をインビトロおよびインビボで刺激する能力を、ODN 7909と比較した。インビトロでの研究(例えば、B細胞増殖アッセイ、NK溶解活性およびサイトカイン分泌プロファイル)を、ナイーブBALB/cマウス脾細胞を使用して行った。インビボ研究を、B型肝炎表面抗原(HBsAg)に対する抗原特異的免疫応答を増強するようなこれらの2つのODNの強度を試験することによって行い、体液(抗体)および細胞媒介免疫応答(CTL活性)を分析した。さらに、誘導された免疫応答のThバイアスを、CTL応答の強度ならびにIgG2a/IgG1比を決定することによって試験した。 材料および方法: ヒト研究に関して、オリゴデオキシヌクレオチド、TLR9アッセイ、ヒト細胞増殖、サイトカイン検出およびB細胞活性化のフローサイトメトリー分析のための細胞培養物の説明についての実施例1を参照のこと。 マウスのインビトロおよびインビボ研究に関して、オリゴデオキシヌクレオチド、動物、脾細胞の回収および培養、B細胞増殖アッセイ、サイトカイン分泌プロファイル、NKアッセイ、マウスの免疫化、抗体応答の測定および統計学的分析のの説明についての実施例1を参照のこと。 (マウスのインビトロ/インビボ研究:) CTL応答の評価:CTlアッセイを、Davisらによって以前に記載されるように行った。結果は、異なるエフェクター:標的(E:T)比での特異的溶解%として示す。 (結果:) TLR9結合:発明者らは、異なる濃度のODN 7909および10103ならびにコントロールODNと共にヒトTLR9を安定に発現する細胞株をインキュベートした(図13)。両方のODNは、同じ濃度でそれらの最大活性に達成する濃度依存性用量−応答曲線を示した。コントロールODNは、最も高い濃度の24μg/mlでさえTLR9活性化を誘導しなかった。ODN 10103は、ODN 7909を示すよりも低い用量(例えば、6g/mlおよび12g/ml)でより高い刺激能力を示し、このことはODN 10103が、類似の免疫刺激指数に達成するようなより低い用量で使用され得、それによって潜在的な毒性を減少させることを示唆する。 ヒトB細胞:B型 ODNの1つの特性は、B細胞を非常に効果的に活性化するそれらの能力である(Kriegら、1995)。B細胞および血漿細胞様(plasmacytoid)DCは、現在のところTLR9を発現することが公知である免疫細胞型のみである(Krugら、2001;Bauerら、2001)。従って、本発明者らは、細胞表面マーカーCD86の上方制御によってODN 7909および10103によって誘導されるB細胞の直接的な活性を測定し(図14)、そしてB細胞の増殖を測定した(図15)。ヒトB細胞でのCD86発現について、健康な血液ドナーのPBMCを、異なるODNと共にインキュベートし、そしてB細胞活性を材料および方法に記載されるように測定した。 両方の結果から、10103は、ヒトB細胞の刺激因子としての7909と少なくとも同等であることが示される。図14は、これらのCpG ODNは、インビトロでの濃度(0.4μg/mlでのみ)で開始するB細胞を刺激し得ることを示す。プラトーは、約1.6μg/mlで達成され、そして同じ濃度で非常に小さい影響であるコントロールと比較して、60%を超えるB細胞が、CD86を上方制御することを見出した。この結果は、ODN 10103が、試験した3つ全てのドナーにおけるODN 7909の用量よりも低い用量(例えば、0.4μg/ml)でより高いレベルまでCD86発現を刺激することを示す。再び、このことは、より小さい用量のODN 10103を使用して、所望のレベルの免疫刺激に達成し得ることを示唆する。類似の結果が、B細胞増殖の誘導について得られた(図15)。 サイトカイン分泌:BクラスのODNは、インビボならびにインビトロでのTh1優性免疫応答を導く。これらは、代表的にTh1サイトカイン(例えば、IFN−γおよびIFN−α)ならびにケモカイン(例えば、MCP−1およびIP−10)を誘導し得ることが見出された。さらに、炎症促進性サイトカインIl−6ならびにTFN−αの低い分泌および負の調節因子IL−10の分泌が観察された。従って、本発明者らは、Th1サイトカインIFN−α、ケモカインIP−10ならびに調節サイトカインIl−10および炎症促進性サイトカインTNF−αの分泌を測定した。 図16は、インビトロでのIFN−α分泌を測定するために、0.2μg/ml、0.4μg/mlおよび1.6μg/mlにて6人の異なるドナーを用いて実施した実験についての結果を示す。いずれのCpG ODN(7909ならびに10103)も、異なるドナーにおいて有意な量のIFN−αを誘導した。対照的に、コントロールODNは、IFN−αを全く誘導しないか、または1人のドナーにおいて少量のIFN−αを誘導した。このデータは、患者の可変性が存在し得、いく人かの患者は、ODN7909と比較した場合、10103のようなODNにより良く応答することを示唆する。この知見は、ODNが、高い応答者でありそうな被験体の観点から分類され得ることを示す。 IFN−αに加えて、ODN7909および10103は、図17に示したようにケモカインIP−10を誘導した。ODN10103は、試験したすべての用量で、ODN7909と同レベルかまたはODN7909よりも高いレベルのIP−10を誘導した。特に、0.4μg/mlの濃度で、ODN10103は、ODN7909が生成したよりも多量のIP−10を生成した。1.6μg/mlの濃度では、ODN10103は、ODN7909が誘導したよりも約25%多いIP−10を誘導した。 図18に示したように、CpG ODN7909および10103は、ほぼ同一のIL−10誘導能力を示した。 図19に示したように、ODN7909および10103の両方、ならびにコントロールODNは、LPSと比較して、試験したすべての濃度において炎症誘発性サイトカインTNF−αの低分泌プロフィールを示した。試験した最も多い用量(すなわち、6μg/ml)では、ODN10103は、ODN7909が刺激したよりも高いレベルのIL−10の分泌を刺激した。その用量応答を、図21に示す。 インビトロマウス研究:データによると、CpG ODN7909および10103の両方は、マウスB細胞増殖を誘導することにおいて、同等に強力であり、マウス脾細胞によるサイトカイン分泌を増強することにおいて本質的に同一の効力を有し、そしてマウス脾細胞培養物におけるNK細胞の溶解活性を増強することにおいて本質的に同一の効力を有する(図22)。ODN10103は、特に試験したより少ない用量で、IL−6およびTNF−の分泌を刺激することについてより高い能力を有するようである。同様に、これらのODNの溶解活性プロフィールは、濃度によって異なる。 インビボマウス研究:この研究の結果によると、CpG ODN7909または10103のいずれかの使用は、抗原単独と比較して、HBsAgに対する抗体力価を有意に増強した(それぞれ、p<0.001およびp<0.01)が、コントロールODNをHBsAgと組み合わせて使用した場合、抗HBs応答における有意な増加は存在しなかった(p=0.85)。(図23および24を参照のこと)。 さらに、CpG ODN7909および10103の両方は、HBsAg+CpG ODN7909およびHBsAg+CpG ODN10103で免疫したマウスにおいて、抗HBs応答における有意な相違が存在しなかった(p=0.13)という点で、HBsAgに対する抗体応答を増強することにおいて同等に強力であった。 マウスIgGにおいて、アイソタイプ分布は、免疫応答の性質の指標として広範に使用され、ここで、高いIgG2a/IgG1比は、Th1に偏った免疫応答を示す(1)。本研究において、CpG ODNの使用は、抗原を単独で使用した場合、または抗原をコントロールODN2137と組み合わせて使用した場合と比較して、IgG2a力価を有意に増強した(Ag 対 7909またはAg 対 10103についてp<0.001、そしてAg+7909 対 Ag+2137についてp<0.01、そしてAg+10103 対 Ag+2137についてp<0.05)。しかし、IgG2a応答のレベルは、CpG ODN7909または10103のいずれかをHBsAgと組み合わせて使用した場合には、同様であった(p>0.05)。従って、CpG ODN7909および10103は両方とも、IgG1に対する増加したレベルのIgG2aによって測定したように、Th1に偏った免疫応答を誘導するというそれらの能力において、同等に強力である。 図25に示したように、ODN10103を使用してHBsAgで免疫した動物におけるCTL応答は、CpG ODN7909を誘導したCTL応答よりも大きいようである。 結論:ヒトPBMCにおけるインビトロデータは、実施したすべてのアッセイにおいて、Bクラスの分子(7909および10103)は同様に振舞うが、同一ではないことを実証する。特に重要なことは、試験したアッセイおよび相関性のいくつかについて、ODN10103が、先に同定したODN7909が誘導したよりも大きい免疫刺激を誘導したという観察である。この相違は、CpGヌクレオチドが被験体における使用のために合わせられ得、そしてまた、より低いレベルのCpG ODNが、潜在的により低い毒性事象で所望の治療的終点を達成し得ることを示唆する。 (実施例3(ODN 10104)): (インビボ効果): 概要: メチル化していないCpGジヌクレオチドを含む合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、感染剤に対して強力な先天免疫応答を誘導し、Th1様免疫活性化を引き起こすことが示されている。生殖器粘膜に塗布したCpG ODNの経粘膜(transmucosal)送達の、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)での膣内(IVAG)感染から守るかまたは膣内感染を処置する能力を試験した。 材料および方法: すべてのODNは、Coley Pharmaceutical Group(Langenfeld、Germany)によって提供され、Limulusアッセイ(Bio Whittaker、Verviers、Belgium)によって測定された検出不可能な内毒素レベル(<0.1EU/ml)を有した。ODNを、無菌の内毒素を含まないTris−EDTA(Sigma、Deisenhofen、Germany)中に懸濁させ、無菌状態下で保管および処理して、微生物汚染および内毒素汚染の両方を予防した。すべての希釈を、発熱物質を含まないリン酸緩衝化生理食塩水(Life Technologies、Eggenstein、Germany)を使用して行った。 CpG ODNおよび非CpG ODNを、IVAG HSV−2感染前またはIVAG HSV−2感染後の種々の時点で、雌性C57B1/6マウスの膣に塗布した。マウスを、チャレンジの後に、生殖器病理学、生存率、および生殖器ウイルス力価について毎日モニターした。 結果: IVAG HSV−2チャレンジの24時間前に生殖管においてCpG ODNで処置した雌性マウスは、感染を生き延び、最小限の生殖器病理学を示し、そして実質的には感染後の最初の6日間にわたって膣洗浄液中にウイルスを有さなかった。重要なことには、感染前の生殖管へのCpG ODNの経粘膜送達は、CpG ODNの筋内送達と比較して、局所的IVAGチャレンジに対する優れた保護を与えた。対照的に、コントロールODN単独で前処理したマウスは、保護されず、重篤な病理学を示し、そして膣洗浄液中に高い力価のHSV−2を有した。IVAG HSV−2感染の直後にCpG ODNで処理したマウスは保護され、低い膣ウイルス力価を有したが、IVAG HSV−2感染の24時間後および72時間後にCpG ODNで処理したマウスは保護されなかった(図26および27を参照のこと)。 結論: これらの結果は、生殖器のHSV−2チャレンジの前または直後の生殖管へのCpG ODNの局所的経粘膜送達が、性感染ウイルスによる感染の予防に非常に有効であったことを示し、そして局所的CpG誘導先天免疫が関与することを示唆する。 (インビトロ効果): 材料および方法: 健常なヒトのドナー由来の末梢血軟膜調製物を、German Red Cross(Rathingen、Germany)から得、そしてこれらから、PBMCをFicoll−Hypaque(Sigma、Germany)に対する遠心分離によって精製した。精製したPBMCは、そのまま使用するか、または冷凍培地に懸濁させ、−70℃で保管したかのいずれかであった。必要な場合に、これらの細胞のアリコートを解凍し、洗浄し、そして10%(v/v)の熱失活FCS、1.5mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI 1640培養培地に再懸濁した。 解凍したPBMCまたはそのままのPBMCを、5×106/mlの濃度で再懸濁させ、予め何も与えていないかまたは種々の濃度のODNを与えた48ウェルの平底プレートに加えた(1ml/ウェル)。この細胞を、加湿インキュベーター中で37℃にて培養した。培養上清を、48時間後に収集した。すぐに使用しない場合には、必要とするまで上清を−20℃で冷凍した。上清中のサイトカインの量を、市販の抗体(それぞれ、Pharmingen製またはPBL製;GermanyまたはUSA)を使用して改良した市販のELISAキット(IL−10;Diaclone、USA)または自社のELISA(IFN−α)を使用して評価した。 結果: BクラスのODNは、インビボならびにインビトロでのTh1優勢の免疫応答をもたらす。これらは、代表的なTh1サイトカイン(例えば、IFN−αおよびIFN−γ)ならびにTh1関連ケモカイン(例えば、MCP−1およびIP−10)を誘導し得ることを見出した。さらに、炎症誘発性のサイトカインIL−6およびTNF−αの少ない分泌、ならびにネガティブな調節因子IL−10の分泌が観察され得る。従って、本発明者らは、Th1サイトカインIFN−αおよび調節性サイトカインIL−10の分泌を測定した。図28は、インビトロでのIFN−α分泌を測定するために、0.02μg/ml、0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.2μg/ml、0.5μg/mlおよび1.0μg/mlの10104またはコントロール核酸で、3人の異なるドナーを用いて実施した実験についての結果を示す。 核酸10104は、0.1μg/mlの10104核酸でピーク誘導を有する用量依存性の様式で、高いレベルのIFN−αを誘導した。対照的に、コントロール核酸は、低い量のIFN−αを誘導し、これは培地単独の存在下で誘導されたIFN−αの量に匹敵した(図28)。 同様の実験を、IL−10分泌について実施した(図4)。この場合もまた、IFN−αについて上記で示したように、核酸10104は、0.2μg/mlの10104核酸でピーク誘導を有する用量依存性の様式で、IL−10を誘導した。コントロール核酸は、同様であるがより低い誘導プロフィールを示したが、そのピークは0.5μg/mlコントロール核酸にシフトした。この場合、コントロールレベルは、培地レベルよりも大きかった(図29)。 (TLR9関与): 材料および方法: ヒトTLR9を発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞は、以前に記載された(Bauerら;PNAS;2001)。簡単に述べると、HEK293細胞を、ヒトTLR9を発現するベクターおよび6xNFκBルシフェラーゼレポータープラスミドを用いて、エレクトロポレーションによってトランスフェクトした。安定なトランスフェクト体(3×104細胞/ウェル)を、加湿インキュベーター中で37℃にて16時間、ODNと共にインキュベートした。各々のデータポイントを三連で行った。細胞を溶解させ、(Perkin−Elmer(Ueberlingen、Germany)製のBrightliteキットを使用して)ルシフェラーゼ遺伝子活性についてアッセイした。刺激指数を、ODNを添加しない培地のレポーター遺伝子活性に関して算出した。 結果: 最近、CpG配列の認識のためのレセプターが同定され、そしてToll様レセプター(TLR)ファミリーのメンバーであることが示された(Hemmiら、2000)。このレセプターTLR9は、最適な免疫刺激性CpG配列を含むODNによって容易に活性化される。本発明者らは、ヒトTLR9を安定に発現する細胞株を、様々な濃度の10104およびコントロールODNと共にインキュベートした(図30)。 この結果は、10104ODNが、0.625μg/mlで最大刺激を有する用量依存性の様式で、TLR9を活性化したことを実証する。一方、コントロールODNは、唯一10μg/mlで刺激し、その上その刺激は10104核酸を用いて観察された刺激よりも非常に低かった。 (送達ビヒクルに無関係なCpG10104効果): 図61Aおよび61Bは、HSV−2での膣内チャレンジ後の、マウスの局所病理学における、BEMAディスクを使用する局所的CpG送達の効果、または生理食塩水中の局所的CpG送達の効果を示す。雌性C57/B16マウスに、1匹のマウス当たり2mgのプロゲステロンと共にSCを注射した(ウイルスチャレンジの4日前)。生理食塩水中のCpG10104(1mg、10mgまたは100mg)または生物侵食性(bio−erodible)粘膜付着性ディスク(BEMA)上に含浸させたCpG10104(1mg、10mgまたは100mg)を、ウイルスチャレンジの24時間前に膣腔中(IVAG)に点滴注入した。ウイルスチャレンジのために、マウスに綿の塗布具を用いてIVAGを塗布し、仰向けにし、ハロタン麻酔を保った状態の1時間の間、104 PFU HSV−2(株333)を含む10mlのIVAG点滴注入によって感染させた。生殖器病理学を、HSV−2チャレンジ後に毎日モニターし、スコアリングを盲目状態で実施した。病理学を5点の尺度で記録した:0、明確な感染なし;1、外部膣のわずかな赤み;2、外部膣の赤みおよび腫れ;3、外部膣および周辺組織の重篤な赤みおよび腫れ;4、生殖組織および周辺組織の重篤な赤み、腫れおよび脱毛を伴う生殖器の潰瘍化;5、周辺組織に及ぶ重篤な生殖器の潰瘍化。マウスを、段階5に達した際に屠殺した。グラフは、BEMAディスクにおけるCpGについての感染後の時間(日)に関する平均病理学値(図61A)、または生理食塩水中のCpGについての感染後の時間(日)に関する平均病理学値(図61B)を示す。 この結果は、生理食塩水中のCpG10104またはBEMAディスク上のCpG10104の、マウスへのIVAG送達が、その後のIVAG HSV−2感染に関連する膣の病理学を減少させ得ることを示す。 図62Aおよび62Bは、HSV−2での膣内チャレンジ後のマウスの生存率における、BEMAディスクを使用する局所的CpG送達の効果、または生理食塩水中の局所的CpG送達の効果を示す。マウスを、基本的に上記のように処理した。マウスを毎日モニターし、周辺組織に及ぶ重篤な生殖器の潰瘍化が認められた場合に屠殺した。グラフは、BEMAディスクにおけるCpGについての感染後の時間(日)に関する%生存率(図62A)、または生理食塩水中のCpGについての感染後の時間(日)に関する%生存率(図62B)を示す。 この結果は、生理食塩水中のCpG10104またはBEMAディスク上のCpG10104の、マウスへのIVAG送達が、その後のIVAG HSV−2感染の後の生存率を増強し得ることを実証する。 (CpG10104の非経口(parental)投与): 図63および64は、マウスの血漿中のIP−10レベルおよびIFN−γレベルに対する、非経口的なCpG10104送達の効果を示す。雌性BALB/cマウスに、100nmolの生理食塩水中のCpG10104、生理食塩水中のCpG7909またはレジキモド(resiquimod)(R−848)と共にSCを注射した。注射後の種々の時点(1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間)で、マウスから採血し、血漿を収集し、ELISAによってIP−10レベルを決定した。 この結果は、CpG10104が、SC注射後に血漿中で有意な量のIP−10およびIFN−γを誘導し得、その達したレベルがR−848でのレベルよりも大きいことを示す。 (CpG10104の粘膜投与): 図65は、マウスの血漿中のIP−10レベルに対する、膣内CpG10104送達の効果を示す。雌性BALB/cマウスに、膣腔中に点滴注入した100nmolの生理食塩水中のCpG10104、生理食塩水中のCpG7909またはレジキモド(R−848)を与えた。注射後の種々の時点(1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間)で、マウスから採血し、血漿を収集し、ELISAによってIP−10レベルを決定した。この結果は、CpG10104が、IVAG点滴注入後に血漿中で有意な量のIP−10を誘導し得ることを示す。 図69は、マウスの膣洗浄液中のIP−10レベルに対する、膣内CpG10104送達の効果を示す。雌性BALB/cマウスに、膣腔中に点滴注入した100nmolの生理食塩水中のCpG10104、生理食塩水中のCpG7909またはレジキモド(R−848)を与えた。注射後の種々の時点(15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間)で、マウスの膣腔を75mlのPBSで3回洗浄した。膣洗浄液中のIP−10レベルをELISAによって決定した。この結果は、CpG10104が、IVAG点滴注入後に膣腔中でIP−10の有意な局所生成を誘導し得ることを示す。 (CpG 10104の局所投与) 図67は、HSV−2を用いた膣内曝露後のマウスの局所病理における局所CpG送達の効果を示す。メスC57/B16マウスに、マウス1匹あたりプロゲステロン2mgのSCを注射した(ウイルス曝露4日前)。ウイルス曝露の24時間前に、生理食塩水中CpG10104(1、10または100mg)あるいはResiquimod(1、10または100mg)を、膣腔(IVAG)に注入した。ウイルス曝露のために、ハロタン麻酔を1時間の間維持させながら、綿塗布器を用いてマウスのIVAGを拭き、マウスを仰向けにして、そして104PFU HSV−2(333株)を含む10mlを1時間にわたるIVAG注入によりマウスに感染させた。HSV−2曝露後、毎日生殖器病理をモニターし、スコア付けを盲目的に実施した。病理を、以下:0、感染見られず;1、外部膣の軽度の発赤;2、外部膣の発赤および腫れ;3、外部膣および周辺組織の重度の発赤および腫れ;4、生殖器および周辺組織の重度の発赤、腫れおよび脱毛を伴う生殖器潰瘍形成;5、周辺組織にまで及ぶ重度の生殖器潰瘍形成の5段階でスコア付けをした。段階5に達したとき、マウスを屠殺した。 このグラフは、生理食塩中CpG ODN 10104またはResiquimodについて、感染後時間(日)に対して平均病理スコアを示す。この結果は、マウスに対するCpG 10104のIVAG送達により、その後のIVAG HSV−2感染に付随する膣病理が減少し得ること、およびCpG 10104は、R−848の10倍用量よりも高い効力があり得ることを説明する。 図68は、HSV−2の膣内曝露後のマウス生存について局所CpG送達の効果を示す。本質的に、上記のようにマウスを処置した。マウスを毎日モニターし、周辺組織にまで及ぶ重度の生殖器潰瘍形成がみられたとき、マウスを屠殺した。グラフは、生理食塩中CpG ODN 10104およびResiquimodについて、感染後時間(日)に対する生存%を示す。 この結果は、マウスに対するCpG 10104のIVAG送達により、その後のIVAG HSV−2感染後の生存を高め得ること、およびCpG 10104は、R−848の10倍用量よりも高い効力があり得ることを説明する。 図70Aおよび70Bは、HSV−2の膣内曝露後のマウスの生存および局所病理について局所CpG送達の効果を示す。本質的に、上記のようにマウスを処置した。生理食塩中または水中油クリーム中のCpG 10104(100mg)を、ウイルス感染4時間後に単回適用か、1日に一回5日間の複数回適用かのいずれかで膣腔(IVAG)に注入した。HSV−2曝露後、毎日生殖器病理をモニターし、スコア付けを盲目的に実施した。病理を、以下:0、感染見られず;1、外部膣の軽度の発赤;2、外部膣の発赤および腫れ;3、外部膣および周辺組織の重度の発赤および腫れ;4、生殖器および周辺組織の重度の発赤、腫れおよび脱毛を伴う生殖器潰瘍形成;5、周辺組織にまで及ぶ重度の生殖器潰瘍形成の5段階でスコア付けした。段階5に達したとき、マウスを屠殺した。このグラフは、生理食塩水中CpG 10104について感染後時間(日)に対する生存%(図70A)および局所病理スコア(図70B)を示す。 この結果は、生理食塩中または水中油クリーム中のCpG 10104のIVAG送達により、HSV−2の致死量で前もって感染させたマウスの病理が減少して生存が高まり得ることを説明する。 (マウスの免疫) 図71Aおよび図71Bは、BALB/cマウスにおけるHBsAgに対して体液性免疫応答を促進する場合に、CpG 10104がCpG 7909と同様にすぐれていることを示す。BALB/cマウスを、HBsAg 1mg単独か、あるいはODN10mgおよび/またはミョウバン(25mgAL3+)と共に左前脛骨筋への筋内注射により免疫した。最初の免疫後4週間で動物をブーストした。エンドポイントELISAを使用してブースト後2週間で抗体力価を決定した。図71Aは、ミョウバンなしで行なった実験を示し、図71Bは、ミョウバンありで行なった実験を示す。 図72Aおよび図72Bは、BALB/cマウスにおけるHBsAgに対してTh1誘導免疫応答(IgG1力価と比べた高IgG2aにより決定される)を促進する場合に、CpG 10104がCpG 7909と同様にすぐれていることを示す。BALB/cマウスは、HBsAg1mg単独か、あるいはODN10mgおよび/またはミョウバン(25mgAL3+)と共に、左前脛骨筋へ筋内注射によって免疫した。最初の免疫後4週間に動物をブースとした。エンドポイントELISAを使用してブースト後2週間で、IgGアイソタイプレベルを決定した。 (実施例4(ODN 10105)) (要旨): この報告は、ヒト細胞を用いたインビトロデータを要約し、ヒト細胞アッセイにおいて、ODN 10105は、ODN 7909と同様かあるいはそれよりすぐれた性能を示すことを説明する。さらに、ODN 10105は、マウスのインビトロおよびインビボデータにおいて、ODN 7909と同様かあるいはそれよりすぐれた性能を示し、CpG ODN 10105が、生天性免疫系の活性化ならびに抗原を同時投与したマウスの体液性および細胞性のHBsAg特異的応答を増強するのに有用であることを、説明する。 実施されたアッセイは、レセプター結合(TLR9)、B細胞活性化(細胞表面活性化マーカーの発現およびB細胞増殖)およびサイトカイン分泌(IL−10、IP−10およびIFN−α)であった。全てのアッセイは、ODN 10105が、ODN 7909と同様か、またはODN 7909よりすぐれた特性を有することを説明した。インビトロでの研究(すなわち、B細胞増殖アッセイ、NK溶解活性、サイトカイン分泌プロフィール)を、未処理(naive)BALB/cマウス脾細胞を使用して行なった。インビボでの比較研究を、これら2つのODNがB型肝炎抗原(HBsAg)に対する抗原特異的免疫応答を高める潜在性を比較することにより行なった。 (材料および方法): ヒト研究に関して、オリゴデオキシヌクレオチド、TLR9アッセイ、ヒト細胞精製、サイトカイン検出およびB細胞活性化のフローサイトメトリー分析のための培養の記載について、実施例1を参照のこと。 インビトロおよびインビボ研究におけるマウスに関して、オリゴデオキシヌクレオチド、動物、脾細胞の採取および培養、B細胞増殖アッセイ、サイトカイン分泌プロフィール、NKアッセイ、マウスの免疫、抗体応答の決定および統計分析の記載について、実施例1を参照のこと。 (結果): (TLR9結合): 安定してヒトTLR9を発現する細胞株を、異なる濃度のODN 7909およびODN 10105ならびにコントロールODNを用いてインキュベートした(図31)。この結果は、TLR9を活性化させた場合に2つのBクラスODNの間で統計学的に有意な差が無かったことを説明する。両方のODNは、同じ用量−応答曲線を示し、そして同じ濃度で最大活性化に達した。使用したコントロールODNは、最高濃度24μg/mlのときでさえ、TLR9活性化を誘導しなかった。 (ヒトB細胞):B型ODNの1つの特徴は、きわめて有効的にB細胞を活性化させる能力である(Kriegら、1995)。B細胞および形質細胞様(plasmacytoid)DCは、現在、TLR9を発現することが公知である唯一の免疫細胞型である(Krugら、2001;Bauerら、2001)。ODN 7909およびODN 10105により誘導されたB細胞の直接活性を、細胞表面マーカーCD86の上方制御(図32)およびB細胞の増殖(図33)により測定した。ヒトB細胞のCD86発現のために、健康な血液ドナー由来のPBMCを異なるODNとともにインキュベートし、B細胞活性を、材料および方法に記載した通りに測定した。 この結果は、ODN 10105ならびにODN 7909が、極めて強力なヒトB細胞刺激物質であることを説明する。図32は、これらのCpG ODNが、インビトロで濃度0.4μg/mlのみでB細胞を刺激することができたことを示す。約1.6μg/mlでプラトーに到達し、そしてB細胞の70%以上が、ずっと強力さに欠けるコントロールとは対照的に、CD86が上方制御されたことがわかった。ODN 10105は、6μg/mlの最大試験用量でさえ、B細胞増殖を誘導することが出来たが、一方ODN 7909は、1.6〜3.0μg/ml用量でプラトーに達したことを除いて、B細胞増殖誘導について同様の結果が得られた(図33)。 (サイトカイン分泌): BクラスのODNは、インビボならびにインビトロでのTh1優位な免疫応答を誘導する。それらは、代表的なTh1サイトカイン(例えば、IFN−γおよびIFN−α)ならびにケモカイン(例えば、MCP−1およびIP−10)を誘導することが可能であると分かった。さらに、前炎症サイトカインIL−6ならびにTNF−αの低分泌および負の調節因子IL−10が、観察され得る。ODN 10105およびODN 7909の投与後に、Th1サイトカインIFN−α、ケモカインIP−10ならびに調節サイトカインIL−10および前炎症サイトカインTNF−αの分泌を測定した。図34は、インビトロでのIFN−α分泌を測定するために、0.2、0.4および1.6μg/mlで、6体の異なるドナーを用いて行なわれた実験結果を示す。 両方のCpG ODNは、0.4〜1.6μg/mlで最大となる高レベルのINF−αを誘導した。対照的に、コントロールODNは、5.0μg/mlでしか発現し始めない低量のINF−αを誘導した。ODN 7909と比較すると、ODN 10105は、1.6μg/ml用量および5.0μg/ml用量の両方で、INF−αよりも高いレベルを誘導した。コントロールODNと対照的に、ODN 7909およびODN 10105は、図35に示されるようにケモカインIP−10を誘導し、この場合もODN 10105は、0.4μg/ml用量でより高いレベルを誘導した。 異なるサイトカインにおける時間に依存した効果をまた、分析した。それゆえ、異なるドナー由来のPBMCを、8時間、24時間、36時間および/または48時間インキュベートして、IL−10またはIFN−αの分泌を測定した。図36および図37は、2つの異なるドナーを用いて、8時間および24時間インキュベート(図36)または36時間および48時間インキュベート(図37)した場合のIFN−αについて得られた結果を説明する。CpG ODNを用いてインキュベートした場合にINF−αは、早くも8時間には最初に分泌され、24時間で最大量に達し、この量は、24時間と48時間の間でこのレベルのままか、または増加さえした。LPSは、IFN−αを全く誘導しなかった。両方のドナーについて、ODN 10105は、1.6μg/ml濃度にて、8時間の時点でより高レベルのIFN−αを刺激した。 極めて類似した実験を、IL−10分泌について行なった(図38および図39)。このサイトカインは、INF−αに対して類似した特徴を示したが、その最大量は、48時間で得られた。この場合も、INF−αについて上記に説明したように、CpG ODN7909およびODN 10105の両方は、行われた全ての他のアッセイと同様にこれらのアッセイにおいて、ほとんど同一の特性を示した。 (インビトロでのマウス研究): 図40に示されるように、ODN 10105は、全試験濃度でODN 7909よりも高レベルのB細胞増殖を刺激することが可能である。図41に示されるデータに従うと、CpG ODN 7909およびODN 10105の両方は、IL−10、IL−12,IL−6およびTNF− 分泌を刺激することが可能である。IL−12およびTNF− 分泌について、ODN 10105は、全試験濃度で7909よりも多くの因子分泌を誘発する。 CpG ODNは、マウス脾細胞培養において、NK細胞の溶解活性を高めるのに本質的に同じ効力を有する(図42)。 図43に示されるように、CpG ODN 7909またはODN 10105のいずれかは、抗原単独の場合と比べると、HBsAgに対する抗体力価を有意に高めたが(p<0.0001)、一方コントロールODNをHBsAgと組み合わせて使用したときには、抗HBs応答の有意な増加はなかった(p=0.85)。 図44に示されるように、全IgGレベルの増加は、両方のCpG ODNと類似する。マウスにおいて、IgGアイソタイプ分布は、免疫応答の性質の指標として広く使用され、ここでIgG2a/IgG1高レベルは、Th1に偏った免疫応答を示す(ConstantおよびBottomly、1997)。現在の研究において、CpG ODNの使用は、抗原単独が使用される場合またはコントロールODN 2137と組み合わせて使用される場合と比べると、IgG2a力価を有意に高めた(Ag 対 ODN 7909または10105についてp<0.001およびAg+7909 対 Ag+2137についてp<0.01およびAg+10105 対 Ag+2137についてp<0.05)。しかしながら、CpG ODN 7909または10105のいずれかをHBsAgと組み合わせて使用する場合、IgG2a応答レベルは類似した(p>0.05)。それゆえ、CpG ODN 7909および10105の両方は、IgG1に対するIgG2の増加レベルにより測定されるTh1に偏った免疫応答の誘導能力において、同様に強力である。 (結び): ODN 10105は、ODN 7909と同様に、そしてある場合にはより優れて挙動することを示す、ヒト細胞を用いたインビトロデータを示す。マウス研究の結果に従うと、CpG ODN 7909および10105は、インビトロでの生天性免疫応答に対する効果ならびに抗原を一緒に投与した場合のインビボでの抗原特異的応答を増強する能力の両方に対して、類似した免疫増強特性を有する。 (実施例5(ODN 10106)): (HCV研究): (要旨): この実験は、正常で健康な成人被験体および慢性的にHCVに感染した成人被験体から単離されたPBMCにおいて、CpG ODN 10106とCpG ODN 7909を、その免疫活性特性について比較して行なわれた。ODNが、B細胞増殖、サイトカイン分泌(IL−10およびTFN−α)ならびにケモカイン分泌(IP−10)を刺激する能力を評価した。全てのアッセイから、ODN 10106が、ODN 7909とほとんど同等の特性かまたはより優れた特性を有することが示され、類似した結果が、正常で、健康な成人被験体および慢性的にHCVに感染した成人被験体から単離されたPBMCを用いて観察された。 (材料および方法): (ヒト(HCV)研究): (オリゴデオキシヌクレオチド): CpG ODN 7909、10106およびコントロールODN 4010を、Coley Pharmaceutical Groupと契約して製造した。全ODNを、滅菌したエンドトキシンのないTE(pH8.0)(OmniPerR;EM Science,Gibbstown,NJ)に再懸濁して、微生物およびエンドトキシンの両方の混入を妨げるために無菌条件下で保存および操作した。コントロールODN 4010は、刺激性CpGモチーフを含まない。ODNの希釈を、使用直前に10%正常ヒトAB血清(Wisent Inc,St.Bruno,QC)(熱非働化)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco BRL,Gland Island,NY)を含むRPMI 1640完全培地中で行なった。使用されるODN配列を、以下の表に示す。 表1:これらの実験において使用されるODN配列。 PBMC単離: 10名の正常で健康な成人被験体および10名のIFN−αに基づく処置による前6ヶ月過程が失敗した、HCVに慢性的に感染した成人被験体から、全血200mLを、静脈穿刺によりヘパリン添加したグリーントップバキュテイナーに集めた。末梢血単核細胞(PBMC)を、400×gで35分間、Ficoll−Pacqueに対する遠心分離により精製した。10%正常ヒトAB血清(熱非働化)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI完全培地中に、10×106/ml濃度で細胞を再懸濁した。 B細胞増殖アッセイ:ODNを、10%正常ヒトAB血清(熱不活化)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI培地内で、以下の濃度:2μg/ml、6μg/mlならびに12μg/mlまで希釈した。希釈したODN 100μLを、96ウェル丸底プレートのウェルに加えた。新たに単離したPBMCを、10%正常ヒトAB血清(熱不活化)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む完全RPMI培地内で、1×106/mlとなるまで再懸濁し、次いで細胞懸濁液を、1μg/mL、3μg/mLおよび6μg/mLの最終ODN濃度となるように各ウェル(100μL/ウェル)に加えた。細胞を、5日間培養し、そして次いで3H−チミジン(1μCi/ウェル)を用いて16時間〜18時間、パルス(pulse)した。インキューベーションに続いて、細胞を濾紙上に収集し、そして放射能の量を測定した。結果を、未処理の培地コントロールに対する刺激指数(SI)として報告した。 サイトカインの検出:ODNを、10%正常ヒトAB血清(熱不活化)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI培地内で、以下の濃度:2μg/ml、6μg/mlならびに12μg/mlまで希釈した。希釈したODN 100μLを、96ウェル平底プレートのウェルに加えた。10×106/mlの濃度で再懸濁した新たに単離したPBMCを、1μg/mL、3μg/mLおよび6μg/mLの最終ODN濃度となるように各ウェル(100μL/ウェル)に加えた。細胞を、5%CO2を用いて37℃で48時間、インキュベートした。インキュベーションに続いて、細胞の上澄みを、各ウェルから収集し、そしてアッセイするまで−80℃で凍結した。 上澄み中のIFNαおよびIL−10およびIP−10のレベルを、R&D Systems,Minneapolis,MNから市販されるELISA Kit(カタログ番号それぞれ41105,D1000ならびにDIP100)を製造者の指示に基づいて使用して測定した。 統計分析:統計分析を、InStat(Graph PAD Software,San Diego)を使用して実施した。群の間の統計学的な差異を、生データまたは変換したデータ(log10)に対する一元分散分析(ANOVA)およびその後のテューキー・クレーマー多重比較検定により決定した。データの変換後の場合、標準偏差の間の差異が、有意なノンパラメトリックなANOVAであることを示すバートレットの検定(Kurskal−Wallis検定)を、使用した。 (結果) B細胞の増殖:B型ODNの一つの特徴は、非常に効率的にB細胞を活性化するこれらの能力である(Kriegら,1995)。二つのBクラスのODN(7909および10106)がB細胞の増殖を刺激する能力を、以下の図45に示す。 CpG ODN 7909と比較した場合、10106は、B細胞の増殖を刺激するに際し、等しく効果的であった。さらに、正常で健常な被験者または慢性的にHCVに感染している被験者のいずれかの群に由来するPBMCをこれらが刺激する能力において、有意な差異はなかった。 サイトカイン/ケモカイン分泌:BクラスのODNは、インビボおよびインビトロでThl優勢免疫反応を生じる。BクラスのODNは、IFNαおよびIFN−αのような代表的なThlサイトカイン、ならびにMCP−1およびIP−10のようなケモカインを誘導し得るものであるということが見出された。さらに、炎症促進性サイトカインIL−6およびTNF−αの低分泌、ならびにネガティブレギュレーターIL−10の分泌が、観察され得る。図46、47、および48は、BクラスのODNが、ThlサイトカインIFNα、ケモカインIP−10および調節サイトカインIL−10の分泌を刺激する能力を例示する。 BクラスのODN(7909および10106)は、同等の濃度のIFNαの分泌を誘導した。 7909または10106のいずれかのBクラスのODNを用いたPBMCの刺激の後、同等の濃度のIP−10が、分泌された。正常で健常な被験者から単離されたPBMCまたは、慢性的にHCVに感染している被験者から単離されたPBMCからのIP−10の分泌をこれらのODNが、刺激する能力に差異は見られなかった。IP−10の最大濃度は、7909および10106共に3μg/mlのODN濃度で得られた。同じ分析を、IL−10の分泌に対して実施した(図48)。 CpG ODN 7909および10106は、両成体集団から単離されたPBMCからの同等の濃度のIL−10の分泌を引き起こし得た。両ODNについての最大のIL−10の誘導は、6μg/mlで観察された。 (結論) (1)正常で健常な被験者および(2)IFN−α治療に以前失敗した慢性的にHCVに感染した被験者という二つの異なる成人集団から単離されたヒト末梢血単核球細胞を用いたインビトロデータは、BクラスのCpG ODN7909および10106がB細胞の増殖ならびに同一の集団内でIFN−α、IL−10とIP−10の分泌を刺激することが等しく可能であることは、そしてさらにこの効果は、二つの集団に対して同一であったことを示す。 (非HCVの研究) (要約) CpG ODN 10106は、クラスBの核酸である。これらの実験は、CpG ODN 10106の免疫活性化の性質とCpG ODN 7909の免疫活性化の性質を比較する。インビトロおよびインビボの免疫学的パラメーターを、この評価のために使用した。 インビトロデータは、ヒトPBMCについてのODN 10106およびODN 7909とを比較することにより得られた。実施されたアッセイは、レセプター結合(TLR9)、B細胞の活性化(細胞表面活性化マーカーの発現およびB細胞の増殖)ならびにサイトカインの分泌(IL−10、IP−10、IFN−αならびにTNF−α)を含んだ。全てのアッセイは、ODN 10106が、ODN 7909とほとんど同一である性質を有することを示した。 インビトロの研究(つまり、B細胞増殖アッセイ、NK溶解活性、サイトカイン分泌プロフィール)をまた、未処置のBALB/cマウスの脾細胞を使用することにより実施した。インビボ比較研究を、B型肝炎抗原(HBsAg)に対する抗原特異的免疫反応を高めるこれら二つのODNの能力を調べることにより実施した。インビボ比較研究において、体液性反応(抗体)および細胞媒介性免疫応答(CTL活性)の両者の向上について調べた。さらに、引き起こされた免疫応答の性質(つまり、Thl対Th2)を、IgG2a/IgG1の比およびCTL応答の強度を決定することにより調べた。 (材料および方法) ヒトでの研究に関して、オリゴデオキシヌクレオチド、TLR9アッセイ、ヒト細胞精製、サイトカイン検出、およびB細胞活性化のフローサイトメトリー分析のための培養の記載については、実施例1を参照する。 マウスのインビトロおよびインビボでの研究に関して、オリゴデオキシヌクレオチド、動物、脾細胞の採取および培養、B細胞増殖分析、サイトカイン分泌プロフィール、NKアッセイ、マウスの免疫化、抗体応答の定量、および統計学的分析の記載については、実施例1を参照する。 (結果) (TLR9結合) 本発明者らは、ヒトTLR9を安定して発現する細胞株を、異なる濃度のODN 7909およびODN 10106、ならびにコントロールODNとともにインキュベートした(図49)。この結果は、TLR9を活性化することに関して、2つのBクラスODNの間に有意な差がなかったことを示す。両方のODNは、同じ用量応答曲線を示した。使用されたコントロールODNは、12μg/mlの最も高い濃度においてさえ、TLR9活性を誘導しなかった。 (ヒトB細胞の活性化) タイプBのODNの1つの特徴は、非常に効率よくB細胞を活性化するその能力である(Kriegら、1995)。現在のところ、B細胞およびプラズマ細胞様DCのみが、TLR9を発現することで知られる免疫細胞タイプである(Krugら、2001;Bauerら、2001)。したがって本発明者らは、ODN 7909およびODN 10106によって誘導されるB細胞の直接的な活性化を、細胞表面マーカーCD86のアップレギュレーションによって(図50)、およびB細胞の増殖によって(図51)測定した。ヒトB細胞上でのCD86の発現のため、健康な血液ドナーのPBMCを別々のODNとともにインキュベートし、そして材料および方法に記載されるようにB細胞活性化を測定した。 (B細胞の増殖) 両方の結果は、10106および7909が非常に効力のあるヒトB細胞の刺激因子であることを示す。図50は、これらのCpG ODNが、わずか0.4μg/mlのインビトロでの濃度でB細胞を非常に強力に刺激し得たことを示す。プラトーには、約1.6μg/mlで達した。同様の結果がB細胞増殖の誘導に関して得られ(図51)、ここで、刺激指数は約0.8μg/mlで最大に達した。 (サイトカイン分泌) BクラスODNは、インビボおよびインビトロにおけるTh1優性免疫応答をもたらす。これらは、代表的なTh1サイトカイン(例えば、IFN−γおよびIFN−α)、ならびにケモカイン(例えば、MCP−1およびIP−10)を誘導し得る。加えて、炎症促進性サイトカインIL−6およびTNF−αの低い分泌、ならびに負の調節因子IL−10の分泌が観察され得る。本研究者らは、したがって、Th1サイトカインIFN−α、ケモカインIP−10、ならびに調節因子IL−10および炎症促進性サイトカインTNF−αの分泌を測定した。 図52は、インビトロでのIFN−α分泌を測定するために、0.2μg/ml、0.4μg/ml、1.6μg/ml、および5μg/mlで、3つの異なるドナーを用いて実施された実験の結果を示す。両方のCpG ODN(7909および10106)は、高レベルのIFN−αを誘導し、0.4μg/ml(7909)もしくは1.6μg/ml(10106)で最大に達した。しかし、IFN−α分泌の最大上昇は、10106の刺激後では7909と比較して、約3倍より高く現れた。 加えて、ODN 7909およびODN 10106は、コントロールODNと対照的に、図53に示されるように、より大量のサイトカインIP−10を誘導した。この実験では、約0.2μg/mlで既にプラトーに達した。 非常に類似した実験を、IL−10分泌に対して実施した(図54)。ここでもまた、IFN−αに関して上記で記載されたように、CpG ODN 7909およびODN 10106の両方は、実施した他の全てのアッセイと同様に、このアッセイにおいてほぼ同一の特性を示した。比較すると、コントロールODNは、最も高い濃度でのみIL−10分泌を誘導する。 図55に示すように、ODN 7909およびODN 10106の両方、ならびにコントロールODNは、LPSと比較して、全ての試験された濃度において炎症促進性サイトカインTNF−αの低い分泌プロフィールを示した。ここでもまた、これら2つのODNによる刺激の後、同様の特徴を観察し得る。 このデータによると、CpG ODN 7909およびODN 10106の両方は、マウス脾細胞によるサイトカイン分泌の増強に対して、実質的に同等の効力を有する(図57)。 (B細胞増殖) データによると、CpG ODN 10106は、試験された全ての濃度において、マウスB細胞増殖の誘導に対して、CpG ODN 7909よりも上でないとしても同等に効力がある(図56)。 (NKアッセイ) データによると、CpG ODN 7909およびODN 10106の両方は、マウス脾細胞培養物におけるNK細胞の溶解活性の増強に対して、実質的に同等の効力を有する(図58)。 (総IgG応答) 本研究の結果によると、CpG ODN 7909もしくはODN 10106のいずれかの使用は、HBsAgに対する抗体力価を、抗原単独と比較して有意に増強したが(p<0.0001)、他方Ag+CpG ODN 7909もしくはAg+CpG ODN 10106によって免疫化された動物においては抗体力価に有意差はなかった(p=0.86)。さらに、コントロールODNは、HBsAgと組み合わせて使用された場合、抗HB応答を有意には増強しなかった(p=0.86)(図59)。総IgGレベルの増加は、CpG ODN 7909が使用された場合には、CpG ODN 10606が使用された場合と比較して、わずかに、しかし有意に(p=0.04)大きい。 (体液性応答の性質(IgG1対IgG2a比)) マウスにおいて、IgGアイソタイプ分布は、免疫応答の性質の指標として広範に使用され、ここで、高いIgG2a/IgG1比は、Th1に偏った免疫応答を示す(ConstantおよびBottomly、1997)。本研究において、CpG ODNの使用は、抗原が単独で使用された場合、または抗原がコントロールODN 2137と組み合わせて使用された場合と比較して、IgG2a力価を有意に増強した(Ag対7909に関してp<0.01、Ag対10106に関してp<0.001、およびAg+7909対Ag+2137に関してp<0.001、およびAg+10106対Ag+2137に関してp<0.01)。しかし、IgG2a応答のレベルは、CpG ODN 7909もしくはODN 10106のいずれかがHBsAgと組み合わせて使用された場合、同様であった(p>0.05)。したがって、CpG ODN 7909およびODN 10106の両方は、IgG1を超えたIgG2aの増加レベルによって測定されるように、Th1に偏った免疫応答を誘導するその能力において同等の効力がある(図60)。 (結論) ヒト末梢単核細胞を用いたインビトロデータは、Bクラスの2つの分子(7909および10106)が、実施した種々のアッセイにおいて、同一でないとしても非常に類似して振舞うことを示す。いくつかのアッセイでは、ODN 10106はODN 7909よりも良好に働いた。 上記マウスの研究の結果によると、CpG ODN 7909およびODN 10106は、先天性免疫応答に対するそのインビトロでの効果、および抗原とともに投与される場合にインビボにおいて抗原特異的応答を増強するその能力の両方に関して、同様の免疫増強特性を有する。 (等価物) 以上に記載される明細書は、当業者が本発明を実施するのに十分であるとみなされる。本発明は、提供される実施例によって範囲を限定されるべきではない。なぜなら、この実施例は本発明の1つの局面の単なる説明として意図され、そして他の機能的に同等な実施形態が本発明の範囲内にあるからである。本明細書中に示されかつ記載される内容に加えて、本発明の種々の改変は、以上の記載から当業者にとって明らかになり、そして添付の特許請求の範囲内に収まる。本発明の利点および目的は、必ずしも本発明の各実施形態によって含まれない。明細書中に記載の発明。 【課題】既知の核酸よりも高いレベルの免疫刺激を誘導する核酸を提供すること。【解決手段】本発明は、CpGモチーフを含む免疫刺激性核酸、および免疫刺激におけるそれらの使用法を提供する。本発明は、既知の核酸よりも高いレベルの免疫刺激を誘導する核酸の新たなファミリーの驚くべき発見に、部分的にもとづいている。この知見は、本明細書に開示した核酸配列の発見以前に100を上回る数の核酸配列がスクリーニングされたことも理由の一つとして、驚くべきことである。これらのCpGモチーフを含む合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)によって、細菌DNAの免疫刺激効果を模倣することができる。【選択図】なし配列表


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再公表特許(A1)_ベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤

生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_ベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤
出願番号:2009063632
年次:2012
IPC分類:A61K 31/18,A61P 3/10,A61P 3/06,A61P 3/04


特許情報キャッシュ

長谷部 光 吉川 悟 小園 秀樹 岡崎 誠二 JP WO2010013798 20100204 JP2009063632 20090731 ベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤 東レ株式会社 000003159 長谷部 光 吉川 悟 小園 秀樹 岡崎 誠二 JP 2008198047 20080731 A61K 31/18 20060101AFI20111209BHJP A61P 3/10 20060101ALI20111209BHJP A61P 3/06 20060101ALI20111209BHJP A61P 3/04 20060101ALI20111209BHJP JPA61K31/18A61P3/10A61P3/06A61P3/04 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20120112 2009534006 32 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206JA11 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA70 4C206ZC33 4C206ZC35 本発明は、ベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤に関する。 糖尿病は、インスリン作用不足により慢性的な高血糖状態を示す代謝異常からもたらされる慢性疾患である。糖尿病は、インスリンの分泌不全を特徴とする1型糖尿病と、インスリンの分泌低下及び感受性の低下(インスリン抵抗性)を特徴とする2型糖尿病とに分類される。その中でも2型糖尿病は、診断された糖尿病の90〜95%に相当し、肥満症、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドロームといった現代人を悩ます生活習慣病と関わりが深いとされている。 糖尿病治療薬としては、スルホニル尿素薬、フェニルアラニン誘導体、α−グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン誘導体等が知られているが、重篤な低血糖、胃腸管障害、肝機能障害、乳酸アシドーシス等の副作用を併発することから、これらの薬剤の使用は制限されている。また、スルホニル尿素薬及びチアゾリン誘導体は、体重増加を助長することも知られている(非特許文献1)。 肥満症は、過食や運動不足によってエネルギーが脂肪組織に異常蓄積された状態になっており、2型糖尿病の一因となるだけでなく、高血圧や心疾患等の原因となる。 肥満症治療薬としては、マジンドール、オルリスタット、リモナバン等が挙げられる。マジンドールは中枢性摂食抑制作用及び末梢組織における熱産生促進が主薬効であるが、吐き気、頭痛、めまい等の中枢性副作用を起こすことがあり、使用には厳重な管理が必要である。オルリスタットは、リパーゼを阻害することで脂肪吸収を抑制し体重を減少させるが、脂溶性ビタミンの吸収を阻害するので、必要に応じてビタミンの補給が必要となる。リモナバンは、カンナビノイド1受容体に作用し、食欲を抑制して体重を減少させるが、めまい、吐き気、頭痛等の中枢性副作用が問題となっている。これらの肥満症治療薬は、そのいずれもが体重減少作用を有しているが、種々の欠点及び副作用をも有しており、効果的で使い勝手の良い肥満治療薬の開発が望まれている(非特許文献2〜4)。 脂質異常症とは、血中におけるコレステロール値及びトリグリセリド値の異常を伴う疾患である。脂質異常症は、やがて動脈硬化を招き、さらには狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患の危険性を増加させる。脂質異常症治療薬は、血中トリグリセリドやLDLコレステロールを低下させる薬剤であり、冠動脈疾患の発症を予防する上で重要である(非特許文献5)。 脂質異常症治療薬としては、プラバスタチン及びアトルバスタチン等のスタチン系薬(HMG−CoA還元酵素阻害薬)、コレスチラミン及びコレスチミド等の胆汁酸吸着剤、クロフィブラート及びベザフィブラート等のフィブラート系薬等がある。スタチン系薬は、消化器症状、横紋筋融解症等の副作用を起こすことがある。胆汁酸吸着剤は、便秘、腹部膨満感の副作用が見られ、併用薬の吸収阻害を起こすことがある。フィブラート系薬は、横紋筋融解症、肝機能障害等の副作用に注意しながら使用する必要がある。これらの脂質異常症治療薬は、そのいずれもが血清トリグリセリド又はコレステロールの低下作用を有しているが、種々の欠点及び副作用を有しているのが実情である(非特許文献2)。 メタボリックシンドロームとは、腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDL−コレステロール血症、高血糖、高血圧のいくつかを併せ持つ病態であり、これらの症状が合併することにより動脈硬化性疾患を発症する危険性が高くなることから、動脈硬化性疾患のハイリスク群として考えられている。 メタボリックシンドロームの診断基準は、例えば、2001年のNational Cholesterol Education Program(以下、NCEP)では、表1に記載される1〜5の危険因子のうち、少なくとも3つの危険因子が基準値を超える場合をメタボリックシンドロームと定義している。International Diabetes Federation(以下、IDF)及び日本メタボリックシンドローム診断基準検討委員会(日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会等の8学会の合同委員会)では、腹部肥満を必須項目とし、それに加えて、高トリグリセリド、低HDL−コレステロール、高血圧、高血糖の中から複数の項目に該当するものをメタボリックシンドロームと定義している。メタボリックシンドロームの薬物治療では、個々の危険因子に対する治療が単に試みられているに過ぎないため、単剤で複数の危険因子に対して有効な薬剤が求められている(非特許文献6及び7)。 このような中、2型糖尿病及び肥満症に対する新しい治療薬候補として、アドレナリンβ3受容体作動薬が報告された(非特許文献8及び9)。アドレナリンβ3受容体は、げっ歯類やヒトの脂肪細胞に存在し、脂肪分解及び熱産生の調節において重要な役割を担うことが示唆されている(非特許文献10及び11)。また、アドレナリンβ3受容体の機能低下は、体脂肪の蓄積等を引き起こすため、肥満症発症との関連が示唆されている(非特許文献12)。しかしながら、糖尿病治療薬としてのアドレナリンβ3受容体作動薬の開発は、循環器系副作用が妨げになり、治療薬の創出には至っていない。 特許文献1には、アミン誘導体であるアドレナリンβ3作動薬が開示されている。しかしながら、糖尿病及び肥満症に対する薬効を裏付ける薬理データに関しては何ら開示されていない。 非特許文献8には、アドレナリンβ3受容体作動薬として以下のベンジルアミン誘導体(1)が開示されている。しかしながら、糖尿病及び肥満症に対する薬効に関連するデータとしては、遊離脂肪酸の分解作用に限られている。 なお、上記のベンジルアミン誘導体(1)及びアドレナリンβ3受容体作動薬である類縁ベンジルアミン誘導体については、循環器系の副作用(QT間隔延長作用及び心拍数増加作用)が認められるため、治療薬の創出には至っていない(非特許文献8及び13)。 また、特許文献2には、上記のベンジルアミン誘導体(1)の一部を包含するような広範囲の化合物が開示されている。しかしながら、これらの化合物の糖尿病、肥満症、脂質異常症又はメタボリックシンドロームに対する有用性については知られていない。特開平7−206806号公報米国特許3341584号明細書国際公開第2008/093767号日本糖尿病学会編、「糖尿病治療ガイド2008−2009」、2008年日本医療情報センター編、「医療用医薬品集2008」、2007年高橋ら、「医学のあゆみ」、2005年、213巻、6号、p.549齋木ら、「医学のあゆみ」、2005年、213巻、6号、p.643木下、「最新医学」、2008年、63巻、2号、p.7平田ら、「最新医学」、2006年、61巻、3月増刊号、p.579岡田ら、「最新医学」、2008年、63巻、2号、p.262Washburnら、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2001年、11巻、p.3035Haradaら、Chem. Pharm. Bull.、2005年、53巻、p.184Howeら、Drug Future、1993年、18巻、p.529Archら、J. Med. Res. Rev.、1993年、13巻、p.663Revelliら、J. Clin. Invest.、1997年、100巻、p.1098Gavaiら、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2001年、11巻、p.3041 そこで本発明の目的は、低用量で顕著な薬効を発揮し、循環器系の副作用である心拍数上昇作用及びQT間隔延長作用を有さない糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、2型糖尿病モデルマウス(KK/Ayマウス)及び糖尿病・肥満モデルマウス(Diet Induced Obesityマウス:以下、DIOマウス)を用いたin vivo実験において、アドレナリンβ3受容体選択性に優れた新規なベンジルアミン誘導体が、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームに対して優れた薬効を示し、慢性疾患の薬物療法治療で問題となっている循環器系の副作用(QT間隔延長作用及び心拍数上昇作用)を有しないことを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、一般式(I)[式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル、R2は、炭素数1〜6のアルキル、R3及びR5は、それぞれ独立してハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル又は炭素数1〜6のアルコキシ、R4は、水素又は炭素数1〜6のアルコキシである。]で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤を提供する。 上記治療剤又は予防剤は、R1がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はtert−ブチルであり、R2がメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであることが好ましく、R3及びR5がそれぞれ独立してメチル、エチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ又はクロロであり、R4が水素、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシであることが好ましい。 また上記治療剤又は予防剤は、R2がメチルであり、R3及びR5がそれぞれ独立してメチル、エチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ又はクロロであり、R4が水素、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシであることがより好ましく、R1及びR2がメチルであり、R3及びR5がそれぞれ独立してメチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はクロロであり、R4が水素又はメトキシであることがより好ましい。 さらに上記治療剤又は予防剤は、R1及びR2がメチルであり、R3及びR5が同時にメチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はクロロ、R4が水素であることがさらに好ましい。 また本発明は、上記の治療剤又は予防剤の有効量を投与することを含む、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療方法又は予防方法を提供する。 さらに本発明は、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームを治療又は予防するための医薬の製造における、上記一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の使用を提供する。 本発明の治療剤又は予防剤は、循環器系の副作用である心拍数上昇作用やQT間隔延長作用を示すことなく、低用量で、糖尿病、肥満症、脂質異常症又はメタボリックシンドロームに対して顕著な治療効果又は予防効果を発揮する。インスリン投与後の血糖低下作用に対する実施例1の化合物の影響を示した図である。横軸はインスリン投与後の時間(分)を示し、縦軸はマウスの血糖値を示している。###p<0.001 vs 正常マウスの溶媒投与群、*p<0.05、**p<0.01 vs DIOマウスの溶媒投与群(パラメトリックWilliams検定、何れも、各時点での検定)。覚醒ラットの心拍数に対する実施例1の化合物の影響を示した図である。横軸は薬物投与後の時間(分)を示し、縦軸はラットの心拍数を示している。 本明細書で使用する次の用語は、特に断りがない限り、下記の定義の通りである。 「アルキル」とは、炭素原子及び水素原子からなる、一価の直鎖又は分岐状の飽和炭化水素基を意味する。 「アルコキシ」とは、−OR基を意味し、このRは、ここで定義されているアルキルである。 「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを意味する。 「ハロアルキル」とは、ここで定義されている1個以上のハロゲンで任意の水素原子が置換された、ここで定義されているアルキルを意味する。 「糖尿病」とは、WHO(世界保健機構)、日本糖尿病学会、米国糖尿病協会又は欧州糖尿病協会等の診断基準に従い糖尿病と診断された病態を意味し、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病等が含まれる。2型糖尿病は、インスリンの作用不全、すなわち「インスリン抵抗性」を特徴とする。 「インスリン抵抗性」とは、インスリン抵抗性指数(空腹時血糖(mg/dL)×空腹時インスリン(μU/mL)÷405)やグルコースクランプ法等で評価することによりインスリン抵抗性と診断された病態を意味し、シンドロームXも含まれる。「インスリン抵抗性」を伴う疾患としては、2型糖尿病以外に、例えば、脂肪肝、特にNAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、また、冠動脈心疾患(CHD)、動脈硬化性疾患、高血糖症、脂質代謝異常、耐糖能不全、高血圧症、高脂血症、糖尿病合併症、妊娠糖尿病、多嚢胞卵巣症候群等を挙げることができる。 「脂質異常症」とは、WHO又は日本動脈硬化学会等の診断基準に従い脂質異常症と診断された病態を意味し、高脂血症、高コレステロール血症、高LDL−コレステロール血症、低HDL−コレステロール血症、高トリグリセリド血症等が含まれる。 「肥満症」とは、WHO又は日本肥満学会等の診断基準に従い肥満症と診断された病態を意味し、「過体重」等もこれに含まれる。 「メタボリックシンドローム」とは、WHO、NCEP、IDF又は日本メタボリックシンドローム診断基準検討委員会等の診断基準に従い、メタボリックシンドロームと診断された病態を意味する。 なお、「治療剤又は予防剤」には、治療か予防のいずれか一方に用いられるもののみならず、治療と予防の両方に同時に用いられるものも包含される。 本発明の糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤は、一般式(I)[式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル、R2は、炭素数1〜6のアルキル、R3及びR5は、それぞれ独立してハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル又は炭素数1〜6のアルコキシ、R4は、水素又は炭素数1〜6のアルコキシである。]で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有することを特徴としている。 一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体の中で、R1、R2、R3及びR5の炭素数1〜6のアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられ、これらは限定的なものではない。 R3及びR5の炭素数1〜6のハロアルキルとしては、例えば、フルオロメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル等が挙げられ、これらは限定的なものではない。 R3、R4及びR5の炭素数1〜6のアルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられ、これらは限定的なものではない。 R3及びR5のハロゲンとしては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等が挙げられ、これらは限定的なものではない。 R1〜R5の好ましい具体例を以下に示す。ただし、これらはあくまでも具体例を示したに過ぎず、これらに限られるものではない。 R1としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はtert−ブチルが好ましく、メチル又はイソプロピルがより好ましく、メチルがさらに好ましい。 R2としては、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルが好ましく、メチル、エチル又はプロピルがより好ましく、メチルがさらに好ましい。 R3及びR5としては、それぞれ独立してメチル、エチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ又はクロロが好ましく、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はクロロがより好ましいが、R3及びR5が同時にメチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はクロロであることがさらに好ましい。 R4としては、水素、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシが好ましく、水素、メトキシ又はエトキシがより好ましく、水素又はメトキシがさらに好ましい。 一般式(I)のベンジルアミン誘導体は、2個の不斉炭素原子を有するが、これに基づく光学異性体、ジアステレオマーが存在することになる。本発明は、これらの単一異性体又はラセミ体若しくはジアステレオマー混合物も包含する。 一般式(I)のベンジルアミン誘導体の薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩等の有機カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等が挙げられ、これらは限定的なものではない。中でも、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩が好ましく、塩酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩がより好ましく用いられるが、これもまた、これらに限られるものではない。 一般式(I)のベンジルアミン誘導体のうち、好ましい具体例を表2に示すが、これらは本発明を限定するものではない。 一般式(I)で示される本発明のベンジルアミン誘導体は、その基本骨格や置換基の種類に由来する特徴に基づいた適切な方法で製造することができる。なお、これらの化合物の製造に使用する出発物質と試薬は一般に入手することができるか、又は、Peter他著、「Organic Reaction」、Wiley & Sons若しくはFieser著、「Fieser and Fieser’s Reagent for Organic Synthesis」、Wiley & Sons等の参考文献に記載の手順に従った、当業者に既知の方法によって合成できる。 一般式(I)で示される本発明のベンジルアミン誘導体の具体的な製造方法として、例えばスキーム1に示す方法をあげることができる。[式中、R1、R2、R3、R4及びR5は上記定義に同じ。] 具体的には、一般式(I)のベンジルアミン誘導体は、例えば、当業者には自明の方法を用い、一般式(II)で示されるアミン誘導体を、一般式(III)で示されるベンズアルデヒド誘導体で還元的アルキル化することで得ることができる。 溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒又は、それらの混合溶媒を用いることができる。通常は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、特にメタノールを用いると好ましい結果が得られる。ベンズアルデヒド誘導体(III)はアミン誘導体(II)に対し0.5〜20当量を用いることが可能であるが、通常、0.5〜10当量、好ましくは0.5〜3当量が用いられる。 還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、ボラン−ピリジン錯体等が使用可能であり、特に、水素化シアノホウ素ナトリウム、ボラン−ピリジン錯体が好ましく用いられる。還元剤は、アミン誘導体(II)に対し0.5〜50当量を用いることが可能であるが、通常、1〜20当量、好ましくは1〜10当量が用いられる。 反応温度は、通常、−40〜150℃、好ましくは−30〜80℃で満足すべき結果が得られる。反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜選択されるが、通常、30分〜10時間程度で満足すべき結果が得られる。また、反応系中のアミン誘導体(II)の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.001〜1mol/Lが好ましい。 さらに、このようにして得られたベンジルアミン誘導体(I)は、適当な溶媒中、酸を添加することにより、酸付加塩とすることができる。溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、ジオキサン、ジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒、又はそれらの混合溶媒を用いることができる。通常は、アルコール系溶媒やエーテル系溶媒、特に、メタノール、プロパノール、ジオキサンを用いると好ましい結果が得られる。添加する酸の量は特に限定されないが、ベンジルアミン誘導体(I)に対し1〜30当量の範囲で実施可能であり、通常は1〜10当量、好ましくは1〜5当量で満足すべき結果が得られる。 スキーム1の出発原料となる一般式(II)で示されるアミン誘導体は、例えば、スキーム2に示すように、一般式(IV)で示される、国際公開第2005/040093号記載の方法で合成できるアミンを、当業者には自明の方法で脱ベンジル化して得ることができる。脱ベンジル化は金属触媒存在下、加水素分解による方法が一般的である。[式中、R1及びR2は上記定義に同じであり、Bnはベンジル基を表す。] 反応溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒を用いると好ましい結果が得られる。また、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン等のエーテル系溶媒をそのまま用いてもよいが、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒を混合しても好ましい結果が得られる。金属触媒としては、酸化白金、水酸化パラジウム、パラジウム−炭素等、通常の水素添加反応に用いられる触媒が使用可能であるが、水酸化パラジウム、パラジウム−炭素が好ましく用いられる。金属触媒は、アミン(IV)に対し0.001〜50当量を用いることが可能であるが、通常、0.05〜20当量、好ましくは0.1〜5当量が用いられる。反応温度は、−30〜80℃、好ましくは10〜50℃で、水素圧は、1〜100気圧、好ましくは1〜30気圧で実施可能であるが、通常は室温、常圧で好ましい結果が得られる。反応時間は、反応条件によって適宜選択されるが、通常、30分〜48時間で満足すべき結果が得られる。また、反応系中の基質(IV)の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.001〜1mol/Lが好ましい。 一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の糖尿病、肥満症、脂質異常症、メタボリックシンドロームの治療効果は、マウス、ラット、イヌ、サル等の正常動物及び病態モデル動物(例えば、武内ら、「日本薬理学雑誌」、2006年、128巻、p.37−41に記載されている糖尿病・肥満モデル動物、Winzell M.S.ら、「ダイアベティス(Diabetes)」、2004年、53巻、p.S215−S219.に記載されている糖尿病・肥満マウス)を用いて確認することができるが、これらに限られるわけではない。また、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩が循環器系副作用を引き起こす懸念が極めて低いことは、Salgadoら、Am J Physiol Heart Circ Phiyol、2007年、292巻、p.593−600に記載された方法によって、覚醒下での小動物の循環器作用をみることで確認できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。 一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の糖尿病の治療効果は、臨床症状(例として血糖値又は血漿グルコース濃度)、糖尿病関連の検査所見(例として血中の糖化ヘモグロビンA1c:HbA1C量)又は経口糖負荷試験(OGTT)の2時間後の血糖値等を指標として評価しうる。すなわち、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の投与を行わなかった個体と比較し、上記化合物を投与した個体は、血糖値や血漿グルコース濃度の低下や改善、血中の糖化HbA1C量の低減、OGTTにおける2時間後血糖値の低下等の効果が期待できる。血糖値及び血漿グルコース濃度は、グルコース酸化酵素の反応を利用し、さらに発色法による吸光度の検出や電気化学的な定量を基として血糖値の算出を原理(グルコースセンサー法)とする簡易型血糖値測定器を用いて測定することができる。 一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の「インスリン抵抗性」を伴う疾患に対する治療効果は、個体のグルコースクランプ試験によるインスリン注入時のグルコース利用率又はグルコース注入率を指標として評価することができる。また、個体のインスリン抵抗性状態を評価する簡便な方法としてインスリントレランス試験(ITT)が一般的に用いられており、具体的にはインスリン負荷時の血糖値の推移を指標にインスリンの感受性を評価する(Tanakaら、Proc.Natl. Acad. Sci.、2003年、100巻、p.15924−15929)。すなわち、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の投与を行わなかった個体と比較し、上記化合物の投与を行った個体は、インスリンによる血糖降下作用が衰えた状態を改善することが期待できる。すなわち、本来のインスリンによる血糖低下作用を十分発揮させることが期待できる。 一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の脂質異常症の治療効果は、個体の血漿のトリグリセリド量を指標に評価することができる。すなわち、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の投与を行わなかった個体と比較し、上記化合物の投与を行った個体は、血中のトリグリセリド量の低下が期待できる。トリグリセリドは市販の酵素反応による発色法を用いた測定キットにより検出できる。 一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の肥満症の治療効果は、個体の体重、腹部周囲径、ボディー・マス・インデックス(BMI)又は内臓脂肪量を指標に評価することができる。すなわち、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の投与を行わなかった個体と比較し、上記化合物の投与をおこなった個体は、個体の体重、腹部周囲径、ボディー・マス・インデックス(BMI)又は内臓脂肪量の低下が期待できる。 また一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する医薬は、ヒトに対して有効であるだけではなく、ヒト以外の哺乳類、例えばマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等に対しても有効である。 一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤として臨床で使用する際には、薬剤はフリーの塩基又はその酸付加塩自体でもよく、また、賦形剤、安定化剤、保存剤、緩衝剤、溶解補助剤、乳化剤、希釈剤、等張化剤等の添加剤が適宜混合されていてもよい。投与形態としては、錠剤・カプセル剤・顆粒剤・散剤・シロップ剤等による経口剤、注射剤・座剤・液剤等による非経口剤、又は軟膏剤・クリーム剤・貼付剤等による局所投与等を挙げることができる。 本発明の糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤は、上記有効成分を0.00001〜90重量%、より好ましくは0.0001〜70重量%含有することが望ましい。その使用量は、症状、年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対して、注射剤の場合、有効成分量として1日0.1μg〜1g、経口剤の場合1μg〜10g、貼付剤の場合1μg〜10gであり、それぞれ1回又は数回に分けて投与することができる。 また、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩は、その他の糖尿病治療薬、「インスリン抵抗性」を伴う疾患の改善薬、肥満症治療薬、脂質異常症治療薬、メタボリックシンドローム治療薬(以下、併用薬と略す)と組み合わせて用いることができる。この際、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩と併用薬との投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩と併用薬との配合比は、投与対象、投与ルート、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。 その際の併用薬としては、インスリン製剤(超速効型インスリン製剤、速効型インスリン製剤、混合型インスリン製剤、中間型インスリン製剤、持続型インスリン製剤、持効型溶解インスリン製剤、経肺インスリン製剤、経口インスリン製剤等)、インスリン抵抗性改善薬(ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、ネトグリタゾン(netoglitazon)、ファルグリタザール(farglitazar)、リボグリタゾン(rivoglitazone)、バラグリタゾン(balaglitazone)等)、α−グルコシダーゼ阻害薬(アカルボース(acarbose)、ボグリボース(voglibose)、ミグリトール(miglitol)、エミグリテート(emiglitate)等)、ビグアナイド剤(メトホルミン(metformin)、ブホルミン(buformin)等)、スルホニルウレア剤(トルブタミド(tolbutamide)、アセトヘキサミド(acetohexamide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、トラザミド(tolazamide)、グリクロピラミド(glyclopyramide)、グリブゾール(glybuzole)、グリベンクラミド(glibenclamide)、グリクラジド(gliclazide)、グリメピリド(glimepiride)、グリピジド(glipizide)、グリキドン(gliquidone)等)、速効型インスリン分泌促進薬(ナテグリニド(nateglinide)、レパグリニド(repaglinide)、ミチグリニド(mitiglinide)等)、GLP−1作動薬(エクセナチド(exenatide)、リラグルチド(liraglutide)等)、アミリン作動薬(プラムリンチド(pramlintide)等)、DPP−IV阻害薬(ビルダグリプチン(vildagliptin)、シタグリプチン(sitagliptin)、サクサグリプチン(saxagliptin)、アログリプチン(alogliptin)、デナグリプチン(denagliptin)等)、アドレナリンβ3作動薬(ソラベグロン(solabegron)、KRP−204、YM−178等)、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害薬(MB−6322、MB−07803等)、SGLT(sodium−dependent renal glucose transporter)阻害薬(セルグリフロジン(sergliflozin)、AVE−2268、GSK−189075、TS−033、KGA−2727、SAR−7226等)、11β−HSD1阻害薬(BVT−3498、AMG−221、INCB−13739、INCB−20817等)、PTP−1B(protein tyrosine phosphatase−1B)阻害薬(ISIS−113715、JTT−551等)、GSK3β(glycogen synthase kinase 3β)阻害薬(SAR−502250等)、グルカゴン拮抗薬(BAY−27−9955、NN−2501等)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬(イソファゴミン(Isofagomine)、PSN−357等)、CPT1(カルニチン O−パルミトイルトランスフェラーゼ1)阻害薬(テグリカール(teglicar)等)、グルココルチコイド拮抗薬(ミフェプリストン(mifepristone)、KB−3305等)、HMG−CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチン(pravastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)等)、陰イオン交換樹脂(コレスチラミン(colestyramine)、コレスチミド(colestimide)等)、フィブラート系薬(クロフィブラート(clofibrate)、クリノフィブラート(clinofibrate)、ベザフィブラート(bezafibrate)、フェノフィブラート(fenofibrete)等)、ニコチン酸系薬(ニコチン酸トコフェロール(tocopherol nicotinate)、CB1(カンナビノイド1)拮抗薬(リモナバント(rimonabant)、スリナバント(surinabant)、MK−0364、AVE−1625等)、リパーゼ阻害剤(オルリスタット(orlistat)等)、中枢性食欲抑制剤(マジンドール(mazindol)、フェンフルラミン(fenfluramine)、デクスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、シブトラミン(sibutramine)、フェンターミン(phentermine)等)等が挙げられる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。(参考例1)N−(5−((1R,2S)−2−アミノ−1−ヒドロキシプロピル)−2−ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド(3): WO2005/040093参考例1記載の方法に従って合成したアミン誘導体(2)(195mg,0.556mmol)のメタノール溶液(6mL)に、10%パラジウム/炭素(60mg)を加え、水素雰囲気下、室温で2.5時間撹拌した。反応混合物を濾過し、続いて濾液を濃縮して、目的のアミン(3)を褐色固体として得た(153mg)。目的のアミン(3)は精製することなく次の反応に使用した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ(ppm) : 1.15 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 2.97 (s, 3H), 3.46 (m, 1H), 4.85 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.14 (dd, J = 2.2, 8.3 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 2.2 Hz, 1H) (実施例1)N−(5−((1R,2S)−2−(3,5−ジメトキシベンジルアミノ)−1−ヒドロキシプロピル)−2−ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド(4): アミン(3)(363mg,1.39mmol)、3,5−ジメトキシベンズアルデヒド(301mg,1.81mmol)のメタノール溶液(10mL)に、40℃でボラン−ピリジン錯体(445μL,4.18mmol)を加え、2時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加えた後、混合溶媒(酢酸エチル:メタノール=10:1)で抽出し、続いて有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮後、得られた粗生成物をアミンシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=7:1)で精製し、目的のアミン(4)を淡黄色固体として得た(329mg,収率57%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ(ppm) : 1.11 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.83 (m, 1H), 2.89 (s, 3H), 3.61 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.73 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.73 (s, 6H), 4.48 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.34 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 6.37 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.99 (dd, J = 2.0, 8.0 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 2.0 Hz, 1H) 得られたアミン(4)(47mg,0.11mmol)のジオキサン溶液(1mL)に4規定塩化水素ジオキサン溶液(0.04mL)を加え、続いて凍結乾燥することでアミン(4)の塩酸塩を白色固体として得た(27mg,収率55%)。1H NMR (400 MHz, DMSOd6) δ(ppm) : 1.00 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 2.91 (s, 3H), 3.23 (m, 1H), 3.76 (s, 6H), 4.18 (m, 2H), 5.13 (br, 1H), 6.03 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 6.51 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.99 (dd, J = 2.0, 8.0 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.78 (s, 1H), 9.10 (br, 1H), 9.19 (br, 1H), 10.00 (s, 1H) (実施例2)N−(5−((1R,2S)−2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)−1−ヒドロキシプロピル)−2−ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド(5): アミン(3)(107mg,0.41mmol)、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(90μL,0.54mmol)のメタノール溶液(4mL)に、40℃でボラン−ピリジン錯体(130μL,1.24mmol)を加え、1.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加えた後、混合溶媒(酢酸エチル:メタノール=10:1)で抽出し、続いて有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮後、得られた粗生成物をアミンシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=7:1)で精製し、目的のアミン(5)を白色固体として得た(132mg,収率66%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ(ppm) : 1.07 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.80 (m, 1H), 2.90 (s, 3H), 3.87 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.95 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 2.0, 8.0 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.81 (brs, 1H), 7.89 (brs, 2H) (実施例3)N−(5−((1R,2S)−2−(3,5−ジクロロベンジルアミノ)−1−ヒドロキシプロピル)−2−ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド(6): アミン(3)(105mg,0.40mmol)、3,5−ジクロロベンズアルデヒド(95mg,0.52mmol)のメタノール溶液(4mL)に、40℃でボラン−ピリジン錯体(130μL,1.21mmol)を加え、1.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加えた後、混合溶媒(酢酸エチル:メタノール=10:1)で抽出し、続いて有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮後、得られた粗生成物をアミンシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=7:1)で精製し、目的のアミン(6)を白色固体として得た(76mg,収率45%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ(ppm) : 1.07 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.76 (m, 1H), 2.91 (s, 3H), 3.67 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 2.0, 8.4 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 7.29 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 2.0 Hz, 1H) (実施例4)N−(2−ヒドロキシ−5−((1R,2S)−1−ヒドロキシ−2−(3,4,5−トリメトキシベンジルアミノ)プロピル)フェニル)メタンスルホンアミド(7): アミン(3)(111mg,0.43mmol)、3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド(111mg,0.55mmol)のメタノール溶液(4mL)に、40℃でボラン−ピリジン錯体(135μL,1.28mmol)を加え、1.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加えた後、混合溶媒(酢酸エチル:メタノール=10:1)で抽出し、続いて有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮後、得られた粗生成物をアミンシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=7:1)で精製し、目的のアミン(7)を白色固体として得た(67mg,収率36%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ(ppm) : 1.12 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.82 (m, 1H), 2.89 (s, 3H), 3.61 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.72 (s, 3H), 3.73 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.80 (s, 6H), 4.46 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.52 (s, 2H), 6.84 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.99 (dd, J = 2.0, 8.4 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 2.0 Hz, 1H) (実施例5)N−(5−((1R,2S)−2−(3,5−ジメチルベンジルアミノ)−1−ヒドロキシプロピル)−2−ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド(8): アミン(3)(131mg,0.50mmol)、3,5−ジメチルベンズアルデヒド(90μL,0.65mmol)のメタノール溶液(5mL)に、40℃でボラン−ピリジン錯体(160μL,1.50mmol)を加え、1.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加えた後、混合溶媒(酢酸エチル:メタノール=10:1)で抽出し、続いて有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮後、得られた粗生成物をアミンシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=7:1)で精製し、目的のアミン(8)を白色固体として得た(62mg,収率33%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ(ppm) : 1.10 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.25 (s, 6H), 2.82 (m, 1H), 2.88 (s, 3H), 3.60 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.73 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.79 (brs, 2H), 6.84 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.87 (brs, 1H), 6.98 (dd, J = 2.0, 8.4 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 2.0 Hz, 1H) (実施例6)N−(5−((1R,2S)−2−(3,5−ジエトキシベンジルアミノ)−1−ヒドロキシプロピル)−2−ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド(9): アミン(3)(127mg,0.486mmol)、3,5−ジエトキシベンズアルデヒド(123mg,0.632mmol)のメタノール溶液(3.3mL)に、40℃でボラン−ピリジン錯体(155μL,1.46mmol)を加え、2.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加えた後、混合溶媒(酢酸エチル:メタノール=10:1)で抽出し、続いて有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥、濃縮後、得られた粗生成物をアミンシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=7:1)で精製し、目的のアミン(9)を黄色固体として得た(114mg,収率54%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ(ppm) : 1.14 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.39 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 2.88 (m, 1H), 2.93 (s, 3H), 3.63 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.99 (q, J = 7.1 Hz, 4H), 4.52 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 6.35 (t, J = 2.0 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 6.88 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 2.0, 8.3 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.0 Hz, 1H) (実施例7)ヒトアドレナリンβ受容体に対する作動性評価:1.試験方法 ChaudhryとGrannemanの文献(J. Pharmacol. Exp. Ther.、1994年、271巻、p.1253)又はMichelらの文献(Naunyn−Schmiedeberg’s Arch. Pharmacol.、2004年、369巻、p.151)に記載の方法に準じ行った。ヒトアドレナリンβ3受容体作動性は、SK−N−MC細胞を用い、アドレナリンβ1受容体選択的拮抗薬(CGP−20712A,1μM)存在下にて評価した。ヒトアドレナリンβ2及びβ1受容体作動性評価は、CHO−K1細胞に受容体を強制発現させた細胞を用いて評価した。いずれも、作動性評価にはcAMPの産生量の変化を指標としたAlphaScreen cAMP Detection Kit(6760625、PerkinElmer)を用いた。各種細胞を培養フラスコにて培養し、試験当日にEDTA/PBS処理により剥離・回収し、細胞数が10,000cells/wellとなるように刺激バッファー(0.1%BSA、500μM IBMX、5mM HEPES、HBSS、pH7.4)にて希釈した。384−well plate(Opti plate New、#6007290、PerkinElmer)に5μLずつ標準液(cAMP)又は、実施例化合物溶液を最終濃度(10−10〜10−4M)となるように加え、続いて5μLのAnti−cAMP acceptor beads又は、細胞/Anti−cAMP acceptor beads混合液を添加し、37℃、暗所にて30分間反応させた。反応終了後、溶解バッファー(0.1%BSA、0.3% Tween−20、5mM HEPES、pH7.4)にて調製したbiotinylated−cAMP/streptavidin donor beadsを15μLずつ添加し、室温、暗所にて60分間反応させた後、Fusionα(Packard BioScience)にてAlphaScreen signals(cps)を測定した。データ処理は、先ず、Isoproterenolにより産生された最大cAMP量を100%としたときの各実施例化合物の反応率を算出し、さらに直線回帰からpEC50値(50%反応濃度の負の常用対数)を算出した。なお、実施例化合物は最高濃度にて反応が50%に満たない場合にはn.d.(not detected)とし、また、実施例化合物の反応が、一部の実験において50%に満たない場合は、pEC50値が算出できた例の平均値を実施例化合物のpEC50値とした。2.結果 実施例1〜5の化合物は、いずれもヒトアドレナリンβ3受容体への作動性を有することが示された(表3)。 さらに、実施例1〜5の化合物は、いずれもアドレナリンβ3受容体選択性に優れており、類似の性質を有すると考えられた。 n.d.:10μMで検出せず(実施例8)2型糖尿病モデルマウス(KK/Ayマウス)を用いた薬効評価:1.試験方法 5週齢KK/Ay系雄性マウス(日本クレア株式会社)を購入し、入荷日以降、繁殖用飼料CMF(オリエンタル酵母)を給餌して3週間以上飼育した後に使用した。実施例1の化合物は、生理食塩液を用い2mg/mLに溶解・調製し、ディスポーサブルシリンジ(テルモ)及び26G注射針(テルモ)を用いて5mL/kgの容量で皮下投与した。なお、溶媒群としては生理食塩液を投与した。投与開始をday−0としてday−13まで1日1回投与し、day−13に、尾静脈をメス(ディスポーザブル スカルペル、FEATHER)でカットし、簡易型血糖測定装置(メディセンス・プレシジョンエクシード、アボットジャパン)で血糖値を測定した。得られた個別データの統計学的処理は、2群の検定(対応のないt−検定)により行った。2.結果 実施例1の化合物は、溶媒群と比べ、血糖値を有意に低下させた(表4)。この結果は、実施例1の化合物が、2型糖尿病に対して有効であることを示している。 **p<0.01 vs 溶媒投与群(対応のないt−検定)(実施例9)糖尿病・肥満モデルマウス(DIOマウス)を用いた薬効評価:1.試験方法 生後4週齢から60%脂肪を含む固形飼料(D12492、リサーチダイエット社)で飼育されたC57BL/6Jマウス(雄性、日本チャールス・リバー、13週齢)を購入し、入荷時からD12492を給餌された16週齢マウスを使用した。なお正常群としては、入荷時から正常食を給餌した、16週齢のC57BL/6Jマウスを使用した。実施例1の化合物は、生理食塩液を用い2mg/mL及び0.6mg/mLに溶解・調製し、ディスポーサブルシリンジ(テルモ)及び26G注射針(テルモ)を用い5mL/kgの容量で皮下投与した。なお、溶媒群としては生理食塩液を投与した。投与開始をday−0としてday−26まで1日1回投与した。day−26には、体重測定行い、また、尾静脈をメス(ディスポーザブル スカルペル、FEATHER)でカットし簡易型血糖測定装置(メディセンス・プレシジョンエクシード、アボットジャパン)で、血糖値を測定した。 また、ヘパリン処理キャピラリー管(Hematokrit Kapilaren、75μL、HIRSCMANN LABORGERATE)を用いて同箇所より採血(約70μL)を行い、採取した血液はヘマトクリット遠心機(KUBOTA3100、久保田製作所)を用いて遠心分離(12,000rpm、7min、4℃)し、その血漿をエッペンドルフチューブに入れ冷凍保存し、後日、トリグリセリドの測定に用いた。トリグリセリドの測定は、トリグリセライドE−テストワコー(和光純薬工業)を用いた。発色液250μLにサンプルを4μL添加し、37℃で1時間反応後、吸光度(595nm)をマイクロプレートリーダー(Bio−Radモデル680)を用いて測定した。また、day−27には、インスリントレランス試験(ITT)を実施した。 マウスはday−26の薬物投与後、絶食ケージにて一晩絶食した。ITT実施日(day−27)の午前中にday−26における血糖測定時と同様の方法で空腹時血糖値の測定をした。同日の午後には、再度血糖値を測定し、その直後にインスリン溶液を腹腔内投与(0.3unit/5mL/kg)し、以後インスリン投与後30、60、120及び180分時点における血糖値の測定を行った。なお、インスリン溶液は100unit/mLの溶液(ヒューマリンR注、イーライ・リリー社)を0.1%BSA含有生理食塩水で0.06unit/mLに調製した。 また、インスリンの測定にはインスリン測定キット(レビス・インスリン−マウスU、シバヤギ)を用いた。最終的には空腹時血糖及び空腹時インスリン値からHOMA−IRも算出した。また、ITT終了後には、マウスの精巣周囲脂肪重量も測定した。なお、得られた個別データの統計学的処理に関して、2群の検定(対応のないt−検定)又は、多重比較検定(パラメトリックWilliams検定)を用いた。2.結果(1)糖尿病治療効果 軽度の2型糖尿病モデルとして知られるDIOマウスに対しても実施例1の化合物は、溶媒群と比べ、有意な血糖低下作用を示した(表5)。 ##p<0.01 vs 正常マウスの溶媒投与群(対応のないt−検定)、*p<0.05 vs DIOマウスの溶媒投与群(パラメトリックWilliams検定)(2)肥満治療効果 実施例1の化合物投与群は、溶媒群と比べ、体重増加を有意に抑制した。また、内臓脂肪パラメータの一つとして知られる精巣周囲脂肪重量に対しても有意な減少作用を示した(表6)。以上の結果は、実施例1の化合物が、肥満症に対して有効であることを示している。 ###p<0.001 vs 正常マウスの溶媒投与群(対応のないt−検定)、*p<0.05、**p<0.01 vs DIOマウスの溶媒投与群(パラメトリックWilliams検定)(3)インスリントレランス試験(ITT) 実施例1の化合物投与群は、溶媒群と比べ、血糖値を有意に低下させた(図1)。本結果は、実施例1の化合物が、「インスリン抵抗性」を伴う疾患に対して有効であることを示している。(4)脂質異常症治療効果 実施例1の化合物投与群は、溶媒投与群と比べ、血漿中トリグリセリド(TG)を有意に低下させた(表7)。以上の結果は、実施例1の化合物が、脂質異常症に対して有効であることを示している。 *p<0.05 vs 溶媒投与群(パラメトリックWilliams検定) 以上、本発明の実施例8及び9から、実施例1の化合物に代表される一般式(I)で表されるベンジルアミン誘導体は、糖尿病のみならず、肥満症、脂質異常症に対しても治療効果を有することを示すことが分かった。また、血糖低下作用、TG低下作用及び肥満治療効果(脂肪重量減少及び体重減少作用)が認められていることから、メタボリックシンドロームに対しても治療効果を有することが示された。(実施例10)覚醒下ラット循環器系に対する作用の評価:1.試験方法 7週齢のSD系雄性ラット(日本チャールス・リバー株式会社)を購入し、8週齢で試験に用いた。ラットをペントバルビタール60mg/kgの腹腔内投与により麻酔した後、背部中央部及び大腿部を切開して、背部より大腿部にポリウレタンチューブ(BC−3.5P、米国アクセス・テクノロジー)を接続したポリエチレンチューブ(SP−31、株式会社夏目製作所)を通して、大腿動脈にポリエチレンチューブを挿入し結紮した。大腿部を縫合後、ポリエチレンチューブを通したフレキシブルステンレス管を背部皮膚に縫いつけて固定した。尚、ポリエチレンチューブとポリウレタンチューブ内には血液凝固防止のために100IU〜200IU/mLのヘパリンを満たした。手術終了後は金網5連ケージに戻して飼育した。翌日、覚醒したラットを発泡スチロールに入れた金網ケージに入れ、背部のポリウレタンチューブに取り付けた3方活栓と血圧モニタリング用ライフキット(DX−360、日本光電工業株式会社)に取り付けた血圧測定用チューブに接続した。 ラットの心拍数は、血圧モニタリング用ライフキットに接続した血圧アンプ(AP−641G、日本光電工業株式会社)から得られる脈波を瞬時心拍計ユニット(AT−601T、日本光電工業株式会社)に誘導することで取得した。心拍数の記録は、ポリグラフ(RM−6000、日本光電工業株式会社)を用いてサーマルマルチレコーダー(RIA−1300A、日本光電工業株式会社)のチャート紙上に行った。 そして、ラットの心拍数が安定したことを確認したのち、予め皮下に通したチューブに取り付けた針より、溶媒投与群には1mL/kgの容量で生理食塩液(溶媒)を、実施例1の化合物投与群には実施例1の化合物の1mg/mL生理食塩液溶液を1mL/kgの容量で投与し、それぞれの投与時刻を試験開始時刻とした。さらに、溶媒投与群には試験開始時刻から30分間隔で、1mL/kgずつの生理食塩液を投与し、一方の実施例1の化合物投与群には試験開始時刻から30分間隔で、実施例1の化合物の3mg/mL及び10mg/mL生理食塩液溶液を1mL/kgずつ投与し、その後の心拍数の変動を観察した。なお、得られた個別データの統計学的処理は、各時点において溶媒投与群に対する実施例1の化合物投与群との比較を2群の検定(対応のないt−検定)により行った。2.結果 実施例1の化合物は、溶媒と同様にラット心拍数に影響しなかった(図2)。以上の結果は、実施例1の化合物が、循環器系心拍数に対し影響を及ぼす懸念が極めて低い可能性を示している。(実施例11)麻酔イヌ心電図に対する作用の評価:1.試験方法 11ヶ月齢の雌雄ビーグル犬を1頭ずつ試験に用いた。ビーグル犬をチオペンタールナトリウム25mg/kgを静脈内投与で導入麻酔し,酸素・笑気ガス(1:1)によるイソフルラン吸入麻酔下で仰臥位に固定した。人工呼吸の条件は20mL/kg、15回/分とした。心電図は四肢に針電極を装着し、動物用心電図解析装置(α6000AX−D、フクダエム・イー工業株式会社)を用いて双極肢誘導(I,II,III)及び増高単極肢誘導(aVR,aVL,aVF)を記録し、QT間隔を計測した。 また、QTc値は、Fridericia式:QTc=QT/3√(R−R)から算出した。また、実験中の心電波形における不整脈の有無を観察するために、長時間心電図解析装置(HS1000システム,フクダエム・イー工業株式会社)を用いスモールメモリーカードより圧縮心電図をプリントアウトした。実施例1の化合物は、生理食塩液を用い12mg/mL、4mg/mL及び1.2mg/mLに溶解・調製した。電図が安定したことを確認したのち、予め前腕橈側皮静脈に留置した留置針(22G)より行い、自動注入器(ハーバードデジタルインフュージョンポンプMODEL−22、HARVARD APPAPATUS)を用いて10分間で投与した。 投与は、まず溶媒(生理食塩液)を0.5mL/kgの容量で投与し、35分後に実施例1の化合物の1.2mg/mL生理食塩液溶液を0.5mL/kgの容量で投与した。さらに当該投与から65分間隔で、実施例1の化合物4mg/mL及び12mg/mL生理食塩液溶液を0.5mL/kgの容量で累積的に投与した。なお、QT間隔及びQTc値の測定ポイントは上記各投与につき投与開始5分前、投与開始直前、さらに投与開始から5、10、15分後及び30分後とした。このため、前回投与開始から30分後又は60分後の測定値は、次の用量の投与開始5分前の測定値に相当することとなる。2.結果 実施例1の化合物は、何れの用量においてもQT間隔延長を引き起こすことはなく、また、何れの用量においても心電図波形における不整脈は観察されなかった(表8)。 以上、本発明の実施例10及び11から、実施例1の化合物に代表される一般式(I)で表されるベンジルアミン誘導体は、従来のアドレナリンβ3受容体作動薬において懸念されていた心拍数の上昇及びQT延長等の循環器系副作用を引き起こす可能性が極めて低いことを示している。 本発明の新規なベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩は、それらを有効成分とする医薬、特に、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤として利用できる。 一般式(I)[式中、R1は、炭素数1〜6のアルキル、R2は、炭素数1〜6のアルキル、R3及びR5は、それぞれ独立してハロゲン、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル又は炭素数1〜6のアルコキシ、R4は、水素又は炭素数1〜6のアルコキシである。]で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤。 R1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はtert−ブチルであり、 R2は、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルである、請求項1記載の治療剤又は予防剤。 R3及びR5は、それぞれ独立して、メチル、エチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ又はクロロであり、 R4は、水素、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシである、請求項1又は2記載の治療剤又は予防剤。 R2は、メチルであり、 R3及びR5は、それぞれ独立して、メチル、エチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ又はクロロであり、 R4は、水素、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシである、請求項1〜3のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。 R1及びR2は、メチルであり、 R3及びR5は、それぞれ独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はクロロであり、 R4は、水素又はメトキシである、請求項1〜4のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。 R1及びR2は、メチルであり、 R3及びR5は、同時に、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ又はクロロであり、 R4は、水素である、請求項1〜5のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。 請求項1〜6のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤の有効量を投与することを含む、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療方法又は予防方法。 糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームを治療又は予防するための医薬の製造における、一般式(I)で示されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩の使用。 本発明は、低用量で顕著な薬効を発揮し、循環器系の副作用である心拍数上昇作用やQT間隔延長作用がない糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤を提供することを目的としている。本発明は、下式に代表されるベンジルアミン誘導体又はその薬学的に許容される酸付加塩を含有する、糖尿病、肥満症、脂質異常症若しくはメタボリックシンドロームの治療剤又は予防剤を提供する。


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