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タイトル:公開特許公報(A)_亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置
出願番号:2009058502
年次:2010
IPC分類:C12Q 1/26,C12M 1/34,C12N 9/06


特許情報キャッシュ

上野 嘉之 北島 洋二 多田羅 昌浩 早出 広司 JP 2010207164 公開特許公報(A) 20100924 2009058502 20090311 亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置 鹿島建設株式会社 000001373 長谷川 芳樹 100088155 黒木 義樹 100113435 上野 嘉之 北島 洋二 多田羅 昌浩 早出 広司 C12Q 1/26 20060101AFI20100827BHJP C12M 1/34 20060101ALI20100827BHJP C12N 9/06 20060101ALN20100827BHJP JPC12Q1/26C12M1/34 EC12N9/06 Z 6 OL 17 4B029 4B050 4B063 4B029AA07 4B029FA13 4B050CC03 4B050DD02 4B050EE10 4B050FF05E 4B050FF11E 4B050LL03 4B063QA01 4B063QQ22 4B063QQ61 4B063QQ89 4B063QR02 4B063QR41 4B063QR50 本発明は、亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置に関する。 亜酸化窒素(N2O)は、一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO2)と同様に窒素酸化物の一種であるが、麻酔作用を有するため、吸入麻酔剤として医療現場で使用され、人体に対してはほとんど無害の気体である。 しかしながら、亜酸化窒素の温暖化係数は二酸化炭素の約310倍であり、京都議定書で指定された温室効果ガスに占める亜酸化窒素の割合は約1.9%と少ないものの、その地球温暖化への寄与率は高い。亜酸化窒素の主な発生源は農用地、化石燃料燃焼、家畜排泄物管理、廃棄物焼却場であるが、全体の約50%は農業関係である(非特許文献1)。温暖化防止のためにその削減が求められているが、発生源が水田等の農耕地、家畜排泄物、肥料施肥等多岐にわたり、さらに簡便な測定技術がないために、適切な管理が困難な状況になっている。 亜酸化窒素の濃度は、フーリエ変換赤外分光計(FTIR)、非分散型赤外線分析法(NDIR)、及び、ガスクロマトグラフで測定するのが一般的である。亜酸化窒素は、発生源では比較的高濃度で存在するが、大気中の濃度は約314ppbと極めて希薄である。そのため、発生源付近での測定や低濃度の亜酸化窒素の測定を可能とする測定技術の開発が求められているが、溶液系での滴定による分析やガス検知管等の簡易・安価かつ迅速に定量する方法がないのが現状である。 近年では、デンマークの研究グループが、亜酸化窒素を電気化学的に検出するセンサを開発し、亜酸化窒素の濃度を測定できることを報告している(非特許文献2)。このセンサは、金電極を用いて、−1V vs.Ag/AgClの還元電位で亜酸化窒素を計測するものである。 亜酸化窒素を基質とする酵素としては亜酸化窒素還元酵素(NOS)が報告されている。例えば、Pseudomonas stutzeri、Pseudomonas aeruginosa、Paracoccus denitrificans由来のNOSが研究されている。初期の研究段階においてはParacoccus属を中心に論文が多く報告されている。近年、Wolinella succinogenesという細菌に由来する亜酸化窒素が報告されている(非特許文献3)。NOSの活性測定にはこれまで還元型メチルビオロゲン(MV)、還元型ベンジルビオロゲン(BV)等の色素が人工電子供与体として用いられ、亜酸化窒素の還元反応が解析されてきた。日本国温室効果ガスインベントリ報告書、温室効果ガスインベントリオフィス編、環境省地球環境局地球温暖化対策課監修、ISSN 1341−4356、CGER−I085−2008Nielsら、Appl. Environ. Microbiol.、1988年、54巻、p.2245−2249Teraguchi and Hollocher,J.Biol.Chem.、1989年、264巻、p.1972−1979 しかしながら、上記の非特許文献2に記載された亜酸化窒素を電気化学的に検出するセンサは、電極反応に選択性がなく、測定時に酸素が存在すると酸素に対しても同時に反応してしまうという問題点を有していた。また、これまでに亜酸化窒素のバイオセンサに関する報告はなかったため、亜酸化窒素の濃度を正確に測定するには、測定試料をサンプリングし、ガスクロマトグラフが設置してある測定室まで測定試料を持ち帰る必要があった。 亜酸化窒素を基質とする酵素を応用した亜酸化窒素の測定系の開発に際しては、人工電子供与体の安定性の観点から実用化が困難であった。すなわち、人工電子供与体として用いられている還元型のメチルビオロゲン(MV)及びベンジルビオロゲン(BV)は、酸化還元電位が−400mV(vs.標準水素電極(SHE))と低く、極めて還元力が強い。よって、これらの人工電子供与体は、大気中では即座に空気酸化されてしまうことから、嫌気状態での使用に限られ、大気中の亜酸化窒素の測定に適用することが事実上不可能であった。したがって、このような電子供与体を用いる亜酸化窒素の酵素分析法は汎用性がないことから、これまでNOSを用いる溶液系での亜酸化窒素の分析方法や検知管等の分析方法に関する報告はなかった。 そこで本発明は、大型の分析装置を用いることなく、酸素存在下においても特異的、かつ、高感度に亜酸化窒素の濃度を測定できる亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究した結果、ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)由来の亜酸化窒素還元酵素が、従来の人工電子供与体よりも還元力の弱い電子供与体を電子メディエータ(第一電子メディエータ)として利用できることを見出した。さらに、本発明者は、第一電子メディエータへの電子供与体として、酸化型−還元型間で光学的特性が変化する第二電子メディエータを用いることにより、酸素存在下においても安定な酸化型の第二電子メディエータを指標として亜酸化窒素の濃度を測定することに成功した。以上の知見から、本発明者らは本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、 Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる工程と、 上記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、上記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する工程と、を備え、 上記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 上記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 上記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定方法を提供する。 Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素は、酸素耐性が非常に高く、空気中に放置しても酵素活性が消失しない。また、第一電子メディエータとして、従来の人工電子供与体よりも還元力の弱いものを採用することが可能となり、よって、分析中に還元型の人工電子供与体が空気中の酸素により酸化されてしまうという酸素感受性をより低減することができる。さらに第一電子メディエータを還元するための還元型の第二電子メディエータは、酸素存在下においても安定であるため、安定した測定が可能となる。したがって、上記亜酸化窒素の測定方法によれば、酸素存在下でも、特異的かつ高感度に亜酸化窒素を測定することができる。 本発明は、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素と、酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEである第一電子メディエータと、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元される第二電子メディエータと、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤と、を備える、亜酸化窒素の測定キットを提供する。 また、本発明は、 所定量の被検試料を取り入れる手段と、 Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる手段と、 上記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、上記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する手段と、を備え、 上記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 上記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 上記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定装置を提供する。 上記亜酸化窒素の測定方法、測定キット又は測定装置に用いる第一電子メディエータは、フェナジンメトサルフェート(PMS)、1−メトキシフェナジンメトサルフェート(mPMS)、トルイレンブルー、チオニン、フェナジンエトサルフェート、ナフトキノン等であることが好ましい。 上記亜酸化窒素の測定方法、測定キット又は測定装置に用いる第二電子メディエータは、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)、o−クレゾールインド−2,6−ジクロロフェノール、2,3’,6−トリクロロインドフェノール等のインドフェノール化合物、フェノールブルー等であることが好ましい。 上記亜酸化窒素の測定方法、測定キット又は測定装置に用いる還元剤は、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤であり、アスコルビン酸であることが好ましい。 本発明の亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置によれば、大型の分析装置を用いることなく、酸素存在下においても特異的、かつ、高感度に亜酸化窒素の濃度を測定できる。本発明の亜酸化窒素の測定装置によれば、安定性と耐久性とを備えた小型測定装置の構築が可能となる。したがって、大型の分析装置を用いる必要がなく、野外においてもリアルタイムで亜酸化窒素の濃度の測定が可能な、簡易・安価かつ迅速に亜酸化窒素を測定できる亜酸化窒素の測定装置を提供することができる。本発明の亜酸化窒素測定の原理を説明する反応式。本発明の一実施形態に係る亜酸化窒素測定装置を示す略断面図。本発明の一実施形態に係る亜酸化窒素測定装置を示す略断面図。水溶性画分を用いたSDS−PAGEの結果を示す図。陽イオン交換カラムに吸着した成分の溶出プロファイルを示すクロマトグラム。図中、UVは溶出溶液の280nm吸光度、Concは溶出溶媒中のB液の割合(%、計算値)、CondはB液の電気伝導度を100%としたときの相対電気伝導度(%)、数字1〜37は各溶出画分の番号をそれぞれ示す。溶出画分を用いたSDS−PAGEの結果を示す図。亜酸化窒素の還元反応に伴う吸光度600nmの経時変化を示すグラフ。亜酸化窒素の測定結果を示すグラフ。 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。(亜酸化窒素の測定原理) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置は、(1)Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素と、(2)酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEである第一電子メディエータと、(3)第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元される第二電子メディエータと、(4)第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤と、を用いることを特徴とする。以下に、亜酸化窒素の測定原理について説明する。 図1は、本発明の一実施形態に係る亜酸化窒素測定の原理を説明する反応式である。第一電子メディエータ及び第二電子メディエータとして、それぞれフェナジンメトサルフェート(PMS)及び2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)を用いた実施形態において、図1に示す反応の通り、NOSによる亜酸化窒素の還元反応によって、無色の還元型DCIPから青色の酸化型DCIPが生成する。このDCIPの発色変化を指標として亜酸化窒素を測定することができる。 従来行われている亜酸化窒素を還元する酵素の活性測定では、電子供与体として還元型メチルビオロゲン(MV)、還元型ベンジルビオロゲン(BV)等の酸化還元電位−400mV(vs.SHE)程度の極めて還元力の高い電子供与体が実験に用いられている。還元型MVや還元型BVを電子供与体として用いることにより、これらの色素の発色変化を指標として、酵素活性又は基質である亜酸化窒素を計測することができる。しかしながら、還元型のMV及びBVは大変不安定であり、空気雰囲気下では即座に酸化されることから、嫌気状態での使用に限られ、大気中の亜酸化窒素の測定に適用することが事実上不可能であった。このように、NOSの人工電子供与体として従来知られているMV又はBVを用いる亜酸化窒素計測方法は実用化されていない。 一方、酵素の酸化反応又は脱水素酵素反応の電子受容体として、PMS及びDCIPが用いられている。この反応において、PMSが酸化酵素又は脱水素酵素反応の第一電子受容体として機能し、さらに第二電子受容体であるDCIPに電子を伝達する。このPMSを介した電子伝達反応により、青色の酸化型DCIPから無色の還元型DCIPが生成し、この発色変化を指標として酵素反応速度を評価できる。この原理に基づき、酸化酵素又は脱水素酵素の基質濃度を定量できる。PMS及びDCIPが酸化反応及び脱水素酵素反応の吸光計測に用いることができる理由としては、PMSが酵素反応の電子受容体として機能し得ること、さらに生成される還元型のDCIPが大気中で自動酸化を受けず安定であることが挙げられる。 しかしながら、酸化酵素又は脱水素酵素の電子受容体として用いられている電子メディエータが亜酸化窒素還元酵素の電子供与体として機能することは、これまでに報告されていない。その理由としては、MV及びBVの酸化還元電位(約−400mV vs.SHE)に対して、PMS及びDCIPの酸化還元電位(それぞれ+80mV vs.SHE及び+217mV vs.SHE)が高いことが挙げられる。つまり、酸化酵素又は脱水素酵素の電子受容体として用いられている電子メディエータは、MV及びBVよりも還元力が低く、亜酸化窒素を還元するためのエネルギーが不足しているためと考えられる。(亜酸化窒素の測定方法) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定方法について説明する。 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定方法は、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる工程と、第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する工程と、を備え、第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である。(亜酸化窒素還元酵素) 本発明で使用されるWolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素は、亜酸化窒素を還元する活性を有し、SDS―ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により測定した分子量が約88±2.0kDaであることが好ましい。上記亜酸化窒素還元酵素は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を含有する亜酸化窒素還元酵素である。本発明の亜酸化窒素還元酵素の具体例としては、Wolinella succinogenes DSMZ1740株が保有する配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する亜酸化窒素還元酵素を例示できる。配列番号1に示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列等が挙げられる。 Wolinella succinogenesは、ルーメン細菌の一種であり、複数の公的機関から入手可能である。例えば、ドイツのDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)や米国のATCC(American Type Culture Collection)から容易に入手できる。 上記の亜酸化窒素還元酵素は、Wolinella succinogenesを培養し、増殖したWolinella succinogenes菌体又は培養中から、酵素活性を指標に精製できる。 具体的には、液体培地にWolinella succinogenesを植菌し、培養中は常に亜酸化窒素を通気しながら、嫌気的条件下、37℃で培養すればよい。Wolinella succinogenesの培養に用いる液体培地としては、例えば、酵母抽出物、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸銅、チオグリコール酸を含み、pHを中性付近に調整した培地が挙げられる。また、上記液体培地に、ニュートリエント培地成分、トリプチカーゼペプトン、ビタミンK1、ヘミン等を加えた栄養培地にWolinella succinogenesを植菌し、嫌気的条件下、37℃で培養してもよい。 亜酸化窒素還元酵素の精製は、培養したWolinella succinogenesの菌体から、当業者であれば公知である常法のタンパク質の精製方法に従って行うことができる。例えば、培養したWolinella succinogenesの菌体をフレンチプレス又は超音波破砕器等で破砕し、遠心分離して得られた上清(亜酸化窒素還元酵素を含む粗酵素溶液)を、イオン交換クロマトグラフィーやハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー等の精製手段で分画することにより、単一酵素として精製できる。 こうして調製されたWolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素は、同酵素の亜酸化窒素還元活性に基づき、電子供与体として還元型第一電子メディエータ及び還元型第二電子メディエータの存在下において、同酵素の基質である亜酸化窒素を還元させ、還元型第二電子メディエータの減少又は酸化型第二電子メディエータの増加量を指標として亜酸化窒素の濃度を測定することを可能にするものである。 本発明の測定に用いる亜酸化窒素還元酵素は、溶液中に溶解されていても、固相に固定化されていても良い。(第一電子メディエータ) 本発明における第一電子メディエータは、上記亜酸化窒素還元酵素の亜酸化窒素還元活性に基づき、亜酸化窒素を還元する電子供与体として機能する電子メディエータである。第一電子メディエータの酸化還元電位(標準水素電極;SHE)は、+0mV〜+150mV vs.SHEであることが好ましく、+30mV〜+120mV vs.SHEであることがより好ましく、+60mV〜+90mV vs.SHE(例えば、+80mV vs.SHE程度)であることが特に好ましい。そのような第一メディエータとして、フェナジンメトサルフェート(PMS、酸化還元電位:+80mV vs.SHE)、1−メトキシフェナジンメトサルフェート(mPMS、+63mV vs.SHE)、トルイレンブルー(+115mV vs.SHE)、チオニン(+64mV vs.SHE)、フェナジンエトサルフェート(+55mV vs.SHE)、ナフトキノン(+36mV vs.SHE)等が好ましく、特に、PMSが好ましい。(第二電子メディエータ) 本発明における第二メディエータは、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で光学的特性が変化する電子メディエータである。第二メディエータの酸化還元電位(標準水素電極;SHE)は、第一電子メディエータよりも100mV〜200mV vs.SHE高いことが好ましく、+100mV〜+350mV vs.SHEであることが好ましく、+150mV〜+300mV vs.SHEであることがより好ましく、+180mV〜+240mV vs.SHE(例えば、+200mV vs.SHE程度)であることが特に好ましい。酸化型−還元型間での光学的特性の変化としては、吸光測定、比色分析、蛍光法等の測定系で検出可能な変化であれば良い。そのような第二メディエータとして、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP、+217mV vs.SHE)、o−クレゾールインド−2,6−ジクロロフェノール(+181mV vs.SHE)、2,3’,6−トリクロロインドフェノール等のインドフェノール化合物、フェノールブルーが例示できる。特に、DCIPが好ましい。(還元剤) 本発明における還元剤は、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である。そのような還元剤として、自らの酸化体が加水分解される化合物が挙げられ、特に、アスコルビン酸が好ましい。アスコルビン酸は、酸化されるとジヒドロアスコルビン酸となり、次いで加水分解により酸化還元性のない2,3−ジケトグロン酸が生成される。(被検試料) 被検試料は、亜酸化窒素が含まれる疑いのある試料であり、具体的な形態は特に制限されず、亜酸化窒素を含む溶液が適宜用いられる。また、亜酸化窒素を含む気体(例えば大気)を試料とする場合には、亜酸化窒素を溶解可能な緩衝液等に試料を通気し、溶液試料とするか、又は、亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤を含む反応試薬に直接、亜酸化窒素を溶解させることにより測定することができる。(亜酸化窒素の測定キット) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定キットは、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素と、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、還元剤とを備える。Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤としては、上述のものを使用することができる。(亜酸化窒素の測定装置) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定装置について詳細に説明する。 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定装置は、所定量の被検試料を取り入れる手段と、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる手段と、第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する手段と、を備え、第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、第二電子メディエータが、酸化型及び還元型の変化により発色が変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である。 図2に本発明の亜酸化窒素の測定装置の一実施形態である亜酸化窒素検知管を示す。本実施形態に係る亜酸化窒素検知管は、被検試料として空気等の気体を取り込むことにより、気体中の亜酸化窒素を測定する。この形態では、透明のガラス管1の内部に検知剤2が装填してある。ガラス管1は例えば、全長130mmで内径はφ4mmのものを使用できる。このガラス管1内において、検知剤2が、二つの気体透過性の栓3aと3bによって位置決められている。検知剤2と各栓3a及び3bの間には、それぞれ非反応性の保護剤4aと4bが介装され、これらの保護剤4aと4bの間に、検知剤2が一定の長さLをもって装填されている。そして、この長さLにわたって、その管の長さ方向に目盛り7が付されている。 管1の両端は溶封してあるが、使用時に開口し、その一端は空気取入口5として、他端は排気口6として用いられる。前記のように、検知剤2は、空気取入口5から排気口6の方向に一定の長さLをもって装填され、空気取入口5の側から被検試料が導入されると、被検試料中の微量の亜酸化窒素が検知剤2の試薬と反応し、その反応に消費された分の長さだけ、空気取入口5に近い方から変色することになる。 検知剤2は、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ及び第二電子メディエータを含む。検知剤2は測定開始直前に、第二電子メディエータを還元するための還元剤を含む溶液と混合され、第二電子メディエータが還元されて測定可能な状態となる。 測定にさいしては、検知管8内に装填された検知剤2に対し、通過する被検試料中の亜酸化窒素の実質的に全てが第一電子メディエータ及び第二電子メディエータと反応して変色を起こし、しかもその変色が、検知剤2の長さ方向に(空気の入側から出側の方向に)、通気量に対応して順序よく起きることが必要である。そして、測定時間中において検知剤2に対して被検試料がまんべんなく検知剤2と接触しつつ流れることが肝要である。すなわち、空気の入側近くに存在する検知剤2が変色せずに、それより下流側に存在する検知剤2が先に変色したり、被検試料中の亜酸化窒素が反応せずに検知剤2を通過したりすると、変色長さで亜酸化窒素濃度を定量することが出来なくなるので、このような現象が起きないように適宜設定する必要がある。 図3は、図2の亜酸化窒素検知管8の排気口6をチャック9に固定し、このチャック9から通気管10を介して吸引ポンプ等の吸引手段11に連結した状態を示しており、吸引手段11の作動により、亜酸化窒素検知管8の空気取入口5から被検試料が亜酸化窒素検知管8内に通気する。通気管10には流量計12が介装されており、チャック9、通気管10、吸引手段11及び流量計12等は、流量積算計やタイマー等(いずれも図示せず)と共に一つのアセンブリ機器13として持ち運び可能にセットすることができる。吸引手段11は、その排気が測定結果に影響を与えように対処してある機器であるのが好ましい。被検試料中の亜酸化窒素濃度に応じて、吸引する被検試料の量を適宜設定することができる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1:亜酸化窒素還元酵素(Nos)の生産・精製(1−1)Wolinella succinogenesの培養 Wolinella succinogenesの培養には、以下の組成からなる培地を用いた。なお、この培地を嫌気条件下で保存及び使用した。 0.8% ニュートリエント培地 0.5% 酵母抽出物 3% トリプチカーゼペプトン 10mM コハク酸二ナトリウム 0.5% リン酸水素二カリウム 0.035% L−システイン 0.0001% レサズリン 0.05% チオグリコール酸ナトリウム 1μM 硫酸銅(II) 0.0005% ヘミン 0.0001% ビタミンK1 100mM ギ酸ナトリウム 100mM 硝酸カリウム Wolinella succinogenes ATCC29543株を、上記培地20mlが入った密封バイアルに植菌し、嫌気条件下、37℃で25時間前培養した。増殖がOD660=0.40程度のところで、この前培養液を0.8mlずつ、嫌気条件下の栄養培地80mlが入った密封バイアル25本に植菌し、37℃で26時間培養した。増殖がOD660=0.3以上において好気的に集菌し、菌体を洗浄した。2Lの培養液からWolinella succinogenes湿菌体2.1gが得られた。(1−2)Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の精製 得られた湿菌体2.1gを5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)7mlで懸濁し、超音波破機を用いて破砕した。菌体破砕液を4℃、10000×g、30分間の遠心分離を2回行い、さらに4℃、86900×gで60分間、超遠心分離して上清を回収した。この上清を5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で一晩透析し、得られた透析溶液を水溶性画分とした。 水溶性画分を用いたSDS−PAGE解析の結果、88kDa付近にNosと考えられるバンドが観察された(図4)。そこで次に、陽イオン交換クロマトグラフィーによりNosの精製を試みた。 陽イオン交換クロマトグラフィー用充填カラムRESOURCE S(GEヘルスケアバイオサイエンス、1mL)を5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で平衡化した後、水溶性画分をカラムに吸着させ、5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)でカラム未吸着成分を洗浄除去した。次に、以下の条件で、カラム容量の20倍量で溶出溶媒がA液100%からB液100%となるようなリニアグラジエントをかけてカラム吸着成分を溶出させ、0.5mLずつ分取し、溶出画分とした。 A液:5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8) B液:0.4M NaCl/5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8) 移動相の流速:1ml/min 検出:280nm 陽イオン交換カラムに吸着した成分の溶出プロファイルを示すクロマトグラムを図5に示す。およそ25%の0.4M NaCl/5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)を流したところで、280nmの吸光度の大きなピークが得られた(溶出画分24及び25)。これらの画分を用いてSDS−PAGE解析を行ったところ、88kDa付近にNosと考えられるメインバンドが観察された(図6)。(1−3)活性測定 水溶性画分及び溶出画分について、以下の方法により亜酸化窒素還元活性を測定した。密封しArガスで置換した分光光度計用セルに、10mM ベンジルビオロゲン15μl、5mM 亜ジチオン酸ナトリウム15μl、標準酵素溶液又は各画分30μl、5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、及び、飽和N2O溶液(25mM)200μlをガスタイトシリンジを用いてこの順に添加し、600nmにおけるベンジルビオロゲンの吸光度変化(△ABS600nm/min)を測定した。ブランクとして、10mM ベンジルビオロゲン15μlの代わりに等量の5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)を添加した試料を用い、この試料により得られた吸光度変化をベースラインとした。 活性測定の結果を表1に示す。水溶性画分の比活性は0.33U/mg protein、溶出画分24及び25を合わせた画分(粗精製画分)の比活性は4.9U/mg proteinであった。以上より、溶出画分24及び25においてメインバンドとして検出される約88kDaのタンパク質が亜酸化窒素還元酵素であることが分かった。また、この亜酸化窒素還元酵素は酸素存在下においても安定であることが分かった。実施例2:亜酸化窒素の測定(2−1) Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤を用い、以下の手順で亜酸化窒素の測定を行った。亜酸化窒素還元酵素としては実施例1で調製したものを使用した。第一電子メディエータとしてフェナジンメトサルフェート、第二電子メディエータとして2、6−ジクロロフェノールインドフェノール、及び、還元剤としてアスコルビン酸を用いた。 活性試薬として、密閉してAr置換したバイアル中で以下の組成物を混合したものを用時調製し、以下の実験に用いた。<試薬組成> 6mM アスコルビン酸 100μl 6mM 2、6−ジクロロフェノールインドフェノール 100μl 6mM フェナジンメトサルフェート 10μl 50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 120μl 密封し、Ar置換した分光セルに、活性試薬50μl、酵素溶液20μl、基質溶液80μlを加えて反応液全量を150μLとし、600nmの吸光度を経時的に測定した。なお、酵素溶液として15mgタンパク質/ml(1.5U/mg)、基質溶液として、N2Oの段階希釈溶液を用いた。具体的には、ブランク(Arバブリングした緩衝液)、25mM N2O(N2Oを緩衝液にバブリングし飽和させたもの)、12μM N2O(Arバブリングした緩衝液10mlに、N2Oバブリングした緩衝液を5μl加えたもの)、250μM N2O(Arバブリングした緩衝液10mlに、N2Oバブリングした緩衝液250μlを加えたもの)を用いた。終濃度2.5mMと12mM N2Oについては、Arバブリング溶液と25mM N2O溶液を分光セルに加えて混合することで調製した。 基質としてN2Oを添加した際の、酸化型DCIPの生成に基づく600nmの吸光度を測定し、その経時変化を図7に示した。また、亜酸化窒素濃度に対する600nmの吸光度の増加速度を図8に示した。600nmの吸光度の増加速度は25mM(反応液中の濃度は13.3mM)以下の範囲でN2O濃度依存的に増加した。したがって、この測定系によりN2Oを定量的に測定できることが確認できた。また、基質溶液のN2O濃度が0.12mM、すなわち、反応液中のN2O濃度が64μMの条件においてもN2Oを検出できることが明らかとなった。(2−2) Ar置換を行わず、空気存在下で密閉したバイアル及び分光セルを用いた以外は、実施例2−1と同様の手順で亜酸化窒素の測定を行った。その結果、亜酸化窒素濃度依存的にDCIPの発色反応が観察され、酸化型DCIPの生成を検出できることが確認できた。したがって、半密閉系の装置(検知管等)において、空気存在下の亜酸化窒素を検出できることが確認できた。 以上の結果より、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤を用いることによって、亜酸化窒素を測定できることが確認できた。1 ガラス管、2 検知剤、3 栓、4 保護剤、5 空気取入口、6 排気口、7 目盛り(検量線)、8 亜酸化窒素検知管、9 チャック、10 通気管、11 吸引手段、12 流量計、13 アセンブリ機器 ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる工程と、 前記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、前記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する工程と、を備え、 前記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 前記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 前記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定方法。 前記第一電子メディエータが、フェナジンメトサルフェート(PMS)、トルイレンブルー、チオニン、1−メトキシフェナジンメトサルフェート(mPMS)、フェナジンエトサルフェート、及び、ナフトキノンからなる群より選ばれる一つの電子メディエータである、請求項1に記載の測定方法。 前記第二電子メディエータが、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)、o−クレゾールインド−2,6−ジクロロフェノール、2,3’,6−トリクロロインドフェノール等のインドフェノール化合物、及び、フェノールブルーからなる群より選ばれる一つの電子メディエータである、請求項1又は2に記載の測定方法。 前記還元剤が、アスコルビン酸である、請求項1〜3いずれか一項に記載の測定方法。 ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)由来の亜酸化窒素還元酵素と、 酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEである第一電子メディエータと、 第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元される第二電子メディエータと、 第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤と、を備える、亜酸化窒素の測定キット。 所定量の被検試料を取り入れる手段と、 ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる手段と、 前記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、前記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する手段と、を備え、 前記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 前記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 前記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定装置。 【課題】酸素によってセンサが劣化することなく、特異的、かつ、高感度に亜酸化窒素の濃度を測定できる亜酸化窒素の測定方法を提供すること。【解決手段】Wolinella由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる工程と、第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する工程とを備え、第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mVvs.SHEであり、第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定方法。【選択図】なし配列表


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特許公報(B2)_亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置
出願番号:2009058502
年次:2014
IPC分類:C12Q 1/26,C12M 1/34,C12N 9/06


特許情報キャッシュ

上野 嘉之 北島 洋二 多田羅 昌浩 早出 広司 JP 5426908 特許公報(B2) 20131206 2009058502 20090311 亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置 鹿島建設株式会社 000001373 長谷川 芳樹 100088155 黒木 義樹 100113435 上野 嘉之 北島 洋二 多田羅 昌浩 早出 広司 20140226 C12Q 1/26 20060101AFI20140206BHJP C12M 1/34 20060101ALI20140206BHJP C12N 9/06 20060101ALI20140206BHJP JPC12Q1/26C12M1/34 EC12N9/06 Z C12N15/ C12Q1/ CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) UniProt/GeneSeq TERAGUCHI, S. and HOLLOCHER, T.C.,"Purification and some characteristics of a cytochrome c-containing nitrous oxide reductase from Wol,J. Biol. Chem.,1989年,Vol.264, No.4,pp.1972-1979 7 2010207164 20100924 17 20110930 小暮 道明 本発明は、亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置に関する。 亜酸化窒素(N2O)は、一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO2)と同様に窒素酸化物の一種であるが、麻酔作用を有するため、吸入麻酔剤として医療現場で使用され、人体に対してはほとんど無害の気体である。 しかしながら、亜酸化窒素の温暖化係数は二酸化炭素の約310倍であり、京都議定書で指定された温室効果ガスに占める亜酸化窒素の割合は約1.9%と少ないものの、その地球温暖化への寄与率は高い。亜酸化窒素の主な発生源は農用地、化石燃料燃焼、家畜排泄物管理、廃棄物焼却場であるが、全体の約50%は農業関係である(非特許文献1)。温暖化防止のためにその削減が求められているが、発生源が水田等の農耕地、家畜排泄物、肥料施肥等多岐にわたり、さらに簡便な測定技術がないために、適切な管理が困難な状況になっている。 亜酸化窒素の濃度は、フーリエ変換赤外分光計(FTIR)、非分散型赤外線分析法(NDIR)、及び、ガスクロマトグラフで測定するのが一般的である。亜酸化窒素は、発生源では比較的高濃度で存在するが、大気中の濃度は約314ppbと極めて希薄である。そのため、発生源付近での測定や低濃度の亜酸化窒素の測定を可能とする測定技術の開発が求められているが、溶液系での滴定による分析やガス検知管等の簡易・安価かつ迅速に定量する方法がないのが現状である。 近年では、デンマークの研究グループが、亜酸化窒素を電気化学的に検出するセンサを開発し、亜酸化窒素の濃度を測定できることを報告している(非特許文献2)。このセンサは、金電極を用いて、−1V vs.Ag/AgClの還元電位で亜酸化窒素を計測するものである。 亜酸化窒素を基質とする酵素としては亜酸化窒素還元酵素(NOS)が報告されている。例えば、Pseudomonas stutzeri、Pseudomonas aeruginosa、Paracoccus denitrificans由来のNOSが研究されている。初期の研究段階においてはParacoccus属を中心に論文が多く報告されている。近年、Wolinella succinogenesという細菌に由来する亜酸化窒素が報告されている(非特許文献3)。NOSの活性測定にはこれまで還元型メチルビオロゲン(MV)、還元型ベンジルビオロゲン(BV)等の色素が人工電子供与体として用いられ、亜酸化窒素の還元反応が解析されてきた。日本国温室効果ガスインベントリ報告書、温室効果ガスインベントリオフィス編、環境省地球環境局地球温暖化対策課監修、ISSN 1341−4356、CGER−I085−2008Nielsら、Appl. Environ. Microbiol.、1988年、54巻、p.2245−2249Teraguchi and Hollocher,J.Biol.Chem.、1989年、264巻、p.1972−1979 しかしながら、上記の非特許文献2に記載された亜酸化窒素を電気化学的に検出するセンサは、電極反応に選択性がなく、測定時に酸素が存在すると酸素に対しても同時に反応してしまうという問題点を有していた。また、これまでに亜酸化窒素のバイオセンサに関する報告はなかったため、亜酸化窒素の濃度を正確に測定するには、測定試料をサンプリングし、ガスクロマトグラフが設置してある測定室まで測定試料を持ち帰る必要があった。 亜酸化窒素を基質とする酵素を応用した亜酸化窒素の測定系の開発に際しては、人工電子供与体の安定性の観点から実用化が困難であった。すなわち、人工電子供与体として用いられている還元型のメチルビオロゲン(MV)及びベンジルビオロゲン(BV)は、酸化還元電位が−400mV(vs.標準水素電極(SHE))と低く、極めて還元力が強い。よって、これらの人工電子供与体は、大気中では即座に空気酸化されてしまうことから、嫌気状態での使用に限られ、大気中の亜酸化窒素の測定に適用することが事実上不可能であった。したがって、このような電子供与体を用いる亜酸化窒素の酵素分析法は汎用性がないことから、これまでNOSを用いる溶液系での亜酸化窒素の分析方法や検知管等の分析方法に関する報告はなかった。 そこで本発明は、大型の分析装置を用いることなく、酸素存在下においても特異的、かつ、高感度に亜酸化窒素の濃度を測定できる亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究した結果、ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)由来の亜酸化窒素還元酵素が、従来の人工電子供与体よりも還元力の弱い電子供与体を電子メディエータ(第一電子メディエータ)として利用できることを見出した。さらに、本発明者は、第一電子メディエータへの電子供与体として、酸化型−還元型間で光学的特性が変化する第二電子メディエータを用いることにより、酸素存在下においても安定な酸化型の第二電子メディエータを指標として亜酸化窒素の濃度を測定することに成功した。以上の知見から、本発明者らは本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、 Wolinella succinogenesに由来し、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる工程と、 上記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、上記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する工程と、を備え、 上記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 上記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 上記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定方法を提供する。 Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素は、酸素耐性が非常に高く、空気中に放置しても酵素活性が消失しない。また、第一電子メディエータとして、従来の人工電子供与体よりも還元力の弱いものを採用することが可能となり、よって、分析中に還元型の人工電子供与体が空気中の酸素により酸化されてしまうという酸素感受性をより低減することができる。さらに第一電子メディエータを還元するための還元型の第二電子メディエータは、酸素存在下においても安定であるため、安定した測定が可能となる。したがって、上記亜酸化窒素の測定方法によれば、酸素存在下でも、特異的かつ高感度に亜酸化窒素を測定することができる。 本発明は、Wolinella succinogenesに由来し、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる亜酸化窒素還元酵素と、酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEである第一電子メディエータと、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元される第二電子メディエータと、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤と、を備える、亜酸化窒素の測定キットを提供する。 また、本発明は、 所定量の被検試料を取り入れる手段と、 Wolinella succinogenesに由来し、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、及び第二電子メディエータを含み、上記第一電子メディエータと、上記第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる手段と、 上記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、上記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する手段と、を備え、 上記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 上記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 上記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定装置を提供する。 上記亜酸化窒素の測定方法、測定キット又は測定装置に用いる第一電子メディエータは、フェナジンメトサルフェート(PMS)、1−メトキシフェナジンメトサルフェート(mPMS)、トルイレンブルー、チオニン、フェナジンエトサルフェート、ナフトキノン等であることが好ましい。 上記亜酸化窒素の測定方法、測定キット又は測定装置に用いる第二電子メディエータは、インドフェノール化合物、フェノールブルー等であることが好ましい。インドフェノール化合物としては、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)、o−クレゾールインド−2,6−ジクロロフェノール、2,3’,6−トリクロロインドフェノールが好ましい。 上記亜酸化窒素の測定方法、測定キット又は測定装置に用いる還元剤は、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤であり、アスコルビン酸であることが好ましい。 本発明の亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置によれば、大型の分析装置を用いることなく、酸素存在下においても特異的、かつ、高感度に亜酸化窒素の濃度を測定できる。本発明の亜酸化窒素の測定装置によれば、安定性と耐久性とを備えた小型測定装置の構築が可能となる。したがって、大型の分析装置を用いる必要がなく、野外においてもリアルタイムで亜酸化窒素の濃度の測定が可能な、簡易・安価かつ迅速に亜酸化窒素を測定できる亜酸化窒素の測定装置を提供することができる。本発明の亜酸化窒素測定の原理を説明する反応式。本発明の一実施形態に係る亜酸化窒素測定装置を示す略断面図。本発明の一実施形態に係る亜酸化窒素測定装置を示す略断面図。水溶性画分を用いたSDS−PAGEの結果を示す図。陽イオン交換カラムに吸着した成分の溶出プロファイルを示すクロマトグラム。図中、UVは溶出溶液の280nm吸光度、Concは溶出溶媒中のB液の割合(%、計算値)、CondはB液の電気伝導度を100%としたときの相対電気伝導度(%)、数字1〜37は各溶出画分の番号をそれぞれ示す。溶出画分を用いたSDS−PAGEの結果を示す図。亜酸化窒素の還元反応に伴う吸光度600nmの経時変化を示すグラフ。亜酸化窒素の測定結果を示すグラフ。 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。(亜酸化窒素の測定原理) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定方法、測定キット及び測定装置は、(1)Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素と、(2)酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEである第一電子メディエータと、(3)第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元される第二電子メディエータと、(4)第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤と、を用いることを特徴とする。以下に、亜酸化窒素の測定原理について説明する。 図1は、本発明の一実施形態に係る亜酸化窒素測定の原理を説明する反応式である。第一電子メディエータ及び第二電子メディエータとして、それぞれフェナジンメトサルフェート(PMS)及び2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)を用いた実施形態において、図1に示す反応の通り、NOSによる亜酸化窒素の還元反応によって、無色の還元型DCIPから青色の酸化型DCIPが生成する。このDCIPの発色変化を指標として亜酸化窒素を測定することができる。 従来行われている亜酸化窒素を還元する酵素の活性測定では、電子供与体として還元型メチルビオロゲン(MV)、還元型ベンジルビオロゲン(BV)等の酸化還元電位−400mV(vs.SHE)程度の極めて還元力の高い電子供与体が実験に用いられている。還元型MVや還元型BVを電子供与体として用いることにより、これらの色素の発色変化を指標として、酵素活性又は基質である亜酸化窒素を計測することができる。しかしながら、還元型のMV及びBVは大変不安定であり、空気雰囲気下では即座に酸化されることから、嫌気状態での使用に限られ、大気中の亜酸化窒素の測定に適用することが事実上不可能であった。このように、NOSの人工電子供与体として従来知られているMV又はBVを用いる亜酸化窒素計測方法は実用化されていない。 一方、酵素の酸化反応又は脱水素酵素反応の電子受容体として、PMS及びDCIPが用いられている。この反応において、PMSが酸化酵素又は脱水素酵素反応の第一電子受容体として機能し、さらに第二電子受容体であるDCIPに電子を伝達する。このPMSを介した電子伝達反応により、青色の酸化型DCIPから無色の還元型DCIPが生成し、この発色変化を指標として酵素反応速度を評価できる。この原理に基づき、酸化酵素又は脱水素酵素の基質濃度を定量できる。PMS及びDCIPが酸化反応及び脱水素酵素反応の吸光計測に用いることができる理由としては、PMSが酵素反応の電子受容体として機能し得ること、さらに生成される還元型のDCIPが大気中で自動酸化を受けず安定であることが挙げられる。 しかしながら、酸化酵素又は脱水素酵素の電子受容体として用いられている電子メディエータが亜酸化窒素還元酵素の電子供与体として機能することは、これまでに報告されていない。その理由としては、MV及びBVの酸化還元電位(約−400mV vs.SHE)に対して、PMS及びDCIPの酸化還元電位(それぞれ+80mV vs.SHE及び+217mV vs.SHE)が高いことが挙げられる。つまり、酸化酵素又は脱水素酵素の電子受容体として用いられている電子メディエータは、MV及びBVよりも還元力が低く、亜酸化窒素を還元するためのエネルギーが不足しているためと考えられる。(亜酸化窒素の測定方法) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定方法について説明する。 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定方法は、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる工程と、第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する工程と、を備え、第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である。(亜酸化窒素還元酵素) 本発明で使用されるWolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素は、亜酸化窒素を還元する活性を有し、SDS―ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により測定した分子量が約88±2.0kDaであることが好ましい。上記亜酸化窒素還元酵素は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を含有する亜酸化窒素還元酵素である。本発明の亜酸化窒素還元酵素の具体例としては、Wolinella succinogenes DSMZ1740株が保有する配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する亜酸化窒素還元酵素を例示できる。配列番号1に示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列等が挙げられる。 Wolinella succinogenesは、ルーメン細菌の一種であり、複数の公的機関から入手可能である。例えば、ドイツのDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)や米国のATCC(American Type Culture Collection)から容易に入手できる。 上記の亜酸化窒素還元酵素は、Wolinella succinogenesを培養し、増殖したWolinella succinogenes菌体又は培養中から、酵素活性を指標に精製できる。 具体的には、液体培地にWolinella succinogenesを植菌し、培養中は常に亜酸化窒素を通気しながら、嫌気的条件下、37℃で培養すればよい。Wolinella succinogenesの培養に用いる液体培地としては、例えば、酵母抽出物、ギ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸銅、チオグリコール酸を含み、pHを中性付近に調整した培地が挙げられる。また、上記液体培地に、ニュートリエント培地成分、トリプチカーゼペプトン、ビタミンK1、ヘミン等を加えた栄養培地にWolinella succinogenesを植菌し、嫌気的条件下、37℃で培養してもよい。 亜酸化窒素還元酵素の精製は、培養したWolinella succinogenesの菌体から、当業者であれば公知である常法のタンパク質の精製方法に従って行うことができる。例えば、培養したWolinella succinogenesの菌体をフレンチプレス又は超音波破砕器等で破砕し、遠心分離して得られた上清(亜酸化窒素還元酵素を含む粗酵素溶液)を、イオン交換クロマトグラフィーやハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー等の精製手段で分画することにより、単一酵素として精製できる。 こうして調製されたWolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素は、同酵素の亜酸化窒素還元活性に基づき、電子供与体として還元型第一電子メディエータ及び還元型第二電子メディエータの存在下において、同酵素の基質である亜酸化窒素を還元させ、還元型第二電子メディエータの減少又は酸化型第二電子メディエータの増加量を指標として亜酸化窒素の濃度を測定することを可能にするものである。 本発明の測定に用いる亜酸化窒素還元酵素は、溶液中に溶解されていても、固相に固定化されていても良い。(第一電子メディエータ) 本発明における第一電子メディエータは、上記亜酸化窒素還元酵素の亜酸化窒素還元活性に基づき、亜酸化窒素を還元する電子供与体として機能する電子メディエータである。第一電子メディエータの酸化還元電位(標準水素電極;SHE)は、+0mV〜+150mV vs.SHEであることが好ましく、+30mV〜+120mV vs.SHEであることがより好ましく、+60mV〜+90mV vs.SHE(例えば、+80mV vs.SHE程度)であることが特に好ましい。そのような第一メディエータとして、フェナジンメトサルフェート(PMS、酸化還元電位:+80mV vs.SHE)、1−メトキシフェナジンメトサルフェート(mPMS、+63mV vs.SHE)、トルイレンブルー(+115mV vs.SHE)、チオニン(+64mV vs.SHE)、フェナジンエトサルフェート(+55mV vs.SHE)、ナフトキノン(+36mV vs.SHE)等が好ましく、特に、PMSが好ましい。(第二電子メディエータ) 本発明における第二メディエータは、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で光学的特性が変化する電子メディエータである。第二メディエータの酸化還元電位(標準水素電極;SHE)は、第一電子メディエータよりも100mV〜200mV vs.SHE高いことが好ましく、+100mV〜+350mV vs.SHEであることが好ましく、+150mV〜+300mV vs.SHEであることがより好ましく、+180mV〜+240mV vs.SHE(例えば、+200mV vs.SHE程度)であることが特に好ましい。酸化型−還元型間での光学的特性の変化としては、吸光測定、比色分析、蛍光法等の測定系で検出可能な変化であれば良い。そのような第二メディエータとして、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP、+217mV vs.SHE)、o−クレゾールインド−2,6−ジクロロフェノール(+181mV vs.SHE)、2,3’,6−トリクロロインドフェノール等のインドフェノール化合物、フェノールブルーが例示できる。特に、DCIPが好ましい。(還元剤) 本発明における還元剤は、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である。そのような還元剤として、自らの酸化体が加水分解される化合物が挙げられ、特に、アスコルビン酸が好ましい。アスコルビン酸は、酸化されるとジヒドロアスコルビン酸となり、次いで加水分解により酸化還元性のない2,3−ジケトグロン酸が生成される。(被検試料) 被検試料は、亜酸化窒素が含まれる疑いのある試料であり、具体的な形態は特に制限されず、亜酸化窒素を含む溶液が適宜用いられる。また、亜酸化窒素を含む気体(例えば大気)を試料とする場合には、亜酸化窒素を溶解可能な緩衝液等に試料を通気し、溶液試料とするか、又は、亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤を含む反応試薬に直接、亜酸化窒素を溶解させることにより測定することができる。(亜酸化窒素の測定キット) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定キットは、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素と、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、還元剤とを備える。Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤としては、上述のものを使用することができる。(亜酸化窒素の測定装置) 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定装置について詳細に説明する。 本実施形態に係る亜酸化窒素の測定装置は、所定量の被検試料を取り入れる手段と、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる手段と、第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する手段と、を備え、第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、第二電子メディエータが、酸化型及び還元型の変化により発色が変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である。 図2に本発明の亜酸化窒素の測定装置の一実施形態である亜酸化窒素検知管を示す。本実施形態に係る亜酸化窒素検知管は、被検試料として空気等の気体を取り込むことにより、気体中の亜酸化窒素を測定する。この形態では、透明のガラス管1の内部に検知剤2が装填してある。ガラス管1は例えば、全長130mmで内径はφ4mmのものを使用できる。このガラス管1内において、検知剤2が、二つの気体透過性の栓3aと3bによって位置決められている。検知剤2と各栓3a及び3bの間には、それぞれ非反応性の保護剤4aと4bが介装され、これらの保護剤4aと4bの間に、検知剤2が一定の長さLをもって装填されている。そして、この長さLにわたって、その管の長さ方向に目盛り7が付されている。 管1の両端は溶封してあるが、使用時に開口し、その一端は空気取入口5として、他端は排気口6として用いられる。前記のように、検知剤2は、空気取入口5から排気口6の方向に一定の長さLをもって装填され、空気取入口5の側から被検試料が導入されると、被検試料中の微量の亜酸化窒素が検知剤2の試薬と反応し、その反応に消費された分の長さだけ、空気取入口5に近い方から変色することになる。 検知剤2は、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ及び第二電子メディエータを含む。検知剤2は測定開始直前に、第二電子メディエータを還元するための還元剤を含む溶液と混合され、第二電子メディエータが還元されて測定可能な状態となる。 測定にさいしては、検知管8内に装填された検知剤2に対し、通過する被検試料中の亜酸化窒素の実質的に全てが第一電子メディエータ及び第二電子メディエータと反応して変色を起こし、しかもその変色が、検知剤2の長さ方向に(空気の入側から出側の方向に)、通気量に対応して順序よく起きることが必要である。そして、測定時間中において検知剤2に対して被検試料がまんべんなく検知剤2と接触しつつ流れることが肝要である。すなわち、空気の入側近くに存在する検知剤2が変色せずに、それより下流側に存在する検知剤2が先に変色したり、被検試料中の亜酸化窒素が反応せずに検知剤2を通過したりすると、変色長さで亜酸化窒素濃度を定量することが出来なくなるので、このような現象が起きないように適宜設定する必要がある。 図3は、図2の亜酸化窒素検知管8の排気口6をチャック9に固定し、このチャック9から通気管10を介して吸引ポンプ等の吸引手段11に連結した状態を示しており、吸引手段11の作動により、亜酸化窒素検知管8の空気取入口5から被検試料が亜酸化窒素検知管8内に通気する。通気管10には流量計12が介装されており、チャック9、通気管10、吸引手段11及び流量計12等は、流量積算計やタイマー等(いずれも図示せず)と共に一つのアセンブリ機器13として持ち運び可能にセットすることができる。吸引手段11は、その排気が測定結果に影響を与えように対処してある機器であるのが好ましい。被検試料中の亜酸化窒素濃度に応じて、吸引する被検試料の量を適宜設定することができる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1:亜酸化窒素還元酵素(Nos)の生産・精製(1−1)Wolinella succinogenesの培養 Wolinella succinogenesの培養には、以下の組成からなる培地を用いた。なお、この培地を嫌気条件下で保存及び使用した。 0.8% ニュートリエント培地 0.5% 酵母抽出物 3% トリプチカーゼペプトン 10mM コハク酸二ナトリウム 0.5% リン酸水素二カリウム 0.035% L−システイン 0.0001% レサズリン 0.05% チオグリコール酸ナトリウム 1μM 硫酸銅(II) 0.0005% ヘミン 0.0001% ビタミンK1 100mM ギ酸ナトリウム 100mM 硝酸カリウム Wolinella succinogenes ATCC29543株を、上記培地20mlが入った密封バイアルに植菌し、嫌気条件下、37℃で25時間前培養した。増殖がOD660=0.40程度のところで、この前培養液を0.8mlずつ、嫌気条件下の栄養培地80mlが入った密封バイアル25本に植菌し、37℃で26時間培養した。増殖がOD660=0.3以上において好気的に集菌し、菌体を洗浄した。2Lの培養液からWolinella succinogenes湿菌体2.1gが得られた。(1−2)Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素の精製 得られた湿菌体2.1gを5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)7mlで懸濁し、超音波破機を用いて破砕した。菌体破砕液を4℃、10000×g、30分間の遠心分離を2回行い、さらに4℃、86900×gで60分間、超遠心分離して上清を回収した。この上清を5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で一晩透析し、得られた透析溶液を水溶性画分とした。 水溶性画分を用いたSDS−PAGE解析の結果、88kDa付近にNosと考えられるバンドが観察された(図4)。そこで次に、陽イオン交換クロマトグラフィーによりNosの精製を試みた。 陽イオン交換クロマトグラフィー用充填カラムRESOURCE S(GEヘルスケアバイオサイエンス、1mL)を5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で平衡化した後、水溶性画分をカラムに吸着させ、5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)でカラム未吸着成分を洗浄除去した。次に、以下の条件で、カラム容量の20倍量で溶出溶媒がA液100%からB液100%となるようなリニアグラジエントをかけてカラム吸着成分を溶出させ、0.5mLずつ分取し、溶出画分とした。 A液:5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8) B液:0.4M NaCl/5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8) 移動相の流速:1ml/min 検出:280nm 陽イオン交換カラムに吸着した成分の溶出プロファイルを示すクロマトグラムを図5に示す。およそ25%の0.4M NaCl/5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)を流したところで、280nmの吸光度の大きなピークが得られた(溶出画分24及び25)。これらの画分を用いてSDS−PAGE解析を行ったところ、88kDa付近にNosと考えられるメインバンドが観察された(図6)。(1−3)活性測定 水溶性画分及び溶出画分について、以下の方法により亜酸化窒素還元活性を測定した。密封しArガスで置換した分光光度計用セルに、10mM ベンジルビオロゲン15μl、5mM 亜ジチオン酸ナトリウム15μl、標準酵素溶液又は各画分30μl、5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、及び、飽和N2O溶液(25mM)200μlをガスタイトシリンジを用いてこの順に添加し、600nmにおけるベンジルビオロゲンの吸光度変化(△ABS600nm/min)を測定した。ブランクとして、10mM ベンジルビオロゲン15μlの代わりに等量の5mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)を添加した試料を用い、この試料により得られた吸光度変化をベースラインとした。 活性測定の結果を表1に示す。水溶性画分の比活性は0.33U/mg protein、溶出画分24及び25を合わせた画分(粗精製画分)の比活性は4.9U/mg proteinであった。以上より、溶出画分24及び25においてメインバンドとして検出される約88kDaのタンパク質が亜酸化窒素還元酵素であることが分かった。また、この亜酸化窒素還元酵素は酸素存在下においても安定であることが分かった。実施例2:亜酸化窒素の測定(2−1) Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤を用い、以下の手順で亜酸化窒素の測定を行った。亜酸化窒素還元酵素としては実施例1で調製したものを使用した。第一電子メディエータとしてフェナジンメトサルフェート、第二電子メディエータとして2、6−ジクロロフェノールインドフェノール、及び、還元剤としてアスコルビン酸を用いた。 活性試薬として、密閉してAr置換したバイアル中で以下の組成物を混合したものを用時調製し、以下の実験に用いた。<試薬組成> 6mM アスコルビン酸 100μl 6mM 2、6−ジクロロフェノールインドフェノール 100μl 6mM フェナジンメトサルフェート 10μl 50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 120μl 密封し、Ar置換した分光セルに、活性試薬50μl、酵素溶液20μl、基質溶液80μlを加えて反応液全量を150μLとし、600nmの吸光度を経時的に測定した。なお、酵素溶液として15mgタンパク質/ml(1.5U/mg)、基質溶液として、N2Oの段階希釈溶液を用いた。具体的には、ブランク(Arバブリングした緩衝液)、25mM N2O(N2Oを緩衝液にバブリングし飽和させたもの)、12μM N2O(Arバブリングした緩衝液10mlに、N2Oバブリングした緩衝液を5μl加えたもの)、250μM N2O(Arバブリングした緩衝液10mlに、N2Oバブリングした緩衝液250μlを加えたもの)を用いた。終濃度2.5mMと12mM N2Oについては、Arバブリング溶液と25mM N2O溶液を分光セルに加えて混合することで調製した。 基質としてN2Oを添加した際の、酸化型DCIPの生成に基づく600nmの吸光度を測定し、その経時変化を図7に示した。また、亜酸化窒素濃度に対する600nmの吸光度の増加速度を図8に示した。600nmの吸光度の増加速度は25mM(反応液中の濃度は13.3mM)以下の範囲でN2O濃度依存的に増加した。したがって、この測定系によりN2Oを定量的に測定できることが確認できた。また、基質溶液のN2O濃度が0.12mM、すなわち、反応液中のN2O濃度が64μMの条件においてもN2Oを検出できることが明らかとなった。(2−2) Ar置換を行わず、空気存在下で密閉したバイアル及び分光セルを用いた以外は、実施例2−1と同様の手順で亜酸化窒素の測定を行った。その結果、亜酸化窒素濃度依存的にDCIPの発色反応が観察され、酸化型DCIPの生成を検出できることが確認できた。したがって、半密閉系の装置(検知管等)において、空気存在下の亜酸化窒素を検出できることが確認できた。 以上の結果より、Wolinella succinogenes由来の亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、第二電子メディエータ及び還元剤を用いることによって、亜酸化窒素を測定できることが確認できた。1 ガラス管、2 検知剤、3 栓、4 保護剤、5 空気取入口、6 排気口、7 目盛り(検量線)、8 亜酸化窒素検知管、9 チャック、10 通気管、11 吸引手段、12 流量計、13 アセンブリ機器 ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)に由来し、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる亜酸化窒素還元酵素の存在下において、第一電子メディエータと、第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる工程と、 前記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、前記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する工程と、を備え、 前記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 前記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 前記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定方法。 前記第一電子メディエータが、フェナジンメトサルフェート(PMS)、トルイレンブルー、チオニン、1−メトキシフェナジンメトサルフェート(mPMS)、フェナジンエトサルフェート、及び、ナフトキノンからなる群より選ばれる一つの電子メディエータである、請求項1に記載の測定方法。 前記第二電子メディエータが、インドフェノール化合物、及び、フェノールブルーからなる群より選ばれる一つの電子メディエータである、請求項1又は2に記載の測定方法。 前記インドフェノール化合物が、2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)、o−クレゾールインド−2,6−ジクロロフェノール、及び、2,3’,6−トリクロロインドフェノールからなる群より選ばれる一つの化合物である、請求項3に記載の測定方法。 前記還元剤が、アスコルビン酸である、請求項1〜4いずれか一項に記載の測定方法。 ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)に由来し、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる亜酸化窒素還元酵素と、 酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEである第一電子メディエータと、 第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元される第二電子メディエータと、 第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤と、を備える、亜酸化窒素の測定キット。 所定量の被検試料を取り入れる手段と、 ウォリネラ スクシノゲネス(Wolinella succinogenes)に由来し、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなる、又は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる亜酸化窒素還元酵素、第一電子メディエータ、及び第二電子メディエータを含み、前記第一電子メディエータと、前記第二電子メディエータと、被検試料中の亜酸化窒素とを反応させる手段と、 前記第二電子メディエータの還元型から酸化型への変化に伴う発色変化を指標として、前記被検試料中の亜酸化窒素濃度を測定する手段と、を備え、 前記第一電子メディエータの酸化還元電位が+0mV〜+150mV vs.SHEであり、 前記第二電子メディエータが、第一電子メディエータへの電子供与体として機能し、酸化型−還元型間で発色変化する電子メディエータであり、かつ、測定開始直前に還元剤によって還元され、 前記還元剤が、第二電子メディエータを還元する活性を有し、かつ、自らの酸化体が可逆的に還元されない還元剤である、亜酸化窒素の測定装置。配列表


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