生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法
出願番号:2009053041
年次:2012
IPC分類:C07D 307/48,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

海老谷 幸喜 高垣 敦 JP 2012121811 公開特許公報(A) 20120628 2009053041 20090306 5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 304024430 大谷 嘉一 100114074 海老谷 幸喜 高垣 敦 C07D 307/48 20060101AFI20120601BHJP C07B 61/00 20060101ALN20120601BHJP JPC07D307/48C07B61/00 300 4 OL 6 4C037 4H039 4C037CA09 4H039CA42 4H039CA62 4H039CC20 4H039CG10 本発明は、セルロース等の多糖類から得られるオリゴ糖や単糖類を原材料とした5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法に関する。 5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、単にHMFとも称する。)は、樹脂材料、医薬品、農薬、香料などの広い分野にて重要な化合物である。 近年、石油代替としてバイオマスが注目されていて、例えば、特許文献1〜3にはセルロースから直接HMFを合成する技術を開示する。 しかし、これらに開示する技術は、硫酸等の液体酸を共存させ、圧力10MPa以上、220℃以上の高圧高温反応であり、かならずしもHMFの収率が高くない。 特許文献4には、リン酸ジルコニウムを固体触媒に用いて糖類からHMFを合成する技術を開示する。 しかし、超臨界あるいは亜臨界状態の水熱反応が必要であり、実施例を見るとフルクトースからのHMFの収率が49〜53%であるが、グルコースからのHMFの収率が20〜23%と低い。 特許文献5には、145〜200℃の水熱条件下、硫酸アンモニウムを触媒として用い糖類からHMFの合成を開示するが、その収率は30%以下と低い。 特許文献6には、アルミノシリケートの固体触媒を用い、糖類からHMFの合成を開示するが165℃,10気圧の厳しい条件である。 特許文献7,非特許文献1,2には、主に塩酸を用い水相−有機相の2相系にてフルクトース、グルコースからHMFを合成する技術を開示するがプロセスが複雑であり、グルコースからのHMF合成収率が24%と低い。 特許文献8,非特許文献3には、イオン液体を用いることでグルコースから収率約70%でHMFを合成する技術を開示するが、イオン液体は非常に高価である。特開2005−200321号公報特開2005−232116号公報特開2007−145736号公報特開2007−196174号公報カナダ特許第703046号公報PCT WO9617837公開公報PCT WO2007146636公開公報Science, Vol. 312, Page 1933-1937, Year 2006.Green Chemistry, Vol.9, Issue 4, Page 342-350, Year 2007.Science, Vol.316, Page 1597-1600, Year 2007. 本発明は、糖類から穏やかな条件下で、安価に製造できる、5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法の提供を目的とする。 本発明者らは、糖類からHMFを製造する場合にグルコースが酸及び塩基により、異性化反応が進行する事でフルクトースになり、このフルクトースが主に酸により脱水反応が進行し、HMFになる反応プロセスに着目した。 より具体的には、グルコースからフルクトースの異性化反応を固体塩基触媒にて進行させ、次のフルクトースからHMFへの脱水反応を固体酸触媒で進行させることにすれば、液体の酸、塩基では同時に反応器に加えることができないが固体の塩基と固体の酸であれば同じ反応器内に共存させることができると着目し本発明に至った。 よって本発明は、溶媒中に固体塩基触媒と固体酸触媒を共存させた状態下にて、糖類から5−ヒドロキシメチルフルフラールを得ることを特徴とする。 糖類はグルコース等の単糖類のみならず、セロビオース、スクロース等のオリゴ糖であってもよい。 ここで、固体塩基触媒は層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)であるのが好ましい。 層状複水酸化物は構造の主骨格がシート状の金属水酸化物になっている。 本発明に用いる触媒の層状複水酸化物の代表例にはハイドロタルサイト類がある。 ここで、ハイドロタルサイト類の一般式は[M2+1−XM3+X(OH)2][An−X/n・mH2O]で表される。 (但し、M2+は2価の金属イオン,M3+は3価の金属イオン,An−X/nは層間陰イオンである。) ハイドロタルサイト類化合物は、層状粘土鉱物であり全体としては正の電荷を有するが層間及び表面にアニオンが吸着する性質を有し、表面のOH−,CO32−が塩基として機能する。 本発明に用いる触媒には上記一般式で表現される各種ハイドロタルサイト類を使用できるが、その中でも好ましいのはMg−Al−CO3系ハイドロタルサイト類である。 固体酸触媒は、固体酸として作用するものであれば特に限定はないが、酸触媒用のイオン交換樹脂が好ましい。 固体酸触媒としては例えば、下記化学式(1)に示すアンバーリスト−15(ローム・アンド・ハース株式会社、アンバーリストは登録商標)及び、化学式(2)で示すナフィオン(登録商標,デュポン社)が挙げられる。 本発明に係る5−ヒドロキシメチルフルフラールの反応スキームの例を下記反応式(3)に示す。 溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒を用いることができる。 本発明においては、溶媒中に固体塩基触媒と固体酸触媒を存在させることで、汎用溶媒を用い穏やかな条件下にて安価にHMFを製造することができる。 また、糖類からHMFへの反応を1つの反応器によるプロセスで進行できることから、溶媒が単独で済み、塩基も酸も固体であることから反応後の分離回収が容易である。 本発明に係るHMFの製造方法を実験結果に基づいて以下説明するが、これに限定されるものではない。 (実験1) 反応器に溶媒DMF(ジメチルホルムアミド)3mlを採り、各触媒の存在下でグルコース0.1gを仕込み、所定の条件にて反応させた結果を表(1)に示す。 なお、表中矢印は上の条件と同じであることを示す。 表1の結果から本発明に係るプロセスを用いると温和な条件下でグルコースからHMFを得ることができることが明らかになった。 例えば、グルコース,0.1gに対してハイドロタルサイト(Mg/Al=3),0.2g、アンバーリスト−15,0.1g、の場合に80℃×9時間の反応にて反応したグルコースの転化率65%、HMFの収率48%(HMF生成の選択率73%)であった。 次に基質として二糖類を用いてHMFの製造実験を実施した。 二糖類の例として、セロビオース(グルコース2分子がβ1,4グリコシド結合)とスクロース(グルコースとフルクトースがグリコシド結合)を用いて、溶媒DMF3ml中にセロビオース0.1g又はスクロース0.1gを仕込み、表2に示した条件にて反応させた。 その結果、表2に示すようにセロビオースの場合に収率36%でHMFが得られ、スクロースの場合に収率55%でHMFが得られた。 これにより、本発明は基質として単糖類のみならず、二糖類以上のオリゴ糖も用いることができることが明らかになった。 溶媒中に固体塩基触媒と固体酸触媒を共存させた状態下にて、糖類から5−ヒドロキシメチルフルフラールを得ることを特徴とする5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法。 糖類は単糖類又はオリゴ糖であることを特徴とする請求項1記載の5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法。 固体塩基触媒は、ハイドロタルサイト類であることを特徴とする請求項1又は2記載の5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法。 固体酸触媒は、酸触媒用イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法。 【課題】糖類から穏やかな条件下で、安価に製造できる、5−ヒドロキシメチルフルフラールの製造方法の提供を目的とする。【解決手段】糖類からHMFを製造する場合にグルコースが酸及び塩基により、異性化反応が進行する事でフルクトースになり、このフルクトースが主に酸により脱水反応が進行し、HMFになる反応プロセスに着目した。 より具体的には、グルコースからフルクトースの異性化反応を固体塩基触媒にて進行させ、次のフルクトースからHMFへの脱水反応を固体酸触媒で進行させることにすれば、液体の酸、塩基では同時に反応器に加えることができないが固体の塩基と固体の酸であれば同じ反応器内に共存させることができる。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る