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タイトル:公開特許公報(A)_アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法
出願番号:2009043665
年次:2010
IPC分類:G01N 30/88,G01N 30/26


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秋庭 真継 梶栗 浩司 原田 辰夫 JP 2010197274 公開特許公報(A) 20100909 2009043665 20090226 アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法 住友化学株式会社 000002093 中山 亨 100113000 坂元 徹 100151909 秋庭 真継 梶栗 浩司 原田 辰夫 G01N 30/88 20060101AFI20100813BHJP G01N 30/26 20060101ALI20100813BHJP JPG01N30/88 PG01N30/88 201GG01N30/88 101SG01N30/26 A 8 OL 11 本発明は、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法等に関する。 アクリル酸、メタクリル酸などのアニオン性基を有するモノマーと、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどのカチオン性基を有するモノマーとの共重合体は、例えば、高分子乳化剤として使用し得ることが特許文献1に記載されている。特開2008−24755号([0070]〜[0072]) アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量は、高分子乳化剤の物性として重要な情報であるが、特許文献1には、該有機合成高分子の分子量及びその測定方法については記載がない。 本発明の目的は、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法等を提供することである。 このような状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の[1]〜[8]記載の発明に至った。[1] イオン交換基を有する多孔性粒子からなるカラム充填剤及び溶離液を構成するサイズ排除クロマトグラフィを行う工程を含むことを特徴とするアニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法。[2] アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子が、アニオン性の官能基を有するモノマー及びカチオン性の官能基を有するモノマー、並びに、必要に応じて、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーを重合して得られた有機合成高分子であることを特徴とする[1]記載の分子量測定方法。[3] アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子が、該有機合成高分子を構成する全てのモノマーに由来する構造単位100重量%に対し、アニオン性の官能基を有するモノマーに由来する構造単位20〜75重量%、カチオン性の官能基を有するモノマーに由来する構造単位2〜55重量%、並びに、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーに由来する構造単位10〜50重量%含有する有機合成高分子であることを特徴とする[1]記載の分子量測定方法。[4] アニオン性の官能基を有するモノマーが、カルボキシル基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステル、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーであり、カチオン性の官能基を有するモノマーが、アミノ基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルであり、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーが炭素数4〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルであることを特徴とする[2]又は[3]のいずれか記載の分子量測定方法。[5] 多孔性粒子が、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位を含む有機系多孔性粒子であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか記載の分子量測定方法。[6] イオン交換基が、水酸基、グリシジル基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン交換基であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか記載の分子量測定方法。[7] 溶離液が、pH2〜5の水溶液であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか記載の分子量測定方法。[8] 溶離液が、0.1〜0.3mol/Lの無機塩を含む水溶液であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか記載の分子量測定方法。 本発明により、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量を簡便かつ正確に測定することができる。本発明で用いるクロマトグラフの概略図 本発明の分子量測定方法で対象となるアニオン性の官能基(以下、アニオン性基と記すことがある)及びカチオン性の官能基(以下、カチオン性基と記すことがある)を有する有機合成高分子としては、例えば、(1)アニオン性基を有するモノマー、及び、カチオン性基を有するモノマーが有機合成的に重合されて得られた有機合成高分子、(2)アニオン性の官能基を有するモノマー及びカチオン性の官能基を有するモノマー、並びに、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーを有機合成的に重合して得られた有機合成高分子、等を挙げることができる。 ここで、アニオン性基を有するモノマーは、1つのモノマーに複数のアニオン性基を有していてもよく、カチオン性基を有するモノマーは、1つのモノマーに複数のカチオン性基を有していてもよい。 また、該有機合成高分子を構成するモノマーとしては、1つのモノマーにアニオン性基及びカチオン性基を有するモノマーであってもよい。 ここで、重合とは、例えば、上記モノマーに含まれる炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合などの不飽和基又はオキシラン環、シクロプロパン環などの環等が開裂して、付加を繰り返し、高分子を合成することを挙げることができる。上記重合としては、具体的には、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などを挙げることができる。好ましくは、ラジカル重合が挙げられる。 アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基又はリン酸基などを挙げることができる。好ましくは、例えば、カルボキシル基が挙げられる。 アニオン性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ナジック酸、メチルナジック酸、ハイミック酸、アンゲリカ酸、テトラヒドロフタル酸、ソルビン酸又はメサコン酸などの炭素数3〜10のα,β−不飽和カルボン酸;2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸又は2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸などのカルボキシル基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステル等を挙げることができる。 ここで、「カルボキシル基を有する炭素数1〜10のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基又はシクロヘキシル基などの炭素数1〜10のアルキル基の水素原子がカルボキシル基に置換されている基等が挙げられる。 尚、アニオン性基を有するモノマーとしては、同じ種類のモノマーを用いてもよく、また、異なる種類のモノマーを用いてもよい。 アニオン性基を有するモノマーとしては、好ましくは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸又は2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸が挙げられる。 カチオン性基としては、例えば、「アミノ基を有する炭素数1〜10のアルキル基」などを挙げることができる。「アミノ基を有する炭素数1〜10のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基又はシクロヘキシル基などの炭素数1〜10のアルキル基に含まれる水素原子の一部がアミノ基(−NH2)、アルキルアミノ基(−NHR、Rは前記のアルキル基と同じ意味を表す。)又はジアルキルアミノ基(−NRR’、R及びR’は前記のアルキル基と同じ意味を表し、R及びR’は同一でも異なっていてもよい。)に置換されている基等を挙げることができる。 具体的には、例えば、アミノメチル基、アミノエチル基又はアミノプロピル基などのアミノアルキル基;例えば、2−(N−メチルアミノ)エチル基、2−(N−エチルアミノ)エチル基、2−(N−イソプロピルアミノ)エチル、3−メチルアミノプロピル、2−(N−n−プロピルアミノ)エチル基、2−(N−n−ブチルアミノ)エチル基、2−(N−イソブチルアミノ)エチル基、2−(N−sec−ブチルアミノ)エチル基又は2−(N−t−ブチルアミノ)エチル基等のアルキルアミノアルキル基;例えば、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N−メチル−N−エチルアミノ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル又は3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル基等のジアルキルアミノアルキル基;などを挙げることができる。 カチオン性基を有するモノマーとしては、例えば、アミノ基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルなどを挙げることができる。 具体的には、例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチルアクリレート又はN−メチル−N−エチルアミノエチルメタクリレートなどを挙げることができる。 尚、カチオン性基を有するモノマーとしては、同じ種類のモノマーを用いてもよく、また、異なる種類のモノマーを用いてもよい。 カチオン性基を有するモノマーとしては、好ましくは、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート又はN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。 アニオン性基及びカチオン性基のいずれも含まないモノマーとしては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステル、水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステル又は繰り返し数が1〜1000のポリアルキレングリコールとα,β−不飽和カルボン酸とのエステルなどを挙げることができる。 ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基又はシクロヘキシル基などを挙げることができる。 炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デカニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デカニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル又はメタクリル酸シクロヘキシルなどの炭素数4〜20の(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。 尚、炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、同じ種類の炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルを用いてもよく、また、異なる種類の炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルを用いてもよい。 炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、好ましくは、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル又はメタクリル酸ラウリルが挙げられる。 水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、前記炭素数1〜20のアルキル基に含まれる水素原子の一部が水酸基に置換された基を挙げることができる。 水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシペンチルメタクリレート、又はヒドロキシヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。 尚、水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、同じ種類の水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルを用いてもよく、また、異なる種類の水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルを用いてもよい。 水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、好ましくは、例えば、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、又はヒドロキシヘキシルメタクリレートが挙げられる。 繰り返し数が1〜1000のポリアルキレングリコールとα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、アクリル酸ポリプロピレングリコール、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、アクリル酸ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール、又はメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール等を挙げることができる。 尚、繰り返し数が1〜1000のポリアルキレングリコールとα,β−不飽和カルボン酸とのエステルとしては、同じ種類の繰り返し数が1〜1000のポリアルキレングリコールとα,β−不飽和カルボン酸とのエステルを用いてもよく、また、異なる種類の繰り返し数が1〜1000のポリアルキレングリコールとα,β−不飽和カルボン酸とのエステルを用いてもよい。 本発明の分子量測定方法で対象となるカチオン性基及びアニオン性基を有する有機合成高分子としては、アニオン性基を有するモノマー及びカチオン性基を有するモノマー、並びに、アニオン性基及びカチオン性基のいずれも含まないモノマーを重合して得られた有機合成高分子が好ましい。 好ましくは、アニオン性基を有するモノマーが、カルボキシル基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステル、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーであり、カチオン性基を有するモノマーが、アミノ基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルであり、さらに、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーとして、炭素数4〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルを重合して得られた有機合成高分子(以下、「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート」と記すことがある)を挙げることができる。 カチオン性基及びアニオン性基を有する有機合成高分子におけるアニオン性基を有するモノマーに由来する構造単位、カチオン性基を有するモノマーに由来する構造単位及びアニオン性基及びカチオン性基のいずれも含まないモノマーの含有量としては、例えば、該有機合成高分子を構成する全てのモノマーに由来する構造単位100重量%に対し、アニオン性基を有するモノマーに由来する構造単位20〜75重量%、カチオン性基を有するモノマーに由来する構造単位2〜55重量%、及び、アニオン性基及びカチオン性基のいずれも含まないモノマーに由来する構造単位10〜50重量%であることを挙げることができる。 「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート」の製造方法としては、例えば、原料のモノマーの混合物を重合開始剤共存下に0〜180℃、好ましくは40〜120℃に調温しながら、0.5〜20時間、好ましくは2〜10時間攪拌する方法などを挙げることができる。 上記製造方法において用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩からなる開始剤、上記過硫酸塩に亜硫酸塩、チオ硫酸塩の還元剤等を併用したレドックス系開始剤、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等の有機過酸化物、又は該有機過酸化物と鉄(II)塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩の還元剤等を併用したレドックス系開始剤、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキセン、t−ブチルパーオキシベンゾエート等を挙げることができる。 重合開始剤の使用量としては、例えば、使用されるモノマー全量に対して、0.01〜10重量%が挙げられる。 上記製造方法における重合は、溶媒中で行うことが好ましい。前記溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、セルソルブなどのアルコール、水及びこれらの混合溶媒などを挙げることができる。 本発明の分子量測定方法で対象となるアニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子は、前述のように、各種モノマーが有機合成的に重合して得られた合成高分子である。そして、当該有機合成高分子は、各種モノマー(例えば、アミノ酸、核酸、糖)が生合成的に結合されて得られた生体高分子とは区別される。 本発明で用いられるカラム充填剤は、イオン交換基を有する多孔性粒子であり、通常、これをカラムに充填して用いられる。 多孔性粒子としては、例えば、有機系多孔性粒子又は無機系多孔性粒子を挙げることができる。有機系多孔性粒子としては、例えば、単官能ビニルモノマーと多官能ビニルモノマーとを組み合わせた多孔性粒子や架橋多糖多孔性粒子等を挙げることができる。単官能ビニルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エステル、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリル酸エステル又は2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、例えば、アクリル酸グリシジルエステル又はメタクリル酸グリシジルエステルなどの(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、例えばアクリル酸又はメタクリル酸などの(メタ)アクリル酸、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル又はメタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、例えば、ビニルベンジルアルコール、ビニルベンジルグリシジルエーテル又はヒドロキシスチレンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル等を挙げることができる。 また、多官能ビニルモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、グリセロールジ(メタ)アクリル酸エステルなどのポリオール(メタ)アクリル酸エステル、ジビニルベンゼン又はトリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。 架橋多糖多孔性粒子の多糖としては、例えば、セルロース、アガロース、デキストラン又はマンノースなどを挙げることができる。無機系多孔性粒子としては、例えば、シリカ、ゼオライト又はチタニアなどを挙げることができる。 好ましくは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位を含む有機系多孔性粒子を挙げることができる。 イオン交換基としては、例えば、水酸基、グリシジル基又はアミノ基などを挙げることができる。イオン交換基は、イオン交換基を含むモノマーを多孔性粒子と反応させたり、イオン交換基を含むモノマーを重合して得られるポリマーが多孔性粒子であってもよい。 水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、デキストラン、アルキルセルロース、アガロース、プルラン、イヌリン、キトサン、ポリ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート又はグリセロールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。好ましくは、例えば、ポリビニルアルコール又は前記多糖が挙げられる。 グリシジル基を有するポリマーとしては、例えば、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル又はフェノール系エポキシ樹脂等のグリシジル基含有ポリマーなどが挙げられる。 アミノ基を有するポリマーとしては、例えば、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリ3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、ポリ3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド又はキトサン等を挙げることができる。好ましくは、例えば、ポリエチレンイミンが挙げられる。 イオン交換基を有する多孔性粒子からなるカラム充填剤は、該充填剤がカラムに充填されたものとして用いることが好ましい。該カラム充填剤が充填されたものとして、具体例として、TSK−GEL(東ソー株式会社の登録商標) G3000PWXL−CP、TSK−GEL(東ソー株式会社の登録商標) G5000PWXL−CP、TSK−GEL(東ソー株式会社の登録商標) G6000PWXL−CPなどの市販品を挙げることができる。 該充填剤がカラムに充填されたものは、通常、1つ以上、好ましくは、2つ以上が用いられる。該充填剤がカラムに充填されたものを2つ以上用い、かつ、該充填剤がカラムに充填されたものの少なくとも2つは排除限界の異なる場合、該充填剤がカラムに充填されたものの排除限界の大きい方から順に直列に繋げるとよく、分子量測定方法で対象となるカチオン性基及びアニオン性基を有する有機合成高分子は、該充填剤がカラムに充填されたもののうち、排除限界の大きいものに導入される。 本発明のサイズ排除クロマトグラフィとは、カチオン性基及びアニオン性基を有する有機合成高分子がカラム内を流れていく際に、分子量の小さい有機合成高分子はイオン交換基を有する多孔性粒子の孔の奥まで浸透しながらゆっくり流れ、分子量の大きい有機合成高分子は孔に浸透しないか、ほとんど浸透することなく流れ、カチオン性基及びアニオン性基を有する有機合成高分子の分子量が大きいほどカラムからの溶出が速く、分子量が小さいほどカラムからの溶出が遅くなり、結果として、カチオン性基及びアニオン性基を有する有機合成高分子の分子量により分配が行われることを意味する。 サイズ排除クロマトグラフィには、例えば、図1に示したようなサイズ排除クロマトグラフィ測定装置(10)が用いられる。サイズ排除クロマトグラフィ測定装置(10)は、前記カラム充填剤がカラムに充填されたもの(1)、(1)に溶離液が注入側から排出側に流通するように具備された導管(2)、注入側の該導管に溶離液を供給するポンプ(3)、該ポンプに導管を経由して溶離液を供給する溶離液タンク(4)、注入側の該導管に具備される測定対象物を導入し得る導入口(5)、(1)の排出側に具備された導管(6)、該導管(6)に接続された検出器(7)及び廃液タンク(8)を有する。(1)の直前の導管(2)にはガードカラム(9)が具備されていてもよく、(1)及びガードカラム(9)は恒温槽(11)の中に具備されることが好ましい。 検出器(7)としては、例えば、示差屈折計(RI)、紫外可視分光光度計(UV)、粘度検出器又は光散乱検出器などを挙げることができる。測定対象物が「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート」である場合には、示差屈折計(RI)を好適な検出器として挙げることができる。 溶離液としては、例えば、アセトニトリル、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの有機溶媒、水及びこれらの混合物などを挙げることができる。好ましくは、水を主成分とする水溶液を挙げることができ、より好ましくは、溶剤としては水のみからなるものが挙げられる。 溶離液が水を主成分とする場合には、溶質として、例えば、酢酸、リン酸などの酸、例えば、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどのナトリウム塩、硝酸カリウム、塩化カリウムなどのカリウム塩等を含有していてもよい。溶質を含有する場合、酸を、例えば、0.1〜0.3mol/L程度含有させることが好ましく、無機の塩を、例えば、0.1〜0.3mol/L程度含有させることが好ましい。 また、溶離液が水を主成分とする場合には、例えば、pHは2〜5であることが好ましい。 測定対象物が「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート」である場合には、溶剤として水のみからなる水溶液であることが好ましい。 また、該水溶液は、酢酸、リン酸などの酸を、例えば、0.1〜0.3mol/L程度含有させて、pH2〜5の範囲であることが好ましい。 該水溶液は、無機の塩を0.1〜0.3mol/L程度含有させることが好ましく、特に、硝酸ナトリウム又は硝酸カリウムを含有させることが好ましい。 本発明の分子量測定方法に用いられるサイズ排除クロマトグラフィ測定装置は、東ソー(株)、(株)島津製作所、Waters社などから市販されている。イオン交換基を有する多孔性粒子からなるカラム充填剤がカラムに充填されたもの及び溶離液を構成するサイズ排除クロマトグラフィ測定装置(以下、本装置と記すことがある)を利用してサイズ排除クロマトグラフィを行えばよい。 本発明の分子量測定方法を以下に例示する。まず、本装置によって市販品の平均分子量既知のポリエチレングリコールなどの標準物質についてサイズ排除クロマトグラフィを行い、得られたクロマトグラフから校正曲線を得る。別途、本装置によってカチオン性基及びアニオン性基を有する有機合成高分子についてサイズ排除クロマトグラフィを行い、得られたクロマトグラフと前記校正曲線とから、公知の方法で該有機合成高分子の平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定することができる。 以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。部、%は、特に断りがない限り、重量基準を意味する。また、1容量部とは水1部が4℃で示す容量を意味する。(有機合成高分子「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート」の合成) アクリル酸7.5部(12.4モル比)、メタクリル酸22.5部(31.1モル比)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート45部(34.1モル比)、メチルメタクリレート15部(17.8モル比)及びラウリルメタクリレート10部(4.5モル比)を10〜30℃にて混合し、単量体混合物100部を得た。ここで、モル比とは上記単量体の合計モル数を100とした場合の各モノマーのモル数を表す。 冷却器、窒素導入管、攪拌機及び滴下ロート及び加熱用のジャケットを装備した1L反応器に、イソプロピルアルコール(以下、IPAと記すことがある)150部とイオン交換水100部とを仕込み、攪拌しながら内温を80℃に調整した。反応容器を窒素置換した後、該単量体混合液の20部を一括投入した。さらに重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.67部添加し、同温度にて攪拌した。次に、該単量体混合液の80部を4時間かけて滴下しながら、同温度にて攪拌した。該単量体混合液の滴下開始から1時間毎に、上記重合開始剤を0.05部づつ、4回にわけて添加し、さらに3時間、同温度にて攪拌させた。続いて、得られた反応液が沸騰する程度まで昇温してIPAを留去し、留去後、内温を50℃に下げてから28%アンモニア水溶液を37.8部(74モル比)混合した後、粘稠な「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート(A)」を得た。(サイズ排除クロマトグラフィ) 下記条件を有する装置でサイズ排除クロマトグラフィを行った。機種 東ソー HCL-8220 GPCカラム TSKgurdcolumn−CP(ガードカラム)、 TSK−GELgel(東ソー株式会社の登録商標) G5000PWXL−CP、及び、G3000PWXL−CP を、この順に直列接続した。検出器 示差屈折計(RI)恒温槽温度 40℃流速(v) 0.8ml/分溶離液 硝酸ナトリウム0.2mol/L及び酢酸0.2mol/Lを含有する水(校正曲線の作成) 溶離液10mlに重量平均分子量が940000、610000、240000、37000、8500、4120、1000であるポリエチレングリコールを10mgずつを溶解した。得られた溶解液を上記装置の導入口から100μl注入し、クロマトグラフ得た。次いで、校正曲線を作成した。(「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート(A)」のサイズ排除クロマトグラフィ) 溶離液10mlに「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート(A)」25mgを溶解した。得られた溶解液を上記装置の導入口から100μl注入し、クロマトグラフを得た。得られたクロマトグラフと前記校正曲線とから、上記装置に具備するデータ解析装置によって、「カチオン性基及びアニオン性基を有するアクリレート(A)」の数平均分子量(Mn=4.0×103)、重量平均分子量(Mw=1.0×104)、分子量分布(Mw/Mn=2.7)が算出された。(参考例:光散乱法による重量平均分子量の測定) ゼータサイザーナノ ZS(MALVERN社製)を測定波長633nm(He−Neレーザー)、測定角度173°、測定温度25℃に調整し、アクリル樹脂(A)の濃度が0.2重量%、0.25重量%、0.5重量%、0.75重量%及び1重量%に調整された溶液について散乱光量を測定し、Debyeの式により近似した近似式の縦軸切片の逆数から、実施例とほぼ等しい重量平均分子量を求めることができる。 本発明により、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量を簡便かつ正確に測定することができる。 イオン交換基を有する多孔性粒子からなるカラム充填剤及び溶離液を構成するサイズ排除クロマトグラフィを行う工程を含むことを特徴とするアニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法。 アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子が、アニオン性の官能基を有するモノマー及びカチオン性の官能基を有するモノマー、並びに、必要に応じて、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーを重合して得られた有機合成高分子であることを特徴とする請求項1記載の分子量測定方法 アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子が、該有機合成高分子を構成する全てのモノマーに由来する構造単位100重量%に対し、アニオン性の官能基を有するモノマーに由来する構造単位20〜75重量%、カチオン性の官能基を有するモノマーに由来する構造単位2〜55重量%、並びに、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーに由来する構造単位10〜50重量%含有する有機合成高分子であることを特徴とする請求項1記載の分子量測定方法。 アニオン性の官能基を有するモノマーが、カルボキシル基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステル、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーであり、カチオン性の官能基を有するモノマーが、アミノ基を有する炭素数1〜10のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルであり、アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基のいずれも含まないモノマーが炭素数4〜20のアルキル基とα,β−不飽和カルボン酸とのエステルであることを特徴とする請求項2又は3記載の分子量測定方法。 多孔性粒子が、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位を含む有機系多孔性粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の分子量測定方法。 イオン交換基が、水酸基、グリシジル基及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン交換基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の分子量測定方法。 溶離液が、pH2〜5の水溶液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の分子量測定方法。 溶離液が、0.1〜0.3mol/Lの無機塩を含む水溶液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の分子量測定方法。 【課題】アニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法等を提供する。【解決手段】イオン交換基を有する多孔性粒子からなるカラム充填剤及び溶離液を構成するサイズ排除クロマトグラフィを行う工程を含むことを特徴とするアニオン性の官能基及びカチオン性の官能基を有する有機合成高分子の分子量測定方法。【選択図】なし


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