生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_濃厚流動食用乳化安定化組成物、及びそれを含む濃厚流動食
出願番号:2009037554
年次:2010
IPC分類:A61K 47/14,A23L 1/305,A23L 1/302,A23L 1/304,A23L 1/30,A61K 9/107,A61K 47/26,A61K 47/38,A61K 47/36,A61P 3/02


特許情報キャッシュ

森 裕紀 竹内 正一郎 JP 2010189353 公開特許公報(A) 20100902 2009037554 20090220 濃厚流動食用乳化安定化組成物、及びそれを含む濃厚流動食 第一工業製薬株式会社 000003506 蔦田 璋子 100059225 蔦田 正人 100076314 中村 哲士 100112612 富田 克幸 100112623 夫 世進 100124707 森 裕紀 竹内 正一郎 A61K 47/14 20060101AFI20100806BHJP A23L 1/305 20060101ALI20100806BHJP A23L 1/302 20060101ALI20100806BHJP A23L 1/304 20060101ALI20100806BHJP A23L 1/30 20060101ALI20100806BHJP A61K 9/107 20060101ALI20100806BHJP A61K 47/26 20060101ALI20100806BHJP A61K 47/38 20060101ALI20100806BHJP A61K 47/36 20060101ALI20100806BHJP A61P 3/02 20060101ALI20100806BHJP JPA61K47/14A23L1/305A23L1/302A23L1/304A23L1/30 ZA61K9/107A61K47/26A61K47/38A61K47/36A61P3/02 4 OL 8 4B018 4C076 4B018LB10 4B018MD01 4B018MD07 4B018MD14 4B018MD20 4B018MD23 4B018MD30 4B018MD33 4B018MD35 4B018MD67 4B018MD69 4B018MD71 4B018ME13 4B018ME14 4C076AA17 4C076BB01 4C076CC21 4C076CC40 4C076DD08F 4C076DD08Q 4C076DD09F 4C076DD09Q 4C076DD46F 4C076DD46Q 4C076DD68F 4C076DD68Q 4C076EE30F 4C076EE30Q 4C076EE31F 4C076EE31Q 4C076FF16 4C076FF36 4C076FF43 4C076GG45 本発明は、濃厚流動食の長期保存安定性を向上させる乳化安定化組成物、及びそれを含有してなる濃厚流動食に関する。 濃厚流動食とは、通常の食事の摂取が困難な手術前後の患者や老人等に主として供される栄養食であり、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル等をバランスよく含み、1kcal〜2kcal/mlになるようにカロリー調整された液状タイプが主流である。その投与は、通常、経管接種、或いは経口接種により行われる。 濃厚流動食は、通常、容器に充填して高温短時間レトルト(UHT)殺菌したり、UHT殺菌後に容器へ無菌充填して製造されるが、この殺菌工程のヒートショックにより、乳化状態が不安定になることがある。或いは長期保存した場合にクリーミングや分離といった好ましくない現象が生じることがある。そのために、乳化剤や安定剤を使用し、乳化を安定化する試みがなされている。 例えば特許文献1には、流動食を含む栄養組成物用の乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステルを併用することが開示されている。 また特許文献2には、液状飲食品組成物の乳化剤として有機酸モノグリセリドを使用することが開示されている。 さらに特許文献3には、流動食用の安定剤としてキサンタンガム及び/又はローカストビーンガムを使用することが示されている。 しかし、いずれの従来技術においても、濃厚流動食を数週間以上という長期間保存した場合にクリーミングや凝集物の生成を抑制する効果は未だ不十分である。特許第2881898号公報特許弟4063022号公報特許第3494495号公報 本発明は上記に鑑みてなされたものであり、長期間保存した場合でも、クリーミングや凝集物の生成を抑制でき、安定な乳化状態を維持できる濃厚流動食用乳化安定化組成物、及びそれを含んで得られる濃厚流動食を提供することを目的とする。 本発明の濃厚流動食用乳化安定化組成物は、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、及びミネラルを含有してなる濃厚流動食に添加される乳化安定化組成物であって、上記の課題を解決するために、ショ糖脂肪酸エステル及びグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有するものとする。 上記本発明の乳化安定化組成物において、ショ糖脂肪酸エステルはHLB値が3以下又は14以上であることが好ましい。 本発明の乳化安定化組成物には、微結晶セルロース及びカラギーナンから選択された1種以上をさらに含有させることが好ましい。 本発明の濃厚流動食は、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、及びミネラルを含有してなる濃厚流動食であって、上記した本発明の乳化安定化組成物を含有してなるものとする。 本発明の乳化安定化組成物によれば、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル及びグリセリン有機酸脂肪酸エステルを併用することにより長期にわたって安定な濃厚流動食を調製できる。さらに微結晶セルロース及びカラギーナンのうちの一方又は双方を添加することで、乳化状態の長期安定性の一層の向上が可能となる。 本発明では、乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルとを併用することが必要である。ショ糖脂肪酸エステルのみではクリーミングの抑制が不十分になり易く、グリセリン有機酸脂肪酸エステルのみでは長期保存時に粒子径の粗大化が生じ、経日的にクリーミング発生や凝集といった乳化不安定化が起こり易いが、両者を併用することによりこれらの問題を解決することができる。ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルの配合比は、重量比でショ糖脂肪酸エステル/グリセリン有機酸脂肪酸エステル=20/80〜80/20であるのが好ましい。 使用するショ糖脂肪酸エステルの組成は、HLB値が14以上であるか、又はHLB値が3以下であることが望ましい。ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は特に限定されないが、例えば炭素数8〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を好適に使用でき、これらの混合物であってもよい。HLB値が14以上或いはHLB値が3以下であるショ糖脂肪酸エステルをグリセリン有機酸脂肪酸エステルと併用すると、長期保存時のクリーミングや凝集や沈殿等の分離といった好ましくない現象を顕著に抑制することができ、仮にクリーミングが生じたとしても再分散性が良好となる。ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が上記範囲を外れると、グリセリン有機酸脂肪酸エステルと併用したときに、長期保存後の乳化粒子の粗大化が生じやすくなり、クリーミング発生時期が早まったり、クリーミングや凝集成分の再分散性が不十分となる傾向がある。 本発明で使用するグリセリン有機酸脂肪酸エステルの例としては、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル等が挙げられ、好ましくはグリセリンクエン酸脂肪酸エステルであるが、特に限定されず、2種以上を併用することもできる。 なお、上記ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルとの併用効果を損ねない範囲で、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆レシチン、卵黄レシチン等の他の乳化剤を併用することもできる。 本発明の乳化剤の使用量としては、上記ショ糖脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルの合計量として、流動食全体に対して0.05〜2重量%が適量である。0.05重量%未満であると乳化安定化効果が不十分であり、2重量%を超えると風味の点で問題となる。 本発明では、上記乳化剤にさらに安定剤を併用することで、乳化状態の長期安定化効果をより向上させることができる。安定剤としては、微結晶セルロース又はカラギーナンが好ましく、両者の併用が特に好ましい。 微結晶セルロースを使用することにより濃厚流動食のタンパク凝集を抑制したり、沈殿の発生を抑制したりすることができる。さらには、保存時の粒子の粗大化を抑制することができる。 微結晶セルロースの添加量は流動食全体に対して0.1〜2重量%が望ましい。0.1重量%未満であると濃厚流動食のタンパク凝集の抑制や沈殿防止という、添加の目的である効果が発揮されにくい。一方、2重量%を越えると、粘度が高くなり、例えば経管投与の場合に問題が発生する可能性があり、また逆に濃厚流動食の分離を生じることもある。 カラギーナンを使用した場合も、微結晶セルロースを使用した場合と同様の、タンパク凝集の抑制や沈殿防止という効果が得られ、両者を併用することでその効果はより向上する。ここで、使用するカラギーナンは、ラムダ、イオタ、カッパのいずれの型であっても良いが、特にイオタ型が好ましい。 カラギーナンの使用量は流動食全体に対して0.01〜0.2重量%が望ましい。但し、微結晶セルロースと併用する場合は、増粘を考慮すると0.01〜0.05重量%が望ましい。 本発明でいう濃厚流動食とは、少なくとも炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、及びミネラルをバランス良く含む液状食品である。 炭水化物は糖質又は食物繊維であり、糖質としては、ショ糖、ブドウ糖、果糖、澱粉、澱粉分解物、乳糖、マルトースなどの糖類が使用できる。食物繊維としては、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、セルロース等が使用できる。 脂質としては、コーン油、大豆油、ナタネ油、ヤシ油、ひまわり油、オリーブ油、牛脂、豚脂、MCT、エステル交換油などの食用油脂が使用できる。 タンパク質としては、脱脂粉乳、全粉乳、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、乳清タンパクといった乳タンパク質、ゼラチンや卵蛋白などの動物性タンパク質、大豆タンパクなどの植物性タンパク質などが使用できる。 ビタミンとしては、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、K、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンなどが使用できる。 ミネラルとしては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄等を含むことができる。 さらに微量元素として、亜鉛、銅、マンガン、セレン、ヨウ素、クロム、モリブデンなどを組み合わせて使用することもできる。 濃厚流動食を調製するには、水に、上記炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、及びミネラル等に本発明の乳化安定化組成物を添加して、常法に従い分散させればよい。その際、必要に応じて加熱してもよい。 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。〈濃厚流動食の調製〉 タンパク質(カゼインナトリウム)、糖質(デキストリン)、ミネラルミックス、ビタミンミックス及び表2に示す乳化安定化組成物(親水性乳化剤及び/又は安定剤)を表1に示した割合で水に添加し、70℃に加温した。これに表2に示す親油性乳化剤を含む油脂(大豆油)を添加しながら予備乳化を行い、次いで高圧ホモジナイザーを使って40MPaで均質化した。乳化状態となった濃厚流動食に121℃で20分間殺菌処理をした後、室温まで冷却した。〈濃厚流動食の保存安定性の評価〉 上記により得られた濃厚流動食につき、5℃で12時間、37℃で12時間の温度サイクルで14サイクル(2週間)経過後の外観を目視で観察し、クリーミングの有無、タンパク凝集・沈殿の有無を調べた。判定基準は次のとおりである。結果を表2に示す。 ◎:非常に良好(発生なし) ○:良好(ほとんど発生なし) △:やや不良(少し発生あり) ×:不良(顕著に発生あり) 表2に示した結果から分かるように、HLB値が3以下又は14以上のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、微結晶セルロース及びカラギーナンを含有させた実施例1及び2では、顕著な乳化安定化効果が認められた。また微結晶セルロース不使用の実施例3、及びショ糖脂肪酸エステルのHLB値が11で安定剤不使用の実施例4では、実施例1,2と比較すると安定化効果に劣るが実用化可能な程度であることが認められた。これに対し、従来技術に相当する比較例のものは、いずれもクリーミングやタンパク凝集・沈殿が発生した。 炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、及びミネラルを含有してなる濃厚流動食に添加される乳化安定化組成物であって、 ショ糖脂肪酸エステル及びグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有することを特徴とする濃厚流動食用乳化安定化組成物。 前記ショ糖脂肪酸エステルはHLB値が3以下又は14以上であることを特徴とする、請求項1に記載の濃厚流動食用乳化安定化組成物。 微結晶セルロース及びカラギーナンから選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の濃厚流動食用乳化安定化組成物。 炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、及びミネラルを含有してなる濃厚流動食であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化安定化組成物を含有してなる濃厚流動食。 【課題】長期間保存した場合でも、クリーミングや凝集物の生成を抑制でき、安定な状態を維持できる濃厚流動食用乳化安定化組成物、及びそれを含む濃厚流動食を提供する。【解決手段】炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、及びミネラルを含有してなる濃厚流動食に添加される乳化安定化組成物において、ショ糖脂肪酸エステル及びグリセリン有機酸脂肪酸エステルを含有させる。ショ糖脂肪酸エステルはHLB値が3以下又は14以上であることが好ましい。【選択図】なし


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