タイトル: | 再公表特許(A1)_インテグロン検出方法、環境中におけるインテグロン汚染検出方法、並びにプライマー対 |
出願番号: | 2009005222 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12Q 1/68 |
石川 秀 上野 嘉之 山澤 哲 JP WO2010041444 20100415 JP2009005222 20091007 インテグロン検出方法、環境中におけるインテグロン汚染検出方法、並びにプライマー対 鹿島建設株式会社 000001373 丹羽 俊輔 100129300 石川 秀 上野 嘉之 山澤 哲 JP 2008261167 20081007 C12N 15/09 20060101AFI20120210BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20120210BHJP JPC12N15/00 AC12Q1/68 AC12N15/00 F AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20120308 2010532817 27 4B024 4B063 4B024AA13 4B024CA04 4B024HA14 4B063QA01 4B063QA18 4B063QQ05 4B063QQ44 4B063QR14 4B063QR32 4B063QR62 4B063QR74 4B063QS25 4B063QS34 本発明は、クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対、該プライマー対を用いて核酸増幅を行う手順を含むインテグロン検出方法、環境中におけるインテグロンの汚染状況を環境試料から前記手順により検出するインテグロン汚染検出方法などに関する。 細菌などの病原性微生物が抗生物質などの薬剤に対して抵抗力を持つことを薬剤耐性という。薬剤耐性菌の出現は、感染症などの治療を困難なものにしている。また、近年、複数の薬剤に対し抵抗性を有する多剤耐性菌も出現・拡散しつつあり、難治性感染症や院内感染症の原因菌として重要になっている。その他、食中毒起因菌などでも、多剤耐性菌の出現が報告されている。 細菌の薬剤耐性化機構、特に多剤耐性化機構の一つとして、インテグロンの存在が知られている。 インテグロンは、外因性遺伝子カセットを挿入可能な構造を有するDNA領域である。一般的に、(1)インテグラーゼをコードする領域、(2)獲得した一又は複数の遺伝子カセットをコードする領域、(3)獲得遺伝子を発現させるプロモーター、以上3つの配列領域を含む。 インテグラーゼは、インテグラーゼをコードする領域の下流に遺伝子カセットを挿入する酵素である。インテグラーゼの働きで薬剤耐性遺伝子のカセットが挿入されると、その細菌は薬剤耐性を獲得する。また、インテグロンは、複数の薬剤耐性遺伝子を効率よく取り込むことができる遺伝子構造であり、複数の薬剤耐性遺伝子のカセットがインテグロンに集積されると、その細菌は多剤耐性化する。 インテグロンは、トランスポゾンと違い、その構造自体が遺伝子上を移動する能力はないと考えられているが、通常、プラスミドやトランスポゾン上に存在するため、獲得遺伝子(薬剤耐性遺伝子など)とともに、同一の菌種間、さらには菌種を越えて、水平伝播される可能性を有している。 現在のところ、インテグロンは、インテグラーゼをコードする領域の相同性に基づき、クラス1からクラス5に分類されている。 これらのインテグロンは、環境中にも広く存在し、また、薬剤暴露の頻繁な環境や、下水処理施設などで検出されることが知られている。 本発明の関連文献として、例えば、特許文献1には、微生物検査室における日常的診断用の臨床検体からの通常の細菌病原体および抗生物質耐性遺伝子を迅速に検出及び同定するための特異的および普遍的プローブおよび増幅プライマーについて、記載されている。非特許文献1には、インテグロンの概要が、非特許文献2〜3には、インテグラーゼの共通配列などが記載されている。なお、非特許文献4には、後述の実施例で用いた既知のプライマーが記載されている。特開2007−125032号公報Dider Mazel, “Integrons: agents of bacterial evolution”, Naturevol.4 :608-620 (2006)S. E. Nunes-Duby, et al “Similarities and differences among 105members of the Int family of site-specific recombinases”, Nucleic AcidResearch, 1998, Vol. 26, No.2, 391-406F. Drouin, et al, “The IntI-Like Tyrosine Recombinase of Shewanella oneidensisIs Active as Integron Integrase”, Journal of Bacteriology, Mar. 2002, Vol.184,No.6 p1811-1815Xu, H. et al, (2007), J. Bacteriol., 189, 6276-6283 上述の通り、インテグロンは、環境中にも広く存在し、また、薬剤暴露の頻繁な環境や、下水処理施設などで検出されることが知られている。また、インテグロンは、同一の菌種間、さらには菌種を越えて、水平伝播される可能性を有している。 そのため、例えば、環境中で多剤耐性遺伝子カセットを有するインテグロンが出現し、それらのインテグロンが菌種を超えて伝播された場合、新しい多剤耐性の病原菌が出現し、かつ人間の生活領域を含む環境中に広く拡散する可能性がある。従って、そのようなリスクを未然に防止するために、環境中におけるインテグロンの汚染状況を検出する手段が必要である。 一方、上述の通り、インテグロンは、現在のところ、クラス1からクラス5まで分類され、同定されているものだけでも多種類ある。それに対し、所定の環境中に含まれる多種多様なインテグロンの存在の有無を、簡易、低廉かつ高精度に検出する手段はほとんど知られていない。 そこで、本発明は、環境中に存在するインテグロンを簡易、低廉かつ高精度に検出する手段を提供することなどを主な目的とする。 本発明者らは、特定のクラス又は特定の種類のインテグロンだけでなく、複数のクラスのインテグロンを同時に検出する手段として、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対を作製し、かつ、それらのプライマー対を用いて核酸増幅を行うことにより、クラス1〜クラス4のインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅させることに成功した。 そこで、本願では、クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対、並びに該プライマー対を用いて核酸増幅を行う手順を含むインテグロン検出方法を提供する。 このプライマー対を用いて所定条件で核酸増幅を行い、DNA断片などの増幅の有無を検出することにより、環境中などから、簡易、低廉かつ高精度にインテグロンを検出できる。 本発明は、特定のクラス又は特定の種類のインテグロンを特異的に核酸増幅法で検出するのではなく、複数のクラスのインテグロンを同時に検出する手段である。従って、例えば、本発明に係る手段を用いて環境試料からインテグロンを検出することにより、環境中におけるインテグロンの汚染状況を検出できる。 また、本発明は、未知・未同定のインテグロンを検出する手段としても有効である。本発明に係るプライマー対は、特定のクラス又は特定の種類のインテグロンだけでなく、インテグロン全般の検出に有効である。従って、本発明に係る手段を採用することにより、未知・未同定のクラスや未知・未同定の種類のインテグロンを検出できる可能性がある。 本発明により、環境中などに存在するインテグロンを簡易、低廉かつ比較的高精度に検出できる。 <本発明に係るプライマー対> 本発明に係るプライマー対は、クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対を全て包含する。例えば、クラス1〜クラス4のインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対が好適である。 本発明に係るプライマー対は、例えば、クラス1〜クラス4のインテグロンの共通配列に基づいて設計してもよい。但し、本発明に係るプライマー対は、クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対であればよい。即ち、全クラスのインテグロンにおける所定領域の配列と完全に相同的である必要はなく、また、全クラス又はいずれかのクラスのインテグロンと非相同的な配列を一部に含んでいてもよい。 その他、配列の一部を4種類の通常の塩基と特異的に結合しない塩基に置換したDNA断片を用いてもよい。ここで、4種類の通常の塩基とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンをいう。 4種類の塩基と特異的に結合しない塩基は、特に限定されない。例えば、そのような塩基として、イノシンを用いることができる。 本発明に係る好適なプライマー対は、フォワードのプライマーが配列番号1〜4のいずれかの配列を少なくとも含むDNA断片であり、リバースのプライマーが配列番号5〜8のいずれかの配列を少なくとも含むDNA断片であるプライマー対である。 本発明に係るプライマーは、上述の各配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸断片も全て包含する。ストリンジェントな条件は、各プライマーの長さ、Tm値などに基づき、公知技術より取得できる。 <本発明に係るインテグロン検出方法> 本発明に係るインテグロン検出方法は、一又は二以上の本発明に係るプライマー対を用いて核酸増幅を行う手順を含むものを全て包含する。核酸増幅手段としては、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応、以下同じ)、定量PCRを用いた方法などを採用できる。定量PCRとしては、例えば、リアルタイムPCRなどを採用できる。 この方法は、既知のインテグロン(例えば、クラス1〜クラス4の既知のインテグロン)が試料中などに存在するかどうかを検出する手段として用いることができる。 また、この方法は、未知のインテグロン(例えば、クラス1〜クラス5に属しない未知・未同定のインテグロン)を探索する手段としても用いることができる。 上述の通り、本発明に係るプライマー対は、インテグロン全般の検出に有効である。従って、本発明に係る手段を採用することにより、未知・未同定のクラスや種類のインテグロンを検出できる可能性がある。 なお、核酸増幅の設定条件などは、公知の知見に基づき行えばよく、例えば、プライマーのTm値、増幅部分の長さ(bp)に応じて、適宜設定すればよい。また、プライマーは、一対のみを用いてもよく、二以上の対をカクテルして用いてもよい。 カクテルのプライマー対を用いる場合、各プライマーを等量ずつ添加してもよいし、目的などに応じて、プライマーごとに例えば10〜100倍の濃度差をつけて添加してもよい。一般的に、環境中では、クラス1インテグロンの構成比が他のクラスと比較して大きい場合が多い。その場合、例えば、クラス1以外のインテグロンを増幅させやすいプライマー対を、クラス1インテグロンを増幅させやすいプライマー対の濃度よりも10〜100倍多く添加することにより、クラス1以外のインテグロンを高感度に検出できる可能性がある。 本発明に係るプライマー対を用いて核酸増幅を行った場合、そのPCR産物は、ほぼ単一のバンド(ほぼ同一の分子量)で得られる。従って、例えば、核酸増幅を定量PCRにより行うことにより、試料中のインテグロンを定量的に検出・評価できる。 定量PCRは、公知の方法により、行うことができる。例えば、本発明に係るプライマー対で増幅するDNA鋳型(ポジティブコントロール)を用いて鋳型の濃度を振ってリアルタイムPCRを行い、各濃度における増幅曲線を取得し、その閾値と濃度に基づいて検量線を作成する。同時に、試料を鋳型として定量PCRを行って、増幅曲線を取得し、その閾値から検量線に基づき、インテグロンの含有濃度を推定する。 また、本発明に係る核酸増幅を行った場合に得られるPCR産物を、DGGE法(Denaturing Grandient Gel Electrophoresis;変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法、以下同じ)で解析することにより、そのPCR産物を構成する複数の核酸をそれぞれ分離・同定できる。 DGGE法による解析は、公知の方法により、行うことができる。例えば、グアニン又はシトシンが豊富な40塩基対程度の配列(以下、「GCクランプ」とする。)を一方のプライマーの5’末端に付加し、PCRを行う。そして、そのPCR産物をDGGE法により電気泳動することにより、ゲル内で、そのPCR産物を構成する複数の核酸がそれぞれのバンドとして分離される。ゲル内からそのバンドを切り出し、公知手段により、核酸を抽出、シーケンシングを行い、既知のインテグロンにおける同一領域の配列と比較することにより、インテグロンのクラス・由来・種・バリエーションなどに関する知見を得ることができる。 <本発明に係るインテグロン汚染検出方法> 本発明に係るインテグロン汚染検出方法は、一又は二以上の本発明に係るプライマー対を用いて核酸増幅を行い、環境試料からインテグロンを検出する手順を含むものを全て包含する。 上述の通り、環境中におけるインテグロンの汚染状況を検出することは、多剤耐性菌が人間の生活領域を含む環境中に広く拡散するリスクを評価する手段として有効である。本発明に係る手段を用いて環境試料からインテグロンを検出することにより、環境中におけるインテグロンの汚染状況を検出できる。 また、例えば、核酸増幅を定量PCRにより行ってもよい。これにより、環境中などにおけるインテグロンの汚染状況を定量的に検出・評価できる。 その他、本発明に係る核酸増幅を行った場合に得られるPCR産物を、DGGE法で解析してもよい。これにより、環境試料中に存在するインテグロンのそれぞれのクラス・由来・種・バリエーションなどに関する知見を得ることができるため、より詳細なインテグロンの汚染状況を検出・評価できる。 <本発明に係る核酸増幅により得られた核酸などについて> 本発明は、上述の本発明に係るプライマー対を用いて核酸増幅を行うことにより得られた核酸をすべて包含する。 上述の通り、本発明に係るプライマー対を用いることにより、既知及び未知のものを含め、複数のインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列(ほぼ同一の領域・長さの配列)を同時に増幅しうる。 従って、例えば、バイオセンサーなどにおいて、本発明で得られた種々の核酸をプローブ(検出子)として、環境試料中などの核酸とそれぞれハイブリダイゼーションさせることにより、インテグロンの存在やインテグロンのクラス・由来・種・バリエーションなどに関する知見を比較的簡易かつ低廉に取得できる可能性がある。なお、バイオセンサーの構成は公知技術を採用できる。 また、本発明は、例えば、本発明に係るプライマー対を用いて核酸増幅を行うことにより得られた一種又は複数種の核酸の全長又は部分長と実質的に同一の塩基配列又はその相補配列を有する一本鎖核酸を、それぞれ基板上などに固定化することにより、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)にも適用できる。 例えば、各クラス・各種・各バリエーションのインテグロンの配列のうち、本発明に係る核酸増幅により増幅される領域の全長又はその部分長の配列を有するDNAを基板上などに並べて配置することにより、環境試料中に含有したインテグロンのクラス・種・バリエーションなどを一回又は少数回の実験で検出・同定できる可能性がある。なお、DNAチップの基板などに核酸プローブを固定化などする方法は、公知手段を採用できる。 その他、本発明に係る核酸を蛍光プローブなどとして用いてもよい。例えば、本発明に係るプライマー対を用いて核酸増幅を行うことにより得られた核酸の部分長(PCR産物内部領域)と実質的に同一の塩基配列又はその相補配列を有する一本鎖核酸の両末端をそれぞれ蛍光レポーター及びクエンチャー(励起エネルギー吸収剤)で修飾し、それを蛍光プローブとして用いることにより、より高精度に定量PCRなどを行うことができる。なお、蛍光レポーターに用いる蛍光物質、クエンチャー、核酸の修飾方法、プローブ設計方法などについては、公知技術を採用できる。 本発明に係る核酸は、本発明に係るプライマー対を用いて核酸増幅を行うことにより増幅される領域の核酸であればよく、既知及び未知の各クラス・各種・各バリエーションのインテグロンにおける該領域の配列をすべて包含する。また、本発明に係る核酸には、DNA、RNAなどの核酸自体だけでなく、目的・用途などに応じてそれらに所定の修飾を施した核酸も広く包含される。 例えば、配列番号9又は22の塩基配列の全長又は部分長と実質的に同一の塩基配列又はその相補配列を有する一本鎖核酸は、クラス1インテグロン又は同クラスの既知又は未知のインテグロンを検出するためのプローブとして、バイオセンサー、DNAチップ、蛍光プローブなどに利用できる。 例えば、配列番号10、20、又は、21の塩基配列の全長又は部分長と実質的に同一の塩基配列又はその相補配列を有する一本鎖核酸は、クラス3インテグロン又は同クラスの既知又は未知のインテグロンを検出するためのプローブとして、バイオセンサー、DNAチップ、蛍光プローブなどに利用できる。 例えば、配列番号11〜19のいずれかの塩基配列の全長又は部分長と実質的に同一の塩基配列又はその相補配列を有する一本鎖核酸は、未知のインテグロンを検出するためのプローブとして、バイオセンサー、DNAチップ、蛍光プローブなどに利用できる。 なお、本発明に係る核酸は、バイオセンサー、DNAチップ、蛍光プローブなどの用途で用いる場合のみに狭く限定されない。 実施例1では、本発明に係るプライマーを用いて、環境試料からのインテグロン検出を試みた。 まず、下水汚泥1〜2mLを遠心(10,000rpm、5分間)し、「E.Z.N.A. Soil DNA Isolation Kit(Omega Bio−Tek, Inc.製、以下同じ)」を用いて、付属プロトコルに従い、沈降画分から鋳型DNA試料を調製した。 次に、鋳型DNAについて、PCRを行った。本発明に係るプライマーとして、配列番号1〜8のプライマーを同時にPCRカクテルに添加した。また、対照として、既知のクラス1〜クラス4のインテグロン検出用プライマーを、それぞれ、PCRカクテルに添加した(非特許文献2参照)。 PCRカクテルの組成を表1に、PCRの温度サイクルを表2に示す。なお、表1中、「Gene Amp dNTP MIX」、「Gene Amp 10× PCR Gold Buffer」、「AmpliTaq Gold DNApolymerase」はApplied Biosystems社製である。 次に、PCR産物を、アガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイドを用いて染色し、トランスイルミネーターを用いて可視化した。 結果を図1に示す。 図1は、本発明に係るプライマーを用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真である。 図中、レーン1はサイズマーカー(100〜1,000bp)を、レーン2はサイズマーカー(500〜5,000bp)を、レーン3は既知のクラス1インテグロン検出用プライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、レーン4は既知のクラス2インテグロン検出用プライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、レーン5は既知のクラス3インテグロン検出用プライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、レーン6は配列番号1〜4のプライマーを一度に用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、それぞれ表す。なお、図中の矢印は、プライマー設計に基づき、検出が予想されるバンドの位置を表す。 図1に示す通り、レーン3〜レーン5では、予想された位置にバンドが検出された。この結果は、実験に用いた下水汚泥に、クラス1、クラス2、クラス3のインテグロンが含まれていたことを示す。なお、クラス1及びクラス2のインテグロンについては、シーケンシングを行い、塩基配列を確認した。その他、レーン5では、予想された位置以外のバンドも検出された。これは、クラス3インテグロン検出用のプライマーを用いた場合の副産物であると推測する。 一方、図1のレーン6に示す通り、本発明に係るプライマーを用いて増幅した場合、プライマー設計に基づき検出が予想される位置(480bp付近)に、ほぼ単一のバンドが検出された。 実施例2では、実施例1において本発明に係るプライマーで増幅したPCR産物を制限酵素で処理し、その消化パターンからどのクラスのインテグロンが増幅されたか、検討を行った。 まず、上記PCR産物を、「illustra GFX PCR and Gel Band Purification Kit(GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製、以下同じ)」を用いて、付属プロトコルに従い、精製した。最終の溶出スケールは20μLとした。 次に、BciVI、EciI、PvuIIの3種類の制限酵素を用いて、37℃、1時間、その精製物を消化した。そして、その消化物を、アガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイドを用いて染色し、トランスイルミネーターを用いて可視化した。 ここで、制限酵素処理を行った場合における予想されるバンドの位置について、図2を用いて以下説明する。図2は、本発明に係るプライマーを用いてPCRを行った場合に得られるPCR産物の制限酵素地図である。 上述の通り、試料中にインテグロンが含まれている場合、PCRを行うと、プライマー設計に基づき、480bp付近にバンドが検出される。そのPCR産物について制限酵素処理を行うと、図2に示す通り、クラス1インテグロンが増幅された場合にはそれぞれ112、95、158、117bpに4つのバンドが、クラス2インテグロンが増幅された場合には482bpの単一のバンドが、クラス3インテグロンが増幅された場合にはそれぞれ112、370bpの2つのバンドが、クラス4インテグロンが増幅された場合にはそれぞれ210、275bpの2つのバンドが、検出されることが予想される。 結果を図3に示す。 図3は本発明に係るプライマーを用いて行ったPCR産物を制限酵素処理した場合における消化パターンを示す図面代用写真である。 図中、レーン1はサイズマーカー(100〜1,000bp)を、レーン2は実施例1で得たPCR産物(制限酵素未処理のもの;480bp)を、レーン3はサイズマーカー(100〜1,000bp)を、レーン4は実施例1で得たPCR産物を制限酵素処理した場合における消化パターンを、それぞれ表す。 図3のレーン4では、少なくとも6本の明瞭なバンドが検出された。 そのうち、矢印イで示すバンド(480bp付近)はクラス2インテグロン由来の断片、矢印ロで示すバンド(370bp付近)はクラス3インテグロン由来の断片、矢印ハで示すバンド(210bp付近)はクラス4インテグロン由来の断片、矢印ニで示すバンド(160bp付近)はクラス1インテグロン由来の断片であると推測する。 この結果は、本発明に係るプライマーを用いてPCRを行った場合、クラス1〜クラス4の全てのインテグロンが増幅されたことを示す。即ち、本実験結果は、本発明に係るプライマーを用いてPCRを行うことにより、複数の異なるクラスのインテグロンを同時に検出できることを示す。 実施例3では、本発明に係るプライマーを用いて、下水汚泥以外の環境試料からのインテグロン検出を試みた。 本実施例では、環境試料に浄化槽汚泥を用いた。浄化槽汚泥1〜2mLを遠心(10,000rpm、5分間)し、「E.Z.N.A. Soil DNA Isolation Kit」を用いて沈降画分から鋳型DNA試料を調製し、実施例1と同様の手順でPCRを行い、PCR産物を、アガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイドを用いて染色し、トランスイルミネーターを用いて可視化した。 結果を図4に示す。 図4は、環境試料に浄化槽汚泥を用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真である。図中の各記載は図1のものと同様である。 図4のレーン6に示す通り、本発明に係るプライマーを用いて増幅した場合、図1と同様、プライマー設計に基づき検出が予想される位置(480bp付近)に、ほぼ単一のバンドが検出された。 続いて、単一のバンドとして検出されたPCR産物を実施例2と同様の手順で制限酵素処理し、その消化パターンからどのクラスのインテグロンが増幅されたか、検討を行った。 結果を図5に示す。 図5は環境試料に浄化槽汚泥を用いて行ったPCR産物を制限酵素処理した場合における消化パターンを示す図面代用写真である。図中の各記載は図3のものと同様である。 図5のレーン4では、少なくとも6本の明瞭なバンドが検出された。この結果は、図3と同様、本発明に係るプライマーを用いてPCRを行った場合、クラス1〜クラス4の全てのインテグロンが増幅されたことを示す。即ち、本実験結果は、本発明に係るプライマーを用いてPCRを行うことにより、下水汚泥以外の環境試料についても、複数の異なるクラスのインテグロンを同時に検出できることを示す。 実施例4では、下水汚泥及び浄化槽汚泥由来のPCR産物についてクローン解析を行い、該試料中のインテグロンのクラスの多様性を調査した。 まず、実施例1などと同様に、下水汚泥及び浄化槽汚泥1〜2mLをそれぞれ遠心(10,000rpm、5分間)し、「E.Z.N.A. Soil DNA Isolation Kit」を用いて、付属プロトコルに従い、沈降画分から鋳型DNA試料を調製した。 次に、各PCR産物を「illustra GFX PCR and Gel Band Purification Kit」を用いて精製し、クローニングベクターに組み込み、ライブラリーを作製した。そして、得られた各クローンについて、シーケンシングを行い、GenBankデータベースの配列データと照合した。 結果を表3に示す。 表3に示す通り、クローン解析の結果、下水汚泥及び浄化槽汚泥のいずれにおいても、汚泥中に存在するインテグロンは、主にクラス1のものであった。特に、浄化槽汚泥では、塩基配列が解読できたクローンのうち、その大半(94%)をクラス1インテグロンが占めた。また、下水汚泥では、クラス3インテグロンの配列が6クローン確認された。PCR産物として得られたクラス1インテグロンの部分配列を配列番号9に、クラス3インテグロンの部分配列を10に、それぞれ示す。 BLASTを用いて相同性検索を行った結果、塩基配列を決定した領域(400〜500塩基)の配列とGenBankデータベースの配列データとの間で有意な相同性を示さなかったクローンが、下水汚泥由来のPCR産物中には1種類31クローン(未知配列A)、浄化槽汚泥由来のPCR産物中には2種類5クローン(未知配列B、C)存在した。PCR産物として得られた未知配列Aの配列を配列番号11〜16に(6つのバリエーション)、未知配列Bの配列を配列番号17及び18に(2つのバリエーション)、未知配列Cの配列を配列番号19に、それぞれ示す。 FASTAを用いて再度相同性検索を行った結果、未知配列Aは、大腸菌のプラスミド上に存在するクラス1インテグロンのインテグラーゼ領域の配列(アクセッション番号:EU675686)と65.5%の相同性が認められた。 同様に、未知配列Bは「Serratia marcescens」のクラス3インテグロンのインテグラーゼ領域の配列(アクセッション番号:AF416297)と67.6%の相同性が認められた。 同様に、未知配列Cは「Xanthomonas campestris」のインテグロンのインテグラーゼ領域の配列(アクセッション番号:AF324483)と66.7%の相同性が確認されたほか、「Shigella flexneri」のクラス1インテグロンのインテグラーゼ領域(アクセッション番号:AY574195)とも65.0%の相同性が確認された。 これらの結果は、A、B、Cの各未知配列がインテグロン類由来のバンドであることを示唆する。即ち、本発明が、新規・未知なインテグロンの検出にも有効であることを示唆する。 実施例5では、下水汚泥及び浄化槽汚泥由来のPCR産物について、DGGE法による解析を試みた。 まず、フォワードのプライマー(配列番号1〜4)の5’側上流に40bpのGCクランプを付加したプライマーをそれぞれ作製した。 次に、下水汚泥又は浄化槽汚泥から実施例1などと同様の方法で鋳型DNA試料を調製し、実施例1などと同様の手順・条件でPCRを行った。フォワードのプライマーとしてGCクランプを付加した配列番号1〜4の各プライマーを、リバースのプライマーとして配列番号5〜8の各プライマーを、同時にPCRカクテルに添加した。 次に、そのPCR産物を用いて、DGGE解析を行った。ゲルには、DNA変性剤の濃度勾配を25〜65%(7M尿素、40%ホルムアミド(脱イオン)を100%とする。)に調製した8%ポリアクリルアミドゲルを用いた。泳動槽を60℃に保温し、泳動電圧100Vで12時間電気泳動を行った。泳動後、SYBR Gold(登録商標、Molecular Probe社製)でゲルを染色し、観察した。 また、ゲル中のバンドを観察した後、それらのバンドを切り出し、DNAの塩基配列を決定した。DNAの回収は、切り出したゲルをTE緩衝液100μLの中に一晩浸透し、DNAを溶出させて行った。塩基配列の決定方法は、実施例4と同様の方法で行った。 結果を図6に示す。図6は、下水汚泥及び浄化槽汚泥由来のPCR産物について、DGGE解析を行った結果を示す電気泳動写真である。図中、レーン1は下水汚泥をサンプルに用いた場合の結果を、レーン2は浄化槽汚泥をサンプルに用いた場合の結果をそれぞれ表わす。「25%〜65%」は変性剤濃度勾配を、符号「イ」〜「ト」は、バンドの位置をそれぞれ表わす。 図6に示す通り、レーン1(下水汚泥)では「イ」〜「ニ」の4つのバンドが、レーン2(浄化槽汚泥)では「ホ」〜「ト」の3つのバンドがそれぞれ観察された。 各バンドについて、塩基配列を解読した結果、「イ」、「ロ」のバンド中のDNAがクラス3インテグロンのであること、及び、判読した482塩基中8塩基で両者の配列が相違することが分かった。「イ」のバンドから得られたDNAの配列(クラス3インテグロンの部分長配列)を配列番号20に、「ロ」のバンドから得られたDNAの配列(同じく、クラス3インテグロンの部分長配列)を配列番号21に、それぞれ示す。 また、レーン1の「ハ」、「ニ」のバンド中のDNA、及び、レーン2の「ホ」、「ヘ」、「ト」のバンド中のDNAがクラス1インテグロンであること、及び、これらがすべて同じ塩基配列であることが分かった。これらのバンドから得られたDNAの配列(クラス1インテグロンの部分長配列)を配列番号22に示す。 以上の結果は、本発明に係るPCR−DGGE法を用いることにより、インテグロンの多様性を可視化、プロファイリングできることを示す。 実施例6では、本発明に係るプライマー対について、各クラスのインテグロンに対する検出性能の選択性について、検討を行った。 まず、クラス1及びクラス2インテグロンのインテグラーゼ領域のDNAを調製した。下水汚泥を用いて実施例1などと同様の方法で鋳型DNA試料を調製し、既知のクラス1インテグロン検出用プライマー又は既知のクラス2インテグロン検出用プライマーを用いてPCRを行い、そのPCR産物を「illustra GFX PCR and Gel Band Purification Kit」を用いて精製した。 次に、(a)フォワードに配列番号1及び2の二種類のプライマー、リバースに配列番号5及び6の二種類のプライマー、(b)フォワードに配列番号3及び4の二種類のプライマー、リバースに配列番号7及び8の二種類のプライマー、(c)フォワードに配列番号1〜4の四種類のプライマー、リバースに配列番号5〜8の四種類のプライマー、のいずれかを用いて、下水汚泥由来のDNAを鋳型として、実施例1などと同様の方法により、PCRを行った。 結果を図7及び図8に示す。それぞれ、図7はクラス1インテグロンのインテグラーゼ領域を鋳型DNAに用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真、図8はクラス2インテグロンのインテグラーゼ領域を鋳型DNAに用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真である。 図7中、レーン1はサイズマーカー(100〜1,000bp)を、レーン2はサイズマーカー(500〜5,000bp)を、レーン3は既知のクラス1インテグロン検出用プライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、レーン4はフォワードに配列番号1及び2の二種類のプライマー、リバースに配列番号5及び6の二種類のプライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、レーン5はフォワードに配列番号3及び4の二種類のプライマー、リバースに配列番号7及び8の二種類のプライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、レーン6はフォワードに配列番号1〜4の四種類のプライマー、リバースに配列番号5〜8の四種類のプライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを、それぞれ表わす。 図8中、レーン3は既知のクラス2インテグロン検出用プライマーを用いて増幅した場合におけるPCRパターンを表わす。他のレーンは図7と同様である。 両図中、星印は既知のクラス1又はクラス2インテグロン検出用プライマーを用いて増幅した場合における予想されるバンドの位置を、矢印は配列番号1〜8のプライマーを用いて増幅した場合に予想されるバンドの位置を、それぞれ表わす。 図7では、フォワードに配列番号1及び2の二種類のプライマー、リバースに配列番号5及び6の二種類のプライマーを用いてPCRを行った場合、クラス1インテグロンを検出できたが(レーン4)、フォワードに配列番号3及び4の二種類のプライマー、リバースに配列番号7及び8の二種類のプライマーを用いてPCRを行った場合、クラス1インテグロンを検出できなかった(レーン5)。 一方、図8では、フォワードに配列番号1及び2の二種類のプライマー、リバースに配列番号5及び6の二種類のプライマーを用いてPCRを行った場合、及び、フォワードに配列番号3及び4の二種類のプライマー、リバースに配列番号7及び8の二種類のプライマーを用いてPCRを行った場合、いずれも、クラス2インテグロンを検出できた(レーン4、レーン5)。 以上より、本発明に係るプライマー対は、単独で又は複数を混合して用いることにより、複数の異なるクラスのインテグロンを同時に検出できる。 実施例7では、本発明に係るプライマー対を用いて環境試料中からインテグロンを検出する際における検出感度について、検討した。 下水汚泥由来のDNA、浄化槽汚泥由来のDNA、及び、クラス1及びクラス2インテグロンのインテグラーゼ領域のDNAを、それぞれ実施例1、3、6と同様の方法で調製した。 各DNAをそれぞれ10pg、1pg、100fg、10fg、1fg、100agになるように調整し、実施例1と同様の方法でPCRを行った。そして、それらのPCR産物を、アガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイドを用いて染色し、トランスイルミネーターを用いて可視化した。 その結果、いずれのサンプルでPCRを行った場合でも、鋳型DNAを100fg以上添加した場合に目的のバンドの増幅を確認できた。従って、環境試料から少なくとも100fgのDNAを取得できる場合、本発明に基づいて、インテグロンを検出可能である。 上述の通り、インテグロンは、環境中にも広く存在し、また、薬剤暴露の頻繁な環境や、下水処理施設などで検出されることが知られている。そのため、例えば、下水処理などでも分解されずに残存したインテグロンによって薬剤耐性遺伝子クラスターが様々な細菌に付与されたり、未知の多剤耐性病原菌が出現したりする可能性がある。従って、そのようなリスクを未然に防止するために、環境中におけるインテグロンの汚染状況を検出する手段が必要である。 本発明では、一度の検出操作で、環境中の複数種類のインテグロンを同時に検出できるため、環境中における広汎な検査、リスク評価などが可能である。例えば、各種廃水や環境中におけるインテグロンの汚染状況の検査、堆肥などの安全性の評価、空調設備中の薬剤耐性菌の検出などに適用できる。実施例1において、本発明に係るプライマーを用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真。本発明に係るプライマーを用いてPCRを行った場合に得られるPCR産物の制限酵素地図。実施例2において、本発明に係るプライマーを用いて行ったPCRの産物を制限酵素処理した場合における消化パターンを示す図面代用写真。実施例3において、環境試料に浄化槽汚泥を用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真。実施例3において、環境試料に浄化槽汚泥を用いて行ったPCR産物を制限酵素処理した場合における消化パターンを示す図面代用写真。実施例5において、下水汚泥及び浄化槽汚泥由来のPCR産物について、DGGE解析を行った結果を示す電気泳動写真。実施例6において、クラス1インテグロンのインテグラーゼ領域を鋳型DNAに用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真。実施例6において、クラス2インテグロンのインテグラーゼ領域を鋳型DNAに用いてPCRを行った際のPCRパターンを示す図面代用写真。 クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうる一又は二以上のプライマー対を用いて核酸増幅を行う手順を含むインテグロン検出方法。 環境中におけるインテグロンの汚染状況を検出するインテグロン汚染検出方法であって、 クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうる一又は二以上のプライマー対を用いて核酸増幅を行い、環境試料からインテグロンを検出する手順を含むインテグロン汚染検出方法。 前記核酸増幅を定量PCRにより行う請求項2記載のインテグロン汚染検出方法。 前記増幅した核酸をDGGE法により解析する手順を含む請求項2記載のインテグロン汚染検出方法。 フォワードのプライマーに配列番号1〜4のいずれかの配列を少なくとも含むDNA断片を、リバースのプライマーに配列番号5〜8のいずれかの配列を少なくとも含むDNA断片を、それぞれ一対又は二以上の対で用いて核酸増幅を行う請求項2記載のインテグロン汚染検出方法。 クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対。 請求項6記載のプライマー対を用いて核酸増幅を行うことにより得られた核酸。 請求項7記載の核酸の全長又は部分長と実質的に同一の塩基配列又はその相補配列を有する一本鎖核酸が少なくとも固定化されたDNAチップ。 【課題】環境中に存在するインテグロンの簡易、低廉かつ高精度な検出手段の提供。 【解決手段】クラス1〜クラス4のインテグロンのうち、複数のクラスのインテグロンにそれぞれ存在する所定領域の配列を同時に増幅しうるプライマー対を提供する。このプライマー対を用いて所定条件で核酸増幅を行い、DNA断片の増幅の有無を検出することにより、環境中などから、簡易、低廉かつ高精度にインテグロンを検出できる。本発明に係る手段を用いて環境試料からインテグロンを検出することにより、環境中におけるインテグロンの汚染状況を検出できる。また、本発明は、未知・未同定のインテグロンを検出する手段としても有効である。配列表