タイトル: | 特許公報(B2)_クルミとピーカンナッツの分別検出方法 |
出願番号: | 2008556158 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C12Q 1/68,C12N 15/09 |
矢野 竹男 酒井 裕美子 内田 浩二 中尾 義喜 石畑 公江 仲野 茂 山田 敏広 JP 5208772 特許公報(B2) 20130301 2008556158 20080130 クルミとピーカンナッツの分別検出方法 オリエンタル酵母工業株式会社 000103840 日清食品ホールディングス株式会社 000226976 松本 久紀 100097825 矢野 竹男 酒井 裕美子 内田 浩二 中尾 義喜 石畑 公江 仲野 茂 山田 敏広 JP 2007022175 20070131 20130612 C12Q 1/68 20060101AFI20130527BHJP C12N 15/09 20060101ALI20130527BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 A C12Q 1/68 C12N 15/00−15/90 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開2006−333729(JP,A) Eur.Food Res.Technol.,Vol.223(2006)p.373-377 American Journal of Botany, 2000, 87(6), p.872-882 3 JP2008051454 20080130 WO2008093753 20080807 9 20101209 三原 健治 本発明は、クルミとピーカンナッツの分別検出方法に関するものであり、更に詳細には、遺伝子を利用して簡便且つ正確に両者を分別、検出できる新規にして有用な方法である。 クルミ(walnut)とピーカンナッツ(pecannut:ペカンナッツともいう)は、いずれも食用クルミ科ナッツであって食用に供されるものである。そして、クルミに関しては、日本においてもクルミアレルゲンに対する患者数が増加していることから、日本商品標準分類(総務庁)での「クルミ」はアレルギー表示推奨品目に指定され、その検出方法の開発が急がれている。 一方、ピーカンナッツは、同じ食用クルミ科ナッツでありながら、日本商品標準分類では、クルミには分類されていない。日本商品標準分類 クルミ: 穀果類→その他穀果類→くるみ ピーカンナッツ:穀果類→その他穀果類→他に分類されない穀果類 このように両者はその分類が相違しているため、両者を分別することが必要となる。また、アレルゲン性については、両者は共通しているにもかかわらず、表示についてはクルミが推奨されているにすぎないが、アレルギーが発症したとき、アレルゲンがクルミなのかピーカンナッツであるのか特定する必要が出てきた。 そこで、最近開発されたELISAによるクルミアレルゲン検出系を適用したものの、クルミとピーカンナッツの両アレルゲンを検知してしまい、両者を分別、検出することはできなかった。このように、免疫化学的手法では、クルミのみを特異的に検出することは非常に困難であることが示された。たしかに、クルミアレルギー患者にとっては、食品中のクルミアレルゲンの検出方法としては、その方法は非常に有益である。しかし、日本では、食品表示の観点から、そしてまた、近年のピーカンナッツの輸入量の増加に伴い、クルミとピーカンナッツの分別方法の必要性は更に高まっている。 最近、ヨーロッパの研究チームによって、PCRによるクルミの特異的検出方法が報告された(非特許文献1)。しかし、その方法はキャピラリータイプのリアルタイムPCRであり、日本の食品分析で行われている標準方法であるブロックタイプPCRではない。日本におけるPCRによる食品分析は、特定の遺伝子を標的にしたブロックタイプのPCRが主流であり、この方法を利用して、コムギ、ソバ、ラッカセイ、ダイズ、キウイの検出方法が既に確立されている(非特許文献2)。 食物アレルギーを引き起こす可能性のある食用植物については、本発明者らも、該植物を特異的に検出できるプライマーを、それらのクロロプラストのmatK(maturase−encoding gene)遺伝子をもとに新たに設計し、これらのプライマーを用いてPCR法によって試料中のクルミの検出に成功した(特許文献1)。 本発明者らが開発した上記方法は、ブナ目クルミ科クルミ属のクルミDNAの他、同属のオニグルミDNA、ペルシャグルミDNA、及び同科プロテカリア属のサワグルミDNAを検出できる点で卓越している。しかしながら、近縁種である同目同科ペカン属のヒッコリーDNA、同目カバノキ科ハシバミ属のヘーゼルナッツDNA、同目ブナ科クリ属のクリDNAや、他の植物を含むその他の生物種DNAは検出しないことが強く示唆されている。 そして、上記した先願発明においても、食用クルミと近縁種であるブナ目クルミ科ペカン属の食用ピーカンナッツとを分別、検出することについては、何も記載されていない。両者の正確、簡便分別、検出に成功したのは本発明が最先である。 植物分類は、次のとおりである。 食用クルミ: Fagales(ブナ目);Juglandaceae(クルミ科);Juglans(クルミ) ピーカン:Fagales(ブナ目);Juglandaceae(クルミ科);Carya(ペカン) ヘーゼル:Fagales(ブナ目);Betulaceae(カバノキ科);Corylus(ハシバミ) 標的遺伝子(matK)情報は、次のとおりである。なお、カッコ内はGene Bank のAccession Numberを示す。 クルミ :Juglansx nigra(AF118036)、Juglans californica(AFI18027) ピーカン :Carya tomentosa(AFI18039) ヘーゼル :Corylus ubelluna(AY373445) 食用ピーカン :Carya illinoensis遺伝子情報未登録Eur. Food Res. Technol., 223, 373−377(2006)J. Food chem., 30, 215−233(2006)特開2006−333729 本発明は、クルミとピーカンナッツを正確、簡便に分別、検出する方法を新たに開発する目的でなされたものである。 上記目的を達成するため、本発明者らは、本発明者らに係る上記先願発明について、再度検討を行った。すなわち、先願発明においては、matK遺伝子に着目し、クルミ科ナッツの特異的検出のためのPCR用プライマーをデザインした(配列番号2、3)。このプライマーセット(図2)の特異性を確認した。その結果、このプライマーセットを使用したPCRで、クルミ科ナッツを特異的に検出できること、すなわち、クルミもピーカンナッツもともに検出することができた(図3)。更に、クルミとピーカンナッツの精製DNAで該プライマーでのPCRの検出限界を確認したところ、両者の検出感度は同程度であることが確認され(35サイクルで0.1pg(10ppm相当)以下)、結局、上記先願発明方法ではクルミとピーカンナッツを分別することは不可能であることが判った。 しかしながら、現在の日本商品標準分類では、ピーカンナッツはクルミに分類されておらず、したがって、ピーカンナッツとクルミの分別検出方法の確立が必要である。そこで本発明者らは、各方面から検討の結果、再度、先願発明に係るmatK遺伝子に着目した。 ブナ目クルミ科ペカン属としては、Carya illinoensis、Carya myristicacfrmis、Carya pallida、Carya texana、Carya ovata、Carya tomentosaが知られているが、該発明の標的遺伝子であるmatKの配列が既知のものはCarya tomentosaのみである。食用ナッツとしては利用されている種類はCarya illmoensis(matK 未知)であり、その他は木材として利用されている種類である。 このように食用ピーカンナッツであるカルヤ・イリノエンシス((Carya illinoensis)ではmatK遺伝子の配列が未知である。そこで、本発明者らはピーカンナッツのmatK遺伝子の解析を行い、その遺伝子配列を同定した。その塩基配列を配列番号1(図1)に示す。本配列と木材用ペカン(C.トメントーサ:ヒッコリー)のmatK遺伝子配列と比較したところ、相違することが明らかとなり、また、クルミmatK遺伝子とは1塩基の違いがあることも明らかとなり、ピーカンナッツのmatK遺伝子は、従来未知の新規配列であることが確認された。 本発明者らは、クルミとピーカンナッツのPCRで増幅される遺伝子領域でのわずか1塩基の相違(5’側から15番目の塩基:クルミがシトシン(C)であるのに対してピーカンナッツではアデニン(A)に置換している)にあえて着目し、このわずか1塩基の違いによる両者の分別という技術課題を新たに設定した。 そこで、本発明者らは、同定した配列情報を基に、クルミとピーカンナッツの分別の可能性を検討するため、新たに同定した食用ペカン(Pecan nut)のmatK遺伝子と既知のクルミ(Walnut)matK遺伝子及び木材用ペカン(Hickory)のmatK遺伝子配列を比較検討した(図1)。 その結果、上記わずか1塩基の置換によって、ピーカンナッツではクルミ遺伝子配列中に存在する制限酵素BfaIの部位が消失していることを発見した。また、木材用ペカン品種では、制限酵素BfaIの部位の他、クルミとピーカンナッツ共通に存在する制限酵素AclIの部位も消失していることを発見した。以上の発見を基に、制限酵素を利用して、クルミとピーカンナッツの分別の可否を検討し、可能であることを証明した。 すなわち、制限酵素BfaIとAclIを利用することで、クルミとピーカンナッツの分別検出ができるとの観点にたち、本発明者らは、このことを検証するため、クルミDNAから増幅させた増幅産物とピーカンナッツから増幅させた増幅産物とを用いて制限酵素による切断を行った。その結果、クルミとピーカンナッツのPCRで増幅される遺伝子領域にはAclI部位が共通して存在していること、クルミのPCRで増幅される遺伝子領域にはBfaIの制限酵素部位が存在するが、ピーカンナッツのPCRで増幅される遺伝子領域ではBfaIの制限酵素部位が消失していること、を確認した(図4)。 すなわち、アガロースゲル電気泳動図からも明らかなように、BfaI処理した後、BfaIサイトを有するクルミにおいては、切断されてクルミ特異断片(40bp、80bp)の2本のバンドが認められるのに対して、該サイトを有していないピーカンナッツでBfaI処理によっても切断されることなく120bpのバンドが1本認められるだけであることが確認された。 このことは、ピーカンナッツとクルミとが、matK遺伝子のわずか1塩基の相違によって分別できること、しかもその配列を直接比較しなくても、それぞれのPCR産物を制限酵素BfaI処理し、処理物の電気泳動パターンを比較するだけで簡単且つ正確に分別できることを明示するものであり、本発明は、これらの有用新知見に基づき更に研究の結果、遂に完成されたものである。 近年、日本において、クルミアレルゲンに対する患者数の増加および食用クルミ科ナッツであるペカンナッツの輸入量の増加に伴い、クルミとナッツの分別方法の開発が急がれていた。我々は遺伝子配列の明らかな、クロロプラストmatK遺伝子に着目し、クルミ科ナッツの特異的検出のためのPCR法を開発し、さらに、クルミとピーカンナッツの分別のため、ピーカンナッツmatKの配列を明らかにし、制限酵素を用いた、クルミとピーカンナッツの分別法を確立した。 本発明を実施するには、クルミ科matK遺伝子において配列番号1(図1、その中段(Pecan nut)にその配列を示す)の塩基配列で5’側から15番目の1塩基を検討すればよく、具体的には各試料からmatK遺伝子を分離して15番目の塩基がAであるかCであるかをその配列から直接確認してもよく、あるいはSNPs解析技術、たとえばSMAP法(理研)を利用してこれを実施することも可能である。 また、本発明は、上記のようにmatK遺伝子の配列自体を直接検討することなく、PCR法によって簡便に且つ迅速に、しかもそれでいて正確に両者を分別、検出することができる。 プライマーとしては、配列番号2の塩基配列で示されるDNAをセンスプライマー、配列番号3の塩基配列で示されるDNAをアンチセンスプライマーとして用いる(図2)。これらのプライマーは、先願発明においてクルミ用に本発明者らが開発したものであるが、ピーカンナッツにも利用できる点で特徴的である。 これらのDNAをプライマーとして用い、試料から抽出したゲノムDNAを鋳型として、PCRを行う。PCRは常法によればよく、例えば、Gene Amp(登録商標)PCR system 9700(Applied Biosystems)を用いて行う。増幅反応条件は以下のとおりである。:95℃、10分間のプレインキュベーション;95℃で0.5分間保持、64℃で0.5分間アニーリング、72℃で0.5分間エクステンション、72℃で7分間の最終エクステンションからなる増幅サイクルを35回実施する。 このようにして得たPCR増幅産物については、その塩基配列を確認し、既述したmatK遺伝子の場合と同様に特定1塩基を検討することによって両者の分別検出が可能となる。また、PCR産物の配列を検討するまでもなく、制限酵素BfaIで処理した後、PCR断片を電気泳動で検討することによっても、両者の分別検出が迅速且つ正確に行われる。 以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。(実施例1) (1)配列番号2(図2上段)、配列番号3(図2下段)の塩基配列でそれぞれ示されるDNAからなるプライマーを用い、各試料から抽出したゲノムDNAを鋳型として、PCRを行った。PCR反応は、常法によって行い、例えば既述した条件で行うことができる。 PCR反応終了後、アガロースゲル電気泳動によってPCR増幅産物を分離し、分離後のゲルをエチジウムブロマイドで染色後、UV照射下において増幅産物を視覚化することによって、増幅産物の有無を確認した。分子量マーカーとして100bp DNA Lader(New England BioLabs Inc., USA)を使用した。これらのPCRの結果を図3に記載した。その結果、ピーカンナッツ(レーン7)及びクルミ(レーン8)のいずれも同一パターンを示し、単なる電気泳動では両者は分別できないことが確認された。 (2)そこで、PCR産物の配列を確認することとした。配列確認方法は、次のとおりである。ピーカンナッツ(Carya illinoensis)のmatK遺伝子配列は未知であるので、スタンダードPCRクローニング技術によってその配列を同定した。 ピーカンナッツ(Carya illinoensis)のmatK遺伝子配列は未知であるため、PCR産物の塩基配列を確認することとした。塩基配列の確認方法は常法のTAクローニング技術(Marchuk,D,Drumm,M,Saulino,A., and Collins,F,S,Nuclwic Acids Res,19 1154,1991)によってその塩基配列を決定した。 具体的には、公知であるクルミmatK塩基配列(Genbank accession #AF118027)に照らして、クルミプライマーの外側の領域でプライマーセット(センスプライマー:クルミAF118027の378から402番目、すなわち、GGATTTCTAACCATCTTGTTATCCT、アンチセンスプライマー:クルミAF118027の1295から1319番目、すなわち、TCCAGAAGATGTTAATCGTAAATGA)を設計した。そのプライマーセットを用いてピーカンナッツDNAを鋳型にPCR反応を行った。得られたPCR産物のクローニングはTAクローニング用キットTOPO TA Cloning (Invitrogen社登録商標)を用いて行った。キットに添付されているクローニング用ベクターpCRII−TOPO vector(登録商標)にPCR産物を組み込み、当該クローニング用ベクターで宿主大腸菌(JM109)を常法に従い形質転換を行った。 当該ベクターにはアンピシリン耐性遺伝子が組込まれているため、アンピシリンを含むLBプレートで培養することで当該ベクターが導入された宿主のみを選択できる。得られたコロニーから任意に10個を選択し、ベクターにPCR産物遺伝子が組込まれているか否かをプライマーセットを用いたコロニーPCR法で確認した。選択した全てのコロニーでPCR産物遺伝子が組込まれていたことが確認できた。 さらに、それら10個のコロニーから任意に3個を選択し、塩基配列を確認するためPCR産物の組込まれたベクタープラスミドを精製し、当該クローニングベクターの塩基配列確認用に既に設計されているプライマー(M13 Foward(−20)PrimerおよびM13 Reverse Primer)を用い常法に従い塩基配列の決定を行った。確認した3クローン全てが同一の塩基配列であった。 決定したピーカンナッツmatK遺伝子のクルミプライマーで増幅される領域の塩基配列を図1に示す。また、食用を目的として市販されているピーカンナッツ2品目、アメリカアリゾナ州産ピーカンナッツ(プロフーズ社)およびアメリカ/オーストラリア産ウェスタンシュラ種(キッチンガーデン お菓子の材料ネットスト アパテリス)からDNAを抽出し、同様の方法にて塩基配列を確認したところ、2品目とも図1に示したピーカンナッツの塩基配列と一致していた。図中、Walnutはクルミ、Pecan nutはピーカンナッツ、Hickoryはヒッコリーを示す。ピーカンナッツの配列は、従来未知の新規配列であって、その塩基配列を配列番号1に示した。 これらの配列比較から、クルミとピーカンナッツでは15番目の塩基が1つだけ相違しているのはわかるが、わずか1塩基の違いで両者を分別検出できるとは予測できなかった。しかし、後記するように制限酵素処理によって1塩基の違いで両者が分別検出可能であることが確認された。わずか1塩基の違いで両者の分別が可能となることはまさに画期的なことであって極めて特徴的であり、高い特許性を有するものである。 したがって、両者を分別するためには、matK遺伝子の配列を比較して、15番目の塩基がAかCかによって両者を分別することができるし、また、SMAP法(理研)等によることもできる。しかしながら、本発明者らは更に簡便な方法を開発した。 (3)PCR断片の制限酵素処理によるクルミとピーカンナッツの分別を行った。 すなわち、試料として1、3、5、7はクルミPCR断片(50ng/ml)、2、4、6、8はピーカンナッツPCR断片(50ng/ml)を用いた。反応組成は、DNA量 2μL、酵素量 1μL(AclI:3000U/ml、BfaI: 5000U/ml)、全量を20μLとし、37℃で3.5時間インキュベートした。制限酵素処理物は、2.5%アガロースゲルで電気泳動した(3μL)。 電気泳動図を図4に示す。図面の結果から明らかなように、ピーカンナッツ(レーン6)とクルミ(レーン5、7)とは一見しても明らかなようにパターンが相違しており、レーン5、7においてはBfaIによって切断された2つのクルミ特異断片のパターンが示された。 この結果は、予想される断片長、すなわち、切断なしの場合は、両者とも120bp、AclIで切断した場合は、両者とも59bp、61bp、BfaIの場合は、クルミが40bp、80bpであるのに対してピーカンナッツが120bp、AclI+BfaIの場合は、クルミが19bp、40bp、61bpであるのに対してピーカンナッツが59bp、61bpであるので、予想される断片長とよく一致するものである。 したがって、PCR産物のBfaI処理物の電気泳動処理によって、ピーカンナッツとクルミとを簡便、迅速、且つ正確に分別、検出することができるのである。クルミ科matK遺伝子配列比較を示す。図中、中段(Pecan nut)に配列番号1の配列を示す。プライマーを示す。上段がセンスプライマー(配列番号2)、下段がアンチセンスプライマー(配列番号3)を示す。ナッツ類のPCR増幅産物の電気泳動パターンを示す図面代用写真である。図中、上段が植物標準プライマーの結果(コントロールに相当する)、下段がクルミ用プライマーの結果を示す。なお、CP03−5’、CP03−3’は、植物DNA検出用プライマーを指し、前者(F−primer)の配列は、CGGACGAGAATAAAGATAGAGT、後者(R−primer)の配列は、TTTTGGGGATAGAGGGACTTGAである。これらのプライマーに関する配列及びPCR条件は、平成18年6月22日付けの厚生労働省医薬品食品局からの通知「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」(食安発第0622003号)に記載されている。PCR断片の制限酵素処理による分別を示す電気泳動パターンの図面代用写真である。 図中、Walnutはクルミ、Pecan nutはピーカンナッツを示す。 クルミ科matK遺伝子の特異的検出のためのPCR用プライマーを用い、試料のDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅されたPCR産物配列中の配列表の配列番号1の塩基配列で15番目の塩基がアデニン(A)の場合はピーカンナッツと判定し、同じくシトシン(C)の場合はクルミと判定すること、を特徴とするクルミとピーカンナッツの分別検出方法。 配列表の配列番号2、3の塩基配列で示されるDNAをそれぞれプライマーとして用いること、を特徴とする請求項1に記載の方法。 請求項1又は2に記載のPCR産物を制限酵素BfaIで処理した後、電気泳動し、その電気泳動パターンの違いによりクルミとピーカンナッツを分別検出すること、を特徴とするクルミとピーカンナッツの分別検出方法。配列表