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タイトル:特許公報(B2)_イオン液体被覆参照電極及びその参照電極を用いた電気化学測定装置
出願番号:2008534387
年次:2012
IPC分類:G01N 27/30,G01N 27/416


特許情報キャッシュ

垣内 隆 野村 聡 山貫 幹人 岩本 恵和 芝田 学 JP 5036003 特許公報(B2) 20120713 2008534387 20070913 イオン液体被覆参照電極及びその参照電極を用いた電気化学測定装置 国立大学法人京都大学 504132272 株式会社堀場製作所 000155023 西村 竜平 100121441 佐藤 明子 100113468 齊藤 真大 100154704 垣内 隆 野村 聡 山貫 幹人 岩本 恵和 芝田 学 JP 2006248772 20060913 20120926 G01N 27/30 20060101AFI20120906BHJP G01N 27/416 20060101ALI20120906BHJP JPG01N27/30 311DG01N27/30 311CG01N27/46 353ZG01N27/46 351K G01N 27/30 G01N 27/416 G01N 27/401 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開2004−045279(JP,A) 特開平11−258197(JP,A) 特開2001−289812(JP,A) 特開2007−064971(JP,A) 芝田 学,西尾 友志,岩本 恵和,野村 聡,吉松 考宗,西 直哉,垣内 隆,イオン液体塩橋を用いた電位測定用比較電極についての基礎検討,日本分析化学会 第55年会 講演要旨集,2006年 9月 6日,P.162 Takashi Kakiuchi ,and Takahiro Yoshimatsu,A New Salt Bridge Based on the Hydrophobic Room-Temperature Molten Salt,Bulletin of the Chemical Society of Japan,2006年 7月15日,Vol.79, No.7,P.1017-1024 Amir Saheb, Jiri Janata, and Mira Josowicz,Reference Electrode for Ionic Liquids,Electroanalysis,2006年 2月,Vol.18, No.4,P.405-409 10 JP2007067856 20070913 WO2008032790 20080320 21 20100910 河野 隆一朗 この発明は、電極電位の算出や測定の基準となる参照電極及びその参照電極を用いた電気化学測定装置に関するものである。 現在もっとも広く用いられている銀/塩化銀電極(Ag/AgCl電極)又はカロメル電極(Hg/Hg2Cl2)等の参照電極(比較電極)は、金属本体と、前記金属本体を被覆するその金属の難溶性塩からなる難溶性塩膜とからなる電極を、難溶性塩を構成するアニオン、例えば塩化物イオン(Cl−)を含む水溶液に浸して安定な電位の発生を行わせるもので、第2種の電極原理に基づく参照電極と呼ばれている。これらの参照電極の電位は安定であるが、その電位は内部水溶液(内部液)中のCl−濃度に依存するため、その濃度を一定に保つ必要があり、また内部水溶液と試料溶液とを直接接触させることを避け、尚かつ液間電位差を一定に保つために、塩橋を用いる必要がある。 ところで、上記参照電極では、内部水溶液としてKCl溶液が用いられており、内部水溶液と試料溶液との液間電位差の変動を最小限に抑えるために、図18に示すように、Ag/AgCl又はHg/Hg2Cl2等からなる内部電極を高濃度(3.3M(M=mol/dm3)〜飽和)のKCl水溶液からなる内部水溶液に浸漬し、この内部水溶液がセラミックスやガラス等の多孔質からなる液絡部を介して試料溶液に接触するように構成してある(例えば、特許文献1参照)。 しかしながら、参照電極の内部水溶液として高濃度のKCl溶液を使用すると、常にK+とCl−が試料溶液側に移動し続け、KClが試料溶液中に流出することにより、試料溶液を汚染したり、内部液のKCl濃度が減少し、頻繁に補充、交換する必要が生じたりする、という問題がある。また、内部電極からAgClが溶出し液絡部の孔内に沈殿、付着し、液絡部が目詰まりを起こし正確な測定が妨げられるという問題もある。さらに、内部水溶液を用いた参照電極では、その揮発性を考慮した設計、例えば内部水溶液を収容する容積を大きくする等、が必要となり、参照電極の小型化が困難であるという問題が存在する。 一方、内部水溶液をゲル化又は導電性高分子で被覆する等の試みがなされているが、電位の安定性、再現性等において内部水溶液を用いる参照電極と比肩するものは存在しない。 そして、近時、本願発明者により疎水性イオン液体を用いた塩橋が発明されている。この塩橋を用いて参照電極を構成することにより、液絡部における液間電位差の変動をほぼ完全に除去し、試料溶液の汚染を最小限に止め、内部液の補充、交換の頻度が少なく、液絡部が目詰まりを起こさず、長期にわたって耐久性を維持し精度の高い測定を可能にすることができる。 しかしながら、依然として内部水溶液を用いるので、上述したように揮発性を考慮した設計が必要となり、参照電極の小型化が困難であるという問題がある。 また、非特許文献1に示すように、Ag/AgCl電極の表面にイオン液体を含むPVC(ポリ塩化ビニル)膜で被覆することにより構成した平面状基準電極がある。 この非特許文献1では、イオン液体含浸固体PVC電極は、イオン液体もイオン交換体も共に、Cl−イオンをアニオンとする塩であり、溶液中のCl−イオンに対してネルンスト応答することが期待されている。また、概ねそのように振る舞う結果が得られている(非特許文献のFig.2〜Fig.5参照)したがって、この電極は塩橋機能を有するものではないので、例えばガラス電極と塩橋を有する参照電極を組み合わせた電位差測定法(ポテンショメトリー)を用いるpH測定法にそのまま用いることはできない。また、その他のポテンショメトリーにもそのまま用いることはできず、塩橋を組み合わせる必要があるという、問題がある。特開平11−258197号公報マミンスカ レナータ(MAMINSKARenata) 外2名、「イオン性液体に基づく全固体小型化平面状基準電極(All-solid-state miniaturised planarreference electrodes based on ionic liquids)」、センサーズアンドアクチュエーターズB(Sensors and Actuators B)、第115巻、p.552−557、2006年5月23日 そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、疎水性イオン液体を用いた塩橋の利点を兼ね備え、短時間で電位が安定すること及び小型化が可能な参照電極の提供をその主たる所期課題とするものである。 すなわち本発明に係る参照電極は、金属本体と、前記金属本体を被覆する前記金属の難溶性塩からなる難溶性塩膜と、前記難溶性塩膜及び測定試料に接触して設けられ、前記難溶性塩が溶解している疎水性イオン液体と、を備えていることを特徴とする。なお、ここで「疎水性イオン液体が難溶性塩膜及び測定試料に接触する」とは、物理的な接触を意味しており、例えば難溶性塩膜で被覆した金属本体を疎水性イオン液体に浸漬すること、又は難溶性塩膜にさらに疎水性イオン液体を被覆することをいう。また、「疎水性イオン液体」とは、詳細は後述するが、有機又は無機陽イオンと有機又は無機陰イオンとの組み合わせからなり、融点が100℃以下で、水への溶解度が数mM(mmol/dm3)程度以下の疎水性の塩を主として意味する。ここで、イオン液体は、イオン性液体又は常温溶解塩等とも呼ばれる。さらに、「参照電極」とは、参照極、照合電極、基準電極、比較電極と同義である。 イオン液体は常温で溶融状態にある塩であるが、それを構成する陽イオンと陰イオンとがともに充分に疎水性であると、水と混じりあわず、水相と分離したイオン液体相を形成する。このため、水溶液と疎水性イオン液体とを接触させると、水溶液に含まれる親水性イオンは疎水性イオン液体中に移動できず、一方、疎水性イオン液体を構成するイオンは水溶液中に移動する(分配される)ものの、移動するイオンは僅かな量であり(水に対する分配係数が小さい)、直ちに界面近傍で分配平衡状態が成立する。 本発明はこのような疎水性イオン性液体の性質に着目して完成されたものであり、参照電極の内部水溶液を不要とする手段として、疎水性イオン液体を用いたものである。内部水溶液として高濃度KCl溶液を用い、KCl溶液と試料溶液とが直接液絡する従来の参照電極では、内部水溶液から試料溶液へのK+及びCl−の一方的な移動により液間電位差の変動が抑制されていた。 これに対して、内部水溶液を用いることなく、疎水性イオン液体を内部電極となる金属本体に難溶性塩膜を介して設ける場合、疎水性イオン液体を構成するイオンの試料溶液への移動量はごく僅かである。 従って、本発明に係る参照電極は、試料溶液の汚染を最小限に止め、内部水溶液を用いることによる内部水溶液と試料溶液との液間電位差という従来の参照電極が抱える問題点をほぼ完全に除去することができる。また、内部水溶液の定期的な補充や交換等のメンテナンス作業を省くことができる。更に、従来の多孔質からなる液絡部が不要となり、金属本体から金属塩が溶出しても孔内への金属塩の沈殿、付着を防ぐことができる。また、溶出速度を極めて低く抑えることができ、試料の汚染を抑えることができる。 さらに、KCl溶液等の揮発性の大きい内部水溶液を用いずに、揮発性の極めて小さい疎水性イオン液体を用いているので、内部水溶液の揮発性を考慮した設計をする必要がなく、参照電極を小型化することができる。さらに、疎水性イオン液体が難溶性塩膜及び試料溶液に接触して設けられているので、安定した電位、短時間での電位安定及び速い応答性を可能とすることができる。加えて、水への溶解度が数mM程度以下であるので、試料溶液の汚染等を抑えることもできる。 疎水性イオン液体の具体例としては、前記疎水性イオン液体が、イオン液体−水間移行標準ギブズエネルギーがほぼ同程度の大きさの陽イオンと陰イオンとから形成されるものが挙げられる。イオン液体−水間移行標準ギブズエネルギーとは、イオン液体を構成する陽イオン又は陰イオンが、標準状態においてイオン液体と水との間で移行するのに必要なギブズ(自由)エネルギーを意味する。また、そのエネルギーがほぼ同程度の大きさとは、オーダーとしてほぼ同程度であればよい。疎水性イオン液体とは、それを構成する陽イオンと陰イオンとのイオン液体−水間移行標準ギブスエネルギーの和が、標準状態(0.1MPa、25℃)において30kJ/mol程度以下のものを指す。この条件を満たすイオン液体は、水に難溶性を示す難溶性塩の一種である。イオン液体−水間移行標準ギブズエネルギーがほぼ同程度の大きさの陽イオン及び陰イオンの具体例としては、以下が挙げられる。 陽イオンとしては、例えば、4級アンモニウムカチオン、4級フォスフォニウムカチオン又は4級アルゾニウムカチオンの少なくとも1つ以上、より詳細には、(C2H5)4N+、C4mim+、C6mim+、C8mim+やC10mim+等のCimin(1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムイオン(iはアルキル基の炭素数を表す。))、(n−C3H7)4N+、(n−C4H9)4N+、Ph4As+の少なくとも1つ以上であるものが挙げられる。 また、陰イオンとしては、例えば、[R1SO2NSO2R2]−(R1、R2はそれぞれ炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基)、C2F5BF3−、C3F7BF3−やC4F9BF3−等のフッ素を含むボレートイオン、B(CN)4−(テトラシアノボレート)、BEHSS−(ビス(2−エチルヘキシル)スルフォサクシネイト)、C1C1N−(ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミドイオン)、P(CnF2n+1)3F3−(ここで、nは1〜6である。以下同じ。)、(CF3SO2)3C−、AsF6−、SbF6−、(CnF2n+1)SO3−、又は(CnF2n+1)COO−の少なくとも1つ以上であるものが挙げられる。このような陽イオン及び陰イオンからなる疎水性イオン液体は用途に合わせて適宜選択して用いることができる。 前記疎水性イオン液体中に、前記難溶性塩が飽和状態又は飽和状態に近い状態で含まれていることが望ましい。このようなものであれば、電極系を構成する各相(Ag、AgCl、イオン液体)間の平衡条件が確保されるので、電位の安定性を確保することができる。 参照電極の取り扱いを容易にし、さらにイオン液体被覆参照電極の形状の自由度が増し、他の電極との組合せにより従来とは異なる分野での利用も期待できるようにするためには、前記疎水性イオン液体がゲル化されていることが望ましい。これならば、疎水性イオン液体を固体化することができ、固体型参照電極を提供することができる。また、疎水性イオン液体の測定試料への流出をより有効に抑えることができ、それに伴い測定試料の汚染をさらに抑えることができる。さらに、ゲル化することにより当初の形態を維持する性質(形態維持性)を有するので、支持管を必ずしも必要とせず、参照電極の一層の小型化に寄与することができる。 前記疎水性イオン液体をゲル化する方法としては特に限定されないが、高分子化合物を用いてゲル化することができる。高分子化合物としては、測定試料に対するシールド性を考慮するとゴムが好ましく、被覆材料としての成形容易性を考慮すると樹脂が好ましい。また、このような高分子化合物としては、疎水性イオン液体との相溶性が高い疎水性高分子化合物が好ましく、例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリブチルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレンの誘導体等が挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンの誘導体としては、例えばサイトップ(登録商標)等の非晶質フッ素樹脂が考えられる。 具体的なゲル化手法としては、例えば、疎水性イオン液体をアセトンに溶解し、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体と混合し、所定時間放置した後アセトンを蒸発させて、ゲル化した疎水性イオン液体を得る方法が挙げられる。 前記陽イオンの具体例としては、 前記陽イオンが、 (化学式(1)において、R3、R4、R5は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。但し、アルキル基はヘテロ原子を含んでも良い。)、 (化学式(2)において、R6は炭素数12〜18のアルキル基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。)、 (化学式(3)において、R7は炭素数12〜18のアルキル基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。また、R8、R9は水素又はメチル基を表す。)、 (化学式(4)において、R10、R11は水素又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。)、 (化学式(5)において、R12、R13、R14、R15は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。但し、アルキル基はヘテロ原子を含んでも良い。また、Xは窒素、リン又はヒ素を表す。)、又は、 (化学式(6)において、R16、R17は水素又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R18、R19は水素又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。また、ZはNR20R21、OR22又はSR23を表す。ここでR20、R21、R22、R23は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)、の少なくとも1つ以上であることが好ましい。 また、本発明に係る電気化学測定装置は、上記に記載した参照電極、つまり、金属本体と、前記金属本体の少なくとも一部を被覆する前記金属の難溶性塩からなる難溶性塩膜と、前記難溶性塩膜及び測定試料に接触して設けられる疎水性イオン液体と、を備えている参照電極を有することを特徴とする。 このようなものであれば、上記参照電極の効果に加えて、電気化学測定装置の測定用電極(例えばpH電極)の内部電極を、本発明の参照電極の金属本体及び難溶性塩膜と同様の構成にすることにより、温度変化時における変化前と変化後の参照電極及び内部電極の電位変化をキャンセルすることができ、高精度に測定することができる。 このように本発明によれば、内部水溶液を用いることによる内部水溶液と試料溶液との液間電位差の試料溶液組成の変化に由来する変動をほぼ完全に除去することができる。また、内部水溶液の定期的な補充や交換等のメンテナンス作業を省くことができる。更に、従来の多孔質からなる液絡部が不要となり、金属本体から金属塩が溶出しても孔内への金属塩の沈殿、付着を防ぐことができる。また、溶出速度を極めて低く抑えることができ、試料の汚染を抑えることができる。その上、KCl溶液等の揮発性の大きい内部水溶液を用いずに、揮発性の極めて小さい疎水性イオン液体を用いているので、内部水溶液の揮発性を考慮した設計をする必要がなく、また、疎水性イオン液体自体が塩橋機能を有するため、小型化することができる。その上、小型化とともに、安定した電位及び速い応答性を可能とすることができる。本発明の一実施形態に係るイオン濃度測定装置の模式的構成図。同実施形態における参照電極の断面図。本発明の実施例1に係るモデル装置を示す模式図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を1mMから2000mMまで変化させて記録した端子間電圧の時系列変化を示す図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を1mMから2000mMまで変化させて記録した端子間電圧をKCl濃度の平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を20μMから500μMまで変化させて記録した端子間電圧の時系列変化を示す図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を20μMから500μMまで変化させて記録した端子間電圧をKCl濃度の平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図。本発明の実施例2に係るモデル装置を示す模式図。同実施例において試料溶液のKCl濃度が10mM、20mM、50mMそれぞれの場合における端子間電圧の短時間の時系列変化を示す図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を1mMから2000mMまで変化させて記録した端子間電圧の時系列変化を示す図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を1mMから2000mMまで変化させて記録した端子間電圧をKCl濃度の平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を20μMから500μMまで変化させて記録した端子間電圧の時系列変化を示す図。同実施例において試料溶液のKCl濃度を20μMから500μMまで変化させて記録した端子間電圧をKCl濃度の平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図。本発明の変形実施形態に係る参照電極の断面図。本発明の変形実施形態に係る参照電極の断面図。本発明の変形実施形態に係る参照電極の断面図。本発明の変形実施形態に係る参照電極の断面図。従来の参照電極を示す部分拡大断面図。符号の説明1・・・電気化学測定装置2・・・測定用電極3・・・参照電極31・・・金属本体32・・・難溶性塩膜33・・・疎水性イオン液体34・・・リード線4・・・電位差計(pH計本体) 以下、本発明の一実施形態に係る参照電極を用いた電気化学測定装置の一例について図面を参照して説明する。 <装置構成> 本実施形態に係る電気化学測定装置1は、図1に示すように、測定試料である試料溶液中の水素イオン濃度(pH)を測定するイオン濃度測定装置であり、測定用電極2と、参照電極3と、その測定用電極2及び参照電極3を試料溶液に浸漬したときに生じる電位差を検出する電位差計4と、電位差計4によって検出された電位差からイオン濃度を算出して表示する演算装置5とを備えている。なお、本実施形態において、試料溶液は、例えば純水又はボイラー水等の低イオン強度溶液であっても好適に使用できる。 測定用電極2は、本実施形態ではpH電極を用いているが、その他にもイオン選択性電極を用いることができる。測定用電極2の内部電極21は、後述する参照電極3の金属本体31及び難溶性塩膜32からなる電極と同じAg/AgClを用いている。 参照電極3は、図2に示すように、内部水溶液及びその内部水溶液を収容する支持管とが不要なものであり、金属本体31と、その金属本体31を形成する金属の難溶性塩からなり、金属本体31を被覆する難溶性塩膜32と、難溶性塩膜32及び試料溶液に接触して設けられるゲル化された疎水性イオン液体33と、前記金属本体31に接続され電位差計4に接続されるリード線34とを備えている。なお、この参照電極3は、疎水性イオン液体33をゲル化していることから固体型参照電極と呼ぶことができる。 金属本体31は、例えば銀(Ag)、水銀(Hg)等を用いることが考えられるが、本実施形態ではAgを用いている。その上端面にはリード線34が接続されている。このリード線34は外部に延出し電位差計4に電気的に接続される。なお、リード線34には絶縁を取れるようにテフロン(登録商標)コート35を施している。 難溶性塩膜32は、金属本体31の金属塩からなり、その金属塩は疎水性イオン液体33に対して難溶性を示し、その溶解度は数mM程度以下である。具体的には、金属本体31がAgの場合には塩化銀(AgCl)であり、Hgの場合には塩化水銀(Hg2Cl2)又は硫酸水銀(Hg2SO4)である。本実施形態ではAgClであり、金属本体31の上端面を除くほぼ全ての表面を被覆する薄膜である。 疎水性イオン液体33は、難溶性塩膜32を被覆するとともに、試料溶液に直接接触するものである。なお、本実施形態では難溶性塩膜32のほぼ全面を被覆している。また、疎水性イオン液体33はゲル化されて取り扱いを容易にし、使用中に難溶性塩膜32から剥離しないようにしている。 そして、本実施形態の疎水性イオン液体33は、疎水性がほぼ同一の陽イオンと陰イオンとから形成されている。また、電極系を構成する各相間の平衡条件を確保する観点から、疎水性イオン液体33中には、難溶性塩であるAgClが飽和状態で含まれている。 本実施形態に用いる疎水性イオン液体33としては、例えば下記の表1に示すものが挙げられる。これらは、疎水性イオン液体33と水との間の移行標準ギブズエネルギーがほぼ同程度の大きさの陽イオン及び陰イオンの組み合わせとなる一例である。 表1中の記載はそれぞれ以下のとおりである。 [Cimim]+:1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムイオン(iはアルキル基の炭素数を表す。) [CiCiN]−:ビス(ペルフルオロアルキルスルフォニル)イミドイオン(iはペルフルオロアルキル基の炭素数を表す。) [TPA]+:テトラペンチルアンモニウムイオン [THA]+:テトラヘキシルアンモニウムイオン [TOA]+:テトラオクチルアンモニウムイオン [TBA]+:テトラブチルアンモニウムイオン [BEHSS]−:ビス(2−エチルヘキシル)スルフォサクシネイトイオン [TFPB]−:テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートイオン [C18Iq]+:18−アルキルイソキノリウムイオン [TOMA]+:トリオクチルメチルアンモニウムイオン [C3F7BF3]−:パーフルオロプロピルトリフルオロボレートイオン 疎水性イオン液体33をゲル化する材料は特に限定されず、例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリブチルアクリレート、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の誘導体等の化合物が挙げられる。 前記フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体としては、例えばAldrich社製のものを用いることができる。フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いて疎水性イオン液体33をゲル化する方法としては特に限定されないが、例えば、疎水性イオン液体33をアセトンに溶解し、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えばMw=400000のもの)と混合し、一晩放置した後アセトンを蒸発させて、ゲル化した疎水性イオン液体33を得る。なお、疎水性イオン液体33と共重合体とアセトンとの比率や共重合体の分子量を適宜選択することによってゲル化した疎水性イオン液体33の硬さを変更することができる。例えば、体積比として疎水性イオン液体33が1に対して、共重合体とアセトンとの合計を10とすることで好適なゲル化した疎水性イオン液体33を得ることが可能である。 このように生成したゲル化した疎水性イオン液体33は水と混じり合わないので、試料溶液の溶媒(水)とそれが含有する親水性イオンとは、ゲル化した疎水性イオン液体33内にごく僅かしか移動することができない。一方、疎水性イオン液体33を構成するイオンは、試料溶液側に移動することが可能なものの、ごく僅かな量である。 <本実施形態の効果> 以上のように構成した本実施形態に係る電気化学測定装置1によれば、内部水溶液が不要であることから、内部水溶液を用いた場合の内部水溶液と試料溶液との液間電位差の試料溶液組成の変化に由来する変動をほぼ完全に除去することができる。また、内部水溶液の定期的な補充や交換等のメンテナンス作業を省くことができる。内部水溶液の支持管内の圧力の影響を考慮する必要もない。更に、従来の多孔質からなる液絡部が不要となり、金属本体から金属塩が溶出しても孔内への金属塩の沈殿、付着を防ぐことができる。また、溶出速度を極めて低く抑えることができ、試料の汚染を抑えることができる。その上、内部水溶液が不要になり内部水溶液のスペースを省くことができるとともに、内部水溶液の揮発性を考慮した設計が不要となるので、参照電極3を小型化することができる。さらに、疎水性イオン液体が難溶性塩膜及び試料溶液に接触して設けられているので、安定した電位、短時間で電位が安定すること及び速い応答性を可能とすることができる。さらに、測定用電極2の内部水溶液中に挿入される測定用電極用の内部電極21を参照電極3の金属本体31及び難溶性塩膜32と同じ構成にしているので、温度変化時における変化前及び変化後の参照電極3及び内部電極21の電位変化をキャンセルすることができ、高精度に測定することができる。 上記に加えて、例えば低イオン強度溶液等の試料溶液中に内部水溶液(例えばKCl溶液)の流出がなくなり、試料溶液のpH又はカリウムイオン、塩化物イオンなどの濃度変化を抑制することができる。 また、種々のイオン電極2に対する妨害を排除することができる。例えば塩化物イオン電極及びカリウムイオン電極に関していうと、Cl−、K+が試料溶液中に流出してしまい、測定対象イオンであるCl−、K+の濃度が変動してしまい測定誤差が出るという不具合を解決することができる。また硝酸イオン電極及びナトリウムイオン電極に関していうと、感応するイオンに影響を与えてしまい、それらイオン電極の選択性に影響を与えてしまうという問題を解決することができる。さらにチオシアン酸イオン電極及び銅イオン電極の場合には、チオシアン酸イオンとカリウムイオン及び銅イオンと塩化物イオンとが錯体を形成してしまい測定誤差が出るという不具合を解決することができる。銀イオン電極の場合には、塩化物イオンと反応して塩化銀が沈殿してしまうという問題を解決することができる。 <実施例1> 次に、本発明の参照電極を用いたモデル装置による端子間電圧測定の実施例1を示す。 本実施例のモデル装置は、図3に示すように、電圧測定セルと、その端子間電圧Eを測定するエレクトロメータとを備えている。そして、電圧測定セルは、多孔質ガラスを、塩化銀を飽和させた疎水性イオン液体と、疎水性イオン液体及び試料溶液とで挟んで、それぞれにAg/AgCl電極を挿入して構成される。なお、モデル装置は、電圧測定セルを一定温度(例えば25℃)に保つための冷却機構を備えている。また、本実施例において、疎水性イオン液体は、1−オクチルー3−メチルイミダゾリウムイオンとビス(ペルフルオロメチルスルフォニル)イミドイオンの組み合わせからなるC8mimC1C1Nである。 このように構成したモデル装置において、試料溶液を塩化カリウム(KCl)水溶液とし、その濃度xをx=1,2,5,…,2000mMと変化させたときの端子間電圧Eを測定した。 その結果を図4及び図5に示す。図4は、KCl水溶液の濃度xをx=1,2,5,…,2000mMと変化させたときの端子間電圧Eを示す図であり、図5は、そのときの端子間電圧Eを、試料溶液中のKClの平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図である。図4から、広い濃度範囲で、端子間電圧Eが安定していることが分かる。また、図5より、イオン活量の対数(log a)と端子間電圧(E)とは広い活量(濃度)範囲で直線関係を示していることが分かる。この応答は、試料溶液中のAg/AgCl電極がその溶液中のCl−の活量に対してネルンスト応答することによるものであるから、この結果は、疎水性イオン液体/試料溶液界面の電位差が塩化カリウムの広い活量範囲で一定であることを示している。 同様に試料溶液のKCl水溶液の濃度xを、C8mimC1C1Nの水への溶解度よりも低いx=20,50,100,200,500μMとして端子間電圧Eを測定した。 その結果を図6及び図7に示す。図6は、KCl水溶液の濃度xをx=20,50,100,200,500μMと変化させたときの端子間電圧Eを示す図であり、図7は、そのときの端子間電圧Eを、試料溶液中のKClの平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図である。図6から、KCl水溶液が極めて希薄な場合でも、端子間電圧Eが安定していることが分かる。また、図7より、イオン活量の対数(log a)と端子間電圧(E)とは広い活量(濃度)範囲で直線関係を示していることが分かる。この応答は、試料溶液中のAg/AgCl電極がその溶液中のCl−の活量に対してネルンスト応答することによるものであるから、この結果は、疎水性イオン液体/試料溶液界面の電位差が塩化カリウムの広い活量範囲で一定であることを示している。 <実施例2> 次に、本発明の参照電極を用いたモデル装置による端子間電圧測定の実施例2を示す。 本実施例のモデル装置は、図8に示すように、電圧測定セルと、その端子間電圧Eを測定するエレクトロメータとを備えている。そして、電圧測定セルは、Ag/AgCl電極の先端部分にゲル化した疎水性イオン液体を被覆させて、その先端部分を試料溶液に挿入し、また、通常のAg/AgCl電極を試料溶液中に挿入して構成される。なお、本実施例において、疎水性イオン液体は、前記実施例と同様に、C8mimC1C1Nであり、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体でゲル化されている。また、その疎水性イオン液体中は、AgClが飽和状態で含まれている。 このように構成したモデル装置において、試料溶液を塩化カリウム(KCl)水溶液とし、その濃度xをx=10、20、50mMと変化させたときの端子間電圧Eを測定した。 その結果を図9に示す。図9は、前記各濃度における端子間電圧Eの短時間の時系列変化を示すものであり、この図から、本発明の参照電極の示す電位が測定開始直後から安定であることが分かる。 次に、前記実施例1と同様に、KCl水溶液の濃度xをx=1,2,5,…,2000mMと変化させたときの端子間電圧Eを測定した。 その結果を図10及び図11に示す。図10は、KCl水溶液の濃度xをx=1,2,5,…,2000mMと変化させたときの端子間電圧Eを示す図であり、図11は、そのときの端子間電圧Eを、試料溶液中のKClの平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図である。図10から、ゲル化した疎水性イオン液体を用いた場合でも、広い濃度範囲で、端子間電圧Eが安定していることが分かる。また、図11より、イオン活量の対数(log a)と端子間電圧(E)とは広い活量(濃度)範囲で直線関係を示していることが分かる。この応答は、試料溶液中のAg/AgCl電極がその溶液中のCl−の活量に対してネルンスト応答することによるものであるから、この結果は、疎水性イオン液体/試料溶液界面の電位差が塩化カリウムの広い活量範囲で一定であることを示している。 同様に試料溶液のKCl水溶液の濃度xをx=20,50,100,200,500μMと変化させたときの端子間電圧Eを測定した。 その結果を図12及び図13に示す。図12は、KCl水溶液の濃度xをx=20,50,100,200,500μMと変化させたときの端子間電圧Eを示す図であり、図13は、そのときの端子間電圧Eを、試料溶液中のKClの平均イオン活量の対数に対してプロットした結果を示す図である。特に図12から、ゲル化疎水性イオン液体を用いた場合において、KCl水溶液が極めて希薄であっても、端子間電圧Eが安定していることが分かる。また、図13より、イオン活量の対数(log a)と端子間電圧(E)とは広い活量(濃度)範囲で直線関係を示していることが分かる。この応答は、試料溶液中のAg電極がその溶液中のCl−の活量に対してネルンスト応答することによるものであるから、この結果は、疎水性イオン液体/試料溶液界面の電位差が塩化カリウムの広い活量範囲で一定であることを示している。 <その他の変形実施形態> なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。 例えば、前記実施形態では、ゲル化した疎水性イオン液体33を用いることにより、支持管を不要とすることができるが、その他にも、ゲル化せずに疎水性イオン液体33を支持管36で収容するものであっても良い。この場合には、図14に示すように、金属本体31と、金属本体31を被覆する、その金属本体31の難溶性塩からなる難溶性塩膜32と、難溶性塩膜32に接触して設けられる疎水性イオン液体33と、前記疎水性イオン液体33を収容するとともに、前記疎水性イオン液体33を試料溶液に接触させるための液絡部361を有する支持管36とを備えたものである。このようなものであっても、KCl溶液等の内部水溶液を用いずに、常温において揮発性の極めて小さい疎水性イオン液体33を用いているので、疎水性イオン液体33を収容するスペースを小さくすることができ、従って参照電極3の小型化を実現することができる。 ここで、図14における液絡部361はピンホール型であるが、その他にもセラミック型、スリーブ型又はダブルジャンクション型のものであって良い。また、疎水性イオン液体33をゲル化することによって、疎水性イオン液体33の試料溶液への流出をさらに抑えることができる。 さらに、図15に示すように、疎水性イオン液体33が難溶性塩膜32から剥離、分離しないように保持する保持部材37をさらに備えていることが考えられる。保持部材37は、ゲル化した疎水性イオン液体33を難溶性塩膜32の周囲に固定又は支持するものであり、例えば編み目の粗い網状の膜、テフロン(登録商標)リング又は筒状のガラス管等が考えられる。これらを用いることで、作業性及び耐久性のさらなる向上を望むことができる。 加えて、図16に示すように、疎水性イオン液体33を2層構造にしても良い。つまり、難溶性塩膜32と接触する内側の疎水性イオン液体331と、その内側の疎水性イオン液体331を被覆する外側の疎水性イオン液体332とを備え、前記内側の疎水性イオン液体331は、難溶性塩を飽和状態で含み、前記外側の疎水性イオン液体332は、難溶性塩を含まないものである。なお、それぞれの疎水性イオン液体331、332は同一の疎水性イオン液体であり、ゲル化されている。 さらに加えて、図17に示すように、参照電極3を、有底のケーシング38と、そのケーシング38の底部から内部に延設された金属本体31と、金属本体31を被覆する、その金属本体31の難溶性塩からなる難溶性塩膜32と、難溶性塩膜32に接触するように前記ケーシング38内に設けられる疎水性イオン液体33とから構成しても良い。この場合、ケーシング38内の疎水性イオン液体33上に試料溶液を収容することによって電気化学測定を行う。そして、このような構成において、疎水性イオン液体33をゲル化又は固体化することによって、固体型参照電極を提供することができる。 また、参照電極は、シート基板にメッキした銀パターンを塩化銀化したものを用いても良い。この方法を用いることで、参照電極を平面化することができる他、半導体プロセスと組み合わせることで、小型pH電極への応用が可能となる。 さらに、前記実施形態のリード線は導線を用いているが、金属本体に用いた銀線をそのまま用いても良い。 加えて、前記実施形態では、本発明の参照電極を電気化学測定装置のうちイオン濃度測定装置に用いた場合を示したが、その他にも例えば、滴定装置、ポーラログラフ、電解分析装置、電量分析装置、又はORP計(酸化還元電位測定計)等の電気化学測定装置にも用いることができる。 その上、アルキル鎖の長さを変更したり、あるいはカチオンをアルキルフォスフォニウムに、アニオンをB(CN)4−やB(CF3)4−にするなど、組合せを変更することによって、電位の安定性を向上したり、コーティング性能の向上、電極寿命の向上を可能にすることができる。 その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。 本発明によれば、疎水性イオン液体を用いた塩橋の利点を兼ね備え、短時間で電位が安定すること及び小型化が可能な参照電極を提供することができる。 金属本体と、 前記金属本体の少なくとも一部を被覆する、前記金属の難溶性塩からなる難溶性塩膜と、 前記難溶性塩膜及び測定試料に接触して設けられ、前記難溶性塩が溶解している疎水性イオン液体と、を備えている参照電極。 前記疎水性イオン液体が、イオン液体−水間移行標準ギブズエネルギーがほぼ同程度の大きさの陽イオンと陰イオンとから形成されることを特徴とする請求項1記載の参照電極。 前記疎水性イオン液体中に、前記難溶性塩が飽和状態で含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の参照電極。 前記疎水性イオン液体が、ゲル化されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の参照電極。 前記疎水性イオン液体のゲル化が、高分子化合物によりなされる請求項4記載の参照電極。 前記高分子化合物が、ゴム又は樹脂である請求項5記載の参照電極。 前記高分子化合物が、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリブチルアクリレート、及び、ポリテトラフルオロエチレンの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項6記載の参照電極。 疎水性イオン液体は、 陽イオンが、4級アンモニウムカチオン、4級フォスフォニウムカチオン又は4級アルゾニウムカチオンの少なくとも1つ以上であり、 陰イオンが、[R1SO2NSO2R2]−(R1、R2はそれぞれ炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基)、フッ素を含むボレートイオン、B(CN)4−(テトラシアノボレート)、ビス(2−エチルヘキシル)スルフォサクシネイト、P(CnF2n+1)3F3−、(CF3SO2)3C−、AsF6−、SbF6−、(CnF2n+1)SO3−、又は(CnF2n+1)COO−の少なくとも1つ以上である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の参照電極。 前記陽イオンが、(化学式(1)において、R3、R4、R5は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。但し、アルキル基はヘテロ原子を含んでも良い。)、(化学式(2)において、R6は炭素数12〜18のアルキル基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。)、(化学式(3)において、R7は炭素数12〜18のアルキル基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。また、R8、R9は水素又はメチル基を表す。)、(化学式(4)において、R10、R11は水素又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、ヘテロ原子を含んでも良い。)、(化学式(5)において、R12、R13、R14、R15は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。但し、アルキル基はヘテロ原子を含んでも良い。また、Xは窒素、リン又はヒ素を表す。)、又は、(化学式(6)において、R16、R17は水素又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R18、R19は水素又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。また、ZはNR20R21、OR22又はSR23を表す。ここでR20、R21、R22、R23は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)、の少なくとも1つ以上である請求項8記載の参照電極。 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の参照電極を用いた電気化学測定装置。


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