タイトル: | 公表特許公報(A)_ポロキサマーの定量方法 |
出願番号: | 2008530539 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 30/88,G01N 30/26,G01N 30/74 |
ロッシ,マーラ JP 2009508132 公表特許公報(A) 20090226 2008530539 20060914 ポロキサマーの定量方法 アレス トレーディング ソシエテ アノニム 504104899 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 渡辺 陽一 100117019 中村 和広 100108903 中島 勝 100141977 ロッシ,マーラ EP 05108439.0 20050914 US 60/717,642 20050916 G01N 30/88 20060101AFI20090130BHJP G01N 30/26 20060101ALI20090130BHJP G01N 30/74 20060101ALI20090130BHJP JPG01N30/88 PG01N30/26 AG01N30/74 ZG01N30/88 101PG01N30/88 201G AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2006066383 20060914 WO2007031566 20070322 23 20080513 本発明は、液体タンパク質サンプル中におけるポロキサマー類に属する界面活性剤の分析測定の分野に関する。 ポロキサマーは、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)との非イオン性ブロック共重合体である。これらは界面活性剤、乳化剤、安定剤、及び分散剤として医薬製剤に用いられる。 ポロキサマーを特性付ける周知の分析法として、ポロキサマーとチオシアン酸コバルト(II)との錯体形成に起因する320及び620nmでのUV吸光度を分析する、熱量測定法がある。 Yun Maoら(Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 35 (2004), 1127)は、THFを移動相とするカラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)と屈折率(RI)検出とを使用したポロキサマーの測定法について記載している。この方法は、医薬製剤のアバプロ(Avapro)、ニューロンチン(Neurontin)及びスダフェド(Sudafed)に適用されたが、かかる有効成分は「低分子」である。低分子は、高分子量のポロキサマーから、SECにより簡便に分離される。 サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、別名ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、多孔性粒子を用いて異なるサイズの分子を分離するものである。この方法はポリマー分子の分離、並びにポリマーの分子量及び分子量分布の測定に、一般的に用いられている。孔径よりも小さな分子は、粒子内に進入可能であるために、粒子内に進入不可能な大分子と比べて経路が長くなり、通過時間もよりかかることになる。孔径よりも大きな分子は全て、保持されることなく一緒に溶出してしまう。孔に進入可能な分子の粒子内における平均滞留時間は、分子のサイズ及び形状に依存する。従って、異なる分子であれば、カラムの総通過時間も異なることになる。 ポロキサマーと同程度の分子量を有するタンパク質サンプル中における、ポロキサマーの定量を可能にする方法は、未だ提供されていない。 特に、タンパク質が5〜70kDa、好ましくは20〜70kDaの分子量を有する場合について、タンパク質サンプル中のポロキサマーの定量法が求められている。 本発明はタンパク質サンプル、特に液体医薬製剤等の液体タンパク質サンプル中における、ポロキサマーの定量を可能にする方法に関する。特に本発明は、タンパク質サンプル中のポロキサマーの定量方法を提供する。即ち、タンパク質製剤の約2年間の保存寿命の間の何れの時点においても、該製剤中のポロキサマー量を測定することが可能となる。 この液体タンパク質サンプル中のポロキサマーの定量方法は、前記サンプルを:(a)サイズ排除クロマトグラフィーカラムを用いて液体タンパク質サンプル中の成分を分離する工程;及び(b)屈折率を分析することでポロキサマーを検出する工程;に供する工程を含んでなる。 好ましくは、本発明は、液体タンパク質サンプル中のポロキサマーの定量方法であって、前記サンプルを:(a)サイズ排除クロマトグラフィーカラムを用いた分離工程;(b)移動相を用いた溶離工程;及び、(c)任意による、ポロキサマーの検出工程;に供する工程を含んでなる方法に関する。 即ち、サイズ排除クロマトグラフィーを、移動相を用いた溶離工程と組み合わせることにより、ポロキサマーを他の成分から分離することが可能になる。 ポロキサマーの検出は更なる工程において、例えばRI(屈折率)検出系を用いて溶離相を分析することにより行なわれる。 略語 以下の略語を本発明の説明に使用する。FSH:卵胞刺激ホルモン;r−FSH;r−LH;r−hCG;r−GH;r−IFN−β、r−TSH:組み換えFSH、LH、hCG、GH、INF−β、TSH;hFSH:ヒトFSH;r−hFSH:組み換えヒトFSHRI:屈折率KD又はKd又はkDa:キロダルトンSEC:サイズ排除クロマトグラフィーRT:室温WFI:注射用蒸留水ポロキサマー188(Poloxamer 188):BASF社のプルロニックF68(Pluronic F68)の別名。 本発明は、タンパク質サンプル中のポロキサマー(界面活性剤である)の定量を可能にする簡便な方法に関する。タンパク質サンプルとしては、液体タンパク質サンプルが好ましい。液体タンパク質サンプルは、如何なる形態の液体製剤であってもよいが、以下に説明する液体医薬製剤であることが好ましい。一実施形態によれば、液体医薬タンパク質サンプルは、単回又は多回投与用バイアルに収められる。 更なる実施形態によれば、分析対象となるタンパク質サンプルは凍結乾燥されてなり、分析の前に適切な水性溶媒に溶解される。 この液体タンパク質サンプル中のポロキサマーの定量方法は、前記サンプルを:(a)サイズ排除クロマトグラフィーカラムを用いて液体タンパク質サンプル中の成分を分離する工程;及び(b)屈折率を分析することでポロキサマーを検出する工程;に供する工程を含んでなる。 好ましくは、本発明は、液体タンパク質サンプル中のポロキサマーの定量方法であって、前記サンプルを:(a)サイズ排除クロマトグラフィーカラムを用いた分離工程;(b)移動相を用いた溶離工程;及び、(c)任意による、ポロキサマーの検出工程;に供する工程を含んでなる方法を提供する。 典型的には、サイズ排除カラムはSE−HPLCカラムであろう。 一実施形態によれば、ポロキサマーはポロキサマー188(Poloxamer 188)である。 好ましい実施形態によれば、液体タンパク質サンプル中のタンパク質の分子質量は、ポロキサマーの質量と同程度である。 好ましい実施形態によれば、前記液体タンパク質サンプル中のタンパク質は、5〜70kDa、より好ましくは20〜70kDaの分子質量を有する。 各ポロキサマーの質量に対するタンパク質の質量の比率は1:3〜10:1、好ましくは1:2〜1:7であることが好ましい。 本発明に係るタンパク質の例としては、哺乳動物タンパク質、例えば、ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモン等の成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α−1−抗トリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;絨毛性ゴナドトロピン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;因子VIIIC、因子IX、組織因子及びフォン・ヴィレブランド因子等の凝固因子;プロテインC等の抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;ウロキナーゼ又は組織プラスミノゲンアクチベーター(t−PA)等のプラスミノゲンアクチベーター;ボンバジーン;スロンビン;腫瘍壊死因子−α及び−β;エンケファリナーゼ;RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症タンパク(MIP−1−α);ヒト血清アルブミン等の血清アルブミン;ミュラー阻害物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連タンパク質;DNase;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモン又は増殖因子のレセプター;インテグリン;プロテインA又はD;リウマチ因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5、又は−6(NT−3、NT−4、NT−5、又はNT−6)等の神経栄養因子、又はNGF−P等の神経成長因子;血小板由来増殖因子(PDGF);aFGF及びbFGF、特にFGF−18等の線維芽細胞増殖因子;上皮成長因子(EGF);TGF−α及び、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4、又はTGF−β5を含むTGF−β等のトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及び−II(IGF−I及びIGF−II);デス(1−3)−IGF−1(des(1-3)-IGF-1)(脳IGF−I);インスリン様成長因子結合タンパク質;CD3、CD4、CD8、CD19及びCD20等のCDタンパク質;エリスロポエチン(EPO);トロンボポエチン(TPO);骨誘導因子;オステオポンチン;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン−α、−β、及び−γ等のインターフェロン;M−CSF、GM−CSF、及びG−CSF等のコロニー刺激因子(CSF);IL−1〜IL−10等のインターロイキン(IL);スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子(DAF);AIDSエンベロープの一部等のウィルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;イムノアドヘシン;抗体;並びに、上に列挙する任意のポリペプチドの生物活性断片又は変異体等が挙げられる。 中でも、本発明に係るタンパク質は、卵胞刺激ホルモン(FSH)、絨毛性ゴナドトロピン(CG)、黄体形成ホルモン(LH)、インターフェロン−β(IFN−β)、PEG化インターフェロン−β(IFN−β)、成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、線維芽細胞増殖因子18(FGF−18)又はオステオポンチンから選択されることが好ましい。 FSH、CG、LH及びTSHは、ゴナドトロピン類に分類される糖タンパク質である。ゴナドトロピンは、不妊症の治療に用いられる。 INF−βは、インターロイキン類に分類される糖タンパク質である。IFN−βは、多発性硬化症の治療に用いられる。 PEG−INF−βは、ポリエチレングリコール鎖から誘導されるINF−βである。これは安定性を向上させる。 成長ホルモンは、非グリコシル化タンパク質である。子供又は成人の成長ホルモン欠損の治療に用いられる。 FGF−18は、変形性関節症の治療に用いられる。 オステオポンチンは、グリコシル化された1本鎖のポリペプチドである。 好ましい一実施形態によれば、前記タンパク質は、ゴナドトロピン(FSH、LH、CG、TSH及び変異体)等のヘテロ2量体である。更なる実施形態によれば、前記タンパク質は、成長ホルモン(GH)又はインターフェロン−β(IFN−β、又はPEG化変異体等の変異体)である。別の更なる実施形態によれば、前記タンパク質は、FGF−18又はオステオポンチンである。 好ましい実施形態によれば、液体タンパク質サンプルは、1又は2種類以上の治療用タンパク質を含有する。かかるサンプルは、低分子量化合物等の非タンパク質治療剤を含まないことが好ましい。 本明細書で使用される限り、卵胞刺激ホルモン(即ちFSH)は、完全長の成熟タンパク質として作製されたFSHを指す。例としてはヒトFSH(即ち「hFSH」)が挙げられるが、これに限定される訳ではない。これは組み換えによって作製されたか、ヒト由来原料(例えば閉経後の女性の尿等)から単離されたかを問わない。 本方法は天然タンパク質のみならず、組み換えタンパク質にも適用可能である。一実施形態によれば、タンパク質製剤は、ヒト組み換えFSH、LH、CG、TSH、GH又はIFN−βである。 卵胞刺激ホルモン(FSH)は、ゴナドトロピン類に分類される糖タンパク質である。FSHは、女性患者及び男性患者の双方について、不妊症及び繁殖障害の治療(例えば、精子減少症を患う男性における精子産生の誘発等)に用いられる。 黄体形成ホルモン(LH)は、下垂体前葉から分泌されるゴナドトロピンである。LHは、女性患者において、FSHとの組み合わせで、OI(排卵誘発)及びCOH(過排卵誘起)に用いられ、特に、内因性LHレベルが極めて低い患者や、LHに抵抗性を示す患者、例えば下垂体性機能不全性生殖機能不全(HH、WHOグループI)を患う女性や、高齢(即ち35歳以上)の患者、並びに、着床又は早期流産が問題となっている患者等に用いられる。 絨毛性ゴナドトロピン(CG)は、胎盤から生成されるゴナドトロピンであり、妊婦の尿から得られる。CGは、LHと同じレセプターに作用し、同じ反応を誘発する。CGは、LHよりも循環半減期が長いことから、通常はLH活性の長期作用源として用いられる。CGをOI及びCOH療法に用いることにより、自然状態のLHピークが模倣され、排卵が誘発される。FSHによる、或いはFSHとLHとの混合物による刺激の最後に、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の注射を用いて排卵を誘発する。また、OI及びCOHのための刺激期間において、CGをFSHと併用することにより、上述のような、LH活性が所望される患者の刺激時に、LH活性を付与してもよい。 FSH、LH及びCGは、ヘテロ2量体の糖タンパク質ホルモンファミリーのメンバーである。かかるファミリーには甲状腺刺激ホルモン(TSH)も含まれる。このファミリーのメンバーはヘテロ2量体であり、α−サブユニットとβ−サブユニットとを含んでなる。これらのサブユニットは、非共有結合的相互作用によって、相互に支持されている。ヒトFSH(hFSH)ヘテロ2量体は、(i)他のヒトファミリーのメンバー(即ち、絨毛性ゴナドトロピン(「CG」)、黄体形成ホルモン(「LH」)、及び甲状腺刺激ホルモン(「TSH」))に共通する、92個のアミノ酸からなる成熟した糖タンパク質のα−サブユニット;及び(ii)FSHに特有の、111個のアミノ酸からなる成熟したβ−サブユニットから構成される。ヒトLHヘテロ2量体は、(i)前述の、92個のアミノ酸からなる成熟した糖タンパク質のα−サブユニット;及び(ii)LHに特有の、112個のアミノ酸からなる成熟したβ−サブユニットから構成される。糖タンパク質のα−サブユニット及びβ−サブユニットは製剤時に、保存剤、界面活性剤及び他の賦形剤との相互作用によって分解され易い傾向がある。サブユニットの分解は、生物学的効力の低下を招く。 FSHは、筋肉内(IM)注射用又は皮下(SC)注射用に製剤される。一実施形態によれば、FSHは凍結乾燥(固体)形態として、バイアル又はアンプル中、75IU/バイアル及び150IU/バイアルで供給され、2〜25℃での保存時に1年半〜2年間の保存寿命を有する。注射用溶液は、前記凍結乾燥物を注射用蒸留水(WFI)に再溶解させて作製する。更に、22μg/0.5ml、33μg/075ml又は66μg/1.5mlのFSHと、ポロキサマー188、ショ糖、緩衝剤、メチオニン及びm−クレゾールとを含んでなる液体FSH製剤が利用可能である(Gonal-F pen)。 よって、FSHはバイアル又はアンプル中、単回投与及び多回投与の両形式で、液剤として製剤されてきた。単回投与形式は、使用に先立つ保存の際に、安定性及び効力を維持しなければならない。多回投与形式は、使用に先立つ保存の際に安定性及び効力を維持するのみならず、アンプルの開封後、多回投与計画の全投与期間を通じて、安定性及び効力を維持するとともに、細菌が比較的少ない状態で維持しなければならない。かかる理由から、多回投与形式は通常、ベンジルアルコールやm−クレゾール等の静菌剤を含有する。 LHは、筋肉内(IM)注射用又は皮下(SC)注射用に製剤される。一実施形態によれば、LHはは凍結乾燥(固体)形態として、バイアル又はアンプル中、75IU/バイアルで供給され、2〜25℃での保存時に1年半〜2年間の保存寿命を有する。注射用溶液は、前記凍結乾燥物を注射用蒸留水(WFI)に再溶解させて作製する。Luveris(商標)にはLHの他に、賦形剤としてショ糖、緩衝剤、ポリソルベート20、メチオニンが含まれている。最近、ポロキサマー188を含有するLH製剤が報告されている(国際公開公報WO2004/087213)。 hCGを含有する液体医薬組成物も市販されている。例えば、pH7のリン酸バッファー中にマンニトール、メチオニン、ポロキサマー188を含有する、Ovitrelle(商標)が挙げられる。 「変異体」という表現は、ヒトFSH、LH、CG、TSH、IFN−β又はGHとはアミノ酸配列、グリコシル化のパターン、又はサブユニット間の結合が異なるものの、FSH、LH、CG、TSH、IFN−β又はGHに相当する生物活性を示す分子を包含する意である。例としては、CTP−FSHが挙げられる。これは、野生型のα−サブユニットと、hCGのカルボキシ末端ペプチドがFSHのβ−サブユニットのC末端に融合した、ハイブリッド型β−サブユニットとからなる、長時間作用型修飾組み換えFSHであって、LaPolt et al.; Endocrinology;1992, 131, 2514-2520、又は、Klein et al.; Development and characterization of a long-acting r-hFSH agonist; Human Reprod. 2003, 18, 50-56 等に記載されている。また、単鎖CTP−FSHも挙げられる。これは以下の配列(N末端からC末端へ)からなる1本鎖分子である。 ここで、Klein ら(Pharmacokinetics and pharmacodynamics of single-chain recombinant human follicle-stimulating hormone containing the human chorionic gonadotrophin carboxyterminal peptide in the rhesus monkey; Fertility & Sterility; 2002, 77, 1248-1255)に記載の通り、βFSHは、FSHのβ−サブユニットを表わし、βhCG CTP(113−145)は、hCGのカルボキシ末端ペプチドを表わし、αFSHは、FSHのα−サブユニットを表わす。FSH変異体の他の例としては、国際公開公報WO01/58493(Maxygen)に開示の(特に国際公開公報WO01/58493の請求項10及び11に開示の)、α−サブユニット及び/又はβ−サブユニット内に更なるグリコシル化部位が組み込まれてなるFSH分子、並びに、国際公開公報WO98/58957に記載の、サブユニット間にS−S結合を有するFSH分子が挙げられる。 本明細書で言及するFSH変異体には、完全長の成熟FSHタンパク質よりも短い、β−サブユニットのカルボキシ末端欠失体も含まれる。FSHヘテロ2量体又はFSH変異体ヘテロ2量体は、任意の適切な方法により作製することができる。かかる方法としては、組み換え技術、(適切な場合には)天然材料からの単離又は抽出、又は化学合成、或いはこれらの任意の組合せ等が挙げられる。 「変異体」には、タンパク質のPEG化型も含まれる。 「組み換え」という語は、組み換えDNA技術の使用を通じて作製される、FSH、LH、CG、TSH、GH、IFN−β又は変異体の調製を表わすのに用いられる(例えば、国際公開公報WO85/01958を参照)。組み換え技術によりFSH又はLHを発現させる方法の一例として、欧州特許EP 0 211 894及び同EP 0 487 512に記載のように、FSH又はLHのα−及びβ−サブユニットをコード化するDNA配列を、単一のベクターにより、或いは2つのベクターにより(各サブユニットに個別にプロモーターを付与して)、真核細胞にトランスフェクトさせる方法が挙げられる。組み換え技術によってFSH又はLHを作製する別の例としては、欧州特許第EP 0 505 500号(Applied Research Systems ARS Holding NV)に記載されるように、FSH又はLHのサブユニットをコード化する内在配列と作動式に連結されるように、異種の調節セグメントを相同性組み換えによって挿入する方法が挙げられる。 本発明に従って用いられるFSH又はFSH変異体は、組み換え手段により(例えば哺乳動物細胞等から)作製されるのみならず、他の生物源(例えば尿等)から抽出することもできる。好ましい方法としては、Hakola, K. Molecular and Cellular Endocrinology, 127:59-69, 1997、Keene et al., J. Biol. Chem., 264 :4769-4775, 1989、Cerpa-Poljak et al., Endocrinology, 132:351-356, 1993、Dias et al., J. Biol. Chem., 269:25289-25294, 1994、Flack et al., J. Biol. Chem., 269:14015-14020, 1994、Valove et al., Endocrinology, 135:2657-2661, 1994、米国特許第3,119,740号、及び米国特許第5,767,067号に記載される方法が挙げられる。 本明細書で用いられる黄体形成ホルモン(又はLH)は、完全長の成熟タンパク質として作製されたFSHを表わす。例えばヒトLHが挙げられるが、これに限定される訳ではない。これは組み換えにより作製されたか、ヒト由来材料(例えば閉経後の女性の尿等)から単離されたかを問わない。ヒト糖タンパク質のα−サブユニットのタンパク質配列を配列番号1に示し、ヒトLHのβ−サブユニットのタンパク質配列を配列番号6に示す。好ましい実施形態によれば、LHは組み換え体である。 「LH変異体」という表現は、ヒトLHとはアミノ酸配列、グリコシル化のパターン、又はサブユニット間の結合が異なるが、LH活性を示す分子を包含する意である。 LHヘテロ2量体又はLH変異体ヘテロ2量体は、任意の適切な方法により作製することができる。かかる方法としては、組み換え技術、(適切な場合には)天然材料からの単離又は抽出、又は化学合成、或いはこれらの任意の組合せ等が挙げられる。 本発明の液体タンパク質サンプルには、FSH/LH及び変異体の混合物も含まれ(国際公開公報第WO2004/087213号)、更にはFSH、及びhCG、及び変異体(国際公開公報第WO2004/105788号)も含まれる。 「水性希釈剤」という語は、水を含有する液体溶媒を指す。水性溶媒系は、水のみからなるものでも、水と1種又は2種以上の水混和性の溶媒とからなるものでもよい。また、糖、緩衝剤、塩又は他の賦形剤等の溶質が溶解されていてもよい。より一般的に用いられる非水性溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール等の短鎖有機アルコール、アセトン等の短鎖ケトン、及びグリセロール等の多価アルコールである。 「静菌」又は「静菌剤」という語は、製剤に添加され、抗菌剤として作用する化合物又は組成物を指す。FSH又はFSH変異体、又はFSH及びLHを含有する、本発明に係る保存用製剤は、(好ましくはヒト用の)商業的に実現可能な多回使用品として、防腐効果に関する法定又は規制指針に合致することが好ましい。静菌剤の例としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサールが挙げられる。 「緩衝剤」又は「生理学的に許容可能な緩衝剤」という語は、医薬又は獣医薬用途において製剤中安全であることが知られており、製剤に所望されるpHの範囲内に製剤のpHを維持又は調節する効果を有する化合物の溶液を指す。pHを適度な酸性pH〜適度な塩基性pHに調節する許容可能な緩衝剤としては、リン酸、酢酸、クエン酸、アルギニン、TRIS、及びヒスチジン等の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。「TRIS」は、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3,−プロパンジオール、及びその薬理学的に許容可能なあらゆる塩を指す。好ましい緩衝剤は、生理食塩水又は許容可能な塩を用いたリン酸緩衝剤である。 「リン酸緩衝剤」という語は、リン酸又はその塩を含有し、所望のpHに調整された溶液を指す。リン酸緩衝剤は一般的に、リン酸又はリン酸塩から調製される。リン酸塩としては、これに限定されるものではないが、ナトリウム及びカリウム塩が挙げられる。本技術分野では数種のリン酸塩が公知であり、第一、第二及び第三リン酸のナトリウム塩及びカリウム塩などが挙げられる。また、リン酸塩は、既存の塩の水和物として生じることも知られている。リン酸緩衝剤はある範囲のpHをカバーしていてもよい。この範囲は例えば約pH4〜約pH10であるが、好ましい範囲は約pH5〜約pH9であり、最も好ましい範囲は約6.0〜約8.0であり、最も好ましくは約pH7.0である。 「バイアル」は、固体又は液体の状態にあるFSHを、滅菌状態のまま保持するのに適した容器を広く指す語である。本明細書で用いられるバイアルの例としては、アンプル、カートリッジ、ブリスターパッケージ、又は、シリンジ、ポンプ(浸透ポンプを含む)、カテーテル、経皮貼布、肺又は経粘膜スプレーを介してFSHを患者に送達するのに適切なその他の容器が挙げられる。非経口、経肺、経粘膜、又は経皮投与用の製品をパッケージングするのに適したバイアルは、本技術分野では周知であり、認知されている。 「多回投与使用」という表現は、FSH製剤又はタンパク質製剤の単一のバイアル、アンプル又はカートリッジを、複数回の注射に、例えば2回、3回、4回、5回、6回又はこれ以上の注射に使用することを含む意である。注射は、好ましくは少なくとも約12時間、約24時間等の期間に亘って、好ましくは最長約12日間の期間に亘って行なう。注射の間には時間間隔として、例えば6、12、24、48又は72時間等の期間を設けてもよい。 「安定性」という語は、本発明の製剤中における所与のタンパク質の物理的、化学的、及び高次構造的安定性を指す(生物学的効力の維持も含む)。タンパク質製剤の不安定化の原因としては、タンパク質分子の化学分解又は凝集による高次ポリマーの形成、ヘテロ2量体の単量体への分解、脱グリコシル化、グリコシル化修飾、酸化(特にα−サブユニットのヘテロ2量体中の酸化)、或いは、本発明に含まれるポリペプチドの少なくとも1種の生物活性を減退させる、その他の任意の構造修飾が挙げられる。 「安定な」溶液又は製剤とは、その中に含まれるタンパク質の分解、修飾、凝集、生物活性の喪失等の程度が、許容し得る程度に調節されており、且つ、許容し得ない程度にまで経時的に増大しないような溶液又は製剤である。製剤は、表示されたタンパク質活性の少なくとも約80%を、最長2年の期間に亘って維持することが好ましい。 本発明の根底にある目的は、タンパク質サンプル中のポロキサマー量を測定するための簡便で迅速な方法を提供することにある。ポロキサマーは界面活性剤として使用可能であり、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック共重合体から選択される。好ましくはプルロニック(Pluronic)(登録商標)F77、プルロニックF87、プルロニックF88及びプルロニック(登録商標)F68であり、特に好ましくはプルロニックF68である(BASF、プルロニックF68は、ポロキサマー188(Poloxamer 188)としても知られている)。 上述したように、医薬製剤は2〜25℃の保存温度において、最長2年間の保存寿命を有することが求められる。これは、製剤が前記期間に亘って、安定に維持されるとの見込みを示唆するものである。液体製剤が含有する種々の賦形剤は、タンパク質製剤の安定性に直接影響するか、又は分解を介して間接的に影響することから、製剤の安定性を評価する分析ツールが必要となる。 より具体的には、ポロキサマー界面活性剤は、エチレンオキシド(EO)とプロピレンオキシド(PO)とのブロック共重合体である。プロピレンオキシドのブロック(PO)は、2つのエチレンオキシド(EO)ブロックに挟まれている。 ポロキサマーの合成は:・プロピレングリコールの2つのヒドロキシル基に、プロピレンオキシドを制御下で付加することにより、所望の分子量の疎水性物質を作製し;・エチレンオキシドを付加して、前記の疎水性物質を親水性基間に挟み込むという、二段階のプロセスで行なわれる。 ポロキサマー界面活性剤は、プルロニックとしても知られている。 プルロニック(登録商標)F77では、ポリオキシエチレン(親水性物質)の割合は70%であり、疎水性物質(ポリオキシプロピレン)の分子量は約2,306Daである。 プルロニックF87では、ポリオキシエチレン(親水性物質)の割合は70%であり、疎水性物質(ポリオキシプロピレン)の分子量は約2,644Daである。 プルロニックF88では、ポリオキシエチレン(親水性物質)の割合は80%であり、疎水性物質(ポリオキシプロピレン)の分子量は、約2,644Daである。 プルロニックF68では、ポリオキシエチレン(親水性物質)の割合は80%であり、疎水性物質(ポリオキシプロピレン)の分子量は、約1,967Daである。 プルロニックF77の代表的な特性を以下に列挙する:平均分子量:6600;融点/流動点:48℃;20℃における物理的形態:固体粘性(ブルックフィールド)cps:480[25℃で液体、60℃でペースト、77℃で固体];表面張力、25℃でのdyne/cm; 濃度0.1%:47.0 濃度0.01%:49.3 濃度0.001%:52.8界面張力、25℃でのdyne/cm、対ヌジョール; 濃度0.1%:17.7 濃度0.01%:20.8 濃度0.01%:25.5ドレーヴス・ウェッティング(Draves Wetting)、秒 25℃ 濃度1.0%:>360 濃度0.1%:>360泡高 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、50℃でのmm:100 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、26℃でのmm:47 動的(Dynamic)、0.1%、400ml/分でのmm:>600水溶液中での曇り点、℃ 濃度1%:>100 濃度10%:>100HLB(親水性−油性バランス):25 プルロニックF87の代表的な特性を以下に列挙する:平均分子量:7700;融点/流動点:49℃;20℃における物理的形態:固体粘性(ブルックフィールド)cps:700[25℃で液体、60℃でペースト、77℃で固体];表面張力、25℃でのdyne/cm; 濃度0.1%:44.0 濃度0.01%:47.0 濃度0.001%:50.2界面張力、25℃でのdyne/cm、対ヌジョール; 濃度0.1%:17.4 濃度0.01%:20.3 濃度0.01%:23.3ドレーヴス・ウェッティング(Draves Wetting)、秒 25℃ 濃度1.0%:>360 濃度0.1%:>360泡高 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、50℃でのmm:80 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、26℃でのmm:37 動的(Dynamic)、0.1%、400ml/分でのmm:>600水溶液中での曇り点、℃ 濃度1%:>100 濃度10%:>100HLB(親水性−油性バランス):24 プルロニックF88の代表的な特性を以下に列挙する:平均分子量:11400;融点/流動点:54℃;20℃における物理的形態:固体粘性(ブルックフィールド)cps:2300[25℃で液体、60℃でペースト、77℃で固体];表面張力、25℃でのdyne/cm; 濃度0.1%:48.5 濃度0.01%:52.6 濃度0.001%:55.7界面張力、25℃でのdyne/cm、対ヌジョール; 濃度0.1%:20.5 濃度0.01%:23.3 濃度0.01%:27.0ドレーヴス・ウェッティング(Draves Wetting)、秒 25℃ 濃度1.0%:>360 濃度0.1%:>360泡高 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、50℃でのmm:80 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、26℃でのmm:37 動的(Dynamic)、0.1%、400ml/分でのmm:>600水溶液中での曇り点、℃ 濃度1%:>100 濃度10%:>100HLB(親水性−油性バランス):28 プルロニックF68の代表的な特性を以下に列挙する:平均分子量:8400;融点/流動点:52℃;20℃における物理的形態:固体粘性(ブルックフィールド)cps:1000[25℃で液体、60℃でペースト、77℃で固体];表面張力、25℃でのdyne/cm; 濃度0.1%:50.3 濃度0.01%:51.2 濃度0.001%:53.6界面張力、25℃でのdyne/cm、対ヌジョール; 濃度0.1%:19.8 濃度0.01%:24.0 濃度0.01%:26.0ドレーヴス・ウェッティング(Draves Wetting)、秒 25℃ 濃度1.0%:>360 濃度0.1%:>360泡高 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、50℃でのmm:35 ロス・マイルス(Ross Miles)、0.1%、26℃でのmm:40 動的(Dynamic)、0.1%、400ml/分でのmm:>600水溶液中での曇り点、℃ 濃度1%:>100 濃度10%:>100HLB(親水性−油性バランス):29 上に挙げたポロキサマーと同様の特性を持つ他のポロキサマーポリマーも、本発明の製剤に用いることができる。本方法の分析対象となるタンパク質製剤中に存在する好ましいポロキサマー界面活性剤としては、プルロニックF68(=ポロキサマー188(Poloxamer 188))が挙げられる。 液体タンパク質製剤中のプルロニックの濃度、特にプルロニックF68の濃度は、好ましくは約0.01mg/ml〜約1mg/mlであり、より好ましくは約0.05mg/ml〜約0.5mg/mlであり、特に好ましくは約0.2mg/ml〜約0.4mg/mlであり、最も好ましくは約0.1mg/mlである。 本発明の方法に従って分析されるタンパク質製剤のpHは、約6.0〜約8.0、より好ましくは約6.8〜約7.8、例えば約pH7.0、約pH7.2、及び約7.4である。好ましい緩衝剤としてはリン酸が、好ましい対イオンとしてはナトリウムイオン又はカリウムイオンが挙げられる。リン酸生理食塩緩衝剤は、本技術分野では周知であり、ダルベッコリン酸緩衝食塩水等が挙げられる。全溶液中の緩衝剤濃度は、約5Mm、約9.5Mm、約10Mm、約50Mm、約100Mm、約150Mm、約200Mm、約250Mm、及び約500Mmの間で選択し得る。中でも、緩衝剤濃度は約10Mmである音が好ましい。リン酸イオン10Mm、pH7.0のバッファーが特に好ましい。 本発明の方法に従って分析されるFSH製剤のpHは、好ましくは約6.0〜約8.0、より好ましくは約6.8〜約7.8、例えば約pH7.0、約pH7.2、及び約7.4である。好ましい緩衝剤としてはリン酸が、好ましい対イオンとしてはナトリウムイオン又はカリウムイオンが挙げられる。 本発明の方法に従って分析されるFSH及びLHの混合製剤のpHは、約6.0〜約9.0、より好ましくは約6.8〜約8.5、例えば約pH7.0、約pH8.0、及び約8.2、最も好ましくは約pH8.0である。 本発明の方法に従って分析されるhCG製剤のpHは、好ましくは約6.0〜約8.0であり、より好ましくは約6.8〜約7.8、例えば約pH7.0、約pH7.2、及び約7.4である。 タンパク質サンプルとしては、単回投与用又は多回投与用の液体製剤が好ましい。本発明に係る、多回投与での使用が意図される液体製剤は、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、チモール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール等の静菌剤を含んでなることが好ましい。特に好ましいものは、フェノール、ベンジルアルコール及びm−クレゾールであり、より好ましいものは、フェノール及びm−クレゾールであり、最も好ましいものは、m−クレゾールである。これらの静菌剤は、多回投与注射の期間に亘って、製剤を実質的に無菌(注射に適切な)で維持するのに有効な濃度を生じる量で使用される。かかる期間は、例えば、約12時間又は約24時間〜約12日間又は約14日間、好ましくは約6日間〜約12日間である。静菌剤の存在量は、好ましくは約0.1%(静菌剤の量/溶媒の量)〜約2.0%、より好ましくは約0.2%〜約1.0%の濃度とする。ベンジルアルコールの場合、特に好ましい濃度は0.9%である。フェノールの場合、特に好ましい濃度は約0.5%である。m−クレゾールの場合、特に好ましい濃度は約0.3%(例えば、WFI中に約3mg/ml)である。 サイズ排除カラムは当業者に周知であり、サンプル中の各タンパク質及びポロキサマーに応じて選択される。カラムのゲルとしては、ポリマー系マトリックスを用いるべきである。好ましいカラムとしては、トーソーハース(Toso Haas)社のSE−HPLCカラム、商品名TSK G3000PWが挙げられる。このマトリックスのビーズは、粒径10又は17μm、孔経約200Åである。このカラムは市販されている。 検出工程は、当業者に公知の任意のRI検出系により行なうことができる。 条件をより酸性にすると、タンパク質からのポロキサマーの分離も、一層容易になることが分かっている。 従って、本発明に係る方法において使用される移動相は、水又は緩衝溶液等の水性溶媒である。 特定の実施形態によれば、移動相のpHは7未満、好ましくは3未満、より好ましくは約1.6〜2.0の間、最も好ましくは1.9〜2.0の間に調整される。一実施形態によれば、タンパク質はFSH、CG、LH又はTSH等のヘテロ2量体である。酸性条件下では、ヘテロ2量体タンパク質はサブユニットに分解し、移動が容易となるため、分離及び検出工程(分解能)が改善される。pHの調整に適した酸性剤は、当業者であれば選択可能である。最も好ましい酸は、トリフルオロ酢酸(TFA)である。 一般的には、評価対象のサンプルを調製し、カラムに注入する。本方法の検出工程で屈折率を考慮することにより、得られるクロマトグラムには、ポロキサマーのピーク面積に加えて、タンパク質及び賦形剤に関する少なくとも1つの更なるピークが含まれる。ピーク面積を評価することにより、分析サンプル中に存在するポロキサマーを定量することができる。定量に必要なポロキサマーの検量線は作成済みである(実施例参照)。 続いて、本発明を実施例により例示する。実施例1(図1参照) 本実施例の目的は、市販の液体hCG製剤、Ovitrelle(商標)のサンプルを室温で18カ月保存した後、該サンプル中のポロキサマー188(Poloxamer 188)濃度を分析することである。即ち、ポロキサマー188に関する液体製剤の安定性を評価した。調製時点でのポロキサマー188の濃度は約100μg/mlであった。Ovitrelle(商標)中のポロキサマー188の定量プロトコルは、以下の通りとした。 注射用液体Ovitrelle(商標)の含有成分は、絨毛性ゴナドトロピン−α、マンニトール、L−メチオニン、ポロキサマー188、リン酸、NaOH及び水であった。2.方法2.1 溶離液A(H2O/TFA0.5%) 1リットルメスシリンダー中の950mlの精製水に、5mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を加え、攪拌しながら1000mlに調節した。該溶離液のpHは1.7〜1.9であった。2.2 溶離液B(20%エタノール) 1リットルのメスシリンダー中の750mlの精製水に、200mLのエタノールを加え、攪拌しながら1000mlに調節した。2.3 オートサンプラー用の洗浄溶液(10%メタノール) 1リットルのメスシリンダー中の850mlの精製水に、100mLのメタノールを加え、攪拌しながら1000mlに調節した。2.4 密封洗浄溶媒(5%メタノール) 1リットルのメスシリンダー中の900mlの精製水に、50mLのメタノールを加え、攪拌しながら1000mlに調節した。2.5 検量線用の希釈溶液(ポロキサマー188無しの液体製剤) 1リットルのメスシリンダー中の850mlの精製水に、54.6gのD(−)マンニトール、0.98gのオルト−リン酸85%、200μgのL−メチオニンを加えた。50%の水酸化ナトリウムを滴下により加えて溶液をpH7.0に調整し、体積を1mlに調節した。この溶液を0.45μmフィルターにより濾過した。 上記に代わり、検量線用の希釈溶液として水を用いてもよい。2.6 検量線用の濃縮溶液 100mlのメスシリンダー中の80mlの精製水に、200mgのポロキサマー188を溶解させ、体積を100mlに調節した。分析対象サンプル中の予想濃度に基づいて検量線を作成した。本実施例では、前記注射用液体のOvitrelle(商標)中の予測ポロキサマー188濃度は約100μg/mlであったので、検量線は50〜160μg/mlの範囲とした。3 サンプル調製ブランク 0.05mlの検量線用希釈溶液を注入した。サンプル 何れのサンプルも、何らの前処理を行なうことなく試験に供し、0.05mlを注入した。4. 操作条件4.1. 機器の設定 以下の溶液をHPLCの管に接続した。管A:溶離液A(H2O/TFA0.5%)管B:溶離液B(20%エタノール) 管A及びBを充填して装置をパージし、2mL/分の流速で3分間リンスした。管上に脱気装置がある場合は、スイッチをオンにした。管Aについては、分析前に、流液のRI検出器の電磁弁を、少なくとも30分間パージモードに切り替えた。フローセルのパージングを行なって、該セルの基準側面に新鮮な移動相を流し込んだ。4.2. カラムの平衡 カラムに溶離液Aを流して、カラムを平衡化させた。平衡化は、ベースラインが安定した時点で完了とした。4.3. 保存カラム 分析の完了後、カラムを少なくとも30mlの精製水でリンスし、次いで30mlの20%エタノールでリンスした。4.4. オビトレルサンプル中のポロキサマー188濃度の測定 オビトレルサンプル中のポロキサマー188濃度の計算には、モデルとして線形回帰法を用いた。Y=a+bx ここで、Y= ポロキサマー188の総面積a= 切片b= 傾きx= 注入量1ml当たりμg単位のポロキサマー188濃度。 図1に示すようにサンプルを積分した。 検量線の切片(a)と傾き(b)を計算し、スタットグラフィックスプラス(Statgraphics plus)というソフトウェアで線形回帰を計算した。 下記の式を適用してポロキサマー188の濃度を計算した。 等式1の解は、各オビトレルサンプル中のポロキサマー188濃度を表わす。単位はμg/mlである。 本実施例のサンプル中のポロキサマー濃度(図1参照)は約94μg/mlであった。実施例2 本実施例の目的は、市販の液体hFSH製剤、Gonal-F RFF Pen(商標)のサンプルを室温で18カ月保存した後、該サンプル中のポロキサマー188濃度を分析することである。即ち、ポロキサマー188に関する液体製剤の安定性を評価した。調製時のポロキサマー188濃度は約100μg/mlであった。Gonal-F RFF Pen(商標)中のポロキサマー188定量のプロトコルは、カラム流速を0.75ml/分とした点を除いて、実施例1でオビトレルについて示したプロトコルと同一とした。 ポロキサマーをhFSHから首尾よく分離し、個別に定量した。実施例3 本実施例の目的は、市販の液体hGH製剤、Serostim(商標)のサンプル中のポロキサマー188濃度を分析することである。プロトコルは実施例2と同一とした。 ポロキサマーをhGHから首尾よく分離し、個別に定量した。実施例4 本実施例の目的は、市販の液体hIFN−β製剤のサンプル中のポロキサマー188濃度を分析することである。プロトコルは、実施例2のものと同一であった。 ポロキサマーをhIFN−βから首尾よく分離し、個別に定量した。図1は、hCG製剤中におけるポロキサマー188(Poloxamer 188)の定量用のクロマトグラムを示す。本実施例におけるポロキサマー188のピーク領域は、溶離時間約14〜16分に存在する(保持時間は流速の関数であり、変動し得る)。曲線下面積に基づいて、hCGサンプル中のポロキサマー188を定量することができる。 液体タンパク質サンプル中のポロキサマーの定量方法であって、前記サンプルを:(a)サイズ排除クロマトグラフィーカラムを用いた分離工程;(b)移動相を用いた溶離工程;及び、(c)任意による、ポロキサマーの検出工程;に供する工程を含んでなる方法。 前記ポロキサマーが、ポロキサマー188(Poloxamer 188)である、請求項1記載の方法。 前記タンパク質が、5〜70kDa、好ましくは、20〜70kDaの分子量を有する、請求項1又は2に記載の方法。 前記タンパク質が、ヘテロ2量体のタンパク質である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。 前記タンパク質が、FSH、LH、hCG、TSHから選択されるゴナドトロピンである、請求項4記載の方法。 分析対象のタンパク質が、インターフェロン−β又は成長ホルモン(GH)である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。 前記サンプルが、FSH、LH、hCG、TSH、GH又はインターフェロン−βを含有する水性医薬組成物である、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。 前記移動相が、水性溶媒、特に緩衝処理された溶媒である、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。 前記サンプルの溶離が、酸性pHの移動相を用いて行なわれる、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。 前記移動相のpHが、3未満に調整されている、請求項9記載の方法。 前記移動相のpHが、約1.9〜2.0に調整されている、請求項10記載の方法。 前記ポロキサマーの検出工程が、屈折率を分析することを包含する、請求項1〜11の何れか一項に記載の方法。 前記サイズ排除カラムが、ビーズを含有するポリマー系マトリックスが充填されたSE−HPLCカラムである、請求項1〜12の何れか一項に記載の方法。 前記マトリックスのビーズが、10又は17μmの粒径を有する、請求項13記載の方法。 前記マトリックスのビーズが、約200Åの孔径を有する、請求項13又は14に記載の方法。 本発明は、液体タンパク質サンプル中のポロキサマーの分析測定に関する。【選択図】なし