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タイトル:特許公報(B2)_角膜疾患の治療のための食餌サプリメントまたは医薬の調製のためのL−カルニチンまたはアルカノイルL−カルニチン、脂溶性ベンゾキノンおよびオメガ−3−多価不飽和脂肪酸を含む組合せの使用
出願番号:2008519920
年次:2013
IPC分類:A61K 31/205,A61K 31/221,A61K 31/122,A61K 31/202,A61P 27/02


特許情報キャッシュ

フランコ・ガエターニ ヤーノス・フェヘル JP 5112308 特許公報(B2) 20121019 2008519920 20060630 角膜疾患の治療のための食餌サプリメントまたは医薬の調製のためのL−カルニチンまたはアルカノイルL−カルニチン、脂溶性ベンゾキノンおよびオメガ−3−多価不飽和脂肪酸を含む組合せの使用 シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ 591043248 SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 松谷 道子 100106518 志賀 美苗 100127638 フランコ・ガエターニ ヤーノス・フェヘル EP 05014812.1 20050708 20130109 A61K 31/205 20060101AFI20121213BHJP A61K 31/221 20060101ALI20121213BHJP A61K 31/122 20060101ALI20121213BHJP A61K 31/202 20060101ALI20121213BHJP A61P 27/02 20060101ALI20121213BHJP JPA61K31/205A61K31/221A61K31/122A61K31/202A61P27/02 A61K 31/00 - 31/327 A61K 31/33 - 31/80 A61K 33/00 - 33/44 A61K 38/00 - 38/58 A61K 41/00 - 45/08 A61K 48/00 A61P 1/00 - 43/00 A23L 1/27 - 1/308 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) カナダ国特許出願公開第02291959(CA,A1) 国際公開第2004/004599(WO,A1) 国際公開第2004/006801(WO,A1) 米国特許出願公開第2005/0074443(US,A1) 2 EP2006063769 20060630 WO2007006672 20070118 2009500374 20090108 12 20090629 川嵜 洋祐 本発明は、角膜の疾患の予防および治療に有用な食餌サプリメントおよび医薬の調製のための脂溶性ベンゾキノンおよび多価不飽和脂肪酸と組み合わせてのL-カルニチンおよび/または1以上のアルカノイル L-カルニチンの使用に関する。 角膜上皮は角膜の最外層であり、多くの疾患がこの精巧な構造に損傷を与え得、脱上皮化(de-epithelialisation)を引き起こしうる。角膜上皮構造の障害の主な原因は眼球乾燥症候群、コンタクトレンズの適用および屈折矯正レーザー手術による角膜剥離および損傷、機械的作用である。 角膜のその他の疾患は、例えば、角膜炎、特に、細菌、ウイルスまたは真菌性角膜炎の余波における傷害;外傷および屈折矯正レーザー手術に起因する傷害;退行性または遺伝性疾患、例えば、慢性および急性円錐角膜炎(keratocono)によりもたらされる角膜表面の正常な透明性の障害を伴う。 角膜上皮を被覆する涙液層は眼表面の恒常性に必須であり、重要な視覚機能を担い、まぶたと眼球との間の潤滑剤として、そして酸素の媒体として作用し、角膜上皮細胞の代謝を保証する;それはまた、洗浄機能も担い、外来物質の除去を確実にする。 角膜および結膜上皮細胞の活性化、増殖および分化を調節する成長因子、神経ペプチドおよび神経調節物質のためのキャリアとしてのその機能も重要である。それはまた、免疫グロブリン (IgA、IgAs、IgG、IgE、IgM)、補体因子 (C3、C4、C5)、メタロプロテアーゼ(MMP-2、4、9)、酵素(リゾチーム、ラクトフェリン)および免疫系細胞を輸送し、それによって感染に対する基本的な防御機能を担っている。 上記のように、恒常性が妨げられる疾患が存在する。 眼球乾燥症候群は多因子性起源の涙液層の量的 (流涙過小) および/または 質的 (流涙欠損) 障害を特徴とし、眼表面に対する臨床的に顕著な傷害を引き起こす場合もそうでない場合もある。眼球乾燥症候群の有病率は成人集団において10〜40%の範囲であり、年齢と高度に有意な相関がある。 米国においては軽度から中度の眼球乾燥症候群の有病率はおよそ1000万人にのぼる(Am. J. Ophthalmol:、1997;124:723-728; Arch Ophthalmol.、2000; 118: 1264-1268)。 この疾患において活性化している機構を理解するために行われた様々な研究により、眼球乾燥症候群に罹患している対象の涙は以下を示すことが示された:蒸発速度の上昇、表面張力の上昇、ビタミンA濃度の低下、モル浸透圧濃度の上昇、多数のタンパク質の濃度の低下(リゾチーム、ラクトフェリン)、不十分な粘液産生または粘液産生の質的変化、その結果としての不適切な粘液層の再構成、多数の成長因子の低下(EGF、TGF-α、aFGF-bFGF、LG-F、HGF) (Contactologia、1982; 4: 34-37)、無機物質濃度の変化、アンドロゲンの低下およびTリンパ球活性の調節異常(Cornea、2005; 24: 1-7)。 この病的状態にもっとも密接に関連しているとみなされている臨床徴候は分解時間 (BUT 試験)および シルマー 試験結果の低下であり、それは学生用教科書に記載されている(Pescosolido N.: Le alterazioni del film lacrimale. In Stendler P.: “il sistema lacrimale”、Fabiano editore、Canelli (AT)、2000; pag. 237-330; 以下この文献はPescosolido 2000と称する)。 BUT 試験 は涙液層のムチン含量について行わなければならず、眼乾燥においては、5 秒未満の値しか示されない。シルマー 試験は一方、涙液層の水分含量について行わなければならず、眼乾燥においては、5分間に5mm未満の値が示される。 患者は以下の症状を示す: 異物感、灼熱感、瞬きの困難、まぶたを開ける際の雑音、痒み、眼精疲労、羞明、視力障害、および内眼角での粘液管外遊出。 この症候群の治療は以下の使用に基づいている:(1) 角膜を常に湿らせるが、疾患の根本原因に対してはなんら作用を発揮せず、非常に効果の持続時間が短い涙代替物; (2) 涙小管における挿入物(栓);(3) 免疫調節物質、例えば、局所シクロスポリン; 局所ステロイド; 抗炎症薬 (ルメキシロン(rumexilone)およびロテプレドノール); 自己血清 (サイトカイン阻害剤);(4) 局所または全身アンドロゲン;(5) 粘液 (HETE エイコサノイド)および水性(P2Y2 アゴニスト) 分泌原性(secretogenic) 物質;(6) アクアポリンおよび、眼瞼炎の治療のための抗生物質および界面活性剤などの薬剤(Cornea、2005; 24: 1-7)。 還元剤および電子供与体としてのそのスカベンジャー活性によるヨウ素イオントフォレーシスでの治療も用いられている(Adv. Clin. Path.、2000; 4: 11-17; Br. J. Ophthalmol.、2005; 89: 40-44)。 疾患の原因の治療により関連があると見なされうる作用を発揮するにも拘わらずこれら後者の治療は、期待される結果をもたらすことができていない。 角膜表面の正常な透明性は、多数の疾患の余波により損なわれ得、かかる疾患は様々な構成成分の精巧な構造を損傷する。もっとも一般的に関係する疾患症状は角膜炎後傷害、特に疱疹性角膜炎の後のもの、そして外傷およびレーザー屈折矯正手術の余波において起こる傷害である。最低限共通する共通点は視覚を機能的に危うくする角膜混濁 (角膜白斑)の形成である。感染、損傷および屈折矯正外科手術の後の角膜組織に起こる創傷治癒に関与する現象は原状回復(restitutio ad integrum)工程の最終的な形態学的および屈折矯正の結果に対する顕著な効果を有する。 損傷およびレーザーアブレーションの直後に起こる急性の上皮および角膜実質の角膜病変はおそらく後の角膜組織修復現象の調節に関与しており、とりわけ、角膜実質細胞アポトーシスがおそらく中心的な役割を果たしている (Cornea、2000;19:S7-12)。この事象は角膜修復工程に必要である。というのは角膜実質細胞アポトーシスは再増殖刺激の原動力であるからである。最初の無細胞角膜実質の基礎にある角膜実質の角膜実質細胞はそれゆえ、上皮の真下の表面角膜実質の後の治癒を媒介する細胞源を表す。細胞再生の結果、活性化された角膜実質細胞は筋線維芽形質転換を経て(Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、1998;39:487-501)、それによって原状回復(restituito ad integrum)工程に関与するコラーゲン線維および基本的物質の産生に寄与することが判明している。 しかしこの工程は、自己制御されず、多くの場合、異常な過剰の治癒が起こった後、コラーゲンの産生が上昇し、層状組織崩壊が上昇する(Arch. Ophthalmol.、1990; 108: 665-675)。これらの異常は光学的角膜切除術 (PRK)の後の角膜実質再生のもっとも恐ろしい合併症、即ち、混濁(haze)の発病を伴い、結果として機能転帰障害が起こる。混濁はHeitzmannにしたがって角膜透明性の低下による視覚障害に基いて5段階に分類される。混濁の発生率は、エキシマレーザーの分野における技術の進歩の結果として近年実質的に低下しきているが、それは今日でもいまだにかなり頻繁な合併症であり、稀な場合には、数ヶ月のコルチゾン療法の後も回復することが困難なようである。薬物療法に応答できない(15-18 ヶ月を超える) 持続性の混濁の場合(遅発性の混濁により起こりうる事象)、唯一の可能な手順はエキシマレーザーによる光線療法角膜切除術 (PTK)であり、これは表面の角膜実質の混濁のレーザー光線による外科的除去に用いられる手順である。 L-カルニチンおよびアルカノイル L-カルニチンは公知の化合物であり、その調製方法は、米国特許第4439438および4254053号に記載されている。 多価不飽和脂肪酸 (オメガ-3 脂肪酸)はそのトリグリセリド低下作用および高密度リポタンパク質 (HDL) レベルの上昇における作用について知られている。これら脂肪酸は、合成により、または好ましくは、魚油から得ることが出来る。その場合において、その特徴に応じてオメガ-3 脂肪酸の様々な混合物を使用することが可能である。好ましくは、オメガ-3 脂肪酸は長鎖のものである(20〜22 炭素原子)。もっとも好ましいものは、5,8,11,14,17-エイコサペンタン酸(EPA)およびシス 0,13,16,19-ドコサヘキサン酸 (DHA)である。本発明の好ましい態様において、オメガ-3 脂肪酸はシス4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサン酸 (DHA)であり、もっとも好ましくは 1:1の比である。これらオメガ-3 脂肪酸はおそらくはそれぞれアルコールまたは塩基によりエステル化または加塩されて医薬上許容される誘導体とされうる。オメガ-3 脂肪酸、またはそのエステルまたは塩は、単独でまたはそれらの混合物として、市販源から入手でき、あるいは公知方法により調製することが出来る。混合物は本発明による組合せのために特別に製剤されうる。 補酵素 Q10はいまではヒトでの使用において非常に周知であるので、特別の説明は必要なく、この物質は市販源から入手できる。当業者は本出願人により出願された特許文献を参照でき、そこでこの物質について十分に記載されている。 眼科分野におけるカルニチンの以前の使用は知られている。 米国特許第5,037,851号は白内障の治療のためのアセチル L-カルニチンの使用を記載している。 US 5,145,871および5,432,199は、緑内障の治療のためのアセチル D-カルニチンの使用を記載している。 US 5,883,127は、黄斑症および黄斑性変性症の治療のためのアセチル L-カルニチンの使用を記載している。 米国特許 4,599,232号は、 L-カルニチンまたはアセチル L-カルニチンおよび補酵素 Q10 を含み、動脈硬化性障害、心筋および冠不全および組織無酸素症に由来する病理状態の治療処置に好適な医薬組成物を開示している。 カルニチンのさらなる使用も知られている。 US 5,753,703はL-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンをオメガ-3類の多価不飽和脂肪酸と組み合わせて含む、脂質代謝障害および心血管障害の予防および治療のための医薬組成物を記載している。 Drugs Exp Clin Res 1992; 18 (8) : 355-65 において、心臓病学分野におけるL-カルニチンの使用が記載されている。 US 5,543,556 はγ-ヒドロキシ酪酸とアシル L-カルニチン エステルの神経細胞変性症の阻害および昏睡の治療のための使用を記載している。 US 5811457は、慢性閉塞性動脈症の治療のためのプロピオニル L-カルニチンの使用を記載している。 上記のように補酵素 Q10 および1つのオメガ-3 多価不飽和脂肪酸の使用は既に知られている。 WO00/23069は、活性成分として補酵素 Q10 およびオメガ-3 多価不飽和脂肪酸を含む遺伝性ミトコンドリパチー(mitochondriopathies)の予防および/または治療のための組成物を記載しており、言及されている多くの病状の中で、慢性進行性外眼筋麻痺症候群および網膜色素変性症が言及されている。 上記特許または刊行物はいずれも角膜の疾患の治療のための医薬の調製のための、脂溶性ベンゾキノンおよび多価不飽和脂肪酸と組み合わせてのL-カルニチンまたは アルカノイル L-カルニチンの使用について開示も示唆もしていない。 医薬分野において上記角膜疾患の治療に有用な治療薬を利用可能にする必要性がいまだに強く認識されている。 このたび、活性成分として以下を含む組合せ組成物が角膜の疾患の治療のための食餌サプリメントまたは医薬の調製のために有用であることが見いだされた:(a)L-カルニチンおよび/または1以上の アルカノイル L-カルニチン、またはその医薬上許容される塩、(b)脂溶性ベンゾキノン、および、(c)少なくとも1つの オメガ-3 多価不飽和脂肪酸またはそのエステル。 本発明の1つの目的は、活性成分として以下を含む組合せ組成物の角膜疾患の治療のための食餌サプリメントまたは医薬の調製のための使用である:(a) L-カルニチンおよび/または アセチル、プロピオニル、バレリル、イソバレリル、ブチリルおよびイソブチリル L-カルニチンからなる群から選択される1以上の アルカノイル L-カルニチン、またはそれらの医薬上許容される塩のいずれか;(b)補酵素 Q10、(CoQ10) およびその還元形態である ユビキノール-10 (CoQ10H2)、またはその混合物からなる群から選択される脂溶性ベンゾキノン;(c) エイコサペンタエン酸 (EPA)、ドコサヘキサエン酸 (DHA)およびリノレン酸 (LNA)、またはその混合物からなる群から選択されるオメガ-3 多価不飽和脂肪酸、LNA、EPAまたは DHAの好ましいエステルはトリグリセリドおよびエチルエステルである; ここで該角膜疾患は、脱上皮化(de-epithelialising)疾患、眼球乾燥症候群; 感染性角膜炎; 酸またはアルカリ腐蝕性傷害; 機械的作用またはコンタクトレンズに起因する角膜剥離および/または損傷;角膜実質の退行性疾患、例えば、急性または慢性円錐角膜(keratocono)、屈折矯正レーザー手術に起因する角膜実質傷害;およびジストロフィー疾患を含む群から選択される:ここで:-L-カルニチン (および/またはアルカノイル L-カルニチン)は好ましくは0.1-4 g の用量で、もっとも好ましくは0.1 g の用量で存在する;-オメガ-3 多価不飽和脂肪酸 (魚油)は好ましくは 0.1-1 gの用量で、もっとも好ましくは 0.5 gの用量で存在する;-補酵素 Q10は、好ましくは 1-100 mgの用量で、もっとも好ましくは 10 mgの用量で存在する。 本発明のさらなる目的は、上記の組合せ組成物の、角膜の透明性の障害の治療のための、食餌サプリメントまたは医薬の調製のための使用であり、ここで該透明性の障害は、様々なタイプの感染性角膜炎 (ウイルス、細菌および真菌)により、または角膜を構成する様々な成分の構造を損なう例えば以下のような損傷により引き起こされる:例えば、機械的、術後およびレーザー屈折矯正手術後型の損傷(例えば、混濁); 遺伝性または退行性疾患、例えば、慢性および急性円錐角膜。 L-カルニチンの医薬上許容される塩の意味するところは、毒性または副作用を引き起こさない酸とのL-カルニチンのあらゆる塩である。 かかる酸は薬学者および医薬の専門家に周知である。かかる塩の非限定的な例は以下の通りである: 塩化物、臭化物、オロチン酸塩、アスパラギン酸塩、酸アスパラギン酸塩、酸クエン酸塩、マグネシウムクエン酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、フマル酸塩および酸フマル酸塩、マグネシウムフマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩および酸マレイン酸塩、シュウ酸塩、酸シュウ酸塩、パモ酸塩、酸パモ酸塩、硫酸塩、酸硫酸塩、グルコースリン酸塩、酒石酸塩および酸酒石酸塩、グリセロリン酸塩、ムケート(mucate)、マグネシウム酒石酸塩、2-アミノエタンスルホン酸塩、マグネシウム2-アミノエタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、コリン酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩。 L-カルニチンの医薬上許容される塩の意味するところはまた、FDAにより認可された塩であって、文献、 Int. J. of Pharm. 33 (1986)、201-217に列挙されているものもいい、これは引用により本明細書にその内容を含める。 本発明による組合せはさらに活性を実質的に阻害しない限りその他の有用な要素、例えば、抗酸化剤、例えば、ビタミン E および/または ビタミン C; 補酵素、無機質を含んでいてもよい。 以下の実施例により本発明を説明する。実施例 1 眼球乾燥症候群を患う40名の患者を含めた臨床試験を行った。 試験に募られた患者は36〜75歳のすべて女性であり、そのうち30名はFox et al.の基準に基づき診断してシェーグレン症候群に罹患していた(Arthritis Rheum、1986; 29: 577-584; 1986)。 患者はBUT 試験、シルマー試験、フルオレセイン 試験およびローズベンガル 試験に基づき選択した (Pescosolido 2000; Arch. Ophthalmol.、1969;82: 10-14)。 BUT 試験は結果 < 5 秒でなければならず、シルマー 試験により試験に含めることが禁忌になるものはいなかった。 眼表面への傷害をローズベンガル染色試験およびフルオレセイン試験によって評価した。ローズベンガル染色試験における傷害はvan Bijsterveld 評価を参照することにより判定し(Arch. Ophthalmol.、1969;82: 10-14)、曝された表面を3 ゾーンに分けて、ゾーン当たり0〜3のスコアをつけた。 フルオレセイン試験スコアの異常について罹患表面 (A)と傷害密度 (D)との両方を重篤度に基づいて0 〜3 (低〜高) の範囲に評価した(Jap. Clin. Ophthalmol.; 1994; 48: 183-188)。 試験スコア結果に基づいて、患者を3つの亜群に分け、即ち、軽度の眼乾燥の亜群(A1D1、A1D2、A2D1)、中度の眼乾燥の亜群 (A1D3、A2D2、A3D1)および重度の眼乾燥の亜群 (A2D3、A3D2、A3D3)に分けた。 患者は1日2回6 ヶ月間以下の組成を有する本発明による組合せ組成物により処理された:アセチル L-カルニチンムケート(mucate) 100 mg、魚油 mg 500 (EPA 165 mgおよび DHA 110 mg含有)および補酵素 Q10 10 mg。 得られた結果を以下の表に報告する。実施例 2 この臨床試験において集めたのは20名の患者からなり、9名の男性および11名の女性であり、22〜31歳であり、6 ジオプター以下の近視により両眼に屈折矯正レーザー手術 (PRK)を受けたものであった。 患者をそれぞれ10名の患者の2群に分けた (それぞれ対照および処理群)。 患者を実施例 1に記載のように1日2回本発明による組合せ組成物で処理した。 両群の眼 (処理および対照)を抗生物質点眼薬で4日間処理し、術後の最初の5日間はPRK の後に両眼にヒドロゲルコンタクトレンズを適用させた。 PRK後の適切な再上皮形成(re-epithelialisation)の有効性を処理前、処理の7日後、1および6 ヶ月後において評価した。 物体または像の視覚は最小分離可能知覚(minimum separable perception) (視覚の鋭さ)に限定し得ないので、評価した1つの重要なパラメータは物体のコントラストであった。このパラメータを研究するために、知覚閾値を様々なサイズで徐々にコントラストが低下する物体の全範囲について測定した。その結果の評価は空間的コントラスト感度機能 (空間的 CSF) (Pescosolido 2001)であった。この機能のために、正弦輝度プロファイルを有するストライプからなる試験像を主に用いた。交互に明暗となるストライプを、その空間的頻度[角度当たりサイクル(cycles per degree)(CPD) または視角角度当たりストライプのペア(黒/白)の数]およびそのコントラストにより規定した。コントラスト (C)の逆数をコントラスト感度 (S) (S=1/C)とした。コントラストはしばしばパーセンテージに関して表され、98% が非常に高く、3% が非常に低い(Pescosolido 2001)。 コントラスト感度試験はETDRSおよび FACT 試験スコアを受け取ることが出来るOptec 6500 視覚 テスターおよびコントラスト感度データの管理および分析のためのソフトウェアを用いて行った。システムは患者が実際にものを見る様子をシュミレーションすることができた。さらに、それは患者のシュミレーションと標準的表現とを比較することが出来た。調査はまず術後7日後、次いで術後3および 6 ヶ月後に行った。患者はPRKの直後に処理を始めた。 得られた結果を表 2に報告する。実施例 3 この臨床試験には、10 ジオプター以下(3-10 ジオプター)の近視である両眼において屈折矯正レーザー手術 (PRK) を受けた14名の患者を含めた。 患者を2群に分けた(各7名の患者)。 群 1 (7名の患者)にはコルチコステロイドおよび抗生物質を含む点眼剤およびヒアルロン酸を含む点眼液 (人工涙)からなる術後標準的処理を施した。 群 2 (7名の患者)には、群 1と同じ処理を施し、かつ、実施例 1に記載の本発明による組成物を1日2回与えた。 屈折矯正レーザー手術の30日前に処理を開始し、手術後6 ヶ月継続した。 以下のパラメーターを処理の開始時および1および6 ヶ月後に管理した。(1)刺激症状 (アンケートによる):刺激症状を3 亜群に分けた: (i)異常感覚: 異物感、乾燥、灼熱感、瞬きの困難; (ii)知覚過敏: 以下に対する特別の感受性:気流 (風、エアコン、粉、煙霧、煙); 局所医薬; 眼精疲労および疼痛; 頻繁な瞬き;涙生産過多;および羞明; (iii) 症状の日変化。(2)細隙灯検査による炎症性徴候: 炎症性徴候の2つの亜群も記録した: (i)充血および結膜の乳頭肥大、(ii)目脂 (涙液層における粒状物、つまったマイボーム腺、眼表面の粘液による瞬きにより改善する視覚のぼけ、内眼角または下円蓋部の粘液糸、覚醒時に眼を開けることの困難)。(3)改変シルマー試験 (Corena. 2003 May;22(4):285-7)およびBUT試験による涙の流れ。(4)人工涙での処理の1日頻度。(5) Cochet-Bonnet estesiometerによる角膜感受性 (Can J Ophthalmol. 2004; Dec;39(7):767-71)。 刺激症状および炎症性徴候の評価のために以下のスコアシステムを採用した: スコア 0= 無し; スコア 1= 軽度;スコア 2= 中度; スコア 3= 重度。 両眼の平均スコアを考慮した。 得られた結果を以下の表に報告する。 術後刺激症状は対照と比較して処理群においてより迅速に低下した。差は1ヶ月後(p<0.01)および 6 ヶ月後(p<0.001)に有意であった。 術後炎症性徴候は対照と比較して処理群においてより迅速に低下した。差は1ヶ月後(p<0.01)および6 ヶ月後(p<0.01)に有意であった。 術後期間において涙置換物の1日使用(daily installation)の平均数は対照と比較して処理群において有意に低下していた(p<0.05およびp<0.001)。 角膜感度はレーザー手術の後に劇的に低下していた。しかし回復は対照と比較して処理群において有意に促進された(p<0.01および 0.001)。 上記の得られた結果は、本発明による組合せ組成物はレーザー屈折矯正手術後の角膜の感覚神経の再生を向上させ、その後の術後眼乾燥症状を改善させることを示す。 アセチル L-カルニチン、オメガ-3 脂肪酸および補酵素 Q10 はヒト対象における経口投与に好適ないずれの形態であってもよい。 様々な因子、例えば、活性成分の濃度および対象の症状に基づいて本発明による組成物は健康食品サプリメント、栄養サプリメントとして販売しても治療用製品として販売してもよい。 本発明による栄養サプリメントは活性成分(アセチル L-カルニチン、オメガ-3 脂肪酸および補酵素 Q10)と経口投与用組成物の処方に好適な賦形剤とを混合することによって調製することが出来る。 該賦形剤は医薬分野の専門家に周知である。 以下に本発明による組成物の非限定的な例を報告する:-アセチル L-カルニチン ムケート(mucate) 100 mg;-魚油 500 mg (EPA 165 mgおよびDHA 110 mg含有);-補酵素 Q10 10 mg。 眼球乾燥症候群の治療のため、レーザー屈折矯正手術後の角膜の再上皮形成の改善のため、および/または、レーザー屈折矯正手術後の角膜の炎症の低減のための、以下を含む医薬組成物:(a) 0.1-4 gの用量の、L-カルニチンおよび/または、アセチル、プロピオニル、バレリル、イソバレリル、ブチリルおよびイソブチリルL-カルニチンからなる群から選択される1以上のアルカノイルL-カルニチン、またはそれらの医薬上許容される塩のいずれか;(b) 1-100 mgの用量の補酵素 Q10、ユビキノール-10およびそれらの混合物からなる群から選択される脂溶性ベンゾキノン;(c) 0.1-1 gの用量のオメガ-3 多価不飽和脂肪酸。 L-カルニチンまたはアルカノイル L-カルニチンの医薬上許容される塩が以下からなる群から選択される請求項 1の医薬組成物: 塩化物、臭化物、オロチン酸塩、アスパラギン酸塩、酸アスパラギン酸塩、酸クエン酸塩、マグネシウムクエン酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、フマル酸塩および酸フマル酸塩、マグネシウムフマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩および酸マレイン酸塩、シュウ酸塩、酸シュウ酸塩、パモ酸塩、酸パモ酸塩、硫酸塩、酸硫酸塩、グルコースリン酸塩、酒石酸塩および酸酒石酸塩、グリセロリン酸塩、ムケート、マグネシウム酒石酸塩、2-アミノ-エタンスルホン酸塩、マグネシウム 2-アミノ-エタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、コリン酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩。


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