生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ホエープロテイン含有顆粒およびその製造方法
出願番号:2008512114
年次:2012
IPC分類:A23J 3/08,A23L 1/00,A61K 38/00,A61K 35/20,A61K 47/14,A61K 9/16,A61P 3/02,A61P 37/04


特許情報キャッシュ

児玉 卓也 田中 明雄 曲梶 哲也 JP 5095610 特許公報(B2) 20120928 2008512114 20070417 ホエープロテイン含有顆粒およびその製造方法 株式会社明治 000006138 勝沼 宏仁 100117787 中村 行孝 100091487 横田 修孝 100107342 伊藤 武泰 100111730 藤井 宏行 100143971 児玉 卓也 田中 明雄 曲梶 哲也 JP 2006113189 20060417 20121212 A23J 3/08 20060101AFI20121121BHJP A23L 1/00 20060101ALI20121121BHJP A61K 38/00 20060101ALI20121121BHJP A61K 35/20 20060101ALI20121121BHJP A61K 47/14 20060101ALI20121121BHJP A61K 9/16 20060101ALI20121121BHJP A61P 3/02 20060101ALI20121121BHJP A61P 37/04 20060101ALI20121121BHJP JPA23J3/08A23L1/00 DA61K37/02A61K35/20A61K47/14A61K9/16A61P3/02A61P37/04 A23J 3/08 JSTPlus(JDreamII) G-Search CAplus(STN) WPI 国際公開第2006/035979(WO,A1) 特開平08−131083(JP,A) 15 JP2007058329 20070417 WO2007123113 20071101 7 20100217 渡邉 潤也関連出願の参照 本出願は、2006年4月17日に出願された日本出願特願2006−113189号の優先権を主張するものであり、この日本出願の明細書は引用することにより本願の開示の一部とされる。発明の背景発明の分野 本発明は、ホエープロテインを含有した顆粒およびその製造方法に関する。背景技術 ホエープロテインは、牛乳からカゼイン等を除いた乳清(ホエー)に含まれるタンパク質を言い、ラクトアルブミン、ラクトグロブリン、ラクトフェリン等がその主成分である。ホエープロテインは、持久力向上、疲労回復、免疫力強化等の機能があることが知られている他、運動栄養食品やダイエット用食品等にタンパク質補給素材として用いられている。このホエープロテインの粉末は吸湿性が高く、そのまま水に溶かそうとすると粉末塊の表面が飴状になり、だまとなる。一旦だまとなってしまうと、だまを丹念につぶしていかないと完全に溶解させるのが難しくなる。 溶けにくい原料を溶けやすくするには、造粒により粉末を結着して顆粒とし、水を染み込みやすくすることが一般的であり、ホエープロテイン顆粒を作るためにいくつかの試みがなされている。例えば、特開昭63−22172号公報には、ホエー粉末等に液状もしくはペースト状の食品用界面活性剤を含有してなる粉末ないし顆粒状の食品組成物が開示されている。これは、粘稠性の食品用界面活性剤の取り扱い性を向上するために、ホエー粉末と混和させるものであり、ホエー自体の溶解性に関するものではなく、そのため界面活性剤の含有率が高いものである。また、特開平10−84868号公報および特開2003−189799号公報には、レシチンおよびポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とするホエー類等を主成分とする代用乳組成物が開示されている。これは代用乳中の油脂の分離を抑えるものであり、油脂を10重量%以上含んでおり、ホエー粉末の溶解に関するものではない。さらに、本発明者らの知る限りでは、これら先行技術に開示された組成物を水に溶かした場合、いずれも濁りのあるものとなってしまい、透明にはならないものである。発明の概要 本発明者らは、今般、ホエープロテイン含有顆粒の溶解性、さらには溶解後の溶液の透明度が、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルにより顕著に改善されるとの知見を得た。本発明は係る知見に基づくものである。 従って、本発明は、その溶解性、さらには溶解後の溶液の透明度が改善されたホエープロテイン含有顆粒の提供をその目的としている。また、本発明は、当該ホエープロテイン含有顆粒の製造方法の提供をその目的としている。 そして、本発明の一つの態様によるホエープロテイン含有顆粒は、HLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルを含んでなるものである。 また、本発明の一つの態様によるホエープロテイン含有顆粒の製造方法は、ホエープロテインを、HLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルと、場合によってバインダーと共に造粒する工程を含んでなるものである。 また、本発明の別の態様によるホエープロテイン含有顆粒の製造方法は、ホエープロテインを、場合によってバインダーと共に造粒して顆粒を得て、該顆粒にHLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する工程を含んでなるものである。発明の具体的説明 ポリグリセリン脂肪酸エステル 本発明によるホエープロテイン含有顆粒が含むポリグリセリン脂肪酸エステルは、 HLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするものである。本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は13〜18にあり、好ましくは14〜16である。HLB値がこの範囲にあることで、顆粒は溶解時にだまになりにくくなるとともに、透明度の高い水溶液が得られ好ましい。なお、HLBとは界面活性剤の分子が持つ親水性と親油性の相対的な強さのバランスを数量的に表したもので、HLBが大きいほうが親水性が高い。 本発明においてポリグリセリン脂肪酸エステルは、その分子内にグリセリン単位が1または複数含まれ、好ましくは1〜15個、より好ましくは5〜10個含む。その結果分子内には複数の水酸基が存在し、その全てにラウリン酸にてエステル化することが理論的には可能であり、その数は上記HLB値を実現できる範囲で決定されてよいが、本発明の好ましい態様によればラウリン酸によるエステルの数は1である。また、そのエステル化の位置も上記HLB値を実現できる範囲で適宜決定されてよいが、分子の末端付近の水酸基が好ましい。 なお、本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、分子内のグリセリン単位が1である場合も包含されうるため、単に「グリセリン脂肪酸エステル」と言い換えてもよい。 従って、本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明によるホエープロテイン含有顆粒が含むポリグリセリン脂肪酸エステルは、下記の式(I)で表される化合物であることが好ましい。(式中、nは1〜15の整数を表す)。 また、本発明の別の好ましい態様によれば、本発明によるホエープロテイン含有顆粒が含むポリグリセリン脂肪酸エステルは、モノラウリン酸デカグリセリンエステルまたはモノラウリン酸ペンタグリセリンエステルであることが好ましい。 本発明において、当該ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量は特に限定されないが、ホエープロテイン含有顆粒に対して、0.5重量%〜3重量%程度が好ましい。添加量がこの範囲にあることで有効にだまの発生が防止できる。他方、その添加量が多いと、場合により本発明によるホエープロテイン含有顆粒が加えられる食品等の味に影響を与えることがあるので、その観点から上限が定められてよい。 本発明によるホエープロテイン含有顆粒は、水に溶解した際にその溶液の透明度が高い。具体的には、水100重量部に対して、5重量部溶解したときの、波長800nmにおける光の透過率は80%以上であり、好ましい態様によれば90%以上である。ここで、透過率は、ホエープロテイン含有顆粒を、水100重量部に対して、5重量部溶解した水溶液を調製し、10mm幅の該水溶液入りセルに波長800nmの光を照射したときの、光の透過率を水を比較対象として測定したものである。 また、ホエープロテイン含有顆粒を溶解した水溶液のpHが、ホエープロテインの等電点付近(pH4〜5)であると沈殿が発生するため好ましくない。嗜好性も考慮すると、ホエープロテイン含有顆粒を溶解した水溶液のpHはpH2.5〜3.7またはpH6〜7.5となるのがより好ましい。なおpH測定温度は25℃とする。 ホエープロテイン含有顆粒およびその製造法 本発明によるホエープロテイン含有顆粒は、上記のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む以外は、周知または慣用されている方法によって製造されたホエープロテイン含有顆粒であってよい。従って、本発明によるホエープロテイン含有顆粒は、流動層造粒、転動造粒、押出し造粒、攪拌造粒等により製造できる。造粒にバインダーを用いることが好ましく、バインダーとして、例えば、プルラン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等の増粘多糖類の水溶液が挙げられる。 顆粒に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの添加は、造粒する前にホエープロテイン等の粉体原料と混合する、造粒時に添加する、または造粒した後の顆粒に添加する(例えば、そのまままたはその水溶液として噴霧して、顆粒の一部または全部を被覆する)等のいずれであってもよい。 従って、本発明の好ましい一つの態様によるホエープロテイン含有顆粒の製造方法は、ホエープロテインを、HLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルと、場合によってバインダーと共に造粒する工程を含んでなるものである。 また、本発明の別の好ましい態様によるホエープロテイン含有顆粒の製造方法は、ホエープロテインを、場合によってバインダーと共に造粒して顆粒を得て、得られた顆粒にHLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する工程を含んでなり、添加が好ましくはその水溶液を噴霧することにより行われるものである。ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加を噴霧により行う態様は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを顆粒全体に均一に被覆できることから好ましい。 本発明によるホエープロテイン含有顆粒中のホエープロテインの量は特に限定されないが、30重量%以上の顆粒に好ましく適用でき、60〜95重量%の高含有量であってもよい。なお、本発明においてホエープロテインの含有量とは、最終製品としての顆粒の重量から水分を除いた乾燥重量を100重量%として計算したものである。 本発明によるホエープロテイン含有顆粒は、そのまま使用されてもよく、またその用途に適した担体と共に組成物とされて使用されてよい。例えば、食品または医薬品として用いられる。 従って、本発明の好ましい一つの態様によれば、本発明によるホエープロテイン含有顆粒を、担体と共に含んでなる組成物が提供される。また、別の好ましい態様によれば、本発明によるホエープロテイン含有顆粒を含んでなる食品または医薬品が提供される。 また、本発明によるホエープロテイン含有顆粒は、その用途に従い他の成分を含むことが出来る。例えば、通常の食品顆粒に含まれる原料を含有することができ、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、果糖、乳糖、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、オリゴ糖、デキストリン、可溶性澱粉等の糖質、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等の酸味料、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム等の甘味料、プルラン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム等の増粘剤、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ナトリウム等のミネラル、ビタミンA、B群、C、D、E、K等のビタミン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、リジン、メチオニン等のアミノ酸、バニラ香料、ミルク香料、フルーツ香料、ドリンク香料等の香料等を含有することができる。 本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 試験例 ホエープロテイン75重量部、乳糖14.9重量部、クエン酸8.7重量部を流動層造粒機に入れて65℃にて混合しながら、プルラン5重量%、スクラロース1重量%を水に溶解したバインダー液10重量部を噴霧して造粒を行った。噴霧終了後、85℃にて水分が3重量%になるまで乾燥し、常温まで冷却して顆粒を得た。この顆粒に、表1の各種乳化剤を水と等重量混合したスプレー液1.6重量部(比較例9については、全量水)をそれぞれ噴霧して最終製品としてのホエープロテイン含有顆粒を得た。得られたホエープロテイン含有顆粒10gを25℃、200gの水に加えて、スパーテルで15秒間均一に攪拌して溶解したときのだまの発生について調べた。また、分光光度計(株式会社島津製作所製:UV−2400PC)を用いて、得られた水溶液の波長800nmの光の透過率を測定した。なお、各水溶液はpH3.3であった。結果は表1に示されるとおりであった。 HLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルを含んでなる、ホエープロテイン含有顆粒。 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5〜3重量%含んでなる、請求項1に記載のホエープロテイン含有顆粒。 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、下記の式(I)で表される化合物である、請求項1または2に記載のホエープロテイン含有顆粒:(式中、nは5〜15の整数を表す)。 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、モノラウリン酸デカグリセリンエステルまたはモノラウリン酸ペンタグリセリンエステルである、請求項1または2に記載のホエープロテイン含有顆粒。 ホエープロテインを、HLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルと共に造粒する工程を含んでなる、ホエープロテイン含有顆粒の製造方法。 ホエープロテインを、HLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルと、バインダーと共に造粒する工程を含んでなる、ホエープロテイン含有顆粒の製造方法。 ホエープロテインを造粒して顆粒を得て、該顆粒にHLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する工程を含んでなる、ホエープロテイン含有顆粒の製造方法。 ホエープロテインを、バインダーと共に造粒して顆粒を得て、該顆粒にHLBが13〜18である、ラウリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する工程を含んでなる、ホエープロテイン含有顆粒の製造方法。 前記顆粒に前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する工程が、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルを噴霧することにより行われる、請求項7または8に記載の方法。 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、請求項3において定義される式(I)で表される化合物である、請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法。 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、モノラウリン酸デカグリセリンエステルまたはモノラウリン酸ペンタグリセリンエステルである、請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法。 請求項1〜4のいずれか一項に記載のホエープロテイン含有顆粒を、担体と共に含んでなる、食品用組成物。 請求項1〜4のいずれか一項に記載のホエープロテイン含有顆粒を、担体と共に含んでなる、医薬組成物。 請求項1〜4のいずれか一項に記載のホエープロテイン含有顆粒を含んでなる、食品。 請求項1〜4のいずれか一項に記載のホエープロテイン含有顆粒を含んでなる、医薬品。


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