生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_タンパク質を精製するための方法
出願番号:2008503204
年次:2008
IPC分類:C07K 1/22


特許情報キャッシュ

ボシェッティ イージスト ローマス リー JP 2008536821 公表特許公報(A) 20080911 2008503204 20060322 タンパク質を精製するための方法 バイオ−ラッド ラボラトリーズ インコーポレーティッド 507190880 清水 初志 100102978 刑部 俊 100119507 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 井上 隆一 100142929 ボシェッティ イージスト ローマス リー US 60/664,794 20050323 C07K 1/22 20060101AFI20080815BHJP JPC07K1/22 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2006010656 20060322 WO2006102547 20060928 38 20071106 4H045 4H045AA10 4H045CA40 4H045GA26発明の分野 本発明は、コンビナトリアルケミストリー、タンパク質化学、および生化学の分野に関する。詳しくは、本発明は、タンパク質精製の分野で用いられる方法およびキットについて記述する。関連出願の相互参照 本出願は2005年3月23日付で出願された仮出願第60/664,794号の恩典を主張し、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。発明の背景 タンパク質の大規模な、経済的精製は、バイオテクノロジー産業にとってますます重要な問題となっている。一般的に、タンパク質は、関心対象のタンパク質を、そのタンパク質に対する遺伝子を含有する組換えプラスミドの挿入によって産生するよう遺伝子操作された哺乳動物細胞株または細菌細胞株のいずれかを用いて、細胞培養により産生される。使われる細胞株は生きた生物であるので、それらは、動物血清の調製物から通常は供給される、糖、アミノ酸、タンパク質、および増殖因子を含んだ、複合増殖培地を与えられなければならない。標的タンパク質の発現に付随して、その他多くのタンパク質も産生される。細胞に与えられた化合物の混合物および細胞それ自体の副産物から、ヒト用治療薬として用いるのに十分な純度で所望のタンパク質を単離することは大変な課題をもたらす。 細胞残屑からのタンパク質の精製手順は、初めに、タンパク質の発現部位に依存する。細胞から周囲の増殖培地の中に直接的に分泌されるようにもたらされるタンパク質もあれば、細胞内に作出されるものもある。後者のタンパク質の場合、精製工程の第1段階は細胞の溶解を伴い、これは機械的剪断、浸透圧ショック、または酵素処理を含めて、さまざまな方法により行うことができる。そのような破壊によって細胞の全タンパク質含有物がホモジネートの中に放出され、標的タンパク質を単離することの難しさはさらにもっと高くなる。規模はもっと小さいが、同じ問題は、培養工程の間の細胞の自然死によって直接的に放出されたタンパク質で起こる。 いったん関心対象のタンパク質を含有する清澄化された溶液が得られると、細胞によって産生されたその他のタンパク質からの関心対象のタンパク質の分離は、通常、異なるクロマトグラフィー技術の組み合わせおよび順次適用によって試みられる。これらの技術では、タンパク質の複合混合物を、その電荷、疎水性度、サイズ、または親和性に基づいて分離する。いくつかの異なるクロマトグラフィー樹脂がこれらの技術のそれぞれに利用可能であり、関連する特定のタンパク質に対する精製スキームの正確な調整を可能にしている。これらの分離法のそれぞれの本質は、タンパク質が、長いカラム中を異なる速度で下へ移動し、カラムをさらに下へ移動するにつれて増大する物理的分離が達成されうることであるか、または分離媒体に選択的に接着させて、異なる溶媒により差次的に溶出されうることである。場合によっては、不純物がカラムに特異的に接着し、関心対象のタンパク質が接着しない、つまり関心対象のタンパク質が「素通り液(flow-through)」に存在する場合に、所望のタンパク質は不純物から分離される。しかしながら、多くの場合、関心対象のタンパク質を含有する精製タンパク質溶液はそれでも、精製のため出発材料におけるよりも少ない量ではあるが、さまざまな混入タンパク質およびその他の望ましくない不純物を含んでいる。この問題を克服する現在の試みでは、典型的には、いわゆるポリッシング段階(polishing step)を伴う。この段階には、例えば、混入タンパク質が標的タンパク質と異なる分子量を有する場合には、ゲルろ過、イムノアフィニティークロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーを伴うことが多い。 イムノアフィニティークロマトグラフィーは、試料中に存在する全ての混入タンパク質が定かである場合に、およびこれらの混入タンパク質に対する抗体が利用可能である場合に最も有用である。典型的には、抗体を固体支持体に固定化し、免疫吸着剤として用いる。しかしながら、この手法にはかなりの難点がある。非常に多くの場合、混入タンパク質の正体が定かではなく、したがってこの抗体手法は実施可能ではない。さらに、イムノアフィニティーカラムは高価であり、その標的に完全に特異的であることはめったにない。 陰イオン交換クロマトグラフィーは一般的な手法であり、どららも比較的酸性の分子である内毒素および外来DNAを除去するのに使われることが多い。この手法では同様に、ある種のタンパク質などの、酸性であるその他の分子を結合する。しかしながら、この手法は、関心対象の標的タンパク質と類似の特徴(例えば、同じ正味荷電)を有する混入タンパク質の除去には効果がない。 このように、非常に多くの場合、特性が定かではない混入タンパク質は除去するのが非常に困難である。治療用タンパク質溶液の場合は、微量の混入タンパク質でさえも、このような治療用タンパク質が投与される患者に悲惨な影響を及ぼすかもしれない。そのような影響には重度のアレルギー反応または免疫反応が含まれる。多くの場合、これらの影響は、治療用タンパク質を組換えにより発現するために使われる真核細胞または原核細胞に由来する混入タンパク質によって引き起こされる。これらの混入タンパク質はHCPs (宿主細胞タンパク質)として公知である。HCPsは、定義からして、非常に多様であり、先行技術の方法を用いては、単一の工程で除去することができない。それ故に、その排除には、関心対象の治療用タンパク質の全収率の低下の一因にもなる一連の段階が条件となる。すなわち、全ての混入タンパク質または不純物が、単一の精製段階で少なくとも部分的に、好ましくは完全に除去される方法は、先行技術の方法に比べて好ましい。発明の概要 既に高度に精製された試料から可能な限り多くの不純物を除去することが本発明の目的である。ある種の結合部分のライブラリがこの目的を達成するのに好ましい。特に、試料中の特定の被分析物を結合するその能力について予め選択されていない、数多くの異なる結合部分のライブラリを用いることによって、この目的を最もよく達成することができる。そのようなライブラリは本明細書において「非選択的」ライブラリといわれる。(そのようなライブラリにおけるいくつかの結合部分の結合特異性が、ライブラリの使用後に明らかになりうるという事実では、そのライブラリが「選択的」とはならない。)そのようなライブラリを使用することで、無差別に全集団にわたる種類の捕捉の可能性が高まる。すなわち、例えば、各抗体が公知の結合パートナーに向けられている抗体のライブラリは、各抗体が向けられている種類だけを選択するはずであり、それにひきかえ、同じサイズの生殖細胞系抗体ライブラリは、予め選択された被分析物に結合する抗体を含んでいない。そのようなライブラリでは、試料中に存在することが定かでない種類を選択する可能性がいっそう高い。非選択的ライブラリは、コンビナトリアルケミストリーを利用することでまたは化学的部分を無作為にアッセンブルすることで作出することができる。さらに、ライブラリのサイズを増大させることにより、選択的であれ非選択的であれ、捕捉され検出される試料中の異なる非分析物の種類の数が増大しうる。結合部分の非選択的ライブラリの例としては、生殖細胞系抗体ライブラリ、組換え結合タンパク質のファージディスプレイライブラリ、色素ライブラリ、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖に基づいたコンビナトリアルライブラリ、ならびにメンバーの結合特異性が予め選択されていない非コンビナトリアルライブラリ、さまざまな種類のコンビナトリアルライブラリおよびその一部分が挙げられる。精製の量は、試料中の結合部分および混入物の相対量に依ることにも留意されたい。混入物に対する結合部分の相対量は、結合部分が試料中の混入物の全部ではないにしても大部分と結合できるよう十分に大きくすべきであるが、標的タンパク質の大部分も結合部分に結合されるほど大きくすべきではない。 関心対象のタンパク質を精製するための方法を提供することは本発明の目的である。本発明の1つの態様において、標的タンパク質群を精製するための方法が提供される。この方法は(a) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合部分を有するライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階; (b) 混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合部分のライブラリに結合させる段階; (c) 結合部分のライブラリに結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から未結合の標的タンパク質群を分離する段階; ならびに(d) 試料から未結合の標的タンパク質群を回収する段階を含む。回収された標的タンパク質群は、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である。好ましい態様において、結合部分のライブラリの量は、混入タンパク質の大部分と結合するのに十分である。 本発明の好ましい態様において、試料は少なくとも98%の標的タンパク質群および多くても2%の混入タンパク質を含む。 別の好ましい態様において、試料は発酵ブロスを含む。 本発明の好ましい態様において、標的タンパク質群は単一のタンパク質種からなる。 本発明の好ましい態様において、標的タンパク質は天然タンパク質を含む。本発明の別の態様において、標的タンパク質群は組換えタンパク質を含む。好ましい態様において、組換えタンパク質は、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される。本発明の別の好ましい態様において、組換えタンパク質は、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される。 本発明の他の態様において、ライブラリは、少なくとも1,000、少なくとも10,000、少なくとも100,000、少なくとも1,000,000、少なくとも10,000,000、または少なくとも100,000,000の異なる結合部分を含む。 本発明の好ましい態様において、ライブラリは、生殖細胞系抗体ライブラリ、組換えポリペプチドのファージディスプレイライブラリ、色素ライブラリ、非コンビナトリアルライブラリ、コンビナトリアルライブラリ、および前記のいずれかの一部分からなる群より選択される、非選択的ライブラリである。好ましいライブラリはコンビナトリアルライブラリの少なくとも一部分を含む。同様に好ましいのは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、オリゴ糖、および有機小分子からなる群より選択される結合部分を含むコンビナトリアルライブラリである。別の態様において、コンビナトリアルライブラリはヘキサペプチドのコンビナトリアルライブラリである。 好ましい結合部分は生物有機高分子を含む。結合部分は色素、ポリペプチド、抗体、核酸、アプタマー、および有機小分子からなる群より選択される。 結合部分は固体支持体に結合させることができる。好ましい支持体はビーズまたは粒子の集まりである。固体支持体は、別個の粒子(球状または不規則形状)、ビーズ、繊維、フィルタ、膜およびモノリスからなる群より選択することができる。各結合部分は異なる固体支持体に付着させることができる。別の好ましい態様において、複数の異なる結合部分が単一の固体支持体に付着される。 別の態様において、本発明の方法は、段階(a)の前に、標的タンパク質群を産生する細胞を培養する段階を含む。細胞は真核細胞または原核細胞でありうる。標的タンパク質群はさまざまな試料から精製されうる。本発明の1つの態様において、試料は細胞上清である。別の態様において、試料は細胞抽出物である。 本発明の1つの態様において、方法はさらに、段階(a)の前に、(i) 95%に満たない標的タンパク質群および5%を超える混入タンパク質を含む前試料を少なくとも1つの精製工程に供する段階、ならびに(ii) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を回収する段階を含む。 本発明の1つの態様において、方法はさらに、(e) 回収された標的タンパク質群を薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることによって薬学的組成物を調製する段階を含む。 本発明の方法によれば、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、複数の方法で行われうる。好ましい態様において、この段階は懸濁バッチ工程で行われる。本発明の別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、固体支持体に付着された結合部分のライブラリを詰め込まれたカラムに試料を通すことで行われる。別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、流動層工程を含む。 本発明の方法によって調製された、標的タンパク質群および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供することは、同様に本発明の目的である。好ましい態様において、標的タンパク質群は、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される。本発明の別の好ましい態様において、標的タンパク質群は、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される。 本発明は同様に、標的タンパク質群を精製するためのキットを提供する。好ましい態様において、キットは(i) 少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリ、ならびに(ii) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることにより標的タンパク質群を精製するための使用説明書を含む。本発明のキットはさらに、試料を結合部分のライブラリと接触させるためのインキュベーション用緩衝液を保有する複数の容器、または分画用カラムを含むことができる。 本発明のさらなるキットの態様は、本明細書において記述される方法の変化形のいずれかを当業者が行うことを可能にしうる任意の機能的な構成要素を含む。定義 特に規定のない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味を有する。以下の参考文献は、本発明で使用される用語の多くの一般定義を当業者に提供する: Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991); およびHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書において用いられる、以下の用語は、特に指示のない限りそれらに依る意味を有する。 「結合部分」とは、被分析物を結合する化学的部分をいう。 「結合部分のライブラリ」とは、異なる結合部分の集まりをいう。 「抗体ライブラリ」とは、抗体、すなわち、抗原上の特異的エピトープに結合できる分子であって、免疫グロブリンをコードする遺伝子のフレームワーク領域に由来するということが当業者によって認識されるアミノ酸配列を含むと構造的に規定される分子のセットをいう。構造的に、最も単純な天然抗体(例えば、IgG)は4本のポリペプチド鎖、つまりジスルフィド結合によって全てが共有結合的に連結されている2コピーの重(H)鎖と2コピーの軽(L)鎖とを含む。結合の特異性はH鎖およびL鎖の可変(V)決定基で見出される。主に構造的である抗体の領域は定常(C)領域である。「抗体」という用語は、全抗体、抗体の機能的断片、修飾または誘導体を含む。それは同様に、遺伝子操作されている産物、または二重特異性抗体もしくはキメラ抗体、例えば、ヒト化抗体とすることができる。抗体は、例えば、Fv (抗体の単一腕のVLおよびVHドメインからなる)、Fd (VHおよびCH1ドメインからなる)、dAB断片(VHドメインからなる; Ward et al., Nature, 341:544-546, 1989)、単離された相補性決定領域(CDR)、Fab (VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる)、ならびにF(ab)2 (ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片)を含むさまざまな形態で、ならびに一本鎖で存在することができる。重鎖と軽鎖の遺伝子が単一のコード配列中で組み合わされている、一本鎖抗体(SCA)を使用することもできる。SCAの中には、適当なポリペプチドリンカーによって連結されている、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含んだ遺伝子組換え分子もある。 「前試料」とは、95%に満たない関心対象の標的タンパク質群を含むタンパク質またはタンパク質の混合物をいう。好ましい前試料は、例えば、発酵ブロス、細胞上清、細胞抽出物、動物抽出物、および植物抽出物を含むが、これらに限定されることはない。 本明細書において用いられる「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、アミノ酸残基の重合体をいう。この用語は同様に、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸重合体に当てはまり、ならびに天然のアミノ酸重合体であって、修飾残基を含有するものおよび非天然のアミノ酸重合体に当てはまる。本発明のペプチドおよびタンパク質は、個別のアミノ酸残基のD-アイソフォームおよびL-アイソフォーム、ならびにその他のアミノ酸変異体を有するアミノ酸重合体を含む。ペプチドは、分子の一次構造を構成するアミノ酸残基の数によって識別される。本発明の目的では、通常、ペプチドは最大50アミノ酸残基を含むその分子であり、タンパク質は50を超えるアミノ酸残基を含む。 標的タンパク質群を含む試料、および1つもしくは複数の混入タンパク質または不純物から標的タンパク質群を「精製する」とは、少なくとも1つもしくは複数の混入タンパク質または不純物を、部分的にまたは完全に除去することで標的タンパク質群の純度を高めることをいう。 「組換えタンパク質」とは、タンパク質をコードする核酸で形質転換されているもしくはトランスフェクトされている、または相同組換えの結果としてタンパク質を産生する宿主細胞において産生されたタンパク質をいう。 「試料」とは、任意の組成物、好ましくは、関心対象の標的タンパク質群および混入タンパク質を含んでおり、かつ試料中に存在する任意の関心対象の標的タンパク質群および任意の混入タンパク質が結合部分のライブラリと接触することを可能にする物理的状態にある水溶液をいう。試料は、少なくとも95%の関心対象の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む任意の供給源のものであってもよい。 「固体支持体」とは、粒子(例えば、ビーズ)、繊維、モノリス、膜、フィルタ、プラスチックストリップなどを含む任意の不溶性材料をいう。 タンパク質は、同時に精製されうるさまざまな形態で試料中に存在しうると認識されている。「標的タンパク質群」とは、精製される予定の単一のタンパク質または関連タンパク質の群をいう。これらの関連形態は、翻訳前および翻訳後の修飾のいずれか、またはその両方に由来しうる。翻訳前の修飾形態は、対立遺伝子変異体、スプライスバリアント(slice variant)およびRNA編集形態を含む。翻訳後に修飾された形態は、タンパク質分解的切断によって生じた形態(例えば、親タンパク質の断片)、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、酸化、メチル化、シスチニル化(cystinylation)、スルホン化およびアセチル化によって生じた形態を含む。特異的タンパク質およびその全ての修飾形態を含むタンパク質の集まりを、本明細書において「標的タンパク質群」という。すなわち、例えば、アルブミンおよび血清中に見られるアルブミンの修飾形態は、標的タンパク質群である。さらに、タンパク質は二量体タンパク質などの、多量体タンパク質として発現されうる。この例が免疫グロブリンおよびインスリンである。「標的タンパク質群」という用語は、これも包含する。発明の詳細な説明 本発明は、当業者が5つ以下の個別のタンパク質からなる標的タンパク質群、好ましくは単一のタンパク質を、標的タンパク質群および未知の混入タンパク質を含む試料から精製することを可能にする方法およびキットを提供する。本発明はさらに、本発明の方法によって調製された標的タンパク質群を含む薬学的組成物を提供する。本発明は同様に、本明細書において記述される方法のいずれかを当業者が行うことを可能にしうる構成要素を含むキットを提供する。I. 標的タンパク質群の精製 本発明の方法の原則は、コンビナトリアルライブラリなどの、結合部分のライブラリが、全体として、多様な被分析物、具体的には、試料中の多様なタンパク質混入物を結合できる個別の結合部分を含むという仮定に基づいている。 本発明の好ましい態様において、結合部分のライブラリ、例えば、コンビナトリアルライブラリ中の個別の結合部分の数は非常に多いので、試料中に存在する各タンパク質が個別の結合部分の少なくとも1つに親和性を有すると仮定される。典型的には、結合部分はビーズなどの固体支持体に付着される。精製される予定の関心対象の標的タンパク質群といくつかの混入タンパク質とを含む試料が、そのようなコンビナトリアルライブラリと接触されられる場合、個別の結合部分は、標的タンパク質群および混入タンパク質を含むタンパク質結合パートナーに結合する。コンビナトリアルライブラリの大きな多様性によって、試料中のあらゆるタンパク質に、すなわち、関心対象の標的タンパク質群および混入タンパク質に特異的な結合部分が提供される。しかしながら、単一のタンパク質種に対するビーズの収容能力の限界により、最低限の量の標的タンパク質群が結合し、その後試料から除去されるであろう。理論的には、試料に加えられるビーズに付着された多様なコンビナトリアルライブラリの量が十分に計算されていれば、実質的に全ての混入タンパク質が除去されるはずであり、その一方で関心対象の標的タンパク質群は部分的に除去されるだけであろう。結合していない関心対象の標的タンパク質群は上清に残ったままであり、ろ過、遠心分離またはその他の手段によって、結合部分のライブラリに結合したタンパク質から分離することができる。分離後に、標的タンパク質群が回収される。回収された標的タンパク質群は、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である。 関心対象の標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製することは好都合であるが、本発明の方法は同様に、標的タンパク質群および非ポリペプチド混入物または不純物を含む試料から、関心対象の標的タンパク質群を精製するために実施できることも当業者なら理解するであろう。A. 標的タンパク質群および混入タンパク質 本発明の方法およびキットは、標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料からの標的タンパク質群の精製に特に有用である。 本発明の好ましい態様において、標的タンパク質は単一のタンパク質種からなる。1. 標的タンパク質群 本発明の1つの態様において、精製される標的タンパク質群は、組換えタンパク質を含む。本発明の好ましい態様において、組換えタンパク質は、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される。 関心対象の標的タンパク質群はまた、動物またはヒトに常在する細胞タンパク質でありうり、その喪失または機能不全が、癌、ウイルス感染、寄生虫感染、細菌感染などのような疾患または感染状態と関連する。細胞ストレスのマーカーも特に関心がある。動物またはヒトがストレスを受けていることを示唆する標的タンパク質群は、ある種の精神病、心筋梗塞および感染症を含めて、いくつかの疾患状態の早期指標である。 本発明の別の態様において、標的タンパク質群は、治療用タンパク質を含む。「治療用タンパク質」とは、疾患に苦しむ患者に、疾患の症状または合併症を少なくとも部分的に抑えるかまたは遅らせる反応を引き出すよう投与される任意のタンパク質である。典型的には、治療用タンパク質は組換えにより作出される、すなわち、それは組換えタンパク質である。 本発明の別の好ましい態様において、組換えタンパク質は、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される。 治療用タンパク質はIgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMなどの、抗体でもよい。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。本発明の方法は、マウス抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体の精製に適している。 本発明の方法は、例えば、(i) 抗トロンビンIII、第VIIa凝固因子、第VIII凝固因子、および第IX凝固因子などの、凝固因子; (ii) 組織プラスミノゲン活性化因子、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼなどの、抗凝固剤; (iii) βグルコセレブロシダーゼ、α-D-ガラクトシダーゼ、α-ガラクトシダーゼA、α L-イズロニダーゼ、α-1,4-グルコシダーゼ、アリールスルファターゼB (arylsulfutase B)、イズロン酸-2-スルファターゼ、アデノシンデアミナーゼ、ヒトデオキシリボヌクレアーゼI (hDNase-I)、およびヒト活性化プロテインなどの、稀有な先天性疾患に対する酵素; (iv) インスリンおよび遺伝子操作されたインスリン; (v) ヒト卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、および黄体形成ホルモンなどの、生殖ホルモン; (vi) ヒト成長ホルモン(ソマトトロピン)、ヒト骨形成タンパク2、ネシリチド、および副甲状腺ホルモンなどの、その他のホルモン; (vii) エリスロポエチン(エリスロポエチンα、エリスロポエチンβ、ダーベポエチンαを含む)、ケラチノサイト増殖因子、ケラチノサイト増殖因子-2、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Gm-CSF)などの、増殖因子; (iix) αインターフェロン(ペグ化されたαインターフェロンおよびリバビリン、ペグ化されたインターフェロンα-2aおよびコペガスを含む)、βインターフェロン(例えば、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ1b)、およびγインターフェロンなどの、インターフェロン; (ix) IL-1アンタゴニスト、IL-2、インターロイキン-10、インターロイキン-11、およびインターロイキン-12などの、インターロイキン; (x) α4インテグリンアンタゴニスト、抗胸腺細胞グロブリン、CD2アンタゴニスト、CD3アンタゴニスト、CD4アンタゴニスト、CD11aアンタゴニスト(例えば、エファリズマブ)、CD20アンタゴニスト(リツキサン(Rituxan)、チウキセタン(Tiuxetan)、ゼバリン(Zeevalin)、ベキサール(Bexxar))、CD22アンタゴニスト、CD33アンタゴニスト(ゲムツズマブオゾガマイシン)、およびCD52アンタゴニスト(アレムツズマブ)などの、白血球受容体を標的とするモノクローナル抗体; (xi) ケモカインアンタゴニスト、IL-2アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、Il-5アンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-12アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニスト、TNF-αアンタゴニストなどの、サイトカインを標的とするモノクローナル抗体; (xii) EGFRアンタゴニスト、HER-2アンタゴニスト(例えば、ハーセプチン)、MUC-1アンタゴニスト、VEGFアンタゴニストなどの、がん細胞上の受容体を標的とするモノクローナル抗体; (xiiv) リツキシマブ(ヒト化MAb)、補体抗体(例えば、C5阻害剤)、糖タンパク質(GP) IIb/IIIaアンタゴニスト、IgEアンタゴニスト(例えば、オマリズマブ)および呼吸器合胞体ウイルスF-タンパク質アンタゴニスト、インフリキシマブ(キメラMAb)、アダリムマブ、ならびにエタネルセプト(抗体-Fcおよびp75-TNF受容体タンパク質の融合タンパク質)などの、その他の抗体; (xiv) CD20アンタゴニスト、CD22アンタゴニストおよびIL-2アンタゴニストなどの、非ホジキンリンパ腫の処置用のタンパク質に基づく薬物; (xv) CD33アンタゴニスト、CD52アンタゴニスト、およびαインターフェロンなどの、白血病の処置用のタンパク質に基づく薬物; (xvi) モノクローナル抗体トラスツズマブ(ハーセプチン; ヒト化抗HER-2 MAb; 乳がん)、セツキシマブおよびベバシツマブ(EGFRおよびVEGR阻害剤)、ペムツモマブおよびオレゴボマブ(MUC-1阻害剤)などの、固形腫瘍の処置用のタンパク質に基づく薬物; (xvii) エリスロポエチンなどの、貧血の処置用のタンパク質治療薬; (xiix) ネシリチドなどの、うっ血性心不全の処置用のタンパク質; (xix) アルテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、GPIIb/IIIa受容体阻害剤および補体阻害剤などの、心臓発作および脳卒中の処置用のタンパク質; (xx) 第VIII凝固因子、第IX凝固因子、第VII凝固因子、およびフォンヴィレブランド因子などの、血友病およびフォンヴィレブランド病の処置用のタンパク質; (xxi) G-CSF、G-CSF-PEG結合体、およびGm-CSFなどの、好中球減少症の処置用のタンパク質; (xxii) トロンボポエチンなどの、血小板減少症の処置用のタンパク質; かつ(xxiiv) 肺疾患(例えば、嚢胞性線維症、肺気腫、特発性肺線維症)、感染性疾患(例えば、B型肝炎(B型肝炎ウイルスの外被タンパク質を含む)、C型肝炎、敗血症およびRSV)、免疫疾患(例えば、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症、急性拒絶反応、クローン病および潰瘍性大腸炎、乾癬(例えば、アレファセプト)、乾癬性関節炎およびSCID)、皮膚および骨疾患(骨折、骨粗しょう症および創傷)ならびにその他の疾患(例えば、リソソーム蓄積症、不妊症(例えば、ホリトロピンα)、および糖尿病)の処置用のタンパク質薬、ならびに上記のタンパク質のいずれかの断片、キメラタンパク質または融合タンパク質を含むが、これらに限定されない、さまざまな標的タンパク質群を精製するのに適している。 本発明の方法によって精製できる生物学的に関連のあるその他の標的タンパク質群は、レニン; 成長ホルモン放出因子; 副甲状腺ホルモン; 甲状腺刺激ホルモン; リポタンパク質; α-1-アンチトリプシン; インスリンA鎖; インスリンB鎖; プロインスリン; 卵胞刺激ホルモン; カルシトニン; 黄体形成ホルモン; グルカゴン; プロテインCなどの抗凝固因子; 心房性ナトリウム利尿因子; 肺表面活性剤; ヒト尿または組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)などの、プラスミノゲン活性化因子; ボンベシン; トロンビン; 造血成長因子; 腫瘍壊死因子-αおよび腫瘍壊死因子-β; エンケファリナーゼ; RANTES; ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-α); ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン; ミューラル管抑制物質; リラキシンA鎖; リラキシンB鎖; プロレラキシン; マウスゴナドトロピン関連ペプチド; β-ラクタマーゼなどの、微生物タンパク質; DNase; IgE; CTLA-4などの、細胞障害性Tリンパ球関連抗原(CTLA); インヒビン; アクチビン; 血管内皮増殖因子(VEGF); ホルモンまたは増殖因子に対する受容体; プロテインAまたはD; リウマチ因子; 骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6 (NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)などの神経栄養因子、またはNGF-βなどの神経成長因子; 血小板由来増殖因子(PDGF); aFGFおよびbFGFなどの線維芽細胞増殖因子; 上皮細胞増殖因子(EGF); TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含め、TGF-αおよびTGF-βなどの形質転換増殖因子(TGF); インスリン様増殖因子-Iおよび-II (IGF-IおよびIGF-II); des(1-3)-IGF-I (脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質; CD3、CD4、CD8、CD19およびCD20などのCDタンパク質; エリスロポエチン; 骨誘導因子; 免疫毒素; 骨形成タンパク質(BMP); スーパーオキシドジスムターゼ; T細胞受容体; 表面膜タンパク質; 分解促進因子; 例えば、AIDS外被の一部分などのウイルス抗原; 輸送タンパク質; ホーミング受容体; アドレシン; 調節タンパク質; CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4およびVCAMなどのインテグリン; EGFR、HER2、HER3またはHER4受容体などの腫瘍関連抗原; ならびに上記のタンパク質のいずれかの断片、キメラタンパク質または融合タンパク質を含む。 さらに、関心対象の特定の標的タンパク質群は抗体を含む。好ましい抗体のリストは米国特許出願第2003/0036095号(Tchaga)中で見出され、この出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。2. 混入タンパク質 通常、試料には、関心対象の標的タンパク質群、および試料から取り除くことが望まれる、標的タンパク質群以外のタンパク質である混入タンパク質が含まれる。混入タンパク質は任意の数の個別のタンパク質であってもよい。しかしながら、本発明の好ましい態様において、試料中の混入タンパク質の濃度は多くても5%である。本発明の別の好ましい態様において、試料中の混入タンパク質の濃度は多くても2%である。 本発明の方法およびキットによって結合部分のライブラリが提供されるので、混入タンパク質の同一性または供給源に関するいかなる情報も必要とされない。標的タンパク質群が宿主細胞中で組換えにより産生される場合、混入タンパク質は、典型的には、標的タンパク質群を産生する宿主細胞に由来するか、または宿主細胞を増殖させるのに使われる細胞培地に由来する。それらはサイトゾルタンパク質、構造タンパク質、核タンパク質、膜タンパク質、酵素および具体的にはプロテアーゼなどのさまざまな部類のものでありうる。組換え標的タンパク質群を産生するのに適した宿主細胞は、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞および原核細胞を含む。無細胞系を使用することもできる。 組換え標的タンパク質群または標的タンパク質群の個別のタンパク質を産生するのに好ましい真核宿主細胞は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎臓CV1細胞(例えば、COS 7細胞)、骨髄腫細胞、ヒト胎児腎細胞(293細胞または浮遊培養での増殖用にサブクローニングされた293細胞)、ヒト子宮頸がん細胞(HELA)、ヒト肺細胞(例えば、W138)、ヒト肝細胞(例えば、Hep G2)、3T3細胞、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4)、アフリカミドリザル腎細胞(例えば、VERO-76)、イヌ腎細胞(例えば、MDCK)、バッファローラット肝細胞(例えば、BRL 3A)などの脊椎動物細胞を含むが、これらに限定されることはない。好ましいのはCHOおよびBHK細胞である。したがって、CHOまたはBHK細胞に由来する試料中に存在する混入タンパク質は、CHO細胞タンパク質またはBHK細胞タンパク質を含む。 組換え標的タンパク質群または標的タンパク質群の個別のタンパク質を発現するのに有用なその他の真核宿主細胞は、組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母細胞(例えば、サッカロミセス セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス ポンベ(Schizosacharomyces pombe)、クルイベロマイセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマイセス フラギリス(Kluyveromyces fragiles)、クルイベロマイセス ブルガリクス(Kluyveromyces bulgaricus)、クルイベロマイセス ウィケラミイ(Kluyveromyces wickeramii)、クルイベロマイセス ワルティ(Kluyveromyces waltii)、クルイベロマイセス ドロソフィラルム(Kluyveromyces drsophilarum)、クルイベロマイセス サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、クルイベロマイセス マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、ピキア パストリス(Pichia pastoris)、ニューロスポラ クラッサ(Neurospora crassa))である。同様に、本発明の方法による適当な精製は、組換えウイルス発現ベクターでトランスフェクトされた昆虫細胞(例えば、スポドプテラ フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、アエデス アルボピクタス(Aedes albopictus)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、およびカイコガ(Bombyx mori))において発現された標的タンパク質群である。植物細胞において発現された標的タンパク質群も本発明の方法を実施することによって精製することができる。 組換え標的タンパク質群または標的タンパク質群の個別のタンパク質を産生するのに好ましい原核宿主細胞は、例えば、大腸菌(E. coli) (例えば、大腸菌294、大腸菌B、大腸菌X1776、大腸菌W3110)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella) (例えば、サルモネラ チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア(Serratia) (例えば、セラチア マルセスカンス(Serratia marcescans))、赤痢菌(Shigella)、バチルス(Bacilli) (例えば、枯草菌(B. subtilis)、B.リケニホルミス(B. licheniformis))、シュードモナス(Pseudomonas) (例えば、P.エルギノーサ(P. aeruginosa))、およびストレプトマイセスを含むが、これらに限定されることはない。好ましい原核細胞は大腸菌および枯草菌である。したがって、大腸菌または枯草菌に由来する試料中に存在する混入タンパク質は、大腸菌細胞タンパク質または枯草菌細胞タンパク質を含む。B. 適当な試料 試料は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含み、本明細書において被分析物ともいわれる。標的タンパク質群が2種以上の個別のタンパク質を含んだ試料では、試料中に存在する標的タンパク質群を合わせた合計が少なくとも95%である。例えば、関心対象の3種の別個のタンパク質(すなわち、標的タンパク質群)が試料中に存在する場合、第1の個別のタンパク質は少なくとも25%で存在することができ、第2の別個のタンパク質は少なくとも30%で存在することができ、第3の別個のタンパク質は少なくとも40%で存在することができる。本発明の別の好ましい態様において、試料は、少なくとも98%の標的タンパク質群および多くても2%の混入タンパク質を含む。 本発明で用いるのに適した試料は、気体、粉末、液体、懸濁液、乳濁液、透過性固体または微粉化固体などを含む。好ましくは、試料は液体である。最も好ましい試料は水溶液である。試料は、供給源から直接的に採取し、予備操作なく本発明の方法で使用することができる。好ましい試料は、例えば、細胞上清および細胞抽出物を含むが、これらに限定されることはない。 発現された標的タンパク質群が分泌される場合、それは増殖培地または細胞上清から精製することができる。したがって、本発明の好ましい態様において、本発明によって標的タンパク質が精製される試料は細胞上清である。 本発明の方法は同様に、分泌されない標的タンパク質群、すなわち宿主細胞中でいったん発現された標的タンパク質群であって、宿主細胞中に残ったままであり、ここから精製されうる標的タンパク質群に、適用することができる。発現された標的タンパク質群が宿主細胞から分泌されない場合、宿主細胞は好ましくは、破壊され、標的タンパク質群は水性抽出物の中に放出される。本発明の別の好ましい態様において、本発明によって標的タンパク質が精製される試料は細胞抽出物である。 あるいは、95%に満たない関心対象の標的タンパク質群を含む前試料は、その特性を強めるためおよび少なくとも95%の標的タンパク質群を含む試料を得るため、以下にさらに記述されるさまざまな方法で操作される。 前試料は、全血および血液誘導体、血清、血漿、尿、前立腺液、涙液、口腔液、唾液、精液、精漿、粘液、大便、痰、脳脊髄液、骨髄、リンパ液、胎児液、羊水、乳液、ならびに汗などの体液を含む生物学的供給源から採取された生物学的試料であってもよい。前試料は同様に、生物学的組織標本、細胞抽出物、発酵ブロス、および細胞上清を含む。生物学的試料は綿球採取(swabbing)、かき取りによって、外科的に取り出すことで、または皮下注射器などで回収することができる。当業者に周知の、代替の多くの適当な回収技術があるので、回収方法はどの場合にも、生物学的供給源やその状況に大きく依存する。多くの場合、発酵ブロス由来のまたは体液由来の標的タンパク質は、ろ過法、沈殿法、クロマトグラフィー法、または動電学的方法などの、古典的な分画法および精製法によって少なくとも約95%に精製することができる。 多くの場合、宿主細胞中でいったん発現された標的タンパク質群は、細胞培地の中に分泌され、ここからそのタンパク質群を精製することができる。したがって、前試料は発酵ブロスであってもよい。典型的には、発酵ブロスは、標的タンパク質群を発現する宿主細胞、細胞残屑および粒状物質を含む。前試料は、例えば、pH 調整、イオン強度調整、温度調整、水希釈ならびに/または凝集、遠心分離、ろ過もしくは精密ろ過などの1つもしくは複数の固体/液体分離技術に供された発酵ブロスであってもよい。このように、発酵ブロスは、標的タンパク質群を発現する宿主細胞、細胞残屑および粒状物質を除去することでさらに清澄化することができる。発酵ブロス中にまたは清澄化された発酵ブロス中に存在する標的タンパク質群は、本発明の方法を適用する前にさらに濃縮することができる。しかしながら、清澄化および/または濃縮は必須段階ではない。C. 適当な結合部分 標的タンパク質群を精製する方法は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階を含む。 本発明で使用される結合部分のライブラリは、少なくとも100の異なる結合部分を含む。好ましくは、結合部分のライブラリは、試料中に被分析物が存在するのと少なくとも同じくらい多くの異なる結合部分を含む。すなわち、理想的には、結合部分のライブラリは、少なくとも10、50、100、1,000、10,000、100,000、1,000,000、3,000,000、10,000,000、1,000,000,000の結合部分を含む。好ましくは、各結合部分は異なる被分析物を認識する。 結合部分は同様に、可溶性コンビナトリアル分子(combinatorial molecule)であってもよい。可溶性コンビナトリアル分子はリンカー部分を含むことが好ましい。「リンカー部分」によって、結合部分は、相補的なリンカー部分を含む相補的な固体支持体にカップリングされることが可能になる。可溶性コンビナトリアル分子を、典型的には試料に接触させ、関心対象の被分析物を結合させた後に、組み合わせ分子をそのリンカー部分によって固体支持体に結合させるかまたはカップリングさせることによって得られた複合体を単離する。あるいは、試料を接触させる前にコンビナトリアル分子を固体支持体にカップリングさせてもよい。 結合部分のライブラリは、気体性、水性および有機性懸濁液および乳濁液を含め、分子間相互作用の形成に適合する任意の物理的状態で、最も好ましくは液体状態で存在し、本発明を用いて検出可能な被分析物と相互作用することができる。 典型的には、および以下に詳述されるように、結合部分のライブラリは、不溶性の固体支持体または粒状物質にカップリングされる。各固体支持体または不溶性粒子は、同じ結合部分のいくつかのコピーを保有し、粒子種ごとに違う結合部分をカップリングすることが好ましい。 本発明の結合部分のライブラリは、当業者に公知の任意の技術を用いて作出することができる。例えば、結合部分のライブラリは、化学的に合成されてもよく、天然源から収集されてもよく、または生物有機高分子である結合部分のライブラリの場合、組換え技術を用いて産生されてもよい。 結合部分は、固体支持体に予めカップリングされた状態で購入してもよく、または標準的な方法を用いて固体支持体に間接的に付着させても、もしくは直接的に固定させてもよい(例えば、Harlow and Lane, Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1988); Biancala et al., Letters in Peptide Science 2000, 7(291):297; MacBeath et al., Science 2000, 289:1760-1763; Cass et al., ed., Proceedings of the Thirteenth American Peptide Symposium; Leiden, Escom, 975-979 (1994); 米国特許第5,576,220号; Cook et al., Tetrahedron Letters 1994, 35:6777-6780; およびFodor et al., Science 1991, 251(4995):767-773を参照のこと)。1. コンビナトリアルライブラリ 本発明の1つの態様において結合部分のライブラリは、コンビナトリアルライブラリまたはその一部分である。コンビナトリアルケミストリーライブラリは、いくつかの化学的「ビルディングブロック」を可能なあらゆる組み合わせで組み合わせることにより、化学的合成または生物学的合成のいずれかによって作出された化合物の集まりである。例えば、ポリペプチドライブラリなどの、完全な線形のコンビナトリアルケミストリーライブラリは、所与の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)に対して、可能なあらゆる方法で化学的ビルディングブロック(アミノ酸)のセットを組み合わせることで形成される。一例として、ビルディングブロックの数が5であり、構築体が5種類のメンバーより構成されるならば、可能な線形の組み合わせ数は55または3,125種類のメンバーとなる。この場合、ビルディングブロック(A、B、C、DおよびE)は、A-A-A-A-A; A-A-A-A-B; A-A-A-A-C; A-A-A-B-A; A-A-A-B-B; A-A-A-B-C; .....; A-A-B-A-A; A-A-B-A-B; A-A-B-A-C; .....; E-E-E-E-C; E-E-E-E-D; E-E-E-E-Eなど、直線的にアッセンブルされる。 コンビナトリアルライブラリの別の形態は骨格に基づく。これらの構築体は、ビルディングブロックによって選択的に置換されうる位置を含んだ、単一の中心的分子または中核を基礎としている。いくつかの置換基を付着できるトリクロロトリアジン(3箇所の置換可能な位置)が一例である。置換基の数が3であるなら、可能な組み合わせ数は10である。各置換基の相対な位置決めを考慮することも可能であり、この場合、組み合わせ数はいっそう大きくなる。 第3のレベルとして、線形のコンビナトリアルライブラリを骨格に基づくライブラリと組み合わせることが可能であり、ここでは、この後者の置換基がコンビナトリアル線形配列である。 化学的ビルディングブロックのそのような組み合わせ混合を通じて、何百万もの化合物を合成することができる。ペプチド結合部分の場合、その長さは15、10、8、6または4アミノ酸に制限されることが好ましい。本発明の核酸結合部分は少なくとも4個、より好ましくは6、8、10、15個、または少なくとも20個のヌクレオチドの好ましい長さを有する。オリゴ糖は、好ましくは長さが少なくとも5個の単糖単位、より好ましくは8、10、15、20、25個またはそれ以上の単糖単位である。 コンビナトリアルライブラリは完全であってもまたは不完全であってもよい。生体高分子の完全なコンビナトリアルライブラリは、所与の高分子の長さと組成に対して可能なあらゆる単量体順列の代表を含有するライブラリである。不完全なライブラリは、所与の高分子の長さに対して可能な1つまたは複数の単量体順列を欠くライブラリである。 ペプチド結合部分は、主張される発明の好ましい態様である。主張される発明で用いるのに適したペプチド結合部分のライブラリを作出するための方法、例えば、「スプリット、カップル、およびリコンバイン」法(例えば、Furka et al., Int. J. Peptide Protein Res., 37: 487-493 (1991); Houghton et al., Nature 354:84-88 (1991); Lam et al., Nature, 354: 82-84 (1991); 国際特許出願WO 92/00091; ならびに米国特許第5,010,175号、同第5,133,866号、および同第5,498, 538号を参照のこと)または当技術分野において公知の他の手法は、当業者に周知である。ペプチドライブラリの発現もDevlin et al., Science, 249: 404-406 (1990)に記述されている。 当技術分野において周知の組み合わせおよび合成化学技術では、それぞれが独特の構造を持った、何百万ものメンバーを含有するライブラリを作出することができる(Lam et al., Nature 354: 82-84 (1991)および国際(PCT)特許出願WO 92/00091)。18種の天然アミノ酸で作製された線形の六量体リガンドのライブラリは34×106個の異なる構造を含有する。アミノ酸類似体および異性体も含まれる場合、潜在的な構造の数は、事実上、無限である。さらに、そのようなライブラリの各メンバーは、異なる分子に結合する能力を潜在的に保有する。コンビナトリアルライブラリのメンバーは、ビーズなどの、固体支持体上で合成することができ、または固体支持体にカップリングすることができ、その結果、各ビーズはその表面にライブラリメンバーの何百万ものコピーを本質的に有することができる。異なるビーズを異なるライブラリメンバーにカップリングさせ、ライブラリメンバーをカップリングさせるのに使われるビーズの総数を大きくできるので、ビーズにカップリングされたライブラリメンバーに結合できる異なる分子の潜在数は非常に大きい。 Hammondら、US2003/0212253(2003年11月13日)では、以下の観点に沿ってコンビナトリアルライブラリについて記述している。ペプチド結合部分のライブラリは、天然アミノ酸に比べて安定性の増大をもたらすアミノ酸から合成することができる。例えば、システイン、メチオニンおよびトリプトファンをライブラリから除くことができ、2-ナフチルアラニン(2-naphylalanine)およびノルロイシンなどの非天然アミノ酸を含めることができる。N-末端アミノ酸をD-異性体とすることができ、またはアミノペプチダーゼの存在下においていっそう高い生化学的安定性をもたらすようアセチル化することができる。結合部分の密度は、標的分子に対する十分な結合をもたらすのに十分でなければならないが、結合部分が、標的分子ではなく自らと相互作用するほど高くてはいけない。支持体の乾燥重量1グラムあたり0.1 μmole〜500 μmoleの結合部分の密度が望ましく、より好ましくは支持体1グラムあたり10 μmole〜100 μmoleの結合部分の密度が望ましい。6-merのペプチドライブラリをToyopearl-AF Amino 650M樹脂(Tosohaas, Montgomeryville, Pa.)上で合成した。樹脂ビーズのサイズはビーズあたり60〜130 mmに及んだ。出発樹脂の初期置換はFmoc-Ala-OHおよびBoc-Ala-OH (1:3.8モル比)の混合物のカップリングにより達成された。カップリング後、Boc保護基を純TFAで十分に除去した。得られた脱保護アミノ基を次にアセチル化した。樹脂ビーズに残存するFmoc-Ala-OH部位を介してペプチド鎖をアッセンブルした。標準的なFmoc合成戦略を利用した。1つの態様、典型的な実験において、Fmoc-Ala-(Ac-Ala-)Toyopearl樹脂6グラムを20%ピペリジン(piperdine)/DMFで脱保護し(2×20分)、その後DMFで洗浄し(8回)、18個の別個の反応容器の中に均等に分けた。各別個の容器中で、単一のFmoc-アミノ酸を4〜7時間樹脂(BOP/NMM、5〜10倍(told)過剰)にカップリングした。個別の樹脂を洗浄し、「分割/混合」ライブラリ技術によって組み合わせた(Furka et al., Int. J. Peptide Protein Res., 37, 487-493 (1991); Lam et al., Nature, 354, 82-84 (1991); 国際特許出願WO 92/00091 (1992); 米国特許第5,010,175号; 米国特許第5,133,866号; および米国特許第5,498,538号)。アミノ酸配列が完成するまで脱保護およびカップリングのサイクルを繰り返した(六量体ライブラリの場合6サイクル)。最後のカップリングサイクルの間に、別個の反応容器中で20%ピペリジン/DMFにより、最後のFmocをペプチド樹脂から除去した。側鎖の保護基を2時間TFA処理(TFA:H2O:フェノール、90:5:5)で除去した。樹脂を十分に洗浄し、真空下で乾燥した。達成されたペプチド密度は、典型的には、0.06〜0.12 mmol/g樹脂の範囲であった。 ペプチドリガンド-樹脂ビーズ複合体の配列決定およびペプチド組成を確認し、樹脂の置換度はCommonwealth Biotechnologies, Inc., Richmond, Vaで定量的アミノ酸分析によって計算された。配列決定は、Hewlett PackardG1005Aを用いたエドマン分解により、Protein Technologies Laboratories, Texas A&M Universityで行われた。 コンビナトリアルライブラリの調製用の装置は市販されている(例えば、357 MPS, 390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050 Plus, Millipore, Bedford, MAを参照されたい)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリそれ自体が市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Tripos, Inc., St. Louis, MO, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MDなどを参照されたい)。2. 有機小分子 本発明の好ましい態様において、本方法は、結合部分のライブラリであって、有機小分子のコンビナトリアルライブラリであるライブラリと試料を接触させる段階を含む。 したがって、小分子は同様に、本発明の方法およびキットで用いられる結合部分のライブラリと企図される。典型的には、有機小分子は、被分析物とのイオン性、疎水性または親和性相互作用を可能にする特性を有する。有機小分子のライブラリはモノ-、ジ-およびトリ-メチルアミノエチル基、モノ-、ジ-およびトリ-エチルアミノエチル基、スルホニル、ホスホリル、フェニル、カルボキシメチル基などのようなクロマトグラフ法で伝統的に使われる化学基を含む。例えば、ライブラリにはベンゾジアゼピン(例えば、Bunin et al., Proc Natl Acad Sci USA 1994, 91:4708-4712を参照のこと)およびペプトイド(例えば、Simon et al., Proc Natl Acad Sci USA 1992, 89:9367-9371)を使用することができる。別の態様において、結合部分は色素またはトリアジン誘導体である。このリストは決して包括的ではない。当業者であれば、本発明の方法における結合部分のライブラリとしての使用に適合するイオン性、疎水性または親和性特性の有る何千もの化学的官能基を容易に認識すると思われるからである。 本発明の好ましい態様において、有機小分子のコンビナトリアルライブラリは、固体支持体、好ましくは複数のビーズに共有結合的に付着される。本明細書においてさらに記述されるように、固体支持体との有機小分子のコンビナトリアルライブラリの付着は直接的であってもまたはリンカーを介してもよい。3. 生体高分子 本発明の好ましい態様において、本方法は、結合部分のライブラリであって、生体高分子のコンビナトリアルライブラリであるライブラリと試料を接触させる段階を含む。 本発明の1つの態様において、生体高分子はポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質およびオリゴ糖からなる群より選択される。 本発明の結合部分の生体高分子ライブラリの場合、線形の長さは、好ましくは4〜50個の単糖単位、特に15個以下、10個以下、望ましくは8、7、6、5、4または3個の単糖単位である。ペプチドライブラリの場合、その長さは15、10、8、6または4個以下のアミノ酸に制限されることが好ましい。核酸ライブラリは少なくとも4個、より好ましくは少なくとも6、8、10、15個、または少なくとも20個のヌクレオチドの好ましい長さを有する。オリゴ糖は、好ましくは長さが少なくとも5個の単糖単位、より好ましくは少なくとも8、10、15、20、25個またはそれ以上の単糖単位である。 本発明の1つの態様において、生体高分子は固体支持体、好ましくは複数のビーズに共有結合的に付着される。本明細書においてさらに記述されるように、固体支持体との生体高分子のコンビナトリアルライブラリの付着は直接的であってもまたはリンカーを介してもよい。a) ペプチド 本発明の好ましい態様において、生体高分子はペプチドである。結合部分の特に好ましいライブラリは、50、40、30、25、20、15、10、8、6または4個以下のアミノ酸を有するペプチドを含む。これは、それらが組換えまたは固相化学技術を用いて容易に作出されるからである。さらに、結合部分のペプチドライブラリは、本発明の方法でのその使用を容易にする形で作出することができる。例えば、ペプチドはファージディスプレイライブラリとして組換えにより作出されてもよく、この場合には、ペプチドがファージ被膜の一部分として提示される(例えば、Tang et al., J Biochem 1997, 122(4):686-690を参照のこと)。これに関連して、ペプチドは固体支持体、つまりファージに付着されよう。主張される発明で用いるのに適したペプチド結合部分のライブラリを作出するその他の方法、例えば、「スプリット、カップル、およびリコンバイン」法(例えば、Furka et al., Int J Peptide Protein Res 1991, 37:487-493; Fodor et al., Science 1991, 251:767-773; Houghton et al., Nature 1991, 354:84-88; Lam et al., Nature 1991, 354:82-84; 国際特許出願WO 92/00091; ならびに米国特許第5,010,175号、同第5,133,866号、および同第5,498, 538号を参照されたく、これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)または当技術分野において公知の他の手法も当業者に周知である。ペプチドライブラリの発現もDevlin et al., Science 1990, 249:404-406に記述されている。 ペプチド結合部分のライブラリは、天然アミノ酸に比べて安定性の増大をもたらすアミノ酸から合成することができる。例えば、システイン、メチオニンおよびトリプトファンをライブラリから除くことができ、2-ナフチルアラニン(2-naphylalanine)およびノルロイシンなどの非天然アミノ酸を含めることができる。N-末端アミノ酸をD-異性体とすることができ、またはアミノペプチダーゼの存在下においていっそう高い生化学的安定性をもたらすようアセチル化することができる。ライブラリの密度は、被分析物に対する十分な結合をもたらすのに十分でなければならないが、結合部分のライブラリが、被分析物ではなく自らと相互作用するほど高くてはいけない。固体支持体の乾燥重量1グラムあたり0.1 μmole〜500 μmoleの範囲のライブラリの密度が望ましく、より好ましくは固体支持体1グラムあたり10 μmole〜100 μmoleの範囲のライブラリの密度が望ましい。その他の好ましい範囲は、固体支持体1 mlあたり10 μmole〜100 μmoleである。 いくつかのコンビナトリアルペプチドライブラリの態様において、ペプチドは大きなライブラリを作出するため組換えバクテリオファージの表面に発現される。「ファージ法」(Scott and Smith, Science 249:386-390, 1990; Cwirla, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87:6378-6382, 1990; Devlin et al., Science, 49:404-406, 1990)を用いて、非常に大きなライブラリを構築することができる(106〜108個の化学的実体)。第2の手法では主に化学的方法を利用し、この中ではGeysen法(Geysen et al., Molecular Immunology 23:709-715, 1986; Geysen et al., J. Immunologic Method 102:259-274, 1987); およびFodorらの方法(Science 251:767-773, 1991)が実例である。Furkaら(14th International Congress of Biochemistry, Volume #5, Abstract FR:013, 1988; Furka, Int. J. Peptide Protein Res. 37:487-493, 1991)、Houghton (米国特許第4,631,211号、1986年12月に再発行)およびRutterら(米国特許第5,010,175号、1991年4月23日に再発行)は、アゴニストまたはアンタゴニストとして試験できるペプチドの混合物を作出する方法について記述している。 本発明の好ましい態様において、本方法は、抗体ライブラリ抗体ライブラリを含む結合部分のライブラリと試料を接触させる段階を含む(例えば、Vaughn et al., Nature Biotechnology 1996, 14(3):309-314; PCT/US96/10287を参照のこと)。本発明の好ましい態様において、本方法は、ファージ粒子上にディスプレイされた抗体ライブラリと試料を接触させる段階を含む。b) ポリヌクレオチド 核酸は別の好ましい、結合部分の生体高分子ライブラリである。ペプチドと同様、核酸は当業者に周知の合成または組換え技術を用いて作出することができる。「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸分子」という用語は、本明細書において交換可能に使われており、一本鎖形態、または二重らせんのいずれかでのデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはその類似体の重合体形態をいう。核酸分子は同様に、メチル化核酸分子および核酸分子類似体などの、修飾核酸分子を含むことができる。プリンおよびピリミジンの類似体は当技術分野において公知である。核酸は天然の、例えば、DNAもしくはRNAであってもよく、または当技術分野において知られるように、合成類似体であってもよい。そのような類似体は優れた安定性のため、結合部分として用いられるのが好ましいかもしれない。骨格、糖または複素環塩基の改変を含めて、天然構造の修飾は細胞内安定性および結合親和性を高めることが明らかにされている。骨格化学的性質の有用な変化の中には、ホスホロチオエート; ホスホロジチオエート、この場合には非架橋酸素の両方が硫黄で置換されている; ホスホロアミダイト; アルキルホスホトリエステルおよびボラノホスフェートがある。非キラルリン酸塩誘導体は、3'-O'-5'-S-ホスホロチオエート、3'-S-5'-O-ホスホロチオエート、3'-CH2-5'-O-ホスホネートおよび3'-NH-5'-O-ホスホロアミダイトを含む。ペプチド核酸ではリボースホスホジエステル骨格全体をペプチド結合と置き換えている。 好ましい核酸結合部分は、長さが少なくとも4個、より好ましくは少なくとも6、8、10、15、または20個のヌクレオチドである。核酸結合部分は、タンパク質または代謝物などの、特異的な分子標的に結合する二本鎖DNAまたは一本鎖RNA分子(例えば、アプタマー)を含む。(1) オリゴ糖 生体高分子はオリゴ糖でありうる。すなわち、オリゴ糖結合部分も本発明の方法およびキットでの使用が企図される。オリゴ糖結合部分は、好ましくは長さが少なくとも5個の単糖単位、より好ましくは長さが少なくとも8、10、15、20、25個またはそれ以上の単糖単位である。(2) 脂質 生体高分子は脂質でありうる。本明細書において用いられる「脂質」という用語は、疎水性または両親媒性部分をいう。すなわち、脂質結合部分も本発明の方法およびキットでの使用が企図される。適当な脂質としては、C14〜C50脂肪族アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、またはアリールアルキニル部分であって、窒素、硫黄、酸素、およびリンからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよいその部分が挙げられる。その他の適当な脂質としては、ホスホグリセリド、グリコシルグリセリド、スフィンゴ脂質、ステロール、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルプロパノールアミンが挙げられる。脂質結合部分は、好ましくは長さが少なくとも5個の単位、より好ましくは長さが少なくとも8、10、15、20、25、50個またはそれ以上の単位である。D. 固体支持体との結合部分の付着 本発明の好ましい態様において、本方法は、固体支持体に付着されている結合部分のライブラリと試料を接触させる段階を含む。1. 固体支持体 本発明で用いるのに許容される固体支持体は変化に富みうる。固体支持体は多孔性または無孔性であってもよいが、好ましくは多孔性である。それは連続性または非連続性、可撓性または非可撓性でありうる。固体支持体はセラミック材料、ガラス材料、金属材料、有機重合体材料、またはその組み合わせを含めて、さまざまな材料で作られうる。 好ましい固体支持体は、粒子支持体またはビーズ支持体、織布織物(woven web)および不織布織物(繊維性織物などの)、微孔性繊維、微孔性膜、中空繊維または中空管などの、有機重合体支持体を含む。ポリアクリルアミドならびにケイ酸塩および金属酸化物などの無機物支持体を使用することもできる。織布ウェブおよび不織布ウェブは、規則的なまたは不規則な物理的立体配置の表面を有してもよい。特に好ましい態様は、球状のまたは不ぞろいな形状のビーズまたは粒子の形で固体支持体を含む。 多孔性材料は大きな表面積を供与するので、有用である。多孔性支持体は合成または天然、有機または無機でありうる。多孔性構造を有する適当な固体支持体は、少なくとも約1.0ナノメートル(nm)の孔径および少なくとも約0.1立方センチメートル/グラム(cm3/g)の孔体積を有する。孔が大きいほど拡散の制限は少なくなるので、孔径は少なくとも約30 nmであることが好ましい。孔周囲の表面積が大きいほど潜在的な収容能力は大きくなるため、孔体積は少なくとも約0.5 cm3/gであることが好ましい。好ましい多孔性支持体としては、球状のおよび不ぞろいな形状のビーズおよび粒子を含めて、アガロース、親水性ポリアクリレート、ポリスチレン、鉱物酸化物およびセファロースなどの粒子支持体またはビーズ支持体が挙げられる。 有意な利点のためには、結合部分に対する固体支持体は親水性であることが好ましい。好ましくは、親水性重合体は被分析物のいっそう高い浸透を可能にするよう水膨潤性である。そのような支持体の例としては、天然の多糖、例えば、セルロース、変性セルロース、アガロース、架橋デキストラン、アミノ変性架橋デキストラン、グアーガム、変性グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガムおよびヒドロゲルが挙げられる。その他の例としては架橋された合成親水性重合体、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)および変性ポリエチレングリコールが挙げられる。 固体支持体の別の形態はファージディスプレイライブラリで使われるように、ファージである。ファージディスプレイライブラリは、結合部分をファージタンパク質被膜の一部分として発現するよう組換えにより操作されているバクテリオファージから形成される。ファージディスプレイを用いて、結合部分のライブラリを容易に構築し、本発明の方法に使用してもよい。2. 微粒子固体支持体 本発明の好ましい態様では、直径が1000μmに満たない、好ましくは100、10、1または0.1 μmに満たない小さなビーズ状の微粒子固体支持体を利用する。微粒子固体支持体は、より大きなビーズに比べてさらに高い表面積対体積率を保有するので、望ましい。微粒子固体支持体は、コンビナトリアルライブラリを含有するのに必要な支持体の体積も減らし、それによってさらに複雑かつ効率的なライブラリの使用が可能になる。しかしながら、既存の機器を用いては、使われるフィルタ系のフリットサイズの制限により、非常に小さな(<10 μm)ビーズ上でコンビナトリアルライブラリを合成することは困難である。この問題を克服するため、コンビナトリアルライブラリはビーズ上でバルク合成されてもよく、これを機械的に粉砕し、破砕し、または超音波処理により断片化して、微粒子の回収物または粉末を形成させてもよい。これらの技術を用いて、異なる結合部分にカップリングされた微粒子固体支持体が作出されてもよい。これらを大規模に混合して、より大きなまたはさまざまなサイズの異なるビーズの混合よりもさらに均一な組成物を形成させてもよい。 表面上の未反応の架橋結合基はメルカプトエタノールなどの小さな化学物質と反応させて、さらなる反応性を阻止してもよい。その上、表面をさらに処理して、タンパク質の非特異的接着を阻止してもよい。 微粒子固体支持体は、未結合の標的タンパク質群および電磁ビーズにカップリングされた結合部分に結合したタンパク質の簡単な一段階分離を可能にする電磁ビーズであってもよい。 溶出された被分析物(例えば、少量の標的タンパク質群および混入タンパク質)は、質量分析法、SDS-PAGE法、キャピラリー電気泳動法を含め、いくつかの方法により分子量にしたがいまたは等電点電気泳動法を通じてpIによりタンパク質組成について分析されうる。 あるいは、微粒子固体支持体を充填剤と混ぜ合わせ、錠剤形に成形してもよい。この形式では、それは試料溶液に直接加えられてもよく、またはその代わりに、初めに緩衝液に懸濁されてもよい。 微粒子固体支持体をアガロースまたはアクリルアミドなどの溶液に注入し、それ自体をゲル中で架橋してまたは繊維上の架橋剤との重合反応を通じて互いに架橋して、モノリシック材料を形成させてもよい。 あるいは、微粒子固体支持体は粘着性の薄フィルム上に固定化されてもよい。 別の手法は、多孔性マトリックス中での微粒子固体支持体の封入である。そのようなマトリックスには、融解物吹きつけ段階の間に組み入れられうる粒子を有した不織布繊維または織物が含まれよう。 微粒子を要望どおり単一のシートまたは膜の束の中に組み入れて、適切な所望の結合能力を達成することができ、ここでは微粒子固体支持体はカレンダリングまたは水力交絡によって層の間に封入される。 膜組成物はポリエステルおよびポリプロピレン繊維およびメッシュを含めた天然源または合成源から選択することができる。もちろん、この項に記述される技術の多くは概して、本発明のその他の態様に適用できることを当業者は承知しているであろう。3. 固体支持体との結合部分のカップリング 本発明の好ましい態様において、結合部分は1つまたは複数の固体支持体にカップリングされる。固体支持体との結合部分のカップリングは、さまざまな機構を通じて達成することができる。 予め調製済みの結合部分のライブラリを固体支持体に付着させることにより、固体支持体を完全に調製済みの結合部分のライブラリで誘導体化することができる。または、固体支持体に前駆体分子を付着させ、その後、固体支持体に最初の前駆体分子が結合している成長鎖にさらなる前駆体分子を加えることにより、結合部分のライブラリを固体支持体上で形成させてもよい。吸着体を固体支持体上で構築するこの機構は、結合部分が重合体、特にポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは多糖分子などの生体高分子である場合、特に有用である。生体高分子結合部分は当技術分野において公知の方法を用いて、単肢成分(例えば、アミノ酸、ヌクレオチドまたは単糖)を固体支持体に付着されている最初の単肢成分に連続して加えることにより供与することができる。例えば、米国特許第5,445,934号(Fodorら)を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。 わずか1つのおよび10、100、1,000、10,000、1,000,000、3,000,000、10,000,000、1,000,000,000またはそれ以上もの数の結合部分が単一の固体支持体にカップリングされてもよい。好ましい態様において、固体支持体はビーズの形態であり、それぞれのビーズに単一の異なる結合部分のタイプが結合されている。例えば、ペプチド結合部分のライブラリでは、1つの可能なアミノ酸順列に相当するペプチドは1つのビーズに結合され、別の1つの可能な順列に相当するペプチドは別の1つのビーズに結合されうる、など。 結合部分は可逆または非可逆反応により固体支持体にカップリングされてもよい。例えば、非可逆反応は、任意でスペーサー基を通じて、結合部分に化学的に結合するヒドロキシル、カルボキシル、スルフヒドリル、またはアミノ基などの、少なくとも1つの反応性官能基を含む支持体を用いてもたらすことができる。適当な官能基は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホニルエステル、ヨードアセチル基、アルデヒド、エポキシ、イミダゾリルカルバメート、およびシアノゲンブロミドならびにその他のハロゲン活性化支持体を含む。そのような官能基はさまざまな公知の技術によって支持体に供与することができる。例えば、ガラス表面は公知の方法にてアミノプロピルトリエトキシシランで誘導体化することができる。いくつかの態様において、結合部分は、当技術分野(例えば、固相ペプチドおよび核酸合成)の者に知られるように、合成の間に固体支持体にカップリングされる。 あるいは、固体支持体と結び付けられているリンカー部分および/または結合部分を利用して、固体支持体と結合部分との間の可逆的相互作用をもたらすことができる。本発明で用いるのに適したさまざまなリンカー部分は公知であり、そのうちのいくつかが本明細書において論じられている。多様な作用物質をカップリングさせるためのリンカー部分の使用は当業者に周知であり、当業者は、単なる日常的な実験だけで本発明で用いるのに適した固体支持体/結合部分のカップリングを形成させるようこの共通の知識を適用することができる。 ある種の態様において、それぞれの異なる結合部分を異なる固体支持体にカップリングさせることができる。これは、例えば、スプリット-プール-および-リコンバイン法を用いてコンビナトリアルライブラリがビーズ上で構築される場合である。または、結合部分の集まりをビーズのプールにカップリングさせてもよく、その結果、それぞれのビーズにはいくつかの異なる結合部分が付着される。これは、例えば、コンビナトリアルライブラリを第1セットの支持体上で作出し、支持体から結合部分を切断し、それらを第2群の支持体に再カップリングすることにより行うことができる。a) リンカー部分 固体支持体との結合部分のカップリングは、例えば、リンカー部分の使用によって達成することもできる。本発明のこの態様において、試料は固体支持体、好ましくは微粒子固体支持体との結合部分の標的および/または可逆的カップリングを可能にするリンカー部分を含む結合部分と接触される。「リンカー部分」は、相補的なリンカー部分を含む相補的な固体支持体に結合部分がカップリングされることを可能にする。 例示的なリンカー部分としては、結合部分、例えばタンパク質に付着されて、融合タンパク質を形成するエピトープおよびヒスチジン(his)-タグが挙げられる。これらの場合、第XA因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen, San Diego, Calif.)に特異的なものなどの、切断可能なリンカー配列を任意でペプチドとリンカー部分との間に含有させて、融合分子の成分の単離および/または分離を円滑にしてもよい。デザイナーリガンドによって特異的に認識されるタンパク質ドメインをリンカー部分として使用することもできる(例えば、Deisenhofer, Biochemistry 20 (1981) 2361-2370を参照のこと)。多くの他の等価なリンカー部分が当技術分野において公知である。例えば、Hochuli, Chemische Industrie, 12:69-70 (1989); Hochuli, Genetic Engineering, Principle and Methods, 12:87-98 (1990), Plenum Press, N.Y.; およびCrowe, et al.(1992) OIAexpress: The High Level Expression & Protein Purification System, QIAGEN, Inc. Chatsworth, Calif.を参照されたく、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。 固体支持体にカップリングされる結合部分の抗原決定基およびその他の特徴性はリンカー部分のタグとしても役立ちうる。例示的なリンカー部分としては、ポリ-ヒスチジン(poly-his)またはポリ-ヒスチジン-グリシン(poly-his-gly)タグ; インフルエンザHAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5 (Field et al., Mol Cell Biol 1988, 8:2159-2165); c-mycタグならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体(Evan et al., Mol Cell Biol 1985, 5:3610-3616); ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D (gD)タグおよびその抗体(Paborsky et al., Protein Engineering 1990, 3(6):547-553)が挙げられる。その他のタグポリペプチドとしては、Flag-ペプチド(Hopp et al., BioTechnology 1988, 6:1204-1210); KT3エピトープペプチド(Martin et al., Science 1992, 255:192-194); α-チューブリンエピトープペプチド(Skinner et al., J Biol Chem 1991, 266:15163-15166); およびT7遺伝子10タンパク質(T7 gene 10 protein)ペプチドタグ(Lutz-Freyermuth et al., Proc Natl Acad Sci USA 1990, 87:6393-6397)が挙げられる。E. 結合部分のライブラリとの試料の接触および試料の結合 本発明は標的タンパク質群を精製するための方法を提供する。これらの方法は、(a) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階、ならびに(b) 混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合部分のライブラリに結合させる段階を含む。 結合部分は、多様な被分析物を含有する試料に導入される場合、混入タンパク質などの、試料中のさまざまな混入物を結合するであろう。関心対象の標的タンパク質群などの、豊富な被分析物は、それぞれの結合部分の収容能力を飽和するのに必要な量をはるかに上回る量で存在するであろう。それ故に、これらの豊富な被分析物の総量のうち高い割合のものが未結合のままであり、ごく少量のものが結合部分に結合するだけであろう。逆に、混入タンパク質などの、微量の被分析物の量がいっそう少ないことは、これらのタンパク質がその利用可能な結合部分の全てを飽和していないことを意味する。それ故に、混入タンパク質の出発量のうちの大部分のものがそれぞれの結合部分に結合するであろう。 試料中に存在する被分析物、つまり標的タンパク質群および混入タンパク質は少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリと、各結合部分を、試料中に存在するならその対応する被分析物に結合させる条件下で接触される。一般に、試料は、結合部分に対する混入タンパク質および少量の標的タンパク質群の結合を可能にする条件の下で結合部分のライブラリと接触される。標的タンパク質群が精製される条件は、標的タンパク質群の固有の性質、混入タンパク質の特性などを含めて、さまざまなパラメータによって変わるであろう。 試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、さまざまな方法で達成することができる。例えば、試料との結合部分のライブラリの接触は、その2つを混ぜることにより、結合部分のライブラリに試料を塗布することにより、結合部分が付着されている固体支持体に試料を流すことにより、および当業者には明らかと思われるその他の方法により、達成することができる。本発明の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、懸濁バッチ工程で行われる。本発明の別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、固体支持体に付着された結合部分のライブラリを詰め込まれたカラムに試料を通すことで達成される。本発明の別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、流動層工程を含む。 上記で推察されるように、結合部分は試料と直接的に接してもよく、または結合部分は固体支持体に初めに付着されてもよい。例証として、1つの好ましい態様では、結合部分はリンカー部分を含む。この態様において、結合部分は、試料中に存在する被分析物(すなわち、標的タンパク質群および混入タンパク質)が結合部分に結合することを可能にする形で試料に直接的に接触される。十分な時間が経過した後に、結合部分のリンカー部分に相補的なリンカー部分を含む固体支持体を試料に接触させる。これによって、結合部分は捕捉済みの被分析物を保持しながら、リンカー部分を通じて固体支持体とカップリングすることが可能になる。例えば、ビオチンリンカー部分を有する結合部分は、表面にカップリングされたアビジンまたはストレプトアビジンを含む固体支持体にカップリングできよう。 本発明の1つの態様において、結合部分のライブラリは試料と接する前に固体支持体にカップリングされる。この代替的な態様において、固体支持体(カップリングされた結合部分を有する)は結合部分が被分析物を結合することを可能とするのに十分な時間試料と簡単に接触され、次に被分析物と結合部分との間の複合体の形成によって、被分析物が支持体に結合された試料から固体支持体を取り除く。 結合部分は、標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料に直接的に加えられてもよい。または、任意の適当な結合用緩衝液がこのために加えられてもよい。例示的な結合用緩衝液としては、非常に低いまたは高いイオン強度の水性塩溶液、界面活性剤溶液、および以下にさらに記述される有機溶媒が挙げられる。結合部分に競合的に結合する作用物質の溶液および懸濁液は、このような競合的に結合する作用物質が混入タンパク質および少量の標的タンパク質群のその後の結合を妨害しないという条件で、結合用緩衝液中で使用されてもよい。選択される結合用緩衝液は極めて用途特異的であり、公において一般に入手可能な材料を通じてまたは日常的な実験を通じて当業者が容易に特定することができる(例えば、Buffers. A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems, Gueffroy, D., Ed. Calbiochem Corporation (1975); Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982); ならびにMethods in Enzymology 182巻、およびこのシリーズの他巻の中のDeutscher (1990)「Guide to Protein Purification」を参照のこと)。 典型的には、試料および結合部分は結合用緩衝液中に存在する。適当な結合用緩衝液の非限定的な例としては、50 mMリン酸ナトリウムおよび0.15 M NaCl、pH 7を含有する溶液; 50 mMリン酸ナトリウムおよび0.15 M NaCl、pH 8を含有する溶液などが挙げられる。適当な結合用緩衝液としては、例えば、トリスに基づく緩衝液、ホウ酸塩に基づく緩衝液、リン酸塩に基づく緩衝液、イミダゾール、HEPES、PIPES、MOPS、MOPSO、MES、TES、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩などが挙げられる。 適当な結合用緩衝液の例としては、pH緩衝溶液などの、被分析物および/または結合部分の表面電荷を変えるものが挙げられる。pH緩衝溶液は、好ましくは、溶液のpHを酸性域において、すなわち、7未満のpHで、好ましくは6.8、6.5、6.0、5.5、5.0、4.0もしくは3.0未満のpHで; または塩基性域において7よりも高いpHで、好ましくは7.5、8.0、8.3、8.5、9.0、9.3、10.0もしくは11.0よりも高いpHで維持するのに十分、強力な緩衝液である。標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製するのに適したpH条件は、約3.5〜約11、約4.0〜約10.0、約4.5〜約9.5、約5.0〜約9.0、約5.5〜約8.5、約6.0〜約8.0、または約6.5〜約7.5に及ぶ。典型的には、結合用緩衝液は約6.5〜約7.5のpH域を有する。本発明の代替的な態様において、結合用緩衝液は約6.5〜約8.5のpH域を有する。 あるいは、さまざまな塩濃度の結合用緩衝液が使われてもよい。標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製するのに適した例示的なNaCl塩濃度は、約0.01 M NaCl〜約3 M NaCl、約0.05 M NaCl〜約1.5 M NaCl、約0.1 M NaCl〜約1.0 M NaCl、または約0.2 M NaCl〜約0.5 M NaClに及ぶ。好ましい結合用緩衝液は、約0 M〜約0.25 Mの範囲の塩濃度を有する。結合用緩衝液中のその他の適当な塩はKClまたはNaHOAcである。 本発明に適したその他の結合用緩衝液は上記の緩衝液成分の組み合わせを含む。上述の結合用緩衝液成分の2つまたはそれ以上から処方された結合用緩衝液は、混入タンパク質と結合部分との間の分子間相互作用の選択性を変えることができる。 当業者によって理解されるように、タンパク質精製のための温度条件は、精製される関心対象の標的タンパク質群の特性に応じて変わることがある。典型的には、標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製するのに適した温度条件は、約4℃〜約40℃、約15℃〜約40℃、約20℃〜約37℃、または約22℃〜約25℃に及ぶ。典型的な温度条件は約4℃〜約25℃の範囲である。1つの好ましい温度は約4℃である。 結合部分のライブラリと試料との接触および結合部分への被分析物の結合は、混入タンパク質および少量の標的タンパク質を結合部分のライブラリに結合させるのに十分な時間にわたって行われる。典型的には、結合部分のライブラリ、ならびに標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料を、少なくとも約10分、通常は少なくとも約20分間、より通常には少なくとも約30分間、より通常には少なくとも約60分間一緒にインキュベートする。インキュベーション時間は数時間、例えば最大12時間までとすることもできるが、典型的には約1時間を超えない。例えば、カラムを用いて本発明の方法が行われる場合、結合部分のライブラリと試料を接触させる時間は滞留時間といわれる。典型的な滞留時間の範囲は約1分〜約20分である。 分析物が結合部分に結合されたら、さらなる分析のため分析物を溶出させることが望ましいかもしれない。効率的な溶出用緩衝液の中には、表1に記述されるものがある。それらは単独でまたは予め定められた順序(例えば、最初にイオン交換効果にて作用する溶出液、その後、疎水性会合をバラバラにすることができる溶出液など)にしたがって使用することができる。(表1) 固相ペプチドライブラリに吸着されたタンパク質に対する異なる溶出プロトコルのスキーム 本発明の好ましい溶出用緩衝液は、質量分析計で用いるのに適したマトリックス材を含む。マトリックス材を緩衝液に含めると、本発明のいくつかの態様では、任意でプロテインまたはバイオチップなどの、質量分析計プローブに直接的に結合部分から被分析物を溶出させることを含んでもよい。本発明の他の態様において、結合部分からの溶出後、マトリックスを被分析物と混合することができる。他の態様では、プロテインチップに予め配置されたエネルギー吸収マトリックスを含んだSENDまたはSEAC/SENDプロテインチップに、直接的に被分析物を溶出させることを含む。これらの後者の態様において、さらなるマトリックス材が溶出用緩衝液中に存在している必要はない。F. 標的タンパク質群の分離および回収 本発明は、標的タンパク質群を試料から精製するための方法を提供する。これらの方法は、結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から未結合の標的タンパク質群を分離する段階、ならびに試料から未結合の標的タンパク質群を回収する段階を含む。回収された標的タンパク質群は、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である。 前述のとおり、固体支持体が試料と接する前にまたは接した後に、捕捉剤を固体支持体にカップリングさせることができる。すなわち、典型的には、本発明の方法は、固体支持体にカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から、未結合の標的タンパク質群を分離する段階を含む。この分離は、例えば、遠心分離、カラムクロマトグラフィー、リンカー部分の使用または電磁ビーズの使用を含むが、これらに限定されないさまざまな方法で達成することができる。 1つの態様において、固体支持体にカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群からの未結合の標的タンパク質群の分離は、遠心分離により行われる。標的タンパク質群を含む試料および固体支持体に結合している結合部分の遠心分離後に、結合部分に結合したタンパク質は沈殿するであろう。未結合の標的タンパク質群は上清中に存在しているはずであり、ここからそのタンパク質群を回収することができる。 別の態様において、電磁ビーズにカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群からの未結合の標的タンパク質群の分離は、磁力の適用により行われる。結合部分/電磁ビーズに結合したタンパク質は、未結合の標的タンパク質群から引き離されるであろう。未結合の標的タンパク質群は上清中に存在しているはずであり、ここからそのタンパク質群を回収することができる。電磁ビーズは、典型的には、強磁性酸化鉄、磁赤鉄鉱、磁鉄鉱、またはマンガン亜鉛フェライトなどの、強磁性酸化物粒子を含む(例えば、米国特許第6,844,426号を参照のこと)。 さらに別の態様において、固体支持体にカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群からの未結合の標的タンパク質群の分離は、カラムクロマトグラフィーにより行われる。混入タンパク質および少量の標的タンパク質群の結合の後、混合物を、固体支持体およびそれに結合したタンパク質を保持するカラムに負荷する。未結合の標的タンパク質群は素通り液中に存在しているはずであり、ここからそのタンパク質群を回収することができる。G. 精製された標的タンパク質群の純度の評価 本明細書において記述される本発明の方法を用いて、標的タンパク質は所望の程度まで精製される。本発明の方法の適用によって、典型的には、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である標的タンパク質群の回収がもたらされる。すなわち、標的タンパク質群はさらに精製されており、少なくとも96%純粋、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、および最も好ましくは少なくとも99%純粋である。 本明細書において記述される技術を用いて精製された標的タンパク質群の純度の評価または別の方法でのその検出、定量化もしくは特徴付けは、当業者に公知の任意の適当な方法を用いて達成することができる(実施例も参照されたい)。例えば、色素を用いた比色アッセイは広く利用可能である。または、検出は分光的に達成されてもよい。分光検出器は屈折率の変化、紫外および/もしくは可視光吸収、または反応成分を検出するための適当な波長での励起後の蛍光に依存している。例示的な検出法としては、蛍光光度法、吸光分光法、反射分光法、および透過分光法が挙げられる。検出のその他の例は、抗体の使用(例えば、ELISAおよびウエスタンブロッティング)に基づく。複合体の形成または反応の進行をモニターするため、複屈折、屈折率、または回折の変化を用いることもできる。分子間相互作用を検出するために特に有用な技術は、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー技術、回折格子結合(grating-coupled)導波管技術、および多重極共鳴分光法(multi-polar resonance spectroscopy)を含む。これらの技術およびその他のものは周知であり、それらを当業者は必要以上の実験なしで、本発明に容易に適用することができる。これらの方法およびその他の多くは、例えば「Spectrochemical Analysis」 Ingle, J.D. and Crouch, S.R., Prentice Hall Publ. (1988)、および「Analytical Chemistry」 Vol. 72, No. 17の中で見出すことができる。 精製された標的タンパク質群を特徴付けるのに好ましい別の方法は、質量分析により行われる。質量分析技術としてはマトリックス支援レーザー脱離(MALDI)、連続的もしくはパルス型エレクトロスプレー(ESI)および関連法(例えば、イオンスプレー(IONSPRAY)もしくはサーモスプレー(THERMOSPRAY))、またはマッシブクラスター衝撃(MCI)などのイオン化(I)技術が挙げられるが、これらに限定されることはなく; これらのイオン源は、リニアまたは非リニア反射飛行時間(TOF)、単一または多重四重極、単一または多重扇形磁場、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、イオントラップ、およびそれらの組み合わせ(例えば、イオントラップ/飛行時間)を含めた検出形式と適合されうる。イオン化のため、多数のマトリックス/波長の組み合わせ(MALDI)または溶媒の組み合わせ(ESI)を利用することができる。例えば、ESI (Valaskovic, G. A. et al., (1996) Science 273:1199-1202)またはMALDI (Li, L. et al., (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:1662-1663)質量分析を利用して、サブアトモルレベルの被分析物が検出されている。ES質量分析はFennらにより導入されており(J. Phys. Chem. 88, 4451-59 (1984); PCT出願番号WO 90/14148)、現在の用途は最近の総説の中で要約されている(R. D. Smith et al., Anal. Chem. 62, 882-89 (1990)およびB. Ardrey, Electrospray Mass Spectrometry, Spectroscopy Europe, 4, 10-18 (1992))。MALDI-TOF質量分析は、Hillenkampらにより導入されている(「Matrix Assisted UV-Laser Desorption/Ionization: A New Approach to Mass Spectrometry of Large Biomolecules」, Biological Mass Spectrometry (Burlingame and McCloskey, editors), Elsevier Science Publishers, Amsterdam, pp. 49-60, 1990)。ESIでは、質量計算に使用できる複数のイオンピークの存在により、フェムトモル量の試料中での分子量の測定が非常に正確である。好ましい分析法では、例えば、米国特許第6,020,208号に論じられているように、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)を利用する。質量分析計プローブもしくはバイオチップ上にて直接的に被分析物の捕捉が行われる本発明の態様、または捕捉用緩衝液がマトリックス材を含有するかまたは結合部分からの被分析物の溶出後にマトリックス材と合わされる本発明の態様において、質量分析は特に好ましい検出方法である。 広く使われている標的タンパク質群の特徴付けおよび検出の別の方法は、関心対象の被分析物の1つまたは複数の物理的特性に基づく電気泳動分離である。ポリペプチドおよびタンパク質被分析物の分析に特に好ましい態様は、二次元電気泳動である。好ましい用途では、被分析物を第1の次元において等電点により、および第2の次元においてサイズにより分離する。さらに、精製された標的タンパク質群および結合部分に結合したタンパク質は、例えば、SDS-PAGEと、その後の染色によって分析することができる(実施例参照)。被分析物の電気泳動分析の方法は、研究されている被分析物によって大きく変わるが、所与の被分析物に適した特定の電気泳動法を識別する技術は当業者に周知である。 質量分析の分析では、通常、特定の値の質量対電荷比(m/z)にタンパク質のピークが示される。本明細書において用いられる場合、ピークは1つもしくは複数のm/z、クロマトグラフィーによる保持時間、またはその他任意の適当な可変量に対して、シグナル強度が極大である。一般に、強度値またはピーク強度(高さ、曲線下面積、またはその他の適当な強度指標)は任意単位であり、その結果、絶対値は検出器の設定などの、いくつかの要因によって決まる。試料(すなわち、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む)のピークを測定し、本発明によって精製された回収済みの標的タンパク質を含む溶液のピークと比較することで、回収済みの標的タンパク質群の純度の評価が得られる。例えば、ポラロイド(Polaroid) 665ポジティブ/ネガティブインスタントフィルムを用いてゲルのネガ写真を撮影し、ネガ写真を濃度測定に供することにより、回収済みの標的タンパク質群を定量化することも可能である。各タンパク質バンドの濃度測定評価によって得られた各曲線下面積から始めて、回収済みの標的タンパク質群の純度を計算することができる。H. 標的タンパク質群を精製するためのさらなる段階 一般に、本発明の方法は、標的タンパク質群の後処理工程で使われる正規の分離法と組み合わせて使用することができる。1. 宿主細胞の培養 本発明の方法の好ましい態様において、該方法は、標的タンパク質群を含んだ試料を結合部分のライブラリと接触させる前に、標的タンパク質群を産生する細胞を培養する段階を含む。好ましい態様において、細胞は前述の宿主細胞である。所与の宿主細胞に好ましい培養条件は、科学文献の中でおよび/または米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)などの、宿主細胞の供給源より見出すことができる。 培養用の宿主細胞は真核細胞または原核細胞とすることができる。宿主細胞を培養するための方法は当技術分野において公知である。標的タンパク質群を産生するのに使われる真核宿主細胞は、さまざまな増殖培地中で培養することができる。Ham's F10 (Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640 (Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販されている増殖培地は、真核宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al., Meth. Enz. 58:44 (1979)、Barnes et al., Anal. Biochem. 102:255 (1980)、米国特許第4,767,704号; 同第4,657,866号; 同第4,927,762号; 同第4,560,655号; もしくは同第5,122,469号; WO 90/03430; WO 87/00195; または米国再発行特許第30,985号の中で記述されている培地のいずれかを宿主細胞用の培地として使用することができる。これらの培地のいずれかに、必要に応じてホルモンおよび/またはその他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮細胞増殖因子などの)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩などの)、緩衝液(HEPESなどの)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなどの)、抗生物質(ゲンタマイシン(登録商標)などの)、微量元素(マイクロモル範囲の終濃度で通常存在する無機化合物と定義される)、ならびにグルコースまたは等価なエネルギー源を補充してもよい。その他任意の必要な補充物も当業者に公知であるような適切な濃度で含まれてもよい。温度、pHなどのような培養条件は、発現用に選択された宿主細胞で以前に使われたものであり、当業者には明らかであろう。 原核細胞の培養、組換えタンパク質の発現およびペプチド産生の方法は、当技術分野において周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd ed. 1989); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990); およびAusubel et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1994)を参照のこと)。2. 前試料の精製 本発明の1つの態様において、本方法はさらに、試料を結合部分のライブラリと接触させる前に標的タンパク質群および混入タンパク質を含む前試料を少なくとも1つの精製工程に供する段階、ならびに標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料を回収する段階を含み、それによって標的タンパク質群は前試料中よりも試料中において純粋である。 95%に満たない関心対象の標的タンパク質群を含む前試料は、その特性を強めるため、および本発明の方法で使用できる少なくとも95%の標的タンパク質群を含む試料を得るため、さまざまな方法で操作されうる。前試料のそのような操作としては、関心対象の標的タンパク質群の純度を向上させて本発明の方法で用いるために適したものにする、精製、ある種の被分析物の枯渇、濃縮、粉砕、抽出、浸出、希釈、ろ過、移動などが挙げられる。例えば、固体試料を粉末に微粉化し、次いで水性溶媒または有機溶媒によって抽出することができる。粉末からの抽出物を次に、本発明の方法に供することができる。気体試料を溶液に通じて泡立てるかまたは浸出させ、液体に気体成分を溶解および/または濃縮し、その後にこの液体を本発明の方法に供することができる。 その他の精製段階としてはろ過、透析、沈殿(例えば、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール沈殿); 分取動電学的方法(例えば、電気泳動法、等電点電気泳動法)、液体クロマトグラフィー(例えば、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、抗体による親和性クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相HPLC、シリカクロマトグラフィー、クロマト分画、およびゲルろ過)が挙げられるが、これらに限定されることはない。3. 薬学的組成物の調製 本発明の方法によって精製された標的タンパク質群を使って、さまざまな治療的使用またはそのような標的タンパク質群に対して知られているその他の使用のために使うことができる薬学的組成物を調製することができる。すなわち、本発明の1つの態様において、本方法はさらに、回収された標的タンパク質群を薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることによって薬学的組成物を調製する段階を含む。 そのような担体は、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などのような、石油、動物、植物または合成由来のものを含めて、水および油などの、無菌の液体とすることができる。薬学的組成物が静脈内に投与される場合、水は好ましい担体である。生理食塩水溶液ならびに水性デキストロースおよびグリセロール水溶液も液体担体として、特に注射用溶液に利用することができる。適当な薬学的担体は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、フラワー、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを含む。 経口製剤は、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような、標準的な担体を含むことができる。適当な薬学的担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」の中に記述されている。このような薬学的組成物は、本発明によって精製された治療的に有効量の標的タンパク質群を、宿主への適切な投与の形態をもたらすよう適当な量の担体と共に含有するであろう。II. 薬学的組成物 本発明は同様に、薬学的組成物を提供する。好ましい態様において、薬学的組成物は、本発明の方法によって調製された標的タンパク質群および薬学的に許容される担体を含む。 薬学的組成物の標的タンパク質群は、本明細書において記述のまたは先行技術において公知の任意のタンパク質でありうる。本発明の方法によって調製された標的タンパク質と先行技術において知られる標的タンパク質群との間の相違は、純度および精製された標的タンパク質群を含んだ最終の溶液中に混入タンパク質がないことである。本明細書において記述される場合、典型的には高度に精製されたタンパク質調製物(実施例1参照)でさえも、標準的な技術を用いて関心対象の標的タンパク質群から分離できない混入タンパク質を含む。しかしながら、標的タンパク質群を精製するための本発明の方法を用いて、混入タンパク質をほぼ完全に除去することができる。このように、本発明の方法を用いて精製された標的タンパク質群は、いっそう高い純度により特徴付けられ、すなわちいっそう望ましく、その他の技術により精製された標的タンパク質群とは異なる。 本発明の薬学的組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。これらの組成物は溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態をとることができる。組成物はトリグリセリドのような従来の結合剤および担体と共に、坐薬として処方されうる。III. キット 本発明は同様に、標的タンパク質群を精製するためのキットを提供する。該キットは、当業者が本明細書において記述される方法を行うことを可能にする成分を含む。好ましい態様において、キットは、少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリ、ならびに少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製するための使用説明書を含む。 使用説明書はさまざまな形態で本キット中に存在してもよく、この1つまたは複数がキット中に存在してもよい。使用説明書は適当な媒体または被印刷物、例えば、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製する方法に関する情報が印刷されている紙切れ、に印刷された情報として存在してもよい。別の形態は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製する方法に関する情報が記録されているCDまたはディスケットなどの、コンピュータ可読の媒体であるかもしれない。別の形態は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製する方法に関する情報にインターネット経由でアクセスするため、キットの使用者が利用できるウェブサイトアドレスとすることができる。 本発明の別の態様において、本発明のキットはさらに、試料を結合部分のライブラリと接触させるためのインキュベーション用緩衝液を保有する複数の容器または分画用カラムなどの、1つもしくは複数のカラムを含む。 本発明のいくつかのキットの態様において、結合部分のライブラリは固体支持体、好ましくは不溶性のビーズにカップリングされた状態で供給される。他の態様において、固体支持体および結合部分のライブラリは別々に供給される。別々に供給される場合、結合部分のライブラリおよび/または固体支持体は、本発明の操作者が、本明細書において記述される本発明を実施する過程で結合部分を固体支持体にカップリングさせることを可能にするリンカー部分および/または相補的なリンカー部分を含む。別々の結合部分のライブラリおよび固体支持体を提供するキットは、任意で固体支持体との結合部分のライブラリのカップリングを行うのに必要なさらなる試薬を含んでもよい。 さらに、本発明のキットは、本発明の結合部分のライブラリを用いたその後のポリッシングのため、前試料から標的タンパク質を精製するのに使用されるクロマトグラフ媒体を含むことができる。 本発明のさらなるキットの態様は、本明細書において記述される方法の変化形のいずれかを当業者が行うことを可能にしうる任意的な機能的な構成要素を含む。 以上の発明を明確にするためおよび理解するため、例証および実例によって詳細に記述してきたが、本発明の教示に照らして本発明の精神および範囲から必ずしも逸脱することなく、均等物のある種の変形、変更、修正および置換が本発明になされうることは当業者には容易に明らかであろう。結果的に、本明細書において記述される態様はさまざまな修正、変更などに供されるので、本発明の範囲はこれに添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ決定される。当業者は、本質的に類似の結果をもたらすよう変更、改変または修正されうる種々のさほど重要でない要因を容易に認識するであろう。 本発明の要素はそれぞれ複数の態様を含むと本明細書において記述されているが、特に指定のない限り、本発明の所与の要素の態様のそれぞれが本発明の他の要素の態様のそれぞれと共に使用されることが可能であり、このような各使用が本発明の異なる態様を形成することが意図されると理解されるべきである。 上記の開示から分かるように、本発明は多種多様な用途を有する。本発明を以下の実施例によってさらに例証する。それらは一例にすぎず、本発明の定義および範囲を限定することは決して意図されない。IV. 実施例実施例1. 精製ミオグロビンからの血清タンパク質の分離 純粋な筋ミオグロビン(Sigma)にヒト血清タンパク質を最初に混入し、95%のミオグロビン(すなわち、関心対象の標的タンパク質群)および多くても5%の混入血清タンパク質を含む得られた混合物を、次にビーズに付着されたコンビナトリアルペプチドライブラリによってポリッシングした。コンビナトリアルペプチドライブラリには約30,000,000の結合部分が含まれた。 ミオグロビンを25 mMリン酸緩衝液、pH 7.4に10 mg/mlの濃度で溶解した。この溶液に、5%アルブミン枯渇ヒト血清タンパク質(すなわち、混入タンパク質)を加えた。これは溶液中に存在する多くても5%のミオグロビンに相当する。タンパク質溶液400 μLを次いで、固相に付着されているコンビナトリアルペプチドライブラリ80 μLと混合した。懸濁液を室温で60分間穏やかに振盪(shacked)した。次いで、上清(未結合のポリッシングミオグロビン)をろ過により、固相に付着されているコンビナトリアルペプチドライブラリに結合したタンパク質から分離した。固相をリン酸緩衝液で洗浄した。その後、コンビナトリアルビーズライブラリに結合したタンパク質(タンパク質不純物)を分析のため完全に脱離し、回収した。 得られた分画をSDS-PAGEにより分析し、初めの混入ミオグロビンと比較した(図1)。いくつかのタンパク質不純物が混入ミオグロビン(レーンa)の中に明らかに見てとれた。それらは異なる分子量のものであり、総タンパク質の約5%に相当した; それらの大部分が添加された血清由来であり、その他わずかのものが初めの純粋なミオグロビンの一部分であった。レーンbはポリッシングされたミオグロビンを示す。コンビナトリアルペプチドライブラリによるポリッシング後のミオグロビンの最終純度は、ポリッシング処理の前よりも高かった(レーン「a」および「b」を比較されたい)。全体的な回収率は約95%であると推定された。コンビナトリアルペプチドライブラリに結合され、次いで、ポリッシング後に完全に脱離されたタンパク質はレーンcに示されている。多くの異なる血清タンパク質は少量のミオグロビンを含めて、コンビナトリアルペプチドライブラリにより捕捉された。 96.3%のミオグロビンおよび3.7%の混入血清タンパク質の前試料を用いてこの実験を繰り返し、類似の結果となった。実施例2: 精製ミオグロビンからの大腸菌タンパク質の分離 純粋な筋ミオグロビン(Sigma)に可溶性大腸菌タンパク質を最初に混入し、95%のミオグロビン(すなわち、関心対象の標的タンパク質群)および多くても5%の混入血清タンパク質を含む得られた混合物を、次にビーズに付着されたコンビナトリアルヘキサペプチドライブラリによってポリッシングした。 ミオグロビン100 mgを25 mMリン酸緩衝液、pH 7.4 400 μLに溶解した。この溶液に、可溶性大腸菌タンパク質(すなわち、混入タンパク質) 5 mgを加えた。得られた溶液を次いで、固相に付着されているコンビナトリアルヘキサペプチドライブラリ80 μLと混合した。懸濁液を室温で20分間穏やかに振盪した。次いで、上清(未結合のポリッシングされたミオグロビン)を遠心分離により、固相に付着されているコンビナトリアルヘキサペプチドライブラリに結合したタンパク質から分離した。固相をリン酸緩衝液で洗浄し、次いで回収された未結合のタンパク質を分析した。 分析をSELDI MS (図2A)およびSDS-PAGE (図2B)によって行い、初めの混入ミオグロビンと比較した(図2)。いくつかのタンパク質不純物が混入ミオグロビンを含む試料(レーン「a」)の中に明らかに見てとれた。それらは異なる分子量のものであり、総タンパク質の約5%に相当した。これらの混入タンパク質の大部分が大腸菌抽出物由来であり、その他わずかのものが初めの純粋なミオグロビンの一部分であった。図2Aおよび2Bのレーン「b」はポリッシングされたミオグロビンを示す。コンビナトリアルペプチドライブラリによるポリッシング後のミオグロビンの最終純度は、99%を超えており、したがってポリッシング処理の前よりも有意に高かった(SDS-PAGEおよびSELDI MSの両分析のレーン「a」および「b」を比較されたい; 図2)。全体的な回収率は約95%であると推定された。コンビナトリアルペプチドライブラリに結合され、次いで、ポリッシング後に完全に脱離されたタンパク質は図2B、レーン「c」(SDS-PAGE)に示されている。図2B、レーン「d」は、脱離された不純物との比較用の大腸菌由来の初期の抽出物を示す。実施例3: 精製組換えヒトアルブミンからのP.パストリスタンパク質の分離 10 mg/mLの濃度で精製組換えヒトアルブミン(96%)およびP.パストリスタンパク質(4%)の溶液をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で調製した。別に、固相コンビナトリアルヘキサペプチドライブラリの1 mLカラムを充填し、PBSで平衡化し、ポンプシステムおよびUV/pH検出ユニットをカラム出口での両事象を記録するために含むクロマトグラフのセットアップにつないだ。 カラムに組換えヒトアルブミン/P.パストリスタンパク質溶液を連続的に負荷して、50 cm/時間の線流速でポリッシングした。素通り液をそれぞれ数mLの分画で回収して、先端分析と同様にタンパク質不純物を除去する固相の収容能力を分析した。負荷が終わったら、過剰のタンパク質を洗い流すためにPBS溶液を導入した。回収された分画をその後、SDS-PAGEおよび質量分析により分析した。結果から、最初の3分画には純粋なアルブミンが含まれていたのに対し、残る分画にはコンビナトリアルビーズカラムの飽和の結果として徐々に多くの混入タンパク質が漸進的に含まれていたことが示唆された。図3は、ある分画の電気泳動分析と共にクロマトグラム全体を示す。実施例4: 標的タンパク質群の精製 本発明の方法は、例えば、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質であって、10-6 M〜約10-12 Mの濃度で存在し、かつ約40種の検出可能だが不明確な個々の混入タンパク質を溶液中に含んだ混入タンパク質を含む試料25リットルから標的タンパク質群を精製するのに適している。この試料に、約30,000,000のペプチド結合部分のコンビナトリアルペプチドライブラリを含むビーズ0.5リットルを、ビーズ1 mlあたり50 μMol被分析物の濃度で加える。参照による組み入れ 本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、各個別の刊行物、特許または特許出願が参照により組み入れられることが具体的かつ個別的に示されるかのごとく、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。コンビナトリアルペプチドライブラリおよび本発明の方法による標的群タンパク質(血清タンパク質を混入されたミオグロビン)の精製を示す。SDS-PAGEは以下のタンパク質分画を示す: レーン「a」: 血清タンパク質を混入されたミオグロビン; レーン「b」: 素通り液で回収されたポリッシングされたミオグロビン; レーン「c」: コンビナトリアルペプチドライブラリに結合された少量のミオグロビンを含む、混入タンパク質。コンビナトリアルペプチドライブラリおよび本発明の方法による5%の大腸菌(Escherichia coli)水性抽出物を混入されたミオグロビンの精製を示す。A. MALDI質量分析プロファイルを示す。「a」: 大腸菌抽出物を混入されたミオグロビン; 「b」: 素通り液で回収されたポリッシングされたミオグロビン。一本矢印はミオグロビンを指し示し、二本矢印は倍の大きさの荷電ミオグロビンを指し示す。B. SDS-PAGE分析を示す。SDS-PAGEは以下のタンパク質分画を示す: レーン「a」: 大腸菌抽出物を混入されたミオグロビン; レーン「b」: 素通り液で回収されたポリッシングされたミオグロビン; レーン「c」: コンビナトリアルペプチドライブラリに結合された少量のミオグロビンを含む、大腸菌混入タンパク質; レーン「d」: 標準的な大腸菌抽出物。ピキア パストリスで発現された組換えヒトアルブミンからの精錬(混入物の除去)を示す。不純物の分離は、1 mLのコンビナトリアルペプチドを含有するカラムでの初期抽出物(純度96%のアルブミン)の先端分析によって達成された。分画を回収し、その各々をSDS-PAGEによって分析した。示されているように分画3を含めて、最初の分画には「精錬された」組換えアルブミンが含まれていたが、最後の分画にはコンビナトリアルビーズの漸進的な飽和の結果として漸進的にいっそう多くの混入物が含まれていた。タンパク質不純物の溶出の始まりおよびタンパク質不純物を含むピーク分画が矢印で示されている。 標的タンパク質群を精製するための方法であって、それによって回収された標的タンパク質群が試料中の標的タンパク質群よりも純粋である、以下の段階を含む方法: (a) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合部分を含むライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階; (b) 混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合部分のライブラリに結合させる段階; (c) 結合部分のライブラリに結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から未結合の標的タンパク質群を分離する段階; ならびに (d) 試料から未結合の標的タンパク質群を回収する段階。 試料が、少なくとも98%の標的タンパク質群および多くても2%の混入タンパク質を含む、請求項1記載の方法。 試料が発酵ブロスを含む、請求項1記載の方法。 標的タンパク質群が単一のタンパク質種からなる、請求項1記載の方法。 標的タンパク質群が組換えタンパク質を含む、請求項1記載の方法。 組換えタンパク質が、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される、請求項5記載の方法。 組換えタンパク質が、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される、請求項5記載の方法。 標的タンパク質群が天然タンパク質を含む、請求項1記載の方法。 ライブラリが、少なくとも1,000、少なくとも10,000、少なくとも100,000、少なくとも1,000,000、少なくとも10,000,000または少なくとも100,000,000の異なる結合部分を含む、請求項1記載の方法。 ライブラリが、生殖細胞系抗体ライブラリ、組換えポリペプチドのファージディスプレイライブラリ、色素ライブラリ、非コンビナトリアルライブラリ、コンビナトリアルライブラリおよび前記のいずれかの一部分からなる群より選択される非選択的ライブラリである、請求項1記載の方法。 ライブラリがコンビナトリアルライブラリの少なくとも一部分を含む、請求項10記載の方法。 コンビナトリアルライブラリが、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、オリゴ糖および有機小分子より選択される結合部分を含む、請求項11記載の方法。 コンビナトリアルライブラリがヘキサペプチドのコンビナトリアルライブラリである、請求項11記載の方法。 結合部分が生物有機高分子(bio-organic polymer)を含む、請求項1記載の方法。 結合部分が、色素、ポリペプチド、抗体、核酸、アプタマーおよび有機小分子からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 結合部分が固体支持体または支持体に結合される、請求項1記載の方法。 固体支持体または支持体が、ビーズまたは粒子の集まりである、請求項16記載の方法。 固体支持体または支持体が、ビーズ、繊維、フィルタ、膜、およびモノリスからなる群より選択される、請求項16記載の方法。 各結合部分が異なる固体支持体に付着される、請求項16記載の方法。 複数の異なる結合部分が単一の固体支持体に付着される、請求項16記載の方法。 結合部分のライブラリの量が、混入タンパク質の大部分を結合するのに十分である、請求項1記載の方法。 段階(a)の前に、標的タンパク質群を産生する細胞を培養する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 細胞が真核細胞である、請求項22記載の方法。 細胞が原核細胞である、請求項22記載の方法。 試料が細胞上清である、請求項22記載の方法。 試料が細胞抽出物である、請求項22記載の方法。 段階(a)の前に、以下の段階: (i) 95%に満たない標的タンパク質群および5%を超える混入タンパク質を含む前試料を少なくとも1つの精製工程に供する段階; ならびに (ii) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を回収する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 以下の段階: (e) 回収された標的タンパク質群を薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることによって薬学的組成物を調製する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 段階(a)が懸濁バッチ工程で行われる、請求項1記載の方法。 段階(a)が固体支持体に付着された結合部分のライブラリを詰め込まれたカラムに試料を通すことで行われる、請求項1記載の方法。 段階(a)が流動層工程を含む、請求項1記載の方法。 以下を含む薬学的組成物: (i) 請求項1記載の方法に従って調製された標的タンパク質群; および (ii) 薬学的に許容される担体。 酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される標的タンパク質群を含む、請求項32記載の組成物。 血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される標的タンパク質群を含む、請求項32記載の組成物。 標的タンパク質群を精製するためのキットであって、以下を含むキット: (i) 少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリ; ならびに (ii) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることにより標的タンパク質群を精製するための使用説明書。 以下をさらに含む、請求項35記載のキット: (iii) 試料を結合部分のライブラリと接触させるためのインキュベーション用緩衝剤を保有する複数の容器。 以下をさらに含む、請求項35記載のキット: (iii) 分画用カラム。 本発明は、標的タンパク質群を精製するための方法およびキットを提供する。本方法は少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、異なる結合部分を有する結合部分のライブラリと接触させる段階、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合部分のライブラリに結合させる段階、結合部分のライブラリに結合したタンパク質から未結合の標的タンパク質群を分離する段階、ならびに未結合の標的タンパク質を回収する段階を含む。回収された標的タンパク質は、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である。


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特許公報(B2)_タンパク質を精製するための方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_タンパク質を精製するための方法
出願番号:2008503204
年次:2011
IPC分類:C07K 1/22,C12P 21/00


特許情報キャッシュ

ボシェッティ イージスト ローマス リー JP 4841618 特許公報(B2) 20111014 2008503204 20060322 タンパク質を精製するための方法 バイオ−ラッド ラボラトリーズ インコーポレーティッド 507190880 清水 初志 100102978 刑部 俊 100119507 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 井上 隆一 100142929 ボシェッティ イージスト ローマス リー US 60/664,794 20050323 20111221 C07K 1/22 20060101AFI20111201BHJP C12P 21/00 20060101ALI20111201BHJP JPC07K1/22C12P21/00 Z C07K 1/00-1/36 C12P 21/00-21/08 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) WPI 国際公開第2004/024189(WO,A1) 特開平09−101306(JP,A) 国際公開第2004/052870(WO,A1) 国際公開第2003/089922(WO,A1) 国際公開第2002/055654(WO,A1) J. Pept. Res., 1998, Vol.52, No.6, p.526-536 26 US2006010656 20060322 WO2006102547 20060928 2008536821 20080911 36 20090226 鳥居 敬司発明の分野 本発明は、コンビナトリアルケミストリー、タンパク質化学、および生化学の分野に関する。詳しくは、本発明は、タンパク質精製の分野で用いられる方法およびキットについて記述する。関連出願の相互参照 本出願は2005年3月23日付で出願された仮出願第60/664,794号の恩典を主張し、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。発明の背景 タンパク質の大規模な、経済的精製は、バイオテクノロジー産業にとってますます重要な問題となっている。一般的に、タンパク質は、関心対象のタンパク質を、そのタンパク質に対する遺伝子を含有する組換えプラスミドの挿入によって産生するよう遺伝子操作された哺乳動物細胞株または細菌細胞株のいずれかを用いて、細胞培養により産生される。使われる細胞株は生きた生物であるので、それらは、動物血清の調製物から通常は供給される、糖、アミノ酸、タンパク質、および増殖因子を含んだ、複合増殖培地を与えられなければならない。標的タンパク質の発現に付随して、その他多くのタンパク質も産生される。細胞に与えられた化合物の混合物および細胞それ自体の副産物から、ヒト用治療薬として用いるのに十分な純度で所望のタンパク質を単離することは大変な課題をもたらす。 細胞残屑からのタンパク質の精製手順は、初めに、タンパク質の発現部位に依存する。細胞から周囲の増殖培地の中に直接的に分泌されるようにもたらされるタンパク質もあれば、細胞内に作出されるものもある。後者のタンパク質の場合、精製工程の第1段階は細胞の溶解を伴い、これは機械的剪断、浸透圧ショック、または酵素処理を含めて、さまざまな方法により行うことができる。そのような破壊によって細胞の全タンパク質含有物がホモジネートの中に放出され、標的タンパク質を単離することの難しさはさらにもっと高くなる。規模はもっと小さいが、同じ問題は、培養工程の間の細胞の自然死によって直接的に放出されたタンパク質で起こる。 いったん関心対象のタンパク質を含有する清澄化された溶液が得られると、細胞によって産生されたその他のタンパク質からの関心対象のタンパク質の分離は、通常、異なるクロマトグラフィー技術の組み合わせおよび順次適用によって試みられる。これらの技術では、タンパク質の複合混合物を、その電荷、疎水性度、サイズ、または親和性に基づいて分離する。いくつかの異なるクロマトグラフィー樹脂がこれらの技術のそれぞれに利用可能であり、関連する特定のタンパク質に対する精製スキームの正確な調整を可能にしている。これらの分離法のそれぞれの本質は、タンパク質が、長いカラム中を異なる速度で下へ移動し、カラムをさらに下へ移動するにつれて増大する物理的分離が達成されうることであるか、または分離媒体に選択的に接着させて、異なる溶媒により差次的に溶出されうることである。場合によっては、不純物がカラムに特異的に接着し、関心対象のタンパク質が接着しない、つまり関心対象のタンパク質が「素通り液(flow-through)」に存在する場合に、所望のタンパク質は不純物から分離される。しかしながら、多くの場合、関心対象のタンパク質を含有する精製タンパク質溶液はそれでも、精製のため出発材料におけるよりも少ない量ではあるが、さまざまな混入タンパク質およびその他の望ましくない不純物を含んでいる。この問題を克服する現在の試みでは、典型的には、いわゆるポリッシング段階(polishing step)を伴う。この段階には、例えば、混入タンパク質が標的タンパク質と異なる分子量を有する場合には、ゲルろ過、イムノアフィニティークロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーを伴うことが多い。 イムノアフィニティークロマトグラフィーは、試料中に存在する全ての混入タンパク質が定かである場合に、およびこれらの混入タンパク質に対する抗体が利用可能である場合に最も有用である。典型的には、抗体を固体支持体に固定化し、免疫吸着剤として用いる。しかしながら、この手法にはかなりの難点がある。非常に多くの場合、混入タンパク質の正体が定かではなく、したがってこの抗体手法は実施可能ではない。さらに、イムノアフィニティーカラムは高価であり、その標的に完全に特異的であることはめったにない。 陰イオン交換クロマトグラフィーは一般的な手法であり、どららも比較的酸性の分子である内毒素および外来DNAを除去するのに使われることが多い。この手法では同様に、ある種のタンパク質などの、酸性であるその他の分子を結合する。しかしながら、この手法は、関心対象の標的タンパク質と類似の特徴(例えば、同じ正味荷電)を有する混入タンパク質の除去には効果がない。 このように、非常に多くの場合、特性が定かではない混入タンパク質は除去するのが非常に困難である。治療用タンパク質溶液の場合は、微量の混入タンパク質でさえも、このような治療用タンパク質が投与される患者に悲惨な影響を及ぼすかもしれない。そのような影響には重度のアレルギー反応または免疫反応が含まれる。多くの場合、これらの影響は、治療用タンパク質を組換えにより発現するために使われる真核細胞または原核細胞に由来する混入タンパク質によって引き起こされる。これらの混入タンパク質はHCPs (宿主細胞タンパク質)として公知である。HCPsは、定義からして、非常に多様であり、先行技術の方法を用いては、単一の工程で除去することができない。それ故に、その排除には、関心対象の治療用タンパク質の全収率の低下の一因にもなる一連の段階が条件となる。すなわち、全ての混入タンパク質または不純物が、単一の精製段階で少なくとも部分的に、好ましくは完全に除去される方法は、先行技術の方法に比べて好ましい。発明の概要 既に高度に精製された試料から可能な限り多くの不純物を除去することが本発明の目的である。ある種の結合部分のライブラリがこの目的を達成するのに好ましい。特に、試料中の特定の被分析物を結合するその能力について予め選択されていない、数多くの異なる結合部分のライブラリを用いることによって、この目的を最もよく達成することができる。そのようなライブラリは本明細書において「非選択的」ライブラリといわれる。(そのようなライブラリにおけるいくつかの結合部分の結合特異性が、ライブラリの使用後に明らかになりうるという事実では、そのライブラリが「選択的」とはならない。)そのようなライブラリを使用することで、無差別に全集団にわたる種類の捕捉の可能性が高まる。すなわち、例えば、各抗体が公知の結合パートナーに向けられている抗体のライブラリは、各抗体が向けられている種類だけを選択するはずであり、それにひきかえ、同じサイズの生殖細胞系抗体ライブラリは、予め選択された被分析物に結合する抗体を含んでいない。そのようなライブラリでは、試料中に存在することが定かでない種類を選択する可能性がいっそう高い。非選択的ライブラリは、コンビナトリアルケミストリーを利用することでまたは化学的部分を無作為にアッセンブルすることで作出することができる。さらに、ライブラリのサイズを増大させることにより、選択的であれ非選択的であれ、捕捉され検出される試料中の異なる非分析物の種類の数が増大しうる。結合部分の非選択的ライブラリの例としては、生殖細胞系抗体ライブラリ、組換え結合タンパク質のファージディスプレイライブラリ、色素ライブラリ、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖に基づいたコンビナトリアルライブラリ、ならびにメンバーの結合特異性が予め選択されていない非コンビナトリアルライブラリ、さまざまな種類のコンビナトリアルライブラリおよびその一部分が挙げられる。精製の量は、試料中の結合部分および混入物の相対量に依ることにも留意されたい。混入物に対する結合部分の相対量は、結合部分が試料中の混入物の全部ではないにしても大部分と結合できるよう十分に大きくすべきであるが、標的タンパク質の大部分も結合部分に結合されるほど大きくすべきではない。 関心対象のタンパク質を精製するための方法を提供することは本発明の目的である。本発明の1つの態様において、標的タンパク質群を精製するための方法が提供される。この方法は(a) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合部分を有するライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階; (b) 混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合部分のライブラリに結合させる段階; (c) 結合部分のライブラリに結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から未結合の標的タンパク質群を分離する段階; ならびに(d) 試料から未結合の標的タンパク質群を回収する段階を含む。回収された標的タンパク質群は、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である。好ましい態様において、結合部分のライブラリの量は、混入タンパク質の大部分と結合するのに十分である。 本発明の好ましい態様において、試料は少なくとも98%の標的タンパク質群および多くても2%の混入タンパク質を含む。 別の好ましい態様において、試料は発酵ブロスを含む。 本発明の好ましい態様において、標的タンパク質群は単一のタンパク質種からなる。 本発明の好ましい態様において、標的タンパク質は天然タンパク質を含む。本発明の別の態様において、標的タンパク質群は組換えタンパク質を含む。好ましい態様において、組換えタンパク質は、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される。本発明の別の好ましい態様において、組換えタンパク質は、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される。 本発明の他の態様において、ライブラリは、少なくとも1,000、少なくとも10,000、少なくとも100,000、少なくとも1,000,000、少なくとも10,000,000、または少なくとも100,000,000の異なる結合部分を含む。 本発明の好ましい態様において、ライブラリは、生殖細胞系抗体ライブラリ、組換えポリペプチドのファージディスプレイライブラリ、色素ライブラリ、非コンビナトリアルライブラリ、コンビナトリアルライブラリ、および前記のいずれかの一部分からなる群より選択される、非選択的ライブラリである。好ましいライブラリはコンビナトリアルライブラリの少なくとも一部分を含む。同様に好ましいのは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、オリゴ糖、および有機小分子からなる群より選択される結合部分を含むコンビナトリアルライブラリである。別の態様において、コンビナトリアルライブラリはヘキサペプチドのコンビナトリアルライブラリである。 好ましい結合部分は生物有機高分子を含む。結合部分は色素、ポリペプチド、抗体、核酸、アプタマー、および有機小分子からなる群より選択される。 結合部分は固体支持体に結合させることができる。好ましい支持体はビーズまたは粒子の集まりである。固体支持体は、別個の粒子(球状または不規則形状)、ビーズ、繊維、フィルタ、膜およびモノリスからなる群より選択することができる。各結合部分は異なる固体支持体に付着させることができる。別の好ましい態様において、複数の異なる結合部分が単一の固体支持体に付着される。 別の態様において、本発明の方法は、段階(a)の前に、標的タンパク質群を産生する細胞を培養する段階を含む。細胞は真核細胞または原核細胞でありうる。標的タンパク質群はさまざまな試料から精製されうる。本発明の1つの態様において、試料は細胞上清である。別の態様において、試料は細胞抽出物である。 本発明の1つの態様において、方法はさらに、段階(a)の前に、(i) 95%に満たない標的タンパク質群および5%を超える混入タンパク質を含む前試料を少なくとも1つの精製工程に供する段階、ならびに(ii) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を回収する段階を含む。 本発明の1つの態様において、方法はさらに、(e) 回収された標的タンパク質群を薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることによって薬学的組成物を調製する段階を含む。 本発明の方法によれば、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、複数の方法で行われうる。好ましい態様において、この段階は懸濁バッチ工程で行われる。本発明の別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、固体支持体に付着された結合部分のライブラリを詰め込まれたカラムに試料を通すことで行われる。別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、流動層工程を含む。 本発明の方法によって調製された、標的タンパク質群および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供することは、同様に本発明の目的である。好ましい態様において、標的タンパク質群は、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される。本発明の別の好ましい態様において、標的タンパク質群は、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される。 本発明は同様に、標的タンパク質群を精製するためのキットを提供する。好ましい態様において、キットは(i) 少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリ、ならびに(ii) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることにより標的タンパク質群を精製するための使用説明書を含む。本発明のキットはさらに、試料を結合部分のライブラリと接触させるためのインキュベーション用緩衝液を保有する複数の容器、または分画用カラムを含むことができる。 本発明のさらなるキットの態様は、本明細書において記述される方法の変化形のいずれかを当業者が行うことを可能にしうる任意の機能的な構成要素を含む。定義 特に規定のない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味を有する。以下の参考文献は、本発明で使用される用語の多くの一般定義を当業者に提供する: Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991); およびHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。本明細書において用いられる、以下の用語は、特に指示のない限りそれらに依る意味を有する。 「結合部分」とは、被分析物を結合する化学的部分をいう。 「結合部分のライブラリ」とは、異なる結合部分の集まりをいう。 「抗体ライブラリ」とは、抗体、すなわち、抗原上の特異的エピトープに結合できる分子であって、免疫グロブリンをコードする遺伝子のフレームワーク領域に由来するということが当業者によって認識されるアミノ酸配列を含むと構造的に規定される分子のセットをいう。構造的に、最も単純な天然抗体(例えば、IgG)は4本のポリペプチド鎖、つまりジスルフィド結合によって全てが共有結合的に連結されている2コピーの重(H)鎖と2コピーの軽(L)鎖とを含む。結合の特異性はH鎖およびL鎖の可変(V)決定基で見出される。主に構造的である抗体の領域は定常(C)領域である。「抗体」という用語は、全抗体、抗体の機能的断片、修飾または誘導体を含む。それは同様に、遺伝子操作されている産物、または二重特異性抗体もしくはキメラ抗体、例えば、ヒト化抗体とすることができる。抗体は、例えば、Fv (抗体の単一腕のVLおよびVHドメインからなる)、Fd (VHおよびCH1ドメインからなる)、dAB断片(VHドメインからなる; Ward et al., Nature, 341:544-546, 1989)、単離された相補性決定領域(CDR)、Fab (VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる)、ならびにF(ab)2 (ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片)を含むさまざまな形態で、ならびに一本鎖で存在することができる。重鎖と軽鎖の遺伝子が単一のコード配列中で組み合わされている、一本鎖抗体(SCA)を使用することもできる。SCAの中には、適当なポリペプチドリンカーによって連結されている、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含んだ遺伝子組換え分子もある。 「前試料」とは、95%に満たない関心対象の標的タンパク質群を含むタンパク質またはタンパク質の混合物をいう。好ましい前試料は、例えば、発酵ブロス、細胞上清、細胞抽出物、動物抽出物、および植物抽出物を含むが、これらに限定されることはない。 本明細書において用いられる「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、アミノ酸残基の重合体をいう。この用語は同様に、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸重合体に当てはまり、ならびに天然のアミノ酸重合体であって、修飾残基を含有するものおよび非天然のアミノ酸重合体に当てはまる。本発明のペプチドおよびタンパク質は、個別のアミノ酸残基のD-アイソフォームおよびL-アイソフォーム、ならびにその他のアミノ酸変異体を有するアミノ酸重合体を含む。ペプチドは、分子の一次構造を構成するアミノ酸残基の数によって識別される。本発明の目的では、通常、ペプチドは最大50アミノ酸残基を含むその分子であり、タンパク質は50を超えるアミノ酸残基を含む。 標的タンパク質群を含む試料、および1つもしくは複数の混入タンパク質または不純物から標的タンパク質群を「精製する」とは、少なくとも1つもしくは複数の混入タンパク質または不純物を、部分的にまたは完全に除去することで標的タンパク質群の純度を高めることをいう。 「組換えタンパク質」とは、タンパク質をコードする核酸で形質転換されているもしくはトランスフェクトされている、または相同組換えの結果としてタンパク質を産生する宿主細胞において産生されたタンパク質をいう。 「試料」とは、任意の組成物、好ましくは、関心対象の標的タンパク質群および混入タンパク質を含んでおり、かつ試料中に存在する任意の関心対象の標的タンパク質群および任意の混入タンパク質が結合部分のライブラリと接触することを可能にする物理的状態にある水溶液をいう。試料は、少なくとも95%の関心対象の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む任意の供給源のものであってもよい。 「固体支持体」とは、粒子(例えば、ビーズ)、繊維、モノリス、膜、フィルタ、プラスチックストリップなどを含む任意の不溶性材料をいう。 タンパク質は、同時に精製されうるさまざまな形態で試料中に存在しうると認識されている。「標的タンパク質群」とは、精製される予定の単一のタンパク質または関連タンパク質の群をいう。これらの関連形態は、翻訳前および翻訳後の修飾のいずれか、またはその両方に由来しうる。翻訳前の修飾形態は、対立遺伝子変異体、スプライスバリアント(slice variant)およびRNA編集形態を含む。翻訳後に修飾された形態は、タンパク質分解的切断によって生じた形態(例えば、親タンパク質の断片)、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、酸化、メチル化、シスチニル化(cystinylation)、スルホン化およびアセチル化によって生じた形態を含む。特異的タンパク質およびその全ての修飾形態を含むタンパク質の集まりを、本明細書において「標的タンパク質群」という。すなわち、例えば、アルブミンおよび血清中に見られるアルブミンの修飾形態は、標的タンパク質群である。さらに、タンパク質は二量体タンパク質などの、多量体タンパク質として発現されうる。この例が免疫グロブリンおよびインスリンである。「標的タンパク質群」という用語は、これも包含する。発明の詳細な説明 本発明は、当業者が5つ以下の個別のタンパク質からなる標的タンパク質群、好ましくは単一のタンパク質を、標的タンパク質群および未知の混入タンパク質を含む試料から精製することを可能にする方法およびキットを提供する。本発明はさらに、本発明の方法によって調製された標的タンパク質群を含む薬学的組成物を提供する。本発明は同様に、本明細書において記述される方法のいずれかを当業者が行うことを可能にしうる構成要素を含むキットを提供する。I. 標的タンパク質群の精製 本発明の方法の原則は、コンビナトリアルライブラリなどの、結合部分のライブラリが、全体として、多様な被分析物、具体的には、試料中の多様なタンパク質混入物を結合できる個別の結合部分を含むという仮定に基づいている。 本発明の好ましい態様において、結合部分のライブラリ、例えば、コンビナトリアルライブラリ中の個別の結合部分の数は非常に多いので、試料中に存在する各タンパク質が個別の結合部分の少なくとも1つに親和性を有すると仮定される。典型的には、結合部分はビーズなどの固体支持体に付着される。精製される予定の関心対象の標的タンパク質群といくつかの混入タンパク質とを含む試料が、そのようなコンビナトリアルライブラリと接触されられる場合、個別の結合部分は、標的タンパク質群および混入タンパク質を含むタンパク質結合パートナーに結合する。コンビナトリアルライブラリの大きな多様性によって、試料中のあらゆるタンパク質に、すなわち、関心対象の標的タンパク質群および混入タンパク質に特異的な結合部分が提供される。しかしながら、単一のタンパク質種に対するビーズの収容能力の限界により、最低限の量の標的タンパク質群が結合し、その後試料から除去されるであろう。理論的には、試料に加えられるビーズに付着された多様なコンビナトリアルライブラリの量が十分に計算されていれば、実質的に全ての混入タンパク質が除去されるはずであり、その一方で関心対象の標的タンパク質群は部分的に除去されるだけであろう。結合していない関心対象の標的タンパク質群は上清に残ったままであり、ろ過、遠心分離またはその他の手段によって、結合部分のライブラリに結合したタンパク質から分離することができる。分離後に、標的タンパク質群が回収される。回収された標的タンパク質群は、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である。 関心対象の標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製することは好都合であるが、本発明の方法は同様に、標的タンパク質群および非ポリペプチド混入物または不純物を含む試料から、関心対象の標的タンパク質群を精製するために実施できることも当業者なら理解するであろう。A. 標的タンパク質群および混入タンパク質 本発明の方法およびキットは、標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料からの標的タンパク質群の精製に特に有用である。 本発明の好ましい態様において、標的タンパク質は単一のタンパク質種からなる。1. 標的タンパク質群 本発明の1つの態様において、精製される標的タンパク質群は、組換えタンパク質を含む。本発明の好ましい態様において、組換えタンパク質は、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される。 関心対象の標的タンパク質群はまた、動物またはヒトに常在する細胞タンパク質でありうり、その喪失または機能不全が、癌、ウイルス感染、寄生虫感染、細菌感染などのような疾患または感染状態と関連する。細胞ストレスのマーカーも特に関心がある。動物またはヒトがストレスを受けていることを示唆する標的タンパク質群は、ある種の精神病、心筋梗塞および感染症を含めて、いくつかの疾患状態の早期指標である。 本発明の別の態様において、標的タンパク質群は、治療用タンパク質を含む。「治療用タンパク質」とは、疾患に苦しむ患者に、疾患の症状または合併症を少なくとも部分的に抑えるかまたは遅らせる反応を引き出すよう投与される任意のタンパク質である。典型的には、治療用タンパク質は組換えにより作出される、すなわち、それは組換えタンパク質である。 本発明の別の好ましい態様において、組換えタンパク質は、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される。 治療用タンパク質はIgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMなどの、抗体でもよい。抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであってもよい。本発明の方法は、マウス抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体の精製に適している。 本発明の方法は、例えば、(i) 抗トロンビンIII、第VIIa凝固因子、第VIII凝固因子、および第IX凝固因子などの、凝固因子; (ii) 組織プラスミノゲン活性化因子、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼなどの、抗凝固剤; (iii) βグルコセレブロシダーゼ、α-D-ガラクトシダーゼ、α-ガラクトシダーゼA、α L-イズロニダーゼ、α-1,4-グルコシダーゼ、アリールスルファターゼB (arylsulfutase B)、イズロン酸-2-スルファターゼ、アデノシンデアミナーゼ、ヒトデオキシリボヌクレアーゼI (hDNase-I)、およびヒト活性化プロテインなどの、稀有な先天性疾患に対する酵素; (iv) インスリンおよび遺伝子操作されたインスリン; (v) ヒト卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、および黄体形成ホルモンなどの、生殖ホルモン; (vi) ヒト成長ホルモン(ソマトトロピン)、ヒト骨形成タンパク2、ネシリチド、および副甲状腺ホルモンなどの、その他のホルモン; (vii) エリスロポエチン(エリスロポエチンα、エリスロポエチンβ、ダーベポエチンαを含む)、ケラチノサイト増殖因子、ケラチノサイト増殖因子-2、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(Gm-CSF)などの、増殖因子; (iix) αインターフェロン(ペグ化されたαインターフェロンおよびリバビリン、ペグ化されたインターフェロンα-2aおよびコペガスを含む)、βインターフェロン(例えば、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ1b)、およびγインターフェロンなどの、インターフェロン; (ix) IL-1アンタゴニスト、IL-2、インターロイキン-10、インターロイキン-11、およびインターロイキン-12などの、インターロイキン; (x) α4インテグリンアンタゴニスト、抗胸腺細胞グロブリン、CD2アンタゴニスト、CD3アンタゴニスト、CD4アンタゴニスト、CD11aアンタゴニスト(例えば、エファリズマブ)、CD20アンタゴニスト(リツキサン(Rituxan)、チウキセタン(Tiuxetan)、ゼバリン(Zeevalin)、ベキサール(Bexxar))、CD22アンタゴニスト、CD33アンタゴニスト(ゲムツズマブオゾガマイシン)、およびCD52アンタゴニスト(アレムツズマブ)などの、白血球受容体を標的とするモノクローナル抗体; (xi) ケモカインアンタゴニスト、IL-2アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、Il-5アンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-12アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニスト、TNF-αアンタゴニストなどの、サイトカインを標的とするモノクローナル抗体; (xii) EGFRアンタゴニスト、HER-2アンタゴニスト(例えば、ハーセプチン)、MUC-1アンタゴニスト、VEGFアンタゴニストなどの、がん細胞上の受容体を標的とするモノクローナル抗体; (xiiv) リツキシマブ(ヒト化MAb)、補体抗体(例えば、C5阻害剤)、糖タンパク質(GP) IIb/IIIaアンタゴニスト、IgEアンタゴニスト(例えば、オマリズマブ)および呼吸器合胞体ウイルスF-タンパク質アンタゴニスト、インフリキシマブ(キメラMAb)、アダリムマブ、ならびにエタネルセプト(抗体-Fcおよびp75-TNF受容体タンパク質の融合タンパク質)などの、その他の抗体; (xiv) CD20アンタゴニスト、CD22アンタゴニストおよびIL-2アンタゴニストなどの、非ホジキンリンパ腫の処置用のタンパク質に基づく薬物; (xv) CD33アンタゴニスト、CD52アンタゴニスト、およびαインターフェロンなどの、白血病の処置用のタンパク質に基づく薬物; (xvi) モノクローナル抗体トラスツズマブ(ハーセプチン; ヒト化抗HER-2 MAb; 乳がん)、セツキシマブおよびベバシツマブ(EGFRおよびVEGR阻害剤)、ペムツモマブおよびオレゴボマブ(MUC-1阻害剤)などの、固形腫瘍の処置用のタンパク質に基づく薬物; (xvii) エリスロポエチンなどの、貧血の処置用のタンパク質治療薬; (xiix) ネシリチドなどの、うっ血性心不全の処置用のタンパク質; (xix) アルテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、GPIIb/IIIa受容体阻害剤および補体阻害剤などの、心臓発作および脳卒中の処置用のタンパク質; (xx) 第VIII凝固因子、第IX凝固因子、第VII凝固因子、およびフォンヴィレブランド因子などの、血友病およびフォンヴィレブランド病の処置用のタンパク質; (xxi) G-CSF、G-CSF-PEG結合体、およびGm-CSFなどの、好中球減少症の処置用のタンパク質; (xxii) トロンボポエチンなどの、血小板減少症の処置用のタンパク質; かつ(xxiiv) 肺疾患(例えば、嚢胞性線維症、肺気腫、特発性肺線維症)、感染性疾患(例えば、B型肝炎(B型肝炎ウイルスの外被タンパク質を含む)、C型肝炎、敗血症およびRSV)、免疫疾患(例えば、ぜんそく、関節リウマチ、多発性硬化症、急性拒絶反応、クローン病および潰瘍性大腸炎、乾癬(例えば、アレファセプト)、乾癬性関節炎およびSCID)、皮膚および骨疾患(骨折、骨粗しょう症および創傷)ならびにその他の疾患(例えば、リソソーム蓄積症、不妊症(例えば、ホリトロピンα)、および糖尿病)の処置用のタンパク質薬、ならびに上記のタンパク質のいずれかの断片、キメラタンパク質または融合タンパク質を含むが、これらに限定されない、さまざまな標的タンパク質群を精製するのに適している。 本発明の方法によって精製できる生物学的に関連のあるその他の標的タンパク質群は、レニン; 成長ホルモン放出因子; 副甲状腺ホルモン; 甲状腺刺激ホルモン; リポタンパク質; α-1-アンチトリプシン; インスリンA鎖; インスリンB鎖; プロインスリン; 卵胞刺激ホルモン; カルシトニン; 黄体形成ホルモン; グルカゴン; プロテインCなどの抗凝固因子; 心房性ナトリウム利尿因子; 肺表面活性剤; ヒト尿または組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)などの、プラスミノゲン活性化因子; ボンベシン; トロンビン; 造血成長因子; 腫瘍壊死因子-αおよび腫瘍壊死因子-β; エンケファリナーゼ; RANTES; ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-α); ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン; ミューラル管抑制物質; リラキシンA鎖; リラキシンB鎖; プロレラキシン; マウスゴナドトロピン関連ペプチド; β-ラクタマーゼなどの、微生物タンパク質; DNase; IgE; CTLA-4などの、細胞障害性Tリンパ球関連抗原(CTLA); インヒビン; アクチビン; 血管内皮増殖因子(VEGF); ホルモンまたは増殖因子に対する受容体; プロテインAまたはD; リウマチ因子; 骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6 (NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)などの神経栄養因子、またはNGF-βなどの神経成長因子; 血小板由来増殖因子(PDGF); aFGFおよびbFGFなどの線維芽細胞増殖因子; 上皮細胞増殖因子(EGF); TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含め、TGF-αおよびTGF-βなどの形質転換増殖因子(TGF); インスリン様増殖因子-Iおよび-II (IGF-IおよびIGF-II); des(1-3)-IGF-I (脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質; CD3、CD4、CD8、CD19およびCD20などのCDタンパク質; エリスロポエチン; 骨誘導因子; 免疫毒素; 骨形成タンパク質(BMP); スーパーオキシドジスムターゼ; T細胞受容体; 表面膜タンパク質; 分解促進因子; 例えば、AIDS外被の一部分などのウイルス抗原; 輸送タンパク質; ホーミング受容体; アドレシン; 調節タンパク質; CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4およびVCAMなどのインテグリン; EGFR、HER2、HER3またはHER4受容体などの腫瘍関連抗原; ならびに上記のタンパク質のいずれかの断片、キメラタンパク質または融合タンパク質を含む。 さらに、関心対象の特定の標的タンパク質群は抗体を含む。好ましい抗体のリストは米国特許出願第2003/0036095号(Tchaga)中で見出され、この出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。2. 混入タンパク質 通常、試料には、関心対象の標的タンパク質群、および試料から取り除くことが望まれる、標的タンパク質群以外のタンパク質である混入タンパク質が含まれる。混入タンパク質は任意の数の個別のタンパク質であってもよい。しかしながら、本発明の好ましい態様において、試料中の混入タンパク質の濃度は多くても5%である。本発明の別の好ましい態様において、試料中の混入タンパク質の濃度は多くても2%である。 本発明の方法およびキットによって結合部分のライブラリが提供されるので、混入タンパク質の同一性または供給源に関するいかなる情報も必要とされない。標的タンパク質群が宿主細胞中で組換えにより産生される場合、混入タンパク質は、典型的には、標的タンパク質群を産生する宿主細胞に由来するか、または宿主細胞を増殖させるのに使われる細胞培地に由来する。それらはサイトゾルタンパク質、構造タンパク質、核タンパク質、膜タンパク質、酵素および具体的にはプロテアーゼなどのさまざまな部類のものでありうる。組換え標的タンパク質群を産生するのに適した宿主細胞は、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞および原核細胞を含む。無細胞系を使用することもできる。 組換え標的タンパク質群または標的タンパク質群の個別のタンパク質を産生するのに好ましい真核宿主細胞は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎臓CV1細胞(例えば、COS 7細胞)、骨髄腫細胞、ヒト胎児腎細胞(293細胞または浮遊培養での増殖用にサブクローニングされた293細胞)、ヒト子宮頸がん細胞(HELA)、ヒト肺細胞(例えば、W138)、ヒト肝細胞(例えば、Hep G2)、3T3細胞、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4)、アフリカミドリザル腎細胞(例えば、VERO-76)、イヌ腎細胞(例えば、MDCK)、バッファローラット肝細胞(例えば、BRL 3A)などの脊椎動物細胞を含むが、これらに限定されることはない。好ましいのはCHOおよびBHK細胞である。したがって、CHOまたはBHK細胞に由来する試料中に存在する混入タンパク質は、CHO細胞タンパク質またはBHK細胞タンパク質を含む。 組換え標的タンパク質群または標的タンパク質群の個別のタンパク質を発現するのに有用なその他の真核宿主細胞は、組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母細胞(例えば、サッカロミセス セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス ポンベ(Schizosacharomyces pombe)、クルイベロマイセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマイセス フラギリス(Kluyveromyces fragiles)、クルイベロマイセス ブルガリクス(Kluyveromyces bulgaricus)、クルイベロマイセス ウィケラミイ(Kluyveromyces wickeramii)、クルイベロマイセス ワルティ(Kluyveromyces waltii)、クルイベロマイセス ドロソフィラルム(Kluyveromyces drsophilarum)、クルイベロマイセス サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、クルイベロマイセス マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、ピキア パストリス(Pichia pastoris)、ニューロスポラ クラッサ(Neurospora crassa))である。同様に、本発明の方法による適当な精製は、組換えウイルス発現ベクターでトランスフェクトされた昆虫細胞(例えば、スポドプテラ フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、アエデス アルボピクタス(Aedes albopictus)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、およびカイコガ(Bombyx mori))において発現された標的タンパク質群である。植物細胞において発現された標的タンパク質群も本発明の方法を実施することによって精製することができる。 組換え標的タンパク質群または標的タンパク質群の個別のタンパク質を産生するのに好ましい原核宿主細胞は、例えば、大腸菌(E. coli) (例えば、大腸菌294、大腸菌B、大腸菌X1776、大腸菌W3110)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella) (例えば、サルモネラ チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア(Serratia) (例えば、セラチア マルセスカンス(Serratia marcescans))、赤痢菌(Shigella)、バチルス(Bacilli) (例えば、枯草菌(B. subtilis)、B.リケニホルミス(B. licheniformis))、シュードモナス(Pseudomonas) (例えば、P.エルギノーサ(P. aeruginosa))、およびストレプトマイセスを含むが、これらに限定されることはない。好ましい原核細胞は大腸菌および枯草菌である。したがって、大腸菌または枯草菌に由来する試料中に存在する混入タンパク質は、大腸菌細胞タンパク質または枯草菌細胞タンパク質を含む。B. 適当な試料 試料は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含み、本明細書において被分析物ともいわれる。標的タンパク質群が2種以上の個別のタンパク質を含んだ試料では、試料中に存在する標的タンパク質群を合わせた合計が少なくとも95%である。例えば、関心対象の3種の別個のタンパク質(すなわち、標的タンパク質群)が試料中に存在する場合、第1の個別のタンパク質は少なくとも25%で存在することができ、第2の別個のタンパク質は少なくとも30%で存在することができ、第3の別個のタンパク質は少なくとも40%で存在することができる。本発明の別の好ましい態様において、試料は、少なくとも98%の標的タンパク質群および多くても2%の混入タンパク質を含む。 本発明で用いるのに適した試料は、気体、粉末、液体、懸濁液、乳濁液、透過性固体または微粉化固体などを含む。好ましくは、試料は液体である。最も好ましい試料は水溶液である。試料は、供給源から直接的に採取し、予備操作なく本発明の方法で使用することができる。好ましい試料は、例えば、細胞上清および細胞抽出物を含むが、これらに限定されることはない。 発現された標的タンパク質群が分泌される場合、それは増殖培地または細胞上清から精製することができる。したがって、本発明の好ましい態様において、本発明によって標的タンパク質が精製される試料は細胞上清である。 本発明の方法は同様に、分泌されない標的タンパク質群、すなわち宿主細胞中でいったん発現された標的タンパク質群であって、宿主細胞中に残ったままであり、ここから精製されうる標的タンパク質群に、適用することができる。発現された標的タンパク質群が宿主細胞から分泌されない場合、宿主細胞は好ましくは、破壊され、標的タンパク質群は水性抽出物の中に放出される。本発明の別の好ましい態様において、本発明によって標的タンパク質が精製される試料は細胞抽出物である。 あるいは、95%に満たない関心対象の標的タンパク質群を含む前試料は、その特性を強めるためおよび少なくとも95%の標的タンパク質群を含む試料を得るため、以下にさらに記述されるさまざまな方法で操作される。 前試料は、全血および血液誘導体、血清、血漿、尿、前立腺液、涙液、口腔液、唾液、精液、精漿、粘液、大便、痰、脳脊髄液、骨髄、リンパ液、胎児液、羊水、乳液、ならびに汗などの体液を含む生物学的供給源から採取された生物学的試料であってもよい。前試料は同様に、生物学的組織標本、細胞抽出物、発酵ブロス、および細胞上清を含む。生物学的試料は綿球採取(swabbing)、かき取りによって、外科的に取り出すことで、または皮下注射器などで回収することができる。当業者に周知の、代替の多くの適当な回収技術があるので、回収方法はどの場合にも、生物学的供給源やその状況に大きく依存する。多くの場合、発酵ブロス由来のまたは体液由来の標的タンパク質は、ろ過法、沈殿法、クロマトグラフィー法、または動電学的方法などの、古典的な分画法および精製法によって少なくとも約95%に精製することができる。 多くの場合、宿主細胞中でいったん発現された標的タンパク質群は、細胞培地の中に分泌され、ここからそのタンパク質群を精製することができる。したがって、前試料は発酵ブロスであってもよい。典型的には、発酵ブロスは、標的タンパク質群を発現する宿主細胞、細胞残屑および粒状物質を含む。前試料は、例えば、pH 調整、イオン強度調整、温度調整、水希釈ならびに/または凝集、遠心分離、ろ過もしくは精密ろ過などの1つもしくは複数の固体/液体分離技術に供された発酵ブロスであってもよい。このように、発酵ブロスは、標的タンパク質群を発現する宿主細胞、細胞残屑および粒状物質を除去することでさらに清澄化することができる。発酵ブロス中にまたは清澄化された発酵ブロス中に存在する標的タンパク質群は、本発明の方法を適用する前にさらに濃縮することができる。しかしながら、清澄化および/または濃縮は必須段階ではない。C. 適当な結合部分 標的タンパク質群を精製する方法は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階を含む。 本発明で使用される結合部分のライブラリは、少なくとも100の異なる結合部分を含む。好ましくは、結合部分のライブラリは、試料中に被分析物が存在するのと少なくとも同じくらい多くの異なる結合部分を含む。すなわち、理想的には、結合部分のライブラリは、少なくとも10、50、100、1,000、10,000、100,000、1,000,000、3,000,000、10,000,000、1,000,000,000の結合部分を含む。好ましくは、各結合部分は異なる被分析物を認識する。 結合部分は同様に、可溶性コンビナトリアル分子(combinatorial molecule)であってもよい。可溶性コンビナトリアル分子はリンカー部分を含むことが好ましい。「リンカー部分」によって、結合部分は、相補的なリンカー部分を含む相補的な固体支持体にカップリングされることが可能になる。可溶性コンビナトリアル分子を、典型的には試料に接触させ、関心対象の被分析物を結合させた後に、組み合わせ分子をそのリンカー部分によって固体支持体に結合させるかまたはカップリングさせることによって得られた複合体を単離する。あるいは、試料を接触させる前にコンビナトリアル分子を固体支持体にカップリングさせてもよい。 結合部分のライブラリは、気体性、水性および有機性懸濁液および乳濁液を含め、分子間相互作用の形成に適合する任意の物理的状態で、最も好ましくは液体状態で存在し、本発明を用いて検出可能な被分析物と相互作用することができる。 典型的には、および以下に詳述されるように、結合部分のライブラリは、不溶性の固体支持体または粒状物質にカップリングされる。各固体支持体または不溶性粒子は、同じ結合部分のいくつかのコピーを保有し、粒子種ごとに違う結合部分をカップリングすることが好ましい。 本発明の結合部分のライブラリは、当業者に公知の任意の技術を用いて作出することができる。例えば、結合部分のライブラリは、化学的に合成されてもよく、天然源から収集されてもよく、または生物有機高分子である結合部分のライブラリの場合、組換え技術を用いて産生されてもよい。 結合部分は、固体支持体に予めカップリングされた状態で購入してもよく、または標準的な方法を用いて固体支持体に間接的に付着させても、もしくは直接的に固定させてもよい(例えば、Harlow and Lane, Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1988); Biancala et al., Letters in Peptide Science 2000, 7(291):297; MacBeath et al., Science 2000, 289:1760-1763; Cass et al., ed., Proceedings of the Thirteenth American Peptide Symposium; Leiden, Escom, 975-979 (1994); 米国特許第5,576,220号; Cook et al., Tetrahedron Letters 1994, 35:6777-6780; およびFodor et al., Science 1991, 251(4995):767-773を参照のこと)。1. コンビナトリアルライブラリ 本発明の1つの態様において結合部分のライブラリは、コンビナトリアルライブラリまたはその一部分である。コンビナトリアルケミストリーライブラリは、いくつかの化学的「ビルディングブロック」を可能なあらゆる組み合わせで組み合わせることにより、化学的合成または生物学的合成のいずれかによって作出された化合物の集まりである。例えば、ポリペプチドライブラリなどの、完全な線形のコンビナトリアルケミストリーライブラリは、所与の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸の数)に対して、可能なあらゆる方法で化学的ビルディングブロック(アミノ酸)のセットを組み合わせることで形成される。一例として、ビルディングブロックの数が5であり、構築体が5種類のメンバーより構成されるならば、可能な線形の組み合わせ数は55または3,125種類のメンバーとなる。この場合、ビルディングブロック(A、B、C、DおよびE)は、A-A-A-A-A; A-A-A-A-B; A-A-A-A-C; A-A-A-B-A; A-A-A-B-B; A-A-A-B-C; .....; A-A-B-A-A; A-A-B-A-B; A-A-B-A-C; .....; E-E-E-E-C; E-E-E-E-D; E-E-E-E-Eなど、直線的にアッセンブルされる。 コンビナトリアルライブラリの別の形態は骨格に基づく。これらの構築体は、ビルディングブロックによって選択的に置換されうる位置を含んだ、単一の中心的分子または中核を基礎としている。いくつかの置換基を付着できるトリクロロトリアジン(3箇所の置換可能な位置)が一例である。置換基の数が3であるなら、可能な組み合わせ数は10である。各置換基の相対な位置決めを考慮することも可能であり、この場合、組み合わせ数はいっそう大きくなる。 第3のレベルとして、線形のコンビナトリアルライブラリを骨格に基づくライブラリと組み合わせることが可能であり、ここでは、この後者の置換基がコンビナトリアル線形配列である。 化学的ビルディングブロックのそのような組み合わせ混合を通じて、何百万もの化合物を合成することができる。ペプチド結合部分の場合、その長さは15、10、8、6または4アミノ酸に制限されることが好ましい。本発明の核酸結合部分は少なくとも4個、より好ましくは6、8、10、15個、または少なくとも20個のヌクレオチドの好ましい長さを有する。オリゴ糖は、好ましくは長さが少なくとも5個の単糖単位、より好ましくは8、10、15、20、25個またはそれ以上の単糖単位である。 コンビナトリアルライブラリは完全であってもまたは不完全であってもよい。生体高分子の完全なコンビナトリアルライブラリは、所与の高分子の長さと組成に対して可能なあらゆる単量体順列の代表を含有するライブラリである。不完全なライブラリは、所与の高分子の長さに対して可能な1つまたは複数の単量体順列を欠くライブラリである。 ペプチド結合部分は、主張される発明の好ましい態様である。主張される発明で用いるのに適したペプチド結合部分のライブラリを作出するための方法、例えば、「スプリット、カップル、およびリコンバイン」法(例えば、Furka et al., Int. J. Peptide Protein Res., 37: 487-493 (1991); Houghton et al., Nature 354:84-88 (1991); Lam et al., Nature, 354: 82-84 (1991); 国際特許出願WO 92/00091; ならびに米国特許第5,010,175号、同第5,133,866号、および同第5,498, 538号を参照のこと)または当技術分野において公知の他の手法は、当業者に周知である。ペプチドライブラリの発現もDevlin et al., Science, 249: 404-406 (1990)に記述されている。 当技術分野において周知の組み合わせおよび合成化学技術では、それぞれが独特の構造を持った、何百万ものメンバーを含有するライブラリを作出することができる(Lam et al., Nature 354: 82-84 (1991)および国際(PCT)特許出願WO 92/00091)。18種の天然アミノ酸で作製された線形の六量体リガンドのライブラリは34×106個の異なる構造を含有する。アミノ酸類似体および異性体も含まれる場合、潜在的な構造の数は、事実上、無限である。さらに、そのようなライブラリの各メンバーは、異なる分子に結合する能力を潜在的に保有する。コンビナトリアルライブラリのメンバーは、ビーズなどの、固体支持体上で合成することができ、または固体支持体にカップリングすることができ、その結果、各ビーズはその表面にライブラリメンバーの何百万ものコピーを本質的に有することができる。異なるビーズを異なるライブラリメンバーにカップリングさせ、ライブラリメンバーをカップリングさせるのに使われるビーズの総数を大きくできるので、ビーズにカップリングされたライブラリメンバーに結合できる異なる分子の潜在数は非常に大きい。 Hammondら、US2003/0212253(2003年11月13日)では、以下の観点に沿ってコンビナトリアルライブラリについて記述している。ペプチド結合部分のライブラリは、天然アミノ酸に比べて安定性の増大をもたらすアミノ酸から合成することができる。例えば、システイン、メチオニンおよびトリプトファンをライブラリから除くことができ、2-ナフチルアラニン(2-naphylalanine)およびノルロイシンなどの非天然アミノ酸を含めることができる。N-末端アミノ酸をD-異性体とすることができ、またはアミノペプチダーゼの存在下においていっそう高い生化学的安定性をもたらすようアセチル化することができる。結合部分の密度は、標的分子に対する十分な結合をもたらすのに十分でなければならないが、結合部分が、標的分子ではなく自らと相互作用するほど高くてはいけない。支持体の乾燥重量1グラムあたり0.1 μmole〜500 μmoleの結合部分の密度が望ましく、より好ましくは支持体1グラムあたり10 μmole〜100 μmoleの結合部分の密度が望ましい。6-merのペプチドライブラリをToyopearl-AF Amino 650M樹脂(Tosohaas, Montgomeryville, Pa.)上で合成した。樹脂ビーズのサイズはビーズあたり60〜130 mmに及んだ。出発樹脂の初期置換はFmoc-Ala-OHおよびBoc-Ala-OH (1:3.8モル比)の混合物のカップリングにより達成された。カップリング後、Boc保護基を純TFAで十分に除去した。得られた脱保護アミノ基を次にアセチル化した。樹脂ビーズに残存するFmoc-Ala-OH部位を介してペプチド鎖をアッセンブルした。標準的なFmoc合成戦略を利用した。1つの態様、典型的な実験において、Fmoc-Ala-(Ac-Ala-)Toyopearl樹脂6グラムを20%ピペリジン(piperdine)/DMFで脱保護し(2×20分)、その後DMFで洗浄し(8回)、18個の別個の反応容器の中に均等に分けた。各別個の容器中で、単一のFmoc-アミノ酸を4〜7時間樹脂(BOP/NMM、5〜10倍(told)過剰)にカップリングした。個別の樹脂を洗浄し、「分割/混合」ライブラリ技術によって組み合わせた(Furka et al., Int. J. Peptide Protein Res., 37, 487-493 (1991); Lam et al., Nature, 354, 82-84 (1991); 国際特許出願WO 92/00091 (1992); 米国特許第5,010,175号; 米国特許第5,133,866号; および米国特許第5,498,538号)。アミノ酸配列が完成するまで脱保護およびカップリングのサイクルを繰り返した(六量体ライブラリの場合6サイクル)。最後のカップリングサイクルの間に、別個の反応容器中で20%ピペリジン/DMFにより、最後のFmocをペプチド樹脂から除去した。側鎖の保護基を2時間TFA処理(TFA:H2O:フェノール、90:5:5)で除去した。樹脂を十分に洗浄し、真空下で乾燥した。達成されたペプチド密度は、典型的には、0.06〜0.12 mmol/g樹脂の範囲であった。 ペプチドリガンド-樹脂ビーズ複合体の配列決定およびペプチド組成を確認し、樹脂の置換度はCommonwealth Biotechnologies, Inc., Richmond, Vaで定量的アミノ酸分析によって計算された。配列決定は、Hewlett PackardG1005Aを用いたエドマン分解により、Protein Technologies Laboratories, Texas A&M Universityで行われた。 コンビナトリアルライブラリの調製用の装置は市販されている(例えば、357 MPS, 390 MPS, Advanced Chem Tech, Louisville KY, Symphony, Rainin, Woburn, MA, 433A Applied Biosystems, Foster City, CA, 9050 Plus, Millipore, Bedford, MAを参照されたい)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリそれ自体が市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N.J., Tripos, Inc., St. Louis, MO, 3D Pharmaceuticals, Exton, PA, Martek Biosciences, Columbia, MDなどを参照されたい)。2. 有機小分子 本発明の好ましい態様において、本方法は、結合部分のライブラリであって、有機小分子のコンビナトリアルライブラリであるライブラリと試料を接触させる段階を含む。 したがって、小分子は同様に、本発明の方法およびキットで用いられる結合部分のライブラリと企図される。典型的には、有機小分子は、被分析物とのイオン性、疎水性または親和性相互作用を可能にする特性を有する。有機小分子のライブラリはモノ-、ジ-およびトリ-メチルアミノエチル基、モノ-、ジ-およびトリ-エチルアミノエチル基、スルホニル、ホスホリル、フェニル、カルボキシメチル基などのようなクロマトグラフ法で伝統的に使われる化学基を含む。例えば、ライブラリにはベンゾジアゼピン(例えば、Bunin et al., Proc Natl Acad Sci USA 1994, 91:4708-4712を参照のこと)およびペプトイド(例えば、Simon et al., Proc Natl Acad Sci USA 1992, 89:9367-9371)を使用することができる。別の態様において、結合部分は色素またはトリアジン誘導体である。このリストは決して包括的ではない。当業者であれば、本発明の方法における結合部分のライブラリとしての使用に適合するイオン性、疎水性または親和性特性の有る何千もの化学的官能基を容易に認識すると思われるからである。 本発明の好ましい態様において、有機小分子のコンビナトリアルライブラリは、固体支持体、好ましくは複数のビーズに共有結合的に付着される。本明細書においてさらに記述されるように、固体支持体との有機小分子のコンビナトリアルライブラリの付着は直接的であってもまたはリンカーを介してもよい。3. 生体高分子 本発明の好ましい態様において、本方法は、結合部分のライブラリであって、生体高分子のコンビナトリアルライブラリであるライブラリと試料を接触させる段階を含む。 本発明の1つの態様において、生体高分子はポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質およびオリゴ糖からなる群より選択される。 本発明の結合部分の生体高分子ライブラリの場合、線形の長さは、好ましくは4〜50個の単糖単位、特に15個以下、10個以下、望ましくは8、7、6、5、4または3個の単糖単位である。ペプチドライブラリの場合、その長さは15、10、8、6または4個以下のアミノ酸に制限されることが好ましい。核酸ライブラリは少なくとも4個、より好ましくは少なくとも6、8、10、15個、または少なくとも20個のヌクレオチドの好ましい長さを有する。オリゴ糖は、好ましくは長さが少なくとも5個の単糖単位、より好ましくは少なくとも8、10、15、20、25個またはそれ以上の単糖単位である。 本発明の1つの態様において、生体高分子は固体支持体、好ましくは複数のビーズに共有結合的に付着される。本明細書においてさらに記述されるように、固体支持体との生体高分子のコンビナトリアルライブラリの付着は直接的であってもまたはリンカーを介してもよい。a) ペプチド 本発明の好ましい態様において、生体高分子はペプチドである。結合部分の特に好ましいライブラリは、50、40、30、25、20、15、10、8、6または4個以下のアミノ酸を有するペプチドを含む。これは、それらが組換えまたは固相化学技術を用いて容易に作出されるからである。さらに、結合部分のペプチドライブラリは、本発明の方法でのその使用を容易にする形で作出することができる。例えば、ペプチドはファージディスプレイライブラリとして組換えにより作出されてもよく、この場合には、ペプチドがファージ被膜の一部分として提示される(例えば、Tang et al., J Biochem 1997, 122(4):686-690を参照のこと)。これに関連して、ペプチドは固体支持体、つまりファージに付着されよう。主張される発明で用いるのに適したペプチド結合部分のライブラリを作出するその他の方法、例えば、「スプリット、カップル、およびリコンバイン」法(例えば、Furka et al., Int J Peptide Protein Res 1991, 37:487-493; Fodor et al., Science 1991, 251:767-773; Houghton et al., Nature 1991, 354:84-88; Lam et al., Nature 1991, 354:82-84; 国際特許出願WO 92/00091; ならびに米国特許第5,010,175号、同第5,133,866号、および同第5,498, 538号を参照されたく、これらは全て参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)または当技術分野において公知の他の手法も当業者に周知である。ペプチドライブラリの発現もDevlin et al., Science 1990, 249:404-406に記述されている。 ペプチド結合部分のライブラリは、天然アミノ酸に比べて安定性の増大をもたらすアミノ酸から合成することができる。例えば、システイン、メチオニンおよびトリプトファンをライブラリから除くことができ、2-ナフチルアラニン(2-naphylalanine)およびノルロイシンなどの非天然アミノ酸を含めることができる。N-末端アミノ酸をD-異性体とすることができ、またはアミノペプチダーゼの存在下においていっそう高い生化学的安定性をもたらすようアセチル化することができる。ライブラリの密度は、被分析物に対する十分な結合をもたらすのに十分でなければならないが、結合部分のライブラリが、被分析物ではなく自らと相互作用するほど高くてはいけない。固体支持体の乾燥重量1グラムあたり0.1 μmole〜500 μmoleの範囲のライブラリの密度が望ましく、より好ましくは固体支持体1グラムあたり10 μmole〜100 μmoleの範囲のライブラリの密度が望ましい。その他の好ましい範囲は、固体支持体1 mlあたり10 μmole〜100 μmoleである。 いくつかのコンビナトリアルペプチドライブラリの態様において、ペプチドは大きなライブラリを作出するため組換えバクテリオファージの表面に発現される。「ファージ法」(Scott and Smith, Science 249:386-390, 1990; Cwirla, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87:6378-6382, 1990; Devlin et al., Science, 49:404-406, 1990)を用いて、非常に大きなライブラリを構築することができる(106〜108個の化学的実体)。第2の手法では主に化学的方法を利用し、この中ではGeysen法(Geysen et al., Molecular Immunology 23:709-715, 1986; Geysen et al., J. Immunologic Method 102:259-274, 1987); およびFodorらの方法(Science 251:767-773, 1991)が実例である。Furkaら(14th International Congress of Biochemistry, Volume #5, Abstract FR:013, 1988; Furka, Int. J. Peptide Protein Res. 37:487-493, 1991)、Houghton (米国特許第4,631,211号、1986年12月に再発行)およびRutterら(米国特許第5,010,175号、1991年4月23日に再発行)は、アゴニストまたはアンタゴニストとして試験できるペプチドの混合物を作出する方法について記述している。 本発明の好ましい態様において、本方法は、抗体ライブラリ抗体ライブラリを含む結合部分のライブラリと試料を接触させる段階を含む(例えば、Vaughn et al., Nature Biotechnology 1996, 14(3):309-314; PCT/US96/10287を参照のこと)。本発明の好ましい態様において、本方法は、ファージ粒子上にディスプレイされた抗体ライブラリと試料を接触させる段階を含む。b) ポリヌクレオチド 核酸は別の好ましい、結合部分の生体高分子ライブラリである。ペプチドと同様、核酸は当業者に周知の合成または組換え技術を用いて作出することができる。「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸分子」という用語は、本明細書において交換可能に使われており、一本鎖形態、または二重らせんのいずれかでのデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはその類似体の重合体形態をいう。核酸分子は同様に、メチル化核酸分子および核酸分子類似体などの、修飾核酸分子を含むことができる。プリンおよびピリミジンの類似体は当技術分野において公知である。核酸は天然の、例えば、DNAもしくはRNAであってもよく、または当技術分野において知られるように、合成類似体であってもよい。そのような類似体は優れた安定性のため、結合部分として用いられるのが好ましいかもしれない。骨格、糖または複素環塩基の改変を含めて、天然構造の修飾は細胞内安定性および結合親和性を高めることが明らかにされている。骨格化学的性質の有用な変化の中には、ホスホロチオエート; ホスホロジチオエート、この場合には非架橋酸素の両方が硫黄で置換されている; ホスホロアミダイト; アルキルホスホトリエステルおよびボラノホスフェートがある。非キラルリン酸塩誘導体は、3'-O'-5'-S-ホスホロチオエート、3'-S-5'-O-ホスホロチオエート、3'-CH2-5'-O-ホスホネートおよび3'-NH-5'-O-ホスホロアミダイトを含む。ペプチド核酸ではリボースホスホジエステル骨格全体をペプチド結合と置き換えている。 好ましい核酸結合部分は、長さが少なくとも4個、より好ましくは少なくとも6、8、10、15、または20個のヌクレオチドである。核酸結合部分は、タンパク質または代謝物などの、特異的な分子標的に結合する二本鎖DNAまたは一本鎖RNA分子(例えば、アプタマー)を含む。(1) オリゴ糖 生体高分子はオリゴ糖でありうる。すなわち、オリゴ糖結合部分も本発明の方法およびキットでの使用が企図される。オリゴ糖結合部分は、好ましくは長さが少なくとも5個の単糖単位、より好ましくは長さが少なくとも8、10、15、20、25個またはそれ以上の単糖単位である。(2) 脂質 生体高分子は脂質でありうる。本明細書において用いられる「脂質」という用語は、疎水性または両親媒性部分をいう。すなわち、脂質結合部分も本発明の方法およびキットでの使用が企図される。適当な脂質としては、C14〜C50脂肪族アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、またはアリールアルキニル部分であって、窒素、硫黄、酸素、およびリンからなる群より選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよいその部分が挙げられる。その他の適当な脂質としては、ホスホグリセリド、グリコシルグリセリド、スフィンゴ脂質、ステロール、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルプロパノールアミンが挙げられる。脂質結合部分は、好ましくは長さが少なくとも5個の単位、より好ましくは長さが少なくとも8、10、15、20、25、50個またはそれ以上の単位である。D. 固体支持体との結合部分の付着 本発明の好ましい態様において、本方法は、固体支持体に付着されている結合部分のライブラリと試料を接触させる段階を含む。1. 固体支持体 本発明で用いるのに許容される固体支持体は変化に富みうる。固体支持体は多孔性または無孔性であってもよいが、好ましくは多孔性である。それは連続性または非連続性、可撓性または非可撓性でありうる。固体支持体はセラミック材料、ガラス材料、金属材料、有機重合体材料、またはその組み合わせを含めて、さまざまな材料で作られうる。 好ましい固体支持体は、粒子支持体またはビーズ支持体、織布織物(woven web)および不織布織物(繊維性織物などの)、微孔性繊維、微孔性膜、中空繊維または中空管などの、有機重合体支持体を含む。ポリアクリルアミドならびにケイ酸塩および金属酸化物などの無機物支持体を使用することもできる。織布ウェブおよび不織布ウェブは、規則的なまたは不規則な物理的立体配置の表面を有してもよい。特に好ましい態様は、球状のまたは不ぞろいな形状のビーズまたは粒子の形で固体支持体を含む。 多孔性材料は大きな表面積を供与するので、有用である。多孔性支持体は合成または天然、有機または無機でありうる。多孔性構造を有する適当な固体支持体は、少なくとも約1.0ナノメートル(nm)の孔径および少なくとも約0.1立方センチメートル/グラム(cm3/g)の孔体積を有する。孔が大きいほど拡散の制限は少なくなるので、孔径は少なくとも約30 nmであることが好ましい。孔周囲の表面積が大きいほど潜在的な収容能力は大きくなるため、孔体積は少なくとも約0.5 cm3/gであることが好ましい。好ましい多孔性支持体としては、球状のおよび不ぞろいな形状のビーズおよび粒子を含めて、アガロース、親水性ポリアクリレート、ポリスチレン、鉱物酸化物およびセファロースなどの粒子支持体またはビーズ支持体が挙げられる。 有意な利点のためには、結合部分に対する固体支持体は親水性であることが好ましい。好ましくは、親水性重合体は被分析物のいっそう高い浸透を可能にするよう水膨潤性である。そのような支持体の例としては、天然の多糖、例えば、セルロース、変性セルロース、アガロース、架橋デキストラン、アミノ変性架橋デキストラン、グアーガム、変性グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガムおよびヒドロゲルが挙げられる。その他の例としては架橋された合成親水性重合体、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)および変性ポリエチレングリコールが挙げられる。 固体支持体の別の形態はファージディスプレイライブラリで使われるように、ファージである。ファージディスプレイライブラリは、結合部分をファージタンパク質被膜の一部分として発現するよう組換えにより操作されているバクテリオファージから形成される。ファージディスプレイを用いて、結合部分のライブラリを容易に構築し、本発明の方法に使用してもよい。2. 微粒子固体支持体 本発明の好ましい態様では、直径が1000μmに満たない、好ましくは100、10、1または0.1 μmに満たない小さなビーズ状の微粒子固体支持体を利用する。微粒子固体支持体は、より大きなビーズに比べてさらに高い表面積対体積率を保有するので、望ましい。微粒子固体支持体は、コンビナトリアルライブラリを含有するのに必要な支持体の体積も減らし、それによってさらに複雑かつ効率的なライブラリの使用が可能になる。しかしながら、既存の機器を用いては、使われるフィルタ系のフリットサイズの制限により、非常に小さな(<10 μm)ビーズ上でコンビナトリアルライブラリを合成することは困難である。この問題を克服するため、コンビナトリアルライブラリはビーズ上でバルク合成されてもよく、これを機械的に粉砕し、破砕し、または超音波処理により断片化して、微粒子の回収物または粉末を形成させてもよい。これらの技術を用いて、異なる結合部分にカップリングされた微粒子固体支持体が作出されてもよい。これらを大規模に混合して、より大きなまたはさまざまなサイズの異なるビーズの混合よりもさらに均一な組成物を形成させてもよい。 表面上の未反応の架橋結合基はメルカプトエタノールなどの小さな化学物質と反応させて、さらなる反応性を阻止してもよい。その上、表面をさらに処理して、タンパク質の非特異的接着を阻止してもよい。 微粒子固体支持体は、未結合の標的タンパク質群および電磁ビーズにカップリングされた結合部分に結合したタンパク質の簡単な一段階分離を可能にする電磁ビーズであってもよい。 溶出された被分析物(例えば、少量の標的タンパク質群および混入タンパク質)は、質量分析法、SDS-PAGE法、キャピラリー電気泳動法を含め、いくつかの方法により分子量にしたがいまたは等電点電気泳動法を通じてpIによりタンパク質組成について分析されうる。 あるいは、微粒子固体支持体を充填剤と混ぜ合わせ、錠剤形に成形してもよい。この形式では、それは試料溶液に直接加えられてもよく、またはその代わりに、初めに緩衝液に懸濁されてもよい。 微粒子固体支持体をアガロースまたはアクリルアミドなどの溶液に注入し、それ自体をゲル中で架橋してまたは繊維上の架橋剤との重合反応を通じて互いに架橋して、モノリシック材料を形成させてもよい。 あるいは、微粒子固体支持体は粘着性の薄フィルム上に固定化されてもよい。 別の手法は、多孔性マトリックス中での微粒子固体支持体の封入である。そのようなマトリックスには、融解物吹きつけ段階の間に組み入れられうる粒子を有した不織布繊維または織物が含まれよう。 微粒子を要望どおり単一のシートまたは膜の束の中に組み入れて、適切な所望の結合能力を達成することができ、ここでは微粒子固体支持体はカレンダリングまたは水力交絡によって層の間に封入される。 膜組成物はポリエステルおよびポリプロピレン繊維およびメッシュを含めた天然源または合成源から選択することができる。もちろん、この項に記述される技術の多くは概して、本発明のその他の態様に適用できることを当業者は承知しているであろう。3. 固体支持体との結合部分のカップリング 本発明の好ましい態様において、結合部分は1つまたは複数の固体支持体にカップリングされる。固体支持体との結合部分のカップリングは、さまざまな機構を通じて達成することができる。 予め調製済みの結合部分のライブラリを固体支持体に付着させることにより、固体支持体を完全に調製済みの結合部分のライブラリで誘導体化することができる。または、固体支持体に前駆体分子を付着させ、その後、固体支持体に最初の前駆体分子が結合している成長鎖にさらなる前駆体分子を加えることにより、結合部分のライブラリを固体支持体上で形成させてもよい。吸着体を固体支持体上で構築するこの機構は、結合部分が重合体、特にポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは多糖分子などの生体高分子である場合、特に有用である。生体高分子結合部分は当技術分野において公知の方法を用いて、単肢成分(例えば、アミノ酸、ヌクレオチドまたは単糖)を固体支持体に付着されている最初の単肢成分に連続して加えることにより供与することができる。例えば、米国特許第5,445,934号(Fodorら)を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。 わずか1つのおよび10、100、1,000、10,000、1,000,000、3,000,000、10,000,000、1,000,000,000またはそれ以上もの数の結合部分が単一の固体支持体にカップリングされてもよい。好ましい態様において、固体支持体はビーズの形態であり、それぞれのビーズに単一の異なる結合部分のタイプが結合されている。例えば、ペプチド結合部分のライブラリでは、1つの可能なアミノ酸順列に相当するペプチドは1つのビーズに結合され、別の1つの可能な順列に相当するペプチドは別の1つのビーズに結合されうる、など。 結合部分は可逆または非可逆反応により固体支持体にカップリングされてもよい。例えば、非可逆反応は、任意でスペーサー基を通じて、結合部分に化学的に結合するヒドロキシル、カルボキシル、スルフヒドリル、またはアミノ基などの、少なくとも1つの反応性官能基を含む支持体を用いてもたらすことができる。適当な官能基は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホニルエステル、ヨードアセチル基、アルデヒド、エポキシ、イミダゾリルカルバメート、およびシアノゲンブロミドならびにその他のハロゲン活性化支持体を含む。そのような官能基はさまざまな公知の技術によって支持体に供与することができる。例えば、ガラス表面は公知の方法にてアミノプロピルトリエトキシシランで誘導体化することができる。いくつかの態様において、結合部分は、当技術分野(例えば、固相ペプチドおよび核酸合成)の者に知られるように、合成の間に固体支持体にカップリングされる。 あるいは、固体支持体と結び付けられているリンカー部分および/または結合部分を利用して、固体支持体と結合部分との間の可逆的相互作用をもたらすことができる。本発明で用いるのに適したさまざまなリンカー部分は公知であり、そのうちのいくつかが本明細書において論じられている。多様な作用物質をカップリングさせるためのリンカー部分の使用は当業者に周知であり、当業者は、単なる日常的な実験だけで本発明で用いるのに適した固体支持体/結合部分のカップリングを形成させるようこの共通の知識を適用することができる。 ある種の態様において、それぞれの異なる結合部分を異なる固体支持体にカップリングさせることができる。これは、例えば、スプリット-プール-および-リコンバイン法を用いてコンビナトリアルライブラリがビーズ上で構築される場合である。または、結合部分の集まりをビーズのプールにカップリングさせてもよく、その結果、それぞれのビーズにはいくつかの異なる結合部分が付着される。これは、例えば、コンビナトリアルライブラリを第1セットの支持体上で作出し、支持体から結合部分を切断し、それらを第2群の支持体に再カップリングすることにより行うことができる。a) リンカー部分 固体支持体との結合部分のカップリングは、例えば、リンカー部分の使用によって達成することもできる。本発明のこの態様において、試料は固体支持体、好ましくは微粒子固体支持体との結合部分の標的および/または可逆的カップリングを可能にするリンカー部分を含む結合部分と接触される。「リンカー部分」は、相補的なリンカー部分を含む相補的な固体支持体に結合部分がカップリングされることを可能にする。 例示的なリンカー部分としては、結合部分、例えばタンパク質に付着されて、融合タンパク質を形成するエピトープおよびヒスチジン(his)-タグが挙げられる。これらの場合、第XA因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen, San Diego, Calif.)に特異的なものなどの、切断可能なリンカー配列を任意でペプチドとリンカー部分との間に含有させて、融合分子の成分の単離および/または分離を円滑にしてもよい。デザイナーリガンドによって特異的に認識されるタンパク質ドメインをリンカー部分として使用することもできる(例えば、Deisenhofer, Biochemistry 20 (1981) 2361-2370を参照のこと)。多くの他の等価なリンカー部分が当技術分野において公知である。例えば、Hochuli, Chemische Industrie, 12:69-70 (1989); Hochuli, Genetic Engineering, Principle and Methods, 12:87-98 (1990), Plenum Press, N.Y.; およびCrowe, et al.(1992) OIAexpress: The High Level Expression & Protein Purification System, QIAGEN, Inc. Chatsworth, Calif.を参照されたく、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。 固体支持体にカップリングされる結合部分の抗原決定基およびその他の特徴性はリンカー部分のタグとしても役立ちうる。例示的なリンカー部分としては、ポリ-ヒスチジン(poly-his)またはポリ-ヒスチジン-グリシン(poly-his-gly)タグ; インフルエンザHAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5 (Field et al., Mol Cell Biol 1988, 8:2159-2165); c-mycタグならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体(Evan et al., Mol Cell Biol 1985, 5:3610-3616); ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D (gD)タグおよびその抗体(Paborsky et al., Protein Engineering 1990, 3(6):547-553)が挙げられる。その他のタグポリペプチドとしては、Flag-ペプチド(Hopp et al., BioTechnology 1988, 6:1204-1210); KT3エピトープペプチド(Martin et al., Science 1992, 255:192-194); α-チューブリンエピトープペプチド(Skinner et al., J Biol Chem 1991, 266:15163-15166); およびT7遺伝子10タンパク質(T7 gene 10 protein)ペプチドタグ(Lutz-Freyermuth et al., Proc Natl Acad Sci USA 1990, 87:6393-6397)が挙げられる。E. 結合部分のライブラリとの試料の接触および試料の結合 本発明は標的タンパク質群を精製するための方法を提供する。これらの方法は、(a) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階、ならびに(b) 混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合部分のライブラリに結合させる段階を含む。 結合部分は、多様な被分析物を含有する試料に導入される場合、混入タンパク質などの、試料中のさまざまな混入物を結合するであろう。関心対象の標的タンパク質群などの、豊富な被分析物は、それぞれの結合部分の収容能力を飽和するのに必要な量をはるかに上回る量で存在するであろう。それ故に、これらの豊富な被分析物の総量のうち高い割合のものが未結合のままであり、ごく少量のものが結合部分に結合するだけであろう。逆に、混入タンパク質などの、微量の被分析物の量がいっそう少ないことは、これらのタンパク質がその利用可能な結合部分の全てを飽和していないことを意味する。それ故に、混入タンパク質の出発量のうちの大部分のものがそれぞれの結合部分に結合するであろう。 試料中に存在する被分析物、つまり標的タンパク質群および混入タンパク質は少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリと、各結合部分を、試料中に存在するならその対応する被分析物に結合させる条件下で接触される。一般に、試料は、結合部分に対する混入タンパク質および少量の標的タンパク質群の結合を可能にする条件の下で結合部分のライブラリと接触される。標的タンパク質群が精製される条件は、標的タンパク質群の固有の性質、混入タンパク質の特性などを含めて、さまざまなパラメータによって変わるであろう。 試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、さまざまな方法で達成することができる。例えば、試料との結合部分のライブラリの接触は、その2つを混ぜることにより、結合部分のライブラリに試料を塗布することにより、結合部分が付着されている固体支持体に試料を流すことにより、および当業者には明らかと思われるその他の方法により、達成することができる。本発明の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、懸濁バッチ工程で行われる。本発明の別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、固体支持体に付着された結合部分のライブラリを詰め込まれたカラムに試料を通すことで達成される。本発明の別の好ましい態様において、試料を結合部分のライブラリと接触させる段階は、流動層工程を含む。 上記で推察されるように、結合部分は試料と直接的に接してもよく、または結合部分は固体支持体に初めに付着されてもよい。例証として、1つの好ましい態様では、結合部分はリンカー部分を含む。この態様において、結合部分は、試料中に存在する被分析物(すなわち、標的タンパク質群および混入タンパク質)が結合部分に結合することを可能にする形で試料に直接的に接触される。十分な時間が経過した後に、結合部分のリンカー部分に相補的なリンカー部分を含む固体支持体を試料に接触させる。これによって、結合部分は捕捉済みの被分析物を保持しながら、リンカー部分を通じて固体支持体とカップリングすることが可能になる。例えば、ビオチンリンカー部分を有する結合部分は、表面にカップリングされたアビジンまたはストレプトアビジンを含む固体支持体にカップリングできよう。 本発明の1つの態様において、結合部分のライブラリは試料と接する前に固体支持体にカップリングされる。この代替的な態様において、固体支持体(カップリングされた結合部分を有する)は結合部分が被分析物を結合することを可能とするのに十分な時間試料と簡単に接触され、次に被分析物と結合部分との間の複合体の形成によって、被分析物が支持体に結合された試料から固体支持体を取り除く。 結合部分は、標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料に直接的に加えられてもよい。または、任意の適当な結合用緩衝液がこのために加えられてもよい。例示的な結合用緩衝液としては、非常に低いまたは高いイオン強度の水性塩溶液、界面活性剤溶液、および以下にさらに記述される有機溶媒が挙げられる。結合部分に競合的に結合する作用物質の溶液および懸濁液は、このような競合的に結合する作用物質が混入タンパク質および少量の標的タンパク質群のその後の結合を妨害しないという条件で、結合用緩衝液中で使用されてもよい。選択される結合用緩衝液は極めて用途特異的であり、公において一般に入手可能な材料を通じてまたは日常的な実験を通じて当業者が容易に特定することができる(例えば、Buffers. A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems, Gueffroy, D., Ed. Calbiochem Corporation (1975); Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982); ならびにMethods in Enzymology 182巻、およびこのシリーズの他巻の中のDeutscher (1990)「Guide to Protein Purification」を参照のこと)。 典型的には、試料および結合部分は結合用緩衝液中に存在する。適当な結合用緩衝液の非限定的な例としては、50 mMリン酸ナトリウムおよび0.15 M NaCl、pH 7を含有する溶液; 50 mMリン酸ナトリウムおよび0.15 M NaCl、pH 8を含有する溶液などが挙げられる。適当な結合用緩衝液としては、例えば、トリスに基づく緩衝液、ホウ酸塩に基づく緩衝液、リン酸塩に基づく緩衝液、イミダゾール、HEPES、PIPES、MOPS、MOPSO、MES、TES、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩などが挙げられる。 適当な結合用緩衝液の例としては、pH緩衝溶液などの、被分析物および/または結合部分の表面電荷を変えるものが挙げられる。pH緩衝溶液は、好ましくは、溶液のpHを酸性域において、すなわち、7未満のpHで、好ましくは6.8、6.5、6.0、5.5、5.0、4.0もしくは3.0未満のpHで; または塩基性域において7よりも高いpHで、好ましくは7.5、8.0、8.3、8.5、9.0、9.3、10.0もしくは11.0よりも高いpHで維持するのに十分、強力な緩衝液である。標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製するのに適したpH条件は、約3.5〜約11、約4.0〜約10.0、約4.5〜約9.5、約5.0〜約9.0、約5.5〜約8.5、約6.0〜約8.0、または約6.5〜約7.5に及ぶ。典型的には、結合用緩衝液は約6.5〜約7.5のpH域を有する。本発明の代替的な態様において、結合用緩衝液は約6.5〜約8.5のpH域を有する。 あるいは、さまざまな塩濃度の結合用緩衝液が使われてもよい。標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製するのに適した例示的なNaCl塩濃度は、約0.01 M NaCl〜約3 M NaCl、約0.05 M NaCl〜約1.5 M NaCl、約0.1 M NaCl〜約1.0 M NaCl、または約0.2 M NaCl〜約0.5 M NaClに及ぶ。好ましい結合用緩衝液は、約0 M〜約0.25 Mの範囲の塩濃度を有する。結合用緩衝液中のその他の適当な塩はKClまたはNaHOAcである。 本発明に適したその他の結合用緩衝液は上記の緩衝液成分の組み合わせを含む。上述の結合用緩衝液成分の2つまたはそれ以上から処方された結合用緩衝液は、混入タンパク質と結合部分との間の分子間相互作用の選択性を変えることができる。 当業者によって理解されるように、タンパク質精製のための温度条件は、精製される関心対象の標的タンパク質群の特性に応じて変わることがある。典型的には、標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料から標的タンパク質群を精製するのに適した温度条件は、約4℃〜約40℃、約15℃〜約40℃、約20℃〜約37℃、または約22℃〜約25℃に及ぶ。典型的な温度条件は約4℃〜約25℃の範囲である。1つの好ましい温度は約4℃である。 結合部分のライブラリと試料との接触および結合部分への被分析物の結合は、混入タンパク質および少量の標的タンパク質を結合部分のライブラリに結合させるのに十分な時間にわたって行われる。典型的には、結合部分のライブラリ、ならびに標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料を、少なくとも約10分、通常は少なくとも約20分間、より通常には少なくとも約30分間、より通常には少なくとも約60分間一緒にインキュベートする。インキュベーション時間は数時間、例えば最大12時間までとすることもできるが、典型的には約1時間を超えない。例えば、カラムを用いて本発明の方法が行われる場合、結合部分のライブラリと試料を接触させる時間は滞留時間といわれる。典型的な滞留時間の範囲は約1分〜約20分である。 分析物が結合部分に結合されたら、さらなる分析のため分析物を溶出させることが望ましいかもしれない。効率的な溶出用緩衝液の中には、表1に記述されるものがある。それらは単独でまたは予め定められた順序(例えば、最初にイオン交換効果にて作用する溶出液、その後、疎水性会合をバラバラにすることができる溶出液など)にしたがって使用することができる。(表1) 固相ペプチドライブラリに吸着されたタンパク質に対する異なる溶出プロトコルのスキーム 本発明の好ましい溶出用緩衝液は、質量分析計で用いるのに適したマトリックス材を含む。マトリックス材を緩衝液に含めると、本発明のいくつかの態様では、任意でプロテインまたはバイオチップなどの、質量分析計プローブに直接的に結合部分から被分析物を溶出させることを含んでもよい。本発明の他の態様において、結合部分からの溶出後、マトリックスを被分析物と混合することができる。他の態様では、プロテインチップに予め配置されたエネルギー吸収マトリックスを含んだSENDまたはSEAC/SENDプロテインチップに、直接的に被分析物を溶出させることを含む。これらの後者の態様において、さらなるマトリックス材が溶出用緩衝液中に存在している必要はない。F. 標的タンパク質群の分離および回収 本発明は、標的タンパク質群を試料から精製するための方法を提供する。これらの方法は、結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から未結合の標的タンパク質群を分離する段階、ならびに試料から未結合の標的タンパク質群を回収する段階を含む。回収された標的タンパク質群は、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である。 前述のとおり、固体支持体が試料と接する前にまたは接した後に、捕捉剤を固体支持体にカップリングさせることができる。すなわち、典型的には、本発明の方法は、固体支持体にカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から、未結合の標的タンパク質群を分離する段階を含む。この分離は、例えば、遠心分離、カラムクロマトグラフィー、リンカー部分の使用または電磁ビーズの使用を含むが、これらに限定されないさまざまな方法で達成することができる。 1つの態様において、固体支持体にカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群からの未結合の標的タンパク質群の分離は、遠心分離により行われる。標的タンパク質群を含む試料および固体支持体に結合している結合部分の遠心分離後に、結合部分に結合したタンパク質は沈殿するであろう。未結合の標的タンパク質群は上清中に存在しているはずであり、ここからそのタンパク質群を回収することができる。 別の態様において、電磁ビーズにカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群からの未結合の標的タンパク質群の分離は、磁力の適用により行われる。結合部分/電磁ビーズに結合したタンパク質は、未結合の標的タンパク質群から引き離されるであろう。未結合の標的タンパク質群は上清中に存在しているはずであり、ここからそのタンパク質群を回収することができる。電磁ビーズは、典型的には、強磁性酸化鉄、磁赤鉄鉱、磁鉄鉱、またはマンガン亜鉛フェライトなどの、強磁性酸化物粒子を含む(例えば、米国特許第6,844,426号を参照のこと)。 さらに別の態様において、固体支持体にカップリングされている結合部分に結合した混入タンパク質および標的タンパク質群からの未結合の標的タンパク質群の分離は、カラムクロマトグラフィーにより行われる。混入タンパク質および少量の標的タンパク質群の結合の後、混合物を、固体支持体およびそれに結合したタンパク質を保持するカラムに負荷する。未結合の標的タンパク質群は素通り液中に存在しているはずであり、ここからそのタンパク質群を回収することができる。G. 精製された標的タンパク質群の純度の評価 本明細書において記述される本発明の方法を用いて、標的タンパク質は所望の程度まで精製される。本発明の方法の適用によって、典型的には、試料中の標的タンパク質群よりも純粋である標的タンパク質群の回収がもたらされる。すなわち、標的タンパク質群はさらに精製されており、少なくとも96%純粋、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、および最も好ましくは少なくとも99%純粋である。 本明細書において記述される技術を用いて精製された標的タンパク質群の純度の評価または別の方法でのその検出、定量化もしくは特徴付けは、当業者に公知の任意の適当な方法を用いて達成することができる(実施例も参照されたい)。例えば、色素を用いた比色アッセイは広く利用可能である。または、検出は分光的に達成されてもよい。分光検出器は屈折率の変化、紫外および/もしくは可視光吸収、または反応成分を検出するための適当な波長での励起後の蛍光に依存している。例示的な検出法としては、蛍光光度法、吸光分光法、反射分光法、および透過分光法が挙げられる。検出のその他の例は、抗体の使用(例えば、ELISAおよびウエスタンブロッティング)に基づく。複合体の形成または反応の進行をモニターするため、複屈折、屈折率、または回折の変化を用いることもできる。分子間相互作用を検出するために特に有用な技術は、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー技術、回折格子結合(grating-coupled)導波管技術、および多重極共鳴分光法(multi-polar resonance spectroscopy)を含む。これらの技術およびその他のものは周知であり、それらを当業者は必要以上の実験なしで、本発明に容易に適用することができる。これらの方法およびその他の多くは、例えば「Spectrochemical Analysis」 Ingle, J.D. and Crouch, S.R., Prentice Hall Publ. (1988)、および「Analytical Chemistry」 Vol. 72, No. 17の中で見出すことができる。 精製された標的タンパク質群を特徴付けるのに好ましい別の方法は、質量分析により行われる。質量分析技術としてはマトリックス支援レーザー脱離(MALDI)、連続的もしくはパルス型エレクトロスプレー(ESI)および関連法(例えば、イオンスプレー(IONSPRAY)もしくはサーモスプレー(THERMOSPRAY))、またはマッシブクラスター衝撃(MCI)などのイオン化(I)技術が挙げられるが、これらに限定されることはなく; これらのイオン源は、リニアまたは非リニア反射飛行時間(TOF)、単一または多重四重極、単一または多重扇形磁場、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、イオントラップ、およびそれらの組み合わせ(例えば、イオントラップ/飛行時間)を含めた検出形式と適合されうる。イオン化のため、多数のマトリックス/波長の組み合わせ(MALDI)または溶媒の組み合わせ(ESI)を利用することができる。例えば、ESI (Valaskovic, G. A. et al., (1996) Science 273:1199-1202)またはMALDI (Li, L. et al., (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:1662-1663)質量分析を利用して、サブアトモルレベルの被分析物が検出されている。ES質量分析はFennらにより導入されており(J. Phys. Chem. 88, 4451-59 (1984); PCT出願番号WO 90/14148)、現在の用途は最近の総説の中で要約されている(R. D. Smith et al., Anal. Chem. 62, 882-89 (1990)およびB. Ardrey, Electrospray Mass Spectrometry, Spectroscopy Europe, 4, 10-18 (1992))。MALDI-TOF質量分析は、Hillenkampらにより導入されている(「Matrix Assisted UV-Laser Desorption/Ionization: A New Approach to Mass Spectrometry of Large Biomolecules」, Biological Mass Spectrometry (Burlingame and McCloskey, editors), Elsevier Science Publishers, Amsterdam, pp. 49-60, 1990)。ESIでは、質量計算に使用できる複数のイオンピークの存在により、フェムトモル量の試料中での分子量の測定が非常に正確である。好ましい分析法では、例えば、米国特許第6,020,208号に論じられているように、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)を利用する。質量分析計プローブもしくはバイオチップ上にて直接的に被分析物の捕捉が行われる本発明の態様、または捕捉用緩衝液がマトリックス材を含有するかまたは結合部分からの被分析物の溶出後にマトリックス材と合わされる本発明の態様において、質量分析は特に好ましい検出方法である。 広く使われている標的タンパク質群の特徴付けおよび検出の別の方法は、関心対象の被分析物の1つまたは複数の物理的特性に基づく電気泳動分離である。ポリペプチドおよびタンパク質被分析物の分析に特に好ましい態様は、二次元電気泳動である。好ましい用途では、被分析物を第1の次元において等電点により、および第2の次元においてサイズにより分離する。さらに、精製された標的タンパク質群および結合部分に結合したタンパク質は、例えば、SDS-PAGEと、その後の染色によって分析することができる(実施例参照)。被分析物の電気泳動分析の方法は、研究されている被分析物によって大きく変わるが、所与の被分析物に適した特定の電気泳動法を識別する技術は当業者に周知である。 質量分析の分析では、通常、特定の値の質量対電荷比(m/z)にタンパク質のピークが示される。本明細書において用いられる場合、ピークは1つもしくは複数のm/z、クロマトグラフィーによる保持時間、またはその他任意の適当な可変量に対して、シグナル強度が極大である。一般に、強度値またはピーク強度(高さ、曲線下面積、またはその他の適当な強度指標)は任意単位であり、その結果、絶対値は検出器の設定などの、いくつかの要因によって決まる。試料(すなわち、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む)のピークを測定し、本発明によって精製された回収済みの標的タンパク質を含む溶液のピークと比較することで、回収済みの標的タンパク質群の純度の評価が得られる。例えば、ポラロイド(Polaroid) 665ポジティブ/ネガティブインスタントフィルムを用いてゲルのネガ写真を撮影し、ネガ写真を濃度測定に供することにより、回収済みの標的タンパク質群を定量化することも可能である。各タンパク質バンドの濃度測定評価によって得られた各曲線下面積から始めて、回収済みの標的タンパク質群の純度を計算することができる。H. 標的タンパク質群を精製するためのさらなる段階 一般に、本発明の方法は、標的タンパク質群の後処理工程で使われる正規の分離法と組み合わせて使用することができる。1. 宿主細胞の培養 本発明の方法の好ましい態様において、該方法は、標的タンパク質群を含んだ試料を結合部分のライブラリと接触させる前に、標的タンパク質群を産生する細胞を培養する段階を含む。好ましい態様において、細胞は前述の宿主細胞である。所与の宿主細胞に好ましい培養条件は、科学文献の中でおよび/または米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)などの、宿主細胞の供給源より見出すことができる。 培養用の宿主細胞は真核細胞または原核細胞とすることができる。宿主細胞を培養するための方法は当技術分野において公知である。標的タンパク質群を産生するのに使われる真核宿主細胞は、さまざまな増殖培地中で培養することができる。Ham's F10 (Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640 (Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販されている増殖培地は、真核宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al., Meth. Enz. 58:44 (1979)、Barnes et al., Anal. Biochem. 102:255 (1980)、米国特許第4,767,704号; 同第4,657,866号; 同第4,927,762号; 同第4,560,655号; もしくは同第5,122,469号; WO 90/03430; WO 87/00195; または米国再発行特許第30,985号の中で記述されている培地のいずれかを宿主細胞用の培地として使用することができる。これらの培地のいずれかに、必要に応じてホルモンおよび/またはその他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮細胞増殖因子などの)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩などの)、緩衝液(HEPESなどの)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなどの)、抗生物質(ゲンタマイシン(登録商標)などの)、微量元素(マイクロモル範囲の終濃度で通常存在する無機化合物と定義される)、ならびにグルコースまたは等価なエネルギー源を補充してもよい。その他任意の必要な補充物も当業者に公知であるような適切な濃度で含まれてもよい。温度、pHなどのような培養条件は、発現用に選択された宿主細胞で以前に使われたものであり、当業者には明らかであろう。 原核細胞の培養、組換えタンパク質の発現およびペプチド産生の方法は、当技術分野において周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2nd ed. 1989); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990); およびAusubel et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1994)を参照のこと)。2. 前試料の精製 本発明の1つの態様において、本方法はさらに、試料を結合部分のライブラリと接触させる前に標的タンパク質群および混入タンパク質を含む前試料を少なくとも1つの精製工程に供する段階、ならびに標的タンパク質群および混入タンパク質を含む試料を回収する段階を含み、それによって標的タンパク質群は前試料中よりも試料中において純粋である。 95%に満たない関心対象の標的タンパク質群を含む前試料は、その特性を強めるため、および本発明の方法で使用できる少なくとも95%の標的タンパク質群を含む試料を得るため、さまざまな方法で操作されうる。前試料のそのような操作としては、関心対象の標的タンパク質群の純度を向上させて本発明の方法で用いるために適したものにする、精製、ある種の被分析物の枯渇、濃縮、粉砕、抽出、浸出、希釈、ろ過、移動などが挙げられる。例えば、固体試料を粉末に微粉化し、次いで水性溶媒または有機溶媒によって抽出することができる。粉末からの抽出物を次に、本発明の方法に供することができる。気体試料を溶液に通じて泡立てるかまたは浸出させ、液体に気体成分を溶解および/または濃縮し、その後にこの液体を本発明の方法に供することができる。 その他の精製段階としてはろ過、透析、沈殿(例えば、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール沈殿); 分取動電学的方法(例えば、電気泳動法、等電点電気泳動法)、液体クロマトグラフィー(例えば、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、抗体による親和性クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相HPLC、シリカクロマトグラフィー、クロマト分画、およびゲルろ過)が挙げられるが、これらに限定されることはない。3. 薬学的組成物の調製 本発明の方法によって精製された標的タンパク質群を使って、さまざまな治療的使用またはそのような標的タンパク質群に対して知られているその他の使用のために使うことができる薬学的組成物を調製することができる。すなわち、本発明の1つの態様において、本方法はさらに、回収された標的タンパク質群を薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることによって薬学的組成物を調製する段階を含む。 そのような担体は、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などのような、石油、動物、植物または合成由来のものを含めて、水および油などの、無菌の液体とすることができる。薬学的組成物が静脈内に投与される場合、水は好ましい担体である。生理食塩水溶液ならびに水性デキストロースおよびグリセロール水溶液も液体担体として、特に注射用溶液に利用することができる。適当な薬学的担体は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、フラワー、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを含む。 経口製剤は、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような、標準的な担体を含むことができる。適当な薬学的担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」の中に記述されている。このような薬学的組成物は、本発明によって精製された治療的に有効量の標的タンパク質群を、宿主への適切な投与の形態をもたらすよう適当な量の担体と共に含有するであろう。II. 薬学的組成物 本発明は同様に、薬学的組成物を提供する。好ましい態様において、薬学的組成物は、本発明の方法によって調製された標的タンパク質群および薬学的に許容される担体を含む。 薬学的組成物の標的タンパク質群は、本明細書において記述のまたは先行技術において公知の任意のタンパク質でありうる。本発明の方法によって調製された標的タンパク質と先行技術において知られる標的タンパク質群との間の相違は、純度および精製された標的タンパク質群を含んだ最終の溶液中に混入タンパク質がないことである。本明細書において記述される場合、典型的には高度に精製されたタンパク質調製物(実施例1参照)でさえも、標準的な技術を用いて関心対象の標的タンパク質群から分離できない混入タンパク質を含む。しかしながら、標的タンパク質群を精製するための本発明の方法を用いて、混入タンパク質をほぼ完全に除去することができる。このように、本発明の方法を用いて精製された標的タンパク質群は、いっそう高い純度により特徴付けられ、すなわちいっそう望ましく、その他の技術により精製された標的タンパク質群とは異なる。 本発明の薬学的組成物は、必要に応じて、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むこともできる。これらの組成物は溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形態をとることができる。組成物はトリグリセリドのような従来の結合剤および担体と共に、坐薬として処方されうる。III. キット 本発明は同様に、標的タンパク質群を精製するためのキットを提供する。該キットは、当業者が本明細書において記述される方法を行うことを可能にする成分を含む。好ましい態様において、キットは、少なくとも100の異なる結合部分を有する結合部分のライブラリ、ならびに少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製するための使用説明書を含む。 使用説明書はさまざまな形態で本キット中に存在してもよく、この1つまたは複数がキット中に存在してもよい。使用説明書は適当な媒体または被印刷物、例えば、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製する方法に関する情報が印刷されている紙切れ、に印刷された情報として存在してもよい。別の形態は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製する方法に関する情報が記録されているCDまたはディスケットなどの、コンピュータ可読の媒体であるかもしれない。別の形態は、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を結合部分のライブラリと接触させることによって標的タンパク質群を精製する方法に関する情報にインターネット経由でアクセスするため、キットの使用者が利用できるウェブサイトアドレスとすることができる。 本発明の別の態様において、本発明のキットはさらに、試料を結合部分のライブラリと接触させるためのインキュベーション用緩衝液を保有する複数の容器または分画用カラムなどの、1つもしくは複数のカラムを含む。 本発明のいくつかのキットの態様において、結合部分のライブラリは固体支持体、好ましくは不溶性のビーズにカップリングされた状態で供給される。他の態様において、固体支持体および結合部分のライブラリは別々に供給される。別々に供給される場合、結合部分のライブラリおよび/または固体支持体は、本発明の操作者が、本明細書において記述される本発明を実施する過程で結合部分を固体支持体にカップリングさせることを可能にするリンカー部分および/または相補的なリンカー部分を含む。別々の結合部分のライブラリおよび固体支持体を提供するキットは、任意で固体支持体との結合部分のライブラリのカップリングを行うのに必要なさらなる試薬を含んでもよい。 さらに、本発明のキットは、本発明の結合部分のライブラリを用いたその後のポリッシングのため、前試料から標的タンパク質を精製するのに使用されるクロマトグラフ媒体を含むことができる。 本発明のさらなるキットの態様は、本明細書において記述される方法の変化形のいずれかを当業者が行うことを可能にしうる任意的な機能的な構成要素を含む。 以上の発明を明確にするためおよび理解するため、例証および実例によって詳細に記述してきたが、本発明の教示に照らして本発明の精神および範囲から必ずしも逸脱することなく、均等物のある種の変形、変更、修正および置換が本発明になされうることは当業者には容易に明らかであろう。結果的に、本明細書において記述される態様はさまざまな修正、変更などに供されるので、本発明の範囲はこれに添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ決定される。当業者は、本質的に類似の結果をもたらすよう変更、改変または修正されうる種々のさほど重要でない要因を容易に認識するであろう。 本発明の要素はそれぞれ複数の態様を含むと本明細書において記述されているが、特に指定のない限り、本発明の所与の要素の態様のそれぞれが本発明の他の要素の態様のそれぞれと共に使用されることが可能であり、このような各使用が本発明の異なる態様を形成することが意図されると理解されるべきである。 上記の開示から分かるように、本発明は多種多様な用途を有する。本発明を以下の実施例によってさらに例証する。それらは一例にすぎず、本発明の定義および範囲を限定することは決して意図されない。IV. 実施例実施例1. 精製ミオグロビンからの血清タンパク質の分離 純粋な筋ミオグロビン(Sigma)にヒト血清タンパク質を最初に混入し、95%のミオグロビン(すなわち、関心対象の標的タンパク質群)および多くても5%の混入血清タンパク質を含む得られた混合物を、次にビーズに付着されたコンビナトリアルペプチドライブラリによってポリッシングした。コンビナトリアルペプチドライブラリには約30,000,000の結合部分が含まれた。 ミオグロビンを25 mMリン酸緩衝液、pH 7.4に10 mg/mlの濃度で溶解した。この溶液に、5%アルブミン枯渇ヒト血清タンパク質(すなわち、混入タンパク質)を加えた。これは溶液中に存在する多くても5%のミオグロビンに相当する。タンパク質溶液400 μLを次いで、固相に付着されているコンビナトリアルペプチドライブラリ80 μLと混合した。懸濁液を室温で60分間穏やかに振盪(shacked)した。次いで、上清(未結合のポリッシングミオグロビン)をろ過により、固相に付着されているコンビナトリアルペプチドライブラリに結合したタンパク質から分離した。固相をリン酸緩衝液で洗浄した。その後、コンビナトリアルビーズライブラリに結合したタンパク質(タンパク質不純物)を分析のため完全に脱離し、回収した。 得られた分画をSDS-PAGEにより分析し、初めの混入ミオグロビンと比較した(図1)。いくつかのタンパク質不純物が混入ミオグロビン(レーンa)の中に明らかに見てとれた。それらは異なる分子量のものであり、総タンパク質の約5%に相当した; それらの大部分が添加された血清由来であり、その他わずかのものが初めの純粋なミオグロビンの一部分であった。レーンbはポリッシングされたミオグロビンを示す。コンビナトリアルペプチドライブラリによるポリッシング後のミオグロビンの最終純度は、ポリッシング処理の前よりも高かった(レーン「a」および「b」を比較されたい)。全体的な回収率は約95%であると推定された。コンビナトリアルペプチドライブラリに結合され、次いで、ポリッシング後に完全に脱離されたタンパク質はレーンcに示されている。多くの異なる血清タンパク質は少量のミオグロビンを含めて、コンビナトリアルペプチドライブラリにより捕捉された。 96.3%のミオグロビンおよび3.7%の混入血清タンパク質の前試料を用いてこの実験を繰り返し、類似の結果となった。実施例2: 精製ミオグロビンからの大腸菌タンパク質の分離 純粋な筋ミオグロビン(Sigma)に可溶性大腸菌タンパク質を最初に混入し、95%のミオグロビン(すなわち、関心対象の標的タンパク質群)および多くても5%の混入血清タンパク質を含む得られた混合物を、次にビーズに付着されたコンビナトリアルヘキサペプチドライブラリによってポリッシングした。 ミオグロビン100 mgを25 mMリン酸緩衝液、pH 7.4 400 μLに溶解した。この溶液に、可溶性大腸菌タンパク質(すなわち、混入タンパク質) 5 mgを加えた。得られた溶液を次いで、固相に付着されているコンビナトリアルヘキサペプチドライブラリ80 μLと混合した。懸濁液を室温で20分間穏やかに振盪した。次いで、上清(未結合のポリッシングされたミオグロビン)を遠心分離により、固相に付着されているコンビナトリアルヘキサペプチドライブラリに結合したタンパク質から分離した。固相をリン酸緩衝液で洗浄し、次いで回収された未結合のタンパク質を分析した。 分析をSELDI MS (図2A)およびSDS-PAGE (図2B)によって行い、初めの混入ミオグロビンと比較した(図2)。いくつかのタンパク質不純物が混入ミオグロビンを含む試料(レーン「a」)の中に明らかに見てとれた。それらは異なる分子量のものであり、総タンパク質の約5%に相当した。これらの混入タンパク質の大部分が大腸菌抽出物由来であり、その他わずかのものが初めの純粋なミオグロビンの一部分であった。図2Aおよび2Bのレーン「b」はポリッシングされたミオグロビンを示す。コンビナトリアルペプチドライブラリによるポリッシング後のミオグロビンの最終純度は、99%を超えており、したがってポリッシング処理の前よりも有意に高かった(SDS-PAGEおよびSELDI MSの両分析のレーン「a」および「b」を比較されたい; 図2)。全体的な回収率は約95%であると推定された。コンビナトリアルペプチドライブラリに結合され、次いで、ポリッシング後に完全に脱離されたタンパク質は図2B、レーン「c」(SDS-PAGE)に示されている。図2B、レーン「d」は、脱離された不純物との比較用の大腸菌由来の初期の抽出物を示す。実施例3: 精製組換えヒトアルブミンからのP.パストリスタンパク質の分離 10 mg/mLの濃度で精製組換えヒトアルブミン(96%)およびP.パストリスタンパク質(4%)の溶液をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で調製した。別に、固相コンビナトリアルヘキサペプチドライブラリの1 mLカラムを充填し、PBSで平衡化し、ポンプシステムおよびUV/pH検出ユニットをカラム出口での両事象を記録するために含むクロマトグラフのセットアップにつないだ。 カラムに組換えヒトアルブミン/P.パストリスタンパク質溶液を連続的に負荷して、50 cm/時間の線流速でポリッシングした。素通り液をそれぞれ数mLの分画で回収して、先端分析と同様にタンパク質不純物を除去する固相の収容能力を分析した。負荷が終わったら、過剰のタンパク質を洗い流すためにPBS溶液を導入した。回収された分画をその後、SDS-PAGEおよび質量分析により分析した。結果から、最初の3分画には純粋なアルブミンが含まれていたのに対し、残る分画にはコンビナトリアルビーズカラムの飽和の結果として徐々に多くの混入タンパク質が漸進的に含まれていたことが示唆された。図3は、ある分画の電気泳動分析と共にクロマトグラム全体を示す。実施例4: 標的タンパク質群の精製 本発明の方法は、例えば、少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質であって、10-6 M〜約10-12 Mの濃度で存在し、かつ約40種の検出可能だが不明確な個々の混入タンパク質を溶液中に含んだ混入タンパク質を含む試料25リットルから標的タンパク質群を精製するのに適している。この試料に、約30,000,000のペプチド結合部分のコンビナトリアルペプチドライブラリを含むビーズ0.5リットルを、ビーズ1 mlあたり50 μMol被分析物の濃度で加える。参照による組み入れ 本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、各個別の刊行物、特許または特許出願が参照により組み入れられることが具体的かつ個別的に示されるかのごとく、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。コンビナトリアルペプチドライブラリおよび本発明の方法による標的群タンパク質(血清タンパク質を混入されたミオグロビン)の精製を示す。SDS-PAGEは以下のタンパク質分画を示す: レーン「a」: 血清タンパク質を混入されたミオグロビン; レーン「b」: 素通り液で回収されたポリッシングされたミオグロビン; レーン「c」: コンビナトリアルペプチドライブラリに結合された少量のミオグロビンを含む、混入タンパク質。コンビナトリアルペプチドライブラリおよび本発明の方法による5%の大腸菌(Escherichia coli)水性抽出物を混入されたミオグロビンの精製を示す。A. MALDI質量分析プロファイルを示す。「a」: 大腸菌抽出物を混入されたミオグロビン; 「b」: 素通り液で回収されたポリッシングされたミオグロビン。一本矢印はミオグロビンを指し示し、二本矢印は倍の大きさの荷電ミオグロビンを指し示す。B. SDS-PAGE分析を示す。SDS-PAGEは以下のタンパク質分画を示す: レーン「a」: 大腸菌抽出物を混入されたミオグロビン; レーン「b」: 素通り液で回収されたポリッシングされたミオグロビン; レーン「c」: コンビナトリアルペプチドライブラリに結合された少量のミオグロビンを含む、大腸菌混入タンパク質; レーン「d」: 標準的な大腸菌抽出物。ピキア パストリスで発現された組換えヒトアルブミンからの精錬(混入物の除去)を示す。不純物の分離は、1 mLのコンビナトリアルペプチドを含有するカラムでの初期抽出物(純度96%のアルブミン)の先端分析によって達成された。分画を回収し、その各々をSDS-PAGEによって分析した。示されているように分画3を含めて、最初の分画には「精錬された」組換えアルブミンが含まれていたが、最後の分画にはコンビナトリアルビーズの漸進的な飽和の結果として漸進的にいっそう多くの混入物が含まれていた。タンパク質不純物の溶出の始まりおよびタンパク質不純物を含むピーク分画が矢印で示されている。 標的タンパク質群を精製するための方法であって、それによって回収された標的タンパク質群が試料中の標的タンパク質群よりも純粋である、以下の段階を含む方法: (a) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を、少なくとも100の異なる結合ペプチド成分を含むコンビナトリアルペプチドライブラリと、混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合させるのに十分な量で接触させる段階; (b) 混入タンパク質および少量の標的タンパク質群を結合ペプチド成分のライブラリに結合させる段階; (c) 結合ペプチド成分のライブラリに結合した混入タンパク質および標的タンパク質群から未結合の標的タンパク質群を分離する段階; ならびに (d) 試料から未結合の標的タンパク質群を回収する段階。 試料が、少なくとも98%の標的タンパク質群および多くても2%の混入タンパク質を含む、請求項1記載の方法。 試料が発酵ブロスを含む、請求項1記載の方法。 標的タンパク質群が単一のタンパク質種からなる、請求項1記載の方法。 標的タンパク質群が組換えタンパク質を含む、請求項1記載の方法。 組換えタンパク質が、酵素、ホルモン、増殖因子、受容体、ワクチン、免疫グロブリン、および前記のいずれかの断片からなる群より選択される、請求項5記載の方法。 組換えタンパク質が、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子(TGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形成タンパク質(BMP)、骨由来神経栄養因子(BDNF)、コロニー刺激因子(CSF)、神経成長因子(NGF)、ヒト成長ホルモン(hGH)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン、組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA)、インターフェロン、インターロイキン(IL)、およびハーセプチンからなる群より選択される、請求項5記載の方法。 標的タンパク質群が天然タンパク質を含む、請求項1記載の方法。 ライブラリが、少なくとも1,000の異なる結合ペプチド成分を含む、請求項1記載の方法。 コンビナトリアルペプチドライブラリがヘキサペプチドのコンビナトリアルライブラリである、請求項1記載の方法。 結合ペプチド成分が固体支持体または支持体に結合される、請求項1記載の方法。 固体支持体または支持体が、ビーズまたは粒子の集まりである、請求項11記載の方法。 固体支持体または支持体が、ビーズ、繊維、フィルタ、膜、およびモノリスからなる群より選択される、請求項11記載の方法。 各結合ペプチド成分が異なる固体支持体に付着される、請求項11記載の方法。 複数の異なる結合ペプチド成分が単一の固体支持体に付着される、請求項11記載の方法。 結合ペプチド成分のライブラリの量が、混入タンパク質の大部分を結合するのに十分である、請求項1記載の方法。 段階(a)の前に、標的タンパク質群を産生する細胞を培養する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 細胞が真核細胞である、請求項17記載の方法。 細胞が原核細胞である、請求項17記載の方法。 試料が細胞上清である、請求項17記載の方法。 試料が細胞抽出物である、請求項17記載の方法。 段階(a)の前に、以下の段階: (i) 95%に満たない標的タンパク質群および5%を超える混入タンパク質を含む前試料を少なくとも1つの精製工程に供する段階; ならびに (ii) 少なくとも95%の標的タンパク質群および多くても5%の混入タンパク質を含む試料を回収する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 以下の段階: (e) 回収された標的タンパク質群を薬学的に許容される担体と混ぜ合わせることによって薬学的組成物を調製する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 段階(a)が懸濁バッチ工程で行われる、請求項1記載の方法。 段階(a)が固体支持体に付着された結合ペプチド成分のライブラリを詰め込まれたカラムに試料を通すことで行われる、請求項1記載の方法。 段階(a)が流動層工程を含む、請求項1記載の方法。


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