生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ジンセノサイドを含む糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用薬学組成物
出願番号:2008501820
年次:2008
IPC分類:A61K 31/704,A61K 36/23,A61P 3/10,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

ウー,スンシキ キム,ドンシェン ド,ソンギル リー,ヨンチョル オ, ミスン チャ,ジミン キム, ジョンハン キム,テウ JP 2008533132 公表特許公報(A) 20080821 2008501820 20060317 ジンセノサイドを含む糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用薬学組成物 ユニジェン インク. 505219794 佐伯 憲生 100102668 ウー,スンシキ キム,ドンシェン ド,ソンギル リー,ヨンチョル オ, ミスン チャ,ジミン キム, ジョンハン キム,テウ KR 10-2005-0022781 20050318 A61K 31/704 20060101AFI20080725BHJP A61K 36/23 20060101ALI20080725BHJP A61P 3/10 20060101ALI20080725BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080725BHJP JPA61K31/704A61K35/78 NA61P3/10A61P43/00 111 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW KR2006000985 20060317 WO2006098604 20060921 16 20071116 4C086 4C088 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA10 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZC02 4C086ZC35 4C088AB40 4C088AC11 4C088BA09 4C088BA10 4C088CA05 4C088CA06 4C088CA08 4C088NA14 4C088ZC02 4C088ZC35 本発明は、下記構造式を有するジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含んでなる、糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用組成物、糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用医薬の製造のためのジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物の使用、または治療有効量のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物を対象に投与し、糖尿病または血糖調節異常を予防または治療する方法に関する。 今日まで、糖尿病の治療と予防のために全世界的に多くの研究が行われてきたが、糖尿病の有病率は着実に増加する趨勢にある。最近、肥満人口が急激に増加しており、不適切な生活習慣及び老齢化によって、糖尿患者が急激に増えることが予想される。 糖尿病は、インスリン依存型とインスリン非依存型とに大別されるが、現在は、それぞれ、1型と2型に改称されている。糖尿病患者の90%以上を占めている2型糖尿病は、インスリンの機能障害(インスリン抵抗性)やインスリンの分泌欠陥によって誘発されると知られている。その治療のために、食事療法、運動療法と共に経口用血糖降下剤やインスリン製剤が使われている。 代表的な経口用血糖降下剤には、インスリン分泌を促進させる薬剤であるスルホニル尿素剤、インスリン抵抗性を改善させる薬剤であるメトフォルミン、グリタゾン系、ブドウ糖吸収を阻害するαグリコシダーゼ阻害剤などがある。 臨床治験で、3つの異なる薬理学的機構の経口用血糖降下剤が使われているが、低血糖、肝毒性、体重増加、乳酸血症などの副作用によってそれらの使用は限定されている。また、経口用血糖降下剤やインスリン製剤を積極に使用する場合、血糖調節がある程度可能であることが知られている。しかし、最近完了した二つの大規模な臨床治験結果は、非常に否定的である(「The Diabetes Control and Complications Trial (DCCT) groups; Engl J Med, 2002, 342:381」及び「The United Kingdom Prospective Diabets Study (UKPDS)groups: JAMA, 2002, 287:2542」を参照されたい)。 積極的な糖尿病の治療にもかかわらず、かなりの糖尿患者が、標準の血糖値に達することに失敗している。最近では、一つの薬理学的機構を有する薬剤が、血糖を正常値まで低くすることに限界があるという判断下で、異なる薬理学的機構の薬剤を混合し、製剤化した薬剤が市販されている。 1型糖尿病よりさらに複雑な発病機構を有する、2型糖尿病の成功的な治療のためには、一つの機構でなく2〜3つの薬理学的機構を持つ薬剤の開発が求められている。このような観点から見るとき、様々な成分を持つ天然物から糖尿病の予防及び治療剤を開発することが求められている。 最近、肥満人口の急激な増加と共に、糖尿病の特徴的な症状は示さないが、ブドウ糖負荷試験に引っかかるヒトが増加している。このようなヒト達は、耐糖能異常(impaired glucose tolerance、IGT)を示すヒトで呼ばれ、これらのIGTを示すヒトのかなりの数は、いずれは糖尿病に悩まされると一般に知られている。従って、これらのIGTを早期発見することも重要であるが、IGTを示すヒトの中で、 糖尿病の進行を遮断または遅延させることができる製剤を開発することが非常に重要である。 体内に吸収されたグルコースは末梢組織で燃焼されるか、またはグルコースがβ細胞を刺激してインスリンを分泌する、グルコースのフィードバック作用によって血糖が調節され得る。このように生体で、正常にブドウ糖を代謝できる能力を、耐糖能(glucose tolerance)という。高血糖症は、このような耐糖能の低下に起因しうる。 薬用植物中で、特にニンジンは、様々な生理活性を示す。 多くの研究者らによって、ニンジンの抗糖尿活性が報告されており、特にSotaniemiらとVuksanら(「Sotaniemi et al., Diabetes Care, 1995, 18:1373」、「Vuksan et al., Arch Intern Med, 2000, 60:1009」及び「Vuksan et al., Diabetes Care, 2000, 23:1221」を参照されたい)は、アメリカニンジン(Panax quiquefolius)の抗糖尿活性に対する臨床治験結果を発表し、動物実験を通してオタネニンジン(高麗ニンジン:Panax ginseng)又はアメリカニンジンの抗糖尿活性を報告した。しかし、Vuksanらが最近に報告したように、同じ会社で市販されているニンジンも、実験によると糖尿活性において相当の差がありうる(「Variable effects of American ginseng: a batch of American ginseng (Panax quinquefolius L.) with a depressed ginsenoside profile does not affect postprandial glycemia: Eur J Cl in Nutr, 2003, 57(2):243-8」を参照されたい)。 このような差は、市販されている各ニンジンに含まれていているサポニンの含量が異なるからであり、また、サポニンのジンセノサイドが、抗糖尿活性を有しているか否かが明確に知られていないからである。 そこで、本発明者らは、老いた実験動物で抗糖尿テストを繰返して遂行し、紅参またはニンジンに存在する少量のジンセノサイドからなる組成物を使用し、耐糖能検査を実施したところ、それぞれのジンセノサイドよりはジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の混合物が優れた血糖調節効果を示していることを見出し、本発明の完成に至った。 本発明の目的は、天然物由来ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む新しい糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用組成物、糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用医薬の製造のためのジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物の使用、または治療有効量のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物を対象に投与し、糖尿病または血糖調節異常を予防または治療する方法を提供することにある。 本発明は、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用組成物、またはジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増加させたニンジン、紅参または加工ニンジンの水、C1−4アルコール、またはこれらの混合溶媒の抽出物を提供する。 本発明はまた、糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用医薬の製造のための、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物、またはジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増加させたニンジン、紅参または加工ニンジンの水、C1−4アルコールまたはこれらの混合溶媒の抽出物の使用を提供する。 本発明はまた、治療有効量のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物、またはジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増加させたニンジン、紅参または加工ニンジンの水、C1−4アルコールまたはこれらの混合溶媒の抽出物を対象に投与し、糖尿病または血糖調節異常を予防または治療する方法を提供する。 本発明の組成物において、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量比は、特に限定されないが、それぞれ、1〜10:1〜10:1〜10が好ましく、1〜7:1〜7:1〜5がさらに好ましい。 本発明に係る上記組成物は、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を使用するか、またはジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増加させたニンジン、紅参または加工ニンジンの抽出物を使用することができる。 上記ニンジンまたは紅参の抽出物は、特に限定されないが、水、若しくはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのC1−4アルコール、またはこれらの混合溶媒の抽出物が好ましく、常法によって水参(undried ginseng)などから製造できる。 本発明において、ニンジンは、オタネニンジン(Panax ginseng)、チクセツニンジン(P.japonicum)、セイヨウニンジン(P.quinquefolium)、田七ニンジン(P.notoginseng)、三葉参(P.trifolium)及び三七ニンジン(P.pseudoginseng)よりなる群から選択され、これらの根、茎、葉または全草を限定せずに使用することができる。 上記ジンセノサイドRg3、Rg5及び/又はRk1が強化されたニンジン抽出物は、ニンジンサポニンを含有するニンジンの根、葉、根茎、花または組織培養物、またはこれらの水若しくは低級アルコールによる抽出物から、酸、酵素または高温処理によって得ることができる。 一態様では、上記加工ニンジンは、i)ニンジンを50〜80℃の温度で酸で処理し、ii)処理されたニンジンを50〜110℃の温度で0.5〜15時間蒸気処理して得られる。 本発明の組成物は、例えば、ニンジンを50〜80℃の温度で酸で処理する第1段階;及び第1段階で処理されたニンジンを50〜110℃の温度で0.5〜15時間蒸気処理する第2段階、の2段階で加工し、この加工ニンジンを、水、若しくは通常の有機溶媒、例えば、C1−4アルコールのような低級アルコールで抽出した抽出物、または上記抽出物の凍結乾燥物を含むことができる。 上記のように、本発明組成物は、加工ニンジン抽出物または上記抽出物の凍結乾燥物に、追加的に粉末化した紅参または白参を混合して製造でき、これらも本発明の範囲に含まれている。 本発明において、上記加工ニンジンを製造する加工方法中、第1段階で使用できる酸は、ニンジンのジンセノサイドの第20番目の炭素に位置した置換基の置換を引き起こすことができれば、特に限定されるものではなく、特に酢酸が好ましい。酢酸を使用する場合、酢酸の濃度は限定されないが、20〜100%の濃度であってもよい。酢酸の場合、沸点が約107℃であるため、別途の除去工程無しに、本発明の蒸気処理工程で除去することができるので、特に好ましい。 上記第1段階の酸処理時に、約50〜80℃、好ましくは約65〜75℃の温度で加温することが、酸による置換が促進されるため好ましい。約70℃の温度にて、0.1〜10時間、好ましくは1〜5時間、特に好ましくは約3時間、酸処理をすることが好ましい。 本発明において、上記第1段階で処理されたニンジンを、特に110℃未満の温度で0.5〜15時間、蒸気処理して加工ニンジンを製造する。大韓民国特許第96−17670号に記載の加工方法の場合は、特に温度範囲を120〜180℃に保持しなければならない短所があり、実用上問題点があり、経済性が劣る。本発明は、50〜110℃の温度、好ましくは100℃以下の温度で0.5〜15時間、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、蒸気処理することによって、上記特許方法に比べて遥かに便利、且つ高収率でジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増大させることができる。 本発明において、本発明の組成物に用いることができるそれらの抽出物又は凍結乾燥物は、上記第2段階の後に、水、またはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのようなC1−4のアルコール、またはこれらの混合溶媒を溶媒として使用して、熱湯抽出、超音波処理などの常法で製造することができる。 本発明の組成物は、下記実験例に示すように、糖尿病または血糖調節異常を顕著に改善して、糖尿病及び血糖調節異常に関連した疾患、並びにこれらの合併症の予防剤または治療剤として用いることができる。 本発明の組成物は、薬剤学的分野で公知の方法によって製剤化することができ、抽出物自体または薬剤学的に許容される担体、賦形剤などと混合し、通常の薬学的製剤、例えば、ドリンク剤のような液剤、シロップ剤、カプセル剤等に製剤化でき、これらは経口または非経口で投与できる。本発明の組成物は、迅速な効果のため、ドリンク剤として食前及び/又は食後に経口投与することが好ましい。 本発明の組成物を含む液剤、カプセル剤などは、医薬品または健康機能食品として使用することが好ましく、本発明で使われた、用語「健康機能食品」とは、人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用し、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液剤、ピル(丸)、ゼリー等の形態に製造加工した食品をいう。本発明の組成物は、体内への活性成分の吸収度、排泄速度、患者の年齢及び体重、性別及び状態、治療する疾患の重症程度などによって適宜選択されるが、一般に成人に、1日あたり0.01〜500mg/kg、好ましくは0.1〜200mg/kgを、1日に1〜3回に分けて投与することが好ましい。 以下、本発明を、下記実施例によってさらに詳しく説明するが、これらによって本発明の範囲が何ら限定されるものではない。(実施例)A.ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の混合物の製造1.ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の混合物の製造 ニンジンの70%の酒精抽出物の粉末100gを、50%の酢酸5Lに溶解した後、65℃で2時間加水分解反応し、その後、50℃で減圧濃縮し、そして真空下に乾燥して95gの加水分解生成物を得た。塩化メチレン/メタノール/水(75:30:10、v/v、下層)を溶離剤として使用し、生成物50gをシリカゲルカラム上でクロマトグラフィー処理して、目的とするジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含有する画分物8.7gを分離して得た。得られた画分物を下記のような条件で、1回あたり500mgずつ、分取(Preparative)HPLCを15回遂行し、それぞれ分離して集めて、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の混合物2.7gを得た。 機器:HPLC カラム:Zorbax C18 19×250mm 温度:40℃ UV:203nm2.上記ジンセノサイド含有画分物のRg3、Rg5及びRk1含量分析 分取HPLCを利用して得た、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の混合画分物を、下記のような条件で分析した結果、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の混合画分物の純度は95%以上であり、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量比は、1:1:0.3であった。この混合物を下記実験例に用いた。 機器:HPLC カラム:Capsell pak C18 MG 3×75mm 温度:40℃ UV:203nmB.加工ニンジンの製造1.酢酸処理工程 加工ニンジンの製造のために使用した蒸気処理器(ソガン社製、韓国)、濃縮器(EYELA社製、日本)、凍結乾燥機(イルシンラップ社製、韓国)は、ユニジェン社の素材開発チームが保有している装備を使用した。工程に使用する原料として、水参の4年根(錦山、韓国)を使用した。酢酸反応のために使われた溶媒は、無水酢酸95%以上(サムジェン化学社製、韓国)を用いた。 水参の4年根100gを定量し、それぞれのプラスチック容器に入れた後、無水酢酸と水を1:1の比で混ぜた50%の酢酸溶液1.5Lと、水を混合しない100%の無水酢酸1.5Lを、それぞれ容器に入れた。酢酸が投入された2つのプラスチック容器中の1つのプラスチック容器は、温水浴で70℃にて3時間加熱し、他方のプラスチック容器は熱処理無しに、24時間室温に放置した。2.蒸気処理及び抽出物の製造 上記工程(B.1.)によって製造された加工ニンジンは、酢酸の除去、糖の追加及び加水分解のために、100℃の温度下で3時間蒸気処理し、抽出した。 加工ニンジンは、70%のエタノール溶液で、80℃にて6時間抽出した後、45℃にて約5時間抽出した。 抽出物は、凍結乾燥中の温度上昇及び減圧による排気効果を低減するために、高粘度の反応物(約65〜70ブリックス)を温水で希釈し、粘度を約24ブリックス(Brix)に下げ、−70℃の条件で約2日間凍結を行った。凍結が完了した反応物は、−70℃にて10mtorrの条件で、2日間凍結乾燥を行った。蒸気処理工程に係るジンセノサイド含量の変化は、下記表3に示した(図1を参照されたい)。実験例.ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の混合物の抗糖尿実験1.実験動物及び実験方法 老化と関連して、組成物の糖尿病に対する効能を確認するために、6週齢の雄性のSprague−Dawley(SD)ラットで体重範囲が180〜200gのもの(デハンバイオリンク社製、韓国)を購入し、ユニジェン社の動物実験室で、15カ月以上飼育した。実験期間中、飼育室環境は温度23±2℃、相対湿度55±10%を保持した。飼育箱に2匹ずつ収容し、12時間の人工照明下で飼育した。飲水(消毒精製水)は自由に供給し、飼料は実験動物用飼料(Harlan、2018S、デハンバイオリンク社製、韓国)を用いた。15カ月以上の老化した実験動物からそれぞれ10匹ずつ選別して、対照群とジンセノサイド3種混合物摂取群とし、1週間粉末飼料に適応させながら、毎日の飼料消費量を測定した。2カ月間、対照群は固形の飼料を粉砕した粉末飼料のみを摂取させており、そしてジンセノサイド3種混合物の摂取群は、20mg/kgの量を摂取させ、飲水は消毒精製水を自由に供給した。 経口投与耐糖能試験(oral glucose tolerance test、OGTT)のために、体重kgあたり4gのグルコースを、生理食塩水に4g/10mlの濃度で溶かし、ゾンデ(管)を使用して経口投与した。16時間絶食させた後、グルコースの投与前に血糖を測定し、投与の15分、30分、60分及び120分後に尾静脈から血液を採取して血糖を測定した。2.統計処理 全ての実験結果は、平均値±SDで示し、統計処理は、スチューデントt検定を実施し、p<0.05を基準に統計的有意性の可否を判断した。3.結果及び考察 OGTT(経口投与耐糖性試験)を実施する前に、2カ月間、対照群は粉末飼料のみを摂取させ、ジンセノサイド投与群は粉末飼料と3つのジンセノサイド混合物(20mg/kg)を摂取させ、その後、経口糖負荷耐糖能試験を行った。 図2で示すように、グルコースを経口投与する前には、2群で110前後の血糖値を示したが、時間の経過によって血糖値は上昇しており、15分後に、対照群では200以上、ジンセノサイド処理群では160程度の血糖値を示した(*:p<0.05)。ジンセノサイドを摂取させた群では、15分後の160程度の血糖値が最大で、その後、次第に低くなる傾向を示したが、対照群では時間が経過しても血糖値は継続して上昇していることが観察された。特に、30分後以降では、ジンセノサイドを摂取させた群では血糖値が減少していることが確認され、統計的にも有意な結果を示した。30分後以降の血糖値は、時間の経過によって差がさらに大きくなり、また統計的な有意性があることが観察された。 体内に吸収されたグルコースは末梢組織で燃焼されるか、またはグルコースがβ細胞を刺激してインスリンを分泌する、グルコースのフィードバック作用によって血糖が調節され得る。このように生体で、正常にブドウ糖を代謝できる能力を、耐糖能(Glucose Tolerance)という。高血糖症は、このような耐糖能の低下に起因しうる。従って、ジンセノサイドの血糖調節効果を検証するために、個体に対する耐糖能検査を実施した結果、グルコースを投与した直後に、対照群では投与前と比較して血糖がほぼ2倍上昇し、血糖が2時間が過ぎても上昇が持続していた。しかしながら、ジンセノサイド投与群では、グルコース投与直後、血糖が上昇したが、その後から次第に下がり、2時間が経過した後には正常濃度まで低くなった。また、ジンセノサイド投与群の血糖の上昇速度が、対照群の速度に比べて低く、そして、耐糖性試験で、対照群では2匹が死んだが、ジンセノサイド投与群では死んだ個体がなかった。製剤例1:液剤の製造 ジンセノサイド混合物 1g 砂糖 10g 異性化糖 10g レモン香 適量 精製水を加えた全体量 100mL 上記の成分を通常の液剤の製造方法に従って混合し、滅菌して液剤を製造した。製剤例2:液剤の製造 ジンセノサイド混合物 2g 砂糖 10g 異性化糖 10g レモン香 適量 精製水を加えた全体量 100mL 上記の成分を通常の液剤の製造方法に従って混合し、滅菌して液剤を製造した。製剤例3:カプセル剤の製造 ジンセノサイド混合物 2g ラクトース 50mg でんぷん 50mg タルク 2mg ステアリン酸マグネシウム 適量 上記の成分を混合し、通常のカプセル剤の製造方法に従ってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。製剤例4:カプセル剤の製造 ジンセノサイド混合物 500mg ラクトース 50mg でんぷん 50mg タルク 2mg ステアリン酸マグネシウム 適量 上記の成分を混合し、通常のカプセル剤の製造方法に従ってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。 以上から分かるように、本発明の組成物は、糖尿病または血糖調節異常の予防または治療に顕著な効果を示すので、本発明の組成物を摂取することによって、糖尿病及びこれによる合併症を有効に予防または治療することができる。図1は、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1のクロマトグラムである。図2は、本発明の組成物を2カ月間投与した場合の、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)結果を示すグラフである。 天然物由来のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含んでなる、糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用組成物。 糖尿病は、老化によって発病することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。 ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を有効成分として含んでなる、血糖調節異常の予防または治療用組成物。 ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増加させたニンジン、紅参または加工ニンジンの水、C1−4アルコールまたはこれらの混合溶媒の抽出物を含む糖尿病の予防または治療用組成物。 加工ニンジンは、ニンジンを50〜80℃の温度で酸処理し、処理されたニンジンを50〜110℃の温度で0.5〜15時間蒸気処理して得られたものである、請求項4に記載の糖尿病の予防または治療用薬学組成物。 処理する酸が、酢酸であることを特徴とする、請求項5に記載の糖尿病の予防または治療用薬学組成物。 糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用医薬の製造のための、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含んでなる、混合物の使用。 糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用医薬の製造のための、ジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増加させたニンジン、紅参または加工ニンジンの水、C1−4アルコールまたはこれらの混合溶媒の抽出物の使用。 加工ニンジンは、ニンジンを50〜80℃の温度で酸処理し、処理されたニンジンを50〜110℃の温度で0.5〜15時間蒸気処理して得られることを特徴とする、請求項8に記載の使用。 処理する酸が、酢酸であることを特徴とする、請求項9に記載の使用。 治療有効量のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含んでなる混合物を対象に投与し、糖尿病または血糖調節異常を予防または治療する方法。 治療有効量のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1の含量を増加させたニンジン、紅参または加工ニンジンの水、C1−4アルコールまたはこれらの混合溶媒の抽出物を対象に投与し、糖尿病または血糖調節異常を予防または治療する方法。 加工ニンジンは、ニンジンを50〜80℃の温度で酸処理し、処理されたニンジンを50〜110℃の温度で0.5〜15時間蒸気処理して得られることを特徴とする、請求項12に記載の方法。処理する酸が、酢酸であることを特徴とする請求項13に記載の方法。 本発明は天然物由来のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用組成物、糖尿病または血糖調節異常の予防または治療用医薬の製造のためのジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物の使用、及び治療有効量のジンセノサイドRg3、Rg5及びRk1を含む混合物を対象に投与し、糖尿病または血糖調節異常を予防または治療する方法に関する。本発明の組成物は糖尿病、血糖調節異常、及びその合併症を有効に予防または治療することができる。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る