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タイトル:特許公報(B2)_金属の比色測定方法及び測定試薬
出願番号:2008501790
年次:2013
IPC分類:G01N 31/00,G01N 31/22


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日暮 和彦 飯塚 直美 JP 5360707 特許公報(B2) 20130913 2008501790 20070222 金属の比色測定方法及び測定試薬 株式会社シノテスト 000131474 小金澤 有希 100131576 伊藤 温 100105315 日暮 和彦 飯塚 直美 JP 2006084154 20060223 20131204 G01N 31/00 20060101AFI20131114BHJP G01N 31/22 20060101ALI20131114BHJP JPG01N31/00 TG01N31/00 UG01N31/22 124G01N31/00 Y G01N 31/00 G01N 31/22 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特公平03−040340(JP,B2) 特開平07−278067(JP,A) 特公平03−040828(JP,B2) 大野典子, Nitro-PAPS を用いる銅、亜鉛、鉄の分別吸光光度定量, 日本化学会講演予稿集, Vol.70th, 1996 BAI K S, Formation of Nickel(II) Complexesof 1,3-Bis(tris(hydroxymethyl)methylamino)propane in AqueousSolution, Bull Korean Chem Soc, Vol.21, No.6, 2000, Page.650-652 35 JP2007053852 20070222 WO2007097468 20070830 21 20100212 三木 隆 本発明は、金属の測定方法及び測定試薬に関するものである。 本発明は、特に、化学、生命科学、分析化学及び臨床検査等の分野において有用なものである。 生体内には、様々な種類の金属が存在しており、多種多様な機能を発揮している。このため、生体試料中の金属の測定は、重要であると認識されている。例えば、亜鉛は、生体内に広く分布している生命維持に不可欠な金属元素の一つであり、欠乏症になると、発育障害、味覚障害などの症状が起こることが知られている。このため、試料中の亜鉛の測定は、これらの疾患の診断や治療等に欠くことのできない検査となっている。 この金属の測定方法としては、原子吸光法、ICP発光分析法、比色測定法等が用いられている。これらのうち、比色測定法に使用されるキレート発色剤としては、例えば、2−(5−ブロモ−2−ピジリルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム(以下、5−Br−PAPSと略すこともある)、2−(5−ニトロ−2−ピジリルアゾ)−5(N−プロピル−N−スルホプロピルアミノ)フェノールナトリウム(以下、ニトロ−PAPSと略すこともある)等が挙げられる。 これらのキレート発色剤は、通常、複数の金属と反応することが知られている。このため、ある特定の金属を測定する場合、生体試料、測定試薬、器具等から測定対象金属以外の金属が測定反応液中に混入し、この混入した金属にキレート発色剤が反応することにより、測定対象金属の測定値に正誤差を与えてしまうという問題があった。このため、キレート発色剤を使用した金属の測定においては、測定対象金属以外の金属をマスキングするための、マスキング剤を使用する必要があった。 例えば、5−Br−PAPSを使用して亜鉛の測定を行う場合、この5−Br−PAPSが亜鉛以外の金属である鉄、銅、ニッケルにも反応してしまうため、鉄、銅、ニッケルをマスキングするマスキング剤を使用する必要がある(例えば、特開昭60−120249号公報)。従来、鉄のマスキング剤として使用されているものとしては、例えば、クエン酸、フッ化ナトリウム、ニトリロ酢酸等が、銅のマスキング剤として使用されるものとしては、例えば、サリチルアルドキシム、ジチオカルボキシグリシン、ジチオカルボキシザルコシン等が、ニッケルのマスキング剤としては、例えば、ジメチルグルオキシム等が知られている。 しかしながら、これらのマスキング剤の中には、測定対象金属である亜鉛をもマスキングしてしまうものや、安定性が悪いものもあった。 ところで、多くの金属は、生体内で蛋白質等の生体高分子と結合する事によって存在しており、種々の機能を発揮している。このため、生体試料中の金属を測定する場合、蛋白質から金属を遊離させ、蛋白質を除去する前処理が必要であった。また、従来の前処理では、試料にトリクロロ酢酸等の除蛋白剤を添加し、蛋白質から金属を遊離させ、沈殿した蛋白質を遠心分離を行って分離除去する除蛋白操作を行う必要があった。 しかしながら、この除蛋白操作は煩雑で時間がかかることや、試料の回収や再現性に問題があった。 したがって、本発明の課題は、測定対象金属以外の金属である鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を共存又は含有させることにより、試料中の金属の濃度を正確に測定することが出来る測定方法及び測定試薬を提供することである。 また、本発明の課題は、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を提供することであり、試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法を提供することである。 更に、本発明の課題は、試料中の金属の測定において、試料の除蛋白操作が不要な測定方法及び測定試薬を提供することである。 本発明者は、上記の課題の解決を目指して鋭意検討を行った結果、キレート発色剤を使用して試料中の金属を比色測定する方法及び試薬において、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を共存又は含有させることにより、試料中の金属の濃度を正確に測定できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。(1) キレート発色剤を使用する試料中の亜鉛の比色測定方法において、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングするマスキング剤を共存させ、前記マスキング剤が、ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はBicineから選択された1種以上のマスキング剤であることを特徴とする、試料中の亜鉛の比色測定方法。(2) 非イオン性界面活性剤を使用する、前記(1)に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(3) 前記非イオン性界面活性剤の濃度が、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜5%の範囲にある、前記(2)に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(4) キレート発色剤が、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(5) キレート発色剤が、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれに記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(6) 試料の除蛋白操作が不要である、前記(2)〜前記(5)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(7) 試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差が抑制された比色測定方法である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(8) 第1試薬を試料に添加した後に第2試薬を添加する2ステップ法で実施する、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(9) 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬に含まれる、前記(8)記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(10) 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、前記(8)記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(11) 非イオン性界面活性剤が第1試薬に含まれる、前記(8)〜(10)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(12) 非イオン性界面活性剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、前記(8)〜(10)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。(13) キレート発色剤を使用する試料中の亜鉛の比色測定試薬において、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングするマスキング剤を含有し、前記マスキング剤が、ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はBicineから選択された1種以上のマスキング剤であることを特徴とする試料中の亜鉛の比色測定試薬。(14) 更に、非イオン性界面活性剤を含む、前記(13)に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(15) 前記非イオン性界面活性剤の濃度が、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜5%の範囲にある、前記(14)に記載の亜鉛の比色測定試薬。(16) キレート発色剤が、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、前記(13)〜(15)のいずれに記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(17) キレート発色剤が、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、前記(13)〜(15)のいずれに記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(18) 試料の除蛋白操作が不要である、前記(14)〜(17)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(19) 試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差が抑制された比色測定試薬である、前記(13)〜(18)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(20) 前記比色測定試薬が、試料に最初に添加される第1試薬と続いて添加される第2試薬とからなる、前記(13)〜(19)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(21) 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬に含まれる、前記(20)記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(22) 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、前記(20)記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(23) 非イオン性界面活性剤が第1試薬に含まれる、前記(20)〜(22)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(24) 非イオン性界面活性剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、前記(20)〜(22)のいずれかに記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。(25) ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はビシンよりなる、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングするマスキング剤。(26) キレート発色剤を使用する試料中の亜鉛の比色測定方法において、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングするマスキング剤を共存させ、前記マスキング剤として、ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はBicineから選択された1種以上のマスキング剤を使用することにより、試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(27) 更に、非イオン性界面活性剤を使用する、前記(26)記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(28) 前記非イオン性界面活性剤の濃度が、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜5%の範囲にある、前記(27)記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(29) キレート発色剤が、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩である、前記(26)〜(28)のいずれかに記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(30) キレート発色剤が、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩である、前記(26)〜(28)のいずれかに記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(31) 第1試薬を試料に添加した後に第2試薬を添加する2ステップ法で実施する、前記(26)〜(30)のいずれかに記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(32) 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬に含まれる、前記(31)記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(33) 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、前記(31)記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(34) 非イオン性界面活性剤が第1試薬に含まれる、前記(31)〜(33)のいずれかに記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。(35) 非イオン性界面活性剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、前記(31)〜(33)のいずれかに記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 本発明によれば、キレート発色剤を使用する試料中の金属の比色測定において、測定対象金属以外の金属である鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を共存又は含有させることにより、試料中に鉄、銅又はニッケルが混在していても、測定対象金属の濃度を正確に測定することができるものである。 また、本発明によれば、キレート発色剤を使用する試料中の金属の測定において、試料の除蛋白操作が不要となる。 本発明は、キレート発色剤を使用する試料中の金属の比色測定方法において、鉄、銅又はニッケルのマスキング剤を共存させることを特徴とする金属の測定方法、キレート発色剤を使用する試料中の金属の比色測定試薬において、鉄、銅又はニッケルのマスキング剤を含有することを特徴とする金属の測定試薬、並びに鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤、並びに試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法である。(1) キレート発色剤 本発明においては、キレート発色剤を使用して、試料中の金属の比色測定を行う。 ここで、キレート発色剤とは、金属の比色測定に使用されうる試薬であり、かつ鉄、銅又はニッケル以外の金属(測定対象金属)を測定する場合に、測定対象金属と接触し、結合することにより、色調又は吸収波長に変化が生じるものをいう。 また、本発明は、試料中に混在する、鉄、銅又はニッケルにも反応してしまい、測定対象金属の測定値に正誤差を与える可能性のあるキレート発色剤において好適である。 例えば、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール(以下、5−Br−PAPSと略すこともある)、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール(以下、ニトロ−PAPSと略すこともある)、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)アニリン(以下、5−Br−PSAAと略すこともある)、ビスムチオールII、BPA、カルセイン、カルセインブルー、クロモトロピック・アシッド(Chromotropic acid)、Cu−PAN、Diantipyrylmethane、ムレキシド(Murexide)、ニトロソ−PSAP、ο−フェナントロリン、PAN、PAR、PDTS、PR、SATP、Tiron、TPPS、TPTZ、XO又はジンコン(Zincon)等を挙げることができる。 なお、本発明においては、キレート発色剤が5−Br−PAPS又はニトロ−PAPSであることが好ましい。 また、キレート発色剤の濃度は、測定対象金属の濃度に依存し、その測定対象金属の濃度が高い場合には、その濃度に応じて高くする必要がある。通常は、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、10〜500μMの範囲にあることが好ましく、10〜50μMの範囲が特に好ましい。(2) 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤 本発明においては、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を共存又は含有させることにより、試料中の金属の比色測定を行う。 ここで、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤としては、例えば、ビス−トリスプロパン、ビス−トリス、TAPS、TAPSO、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、BES又はビシン等を挙げることができる。また、本発明においては、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤として、ビス−トリスプロパン、TAPS、TAPSO、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はビシンを使用することが好ましい。 なお、本発明においては、鉄、銅及びニッケルをマスキングすることが可能である、下記の一般式(I)(式中、X1〜X6は水素原子、置換されていないか若しくは置換されている、水酸基、カルボキシル基、SH基又はアミノ基である)で表される化合物を使用することが好ましい。 ここで、前記の一般式(I)で表される化合物としては、例えば、ビス−トリスプロパンを挙げることができる。 また、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤の濃度は、試料中の鉄、銅又はニッケルの濃度に依存し、鉄、銅又はニッケルの濃度が高い場合には、その濃度に応じて高くする必要がある。通常は、例えば、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、5〜150mMの範囲にあることが好ましく、5〜50mMの範囲が特に好ましい。また、マスキング剤の濃度は、150mMを超えて含有させても問題はないが、その量までで充分な効果が得られる。 また、本発明の測定方法及び測定試薬が、1ステップ法(1試薬系)である場合には、マスキング剤の濃度は、上記の範囲のものとすればよく、2ステップ法(2試薬系)である場合には、試料と第1試薬を試料中の金属を測定する際の各々の添加量の比で混合した際、及び試料と第1試薬及び第2試薬を試料中の金属を測定する際の各々の添加量の比で混合した際に、この混合後の測定反応液中のマスキング剤の濃度が上記の範囲となるように、マスキング剤を第1試薬又は第2試薬のいずれかに含ませればよい。 また、混合後の測定反応液中のマスキング剤の濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、マスキング剤は第1試薬と第2試薬の両方に含ませてもよい。 これは、測定方法及び測定試薬が多ステップ法(3試薬以上)の場合も同様である。(3) 界面活性剤 本発明においては、界面活性剤を共存又は含有させることにより、試料中の金属を比色測定しても良い。本発明において共存又は含有させる界面活性剤の種類は特に限定されず、例えば、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤のいずれも使用することができる。 また、本発明においては、非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。 ここで、非イオン性界面活性剤としては、例えば、以下のもの等を挙げることができる。(a) ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレンエーテル化合物。(b) グリセリン脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、又はショ糖脂肪酸部分エステルなどの多価アルコール部分エステル化合物。(c) ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、又はポリオキシエチレン化ひまし油などのポリオキシエチレン化多価アルコール脂肪酸エステル。(d) 脂肪酸ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、又はトリアルキルアミンオキシドなどのアミド若しくはアミン化合物。 本発明においては、1種類の界面活性剤のみを用いてもよく、又は2種類以上の界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。 また、界面活性剤の濃度は、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.01〜10%の範囲にあることが好ましく、0.1〜5%の範囲にあることが特に好ましい。 また、本発明の測定方法及び測定試薬が、1ステップ法(1試薬系)である場合には、界面活性剤の濃度は、上記の範囲のものとすればよく、2ステップ法(2試薬系)である場合には、試料と第1試薬を試料中の金属を測定する際の各々の添加量の比で混合した際、及び試料と第1試薬及び第2試薬を試料中の金属を測定する際の各々の添加量の比で混合した際に、この混合後の測定反応液中の界面活性剤の濃度が上記の範囲となるように、界面活性剤を第1試薬又は第2試薬のいずれかに含ませればよい。 また、混合後の測定反応液中の界面活性剤の濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、界面活性剤は第1試薬と第2試薬の両方に含ませるのが好ましい。 これは、測定方法及び測定試薬が多ステップ法(3試薬以上)の場合も同様である。(4) 蛋白質変性剤 本発明においては、蛋白質変性剤を共存又は含有させることにより、試料中の金属を比色測定してもよい。 本発明で共存又は含有させる、蛋白質変性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等の界面活性剤や、尿素、塩酸グアニジン等の公知のものを挙げることができる。 また、蛋白質変性剤の濃度は、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.2〜6Mの範囲にあることが好ましく、0.4〜3Mの範囲が特に好ましい。また、蛋白質変性剤の濃度は、6Mを超えて含有させても問題はないが、その量までで充分な効果が得られる。 本発明においては、1種類の蛋白質変性剤のみを用いてもよく、又は2種類以上の蛋白質変性剤を組み合わせて用いてもよい。 また、本発明の測定方法及び測定試薬が、1ステップ法(1試薬系)である場合には、蛋白質変性剤の濃度は、上記の範囲のものとすればよく、2ステップ法(2試薬系)である場合には、試料と第1試薬を試料中の金属を測定する際の各々の添加量の比で混合した際、及び試料と第1試薬及び第2試薬を試料中の金属を測定する際の各々の添加量の比で混合した際に、この混合後の測定反応液中の蛋白質変性剤の濃度が上記の範囲となるように、蛋白質変性剤を第1試薬又は第2試薬のいずれかに含ませればよい。 また、混合後の測定反応液中の蛋白質変性剤の濃度が上記濃度範囲に入るのであれば、蛋白質変性剤は第1試薬と第2試薬の両方に含ませるのが好ましい。 これは、測定方法及び測定試薬が多ステップ法(3試薬以上)の場合も同様である。(5) 測定における他の構成成分 本発明においては、前記の成分の他に、公知の防腐剤、又は安定化剤等を必要に応じて適宜共存又は含有させることができる。(6) 金属測定時のpH 本発明において、試料中の金属測定時のpHは、測定に使用するキレート発色剤によって異なるので、金属を測定する時のpHに適宜設定すればよい。通常は、pH5〜11の範囲にあることが好ましい。 また、試料中の亜鉛を測定する場合には、pH7以上が好ましく、pH8〜10の範囲が特に好ましい。 また、前記のpH範囲となるように使用する緩衝液としては、前記のpH範囲に緩衝能がある従来公知の緩衝液を適宜使用することができる。 このような緩衝液として使用できるものとしては、例えば、炭酸、ホウ酸、リン酸、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、イミダゾール、グリシルグリシン、MES、ビス−トリス、ADA、ACES、ビス−トリスプロパン、PIPES、MOPSO、MOPS、BES、HEPES、TES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPS、HEPPSO、トリシン、ビシン、TAPS、CHES、CAPSO、若しくはCAPS又はこれらの塩等の各緩衝剤を挙げることができる。(7) 試薬等の構成、及び構成成分の濃度等 本発明の測定方法及び測定試薬は、1ステップ法(1試薬系)で実施、構成してもよく、又は2ステップ法(2試薬系)等の多ステップ法(多試薬系)で実施、構成してもよい。 また、本発明の測定方法及び測定試薬が1ステップ法(1試薬系)である場合は、前記した各構成成分の濃度、及びpH等は前記の範囲のものとすればよく、多ステップ法(多試薬系)である場合には、前記各測定試薬を金属を測定する際の各々の添加量の比で混合した時に、前記した各構成成分の濃度範囲、及びpH範囲等となるように各試薬の構成成分の濃度等を定めればよい。(8) 試料 本発明において、金属の測定を行う試料は特に限定されない。 このような試料としては、例えば、生体試料、食物、飲料、飲料水、薬剤、試薬、河川水、湖沼水、海水、土壌等が挙げられる。 生体試料は特に限定されず、例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、大便、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水、脳等の臓器、毛髪や皮膚や爪や筋肉若しくは神経等の組織及び細胞等が挙げられる。 食物は特に限定されず、例えば、食肉、野菜、穀物、果物、水産物、加工食品等が挙げられる。 飲料は特に限定されず、例えば、ジュース、お茶、コーヒー、アルコール、牛乳等が挙げられる。 薬剤は特に限定されず、例えば、輸液、注射液、散剤、錠剤等が挙げられる。 なお、試料の形態は、液体であることが好ましいが、液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理などの前処理を既知の方法に従って行い、液体試料とすることが好ましい。(9) 金属の比色測定方法及び比色測定試薬 本発明のキレート発色剤を使用した試料中の金属の比色測定方法及び比色測定試薬について、具体的に説明する。 試料中の金属を測定する場合には、例えば、試料と鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を含有する試薬とを混合する。この試料と試薬との混合物を、キレート発色剤を含有する試薬と混合し、試料中の金属とキレート発色剤を発色反応させる。この発色前後の測定反応液の吸光度を測定し、キレート発色による吸光度の変化を求めること等により、試料中の金属の濃度を測定することができる。 更に、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤としてビス−トリスプロパンを共存させて、試料中の亜鉛を比色測定する場合を例にとり、具体的に説明する。 試料中の亜鉛を測定する場合には、例えば、試料とビス−トリスプロパンを含有する第1試薬とを混合する。この試料と第1試薬との混合物を、キレート発色剤(例えば、5−Br−PAPS)を含有する第2試薬と混合し、試料中の亜鉛とキレート発色剤を発色反応させる。この発色前後の測定反応液の吸光度を測定し、キレート発色による吸光度の変化を求めること等により、試料中の亜鉛の濃度を測定することができる。 なお、本発明における金属の測定は、エンドポイント法又はレートアッセイ法のいずれの方法でも行うことができるが、本発明においては、金属の測定をエンドポイント法で行うことが好ましい。(10) 試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法 本発明における、試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法は、キレート発色剤を用いて金属を測定する比色測定方法及び比色測定試薬において、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を共存又は含有させて測定を行うことによるものである。 このキレート発色剤を用いて金属を測定する比色測定方法又は比色測定試薬において、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤を共存又は含有させて金属の測定を行うことにより、試料中に測定対象金属以外の金属である鉄、銅又はニッケルが混在している場合であっても、測定対象金属の測定値にこの鉄、銅又はニッケルによる正誤差が生じることを抑制でき、精度が高い金属の測定値を得ることができる。 また、本発明における鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法を実施する際の試薬の構成成分や試料や条件等は、前記した通りである。 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。(鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング効果の確認−1) 鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパン、TAPS、TAPSO、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はビシンを用いて、鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング効果を確かめた。1. 試薬の調製(1)亜鉛測定用第1試薬Aの調製 ビス−トリスプロパンを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH7.0、8.6、又は9.3(いずれも20℃)に調整し、本発明・第1試薬Aを調製した。(2)亜鉛測定用第1試薬Bの調製 TESを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH7.0、8.2、又は9.4(いずれも20℃)に調整し、本発明・第1試薬Bを調製した。(3)亜鉛測定用第1試薬Cの調製 トリスヒドロキシメチルアミノメタンを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH7.0、8.4、又は9.8(いずれも20℃)に調整し、本発明・第1試薬Cを調製した。(4)亜鉛測定用第1試薬Dの調製 TAPSを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH7.5、8.6、又は9.5(いずれも20℃)に調整し、本発明・第1試薬Dを調製した。(5)亜鉛測定用第1試薬Eの調製 トリシンを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH8.0、8.7、又は9.4(いずれも20℃)に調整し、本発明・第1試薬Eを調製した。(6)亜鉛測定用第1試薬Fの調製 ビシンを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH8.4、8.8、又は9.5(いずれも20℃)に調整し、本発明・第1試薬Fを調製した。(7)亜鉛測定用第2試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、第2試薬を調製した。 5−Br−PAPS 0.2mM トリトンX−100 0.05%2. 試料の調製(1)試料Aの調製 1g/Lの亜鉛標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が200μg/dLになるように希釈したものを試料Aとした。(2)試料Bの調製 1g/Lの鉄標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で鉄濃度が200μg/dLになるように希釈したものを試料Bとした。(3)試料Cの調製 1g/Lの銅標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で銅濃度が200μg/dLになるように希釈したものを試料Cとした。(4)試料Dの調製 1g/Lのニッケル標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸でニッケル濃度が200μg/dLになるように希釈したものを試料Dとした。3. 試料の測定 前記2の試料A〜D中の亜鉛の濃度を、前記1で調製した亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬にて測定した。 本発明の測定試薬における亜鉛の測定は、日立製作所社製7180形自動分析装置にて行い、前記2で調製した試料A〜Dの各10μLに各々前記1の(1)で調製した本発明・第1試薬A150μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、第1試薬添加後、前記1の(7)で調製した第2試薬50μLを添加し、37℃で5分間反応させた。第1試薬添加後4分30秒目(16ポイント目)と第2試薬添加後5分8秒目(34ポイント目)の主波長546nm及び副波長700nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。 そして、亜鉛の濃度が既知の試料について、前記の通り測定を行い、この測定値と前記の4種類の試料の測定値を比較することにより、前記4種類の試料中の亜鉛の濃度を求めた。 また、第1試薬を前記1の(2)〜(6)で調製した亜鉛測定用第1試薬(B〜F)に変えて同様に測定を行った。4. 測定結果 試料の測定結果を表1に示した。 表1から明らかなように、第1試薬に鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパンを含有させた亜鉛測定用第1試薬Aを用いた場合は、測定対象金属(亜鉛)以外の金属である、鉄及び銅とは反応していないことが分かる。また、ニッケルについても、pH7、0の場合には反応が抑制されていることが分かる。 更に、第1試薬に鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、TESを含有させた亜鉛測定用第1試薬B、トリスヒドロキシメチルアミノメタンを含有させた亜鉛測定用第1試薬C、及びTAPSを含有させた亜鉛測定用第1試薬Dを用いた場合は、測定対象金属(亜鉛)以外の金属である、鉄及び銅への反応は抑制されているが、ニッケルには反応しているがことが分かる。更に、第1試薬に鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、トリシンを含有させた亜鉛測定用第1試薬E、及びビシンを含有させた亜鉛測定用第1試薬Fを用いた場合は、測定対象金属(亜鉛)以外の金属である、鉄及びニッケルへの反応は抑制されているが、銅には反応していることが分かる。 これらのことより、キレート発色剤として5−Br−PAPSを用いた試料中の亜鉛を測定する方法において、ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はビシンを含有させた本発明の測定方法及び測定試薬は、試料に含まれる鉄、銅及び/又はニッケルに対する5−Br−PAPSの発色を抑制する効果のあることが確かめられた。 すなわち、測定対象金属以外の金属(鉄、銅及び/又はニッケル)が混在する試料であっても正確に測定対象金属(亜鉛)濃度を測定できることが確かめられた。 また、これらの結果から、ビス−トリスプロパンは、pHを適宜調整することによって、鉄、銅及びニッケルの全てをマスキングすることが可能であることが確かめられた。(鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング効果の確認−2) 鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパン、TES又はトリスヒドロキシメチルアミノメタンを用いて、鉄、銅又はニッケルに対するマスキング効果を確かめた。1. 試薬の調製(1)亜鉛測定用第1試薬Aの調製 ビス−トリスプロパンを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH7.0、8.6、又は9.3(いずれも20℃)に調整し、亜鉛測定用第1試薬Aを調製した。(2)亜鉛測定用第1試薬Bの調製 TESを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH7.0、7.8、又は8.2(いずれも20℃)に調整し、亜鉛測定用第1試薬Bを調製した。(3)亜鉛測定用第1試薬Cの調製 トリスヒドロキシメチルアミノメタンを濃度が50mMとなるように純水に溶解し、pH7.0、8.4、又は9.8(いずれも20℃)に調整し、亜鉛測定用第1試薬Cを調製した。(4)亜鉛測定用第2試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第2試薬を調製した。 ニトロ−PAPS 0.2mM トリトンX−100 0.05%2. 試料の調製 実施例1の2の(1)〜(4)で調製した試料A〜Dをそのまま使用した。3. 試料の測定 前記2の試料A〜D中の亜鉛の濃度を、前記1で調製した亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。4. 測定結果 試料の測定結果を表2に示した。 表2から明らかなように、第1試薬に鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパンを含有させた亜鉛測定用第1試薬Aを用いた場合は、測定対象金属(亜鉛)以外の金属である、鉄及び銅とは反応していないことが分かる。また、ニッケルについても、pH7.0の場合には反応が抑制されていることが分かる。 更に、第1試薬に鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、TESを含有させた亜鉛測定用第1試薬B、及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンを含有させた亜鉛測定用第1試薬Cを用いた場合は、測定対象金属(亜鉛)以外の金属である鉄及び銅への反応は抑制されているが、ニッケルには反応していることが分かる。 これらのことより、ニトロ−PAPSを用いた試料中の亜鉛を測定する方法及び試薬において、ビス−トリスプロパン、TES又はトリスヒドロキシメチルアミノメタンを含有させた本発明の比色測定方法及び比色測定試薬は、試料に含まれる鉄、銅及び/又はニッケルに対するニトロ−PAPSの発色を抑制する効果のあることが確かめられた。すなわち、測定対象金属以外の金属(鉄、銅及び/又はニッケル)が混在する試料であっても正確に測定対象金属(亜鉛)濃度を測定できることが確かめられた。 また、これらの結果から、ビス−トリスプロパンは、pHを適宜調整することによって、鉄、銅及びニッケルの全てをマスキングすることが可能であることが確かめられた。(鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング効果の確認−3) 鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパンを用い、鉄、銅又はニッケルに対するマスキング効果を確かめた。1. 測定試薬の調製(1)亜鉛測定用第1試薬の調製 下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを9.5(20℃)に調整し、ブリッジ−35(非イオン性界面活性剤)濃度の異なる8種類の亜鉛測定用第1試薬を調製した。 ブリッジ−35 0%、0.1%、0.7%、1.1%、1.3%、1.6%、2.0%又は6.7% ビス−トリスプロパン 30mM(2)亜鉛測定用第2試薬の調製 下記の試薬成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、亜鉛測定用第2試薬を調製した。 5−Br−PAPS 0.13mM トリトンX−100 0.05%2. 試料の調製(1)試料Aの調製 1g/Lの亜鉛標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が500μg/dLになるように希釈したものを試料Aとした。(2)試料Bの調製 1g/Lの亜鉛標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で亜鉛濃度が1000μg/dLになるように希釈したものを試料Bとした。(3)試料Cの調製 1g/Lの鉄標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で鉄濃度が200μg/dLになるように希釈したものを試料Cとした。(4)試料Dの調製 1g/Lの銅標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で銅濃度が200μg/dLになるように希釈したものを試料Dとした。(5)試料Eの調製 1g/Lのニッケル標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸でニッケル濃度が200μg/dLになるように希釈したものを試料Eとした。3. 試料の測定 前記2の試料A〜E中の亜鉛の濃度を、前記1で調製した8種類の亜鉛測定用第1試薬、及び亜鉛測定用第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。4. 測定結果 試料の測定結果を表3に示した。 表3から明らかなように、亜鉛測定用第1試薬にブリッジ−35を含有させていない場合は、測定対象金属(亜鉛)以外の金属である、鉄及び銅には反応していないが、ニッケルには反応していることが分かる。ところが、第1試薬にブリッジ−35を含有させることで、ニッケルへの反応が抑制できていることが分かる。 これらのことより、5−Br−PAPSを用いた試料中の亜鉛を測定する方法及び方法において、鉄、銅又はニッケルのマスキング剤としてビス−トリスプロパンを含有させた本発明・亜鉛測定用第1試薬に、更に非イオン性界面活性剤を含有させた場合には、非イオン性界面活性剤を含有させない場合に比べて、試料に含まれるニッケルに対する5−Br−PAPSの発色を更に抑制する効果のあることが確かめられた。 すなわち、測定対象金属(亜鉛)以外の金属(鉄、銅及び/又はニッケル)が混在する試料であっても、正確に測定対象金属(亜鉛)濃度を測定できることが確かめられた。(鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング効果の確認−4) 鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパンを用いて、鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング効果を確かめた。1. 測定試薬の調製(1)本発明・亜鉛測定用第1試薬の調製 下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、pHを9.5(20℃)に調整し、ビス−トリスプロパン濃度の異なる7種類の本発明・亜鉛測定用第1試薬を調製した。 ビス−トリスプロパン 3mM、15mM、24mM、30mM、36mM、45mM又は150mM ブリッジ−35 1.33%(2)対照・亜鉛測定用第1試薬の調製 前記(1)の本発明・亜鉛測定用第1試薬のビス−トリスプロパンを含有させないこと以外は、前記(1)と同様にして対照・亜鉛測定用第1試薬の調製を行った。(3)亜鉛測定用第2試薬の調製 実施例3の1の(2)で調製した亜鉛測定用第2試薬をそのまま使用した。2. 試料の調製 実施例3の2の(1)〜(5)で調製した試料A〜Eをそのまま使用した。3. 試料の測定 前記2の試料A〜E中の亜鉛の濃度を、前記1で調製した亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。4. 測定結果 試料の測定結果を表4に示した。 表4から明らかなように、第1試薬に鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパンを含有させていない対照・亜鉛測定用第1試薬を用いた場合は、亜鉛、鉄、銅及びニッケルのいずれの金属にも反応していることが分かる。 これに対し、第1試薬に鉄、銅及び/又はニッケルに対するマスキング剤として、ビス−トリスプロパンを含有させた本発明・亜鉛測定用第1試薬を用いた場合は、測定対象金属である亜鉛のみに反応し、鉄、銅及びニッケルには反応していないことが分かる。 これらのことより、5−Br−PAPSを用いた試料中の亜鉛を測定する方法において、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤としてビス−トリスプロパンを含有させた本発明・亜鉛測定用第1試薬を用いた場合には、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤無添加の対照・亜鉛測定用第1試薬を用いた場合に比べて、試料に含まれる鉄、銅及び/又はニッケルに対する5−Br−PAPSの発色を抑制する効果のあることが確かめられた。 すなわち、測定対象金属(亜鉛)以外の金属(鉄、銅及び/又はニッケル)が混在する試料であっても、正確に測定対象金属(亜鉛)濃度を測定できることが確かめられた。(添加回収試験) 本発明の亜鉛比色測定方法及び比色測定試薬における、血清試料での添加回収試験について検討を行った。1. 測定試薬の調製(1)亜鉛測定用第1試薬の調製 実施例3の1の(1)で調製した第1試薬をそのまま使用した。(2)亜鉛測定用第2試薬の調製 実施例3の1の(2)で調製した第2試薬をそのまま使用した。2. 試料 1g/Lの亜鉛標準液(和光純薬工業社製、原子吸光分析用)を、0.01N塩酸で希釈し、亜鉛濃度として100μg/dLになるようにヒト血清試料に添加したものを試料とした。3. 試料の測定 前記2の試料中の亜鉛濃度を、前記1で調製した亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。続いて、得られた亜鉛の測定値から亜鉛標準液添加前のヒト血清試料中の亜鉛濃度を差し引いた値を、亜鉛標準液を添加した量で割ることにより、添加回収率を求めた。 なお、本発明による測定においては、試料の除蛋白操作は行っていない。 試料の測定結果を表5に示した。 表5から明らかなように、第1試薬にブリッジ−35を含有させていない場合は、添加回収率が86.8%にとどまっているが、第1試薬にブリッジ−35を含有させることで、添加回収率が向上していることが分かる。 これらのことより、5−Br−PAPSを用いた試料中の亜鉛を測定する方法及び試薬において、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤としてビス−トリスプロパンを含有させた亜鉛測定用第1試薬に、更に非イオン性界面活性剤を含有させた場合には、非イオン性界面活性剤を含有させない場合に比べて、平均添加回収率97.9%の良好な添加回収率が得られていることが確かめられた。 すなわち、本発明においては、血清試料の除蛋白操作を行わなくても、蛋白質等の血中成分の影響を受けることなく、正確に亜鉛濃度を測定できることが確かめられた。 これらのことより、本発明の亜鉛測定試薬は、試料の除蛋白操作を必要とせず、かつ試料中の亜鉛濃度を正確に測定できることが確かめられた。(従来法との比較) 従来法であるICP発光分析法及び本発明で、同一試料中の亜鉛の濃度を測定し、測定値の比較を行った。1. 測定試薬の調製(1)亜鉛測定用第1試薬の調製 下記の試薬成分を記載の濃度になるように純水に溶解し、本発明・亜鉛測定用第1試薬を調製した。 ビス−トリスプロパン 30mM ブリッジ−35 1.33%(2)亜鉛測定用第2試薬の調製 実施例3の1の(2)で調製した第2試薬をそのまま使用した。2. 試料 43種類のヒト血清試料(試料番号:1〜43)を用意した。3. 試料の測定(1)本発明・測定試薬による測定 前記2の各ヒト血清試料中の亜鉛濃度を、前記1で調製した亜鉛測定用第1試薬及び亜鉛測定用第2試薬にて実施例1の3と同様にして測定を行った。 なお、本発明による測定においては、試料の除蛋白操作は行っていない。(2)従来法(ICP発光分析法)による測定 前記2の各ヒト血清試料中の亜鉛濃度を、島津製作所社製ICPS−8100(ICP発光分析装置)にて測定した。なお、ICP発光分析法による測定においては、試料に硝酸を添加後、遠心分離によって蛋白質を除去する、除蛋白操作を行った。4. 測定結果 試料の測定結果を表6に示した。また、表6に示した値は、本発明・測定方法及び測定試薬による測定値は各試料を各々2回測定した平均値を、ICP発光分析法による測定値は各試料を各々1回測定した値の容積置換補正値を示している。 表6から明らかなように、本発明・亜鉛測定用試薬は、従来法であるICP発光分析法による測定結果とよく一致していることが分かる。 これらのことより、本発明の5−Br−PAPSを用いた試料中の亜鉛を測定する方法及び試薬において、鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤としてビス−トリスプロパンを共存又は含有させた亜鉛測定試薬は、試料の除蛋白操作を必要とせず、かつ試料中の亜鉛濃度を正確に測定できることが確かめられた。 キレート発色剤を使用する試料中の亜鉛の比色測定方法において、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングするマスキング剤を共存させ、 前記マスキング剤が、ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はBicineから選択された1種以上のマスキング剤であることを特徴とする、試料中の亜鉛の比色測定方法。 非イオン性界面活性剤を使用する、請求の範囲第1項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 前記非イオン性界面活性剤の濃度が、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜5%の範囲にある、請求の範囲第2項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 キレート発色剤が、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第3項のいずれ一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 キレート発色剤が、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第3項のいずれ一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 試料の除蛋白操作が不要である、請求の範囲第2項〜第5項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差が抑制された比色測定方法である、請求の範囲第1項〜第6項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 第1試薬を試料に添加した後に第2試薬を添加する2ステップ法で実施する、請求の範囲第1項〜第7項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬に含まれる、請求の範囲第8項記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、請求の範囲第8項記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 非イオン性界面活性剤が第1試薬に含まれる、請求の範囲第8項〜第10項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 非イオン性界面活性剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、請求の範囲第8項〜第10項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定方法。 キレート発色剤を使用する試料中の亜鉛の比色測定試薬において、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングするマスキング剤を含有し、 前記マスキング剤が、ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はBicineから選択された1種以上のマスキング剤であることを特徴とする試料中の亜鉛の比色測定試薬。 更に、非イオン性界面活性剤を含む、請求の範囲第13項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 前記非イオン性界面活性剤の濃度が、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜5%の範囲にある、請求の範囲第14項に記載の亜鉛の比色測定試薬。 キレート発色剤が、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、請求の範囲第13項〜第15項のいずれ一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 キレート発色剤が、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩であることを特徴とする、請求の範囲第13項〜第15項のいずれ一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 試料の除蛋白操作が不要である、請求の範囲第14項〜第17項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差が抑制された比色測定試薬である、請求の範囲第13項〜第18項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 前記比色測定試薬が、試料に最初に添加される第1試薬と続いて添加される第2試薬とからなる、請求の範囲第13項〜第19項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬に含まれる、請求の範囲第20項記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、請求の範囲第20項記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 非イオン性界面活性剤が第1試薬に含まれる、請求の範囲第20項〜第22項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 非イオン性界面活性剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、請求の範囲第20項〜第22項のいずれか一項に記載の試料中の亜鉛の比色測定試薬。 ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はビシンよりなる、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングする試料中の亜鉛の比色測定用マスキング剤。 キレート発色剤を使用する試料中の亜鉛の比色測定方法において、鉄、銅及びニッケルのうちの少なくとも2種以上をマスキングするマスキング剤を共存させ、 前記マスキング剤として、ビス−トリスプロパン、TAPS、TES、トリシン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン又はBicineから選択された1種以上のマスキング剤を使用することにより、試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 更に、非イオン性界面活性剤を使用する、請求の範囲第26項記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 前記非イオン性界面活性剤の濃度が、試料と測定試薬を混合した後の測定反応液中において、0.1〜5%の範囲にある、請求項の範囲第27項記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 キレート発色剤が、2−(5−ブロモ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩である、請求の範囲第26項〜第28項のいずれか一項に記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 キレート発色剤が、2−(5−ニトロ−2−ピリジルアゾ)−5(N−プロピル−N−3−スルホプロピルアミノ)フェノール又はその塩である、請求の範囲第26項〜第28項のいずれか一項に記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 第1試薬を試料に添加した後に第2試薬を添加する2ステップ法で実施する、請求の範囲第26項〜第30項のいずれか一項に記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬に含まれる、請求の範囲第31項記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 鉄、銅及び/又はニッケルのマスキング剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、請求の範囲第31項記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 非イオン性界面活性剤が第1試薬に含まれる、請求の範囲第31項〜第33項のいずれか一項に記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。 非イオン性界面活性剤が第1試薬及び第2試薬に含まれる、請求の範囲第31項〜第33項のいずれか一項に記載の試料中に含まれる鉄、銅又はニッケルによる正誤差を抑制する方法。


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