生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_分析試料の融解用ニッケルるつぼ、分析試料の作製方法及び分析方法
出願番号:2008501685
年次:2012
IPC分類:G01N 1/28,B01L 3/04


特許情報キャッシュ

坂口 正浩 山口 充 高橋 富雄 竹本 幸一 JP 4919299 特許公報(B2) 20120210 2008501685 20070215 分析試料の融解用ニッケルるつぼ、分析試料の作製方法及び分析方法 JX日鉱日石金属株式会社 502362758 小越 勇 100093296 坂口 正浩 山口 充 高橋 富雄 竹本 幸一 JP 2006044717 20060222 20120418 G01N 1/28 20060101AFI20120329BHJP B01L 3/04 20060101ALI20120329BHJP JPG01N1/28 XB01L3/04 G01H,M,N,V 特開2004−069413(JP,A) 特開平10−132801(JP,A) 特表2003−522835(JP,A) 特開2003−279559(JP,A) 特開2002−285371(JP,A) 「分析試料前処理ハンドブック」(丸善(株),平成16年8月31日,3刷発行,313〜315頁 「分析化学ハンドブック」((株)朝倉書店,1997年9月20日,第2刷発行,115〜117頁 2 JP2007052711 20070215 WO2007097241 20070830 8 20080717 2010029155 20101224 岡田 孝博 横井 亜矢子 郡山 順 本発明は、るつぼからの不純物の混入を抑制し、分析者の違い又はその技量によらずに、高精度の分析が可能となる分析試料の融解用ニッケルるつぼ、分析試料の作製方法及び分析方法に関する。 最近、より高純度の材料を、迅速にかつ正確に測定することが要求されている。特に近年、難分解性の試料が増えてきているため、より酸化力の強い融解剤が求められている。 難分解性の試料は、一般にフラックスで試料を融解して作製する。フラックスによる融解は、通常炭酸塩(アルカリ)融解、水酸化アルカリ融解、過酸化ナトリウム融解、硫酸水素ナトリウム融解などの融解法などが使用される。しかし、酸化力の強い融解剤を使用すると、るつぼ自体が磨耗し易くなり、その結果、るつぼ中の不純物が溶出するという問題が生じていた。 すなわち、上記のような要求が増えるにしたがって、使用する器具からの汚染の影響により測定値に違いが出るという問題があり、信頼性確認のために再分析を行うということがしばしば行われている。 上記のように、従来の試料融解用のニッケルるつぼは、純度99wt%(2N)レベルであるため、るつぼからの不純物混入により定量下限値が高くなり、最近の高純度試料の分析には適用できないと言う問題を生じている。しかしながら、従来は特にるつぼの純度に注意を払われておらず、測定の回数を増やしたり、前処理の工夫をする程度に終わっているのが現状であった。 このような高純度材料に対応する分析手段の特許文献は少ないが、それらの中で参考となる資料を紹介すると、例えば試料を定性、定量分析するための試料の調整方法に関するもので、試料を金属箔に載せて金属箔とともに加熱分解し、さらに溶液化するという技術がある(特許文献1参照)が、これは極めて特殊な手法であり、汎用性のあるものではない。 また、アルカリ融剤を用いて鉱石の化学分析を行うるつぼが、PtにPdを5〜90wt%添加したPt合金又はPd合金からなる化学分析用るつぼ(特許文献2参照)が開示されている。しかし、これはいずれも高価なるつぼ材料を使用することが前提となっており、試料元素によっては合金生成が起こることから実用的でないという問題がある。 さらに、ニッケルるつぼ中で、ロジウム−ルテニウム合金めっき皮膜を過酸化ナトリウム又は過酸化カリウムで加熱融解し、皮膜中のロジウム量を分析する方法が開示されている(特許文献3参照)。しかし、この特許文献3では、るつぼの純度については、一切開示はない。したがって、従来レベルの純度(2Nレベル)のるつぼであることが強く推定される。そのため、不純物混入により定量下限値が高く、精度の高い分析は得られていない問題がある。「ぶんせき」入門講座、1979年10月発行、「溶解に用いられる試薬」頁648〜655特開平10−38773号公報特開平2−172540号公報特開昭58−48854号公報 高純度の材料を、迅速にかつ正確に測定することが要求されている最近の分析技術に鑑み、るつぼからの不純物の混入を抑制し、分析者の違い又はその技量によらずに、高純度試料の分析が可能となる分析試料の融解用ニッケルるつぼ及び分析試料の作製方法並びに分析方法を得ることを課題とする。 上記の課題に鑑み、本発明は以下の発明を提供するものである。 その1)として、分析試料の前処理に用いる融解用ニッケルるつぼであって、該ニッケルるつぼの純度が99.9999wt%以上である分析試料の融解用ニッケルるつぼを提供する。 その2)として、Na2CO3,K2CO3,H3BO3,NaOH,KOH,Na2B2O7,Li2B2O7等から選択したアルカリ剤の一種若しくは複数種からなる塩基性融解剤若しくはこれらにNa2O,Na2O2,K2O,K2O2,KNO3,KClO3等から選択した酸化剤の一種若しくは複数種を添加した塩基性融解剤又はNa2S2O7,K2S2O7,NaHSO4等から選択した一種若しくは複数種の酸性融解剤を用いて融解を行う1)記載の融解用ニッケルるつぼを提供する。融解剤の一覧を表1に示す。 その3)として、試料を予め99.9999wt%以上の純度のニッケルるつぼで融解し、分析試料とする高純度ニッケルるつぼを用いた分析試料の作製方法を提供する。 その4)として、試料を該るつぼに測りとり、さらにNa2CO3,K2CO3,H3BO3,NaOH,KOH,Na2B2O7,Li2B2O7等から選択したアルカリ剤の一種若しくは複数種からなる塩基性融解剤若しくはこれらにNa2O,Na2O2,K2O,K2O2,KNO3,KClO3等から選択した酸化剤の一種若しくは複数種を添加した塩基性融解剤又はNa2S2O7,K2S2O7,NaHSO4等から選択した一種若しくは複数種の酸性融解剤を用いて融解し、分析試料とする3)記載の分析試料の作製方法を提供する。(表1参照) その5)として、純度が99.9999wt%以上である融解用ニッケルるつぼを用いて試料を融解し、これを分析することにより、Mn、Al、Si、Mg、Pb、Fe、Co、Ti、Cu、Cr、Zr、Mo、Wのそれぞれの定量下限値がMn:5wtppm、Al:10wtppm、Si:10wtppm、Mg:5wtppm、Pb:5wtppm、Fe:5wtppm、Co:5wtppm、Ti:20wtppm、Cu:20wtppm、Cr:10wtppm、Zr:5wtppm、Mo:2wtppm、W:10wtppmの分析結果を得る分析方法を提供する。 本発明は、ニッケルるつぼの純度が99.9999wt%以上である分析試料の融解用ニッケルるつぼを使用することによって、るつぼからの不純物の混入を抑制し、高純度の分析が可能となり、さらに作業時間の短縮化及び使用する試薬の量の軽減化となり、高純度の材料を迅速にかつ正確に測定することが要求されている最近の分析技術の要請に応えることができるという優れた効果を有する。実施例1の分析の工程を説明する概略説明図である。比較例1の分析の工程を説明する概略説明図である。本発明の高純度品であるニッケルるつぼと従来品のニッケルるつぼの定量下限値を示す図である。 本発明に用いる分析試料の前処理に用いる融解用ニッケルるつぼとして、純度は99.9999wt%以上ニッケルるつぼを使用する。 本発明の分析の一般的な手順は、次の通りである。この分析手順の概要を図1に示す。 (1)試料をニッケルるつぼに入れる。 (2)るつぼにアルカリ融剤等の融剤を加える。 (3)バーナー又はマッフル炉でるつぼを加熱し前記融剤及び試料を融解させる。 (4)試料をPTFE製等のビーカーに移す。 (5)酸等を添加する。 (6)ビーカーを加熱し、溶解する。 (7)メスフラスコに移す。 (8)水を加え、液量を所定の値にする。 (9)これをICP−AES等による測定を行う。 以上に示す純度が99.9999wt%以上である融解用ニッケルるつぼを用いて試料を融解し、これを分析することにより、Mn、Al、Si、Mg、Pb、Fe、Co、Ti、Cu、Cr、Zr、Mo、Wのそれぞれの定量下限値が、Mn:5wtppm、Al:10wtppm、Si:10wtppm、Mg:5wtppm、Pb:5wtppm、Fe:5wtppm、Co:5wtppm、Ti:20wtppm、Cu:20wtppm、Cr:10wtppm、Zr:5wtppm、Mo:2wtppm、W:10wtppmの分析結果を得ることができるという優れた効果を有する。 以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。(実施例1) 本発明の実施例では、99.9999wt%の純度の高純度ニッケルるつぼを使用し、SnO2中の不純物Zr,Si,Fe,Alなどの定量を行った。分析手順を図1に沿って説明する。分析条件及び分析結果は、次の通りである。 試料1gを取り、これを上記高純度ニッケルるつぼに入れ、それぞれ所定量(数g)のKOH及びKNO3を添加した。これをバーナーで加熱し、この後、塩酸(HCl)を20ml、超純水50ml添加した。 次に、これを300mlのテフロンビーカーに移し、加熱・溶解した。溶融後、全量を250mlフラスコに入れ、さらに超純水を加えて液量規定を行った。そして、このようにして得た試料について、ICP−AESによる測定を行った。 主な不純物の測定結果を、99%の純度のNiルツボを使用した場合との対比として表2に示す。 下表3に示すように、本願発明の高純度ニッケルるつぼを使用することにより、定量下限を著しく引き下げることができ、またZr,Si,Fe,Alなどの定量を一度の操作で行うことができるという優れた結果が得られた。 すなわち、2Nレベルの純度のニッケルるつぼを使用した場合では、純度が低いので、ニッケルるつぼから多量のAl,Si,Feなどが溶出する。したがって、この場合はジルコニウムるつぼを使用することが必要である。しかし、本実施例に示すように、ジルコニウムを定量する必要がある材料には、ジルコニウムるつぼを用いて測定できない。 したがって、このような分析のためには、定量下限を引き下げるために、数回の分析操作を必要としていたのであるが、本発明の実施例1では、一度の操作で定量化が可能となった。 定量下限値はブランク試料6個測定の標準偏差(σ)の10倍と定義し、表3に示す数値を下限値とすることが可能となった。(比較例1) 本比較例1では、図1の分析手順のうち、高純度Niるつぼの代わりに99wt%の純度の市販ニッケルるつぼを用いて、実施例1と同様に、SnO2中の不純物Zr,Si,Fe,Alなどの定量を行った。 以下の作業方法は、ニッケルるつぼ及びジルコニウムるつぼを用いた場合、いずれも実施例1と同様とした。すなわち、試料1gを取り、これを上記ニッケルるつぼ及びジルコニウムるつぼに入れ、それぞれ所定量(数g)のKOH及びKNO3を添加し、これをバーナーで加熱した。この後、塩酸(HCl)を20ml、超純水50ml添加した。次に、これを300mlのテフロンビーカーに移し、加熱・溶解した。 溶融後、全量を250mlフラスコに入れ、さらに超純水を加えて液量規定を行った。そして、このようにして得た試料について、ICP−AESによる測定を行った。 この測定結果を、実施例1と対比して表2に示す。 従来のニッケルるつぼは、純度が2Nレベルと低いので、不純物の含有量が多く、酸に難分解性のサンプル中の不純物分析に適用した場合、るつぼからのコンタミネーションが大きく、異常な分析結果となった。 特に、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)については、高値をとった。このため、不純物の定量下限の低減化の要求があるにもかかわらず、これに応えることができないことが分る。 以上のことから、表2に示すように、2Nレベルの純度のニッケルるつぼを使用した場合では、純度が低いので、ニッケルるつぼから多量のAl,Si,Feなどが溶出する。このため、Al,Si,Feなどの分析にはニッケルルツボを使用できず、この場合はジルコニウムるつぼを使用することが必要であった。このため、図2のようにZrとそれ以外の成分を別々の手順で分析する必要があり、実施例1に比較して、2倍の作業時間を要することになった。 定量下限値はブランク試料6個測定の標準偏差(σ)の10倍と定義し、比較例においては、同様に表3に示す数値が下限値となった。表3の従来品である低純度ニッケルるつぼを使用した場合と本発明の高純度ニッケルるつぼを使用した場合の、主な不純物元素の定量下限値の結果を図3に示す。 この表3及び図3に示すように、実施例と比較例では、定量下限値の大きな差異があり、本願発明の定量下限値の大きな改善が可能であることが確認できた。 上記実施例ではKOH及びKNO3を用いて試料を溶解したが、他の融解剤を含む物、すなわち本願発明において示す、Na2CO3,K2CO3,H3BO3,NaOH,KOH,Na2B2O7,Li2B2O7等から選択したアルカリ剤の一種若しくは複数種からなる塩基性融解剤若しくはこれらにNa2O,Na2O2,K2O,K2O2,KNO3,KClO3等から選択した酸化剤の一種若しくは複数種を添加した塩基性融解剤又はNa2S2O7,K2S2O7,NaHSO4等から選択した一種若しくは複数種の酸性融解剤を用いて融解した場合でも、同様の結果が得られた。 ニッケルるつぼの純度が99.9999wt%以上である、本発明の高純度ニッケルるつぼを使用することによって、るつぼからの不純物の混入を抑制し、高純度の分析が可能となり、さらに作業時間の短縮化及び使用する試薬の量の軽減化となるという優れた効果を有するので、高純度の材料を迅速にかつ正確に測定するという最近の分析技術の要請に応えることができる。 KOHにKNO3の酸化剤を添加した塩基性融解剤を用いて融解を行う分析試料の前処理に用いる融解用ニッケルるつぼであって、該ニッケルるつぼの純度が99.9999wt%以上であることを特徴とする分析試料の融解用ニッケルるつぼ。 試料を予め99.9999wt%以上の純度のニッケルるつぼに測りとり、さらにKOHにKNO3の酸化剤を添加した塩基性融解剤を用いて融解し、分析試料とすることを特徴とする高純度ニッケルるつぼを用いた分析試料の作製方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る