タイトル: | 特許公報(B2)_不快な味および臭いが低減された内服液剤 |
出願番号: | 2008325880 |
年次: | 2015 |
IPC分類: | A61K 31/51,A61K 9/08,A61P 3/02,A23L 1/302 |
金子 和子 山田 浩之 JP 5688205 特許公報(B2) 20150130 2008325880 20081222 不快な味および臭いが低減された内服液剤 エスエス製薬株式会社 000102496 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 金子 和子 山田 浩之 20150325 A61K 31/51 20060101AFI20150305BHJP A61K 9/08 20060101ALI20150305BHJP A61P 3/02 20060101ALI20150305BHJP A23L 1/302 20060101ALN20150305BHJP JPA61K31/51A61K9/08A61P3/02 104A61P3/02 105A61P3/02 106A23L1/302 A61K31/00−33/44 A61K 9/00− 9/72 A61K47/00−47/48 A23L 1/27− 1/308 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開平05−252905(JP,A) 特開平11−318402(JP,A) 特開2000−189125(JP,A) 特開平11−139992(JP,A) 特開2008−029321(JP,A) 特開2000−004852(JP,A) 特開2005−304323(JP,A) 特開2001−095541(JP,A) 特開2008−017835(JP,A) 特開昭63−273460(JP,A) 製品情報 DEKAVITA C サントリー [online] http://web.archive.org/web/20081102131545/http://www.suntory.co.jp/softdrink/dekavita/products/index.html,2008年11月 2日 Suntory News Release No.7810 [online] http://web.archive.org/web/20071009130913/http://www.suntory.co.jp/news/2001/7810/7810003.html,2001年 1月16日 ハウルウェルネスフーズ「おはようページ」商品紹介 [online] http://web.archive.org/web/20071116224442/http://www.house-wf.co.jp/products/pickup.htm?CD=024503,2007年11月16日 飲料用語事典,株式会社ビバリッジジャパン社,1999年,p.133 3 2010143894 20100701 8 20111208 常見 優 本発明は、ビタミンB1に由来する不快な味および臭いが低減された内服液剤に関する。 薬物は、苦味、渋味やエグ味などの不快な味を呈する場合が多く、そのままでは服用することはできないことが多い。また、その薬物固有の不快な臭いがすることも多く、そのため服用時に不快を感じることが多い。そこで、服用時の口腔内での不快な味や臭いを低減する必要がある。 ビタミンB1は、食品、健康食品、特定栄養食品、医薬部外品、新医薬部外品、医薬品として内服液剤で多く用いられている有用な薬物である。しかしながら、ビタミンB1は、医薬部外品、新医薬部外品、医薬品などの医薬品製剤の活性物質として、高濃度で内服液剤として用いられる場合には、苦味、渋味、エグ味などの不快な味が強くなり、さらに、チアミン臭といわれる不快な臭いも発生することから、服用しにくいという欠点があった。 ビタミンB1の不快な味や臭いを低減し、服用し易くするために、従来から様々な方法が試みられており、例えば、グルコン酸塩および有機酸のカルシウム塩を配合する方法(特許文献1)、フルーツ系香料、アセスルファムカリウムおよびステビア抽出物を配合する方法(特許文献2)、電解質を電気分解して得られる電解還元水を用いる方法(特許文献3)、転化型液糖を添加して苦味を低減する方法(特許文献4)、メントール及びポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレン‐グリコールの少なくとも1種を含有させる方法(特許文献5)が知られている。 しかしながら、これまでのビタミンB1に由来する不快な味や臭いのマスキング方法では、低濃度のビタミンB1の不快な味のマスキングはできても、高濃度のビタミンB1の不快な味の低減作用は満足できるものではなかった。 また、特にビタミンB1を高濃度含有する内服液剤においては、不快な味が強いばかりでなく、剤形が液体であることによりビタミンB1由来のチアミン臭が強く感じられるため、内服液剤の服用感が極めて悪いという問題があった。特許公開2003−335679号公報特許公開2003−231647号公報特許公開2002−338498号公報特許公開2002−322062号公報特許公開平11−139992号公報 したがって、本発明の課題は、ビタミンB1に由来する不快な味および臭いが低減された、ビタミンB1を高濃度含有する内服液剤を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討した結果、特定量の二酸化炭素を内服液剤に配合させることにより、高濃度のビタミンB1に由来する不快な味と臭いを効果的に低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、ビタミンB1を1μg/ml以上、及び二酸化炭素をガス内圧で1.0〜4.0kg/cm2含有するビタミンB1に由来する不快な味および臭いが低減された内服液剤を提供するものである。 また、本発明は、ビタミンB1を1μg/ml以上含有する内服液剤に、二酸化炭素をガス内圧で1.0〜4.0kg/cm2含有せしめる、ビタミンB1内服液のビタミンB1に由来する不快な味および臭いの低減方法を提供するものである。 本発明によれば、ビタミンB1を高濃度含有する内服液剤のビタミンB1に由来する不快な味および臭いを低減できる。従って、本発明の内服液剤は、ビタミンB1の優れた薬理作用及び優れた服用感を有するため、清涼飲料、医薬部外品、特に医薬品として有用である。 本発明において、ビタミンB1としては、チアミン、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンジスルフィド硝酸塩(ビスチアミン硝酸塩)、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、ジセチアミン塩酸塩、フルスルチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、コカルボキシラーゼ、ジベンゾイルチアミンなどのビタミンB1及びおよびその塩並びにその誘導体を挙げることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。 本発明において、ビタミンB1の含有量は、内服液剤全体に対して1μg/ml以上であるが、10〜800μg/mLが好ましく、25〜800μg/mLがより好ましく、45〜200μg/mLがさらに好ましい。 本発明において、二酸化炭素としては、二酸化炭素を単独で使用するものであっても、二酸化炭素とそれ以外の酸素、水素、窒素等のガス類とを2種類以上混合するものであってよいが、二酸化炭素を単独で用いることが好ましい。 本発明において、二酸化炭素の含有量は、内服液全体に対するガス内圧(単位体積中に溶解しているガス量)として、1.0〜4.0kg/cm2であるが、2.2〜3.7kg/cm2が好ましく、2.5〜3.5kg/cm2がより好ましく、3.0〜3.4kg/cm2がさらに好ましい。 ガス内圧力が1.0kg/cm2を下回ると、ビタミンB1に由来する不快な味や臭いの低減作用が十分得られない点で、好ましくない。 ビタミンB2としては、リボフラビン、リボフラビン酪酸塩、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドなどのビタミンB2およびその塩並びにその誘導体を挙げることができる。ビタミンB2の含有量は20〜240μg/mLが好ましい。 ビタミンB6としては、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシンリン酸塩、ピリドキサールリン酸塩、リン酸ピリドキサミンおよびその塩並びにその誘導体を挙げることができる。ビタミンB6の含有量は20μg/mL〜1mg/mLが好ましい。 ナイアシンとしては、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、イノシトールヘキサニコチネート、ヘプロニカートなどのナイアシンおよびその塩並びにその誘導体を挙げることができる。ナイアシンの含有量は120μg/mL〜 6mg/mLが好ましい。 パントテン酸としては、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、パンテノール、パンテチンなどのパントテン酸およびその塩並びにその誘導体を挙げることができる。パントテン酸の含有量は50μg/mL〜 3mg/mLが好ましい。 ビタミンB12としては、コバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、ヒドロキソコバラミン酢酸塩、メコバラミンなどのビタミンB12およびその塩並びにその誘導体を挙げることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。ビタミンB12の含有量は0.01 〜 6μg/mLが好ましい。 本発明の内服液剤の溶媒としては、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。このうち、水を用いることが好ましい。 また、本発明の内服液剤には、ビタミンB1類及び二酸化炭素の他にも、通常の内服液剤に配合可能な成分、例えば、ビタミンB2、B6、C等のビタミン類;タウリン;塩化カルニチン、システイン等のアミノ酸類;生薬、カフェイン、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、鉄、カルシウム等のミネラル類;コンドロイチン、グルコサミン、γ‐オリザノール、イノシトール、α‐リポ酸、ビオチン、葉酸、ウルソデスオキシコール酸、ローヤルゼリー、アスパラギン酸ナトリウム、グルクロノラクトン、添加剤を所望に応じて配合できる。 添加剤としては、矯味剤、甘味剤、安定化剤、増粘剤、溶解補助剤、pH調節剤、着色剤、香料等が挙げられる。 矯味剤としては、例えば、ポビドン、メントール、グリチルリチン酸二カリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、酢酸、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グルコノラクトン、塩化ナトリウム等が挙げられる。 甘味剤としては、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース、スクラロース、ハチミツ、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、黒砂糖、ソーマチン、カンゾウ等が挙げられる。 安定化剤としては、例えばポビドン、グリセリン、エリソルビン酸及びその塩、エデト酸及びその塩、メタリン酸等が挙げられる。 増粘剤としては、例えばカルメロースナトリウム、寒天、ポビドン、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、等が挙げられる。 溶解補助剤としては、ポリソルベート、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポビドン、水酸化ナトリウム等が挙げられる。 pH調節剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、水酸化ナトリウム、塩酸、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、酢酸、グルコン酸、リン酸等が挙げられる。 着色剤としては、例えばタール色素、三二酸化鉄、カラメル等が挙げられる。 香料としては、例えばアップルティーフレーバー、アプリコットティーフレーバー、ローズティーフレーバー、コウチャフレーバー、アップルフレーバー、パイナップルフレーバー等が挙げられる。 本発明の内服液剤のpHとしては、ビタミンB1の薬理作用の安定性を確保する点から、pH1〜6が好ましく、pH2.0〜4.5の範囲がさらに好ましい。pH調整は、従来公知の方法により行えばよく、例えば酸や塩基の添加による。 本発明の内服液剤は、常法の内服液剤の製造方法に従い製造することができる。 本発明の内服液剤は、通常の液剤と同様に服用することができる。 以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。 実施例1 ビタミンB1を含有する内服液剤および比較液剤の製造:ビタミンB1(硝酸塩)0.4g、1g、2g、10gそれぞれを精製水40Lに溶解し、脱気処理を行った。次に、得られたそれぞれの溶液、または、脱気を行った精製水の8Lを耐圧容器に取り、二酸化炭素をガス内圧でそれぞれ、1.2kg/cm2、2.2kg/cm2、3.2kg/cm2になるように調整して圧入した。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを内服液剤とした。試験例1 5名の健常被験者が、実施例の内服液剤及び比較例1〜10の内服液剤の約5mlを口に含み、飲み込まないように注意しながら舌に行き渡らせ、約15秒後に吐き出した。このときの収れん性、刺激性、苦味、渋味、エグ味などの不快な味の程度と不快な臭いの程度を下記に示す5段階で評価した。味1:非常に不快な味を感じる2:不快な味を感じる3:少し不快な味を感じる4:不快な味を感じるような気がする5:何も感じない臭い1:非常に不快な臭いを感じる2:不快な臭いを感じる3:少し不快な臭いを感じる4:不快な臭いを感じるような気がする5:何も感じない ビタミンB1を含有する内服液剤の味の評価を表1、臭いの評価を表2に示す。実施例2 ビタミンB1及びB2を含有する内服液剤および比較液剤の製造:ビタミンB1(硝酸塩)とビタミンB2(リン酸エステル)それぞれを0.4gづつ合計0.8g、1gづつ合計2g、2gづつ合計4g、10gづつ合計20gを精製水40Lに溶解し、脱気処理を行った。次に、得られたそれぞれの溶液、または、脱気を行った精製水の8Lを耐圧容器に取り、二酸化炭素を、ガス内圧が3.2kg/cm2になるように調整して圧入した。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを内服液剤とした。試験例2 試験例1と同様にして、5名の健常被験者が、実施例2で製造した内服液剤を不快な味の程度と不快な臭いの程度を評価した。 ビタミンB1及びB2を含有する内服液剤の味の評価を表3、臭いの評価を表4に示す。 ビタミンB1及びB6を含有する内服液剤および比較液剤の製造:ビタミンB1(硝酸塩)とビタミンB6(塩酸塩)それぞれを0.4gづつ合計0.8g、1gづつ合計2g、2gづつ合計4g、10gづつ合計20gを精製水40Lに溶解し、脱気処理を行った。次に、得られたそれぞれの溶液、または、脱気を行った精製水の8Lを耐圧容器に取り、二酸化炭素をガス内圧を3.2kg/cm2になるように調整して圧入した。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを内服液剤とした。 試験例3 試験例1と同様にして、5名の健常被験者が、実施例3で製造した内服液剤を不快な味の程度と不快な臭いの程度を評価した。 ビタミンB1及びB6を含有する内服液剤の味の評価を表5、臭いの評価を表6に示す。 ビタミンB1、B2及びB6を含有する内服液剤および比較液剤の製造:ビタミンB1(硝酸塩)、ビタミンB2(リン酸エステル)、ビタミンB6(塩酸塩)それぞれを0.4gづつ合計1.2g、1gづつ合計3g、2gづつ合計6g、10gづつ合計30gを精製水40Lに溶解し、脱気処理を行った。次に、得られたそれぞれの溶液、または、脱気を行った精製水の8Lを耐圧容器に取り、二酸化炭素を、ガス内圧が3.2kg/cm2になるように調整して圧入した。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを内服液剤とした。 ビタミンB1、B2及びB6を含有する内服液剤の味の評価を表7、臭いの評価を表8に示す。 ビタミンB1を45〜250μg/ml、ビタミンB2を20〜240μg/ml、ビタミンB6を20μg/ml〜1mg/ml、及び二酸化炭素をガス内圧で2.2〜3.7kg/cm2含有し、ビタミンB1が、チアミン、チアミン塩酸塩及びチアミン硝酸塩から選ばれる1種以上である、ビタミンB1に由来する不快な味および臭いが低減された医薬用内服液剤(但し、茶抽出物を含む場合を除く。)。 にがうり搾汁物及びゲンチオオリゴ糖を含まないものである請求項1に記載の医薬用内服液剤。 ビタミンB1を45〜250μg/ml、ビタミンB2を20〜240μg/ml及びビタミンB6を20μg/ml〜1mg/ml含有する医薬用内服液剤(但し、茶抽出物を含む場合を除く。)に、二酸化炭素をガス内圧で2.2〜3.7kg/cm2含有せしめる、ビタミンB1内服液のビタミンB1に由来する不快な味および臭いの低減方法であって、ビタミンB1が、チアミン、チアミン塩酸塩及びチアミン硝酸塩から選ばれる1種以上である、方法。